フリーランスが配偶者控除を受けるには、収入ではなく所得58万円以下が条件です。所得は「収入−経費−青色申告特別控除額」で計算します。本記事では判定方法から社会保険の扱いまで3ステップで解説します。

目次

この記事でわかること

この記事を読むと、フリーランスの配偶者控除を判定する3つの要素(収入・経費・青色申告特別控除)を使った正確な所得計算法、103万円の壁がフリーランスに適用されない理由と正しい収入上限の求め方、税の扶養(所得ベース)と社会保険の扶養(収入ベース)を2軸で同時に管理する方法がわかります。

この記事の結論

フリーランスの配偶者控除は「収入いくらまで」ではなく「所得いくらまで」で判定します。所得が58万円以下なら配偶者控除、58万円超133万円以下なら配偶者特別控除の対象です。経費と青色申告特別控除を活用することで、より高い収入水準でも控除を受けられるかどうかが変わります。

今日やるべき1つ

昨年の事業収入から経費と青色申告特別控除額(最大65万円)を引いて今年の所得見込みを概算し、58万円との差額を確認します(所要時間:10分)。

状況別ショートカット

状況読むべきセクション所要時間
配偶者控除を受けられるか今すぐ確認したいフリーランスの所得は3要素で計算3分
103万円の壁が自分に当てはまるか知りたいフリーランスに103万円の壁は適用外3分
配偶者控除と特別控除の違いを知りたい配偶者控除は所得58万円以下が条件5分
社会保険の扶養に入れるか確認したい社会保険の扶養は収入130万円未満が目安4分
どこまで働けば世帯手取りが最大になるか知りたい世帯手取りは5つの管理法で最大化7分

フリーランスの所得は3要素で計算

フリーランスとして働く場合、配偶者控除の判定で「収入いくらまで働けるか」という問いへの答えが一律に出ないのは、所得の計算に3つの要素が絡むからです。この計算構造を先に理解することが、正確な判定の出発点になります。

所得の計算式は収入から経費と控除を引く

フリーランスの合計所得金額は「事業収入−必要経費−青色申告特別控除額」で算出します。たとえば年間の事業収入が120万円で、必要経費が40万円、青色申告特別控除が65万円の場合、所得は120万円−40万円−65万円=15万円です。収入が120万円あっても所得は15万円にとどまるため、配偶者控除の要件である58万円以下を大きく下回り、控除を受けられます。

国税庁の公式解説も「合計所得金額が58万円以下」と明示しており、収入額そのものを基準にした説明はどこにもありません(国税庁「配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」)。

青色申告特別控除は最大65万円が所得を圧縮する

青色申告特別控除の3条件を満たすと、年間65万円の控除が受けられます(国税庁「青色申告特別控除」)。この65万円は所得の計算上、経費と同様に収入から差し引けるため、所得ラインを大幅に引き下げる効果があります。白色申告では同様の控除はなく、所得が同じ収入でも青色申告より高くなります。配偶者控除を意識して収入ラインを管理したい場合は、青色申告への切り替えを先に検討することが実務上の優先順位になります。

会計ソフトを活用することで、複式簿記の知識が少なくても青色申告に対応できる環境が整いやすくなります。白色申告から青色申告に切り替えた個人事業主が、収入を増やしながら配偶者控除の対象内に留まれたケースは実務上少なくありません。

必要経費の計上漏れが判定を狂わせる

必要経費が正しく計上できているかどうかで、所得の金額は数万円から十数万円単位で変わります。在宅フリーランスであれば、家賃の一部(仕事使用比率分)、通信費、機器購入費、書籍代などが必要経費として認められます。家事按分割合の決め方を理解して経費を漏れなく計上することは節税であると同時に、配偶者控除の判定において自分が実際にどのラインにいるかを正確に把握するためにも不可欠です。事業に直接関係する支出であれば、領収書を保管した上で適切に計上することが正しい対応です。

CHECK

▶ 今すぐやること: 昨年の確定申告書B(または収支内訳書)を開き、事業収入・必要経費・青色申告特別控除額の3項目を書き出して所得を計算します(10分)。

Q: 収入が複数の取引先からある場合も同じ計算式ですか?

A: はい。複数の取引先からの収入はすべて合算した事業収入として扱い、そこから必要経費と青色申告特別控除額を差し引いて合計所得金額を算出します。

Q: 副業として給与収入もある場合はどうなりますか?

