この記事でわかること
フリーランスで年収800万円を得ても、税金・社会保険料を差し引いた手取りは約530万円(経費ゼロ・青色申告あり時)が目安です。月換算では約44万円になります。この記事では税負担の内訳から手取りを増やす5つの節税策、法人化の判断基準まで解説します。
| 知りたいこと | 手取り改善額の目安 |
| 青色申告特別控除の効果 | 年間約20〜25万円削減 |
| 経費100万円計上の効果 | 年間約30万円削減 |
| iDeCo上限活用の効果 | 年間約24万円削減 |
| 小規模企業共済上限活用の効果 | 年間約25万円削減 |
| 5つの節税を組み合わせた最大効果 | 年間80万円以上改善 |
この記事の結論
フリーランスの年収800万円に対する手取りは、経費・控除の使い方次第で約400万円から約614万円まで200万円超の幅があります。青色申告特別控除65万円の適用と主要経費の計上だけで、何も対策しない場合と比べて年間50万円以上の差が生じます。まず青色申告の承認申請と主要経費の洗い出しを今日中に着手することが、最も即効性の高い手取り改善策です。
今日やるべき1つ
青色申告承認申請書を国税庁のe-Taxまたは管轄税務署に提出してください。提出期限は開業から2か月以内(既開業者は適用を受けたい年の3月15日まで)です。この1枚の申請が年間最大65万円の特別控除につながります(書類作成30分、提出15分)。
状況別ショートカット
| 状況 | 読むべきセクション | 所要時間 |
| 手取り額の目安をすぐに知りたい | 年収800万の手取りは約530万円が基準 | 2分 |
| 税金・保険料の内訳を確認したい | フリーランスの税金は4種類で合計約270万円 | 3分 |
| 自分の状況に当てはまるか診断したい | 手取り額を3分で診断 | 3分 |
| 会社員との差額を知りたい | フリーランスと会社員の手取り差は年50万円 | 2分 |
| 節税策を今すぐ実行したい | 手取りは5つの節税で年間80万円増やせる | 5分 |
| 法人化を検討している | 年収800万円は法人化の判断ラインに該当 | 3分 |
年収800万の手取りは約530万円が基準
売上と手取りの間には270万円前後の差が生じます。この差の内訳を理解することが、手取り改善の第一歩です。
手取りの計算式は4段階で整理できる
フリーランスの手取りは4段階で算出します。第1段階は「売上 − 経費 = 事業所得」。第2段階は「事業所得 − 各種控除 = 課税所得」。第3段階は「課税所得 × 税率 = 所得税・住民税」。第4段階は「事業所得 − 税金 − 社会保険料 = 手取り」です。会社員の給与計算とは異なり、すべての計算を自分で把握する必要があります。この4段階を理解していないと、「稼いでいるのに生活が楽にならない」という状況に陥ります。国税庁「各種所得の計算方法」では事業所得の計算根拠が公開されており、フリーランスの課税所得算出の基準として確認できます。
経費ゼロ・青色申告ありの場合は約530万円
前提条件を明記したうえで試算します。年収(売上)800万円・経費ゼロ・青色申告特別控除65万円・基礎控除48万円・国民年金保険料約20万円控除・国民健康保険料約100万円控除を適用すると、課税所得は約567万円になります。所得税は約74万円、住民税は約57万円、個人事業税は約24万円、国民健康保険料約100万円、国民年金保険料約20万円を合算した手取りは約525〜530万円です。複数の専門メディアで530万円前後という数値が示されています(paytner「年収800万円フリーランスの税金・手取り」)。国民健康保険料は自治体によって異なるため、実際の手取りは居住地によって変動します。フリーランスの手取りは年収の6割が基準という考え方も参考になります。

経費を100万円計上すると手取りは約570万円に改善する
経費を100万円計上した場合、事業所得は700万円に下がります。課税所得が下がることで所得税・住民税・個人事業税が連動して減少し、手取りは約560〜570万円まで改善します。同じ800万円の売上でも、正当な経費を計上しているかどうかで手取りに40万円前後の差が生じます。事業上必要な支出を経費として計上することは節税ではなく正確な所得計算であり、計上しないことが過剰納税につながります。
青色申告なしでは手取りが約30万円減少する
白色申告(青色申告なし)の場合、65万円の特別控除が適用されません。この65万円が課税所得に上乗せされることで、所得税と住民税の合計が概算で約16〜20万円増加します。個人事業税も連動して増加するため、青色申告ありと比べた差額は年間で約25〜30万円に達します(国税庁「青色申告特別控除」)。30分の申請書作成で年間30万円近い差が生まれるため、未申請のまま放置せず今すぐ手続きを進めてください。開業届と青色申告を同時提出すれば最大65万円の控除を最短で取得できます。

CHECK
▶ 今すぐやること: 自分の売上から経費と控除を引いた「課税所得」を概算し、国税庁の確定申告コーナーの税額試算ツールで所得税額を確認する(所要時間: 10分)
Q: 年収800万円と売上800万円は同じですか?
