直取引へ移行したフリーランスの多くが単価上昇を経験しています。本記事では営業・契約・法律の3領域を横断し、元請け化の再現性ある手順を示します。
この記事でわかること
| # | 内容 |
| 1 | 下請け比率6割超のリスクを数値で把握し、転換候補案件を特定する方法 |
| 2 | 既存接点から直取引を獲得する5ステップの営業手順 |
| 3 | フリーランス法・下請法の保護範囲と契約書4項目の整備ポイント |
この記事の結論
下請け脱却の本質は「指示待ち」から「提案する側」への転換です。直取引を1件獲得する最短ルートは、既存案件の棚卸しと発注権限者への直接アプローチです。単価交渉・契約条件の整備・法律知識の3つを同時に整えることで、受注の安定性と収益性が両立します。新規開拓から始めるより、まず手元の案件を「元請け転換できるか」で見直すことが最速の一手です。
今日やるべき1つ
現在進行中の案件をすべて書き出し、「仲介業者あり/なし」「発注者の連絡先を知っているか否か」の2軸で分類します(所要時間15分)。
状況別ショートカット
| 状況 | 読むべきセクション | 所要時間 |
| 下請け比率を把握したい | フリーランス下請けは3要素で現状診断 | 3分 |
| 直取引の営業手順を知りたい | フリーランス直取引は5ステップで獲得 | 5分 |
| 単価交渉の進め方を知りたい | フリーランス下請け脱却は5つの仕組みで加速 | 7分 |
| 法律上の保護範囲を確認したい | フリーランス下請け法律は2法で保護 | 5分 |
| 契約書の確認ポイントを知りたい | フリーランス契約は4項目で整備 | 4分 |
フリーランス下請けは3要素で現状診断
下請け脱却を始める前に、自分の現状を正確に把握することが不可欠です。「なんとなく下請けが多い」という感覚のままでは、どこから手をつけるべきかが定まりません。
下請け比率は売上の6割超が危険ライン
現在の受注案件を書き出し、仲介業者や元請け企業が間に入っているものをカウントします。その案件数が全体の6割を超えている場合、取引先1社の方針変更や案件終了が直接的な収入減に直結するリスクがあります。6割というラインは、1社が突然消えたとしても残り4割で当面の固定費を賄える最低限の分散比率を逆算したものです。「下請け比率が6割超」であれば、今すぐ動き始める理由が数字として明確になります。
元請け化できる案件は3条件で判定
既存案件のうち、発注者の担当者名と連絡先を把握している、発注者が直接予算を持っている、かつ業務範囲が定型化されていて提案の余地があるという3条件をすべて満たすものが、元請け転換の候補案件です。この3条件が揃っている案件は、仲介業者を外して直接契約に切り替える交渉を始める価値があります。手元の案件で3条件を満たすものが何件あるかを数えることが、方針決定の出発点になります。フリーランスが初営業で挫折しないための営業ステップも合わせて参照すると、アプローチの流れが整理されます。

直取引の妨げは技術不足より「商談設計の欠如」
直取引ができない原因として「実績が足りない」「スキルが低い」と考えがちですが、実際には商談の設計、つまりヒアリング・提案・クロージングの流れを持っていないことが大きな障壁の一つです。技術力がある人でも「どう話を進めればいいかわからない」という理由で直取引を獲得できていないケースが少なくありません。商談設計は習得可能なスキルであり、型を持つことで再現性が生まれます。
一次情報として、公正取引委員会 フリーランス法特設サイトでは、取引条件の書面明示義務など、直取引の際に押さえるべき法的根拠が確認できます。
CHECK
▶ 今すぐやること: 手元の案件リストに「仲介あり/なし」「発注者連絡先あり/なし」を書き加えて下請け比率を計算する(15分)
Q: 下請け比率はどうやって計算しますか?
A: 直近12ヶ月の受注案件を書き出し、仲介業者や元請け企業が間に入っている案件数を全案件数で割ることで算出できます。件数ではなく売上金額ベースで計算するとより実態に近い数値が得られます。
Q: 実績が少ないと直取引は難しいですか?