A: 給与所得と事業所得は別々に計算した後、合算して合計所得金額を求めます。給与所得は「給与収入−給与所得控除」で計算し、事業所得は「事業収入−必要経費(−青色申告特別控除)」で計算します。両方の所得の合計が判定の基準になります。

フリーランスに103万円の壁は適用外

103万円という数字は給与所得者向けに生まれた目安であり、フリーランスには直接当てはまりません。この前提を理解した上で、自分に適用される正しいラインを計算してください。

103万円の壁は給与所得者の概念

103万円という数字は、給与収入103万円から給与所得控除55万円を差し引いた所得48万円が、配偶者控除(令和2年〜令和6年分)の基準額48万円と一致することから生まれた目安です(国税庁「配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」)。給与収入には「給与所得控除」という定額の控除が自動的に適用されますが、フリーランスの事業収入にはこの控除が存在しません。フリーランスが「103万円以内だから大丈夫」と判断した場合、実際の所得は103万円から経費を差し引いた金額になるため、経費の少ない事業形態では配偶者控除の所得要件を超えてしまいます。

2025年以降の所得要件は58万円以下

令和7年分(2025年分)以降は税制改正により、配偶者控除の所得要件が48万円以下から58万円以下に引き上げられます(国税庁「令和7年分以後の配偶者控除等の改正」)。配偶者特別控除の上限は133万円以下のまま変更はありませんが、控除が満額になる所得の範囲が広がります。この改正により、旧基準で「ぎりぎり外れる」と考えていた方も改めて確認する価値があります。令和6年分以前は旧要件(所得48万円以下)で判定されるため、申告年分の確認が必要です。

なお、扶養控除の要件も同様に改正されており、扶養を受ける側と扶養する側の両方でラインを確認することが重要です。

収入ラインは経費次第で人によって異なる

事業収入からいくらまで稼げるかは、経費の金額と青色申告特別控除の適用有無によって大きく変わります。青色申告特別控除65万円を適用し、経費が年30万円ある場合、所得58万円以下を維持できる収入上限は58万円+65万円+30万円=153万円になります。一方、白色申告で経費が10万円の場合は58万円+10万円=68万円が上限です。同じ「配偶者控除を受けたい」という目標でも、事業の状況によって収入ラインは68万円から153万円以上まで幅があります。自分の上限を「103万円」という一般的な数字に頼らず、実際の経費と控除で計算することが正確な判定への唯一の道です。

CHECK

▶ 今すぐやること: 事業収入58万円+今年の予想経費合計+青色申告特別控除額(65万円または0円)を計算し、自分の収入上限を算出します(5分)。

Q: 2025年以降の改正は申告時に自動で反映されますか?

A: 令和7年分(2025年)の確定申告から新しい所得要件が適用されます。令和6年分以前は旧要件(所得48万円以下)で判定されるため、申告年分を確認してください。

Q: 青色申告特別控除は55万円と65万円の2種類があると聞きましたが?

A: 複式簿記による記帳と電子申告(e-Tax)または優良な電子帳簿保存を行った場合に65万円、複式簿記のみの場合に55万円、簡易な帳簿の場合に10万円が控除されます(国税庁「青色申告特別控除」)。

配偶者控除か特別控除かを3分で診断

配偶者控除と配偶者特別控除のどちらに該当するかは、以下の3問で判定できます。

Q1: 配偶者(フリーランス)の今年の合計所得金額の見込みはいくらですか?

58万円以下 → Result A(配偶者控除の対象)へ

58万円超133万円以下 → Q2へ

133万円超 → Result D(対象外)へ

Q2: 控除を受ける側(配偶者以外の納税者)の今年の合計所得金額はいくらですか?

1,000万円以下 → Q3へ

1,000万円超 → Result D(対象外)へ

Q3: フリーランス側は生計を同じくする配偶者ですか?

はい → Result B(配偶者特別控除の対象)へ

いいえ(内縁、別居かつ仕送りなし等) → Result C(要件を個別確認)へ

Result A: 配偶者控除(最大38万円)の対象です。

確定申告または年末調整で配偶者控除を申告してください。令和7年分以降は所得58万円以下が適用要件です。

Result B: 配偶者特別控除の対象です。

所得58万円超70万円以下の帯では控除額は段階的に満額に近い水準になります。所得が上がるにつれて控除額は逓減し、133万円超で0円になります。控除額の具体的な金額は国税庁の控除額一覧表で確認してください(国税庁「配偶者特別控除」)。

Result C: 別居の場合でも生活費の送金がある場合は対象になります。

具体的な状況は税務署に確認してください。

Result D: 配偶者控除・配偶者特別控除の対象外です。

年間の世帯税負担を最小化する方向で、住民税・所得税の支払い計画を組み直すことが次のステップです。

CHECK

▶ 今すぐやること: 上記Q1〜Q3に答えてResultを特定し、該当するResultに記載された次のアクション(申告手続きまたは税務署確認)を今週中に実行します(3分)。

Q: 配偶者控除と配偶者特別控除は同時に使えますか?

