フリーランスの予定納税は、見込み所得が前年より減る場合に減額申請で下げられます。対象は前年の申告納税額が15万円以上の方で、7月15日・11月15日の2回が申請期限です。この記事では減らせる5つのケースと申請手順を解説します。

目次

この記事でわかること

1つ目は予定納税の対象者かどうかを申告納税額15万円という基準で即座に判断できること。2つ目は売上減少・扶養増加・控除拡大・赤字繰越・廃業の5ケースそれぞれの減額申請の根拠と試算方法。3つ目は7月15日・11月15日の期限に確実に間に合わせる実務ハック5つと、8ヶ月間のキャッシュアウトを防ぐ意思決定の方法です。

この記事の結論

予定納税を減らせるのは、今年の所得が前年より減る見込みがある場合です。売上減少・扶養増加・医療費控除などの控除拡大・青色赤字繰越・廃業や休業の5ケースが該当し、7月15日または11月15日までに減額承認申請書を税務署に提出することで対応できます。

今日やるべき1つのこと

今年の売上実績と主要経費を合算し、前年の申告納税額と比較してください。前年の70%未満になりそうであれば、7月15日を期限とする第1期の減額申請が有効です(所要時間:30分)。

状況別ショートカット

状況読むべきセクション所要時間
自分が対象者か確認したい予定納税の対象は申告納税額15万円以上3分
減らせる条件を確認したい予定納税を減らせる5つのケース5分
申請期限と手順を知りたい減額申請は7月と11月の2回が期限5分
対象者かどうか診断したい予定納税の減額に該当するか3分で診断3分
実務での動き方を知りたい予定納税を正しく減らす5つの実務ハック7分

予定納税の対象は申告納税額15万円以上

前年の確定申告で一定額以上の所得税を納めていた場合、今年の税金の一部を前払いする義務が自動的に発生します。この制度を理解しておくかどうかで、7月と11月の資金繰りに大きな差が出ます。

前年の申告納税額が判断の起点

予定納税は、前年の確定申告における「申告納税額」が15万円以上だった個人事業主・フリーランスに課される制度です(所得税法第104条)。申告納税額とは、確定申告書に記載する最終的な所得税額から源泉徴収された税額を差し引いた後の納付額を指します。この金額が15万円に満たない場合、予定納税の義務は発生しません。

予定納税基準額はこの申告納税額をもとに計算され、前年の申告納税額の3分の2が年間の予定納税額として設定されます。第1期(7月)と第2期(11月)にそれぞれ3分の1ずつ納付する仕組みです。前年に30万円納税していた場合、今年は第1期(7月)に10万円、第2期(11月)に10万円の合計20万円を前払いすることになります。前年の所得水準を今年も維持している前提で設計された制度であるため、今年の業績が落ちている方には過大な負担となりやすい構造になっています。

源泉徴収された報酬がある場合の扱い

企業から発注を受けるフリーランスの多くは、請求額の10.21%が源泉徴収されています。源泉徴収された金額は確定申告時に所得税額から差し引かれるため、申告納税額を圧縮する効果があります。源泉徴収の合計額が多い方ほど申告納税額は小さくなり、予定納税の対象外になるケースも少なくありません。毎年の確定申告書で「申告納税額」の欄を確認するか、税務署から送付される「予定納税額の通知書」の有無で対象者かどうかを判断できます(国税庁:予定納税)。

所得税や予定納税の通知書の見方については、あらかじめ確認しておくと判断がスムーズになります。

源泉徴収が多い業務形態のフリーランスは実質的に予定納税対象外になりやすく、逆に報酬が一括入金で源泉徴収なしのケースでは申告納税額が大きくなりやすいため、業務形態によって対象かどうかの傾向が変わります。自分の申告書の「第3期分の税額」または「予定納税額の通知書」を確認することが最初の一歩です。

対象外でも知っておくべき理由

今年初めて年収が大きく伸びたフリーランスは来年から対象になる可能性があります。予定納税の仕組みを理解しておくことで、翌年の資金繰り計画が立てやすくなります。売上1,000万円のフリーランスで申告納税額30万円の場合、来年7月に20万円前後の前払い義務が突然発生し、資金繰りが詰まるケースは実務上よく見られます。

CHECK

▶ 今すぐやること: 昨年の確定申告書を開き「申告納税額」または税務署からの予定納税通知書を確認してください(所要時間:5分)

Q: 予定納税の通知書が届かなかった場合は対象外ですか?