A: 実績よりも「発注者の課題を把握し、解決策を提示できるか」が直取引獲得の主要因の一つです。1件でも成果を数値化した事例があれば、商談は始められます。
フリーランス直取引は5ステップで獲得
直取引の獲得は飛び込み営業ではなく、既存の人間関係と信頼からスタートできます。
既存接点から始める直営業は成功率が高い
過去に仕事を一度でもしたことがある企業や担当者は、完全新規の見込み客と比べて受注確率が高い傾向があります。「以前お世話になった〇〇の件で、改めてご提案があります」という文脈で連絡できるため、警戒感が低く商談に進みやすい構造があります。新規開拓を焦るより、まず過去の接点リストを掘り起こすことが時間対効果の高い一手です。新規開拓営業のやり方と成約率を上げる方法も参考に、仕組みとして設計することが重要です。

既存クライアントへの直営業を試みたところ、2社中1社が直取引に切り替えてくれたWebデザイナーは「仲介手数料がなくなり単価が1.4倍になった」と振り返っています(フリーランスが下請けから脱却する方法とは?)。
提案書は課題整理と解決プロセスを1枚で見せる
金額だけを提示する見積書形式では、発注者は「安い/高い」の判断しかできません。提案書では「現状の課題」「放置した場合のリスク」「解決の方向性」「具体的な成果イメージ」を1枚に整理し、金額はその最後に示す構成にします。この順序にすることで、金額は「課題解決のコスト」として評価され、値下げ交渉に入られにくくなります。課題整理から始める提案書は、発注者が社内稟議を通す際の資料にもなるため、採択率が高まります。提案書の書き方と構成は7項目で完成でテンプレートを確認すると実装が速くなります。

ヒアリングは5項目テンプレートで標準化
商談前に「現状の業務体制」「現在困っていること」「理想の状態」「予算感」「意思決定のプロセスと決裁者」の5項目を確認するシートを用意します。この5項目を事前に埋めることで、提案内容がズレることを防ぎ、受注後の認識違いも減少します。また、ヒアリング不足による修正対応の時間は受注単価の実質的な引き下げに直結するため、型を持つことが収益保護にもなります。
ヒアリングシートを使い始めてから納品後の修正依頼が3分の1以下になったフリーランスのWebディレクターは「商談が整理されているだけで信頼感も上がった」と語っています(フリーランス保護新法の実務対応と現場の受け止め方)。
CHECK
▶ 今すぐやること: 過去2年以内に仕事をした企業の担当者リストを作り、上位3社に「近況確認も兼ねてご連絡」のメールを送る(30分)
Q: 飛び込み営業や未接点へのアプローチは必要ですか?
A: 直取引獲得の初期段階では既存接点からのアプローチが最も効率的です。未接点への大量連絡は費用対効果が低く、優先する必要はありません。
Q: 提案書はどんな形式が適切ですか?
A: PDF1〜2枚が基本です。課題→解決策→成果イメージ→金額の順で構成し、テキストより図や数値を多く使うと採択率が上がります。
フリーランス下請けは3分で現状を診断
自分の働き方が「下請け構造から抜け出せる段階にあるか」を3分で確認できます。
Q1: 現在の主要取引先の担当者に、自分から直接連絡できますか?
Yesの場合はQ2へ進んでください。Noの場合はまず発注者の連絡先と決裁権限の有無を把握することが最初の課題です(Result D)。
Q2: 過去1年以内に、自分から提案書や企画書を作成して送ったことがありますか?
Yesの場合はQ3へ進んでください。Noの場合は提案型への切り替えが主要な課題です(Result C)。
Q3: 契約書に「支払期日」「業務範囲」「解除予告期間」の3項目が明記されていますか?
Yesの場合はResult A(直取引移行の準備が整っています)です。Noの場合はResult B(契約整備を並行して進める必要があります)です。
Result A: 直取引移行フェーズ
既存接点への直営業と提案書送付を今月中に開始できます。営業セクションの5ステップを参照してください。
Result B: 契約整備と直営業を並行するフェーズ
契約書の3項目整備を進めながら、既存接点への直営業を始めます。契約セクションも合わせて確認してください。
Result C: 提案スキル習得フェーズ
ヒアリング5項目テンプレートと提案書の構成を先に習得し、既存取引先への提案から始めます。
Result D: 接点構築フェーズ
発注者情報の把握と関係構築が最初のステップです。仲介業者を通じて発注者の担当者を紹介してもらう交渉から始めます。
CHECK
▶ 今すぐやること: 診断結果をもとに、今週中に着手する1つの行動を決めてカレンダーに記入する(5分)
Q: Result Dの場合、仲介業者に直取引を申し出ることは問題ありませんか?