A: 同時には使えません。どちらか一方のみ適用されます。所得58万円以下なら配偶者控除、58万円超133万円以下なら配偶者特別控除という形で自動的に区分されます。

Q: 配偶者特別控除の控除額は一律ではないのですか?

A: 所得が58万円超70万円以下の帯では最大38万円に近い控除額になりますが、所得が上がるにつれて段階的に減少します。所得133万円超で控除額は0円になります。

配偶者控除は所得58万円以下が条件

配偶者控除と配偶者特別控除は名称が似ていますが、適用される所得のラインと控除額が異なります。違いを整理することで、自分の所得がどの帯に入るかが明確になります。

配偶者控除は所得58万円以下で最大38万円

配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が58万円以下で、かつ納税者本人の所得が1,000万円以下の場合に適用されます(令和7年分以降)。控除額は原則として38万円で、配偶者が70歳以上の場合は48万円です(国税庁「配偶者控除」)。配偶者の所得が58万円以下であれば、納税者の所得税・住民税の計算において38万円分が差し引かれるため、所得税率が10%の場合は年間3万8千円、20%の場合は年間7万6千円の節税効果があります(住民税の効果は別途)。

配偶者特別控除は所得58万円超133万円以下で段階的に縮小

配偶者の合計所得金額が58万円を超えても、133万円以下であれば配偶者特別控除が使えます。ただし所得が上がるにつれて控除額は段階的に下がります。所得が90万円を超えると控除額は大幅に下がり始め、133万円を超えると控除額は0円になります。フリーランスとして売上を伸ばしていく過程で、所得が58万円を少し超えた段階で急激に税負担が増えるわけではなく、段階的に控除が縮小していく仕組みを理解しておくことがポイントです(弥生「配偶者(特別)控除と年収の関係」)。

201万円の壁は制度上存在しない

「201万円の壁」という表現を目にすることがありますが、これは配偶者特別控除が0円になる所得ラインを収入換算(給与所得者ベース)で説明した際の目安であり、フリーランスに直接当てはめられるものではありません。フリーランスの場合、所得133万円超で配偶者特別控除が0円になるため、この所得ラインを意識することが実務上の基準になります。また、個人事業主の所得税計算の全体像も合わせて確認しておくと、控除の位置づけがより明確になります。

CHECK

▶ 今すぐやること: 国税庁の配偶者特別控除の控除額一覧表で自分の所得帯の控除額を確認し、納税者の所得税率(5%〜45%)をかけて年間の節税額を試算します(10分)。

Q: 年の途中でフリーランスになった場合の所得はどう計算しますか?

A: 給与収入があった期間と事業収入があった期間を分けて計算し、最終的に合算します。給与所得は「給与収入−給与所得控除」、事業所得は「事業収入−必要経費(−青色申告特別控除)」として、両方の所得の合計が判定基準になります。

Q: 配偶者が複数の収入源(フリーランス+パート)を持つ場合は?

A: すべての収入源からの所得を合算した合計所得金額で判定します。事業所得、給与所得、不動産所得などを合計した金額が58万円以下かどうかを確認してください。

社会保険の扶養は収入130万円未満が目安

税の扶養と社会保険の扶養は全く別の制度です。税の扶養に入れているからといって社会保険の扶養も自動的に維持されるわけではなく、それぞれ独立した基準で判定されます。

税の扶養と社会保険の扶養は別制度

配偶者控除・配偶者特別控除は所得税・住民税の計算上の話であり、健康保険や年金の扶養とは根拠法が異なります。税の扶養は所得ベース、社会保険の扶養は収入ベース(経費控除前の収入)で判定されることが多く、基準額も異なります。税務上は配偶者控除を受けられる所得水準でも、社会保険の扶養から外れる場合があります。両方を別々に確認することが不可欠です。

フリーランスとして扶養内で働く際の判定基準については、税法上と社会保険上で異なるラインが設定されているため、個別に確認することが重要です。

フリーランスとして扶養内で働くユーザーからは、「税の扶養ラインは所得で管理できたが、社会保険の扶養ラインは健保ごとに基準が違うため個別確認が必要だった」という声が上がっています(freenance「扶養内で働くフリーランスの年収ボーダー解説」)。

