フリーランスの値決めは「希望月収÷稼働時間」で時間単価を出し、相場と照合してレンジを決める3ステップで設定できます。この記事では計算方法から交渉の伝え方、値上げのタイミングまで実務的に解説します。
この記事でわかること
計算式で自分の最低時間単価を5分で出せる方法、職種別で3倍差がある相場の調べ方、値下げ要求を条件付きで断る交渉の型を解説します。
この記事の結論
フリーランスの値決めは、必要収入から逆算した時間単価を軸に、市場相場と照合してレンジを設定するのが最も再現性の高い方法です。感覚で価格を決めると安売りが常態化するため、計算式と根拠を先に整理することが長期的な収入安定につながります。値決めは交渉テクニックではなく、自分の時間と成果に見合う価格をどう作るかという経営判断です。
今日やるべき1つ
手元の電卓で「希望月収 ÷ 月の稼働時間」を計算し、自分の時間単価の下限を数字で把握してください(3分)。
状況別ショートカット
| 状況 | 読むべきセクション | 所要時間 |
| 価格の出し方がわからない | フリーランス値決めは3計算式で基準単価を算出 | 5分 |
| 相場と自分の単価を比べたい | フリーランスの値決め相場は職種別で3倍の差がある | 4分 |
| 交渉で断られるのが怖い | フリーランスの値決め交渉は予算確認から始める5ステップ | 5分 |
| 値上げのタイミングを知りたい | フリーランスの値決め改定は3条件で判断できる | 4分 |
| 安売りを止めたい | フリーランス値決めは5つの仕組みで適正単価を維持できる | 6分 |
フリーランス値決めは3計算式で基準単価を算出
値決めに迷う理由の多くは、自分の価格の「根拠」がないためです。感覚で出した金額は交渉でも説明できず、値下げ要求に押し切られやすくなります。まず計算式で基準を作ることが、すべての出発点になります。
時間単価は希望月収÷稼働時間で出せる
時間単価の計算式は「希望月収 ÷ 月の実稼働時間」です。月収50万円を目標に月160時間稼働する場合、時間単価は3,125円になります。この数字が、1時間あたり最低でも受け取るべき金額の目安です。
ただしこれは手取りではなく売上の目標値で考える必要があります。所得税・住民税・国民健康保険料を合計すると収入の30〜40%程度が税・社会保険料として出ていくため、手取り50万円を目指す場合は売上目標を70〜80万円に設定するのが現実的です。つまり実際の時間単価の下限は3,125円ではなく4,375〜5,000円程度になります。フリーランスの開業資金の計算と同様に、収支の全体像を把握してから逆算する考え方が重要です。

年収逆算は目標年収÷年間稼働日数で算出
日単価を使う案件では「目標年収 ÷ 年間稼働日数」で算出します。年収600万円、年間稼働日数200日の場合、日単価は3万円です。
フリーランスの年間稼働日数は会社員と異なり、営業・提案・移動・経理など直接報酬が発生しない作業時間が相当数含まれます。実務上は稼働日数のうち実際に請求できる稼働は7割程度になるケースが多いため、稼働日数を200日ではなく140日で計算し直すと日単価は約4.3万円になります。この差を見落とすと、働いても目標収入に届かない状態が続きます。
経費込みの売上目標で単価の下限を決める
必要生活費、経費、税・社会保険料を積み上げて「最低限必要な売上」を出すのが最も安全な方法です。生活費25万円、経費5万円、税・社会保険料20万円とすると月の最低売上は50万円になります。この数字を月の稼働時間で割ったものが「これ以下では受けない」最低時間単価です。
見落としがちですが、経費には通信費・ソフトウェア費用・交通費だけでなく、スキルアップのための学習費も含めるべきです。学習投資を経費として計上しない場合、単価を上げるための行動そのものが家計を圧迫するという矛盾が生じます。
CHECK
▶ 今すぐやること: 希望月収・月稼働時間・税社会保険料率(30%)の3つをメモに書き出して最低時間単価を計算してください(5分)
Q: 稼働時間はどう計算すればよいですか?
A: 月160時間(1日8時間×20日)を上限として、実際に請求できる作業時間だけを計算してください。営業・見積もり・経理の時間は除くのが現実的です。
Q: 副業でフリーランスをしている場合も同じ計算式を使えますか?
