フリーランスの課税所得が195万円以下なら税率は5%ですが、330万円を超えると20%へ上がります。国税庁の7段階の超過累進課税を正確に理解すれば、確定申告前の納税資金準備が格段に楽になります。

目次

この記事でわかること

課税所得195万円以下なら税率5%で納税額は年間10万円以下に収まる仕組みを解説します。速算式「課税所得×税率−控除額」で5分以内に税額を概算する方法を示します。iDeCo小規模企業共済の組み合わせで課税所得を年間165万円超圧縮する手順をまとめます。

この記事の結論

所得税は「売上」ではなく「課税所得(売上から経費・各種控除を引いた金額)」に対して課税されます。課税所得195万円以下なら税率5%、330万円超で20%、695万円超で23%と段階的に上昇し、超過部分にのみ高い税率が適用される仕組みです。まず自分の課税所得の金額帯を確認し、該当する税率と控除額を当てはめることで、年間の所得税額を5分以内に概算できます。

今日やるべき1つ

直近の年間売上から経費と青色申告特別控除(最大65万円)・基礎控除(48万円)を差し引いて課税所得を算出し、本記事の早見表で該当する税率帯を確認してください(所要時間:約5分)。

状況別ショートカット

状況読むべきセクション所要時間
税率と控除額をすぐ確認したい所得税率は7段階で税率5%〜45%が適用1分
課税所得の求め方が分からない課税所得は3ステップで算出3分
年収別の税額目安を知りたい年収別所得税額は4パターンで比較2分
自分の税率区分を判定したい所得税率の区分を3分で診断3分
源泉徴収の処理が分からない源泉徴収は確定申告で精算する仕組み2分
節税策を知りたい所得税を抑える5つの仕組みで節税5分

所得税率は7段階で税率5%〜45%が適用

所得税は課税所得の金額帯に応じて税率が段階的に変わる「超過累進課税」です。全体像を把握することが納税資金の正確な見積もりにつながります。

所得税率は課税所得195万円を境に5%と10%で分かれる

国税庁が定める所得税の税率は、課税所得の金額帯によって7段階に区分されています(国税庁「No.2260 所得税の税率」)。

課税される所得金額税率控除額
1,000円以上 1,949,000円以下5%0円
1,950,000円以上 3,299,000円以下10%97,500円
3,300,000円以上 6,949,000円以下20%427,500円
6,950,000円以上 8,999,000円以下23%636,000円
9,000,000円以上 17,999,000円以下33%1,536,000円
18,000,000円以上 39,999,000円以下40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

この早見表は「課税所得」に対して適用されます。年収(売上)そのままに税率をかけても正しい税額は出ないため、必ず経費・所得控除を差し引いた後の課税所得で確認してください。

超過累進課税は所得が1円増えても全体に高い税率はかからない

超過累進課税では、税率区分の境目を超えた部分にのみ高い税率が適用されます。課税所得が400万円の場合、195万円以下の部分には5%、195万円超330万円以下の部分には10%、330万円超の部分にだけ20%が適用されます。区分の境目で「損をする」ことはなく、所得が増えた分に対してだけ税率が上がる仕組みです。この理解があると、節税目標となる課税所得の数字を正確に設定できます。累進課税の仕組みをわかりやすく理解したい方はこちらもご参照ください。

所得税額の速算式は「課税所得×税率−控除額」で求める

早見表を使った税額の計算式は「課税所得×税率−控除額」という速算式で算出できます(国税庁「No.2260 所得税の税率」)。課税所得300万円の場合、300万円×10%−97,500円=202,500円が所得税額です。課税所得500万円の場合は500万円×20%−427,500円=572,500円となります。

「税率×課税所得」だけで計算すると控除額を引き忘れる計算ミスが発生しやすいため、必ず速算式の引き算まで実施してください。課税所得500万円前後の帯域(330万円超〜695万円未満、税率20%・控除額427,500円)で控除額を引き忘れると、実際より約43万円も税額を過大評価してしまいます。

CHECK

▶ 今すぐやること: 国税庁「No.2260 所得税の税率」を開き、自分の課税所得の概算金額が7段階のどの区分に入るかを確認する(2分)

Q: 所得税率は毎年変わりますか?