このように、税と社会保険の2軸をそれぞれ把握しないと、片方だけ対応して片方で想定外の負担が発生するリスクがあります。

社会保険の扶養基準は年間収入130万円未満

健康保険の被扶養者の認定基準は、一般的に「今後1年間の見込み収入が130万円未満」とされています(全国健康保険協会「被扶養者とは?」)。フリーランスの場合は事業収入(経費控除前)が基準になることが多く、経費を差し引いた所得ではなく収入総額で判断される点に注意が必要です(フリーランスハブ「フリーランスは扶養に入れる?条件解説」)。ただし加入している健康保険組合によって取り扱いが異なり、直近3ヶ月の月平均収入が10万8,333円以上(年換算130万円超)になった時点で扶養から外れる基準を設けているケースもあります。配偶者の会社の健保組合に個別に確認することが唯一の確実な方法です。

130万円を超えると自分で保険料を支払う

フリーランスが社会保険の扶養から外れると、国民健康保険と国民年金に自分で加入し保険料を支払う義務が生じます。国民健康保険料は住んでいる自治体と所得によって異なりますが、所得が増えるにつれて保険料負担も増加します。個人事業主の社会保険の全体像を理解した上で、社会保険の扶養を維持したい場合は、収入130万円未満というラインを税の扶養とは別に管理する必要があります。税の扶養に入っているという前提で計画を立てると、年度途中で扶養から外れた際に想定外の出費が発生します。

CHECK

▶ 今すぐやること: 配偶者の会社(または健保組合)に「フリーランスの被扶養者認定基準」を文書で問い合わせ、収入の判定方法(月額・年額・経費控除の有無)を確認します(15分)。

Q: 社会保険の扶養を外れた後、また戻ることはできますか?

A: 収入が基準を下回る状態が継続すれば、再度被扶養者として認定されることは可能です。ただし手続きは配偶者の勤務先を通じて行う必要があるため、収入が減少した時点で速やかに申請してください。

Q: 国民健康保険は月いくらくらいかかりますか?

A: 前年の所得や住んでいる市区町村によって大きく異なります。所得が50万円の場合でも年間5万円程度から10万円以上になることがあります。居住する自治体の窓口またはウェブサイトで試算できます。

世帯手取りは5つの管理法で最大化

所得のラインを意識するだけでは不十分で、世帯全体の手取りを最大化する視点がなければ、控除は受けられても家計への効果が薄いという結果になります。以下の5つの管理法を組み合わせることで、手取りを最大化できます。

ハック1: 青色申告65万円控除を先に確保して収入上限を引き上げる

【対象】: 配偶者控除の維持を意識しながら売上を増やしたいフリーランス

【手順】: 税務署に青色申告承認申請書を提出します(開業から2ヶ月以内、または青色申告を適用したい年の3月15日までが期限。所要時間:30分)。次に、会計ソフト(freeeまたはマネーフォワードクラウド確定申告等)で複式簿記の入力環境を整えます(所要時間:1〜2時間)。最後に、e-Taxによる電子申告の手続きを完了し、マイナンバーカードと利用者識別番号を取得します(所要時間:30分〜1時間)。

【コツと理由】: 会計ソフトを使えば複式簿記の知識がなくても入力が自動化されるため、青色申告65万円控除のメリットが手間を大幅に上回ります。青色申告特別控除が所得計算上の控除として機能することで、同じ収入水準でも所得が最大65万円圧縮され、配偶者控除を維持できる収入上限が65万円分広がります。白色申告を選ぶことは、収入上限を自ら65万円削る行為と同義です。

【注意点】: 申請を忘れた年は遡って青色申告を受けることはできません。「今年は間に合わなかった」と判断した場合は翌年の3月15日(または開業2ヶ月以内)の申請を確実に行うことが次の一手で、今年度分の遡及を試みる必要はありません。

ハック2: 経費の月次チェックで所得を58万円ラインに近づける

【対象】: 年間の所得見込みが58万円に近いフリーランス

【手順】: 会計ソフトで毎月末に「今月の事業収入合計」と「今月の必要経費合計」を確認します(所要時間:15分/月)。次に、年間の所得見込みを「年間収入見込み−経費見込み−青色申告特別控除額」で計算し、58万円との差額を把握します(所要時間:10分/月)。差額がプラスの場合(所得が58万円を超えそうな場合)は、前倒しで消耗品や業務ツールの購入を検討し、経費計上を調整します(所要時間:30分/月)。