A: 通知書が届かない場合、前年の申告納税額が15万円未満である可能性が高く、対象外と判断できます。ただし郵便の未着や住所変更の可能性もあるため、税務署に確認することをおすすめします(国税庁:予定納税)。

Q: フリーランスになった初年度は予定納税の対象になりますか?

A: 前年に会社員だった場合、個人事業の申告納税額がないためフリーランス初年度は原則として予定納税の対象になりません。2年目以降、初年度の申告納税額が15万円以上であれば対象となります。

予定納税を減らせる5つのケース

「売上が減っているのに前年基準で払うのはおかしい」という感覚は正しく、制度としてもそれが認められています。減額申請が通るケースは大きく5つに整理できます。

ケース1:売上減少・業績悪化で所得が前年より減る見込み

今年の事業所得が前年を下回る見込みであれば、最も基本的な減額理由になります。減額申請では「見積納税額」、つまり今年の着地予測を基に計算した所得税額を申請書に記載します。この見積納税額が予定納税基準額を下回る見込みがある場合、減額が承認されます(国税庁:予定納税の減額申請)。なお「70%以下」という数値は実務上の目安として言及されることがありますが、最終的な承認基準は税務署の判断によるため、申請前に確認することをおすすめします。

具体的には、6月末時点の売上・経費の実績を積み上げ、下半期を保守的に予測した上で年間の課税所得を試算します。「なんとなく今年は厳しそう」という感覚だけでは申請書を正確に書けません。月次の売上明細・経費の領収書・受注残の資料を手元に用意してから試算を始めると、申請書の作成が大幅にスムーズになります(マネーフォワードクラウド:予定納税の減額申請)。

申請書に記載する数字は「現時点での最善の見積もり」であり、実際の確定申告と多少ズレても問題ありません。確定申告で最終精算されるため、過大申告による税額差は還付で調整されます。

ケース2:扶養家族の増加や扶養控除の変化

今年、親や子どもを扶養に加えた場合、または配偶者の収入が扶養範囲内に収まる場合は、扶養控除・配偶者控除の増加によって課税所得が下がります。扶養控除の金額は2026年から最大63万円となり、複数人の扶養増加があれば課税所得に与える影響は大きくなります。

障害者控除(27万円〜75万円)や寡婦控除(27万円)なども、該当年に初めて適用になる場合は予定納税を下げる根拠になります。これらの人的控除は申請書上の「見積所得控除額」欄に反映させることで、見積納税額を正確に下げることができます(freee:予定納税と減額申請)。

扶養が増えた年に減額申請を忘れると、7月・11月の前払い分を丸々納付した後、翌年2〜3月の確定申告で還付されるのを待つことになります。手元資金への影響は数万円から十数万円単位になることがあるため、見逃しやすい控除の変化に気づいた時点で申請を検討することが実務上の正解です。

ケース3:医療費控除・社会保険料控除などの大きな変動

今年に大きな医療費が発生した場合や、国民健康保険料・国民年金保険料の支払い額が増えた場合も、所得控除の拡大によって見積納税額を下げることができます。医療費控除は年間医療費が10万円(または総所得金額等の5%のいずれか少ない方)を超えた部分(最大200万円)が控除対象であり、入院・手術・歯科治療などが発生した年には大きな控除額になります。

社会保険料控除は支払った国民健康保険料と国民年金保険料の全額が控除対象です。前年より保険料が上がった場合や、家族の分をまとめて負担している場合は控除額が増加します。これらの控除増加を申請書の見積もりに正確に反映させることが必要で、「前年と同じで良いだろう」と省略してしまうと減額申請の効果が出ません。小規模企業共済やiDeCoの掛金も同様に所得控除になるため、今年から加入した場合は忘れずに計上してください。