A: 個人の所得税率表の区分と税率自体は、2025年時点で大きな改正は行われていません。基礎控除額などの控除項目は改正実績があるため、毎年国税庁「No.2260 所得税の税率」で最新情報を確認してください。

Q: 税率表に「1,000円以上」とあるのはなぜですか?

A: 課税所得は1,000円未満の端数を切り捨てて計算するため、最低単位が1,000円からとなっています。課税所得が0円以下であれば所得税は発生しません。

課税所得は3ステップで算出

売上と課税所得を混同すると、税率を正しく当てはめても税額が大きく狂います。3つのステップで課税所得を確定させてから、早見表を参照してください。

ステップ1は事業所得の計算で年間売上から経費を引く

事業所得は「年間売上(収入)−必要経費」で算出します(弥生「個人事業主の所得税は年間所得いくらからかかる?計算方法」)。必要経費として認められる主な項目は、業務用PC・通信費・外注費・取材交通費・セミナー受講料などです。家賃や光熱費は業務使用割合(例:仕事用スペースが自宅の30%なら30%)を按分して計上できます。家事按分の具体的な計算方法はこちらで詳しく解説しています。

経費を漏れなく計上することは節税の第一歩であり、同時に税額計算の精度を上げることにもつながります。業務との直接関連性が説明できる支出のみを計上してください。税務調査では「なぜこの支出が業務に必要だったか」の説明を求められます。

ステップ2は青色申告特別控除で事業所得をさらに圧縮する

青色申告承認申請書を提出している場合、e-Taxによる申告で最大65万円、書面申告で最大55万円を事業所得から差し引けます(国税庁「青色申告特別控除」)。この控除は複式簿記での帳簿作成とe-Tax送信の両方が条件です。

年間売上500万円・経費150万円のフリーランスの場合、事業所得は350万円になりますが、65万円の青色申告特別控除を適用すると285万円まで圧縮されます。この差だけで課税所得が330万円超の20%帯に入るか回避できるかの分岐点になり得るため、青色申告の適用有無は課税所得の計算で最初に確認すべき項目です。開業届と青色申告を同時提出する手順はこちらをご覧ください。

ステップ3は所得控除を差し引いて課税所得を確定する

事業所得から所得控除を引いた金額が「課税所得」です。フリーランスが利用できる主な所得控除は以下のとおりです。

控除の種類金額の目安適用条件
基礎控除48万円(合計所得金額2,400万円以下)全員が対象
社会保険料控除実際に支払った全額国民健康保険国民年金の支払分
小規模企業共済等掛金控除掛金の全額iDeCoや小規模企業共済の掛金
扶養控除38万〜63万円扶養親族の条件に該当する場合(国税庁「No.1199 扶養控除」)
医療費控除実費−10万円(または合計所得金額×5%)年間医療費が10万円を超えた場合

年間売上500万円・経費150万円・青色申告特別控除65万円・基礎控除48万円・社会保険料控除70万円(国保・国民年金の目安)のフリーランスの課税所得は、500万円−150万円−65万円−48万円−70万円=167万円となり、税率5%の帯域に収まります。売上ベースの数字だけで焦る前に、控除後の課税所得を冷静に計算してください。所得控除の全16種類を確認したい方はこちらもご参照ください。

CHECK

▶ 今すぐやること: 昨年の売上・経費・各種控除額の概算をメモ帳に書き出し、課税所得の目安を算出する(5分)

Q: 青色申告と白色申告では課税所得がどれくらい変わりますか?

A: 青色申告特別控除(最大65万円)の有無で課税所得が変わります。課税所得が同じ条件で65万円の控除が適用されると、税率20%の帯域では130,000円(65万円×20%)の税額差が生じます。青色申告をまだ利用していない方は、開業届と同時に青色申告承認申請書を提出してください。

Q: 社会保険料控除はどうやって計算しますか?