A: 契約書に「直接取引の禁止」条項がある場合は違反になります。まず契約書を確認してから行動してください。
Q: 複数の結果に当てはまる場合はどうしますか?
A: 最初にNoが出た質問の結果を優先してください。基礎が整っていない状態で次の段階へ進んでも成果が出にくいためです。
フリーランス下請け法律は2法で保護
「どこまで法律に守られているか」を知ることで、値下げ要求や支払い遅延に対して根拠を持って対応できます。
下請法は資本金要件で適用が決まる
下請代金支払遅延等防止法(下請法)の適用は「取引の相手方(親事業者)の資本金」と「自分(受託者)の資本金」の組み合わせで決まります。例えば、資本金3億円超の企業から製造委託・修理委託を受ける場合は個人事業主も対象となりますが、情報成果物作成委託や役務提供委託の場合は資本金1,000万円超の事業者が親事業者となるケースが対象となるなど、取引の種別によって条件が異なります(フリーランス法と下請法の比較解説 – ビジネスロイヤーズ)。対象になれば、支払い期限の60日以内ルール、減額禁止、返品禁止、受領拒否禁止などの保護が受けられます。個人事業主の多くは「自分には関係ない」と思い込んでいますが、発注元の資本金と取引種別次第では十分に保護対象になります。フリーランス下請法の適用条件と新法との違いで詳細な判定基準が確認できます。

適用可否の詳細は公正取引委員会で確認できます。
フリーランス新法は書面明示と報酬支払いが核心
2024年11月施行のフリーランス・事業者間取引適正化等に関する法律(フリーランス法)は、業務委託を行う事業者に対し、業務内容・報酬額・支払期日などを書面または電磁的方法で明示することを義務付けています(フリーランス新法・取適法の受託側解説 – 弥生)。報酬支払いについては、発注者が報酬を決定する場合は60日以内の支払いが原則です。口頭発注で条件が曖昧なまま仕事を始めてしまうケースへの対策として、法的根拠を持った書面要求が可能になっています。
取適法の動向は中小企業庁で継続確認を
中小事業者間の取引適正化を目的とした制度の動向についても注視が必要です。「中小受託取引適正化法(取適法)」の詳細および施行時期は、中小企業庁の公式サイトで継続的に確認してください(下請法から取適法への移行と受託側の受け止め方)。制度の変化を継続的に把握しておくことで、取引条件の交渉において根拠を持った主張が可能になります。
公的な無料相談窓口として公正取引委員会 フリーランス・トラブル110番が利用できます。
CHECK
▶ 今すぐやること: 現在の主要取引先の資本金を確認し、下請法の対象になるかを公正取引委員会のサイトで照合する(10分)
Q: フリーランス法の書面明示を要求されたら、発注者は拒否できますか?
A: 2024年11月以降、フリーランス法の対象となる取引では発注者に書面明示の義務があります。義務の履行を求めることはフリーランス側の正当な権利です。
Q: 支払い遅延が発生した場合、どこに相談できますか?