A: 使えます。ただし副業の場合は本業収入があるため「最低必要売上」は下がります。それでも時間の希少性は同じなので、低い単価で受け続けることは時間コストの観点から損です。
フリーランスの値決め相場は職種別で3倍の差がある
相場を知ることは「高く言いすぎて失注しないか」という不安と「安く受けすぎて損していないか」という不安の両方に答えを出します。数字で把握することが先決です。
Webライターとエンジニアで時間単価が大きく異なる
フリーランスの時間単価相場は職種によって大きな差があります。Webライターは1文字0.5〜3円程度が多く、時間換算すると500〜2,000円程度になるケースが一般的です。一方、フロントエンドエンジニアは時間単価3,000〜8,000円、データサイエンティストや機械学習エンジニアになると8,000〜15,000円以上の案件も珍しくありません(フリーランス単価相場と算出方法|freee)。
同じ「IT系」でも設計・実装・運用・コンサルで単価は異なります。自分の職種の中でどのポジションにいるかを明確にすることで、相場の参照精度が上がります。
案件サイトで相場を調べる3つの方法
相場を調べる方法は大きく3つあります。第一に、ランサーズ・クラウドワークス・レバテックフリーランスなどのプラットフォームで「自分と近いスキル・経験年数・納品物」の案件報酬を20〜30件収集して中央値を出す方法です。第二に、同職種のフリーランスが集まるSlackコミュニティやFacebookグループで直接情報交換する方法です。第三に、自分が過去に受注した案件の時間単価を振り返り、案件規模ごとの平均を出す方法です(フリーランスの単価の決め方7選|Freelance Hub)。
3つのうち最も精度が高いのは第三の方法です。自分の実績データから逆算することで「自分は実際にどの単価帯で受注できているか」がわかります。
相場より低い自分の単価に気づいたときの対処
相場を調べた結果、現在の単価が相場の50〜70%程度だと気づくことがあります。この場合、即時値上げよりも「新規案件から適正単価を適用し、既存案件は次の更新タイミングで改定を申し入れる」段階的な移行が現実的です(単価交渉と単価UPのコツ|relance)。一度に全案件を値上げしようとすると複数のクライアントを同時に失うリスクがあり、収入が急落します。新規と既存を分けて考えることが、収入を維持しながら単価水準を引き上げる最も安全な方法です。単価交渉メール例文を事前に準備しておくと、実際の申し入れがスムーズになります。

CHECK
▶ 今すぐやること: 自分の職種に近い案件をプラットフォームで10件調べ、月単価または時間単価の中央値を記録してください(10分)
Q: 相場より高い単価を提示しても受注できますか?
A: 実績・納品物の質・専門性が相場より高いと説明できれば受注は可能です。相場は平均値なので、価値が高ければ相場を上回る単価は正当化できます。
Q: 複数の職種スキルがある場合、どの相場を参考にすればよいですか?
A: 案件の主たる作業内容に近い職種の相場を参照してください。複数スキルを組み合わせた複合型サービスは相場より高めに設定できることが多いです。
フリーランス値決めの自分診断は4つの質問で判定できる
現在の値決めが適切かどうかを確認する4つの質問です。Q1から順に答えてください。
Q1: 自分の時間単価の下限(最低受注単価)を数字で言えますか?
言える場合はQ2へ進んでください。言えない場合はResult Aです。計算式がない状態では値下げ要求にも根拠なく応じてしまうため、まず計算が必要です。
Q2: 相場を直近3ヶ月以内に調べましたか?
調べた場合はQ3へ進んでください。調べていない場合はResult Bです。相場は半年〜1年で変動するため、古い相場感で価格を設定すると市場から乖離します。
Q3: 直近1年で価格改定または新規案件で単価を上げましたか?
上げた場合はResult Dです。上げていない場合はQ4へ進んでください。
Q4: 毎月の稼働時間と収入の収支が合っていると感じますか?