A: 1年間に実際に支払った国民健康保険料と国民年金保険料の合計額が全額控除対象になります。国民健康保険料は前年所得をもとに各市区町村が算定するため、住んでいる自治体のウェブサイトで試算するか、年度更新時の通知書で確認してください。

年収別所得税額は4パターンで比較

実際の税額がイメージしにくい方向けに、フリーランスの年収別に課税所得と所得税額の目安を整理しました。ここでの「年収」は売上(受注金額)を指し、経費率30%・青色申告特別控除65万円・基礎控除48万円・社会保険料控除70万円を前提とした概算値です。

年収300万円の場合は課税所得約27万円で税率5%

売上300万円−経費90万円(経費率30%)−青色申告特別控除65万円−基礎控除48万円−社会保険料控除70万円=課税所得27万円です。所得税額は27万円×5%−0円=13,500円となります。

この帯域では、社会保険料(国保・国民年金の合計で年60万〜80万円程度)の負担が所得税より大きい点が特徴です。税額そのものは小さくても、手取りを増やすにはiDeCoの掛金増額による社会保険料の連動圧縮が実質的な効果をもたらします。

年収500万円の場合は課税所得約167万円で税率5%

売上500万円−経費150万円−青色申告特別控除65万円−基礎控除48万円−社会保険料控除70万円=課税所得167万円です。所得税額は167万円×5%−0円=83,500円となります。

「年収500万円なのに所得税が8万円台」と感じる方もいますが、これは各控除が適用された結果であり制度上は正確な数字です。確定申告後に予定納税(前年の所得税額が15万円以上の場合に翌年の前払い納税が義務付けられる制度)が発生するケースもあるため、税務署からの通知を必ず確認してください。個人事業主の所得税計算を5ステップで確認したい方はこちらをご参照ください。

年収800万円の場合は課税所得約387万円で税率20%

売上800万円−経費240万円−青色申告特別控除65万円−基礎控除48万円−社会保険料控除60万円=課税所得387万円です(社会保険料控除は前年所得が上がると国保料が増えるため60万円に設定)。所得税額は387万円×20%−427,500円=347,100円となります。

年収800万円前後のフリーランスは特に住民税(課税所得の約10%)との合算で実効税率が30%を超えることがあります。手動計算だけでなく、会計ソフトでリアルタイムに課税所得を把握することが税負担の見通しを立てやすくします。

年収1,000万円の場合は課税所得約537万円で税率20%

売上1,000万円−経費300万円−青色申告特別控除65万円−基礎控除48万円−社会保険料控除50万円=課税所得537万円です。所得税額は537万円×20%−427,500円=646,500円となります。

この帯域では消費税課税事業者判定(基準期間の課税売上高が1,000万円超で翌々年から課税事業者)にも注意が必要です(国税庁「No.6501 納税義務の免除」)。所得税に加え消費税の申告納付も発生すると資金繰りへの影響が大きくなるため、年収1,000万円が視野に入ってきた時点で税理士への相談を検討してください。

CHECK

▶ 今すぐやること: 自分の年収帯の試算を参考に課税所得の目安を確認し、今年の確定申告で準備すべき納税額を月割りで積み立て額に換算する(5分)

Q: 住民税は所得税の計算と別ですか?

A: 住民税は所得税とは別に計算され、課税所得のほぼ10%(所得割)+均等割(自治体により5,000〜6,000円程度)が目安です。所得税と住民税を合算した実効税率は、課税所得300万円台で約25%、500万円台で約30%程度を想定しておくと資金計画を立てやすくなります。

Q: 予定納税とは何ですか?

A: 前年の確定申告で納めた所得税額が15万円以上の場合、翌年の7月と11月に前払いで所得税を納付する制度です(各回は前年税額の3分の1ずつ)。納税資金が不足しないよう、確定申告後に予定納税の対象かどうかを確認してください(国税庁「No.2040 予定納税」)。

所得税率の区分を3分で診断

自分が今どの税率区分にいるかを確認したい方向けに、簡易診断を用意しました。Q1から順番に答えると、状況に応じた税率区分が分かります。

Q1: 青色申告(65万円控除)を利用していますか?