A: 公正取引委員会 フリーランス・トラブル110番が無料相談窓口として利用できます。下請法対象の場合は中小企業庁の相談窓口への申告も可能です。

フリーランス契約は4項目で整備
契約書を「なんとなく確認する」から「具体的な4項目を必ず確認する」に変えるだけで、後からのトラブルを大幅に減らせます。
業務範囲と納品物の定義が単価を守る
契約書に「業務範囲」と「納品物の仕様」が具体的に記載されていない場合、発注者側からの追加作業要求を断る根拠がなくなります。「この作業は含まれていますか?」と聞かれたときに「含まれていない」と言えるのは、契約書に明記されている場合に限られます。業務範囲を曖昧にしたまま受注することは、実質的な単価引き下げに直結します。外注契約書テンプレートと必須項目の書き方を参考に、業務範囲を具体的に言語化する習慣を持つことが重要です。

支払条件は「月末締め翌月末払い」が最大60日で合法上限
支払いサイト(発注から入金までの日数)は、フリーランス法対象取引では60日以内が原則です(下請法とフリーランス法の整理 – 税理士法人星野)。「月末締め翌月末払い」は最大60日になるケースがあり、合法の上限に近い設定です。これより長い支払いサイトを提示された場合は、フリーランス法を根拠に短縮交渉が可能です。支払条件を確認せずに受注することは、資金繰りリスクを自ら引き受けることになります。
解除条項は「30日前予告」が実務上の基準
継続案件の突然の打ち切りは、フリーランスの収入安定性に直接影響します。フリーランス法では、継続的な業務委託を途中解除または更新しない場合、原則として30日前に予告することを発注者に義務付けています(フリーランス新法・取適法の受託側解説 – 弥生)。契約書に解除条項がない場合でも、フリーランス法の適用を根拠に30日前予告を要求できます。
検収条件は「検収完了日から支払サイト起算」を明記
「納品後に支払い」と書かれているだけでは、検収完了の定義が曖昧なため、発注者側が検収を意図的に遅らせることで支払いを先延ばしできます。「納品から10営業日以内に検収完了または異議申し立て、それ以降は自動検収とみなす」という形で検収完了の定義と期限を明記することで、支払い起算日が明確になります。
CHECK
▶ 今すぐやること: 現在進行中の案件の契約書(または発注書)を開き、業務範囲・支払条件・解除条項・検収条件の4項目が明記されているか確認する(10分)
Q: 口頭発注で契約書がない場合はどうすればよいですか?
A: フリーランス法の対象取引であれば、発注者に書面明示を要求できます。「業務内容と報酬額を書面でご確認いただけますか」と依頼し、メールでの文書化から始めてください。
Q: 契約書の内容が発注者有利すぎると感じたら?
A: 条項の修正交渉は正当な権利です。「業務範囲に上限を設けたい」「支払サイトを30日に短縮したい」などを具体的に伝えることで、修正に応じてもらえるケースが多くあります。
フリーランス下請け脱却は5つの仕組みで加速

ハック1: 下請け比率の可視化で収益リスクを数値化
【対象】: 受注案件の構成を把握できていないフリーランス全員
【手順】:
ステップ1として、直近12ヶ月の全案件を書き出し、仲介あり/なしを分類します(20分)。
ステップ2として、仲介ありの案件の売上合計を計算し、総売上に占める割合(下請け比率)を算出します(10分)。
ステップ3として、下請け比率が6割超の場合は今月中に元請け転換候補を2件以上選定し、初回コンタクトの日程を設定します(10分)。
【コツと理由】: 下請け案件が多いと感じながらも数値化していないと漠然とした状態が続きますが、数値化すると「どの案件を転換するか」という優先順位が明確になります。人は具体的な数値と照合して初めて意思決定できる構造になっているためです。可視化するだけで次の行動が決まるため、最初の10分が最も高コスパな投資です。
【注意点】: 件数ベースでなく売上金額ベースで計算してください。件数ベースで計算すると実態のリスクが過小評価されます。小口案件を多数持つ場合は件数比率より売上比率が実態を反映します。
ハック2: 発注権限者への直接アプローチで商談化率を高める
【対象】: 担当者ベースで連絡しているが受注につながらないフリーランス
【手順】:
ステップ1として、既存取引先の組織図をLinkedInや企業サイトで確認し、予算決裁権を持つ部署の責任者名を特定します(15分)。
ステップ2として、現在の担当者に「予算を持つ部署の方にもご挨拶したい」と伝え、紹介を依頼します(5分)。
ステップ3として、責任者との初回接触では提案ではなくヒアリングに徹し、課題を把握してから次回の提案機会を設定します(30分/回)。