【コツと理由】: 月次での確認が唯一の現実的な管理方法です。年末の確認では手遅れになるケースが実務上多く、11月・12月に把握しても打てる手はほぼ残っていません。所得が58万円ラインを超えた時点で配偶者控除から配偶者特別控除に切り替わりますが、58万円超70万円以下の帯であれば特別控除が高水準で維持されます。年間を通じて所得見込みを更新することで、「気づいたら扶養から完全に外れていた」という事態を防げます。

【注意点】: 経費計上は事業目的がある支出のみ認められます。所得を下げる目的で事業と無関係な支出を経費に計上することは認められず、税務調査で否認されるリスクがあります。

ハック3: 税の扶養と社会保険の扶養を2軸で管理表に記録する

【対象】: 税の扶養と社会保険の扶養の両方を維持したいフリーランス

【手順】: スプレッドシートに「月間事業収入」「月間経費」「累計所得見込み」「累計収入(経費控除前)」の4列を作成します(所要時間:20分)。毎月末に数値を更新し、「累計所得見込みが58万円以下か」(税の扶養)と「累計収入が130万円未満で推移しているか」(社会保険の扶養)の2点を同時に確認します(所要時間:10分/月)。どちらかのラインに近づいた時点で、配偶者の会社の担当者または税務署に状況を確認します(所要時間:30分)。

【コツと理由】: 「収入(経費控除前)と所得の2軸を同時に管理する」アプローチを取ることがポイントです。税の扶養は所得ベース、社会保険の扶養は収入ベースという異なる軸で判定されるため、一方だけを管理しても他方で外れるリスクが残ります。2軸を同時に見える化することで、どのタイミングで何のラインを超えるかが事前に予測できます。

【注意点】: 社会保険の扶養基準は健保組合によって異なります。収入130万円未満という目安をそのまま適用するのではなく、配偶者の健保組合の実際の基準を個別に確認してください。

ハック4: 夫婦どちらに控除を付けるかを所得税率で試算する

【対象】: 夫婦どちらも収入があり、世帯全体の税負担を最小化したいケース

【手順】: 夫婦それぞれの合計所得金額と適用される所得税率(5%・10%・20%・23%等)を確認します(所要時間:10分)。配偶者控除38万円を所得税率の高い方に適用した場合の節税額(38万円×所得税率)を試算します(所要時間:5分)。住民税(一律10%)との合計節税効果を比較し、控除申請の主体を決定します(所要時間:5分)。

【コツと理由】: 所得税率の高い方が控除を受けた方が世帯全体の節税効果が大きくなります。所得税率が20%の配偶者が控除を受ければ38万円×20%=7万6千円の節税ですが、10%であれば3万8千円です。この差は年間3万8千円に上り、10年間では38万円の差になります。どちらが控除を受けるかを税率で判断することが、世帯手取り最大化の基本です。

【注意点】: 控除申請者の所得が1,000万円を超える年は適用できません。また、フリーランス側の所得が要件を満たしていることが前提であり、控除を申請する側の都合だけで適用できるわけではありません。

ハック5: 年末に売上調整するより年間見込みで早期対策する

【対象】: 年度末になって「所得が58万円を超えそう」と気づくフリーランス

【手順】: 毎年1月に昨年の所得実績をもとに今年の収入目標と経費予算を設定し、所得見込みを58万円と比較します(所要時間:30分)。6月時点で上半期の実績を集計し、下半期の収入・経費見込みを更新します(所要時間:20分)。所得が58万円を超える見込みになった場合は、10月までに税務署または税理士に相談し、年間の対策(経費計上の整理、申告方法の確認)を完了させます(所要時間:1〜2時間)。

【コツと理由】: 年初と6月の2回確認して早期対策する手順を整えることで、年度末に選択肢のない状態で確定申告を迎えるリスクを防げます。年末に売上を意図的に翌年に先送りすることは、継続的な取引関係においては現実的でないケースが多く、発生主義の原則上も問題が生じる可能性があります。早期確認によってのみ、経費計上の見直しや申告方法の変更(白色から青色への切り替え準備)が現実的な選択肢になります。

【注意点】: 年末に「所得を下げるために請求を翌年に回す」という対策は、フリーランスの信頼関係を損なうリスクがあるため、やらなくてよい対応です。売上の先送りではなく、経費の正確な把握と青色申告の活用が正しい対策です。

CHECK

▶ 今すぐやること: スプレッドシートに「月間事業収入」「月間経費」「累計所得見込み(税)」「累計収入(社保)」の4列を作成し、今月分のデータを入力します(20分)。

Q: 所得が年間で58万円を少し超えそうなとき、売上を減らした方がよいですか?