Yesの場合 → Q2へ進んでください。Noの場合 → 課税所得が現状より最大65万円多く計算されています。青色申告承認申請書の提出期限(その年の3月15日まで、または開業後2ヶ月以内)を確認し、Q2へ進んでください。

Q2: 年間の事業所得(売上−経費)はおよそいくらですか?

200万円以下の場合 → Result Aへ。200万円超〜700万円以下の場合 → Q3へ。700万円超の場合 → Result Cへ。

Q3: 基礎控除・社会保険料控除・その他控除の合計はどのくらい見込めますか?

100万円以上見込める場合 → Result A(税率5%帯の可能性が高い)。50万円以上〜100万円未満の場合 → Result B(税率10〜20%帯の可能性)。50万円未満の場合 → Result C(税率20%超の帯域に入る可能性)。

Result A: 課税所得195万円以下(税率5%)が目安

基礎控除48万円+社会保険料控除70万円を差し引くだけでも課税所得が大幅に圧縮されます。追加でiDeCo(個人事業主は年間最大81.6万円の掛金控除)を活用すると課税所得をさらに下げられます。次のアクション:iDeCoの加入資格を確認してください(10分)。

Result B: 課税所得195万円超〜330万円以下(税率10%)が目安

所得税額の速算式は「課税所得×10%−97,500円」です。課税所得250万円の場合、税額は152,500円となります。この帯域では月12,500円程度の積み立てで年間の納税資金を確保できます。次のアクション:毎月の売上から12〜15%を別口座に積み立てる設定をしてください(5分)。

Result C: 課税所得330万円超(税率20%以上)が目安

税率20%以上の帯域では、課税所得を1万円下げるたびに2,000円以上の節税効果があります。小規模企業共済(掛金月最大7万円、年間84万円の控除)の活用を特に検討してください。次のアクション:小規模企業共済の加入資格と掛金シミュレーションを確認してください(10分)。

CHECK

▶ 今すぐやること: 上記の診断でResultを確認し、該当するResultの「次のアクション」を今日中に1つ実行する(3〜10分)

Q: 控除の合計がよく分からない場合はどうすればいいですか?

A: 最低限、基礎控除48万円と社会保険料控除(実際の支払額)の2項目だけで概算してください。国民健康保険料の目安は各自治体のウェブサイトで試算できます。それでも分からない場合は、税務署の無料相談窓口を利用するか、freee「フリーランス(個人事業主)が支払う税金の種類」で基本的な控除の種類を確認してください。

Q: 診断結果がResult Aなのに手元に税金が残っていない気がします。なぜですか?

A: 所得税が少なくても、国民健康保険料(前年所得をもとに算定)と国民年金保険料(2024年度は月16,980円)を合計すると年間60〜100万円の社会保険関連支出になる場合があります。手取りが少ないと感じる原因の多くは所得税ではなく社会保険料にあります。

源泉徴収は確定申告で精算する仕組み

複数の取引先から報酬を受け取っている場合、源泉徴収の処理を誤ると確定申告時に誤った税額を申告するリスクがあります。仕組みを正確に把握することで、確定申告時の精算を確実に行えます。

源泉徴収税率は報酬の種類で10.21%と20.42%の2段階

フリーランスが受け取る原稿料・講演料・デザイン料などは支払者が源泉徴収を行う義務があります(国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」)。同一支払者から同一の支払機会における報酬金額が100万円以下の部分が10.21%、100万円を超える部分が20.42%です。

1件の報酬が150万円の場合、源泉徴収額は100万円×10.21%+50万円×20.42%=102,100円+102,100円=204,200円となります。この金額は請求書の受取金額からすでに差し引かれた状態で入金されます。手元に届く金額だけを収入と勘違いしやすいため、請求書ベースの総額を収入として記録することが正確な申告の前提条件です。個人事業主の源泉徴収の仕組みを詳しく確認したい方はこちらをご覧ください。