ケース4:青色申告の赤字繰越による課税所得の圧縮

青色申告をしている場合、前年または前々年の事業赤字を今年の所得と相殺できます。赤字の繰越期間は最長3年間であり、今年の黒字が繰越赤字を上回らない限り、課税所得をゼロに近づけることが可能です(paytner:予定納税が0円になる条件)。

前年に200万円の赤字が発生し、今年の事業所得が150万円の場合、繰越赤字との相殺により課税所得はゼロになります。この場合、見積納税額はゼロとなり、予定納税額も実質的に0円になる計算です。ただし繰越赤字を適用するには、赤字が発生した年から継続して青色申告をしていることが要件です。白色申告では赤字の繰越制度がないため、この方法は青色申告者に限られます。青色申告での赤字繰越の仕組みについては、事前に確認しておくと申請書の作成がスムーズです。

ケース5:廃業・休業・業務の大幅縮小

廃業や長期休業が確定している場合、または事業を大幅に縮小した場合も減額申請の対象になります。廃業後の所得は発生しないため、廃業日以降の所得をゼロとして見積もることができ、見積納税額が大幅に下がります(zeitetsuzuki.jp:減額届の提出時期と条件)。

廃業届の提出日と減額申請の期限が重なる時期は、廃業手続きに追われて申請を忘れるケースが実務上よく見られます。廃業が確定した時点で、減額申請の期限(第1期:7月15日、第2期:11月15日)を先にカレンダーに入れてから廃業手続きを進めてください。

CHECK

▶ 今すぐやること: 上記5ケースのうち自分に該当するものに印をつけ、今年の見積納税額の試算を開始してください(所要時間:20分)

Q: 複数のケースが重なる場合、減額はさらに大きくなりますか?

A: はい、複数の要因が重なるほど見積納税額が下がり、減額幅が大きくなります。売上減少と扶養増加が同時に発生した場合、双方を申請書に反映させた上で合算して見積もります。

Q: 業績不振の証明書類は必ず添付する必要がありますか?

A: 申請書への添付は原則不要ですが、税務署から確認を求められた場合に提示できるよう、売上明細・受注状況の記録は保管しておくことをおすすめします。

予定納税の減額に該当するか3分で診断

以下のフローで3分以内に減額申請の要否を判断できます。

Q1:昨年の確定申告で申告納税額は15万円以上でしたか?

Yesの場合はQ2へ進んでください。Noの場合は予定納税の対象外のため、減額申請は不要です。

Q2:今年の事業所得(売上から経費を引いた金額)は前年より減る見込みですか?

Yesの場合はQ3へ進んでください。Noの場合は、今年の所得控除に大きな変動(扶養増加・高額医療費・社会保険料増加)がありますか。変動ありの場合はQ3へ進み、変動なしの場合は減額申請の必要性は低く、確定申告時の精算を待つ選択肢が有力です。

Q3:今年の見積納税額は、予定納税基準額を下回りそうですか?

Yesの場合はResult A:減額申請が有効です。7月15日(第1期)または11月15日(第2期)の期限に間に合うよう、税務署への申請書提出を準備してください。Noの場合(予定納税基準額以上だが所得は減少している)はResult B:申請を検討する価値があります。見積もりが難しい場合は税務署に事前相談することで、申請の可否について助言を受けられます。Q2でNoかつ所得控除変動もなしの場合はResult Cです。減額申請よりも確定申告時の還付を待つ方がシンプルなため、予定納税を通常通り納付し、翌年2〜3月の確定申告で精算する方針で問題ありません。

CHECK

▶ 今すぐやること: 上のフローを使って自分のResult(A/B/C)を確認し、減額申請の要否を判断してください(所要時間:3分)

Q: 70%という目安はどこから来ていますか?

A: 「70%以下」は実務上よく言及される目安ですが、所得税法上の規定は「見積納税額が予定納税基準額を下回ること」が申請の要件です(所得税法第111条)。最終的な承認基準は税務署の判断によるため、申請前に国税庁:予定納税の減額申請または税務署窓口でご確認ください。

Q: Result Bの場合、申請して却下されるリスクはありますか?