A: フリーランスにおいて「年収」は売上(総収入)を指すことが多いですが、課税・手取り計算では「売上 − 経費 = 事業所得」が基準です。売上800万円・経費ゼロの場合にのみ、年収=事業所得が成立します。
Q: 手取りの計算に使う国民健康保険料はどうやって確認しますか?
A: 国民健康保険料は前年の所得をもとに各市区町村が計算するため、金額は自治体によって異なります。厚生労働省の医療保険制度案内で制度の仕組みを確認したうえで、居住する市区町村の国保担当窓口または試算ツールで確認してください。
フリーランスの税金は4種類で合計約270万円
年収800万円の売上から手取りまでの経路で、どの税金・保険料がいくら発生するかを正確に把握することが、納税資金不足を防ぐ唯一の手段です。
所得税は課税所得に累進税率を適用して計算する
所得税は課税所得に対して5〜45%の累進税率で計算します(国税庁「所得税の税率」)。経費ゼロ・青色申告65万円・基礎控除48万円・国民年金社会保険料控除20万円を適用した課税所得約567万円の場合、所得税額は速算表より「567万円 × 20% − 42万7,500円 = 約70万9,500円」となります。復興特別所得税(2.1%)を加算すると約72〜74万円です。所得税は課税所得が高いほど税率が上がる累進課税のため、課税所得を下げる手段(経費・控除)が手取りの増加に直結します。所得税率早見表で7段階の税率を確認することで、自分の税負担を正確に把握できます。

住民税は課税所得の約10%が一律でかかる
住民税は前年の課税所得に対して一律約10%(所得割9% + 均等割5,000円程度)が翌年6月から徴収されます。なお均等割の金額は自治体によって異なります。課税所得567万円の場合、住民税は約57万円です。住民税の注意点は「前年所得に対して翌年課税」という構造です。独立1年目に売上が高かった翌年に、収入が下がっても高額の住民税請求が届くため、納税資金を毎月積み立てておく習慣が不可欠です。
個人事業税は事業所得290万円超に約5%かかる
個人事業税は事業所得から290万円の事業主控除を差し引いた金額に対し、業種によって3〜5%が課税されます。多くのフリーランスが対象となる第1種事業は5%です(東京都主税局「個人事業税」)。経費ゼロ・青色申告65万円適用後の事業所得735万円の場合、「(735万円 − 290万円)× 5% = 約22万2,500円」になります。個人事業税は確定申告後に都道府県から8月・11月の2回に分けて納付通知が届くため、資金計画に必ず組み込んでください。
国民健康保険と国民年金は合計約120万円の負担
国民健康保険料は自治体によって差がありますが、前年所得600万円前後の場合で年間約80〜100万円程度が目安です。国民年金保険料は2024年度で月額1万6,980円(年間約20万円)が定額です(日本年金機構「国民年金保険料」)。社会保険料の合計は年間約120万円と、税金と並んで手取りを大きく左右します。売上の伸びに合わせて生活水準を上げる前に、翌年の納税・保険料支払い分を確保してください。個人事業主の社会保険は3択で最適化できる仕組みもあるため、加入先の検討も重要です。

CHECK
▶ 今すぐやること: 昨年の確定申告書(または所得の見込み額)をもとに4種類の税金・保険料を概算し、年間納税予定額を手帳またはスプレッドシートに記録する(所要時間: 15分)
Q: 国民健康保険と社会保険(協会けんぽ等)はどちらが安いですか?