年間の源泉徴収額は支払調書で合計額を確認する

取引先から毎年1月中旬〜2月頃に届く「支払調書」には、年間の報酬総額と源泉徴収税額の合計が記載されています。確定申告ではこの源泉徴収税額を「前払いした所得税」として申告書に記入することで、年間の所得税額と相殺されます。

源泉徴収額が年間の所得税額より多ければ差額が還付され、少なければ差額を追加で納税します。支払調書を発行しない取引先もあるため、毎月の請求書に源泉徴収額を自分で記録しておく習慣をつけてください(レバテックフリーランス「フリーランスの手取り早見表」)。

源泉徴収されない収入がある場合は所得税額の全額を自己納付する

システム開発・コンサルティング業務委託など、源泉徴収の対象外となる業種や取引形態の場合、所得税が天引きされないため年間の所得税額をすべて確定申告で自己納付します。売上が入金されるたびに所得税率に相当する金額を別口座に移す運用が、資金ショートを防ぐ最も確実な方法です。

CHECK

▶ 今すぐやること: 主要な取引先からの報酬が源泉徴収対象かどうかを確認し、対象の場合は直近の請求書で源泉徴収税額の記載があるか照合する(5分)

Q: 源泉徴収税率の10.21%の「0.21%」は何ですか?

A: 0.21%は「復興特別所得税」です。2013年から2037年の25年間、所得税額の2.1%が復興特別所得税として上乗せされています。所得税率10%×(1+2.1%)=10.21%という計算で、早見表の7段階の税率とは別に加算されます(国税庁「復興特別所得税の源泉徴収」)。

Q: 支払調書が届かない取引先があります。確定申告はどうすればいいですか?

A: 支払調書は取引先が税務署に提出する義務がありますが、フリーランス側への郵送は法的義務ではないため届かない場合があります。自分で管理している請求書控えと入金明細から源泉徴収額を集計して申告することは問題ありません。

所得税を抑える5つの仕組みで節税

課税所得を合法的に下げる控除の組み合わせが、継続的な節税効果を発揮します。以下の5つは課税所得を直接圧縮するため、税率区分そのものを引き下げる可能性があります。

ハック1: iDeCoで課税所得を年間最大81.6万円圧縮し実質利回りを上乗せする

【対象】 : 税率10%以上の帯域にいるフリーランスで、老後資産の形成も同時に行いたい方

【手順】 :

ステップ1:iDeCoの公式サイト(国民年金基金連合会)で加入資格と拠出限度額(個人事業主は月最大68,000円)を確認してください(5分)。ステップ2:証券会社または銀行でiDeCo口座を開設し、運用商品を選択してください(30〜60分)。ステップ3:毎月の掛金を設定して積み立てを開始し、確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」として申告してください(確定申告時15分)。

【コツと理由】 : 「税率区分が下がるかどうかを先に確認してからiDeCoの掛金額を逆算する」アプローチが節税効果を最大化できます。課税所得が335万円(税率20%の帯域入口)の場合、月5万円(年60万円)の掛金で課税所得を275万円まで引き下げると税率10%帯に入り、所得税だけで約60,000円の節税になります。さらに投資利益への課税繰り延べ効果が重なるため、実質リターンは運用利回り+節税額分という二重の恩恵を受けられる構造です。iDeCoの節税シミュレーションを詳しく確認したい方はこちらをご参照ください。

【注意点】 : iDeCoの資産は原則60歳まで引き出せないため、緊急資金が手薄なフリーランスは掛金を生活資金に影響しない範囲に抑えることが重要です。月1万円からでも課税所得の圧縮効果は確実に発生します。

ハック2: 小規模企業共済で年間最大84万円を控除し廃業リスクにも備える

【対象】 : 税率20%以上の帯域にいるフリーランスで、退職金に相当する積み立てを検討している方

【手順】 :

ステップ1:中小機構(SMRJ)のウェブサイトで加入資格と掛金シミュレーションを確認してください(10分)。ステップ2:商工会議所または金融機関の窓口で加入申込書と必要書類(開業届の控えなど)を準備してください(30分)。ステップ3:月1,000円〜70,000円の範囲で掛金を設定し、確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」として申告してください(確定申告時10分)。