A: 申請が承認されなかった場合は、従来の予定納税額での納付が求められます。申請すること自体にペナルティはないため、迷う場合は申請を試みることが損にはなりません。

減額申請は7月と11月の2回が期限

申請の期限を知らずに期日を過ぎてしまうと、その期の減額は受けられません。第1期と第2期でそれぞれ期限が異なるため、事前にカレンダーに登録しておいてください。

第1期(7月)は6月末実績を基に申請

第1期予定納税の減額申請期限は、毎年7月15日です。この申請では、6月30日時点の事業実績を基に今年の年間所得を見積もり、見積納税額を計算します。申請が承認されると、7月31日の第1期納付額が減額または免除されます。

6月末時点での試算が7月15日までに間に合わない場合、第1期の減額申請は断念せざるを得ません。5月末から6月初旬に売上実績を仮集計し、試算を早めに始めることで申請書の記入に余裕が生まれます。申請書は税務署の窓口での受取・提出のほか、e-Taxを使ったオンライン申請にも対応しています(freee:予定納税と減額申請)。

第1期の減額申請では「第1期と第2期の両方」または「第1期のみ」を選択できます。年間を通じて所得減少が見込まれる場合は両方を申請し、下半期に改善する見込みがある場合は第1期のみを申請するなど、見通しに応じて選択することが実務上の合理的な判断です。

第2期(11月)は10月末実績を基に申請

第2期予定納税の減額申請期限は、毎年11月15日です。この申請では、10月31日時点の実績を基に年間所得を見積もります。申請が承認されると、11月30日の第2期納付額が減額されます。

第2期のみ減額申請をする場合は、第1期を通常通り納付した後、11月の第2期について別途申請を行います。第1期は通常納付したものの、その後に業績が急悪化したケースでは第2期の申請が特に有効です。第1期の申請を見逃した場合でも、第2期については単独で申請できるため、諦めずに対応してください(zeitetsuzuki.jp:減額届の提出時期と条件)。

申請書の提出先と提出方法

減額承認申請書は、自分の住所地を管轄する税務署に提出します。提出方法は窓口持参・郵送・e-Tax(電子申告)の3種類です。e-Taxを使う場合は事前にマイナンバーカードまたはIDパスワード方式の準備が必要ですが、窓口に行かずに申請を完結できます。申請書の様式は国税庁のウェブサイトからダウンロードできるほか、最寄りの税務署でも入手できます。

CHECK

▶ 今すぐやること: スマートフォンのカレンダーに「7月10日:減額申請書の提出」「11月10日:第2期減額申請書の提出」と登録してください(所要時間:2分)

Q: e-Taxで申請する場合、承認まで何日かかりますか?

A: 申請後の承認通知は郵送で届きます。承認までの期間は税務署の処理状況により異なりますが、期限の1〜2週間前には申請を済ませておくと安心です。

Q: 申請書を提出したあと、内容を修正できますか?

A: 申請期限内であれば修正した申請書を再提出することが可能です。期限を過ぎた後の修正は受け付けられないため、記入内容は提出前に慎重に確認してください。

予定納税を正しく減らす5つの実務ハック

競合記事では「申請しましょう」で終わっているものが多いですが、実際に手を動かすと詰まるポイントは別にあります。以下では、申請を成功させるための実務上の工夫を5つ紹介します。

ハック1:保守的見積もりで見積納税額を計算し確定申告時のペナルティを回避する

【対象】: 業績悪化を理由に減額申請を検討しているすべてのフリーランス

【手順】: 6月末時点の月次売上・経費を合計し、上半期の事業所得を確定します(所要時間:15分)。次に下半期の売上を「楽観値・中央値・悲観値」の3パターンで試算し、中央値を年間見積もりに使用します。試算結果を申請書の「見積所得金額」欄に記入し、そこから控除額を差し引いて「見積納税額」を計算します。

【コツと理由】: 見積もりを過度に低く設定して実際の所得が見積もりを大きく超えた場合、過少申告加算税のリスクが生じる可能性があります。中央値による保守的見積もりを使うことで、このリスクを回避しながら適切な減額を受けられます。最終的な税額は確定申告で精算されるため、確定申告時に不足分が生じた場合は追加納付が必要です。

【注意点】: 過払いした予定納税は確定申告で全額還付されます。「申請しない方が安全」という判断は資金効率の観点からは逆効果であるため、保守的見積もりで申請することが実務上の正解です。