【コツと理由】: 担当者に提案を繰り返しても決裁者に情報が届かず商談が進まないケースが多いですが、決裁者本人に課題ヒアリングから始めることで、稟議プロセスを飛ばして直接合意に至るケースが増えます。担当者経由の提案は情報が変形・希薄化するリスクがあり、決裁者の言語で話す能力が受注を左右するためです。
【注意点】: 担当者を飛び越えて責任者に直接連絡することは避けてください。必ず担当者経由で紹介を依頼することが条件です。関係性を壊すと既存案件も失うリスクがあります。
ハック3: 専門性の肩書きで指名獲得率を高める
【対象】: 「何でもできます」型で案件を受けているフリーランス
【手順】:
ステップ1として、過去3年間の案件を業種・職種・課題タイプで分類し、最も成果を出せた領域を特定します(30分)。
ステップ2として、特定した領域を「誰の・何の・どのくらいの課題を・どう解決するか」の形式で肩書きに言語化します(例:「EC事業者の顧客離脱率を3ヶ月で15%改善するLPデザイナー」)(20分)。
ステップ3として、この肩書きをプロフィールページ・名刺・メールの署名欄に反映し、専門外の案件は別の専門家に紹介することで信頼資産を積みます(10分)。
【コツと理由】: 専門性を絞った方が指名依頼率が上がるケースが多いとされています。発注者は「問題を解決してくれる専門家」に発注したいのであり、「なんでもできる人」は誰の専門家でもないと判断されるためです。肩書きを絞ると短期的に案件が減る不安がありますが、問い合わせの質が上がり単価交渉力が高まることが期待できます。USPは7日で言語化可能でセルフブランディングの整理方法を確認するとさらに精度が上がります。

【注意点】: 肩書きを変える際に既存クライアントとの関係を切る必要はありません。既存案件は継続しながら、新規の問い合わせ向けの肩書きを変えるだけで十分です。肩書きを変えて全案件を一気に切り替えようとすることが最大の失敗パターンです。
ハック4: 値下げ交渉の下限ラインを事前設定で単価を死守
【対象】: 値下げ要求を断れずに単価が下がり続けているフリーランス
【手順】:
ステップ1として、自分の月間稼働時間上限と生活費・経費の合計から、時間単価の絶対下限を計算します(例: 月150時間稼働・生活費30万円/月 → 時間単価下限は2,000円)(10分)。
ステップ2として、案件ごとの見積もりに「内訳(工数×単価)」を明示し、値下げ要求が来た場合は「工数削減」か「業務範囲縮小」で対応する選択肢を提示します(案件ごと5分)。
ステップ3として、業務範囲を変えずに価格だけ下げる交渉には「現行の業務範囲では対応できません」と回答し、下限を下回る場合は断ります(即日対応)。
【コツと理由】: 「業務範囲の縮小という選択肢を提示することで交渉を価格から内容の話にシフトする」アプローチが有効です。値下げ交渉は「価格が高い」という問題提起ではなく、「この価格で得られる価値が見えていない」というコミュニケーション不足が原因であることが多いためです。見積内訳を見せることで価値の可視化ができ、値下げ交渉自体を減少させられます。単価交渉メールのテンプレートを準備しておくと実際の交渉でスムーズに対応できます。

【注意点】: 下限を相手に伝えてはいけません。下限を相手に伝えると、相手はその金額を基準に交渉を始めます。下限は自分の中だけで把握し、提示するのは「業務範囲の選択肢」にとどめます。
ハック5: 納品後フォロー導線の設計でリピート率を高める
【対象】: 一度きりの受注で終わり、継続案件につながらないフリーランス
【手順】:
ステップ1として、納品から2週間後に「成果確認のご連絡」として短いメールを送り、「実際に使ってみてどうでしたか?」という1つの質問だけを投げます(5分/件)。
ステップ2として、返信があれば次の課題ヒアリングに移行し、返信がなければ1ヶ月後に「関連する事例や情報の共有」として再度接触します(10分/件)。
ステップ3として、2回の接触を経た上で次の提案機会を求め、継続案件または紹介案件へのフォローを習慣化します(月1回のルーティンとして設定)。
【コツと理由】: 「納品後2週間の確認連絡が次の受注起点になる」というアプローチが再現性の高い手法です。発注者は次の課題を抱えていることが多く、タイミング良く接触した業者に優先的に発注する傾向があります。成果確認の連絡は発注者にとって期待以上のサービスとして評価され、紹介や指名受注の動機付けになります。
【注意点】: 納品後フォローで新しい提案を最初から出すことは逆効果です。最初の接触では必ず「質問1つ」か「情報共有」にとどめ、売り込みを感じさせないことが継続案件化の条件です。
CHECK
▶ 今すぐやること: ハック1から始めて直近12ヶ月の案件を書き出し、下請け比率を計算する。その後、元請け転換候補の上位2件に対してハック2のステップ1を実行する(合計40分)
Q: 5つのハックはどの順番で実行するのが最も効果的ですか?