【コツと理由】 : 掛金は全額所得控除になるため、月7万円(年84万円)を掛けると税率20%の帯域では168,000円の所得税を削減できます。iDeCoと組み合わせて両方の上限まで掛金を設定すると年間165万円超の控除が取れる計算になり、課税所得500万円のフリーランスであれば税率区分を20%から10%まで引き下げられる可能性があります(中小機構「小規模企業共済」の掛金シミュレーションで確認してください)。

【注意点】 : 掛金の途中減額は可能ですが、短期解約(加入後20年未満での解約)は元本割れが生じます。長期継続できる掛金額から始めてください。

ハック3: 青色申告65万円控除を毎年確実に取得してソフトの入力時間を30分に抑える

【対象】 : すでに青色申告を利用しているが55万円控除(書面申告)にとどまっているフリーランス

【手順】 :

ステップ1:会計ソフト(freeeマネーフォワード・弥生のいずれか)でe-Tax対応の設定がされているか確認してください(5分)。ステップ2:日々の経費・売上をレシートスキャン機能でリアルタイム入力し、月末に30分の帳簿確認を習慣化してください(月次30分)。ステップ3:確定申告期に会計ソフトからe-Taxで電子申告し、65万円控除を確実に取得してください(申告時30分)。

【コツと理由】 : 会計ソフトの自動仕訳機能を活用すると月次の入力時間を30分程度に圧縮できます。65万円控除と55万円控除の差額10万円分の節税効果は、税率20%の帯域で年間20,000円です。帳簿入力にかかる追加時間が年間2〜3時間程度であれば、時間あたりの節税効果は7,000〜10,000円換算になります。

【注意点】 : e-Taxに必要なマイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマートフォンの読み取り機能)の準備を2月初旬までに整えてください。申告直前まで放置すると書面申告への格下げ(控除額が10万円減少)が生じます。

ハック4: 月次での税金積み立てで確定申告時の資金ショートを防止する

【対象】 : 確定申告のたびに納税資金が不足して慌てた経験があるフリーランス

【手順】 :

ステップ1:自分の税率区分(本記事の早見表で確認済み)を基に、月次の売上から積み立て率を設定してください(税率5%帯は売上の5〜8%、税率10%帯は10〜13%、税率20%帯は18〜22%を目安に)。ステップ2:売上が入金されるたびに自動振替または手動で専用の別口座に積み立ててください(入金当日)。ステップ3:翌年2〜3月の確定申告時に積み立て口座から納税し、余剰分は翌年の予定納税資金として残してください。

【コツと理由】 : 毎月入金された時点で概算税額を分離するアプローチが資金管理の失敗を防げます。確定申告まで気づかずに使い込んでしまう「見えない税金」の問題は、積み立て用口座を分けるだけで構造的に解決できます。毎月の積み立て額が少し多めでも、余剰分は翌年の予定納税に充当できるため損失はありません(マネーフォワード クラウド確定申告「個人事業主の所得税はいくら?」)。

【注意点】 : 積み立て率を「所得税だけ」に設定すると住民税と国民健康保険料の支払時に資金が不足します。所得税・住民税・国保の3つを合算した実効負担率(課税所得300万円台で約25〜28%、500万円台で約30〜33%が目安)で積み立て率を設定してください。

ハック5: 年末時点での課税所得試算で税率区分の境目を意識した経費処理をする

【対象】 : 税率区分の境目付近(195万円・330万円・695万円前後)に課税所得が来そうなフリーランス

【手順】 :

ステップ1:12月時点で年間売上の確定額から経費・控除を差し引き、課税所得の着地見込みを概算してください(10分)。ステップ2:課税所得が次の税率区分の境目までの金額(例:課税所得320万円なら330万円まで残り10万円)を確認してください。ステップ3:年内に計上できる合法的な経費(翌年利用予定のソフトウェア年間契約・研修費・書籍代など)を前倒しで支出し、課税所得を境目以下に収めてください(支出実行は当年12月31日まで)。