合っていると感じる場合はResult Cです。合っていないと感じる場合はResult Eです。
Result A: 計算式を作ることが最優先
今週中に「希望月収 ÷ 月稼働時間」を計算して最低時間単価を設定してください。この数字がすべての交渉の土台になります。
Result B: 相場調査を今週中に実施
プラットフォーム20件分の相場データを収集し、自分の現在単価と比較してください。差が20%以上あれば次の新規案件から改定を検討します。
Result C: 現状維持でモニタリング継続
現在の設定は機能しています。3ヶ月に1回相場をチェックし、スキルアップのタイミングで見直しを行ってください。
Result D: 次のステップは価値の言語化
単価改定できているのは好ましい状態です。次は「なぜこの単価か」を説明できる根拠(成果・実績・工数)を整理して、さらなる改定の土台を作ってください。
Result E: 値上げまたは案件の見直しが必要
稼働量に対して収入が合っていない場合、単価か案件の選択を変える必要があります。まず直近3件の案件を振り返り、時間単価が最低基準を下回っていないか確認してください。
CHECK
▶ 今すぐやること: 上記のQ1〜Q4に答えて自分のResultを確認し、該当する行動を今週のタスクに入れてください(3分)
Q: 独立直後で実績がほぼない場合、どのResultが参考になりますか?
A: Result Aから始めてください。実績がない段階でも最低時間単価の計算は必須です。相場の下限から20%引きを初期価格の目安にしつつ、3ヶ月ごとに改定する計画を立てるのが現実的です。
Q: 副業から専業に切り替えるタイミングで価格を変えるべきですか?
A: 変えるべきです。専業になると収入の全責任をフリーランス収入が担うため、最低必要売上が大幅に上がります。専業移行前に時間単価の再計算を行い、既存クライアントへの改定申し入れタイミングを決めておくことを推奨します。
フリーランスの値決め交渉は予算確認から始める5ステップ
交渉には順序があり、順序を守るだけで成功率が大きく変わります。希望より低い単価で受けてしまうパターンのほとんどは、この順序が守られていないことが原因です。
最初に予算を聞くことで交渉の主導権を握れる
価格交渉で最も重要なのは、自分が先に金額を言わないことです。先に数字を出した側が不利な立場に立ちます。最初に「今回のご予算感を教えていただけますか?」と確認することで、クライアントの上限を把握してから提案できます。
相手が予算を開示しない場合は「〇〇円〜〇〇円の範囲で考えています」とレンジで提示し、下限より高い金額から交渉を始めるのが実務上の標準的な進め方です(フリーランスがサービスの値決めをするとき|マネーフォワード)。予算ヒアリングをせずに見積もりを出すと、クライアントの予算が100万円なのに60万円の見積もりを出して損をするケースが起きます。
成果を数値で示すと単価の根拠が明確になる
単価の正当化に最も有効なのは、過去の成果を数値で示すことです。「前回のプロジェクトでCV率を1.2%から2.8%に改善した」「納品後3ヶ月で問い合わせ数が月40件から85件に増加した」のような具体的な数値は、単価の根拠として説得力を持ちます(フリーランスのマーケター向け単価設定|brainstyle)。
数値実績がない場合は、工数の透明性で代替できます。「この案件は企画5時間、制作15時間、修正対応5時間の合計25時間で時間単価は〇〇円です」という工数説明は、単価の妥当性をクライアントに伝える効果的な方法です。見積書諸経費の書き方を参考に、内訳を丁寧に記載することで、値下げ交渉が入りにくくなります。

値下げ要求には条件付き対応で応じる
値下げを求められたとき、無条件に応じると次回以降もその価格が基準になります。値下げに応じる場合は必ず「条件の変更」と抱き合わせにしてください。「単価を10%下げる代わりに、修正回数は2回まで」「今回限りの特別価格とし、次回は通常価格を適用する」のように、価格変更に対応する条件変更を明文化することで、安売りが常態化するリスクを防げます(フリーランスの値下げしない考え方|furi-ten)。値下げそのものより、条件なしに値下げすることが問題です。
CHECK
▶ 今すぐやること: 直近3件の案件について「予算を事前に確認したか」「成果を数値で提示したか」を振り返り、できていない項目をメモしてください(5分)
Q: クライアントが予算を教えてくれない場合はどうすればよいですか?
A: 「参考に教えていただけると提案がしやすくなります」と伝えてもなお教えてもらえない場合は、過去の類似案件の金額をレンジで提示し、「どのあたりが合いそうですか」と確認する方法が有効です。
Q: 交渉で単価を下げるように言われた場合、どう断ればよいですか?