A: フリーランスは原則として国民健康保険に加入します。年収800万円水準では国民健康保険料が年間80〜100万円前後になるケースが多く、会社員時代の社会保険(労使折半)より高額になることが一般的です。扶養家族の有無や自治体によって差があるため、居住地の市区町村窓口で試算を依頼してください。
Q: 個人事業税は全業種にかかりますか?
A: 個人事業税はすべての業種にかかるわけではありません。地方税法に定められた70業種に該当する場合に課税され、ライター・プログラマー・コンサルタント等は「第1種事業(5%)」に該当することが多いですが、業種の分類に迷う場合は都道府県税事務所に確認してください。
手取り額を3分で診断
以下の3つの質問で、自分の手取り水準を3分で判定できます。
Q1: 青色申告特別控除(65万円)を適用していますか?
Yesの場合はQ2へ進んでください。Noの場合、現時点での手取りは基準値(約530万円)より年間25〜30万円低い水準にあります。今すぐ青色申告承認申請書の提出に着手したうえで、Q2へ進んでください。
Q2: 年間の経費計上額は100万円以上ありますか?
Yesの場合はQ3へ進んでください。Noの場合、手取りは約530万円以下になっている可能性があります。計上できる経費の洗い出しを優先課題としたうえで、Q3へ進んでください。
Q3: 国民健康保険料を含む社会保険料控除を確定申告で申告していますか?
Yesの場合は「Result A(適切に控除を活用できている)」に該当します。Noの場合は「Result B(控除の申告漏れがある可能性)」に該当します。
Result A: 青色申告・経費・社会保険料控除をすべて適用している
手取りの水準は概ね530〜570万円以上の可能性があります。次のステップとして小規模企業共済・iDeCo・ふるさと納税などの追加節税を検討することで、さらに手取りを改善できます。
Result B: 控除・経費の申告に漏れがある可能性がある
まず青色申告の申請(未申請の場合)と、過去の確定申告で計上し忘れた経費の洗い出しを行ってください。税理士への相談(初回無料が多い)で申告漏れを確認することも有効な手段です。
CHECK
▶ 今すぐやること: Q1〜Q3に自分の状況を当てはめて、Result AまたはBを確認し、該当する次のアクションを今週中に1つ実行する(所要時間: 3分)
Q: 青色申告の承認申請はいつまでに出せばよいですか?
A: 新規開業の場合は開業日から2か月以内、すでに開業している場合は適用を受けたい年の3月15日までに所轄税務署へ提出する必要があります(国税庁「青色申告承認申請手続」)。期限を過ぎると翌年からの適用になるため、早めの提出が必要です。
Q: Result Bに該当した場合、過去分の修正申告は可能ですか?