【コツと理由】 : 翌年確実に使う予定のある支出を1ヶ月前倒しするだけであれば、余分な出費なく課税所得を下げることができます。課税所得が330万円超の20%帯と195万円超の10%帯の境界付近では、1万円の課税所得の差が税率変更により数千円単位の税額差につながります(超過累進課税のため境目を越えても全額に高い税率は適用されませんが、境目前後では節税の投資対効果が高くなります)。

【注意点】 : 翌年以降に本当に使用しない支出を経費に入れることは認められません。業務との関連性が説明できる支出のみを計上してください。

CHECK

▶ 今すぐやること: 現在利用していない控除(iDeCo・小規模企業共済)のうち1つを選び、公式サイトで加入資格と掛金上限を確認する(10分)

Q: 節税のためにわざと経費を多くするのは問題ですか?

A: 業務に必要な支出を正確に経費計上することは問題ありません。業務との関連性が薄い私的支出を経費に混入させることは所得税法違反になる可能性があります。税務調査では「なぜこの支出が業務に必要だったか」を説明できることが判断基準になります。

Q: 税理士に依頼するとどのくらい費用がかかりますか?

A: フリーランス向けの確定申告代行は年間5〜15万円程度が目安ですが、税理士事務所や依頼内容により費用は異なります。課税所得が500万円を超えてきたタイミングで一度相談することをお勧めします。

所得税率を2026年版で正確に使う3つの注意点

所得税率の表を知っていても使い方を誤ると、税額の計算が大きくずれます。特に誤解が多い3点を整理します。

所得税率表は売上ではなく課税所得に適用する

所得税率の最も多い誤用は、「年収(売上)に税率をかけて税額を計算する」ことです。年収800万円に税率23%をかけると184万円という計算になりますが、実際の課税所得は各種控除後に387万円程度になり、税率は20%・税額は34万円程度が正確な数字です。売上に直接税率を適用すると税負担を大幅に誤計算します。

「所得税の税率表を見ていくらか計算してみたけど、控除額の引き方が分からなくてうまく計算できなかった。売上に直接税率をかけてしまっていた」

フリーランス・個人事業主の手取り早見表(note)でも同様の声が確認されています。

本記事の「課税所得は3ステップで算出」のセクションで課税所得を先に確定させてから税率表を参照するプロセスを習慣化することが有効です。

復興特別所得税は所得税に2.1%が加算される

2025年現在、すべての所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が加算されます(適用期間:2013年〜2037年)。確定申告書や源泉徴収票に記載された税率が「10.21%」「20.42%」と端数が付いている場合、この復興特別所得税が含まれているためです。早見表の7段階の税率(5%・10%・20%等)は復興特別所得税を含まない基本税率であり、実際の納税額は「所得税額×1.021」で計算します(国税庁「復興特別所得税の概要」)。

住民税と国保を含めた実効税率は所得税率の1.5〜2倍になる

「所得税率が5%だから税負担は軽い」という理解は、住民税(課税所得の約10%)と国民健康保険料(所得割部分が前年所得の7〜10%程度、自治体差あり)を含めると大きくずれます。課税所得200万円のフリーランスの場合、所得税10万円・住民税20万円・国保20万円(概算)で合計50万円の税負担となり、所得税単体の税率5%に対して実効税率は25%程度になります。個人事業主の住民税計算を詳しく確認したい方はこちらをご参照ください。

「確定申告が終わった後に住民税と国保の請求が来て、想定以上の金額だった。所得税しか計算していなかったので全然準備できていなかった」

フリーランスは所得税をいつ・いくら払う?(magazine.sokudan.work)でも同様の声が記録されています。

CHECK

▶ 今すぐやること: 昨年の確定申告書類(または会計ソフトの集計)で所得税・住民税・国保を合計した実際の税負担総額を確認し、今年の月次積み立て率に反映させる(10分)

Q: 住民税はいつ請求されますか?