ハック2:控除の適用漏れをチェックして見積納税額を最小化する

【対象】: 扶養・医療費・社会保険料など控除変化が今年あったフリーランス

【手順】: 前年の申告書を開き、適用した控除の種類と金額を一覧にします(所要時間:10分)。次に今年に変化した控除項目(扶養増加・高額医療費・国民健康保険料の上昇・iDeCo加入等)をリストアップします。変化後の控除額を合計し、前年との差額を計算して申請書の「見積所得控除額」欄に反映させます。

【コツと理由】: 実務では「控除額の変化」を見落とすことで見積納税額が実際より高くなるケースが多く見られます。所得が前年と変わらなくても、控除が50万円増えれば課税所得が50万円減り、税率20%の場合で10万円の減税効果が生まれます。控除の変化に気づいた年こそ、所得だけでなく控除面から申請を組み立てることが有効です。所得控除は全16種類あり、漏れなく確認することで節税効果を最大化できます。

【注意点】: 医療費控除はセルフメディケーション税制と通常の医療費控除を同時に適用することはできません。どちらが有利かを比較してから選択してください。両方を同時申請すると無効になるため、申請前に必ず確認してください。

ハック3:青色申告の繰越赤字を見積もり段階で適用して予定納税を0円に近づける

【対象】: 過去3年以内に事業赤字が発生しており、青色申告を継続しているフリーランス

【手順】: 過去の確定申告書(青色申告決算書)を確認し、繰り越せる赤字の残額と年次を確認します(所要時間:10分)。次に今年の事業所得の見積もり(売上-経費)を計算し、繰越赤字との差し引き後の課税所得を算出します。差し引き後の課税所得に税率を掛けて見積納税額を計算し、申請書に記入します。

【コツと理由】: 繰越赤字を今年の見積納税額の計算に織り込むことで、前払い額を最初から減らし、資金を手元に残せます。この差は赤字繰越額が大きいほど顕著で、繰越200万円・税率20%の試算ケースでは40万円の前払い削減になります。「赤字繰越は確定申告時に使えばよい」という判断では、7月と11月の前払いが生じてから翌年3月まで資金が拘束されるため、見積もり段階での適用が資金効率の観点で正解です。

【注意点】: 繰越赤字は青色申告での届出と連続した申告が前提です。白色申告では適用できないため、白色申告の方にこの方法は使えません。

ハック4:期限2週間前に試算を完了させ書類準備バッファを設けてe-Tax申請を確実に完了する

【対象】: 過去に期限を過ぎて申請機会を失ったことがある、または初めて申請するフリーランス

【手順】: 7月15日の2週間前(7月1日)・11月15日の2週間前(11月1日)をリマインダーに設定します(所要時間:2分)。リマインダー当日に試算を完了させ、申請書の下書きを完成させます。期限5日前までにe-Taxまたは郵送で申請書を提出し、提出記録を保存します。

【コツと理由】: e-Taxのシステム混雑や郵送の遅延リスクを考慮すると、期限当日の申請は実務上リスクがあります。期限2週間前を「自分の締切」として設定することで、試算のやり直しや書類の不備に対応する時間が確保されます。初めて申請する場合、e-Taxの操作に慣れるまで1〜2時間かかることも想定しておいてください。

【注意点】: 期限を過ぎた申請は受け付けられません。7月15日を逃した場合、第1期の減額申請は不可能になるため、第2期(11月)についてのみ申請を切り替えてください。第2期だけでも申請することがキャッシュアウト防止につながります。

ハック5:申請しない場合の還付額と申請した場合の手元資金を試算して意思決定を合理化する

【対象】: 減額申請すべきか確定申告で還付を待つべきか迷っているフリーランス

【手順】: 予定納税額(第1期+第2期の合計)と見積納税額の差額を計算します(所要時間:10分)。差額を「7月から翌年3月までの約8ヶ月間、手元に置けるキャッシュ」として評価します。売掛金の回収サイクル・月次の固定費と比較し、差額が1ヶ月分の固定費を上回るなら申請を優先します。