A: 確定申告の修正(更正の請求)は申告期限から5年以内であれば可能です。申告漏れの経費や控除がある場合は、税理士に相談のうえ更正の請求を検討してください。
フリーランスと会社員の手取り差は年50万円
年収800万円という同じ数字でも、フリーランスと会社員では手取りの計算構造が根本的に異なります。
会社員800万円の手取りは約580万円
会社員の年収800万円の場合、給与所得控除(2024年時点で収入800万円に対して190万円)が自動適用され、社会保険料(健康保険・厚生年金)が労使折半となります。概算での手取りは約580〜600万円で、フリーランスの基準値(約530万円)と比べて50〜70万円高くなります(マイナビ転職「年収800万円の手取り」)。会社員は健康保険・厚生年金の保険料を会社が半額負担するため、自己負担額がフリーランスより年間50万円以上少なくなるケースが多い点が主な要因です。
フリーランスが社会保険コストで不利になる構造
フリーランスが手取りで不利になる最大の要因は、社会保険料の全額自己負担です。会社員であれば健康保険料・厚生年金保険料の約半額を会社が負担しますが、フリーランスは国民健康保険・国民年金をすべて自分で支払います。年収800万円水準での社会保険料の差額は年間50〜80万円に達することがあります(sokudan「フリーランス・会社員の手取り比較」)。同じ「年収800万円」という数字でも、フリーランスは社会保険のコストを上乗せして稼がなければ、会社員と同等の手取りを確保できません。独立前に社会保険料の差額分を目標売上に加算して計画を立てることを強くお勧めします。
フリーランスが逆転できる条件は経費100万円以上
フリーランスが経費を年間100万円以上計上できる場合、税引き前所得が実質700万円以下に抑えられるため、所得税・住民税の合計が会社員を下回るケースが生まれます。仕事に関連する機器・通信費・家賃按分・交通費・セミナー受講費等が経費として認められるため、経費率が高い業種(ITエンジニア・デザイナー・コンサルタント等)ではフリーランスの手取りが会社員を上回る可能性があります。家事按分の割合と計算方法を正しく把握することで、自宅勤務の場合も家賃や光熱費を合理的に経費計上できます。

経費として認められるためには「事業遂行上の必要性」の証明が必要であり、領収書・請求書の保管と目的の記録が不可欠です。
CHECK
▶ 今すぐやること: 自分の月次支出のうち「事業目的で使っている費用」をリストアップし、年間経費の概算を計算する(所要時間: 20分)
Q: フリーランスでも扶養控除は使えますか?
A: フリーランスでも配偶者控除・扶養控除は適用できます。配偶者控除は配偶者の年収が103万円以下の場合に38万円、配偶者特別控除は年収150万円以下まで段階的に適用されます。扶養する親族がいる場合は確定申告で必ず申告してください。
Q: 会社員とフリーランス、老後の年金はどちらが有利ですか?
A: 会社員(厚生年金加入者)は国民年金に加えて報酬比例部分の厚生年金が上乗せされるため、老後受給額は一般的にフリーランス(国民年金のみ)より多くなります。ただしフリーランスはiDeCoや国民年金基金への任意加入で老後資金を補うことができ、これらは全額所得控除になるため節税と老後対策を同時に実現できます。
手取りは5つの節税で年間80万円増やせる
合法的な控除・経費計上だけで手取りを大幅に改善できます。以下の5つを順番に実行してください。
節税ハック1: 青色申告65万円控除で税負担を年間約20万円削減
【対象】: 事業所得があるフリーランスで、まだ青色申告を申請していない方(または白色申告で申告している方)。
【手順】: 所轄税務署またはe-Taxで「所得税の青色申告承認申請書」を取得します(5分)。必要事項(氏名・住所・開業日・所得の種類)を記入します(15分)。管轄税務署に持参または郵送、あるいはe-Taxでオンライン提出します(15分)。
【ポイントと理由】: クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード等)を使えば自動仕訳で65万円控除の要件となる複式簿記の記帳が30分/月以内で完結します。65万円控除が年間20〜25万円の節税につながる理由は、課税所得が65万円下がることで所得税率20%帯なら13万円、住民税10%で6.5万円、個人事業税5%で3.25万円の合計22.75万円が削減されるためです。
【注意点】: 55万円控除と65万円控除は要件が異なります。e-Taxによる申告または電子帳簿保存法に対応した電子帳簿を保存していない場合は55万円控除にとどまります。65万円を狙うにはe-Tax申告が必要であり、電子申告要件を満たさない場合はやり直しができないため、申告前に要件を確認してから着手してください。青色申告65万円控除の3条件を事前に確認しておくと安心です。