A: ハック1(可視化)→ ハック2(発注権限者へのアプローチ)→ ハック4(値下げ対応)→ ハック3(専門性構築)→ ハック5(継続化)の順が推奨です。可視化せずに動くと優先順位が定まらないため、必ずハック1から始めてください。
Q: 営業が苦手な場合、どのハックから始めるべきですか?
A: ハック5(納品後フォロー)が最もハードルが低く始められます。現在の案件に対してメール1通から実行でき、新規営業スキルが不要なためです。
確認事項: フリーランス下請け脱却は7項目で点検
下請け脱却に向けた行動を始める前に、以下の7項目を確認することで、取り組むべき優先領域が明確になります。
確認項目1: 直近12ヶ月の下請け比率を売上金額ベースで計算した。
確認項目2: 元請け転換候補の案件が2件以上ある(発注者の連絡先を把握済み)。
確認項目3: 自分の専門分野を「誰の・何の課題を解決するか」で言語化できる。
確認項目4: 現在の主要取引先の契約書に業務範囲・支払条件・解除条項・検収条件の4項目が明記されている。
確認項目5: 値下げ交渉が来た場合に「業務範囲縮小の選択肢」を提示する準備ができている。
確認項目6: 下請法またはフリーランス法の適用対象かを確認した。
確認項目7: 今後6ヶ月以内に直取引で受注したい案件の件数と単価の目標を設定した。
7項目すべてにチェックが入っていない場合、未チェックの項目が優先して取り組むべき課題です。
CHECK
▶ 今すぐやること: 7項目を確認し、チェックが入っていない項目を書き出してから本記事の該当セクションに戻る(5分)
Q: このチェックリストはいつ使うべきですか?
A: 下請け脱却に向けた行動を始める前と、3ヶ月後の進捗確認時の2回使うことを推奨します。状況の変化に応じて未チェック項目が変わるため、定期的な見直しに活用できます。
Q: 契約書がない口頭発注のみの取引先が多い場合は、まず何をすべきですか?
A: 確認項目4が達成できていない状態です。フリーランス法の書面明示義務を根拠に、主要取引先から順番に業務委託契約書の締結を依頼することから始めてください。
下請け脱却を完了させる:3ステップで収益構造を変える
下請けから元請けへの移行は、可視化・直営業・契約整備の3ステップを順番に実行することで再現性を持って達成できます。まず手元の案件の下請け比率を数値化し、元請け転換できる候補を2件選んで直接アプローチするだけで、多くのケースで3〜6ヶ月以内に変化が生まれます。最初の1件の直取引が成立した後は紹介や指名が連鎖しやすくなり、2件目以降の獲得ハードルが下がるパターンが多く見られます。
下請け依存から抜け出せるかどうかは、スキルの問題ではなく「構造を変える意思決定」の問題です。今日の15分で案件を棚卸しすることが、6ヶ月後の収益構造を変える起点になります。まずハック1の可視化だけを今日中に終わらせてください。
| 状況 | 次の一歩 | 所要時間 |
| まだ何も着手していない | 案件棚卸し(下請け比率を計算) | 15分 |
| 比率は把握できた | 発注権限者へのアプローチ開始 | 30分 |
| 営業を始めているが成約しない | 提案書を課題整理型に組み替える | 60分 |
| 単価交渉で負けている | 見積に工数内訳を追加する | 20分 |
| 継続化ができていない | 納品後2週間フォローメールを送る | 5分 |
フリーランス下請け脱却に関するよくある質問
Q: 下請けから脱却するのにどれくらいの期間が必要ですか?
A: 既存接点からのアプローチと直取引の契約締結まで、早い場合で1〜2ヶ月、一般的には3〜6ヶ月が目安です。新規開拓ではなく既存の取引関係からアプローチすることで、この期間を短縮できます。
Q: 実績が少ない状態で直取引の営業はできますか?
A: 実績の件数より「成果を数値で示せるか」の方が重要です。1件でも「〇〇の課題を△△で解決し、××%改善した」という形式で成果を言語化できれば、商談の入り口に立てます。
Q: フリーランス法は全員に適用されますか?
A: フリーランス法は「特定受託事業者(個人として事業委託を受ける者)」が対象ですが、発注者の従業員数や取引形態によって適用される条項が異なります。詳細は公正取引委員会 フリーランス法特設サイトで確認できます。