A: 「工数と責任範囲を考えると現状の単価が適正です」と根拠を伝えたうえで、「作業範囲を絞れれば価格調整が可能です」と代替案を提示するのが実務上の標準的な断り方です。
フリーランスの値決め改定は3条件で判断できる
値上げのタイミングには基準があり、感覚ではなく条件で判断できます。継続案件でいつ値上げすればよいかを判断できないという課題は、この3条件で解消されます。
スキルアップ後の最初の更新が改定の最適タイミング
新しいスキルや資格を取得した直後の契約更新が、最もスムーズに単価改定を申し入れられるタイミングです。「〇〇の資格を取得し、対応できる領域が広がりました。次回契約から月単価を〇〇円に改定したいと思います」という説明は、スキル向上という事実に基づいているため受け入れられやすくなります(単価交渉と単価UPのコツ|relance)。
スキルアップのタイミングを逃した場合でも、3ヶ月〜半年ごとの定期的な見直しとして価格改定を組み込む習慣を持つと、値上げが非日常的なイベントではなくなります。
成果報告後の申し入れが承認率を高める
値上げの申し入れは成果報告の直後に行うのが最も効果的です。「先月のプロジェクトで〇〇の成果が出ました。これを踏まえ、次回から月単価を〇〇円に改定させてください」という順序は、成果と価格の因果関係をクライアントに直接示します。
成果報告から2週間以上経ってから申し入れると、成果の記憶が薄れて印象が弱くなります。成果報告と値上げ申し入れは同じメールまたは同じミーティングで伝えるのが最も効率的です。フリーランスの値上げメールのテンプレートを活用すると、実際の申し入れ文を素早く準備できます。

インフレや相場変動を根拠にした改定も有効
物価上昇や同職種の相場上昇を根拠にした価格改定は、個人的な理由ではなく市場環境の変化として説明できるため、クライアントにとっても受け入れやすいです。「フリーランス市場全体で単価が上昇しており、今後も同水準のサービスを提供するために価格改定が必要です」という説明は、クライアントとの関係を保ちながら改定を進める方法として有効です。
注意点として、相場を根拠にする場合は実際の相場データを手元に用意してから申し入れてください。感覚で「相場が上がっています」と言うだけでは説得力がなく、交渉を不利にすることがあります。
CHECK
▶ 今すぐやること: 直近6ヶ月以内に実績または新しいスキルが増えていれば、値上げ申し入れのメール文を1通下書きして保存してください(10分)
Q: 値上げを断られた場合、その案件を続けるべきですか?
A: 断られた理由がクライアントの予算制約であれば、継続しながら6ヶ月後に再申し入れする選択肢があります。「実績があるのに理由なく断られた」場合は、適正単価で受けてくれる新規クライアントの開拓を並行して進めてください。
Q: 何年に1回くらいのペースで値上げするのが現実的ですか?
A: 毎年1回、または大きなスキルアップ・実績獲得のタイミングで申し入れるのが現実的です。3年以上価格を据え置いている場合、インフレ分だけで実質的な収入は目減りしています。
フリーランス値決めは5つの仕組みで適正単価を維持できる
単価を一度決めても、その後の運用で安売りが常態化することがあります。仕組みとして組み込めば感情や関係性に左右されず、適正単価を維持できます。
ハック1: 見積もりに時間単価を明示して交渉コストをゼロにする
【対象】: 見積もり提示後に値下げ交渉を受けることが多いフリーランス
【手順】: 見積書に「作業工数:〇時間 × 時間単価:〇〇円 = 合計〇〇円」を明記する(30分)。工数の内訳(企画・制作・修正・管理コスト)を項目別に記載する(15分)。「工数と単価はこの内容が最適と判断しています。範囲を絞る場合は金額調整が可能です」と一文追加する(5分)。
【コツと理由】: 工数と単価を明示した見積もりは値下げ交渉を大幅に減らせます。工数を明示することでクライアントは「この金額の内訳」を理解し、単純な値下げ要求がしにくくなります。単価が数字として見えることで、値下げ要求は実質的に「あなたの時給を下げろ」という要求と同義になり、クライアント自身が言いづらくなります。価格の透明性が信頼を生み、信頼のあるクライアントは価格より価値で判断するようになります。
【注意点】: 時間単価を非常に低く設定してしまうと透明性が逆効果になります。相場を確認した後で単価を設定してから工数明示を行ってください。時間単価が相場の70%以下の場合は、透明化より先に単価の再設定が必要です。
ハック2: 最低受注単価を書面で自己ルール化して感情判断をなくす
【対象】: 「この案件は特別だから」と自分を納得させて安く受けてしまうことがあるフリーランス
【手順】: 「最低時間単価:〇〇円、最低月単価:〇〇円」を書いたメモを作成する(10分)。そのメモをデスクトップの付箋または見積もりフォルダのトップに置く(5分)。見積もりを出す前に必ずそのメモを確認するルールを自分で設定する(すぐ)。