節税ハック2: iDeCoで掛金全額を所得控除し年間最大約28万円節税
【対象】: 将来の老後資金を確保しながら今の税負担を減らしたいフリーランス(20〜59歳)。
【手順】: 金融機関(証券会社・銀行等)でiDeCoの口座開設申請書を取り寄せます(5分)。掛金額を月額5,000〜68,000円の範囲で設定します(フリーランスの上限は月額6万8,000円)(10分)。毎年の確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」として掛金合計額を申告します(10分)。
【ポイントと理由】: iDeCoは「今年の所得税と住民税を即座に削減しながら老後資金も積み立てられる二重の節税手段」として機能します。フリーランスの掛金上限は月6万8,000円(年間81万6,000円)であり、課税所得が20%帯なら所得税16.3万円+住民税8.2万円=年間約24.5万円の節税効果があります(国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」)。60歳まで引き出せない拘束性はありますが、その分を強制的な老後貯蓄として活用できます。iDeCoの節税シミュレーションで年収別の節税額を確認することをお勧めします。

【注意点】: 60歳になるまで原則として引き出せません。生活資金が逼迫している状況での高額掛金設定は資金繰りを悪化させるリスクがあります。月次の手元キャッシュを確認してから無理のない掛金額を設定してください。
節税ハック3: 小規模企業共済で年間最大84万円を所得控除
【対象】: 事業の廃業・退職時の退職金を積み立てながら節税したいフリーランス(個人事業主)。
【手順】: 中小企業基盤整備機構のサイトから小規模企業共済の加入申込書を取り寄せます(5分)。委託機関(銀行・信用金庫等)または中小機構に申込書と必要書類を提出します(30分)。確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」として掛金全額を所得控除します(10分)。
【ポイントと理由】: 小規模企業共済は「所得控除として年間最大84万円(月額7万円)を課税所得から丸ごと除外できる節税ツール」として機能します(中小企業基盤整備機構「小規模企業共済」)。iDeCoと組み合わせれば年間最大165万6,000円を所得控除できるため、課税所得が20〜23%帯のフリーランスは合計で年間30〜40万円の節税が実現します。
【注意点】: 加入後12か月未満の解約は掛け捨てになります。短期間での解約を前提とした加入は損失につながるため、少なくとも5年以上継続できる見通しがある場合のみ加入を検討してください。
節税ハック4: 経費の網羅的計上で課税所得を最大200万円圧縮
【対象】: 経費計上が「よくわからないからとりあえず最小限」になっているフリーランス全般。
【手順】: 事業に関連する支出カテゴリを書き出します(通信費・交通費・書籍・PC等機器・家賃按分・セミナー費用等)(20分)。各支出について「事業との関連性」を確認し、関連があるものをすべて経費リストに追加します(30分)。クラウド会計ソフトに取引先・金額・目的を入力し、領収書を電子保存します(以降は毎月30分以内で完結)。
【ポイントと理由】: 「事業との関連性が説明できるものすべてを計上し、根拠を記録する」アプローチが実務では適切です。フリーランスが見落としやすい経費として、自宅家賃の按分(事業利用率に応じた割合)、スマートフォン通信費の按分、書籍・学習費用などがあります。通信費按分割合の決め方を正しく理解することで、月々の通信費を合理的に経費計上できます。
経費100万円計上で課税所得が100万円下がり、税率20%帯なら所得税20万円+住民税10万円=30万円の節税につながります。なお健康診断費用については事業経費として認められるかどうかは個別の状況によって異なるため、税理士に確認してください。
【注意点】: 経費として認められるためには「事業遂行上の必要性」の証明が必要です。根拠なく計上することは税務調査のリスクを高めます。領収書・請求書の保存と「何のために使ったか」のメモを同時に記録することで、後から確認できる状態を維持してください。接待交際費は事業関連性の証明が特に厳しく確認されます。
節税ハック5: ふるさと納税で住民税の実質的な削減と返礼品取得を同時実現
【対象】: 住民税が年間50万円以上かかっているフリーランスで、まだふるさと納税をしていない方。
【手順】: 確定申告書または税額試算ツールで今年の住民税の概算を確認します(10分)。寄付上限額の目安を自治体のシミュレーターで算出します(5分)。ふるさと納税ポータルサイト(さとふる・ふるなび等)で寄付先を選び、確定申告で全額を寄付金控除として申告します(30分)。