【コツと理由】: 「確定申告で還付されるなら同じ」という判断では、約8ヶ月間の資金が拘束されることで、受注増加時の外注費・設備投資・生活費の安定に影響が出ます。フリーランスの資金繰りにおいて、月間固定費の1〜2ヶ月分の手元資金差は事業継続に直結するため、同じ最終税額でも申請した方が有利になるケースが多くなります。減額申請は税額を変えるのではなく、支払いタイミングを後ろにずらす手段であることを理解した上で判断してください(freenance:予定納税と還付)。

【注意点】: 手元資金が増えた分を使い込むと確定申告の納付期限(翌年3月15日)に資金が不足するリスクがあります。フリーランスの貯金や資金管理の観点から、納税専用口座を別に設け、見積納税額の相当分は手をつけずに保管してください。

CHECK

▶ 今すぐやること: 5つのハックのうち自分に最も当てはまるものを1つ選び、今日の作業として試算シートを開いてください(所要時間:10分)

Q: 減額申請と確定申告の還付、どちらが手続きとして簡単ですか?

A: 確定申告での還付は毎年必ず行う手続きのため、追加の書類作成は不要です。減額申請は別途、申請書の記入と提出が必要になります。手続きの手間を最小化したい場合は確定申告での還付を選択し、手元資金を重視する場合は減額申請を選択するという判断基準が実用的です。

Q: 会計ソフトは減額申請の試算に使えますか?

A: freeeやマネーフォワードクラウドでは今年の収支データを基に所得の見積もりを確認できます。ただし申請書の自動作成機能は限定的なため、見積もりの数値を申請書に手動で転記する作業は別途必要です。

予定納税の5ケースを活用する:キャッシュアウトを防ぐ実践まとめ

フリーランスの予定納税は、今年の見込み所得が前年より減る場合に減額申請で下げられます。売上減少・扶養増加・控除拡大・青色赤字繰越・廃業の5ケースが主な減額理由であり、7月15日または11月15日までに減額承認申請書を税務署に提出することで対応できます。申請を先送りにすると前払い分が約8ヶ月間拘束されるため、6月末の時点で試算を始めることが資金繰りの観点で最も合理的な選択です。

予定納税の申請は「難しい手続き」ではなく、「自分の実態に合った金額に修正する作業」です。今年の業績に変化があった方は、まず昨年の申告納税額と今年の売上を並べて比較するところから始めてください。30分の試算で、数万円から数十万円のキャッシュアウトを防げる可能性があります。

状況次の一歩所要時間
まだ試算していない今年の月次売上を合計し前年の申告納税額と比較30分
試算は終わっているが申請書が未提出税務署またはe-Taxで減額承認申請書を提出30分
7月期限を過ぎてしまった11月15日の第2期分について単独で申請20分
対象外だったが来年が心配12月末までに来年の予定納税額を試算して積立20分

フリーランス予定納税を減らせるケースに関するよくある質問

Q: 予定納税を減額申請せずに払いすぎてしまった場合、損になりますか?

A: 最終的な税額は確定申告で精算されるため、過払い分は還付される形で戻ってきます。ただし翌年3月まで手元から資金が出ていく点でキャッシュフローには影響が出ます。資金繰りが厳しい状況であれば減額申請を活用した方が有利です。

Q: 予定納税を0円にできる条件は何ですか?

A: 見積納税額が0円になる場合に予定納税額も0円になります。青色申告の赤字繰越によって課税所得がゼロになるケースや、扶養控除・医療費控除などの所得控除が所得を超えるケースが該当します。所得税がゼロになっても住民税・国民健康保険料は別途発生するため注意してください(paytner:予定納税が0円になる条件)。

Q: 減額申請が承認されなかった場合はどうなりますか?

A: 当初の予定納税額での納付が求められます。申請書を提出した後に承認・却下の通知が税務署から届くため、承認されなかった場合は通常の期限内に納付します。申請すること自体にペナルティはありません。

【出典・参照元】

国税庁:予定納税

マネーフォワードクラウド:予定納税の減額申請

freee:予定納税と減額申請

zeitetsuzuki.jp:減額届の提出時期と条件

paytner:予定納税が0円になる条件

freenance:予定納税と還付