【コツと理由】: 書面化された自己ルールは感情による例外を防止できます。人は損失回避よりも目の前の機会を優先する傾向があり、「この案件を逃すくらいなら安く受けよう」という判断が積み重なって安売りが習慣化します。書面化することで「ルールを破っている」という認識が生まれ、例外の閾値が上がります(フリーランスの「値決め」実体験|現代ビジネス)。価格は交渉の場で決めるものではなく、事前に経営判断として設定しておくものです。
【注意点】: 最低単価を設定したら、例外を作る場合の「条件」も同時に書面化してください。「初回クライアントは10%引き、ただし3ヶ月後の更新からは通常価格」のように条件を明記しないと、例外の例外が生まれて機能しなくなります。案件ごとに都度例外を口頭で判断することは避けてください。
ハック3: 相手の予算確認を最初のメールに組み込んで後手を踏まない
【対象】: 見積もりを出した後に「予算的に難しい」と言われて交渉が長引くフリーランス
【手順】: 問い合わせへの返信メールに「ご予算感はどのくらいでしょうか?」を定型文として入れる(10分)。相手の回答をもとに「その予算範囲で対応できる作業内容」を先に整理する(15分)。見積もりはその整理の結果として提示し、「ご予算内で最大の成果を出す提案です」と伝える(5分)。
【コツと理由】: 予算を先に聞いてから提案内容を決める方が受注率が上がります。予算を聞かずに見積もりを出すと、クライアントの想定より高い場合に「値下げ交渉」が始まり、お互いの時間を無駄にします。予算を先に確認すれば、最初から適切な作業範囲で提案でき、交渉が不要になります(フリーランスがサービスの値決めをするとき|マネーフォワード)。予算確認は「安く受ける準備」ではなく「提案精度を上げる情報収集」です。
【注意点】: 予算確認で相手が「なるべく安く」と答えた場合、その言葉を真に受けて価格を下げてはいけません。「なるべく安く」は予算上限ではなく交渉姿勢の表明です。「適正価格で最大の成果を出します」と返し、具体的な金額は自分のレンジ内で提示してください。
ハック4: 見積もりに有効期限を入れて長期間の放置を防ぐ
【対象】: 見積もりを出した後に2〜3ヶ月経ってから「やっぱりお願いします」と言われて困ったことがあるフリーランス
【手順】: すべての見積書に「本見積もりの有効期限:〇年〇月〇日まで(発行日から30日)」を記載する(5分)。有効期限を過ぎた場合の対応として「再見積もりが必要になる場合があります」と記載する(5分)。有効期限切れの問い合わせには「現在の稼働状況を確認して改めて見積もりを提示します」と返す(すぐ)。
【コツと理由】: 有効期限付き見積もりを採用する理由は3段階あります。期限があることで相手の意思決定を促し、案件の保留を防ぎます。時間が経つと稼働状況や相場が変わるため、古い見積もりをそのまま受け入れると結果的に損をすることがあります。見積もりは時点の価格であり、時間が経過するとその根拠が変わります(フリーランス単価相場と算出方法|freee)。見積書有効期限の設定方法を参考に、自分の標準テンプレートに組み込むと運用が楽になります。

【注意点】: 有効期限は14日〜30日程度が現実的です。7日以下は短すぎてクライアントの意思決定を急かしすぎる印象を与えます。60日以上は期限の意味がなくなります。
ハック5: 値引き条件を事前にパターン化して条件なし値引きを完全になくす
【対象】: 値引き要求に応じた後、それが次回以降の基準単価になってしまった経験があるフリーランス
【手順】: 「値引きに応じる条件」を3パターン事前に決めておく(初回取引限定・期間内締切対応・複数案件同時受注など)(20分)。値引き要求を受けたとき、その要求がどのパターンに該当するかを確認する(すぐ)。「今回は〇〇という条件での特別対応です。次回は通常単価での対応になります」と書面またはメールで明記する(5分)。
【コツと理由】: 「条件付きで受け入れる」パターン化が最も安売りを防止できます。条件なし値引きは次回以降も同じ金額が求められる前例になりますが、条件付き値引きは「例外扱い」として処理できます。条件を文書化することで、次回の交渉で「前回は〇〇の条件で特別対応しました。今回はその条件が当てはまりません」と明確に断れます。価格の一貫性を保つことが長期的なクライアントとの信頼関係を維持するメカニズムです(個人事業主の価格設定に関する考え方|note)。
【注意点】: 値引き要求のたびに理由を聞いてから個別判断することは避けてください。個別判断は感情が入りやすく、結果的に条件なし値引きと同じ状況になります。パターンに当てはまらない値引き要求は断る、と事前に決めておくことで判断コストがゼロになります。
CHECK
▶ 今すぐやること: ハック2の最低受注単価メモを今すぐ作成し、見積もりフォルダのトップに保存してください(15分)
Q: 単価を上げたら既存クライアントが離れますか?