【ポイントと理由】: ふるさと納税は「自己負担2,000円で住民税の前払いをしながら返礼品を受け取る税控除手段」として活用するほど節税効果が高まります(総務省「ふるさと納税ポータルサイト」)。年収800万円水準のフリーランスは寄付上限額が10〜15万円前後になるケースが多く、適切に活用すると返礼品の実質取得価値で年間3〜5万円相当のリターンが得られます。個人事業主のふるさと納税確定申告では、個人事業主特有の計算方法を詳しく解説しています。

フリーランスは確定申告が必須であるため、ワンストップ特例を申請しても確定申告に上書きされます。確定申告で寄付金控除を申告する方法のみを使ってください。
【注意点】: 寄付上限額を超えて寄付しても控除しきれないため、上限額の確認が必須です。上限を超えて寄付した場合、自己負担が増えるだけになります。
CHECK
▶ 今すぐやること: 上記5つのハックのうち「まだ実施していないもの」を1つ選び、今週中に着手する最初のステップ(申請書の取り寄せ、口座開設の申込等)を実行する(所要時間: 30分)
Q: iDeCoと小規模企業共済を両方使うことはできますか?
A: 両方の同時利用は可能です。合算して年間最大165万6,000円(iDeCo月6.8万円 × 12か月 + 小規模企業共済月7万円 × 12か月)を所得控除できます。課税所得が20%帯のフリーランスであれば、理論上の節税効果は年間約50万円に達します。ただし両方の掛金を払える手元キャッシュの確保が前提になるため、月次のキャッシュフローを確認してから掛金額を設定してください。
Q: 経費計上する際、家族への給与は経費になりますか?
A: 青色申告者が生計を一にする配偶者や親族に仕事を手伝ってもらう場合、「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄税務署に事前提出したうえで、実態に合った給与を経費計上できます(国税庁「青色事業専従者給与と事業専従者控除」)。白色申告の場合は専従者控除(配偶者86万円、その他50万円が上限)のみです。届出なしに家族への給与を経費計上することは認められません。
年収800万円は法人化の判断ラインに該当
年収(売上)800万円は、多くの専門家が法人化の検討を推奨する水準です。個人事業主のまま続けることが必ずしも最適ではない段階に来ています。
法人化で税率差の恩恵を受けられる目安は所得800万円超
個人の所得税は課税所得が695万円を超えると税率が23%、900万円超で33%になります。一方、法人税率は中小法人の場合、所得800万円以下の部分に対して15%(2025年時点)です(国税庁「法人税の税率」)。所得が800万円を超えた段階で法人に残す利益には税率差が生まれ始めるため、事業所得が800万円前後に達した時点が法人化の経済的な検討ラインとなります(relance「個人事業主の手取りシミュレーション」)。ただし法人化には設立費用(株式会社で約25万円、合同会社で約6万円)と毎年の法人住民税均等割(最低7万円)、社会保険料の強制適用が発生するため、節税メリットが諸コストを上回るかを確認したうえで判断してください。合同会社のメリット・デメリットと法人化の判断基準で詳しく解説しています。

法人化の3つのメリットと2つのデメリット
法人化のメリットは3点あります。第1に役員報酬として自分に給与を支払うことで給与所得控除が適用され、課税所得を下げられます。第2に家族を役員にすることで報酬の分散が可能になり、世帯全体の税負担が下がります。第3に退職金の損金算入が可能になり、長期的な節税効果が高くなります。一方、デメリットは2点あります。第1に社会保険(健康保険・厚生年金)への強制加入により、国民健康保険・国民年金より保険料が増加するケースがある点です。第2に法人の設立・維持コスト(税理士費用を含めると年間30〜50万円増加が目安)が発生する点です。売上800万円水準で法人化を検討する際は「税理士費用増加分を含めたうえで年間50万円以上の節税が見込めるか」を基準に判断してください。
法人化を急ぐべきでないケース
売上が単年度のみ800万円を超えた場合や、売上の変動が大きく継続性が不確かな場合は、法人化を急ぐ必要はありません。法人を設立したあとに売上が下がっても、法人住民税均等割・社会保険料・税理士費用は固定費として発生し続けます。また、取引先が法人格を必須条件としている場合は売上拡大目的で法人化する意義がありますが、収益性の改善のみを目的とする場合は2〜3年連続で所得が800万円以上になった段階での検討が現実的です(paytner「個人事業主の手取り計算と法人化目安」)。
CHECK
▶ 今すぐやること: 自分の事業所得(売上 − 経費)が3年継続して800万円を超えているかを確認し、超えている場合は税理士への初回無料相談を予約する(所要時間: 10分)
Q: 法人化するといくら節税になりますか?