A: 住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年の6月頃に通知が届きます。確定申告の翌年6月が最初の支払月になるため、確定申告が終わった直後から住民税の積み立てを始めてください。

Q: 国民健康保険料の節税方法はありますか?

A: 国民健康保険料の所得割は前年の課税所得をもとに計算されます。iDeCoや小規模企業共済で課税所得を下げると翌年の国民健康保険料も連動して下がるため、所得税・住民税・国保の3つを一括して圧縮できる効果があります。

まとめ:所得税率早見表は課税所得で確認する

所得税率は売上ではなく課税所得(売上−経費−各種控除)に7段階の税率を適用する仕組みで、速算式「課税所得×税率−控除額」で税額を算出します。フリーランスの多くは経費・青色申告控除・iDeCo・小規模企業共済を組み合わせると課税所得を大幅に圧縮でき、税率区分そのものを下げることが可能です。今日まず1つやるとすれば、現在の課税所得の概算を算出し、本記事の早見表で該当する税率区分を確認することから始めてください。

税率を把握した後は、毎月の積み立て率の設定と未利用の控除(iDeCo・小規模企業共済)への加入を次のアクションとして実行することで、来年の確定申告を余裕を持って迎えられます。

状況次の一歩所要時間
課税所得が分からない売上−経費−青色65万円−基礎48万円−社保控除を計算する5分
税率区分を確認したい本記事の早見表で課税所得の該当区分を確認する2分
節税を始めたいiDeCoまたは小規模企業共済の加入資格を確認する10分
源泉徴収の処理が分からない直近の請求書で源泉徴収税額の記載を確認する5分
納税資金が心配所得税・住民税・国保を合算した積み立て率を設定する5分

所得税率早見表に関するよくある質問

Q: 課税所得と年収(売上)はどう違いますか?

A: 年収(売上)から必要経費・青色申告特別控除・基礎控除・社会保険料控除などの所得控除を差し引いた金額が課税所得です。フリーランスの課税所得は年収の30〜50%程度になることが多く、年収に直接税率を適用すると税額を大幅に過大計算してしまいます。

Q: 所得税が発生しない課税所得の下限はいくらですか?

A: 課税所得が0円または課税所得なしであれば所得税は発生しません。基礎控除48万円・社会保険料控除(年間60万円程度が目安)・青色申告特別控除65万円を合計すると、年収200万円以下のフリーランスは課税所得がゼロになるケースも少なくありません。

Q: 税率が上がる「壁」を意識した収入調整は必要ですか?

A: 超過累進課税のため、課税所得が330万円を1円超えても税額が急に跳ね上がるわけではありません。境目を超えた部分にのみ高い税率が適用されます。課税所得が税率区分の直前(たとえば課税所得325万円)にいる場合、iDeCoや小規模企業共済の掛金を増額して課税所得を引き下げる選択肢は検討に値します。

【出典・参照元】

国税庁「No.2260 所得税の税率」 – 税率表・速算式の根拠

国税庁「青色申告特別控除(No.2072)」 – 青色申告特別控除の適用条件

国税庁「No.1199 扶養控除」 – 扶養控除の条件

国税庁「No.2040 予定納税」 – 予定納税の制度概要

国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」 – 源泉徴収対象報酬の根拠

国税庁「No.6501 納税義務の免除」 – 消費税課税事業者判定の根拠

弥生「個人事業主の所得税は年間所得いくらからかかる?計算方法」 – 計算手順の参考

マネーフォワード クラウド確定申告「個人事業主の所得税はいくら?」 – 月次積み立て運用の参考

freee「フリーランス(個人事業主)が支払う税金の種類」 – 税金種類の参考

レバテックフリーランス「フリーランスの手取り早見表」 – 源泉徴収・手取りの参考

中小機構「小規模企業共済」 – 小規模企業共済の制度詳細

フリーランス・個人事業主の手取り早見表(note) – 体験談引用

フリーランスは所得税をいつ・いくら払う?(magazine.sokudan.work) – 体験談引用

記事内容は2026年08月時点の税制・法令に基づいています。