A: 売上を意図的に減らすより、経費の計上漏れがないか確認することが先です。所得が58万円を少し超えても配偶者特別控除で一定の控除が受けられるため、実際の世帯手取りを試算した上で判断してください。

Q: 会計ソフトは必ず使わなければなりませんか?

A: 法律上の義務はありませんが、月次での所得管理と青色申告の複式簿記作成を両立するためには、会計ソフトの利用が実務上最も効率的です。freeeまたはマネーフォワードクラウド確定申告であれば月額1,000円前後から利用できます。

配偶者控除を正しく活用する:所得58万円以下の管理ポイント

フリーランスの配偶者控除は収入ではなく所得で判定し、令和7年分以降は所得58万円以下が条件です。青色申告特別控除65万円と必要経費を組み合わせることで、収入が150万円以上でも所得58万円以下を維持できるケースがあります。税の扶養(所得ベース)と社会保険の扶養(収入ベース)は別制度であるため、2軸を同時に管理することが世帯全体の計画の基本になります。

配偶者控除の判定は一度理解すれば毎年の確認は短時間で終わります。「収入ではなく所得」という原則を年間を通じて意識し、青色申告の申請と月次管理を仕組みとして整えることが、控除を安定して受け続けるための実務上の核心です。

状況次の一歩所要時間
まだ青色申告をしていない税務署に青色申告承認申請書を提出30分
所得が58万円に近い月次管理スプレッドシートを作成20分
社会保険の扶養基準が不明配偶者の健保組合に基準を問い合わせ15分
控除額の試算をしたい国税庁の配偶者特別控除一覧表で確認10分
世帯税負担を最適化したい税理士に相談(初回相談料:5,000〜1万円程度)60分

フリーランス 配偶者控除 を受けたいときの収入ラインに関するよくある質問

Q: フリーランスが配偶者控除を受けるための収入の目安はいくらですか?

A: 収入の目安は経費と青色申告特別控除の額によって変わります。青色申告特別控除65万円を適用し経費が30万円の場合、収入153万円以下で所得58万円以下になります。白色申告で経費が10万円なら収入68万円以下が目安です。「収入いくらまで」という一律の数字はなく、自分の経費と控除額で計算することが必要です。

Q: 所得が58万円をわずかに超えた場合、すべての控除がなくなりますか?

A: なりません。所得が58万円を超えると配偶者控除の適用がなくなりますが、133万円以下であれば配偶者特別控除が段階的に適用されます。58万円超70万円以下の帯では配偶者控除に近い水準の控除が受けられるため、「ぎりぎり超えると大損」という性質の制度ではありません。

Q: 配偶者も確定申告が必要ですか?

A: フリーランスとして事業所得がある場合は、所得の金額にかかわらず確定申告が必要です。ただし、所得が所得税の基礎控除額(48万円)以下であれば所得税は発生しません。配偶者控除・配偶者特別控除は控除を受ける側(配偶者ではない納税者)が申告することで適用されます。

Q: 夫がフリーランスで妻が会社員の場合はどうなりますか?

A: 同じ要件が適用されます。夫の合計所得金額が58万円以下であれば、妻が年末調整または確定申告で配偶者控除を申告できます。妻の所得が1,000万円以下であることが条件です。夫婦どちらがフリーランスかによって制度の適用条件は変わりません。

Q: 個人事業主と給与所得の両方がある場合の所得計算はどうなりますか?

A: 給与所得(給与収入−給与所得控除)と事業所得(事業収入−必要経費−青色申告特別控除)を別々に計算し、合算した金額が合計所得金額になります。この合計所得金額が58万円以下か、58万円超133万円以下かで配偶者控除・配偶者特別控除のどちらが適用されるかが決まります。

【出典・参照元】

国税庁「配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」

国税庁「配偶者控除」

国税庁「配偶者特別控除」

国税庁「青色申告特別控除」

全国健康保険協会「被扶養者とは?」

弥生「配偶者(特別)控除と年収の関係」

freenance「扶養内で働くフリーランスの年収ボーダー解説」

フリーランスハブ「フリーランスは扶養に入れる?条件解説」

記事内容は2026年06月時点の税制・法令に基づいています。