A: 個人事業主の所得が800万円を超える場合、法人化で年間50〜100万円の節税になるケースがあります。ただしこれは役員報酬の設定額、家族への報酬分散の有無、法人経費の活用度合いによって大きく異なります。法人化の節税効果は個別のシミュレーションが必要なため、税理士への相談が有効です。
Q: 合同会社と株式会社ではどちらが節税に向いていますか?
A: 節税の観点では両者に大きな差はありません。設立費用は合同会社(約6万円)が株式会社(約25万円)より安く、設立手続きも簡易です。対外的な信用力を重視する場合は株式会社が有利ですが、個人の裁量で経営を継続するフリーランスには合同会社が選ばれるケースも増えています。
節税を実行する:今日から始める5つの行動
フリーランスで年収800万円を得た場合の手取りは約530万円が基準ですが、青色申告・iDeCo・小規模企業共済・経費計上・ふるさと納税の5つを組み合わせることで、手取りを年間最大80万円以上改善できます。
何も対策しなければ800万円の売上から270万円が税金・保険料として流出しますが、本記事で紹介した合法的な節税手段を活用することで、その流出を最小化できます。まず青色申告の申請、次にiDeCoまたは小規模企業共済の口座開設という順番で進めることをお勧めします。
| 状況 | 次の一歩 | 所要時間 |
| 青色申告をまだしていない | 税務署またはe-Taxで承認申請書を提出する | 45分 |
| iDeCoを未開設 | 証券会社でiDeCo口座開設申請書を取り寄せる | 10分 |
| 小規模企業共済を未加入 | 中小機構サイトから加入申込書を取り寄せる | 10分 |
| 経費計上が不十分 | 今月の支出から事業関連費用をリストアップする | 20分 |
| 法人化を検討中 | 税理士に初回無料相談を予約する | 10分 |
フリーランス年収800万の手取りに関するよくある質問
Q: 経費ゼロで青色申告なしの場合、手取りはいくらになりますか?
A: 経費ゼロ・白色申告(青色申告なし)の場合、基礎控除48万円と社会保険料控除のみ適用されるため、課税所得は青色申告時より65万円高くなります。結果として手取りは青色申告時より約25〜30万円少ない約500〜505万円が目安になります。
Q: 売上800万円と年収800万円は同じですか?
A: フリーランスの場合、一般的に「年収800万円」は売上(総収入)800万円を指すことが多いですが、厳密には「事業所得=売上 − 経費」が税務上の所得です。手取り計算には「事業所得」を基準に使用するため、経費の有無によって課税所得が大きく異なります。
Q: 手取り計算で見落としがちな税金・コストはありますか?
A: 見落としやすいのは個人事業税と翌年課税の住民税です。個人事業税は確定申告後に都道府県から通知が届く(8月・11月納付)ため、確定申告時点での資金確保が必要です。住民税は前年所得に対して翌年6月から課税されるため、独立1年目に高収入だった翌年に大きな支払いが発生します。売上の20〜25%を税金・保険料として常に手元に確保しておく習慣が資金ショートを防ぎます。
【出典・参照元】
paytner「年収800万円フリーランスの税金・手取り解説」