A: 適切な説明と十分な事前通知(1〜2ヶ月前)があれば、品質に満足しているクライアントが離れるケースは少数です。単価改定の説明が丁寧なフリーランスはプロフェッショナルとして評価されることが多いです。
Q: 値下げしないと案件が取れない時期はどう乗り越えますか?
A: 単価を下げる前に、作業範囲を絞って対応可能な金額に調整する方法を試してください。単価を下げるのではなく「このスコープで〇〇円」という提案の方が、将来の単価改定がしやすくなります。
フリーランス値決めは計算式と仕組みで解決できる
フリーランスの値決めは感覚や交渉力ではなく、必要収入から逆算した時間単価の計算と、安売りを防ぐ仕組みの2つで解決できます。計算式がない状態では値下げ要求に根拠を持って断れず、仕組みがない状態では一度下げた価格が恒久化します。今日から始める最初の一歩は、希望月収を月稼働時間で割って時間単価の下限を数字で決めることです。
数字で根拠を作れたフリーランスは、交渉の場で自信を持って話せます。今日計算した時間単価の下限が、明日からの交渉を変えます。適正単価を維持するためには、フリーランスの貯金の安全ラインを把握した上で値決めを設計することも、長期的な収入安定に欠かせません。

| 状況 | 次の一歩 | 所要時間 |
| 単価を初めて設定する | 希望月収 ÷ 月稼働時間で最低時間単価を計算する | 5分 |
| 相場と比べたい | プラットフォームで類似案件を20件調べて中央値を記録 | 15分 |
| 値上げを申し入れたい | 直近の成果を数値でまとめ、改定金額と一緒にメール下書きを作成 | 20分 |
| 安売りを止めたい | 最低受注単価メモを作り、値引き許容パターンを3つ書き出す | 20分 |
| 交渉で断られたくない | 次の問い合わせ返信メールに予算確認の一文を追加する | 10分 |
フリーランス値決めに関するよくある質問
Q: 独立したばかりで実績がない場合、どう価格を決めればよいですか?
A: まず自分の時間単価の下限を計算し、同職種の相場の下限から10〜20%引きを初期価格の目安にしてください。実績がない段階では「作業の透明性(工数明示)」と「迅速な対応」が価格の根拠になります。3ヶ月ごとに見直し、実績が積まれたタイミングで段階的に引き上げていく計画を持つことが重要です。
Q: 時間単価と成果物単価、どちらで提示するほうがよいですか?
A: 作業時間が読みにくい案件(クリエイティブ・コンサルティング系)は成果物単価、時間で管理しやすい案件(開発・運用・定型業務)は時間単価または日単価が向いています。どちらの場合も、最終的に時間単価に換算して最低基準を下回っていないかを確認してください。
Q: 年収1000万円を目指す場合、どの程度の時間単価が必要ですか?
A: 年間稼働日数200日、1日8時間稼働の場合、年間稼働時間は1,600時間です。売上1,000万円を達成するには時間単価6,250円が必要です。ただしフリーランスは稼働時間の全時間を請求できるわけではないため、実際に請求できる時間を1,200時間と想定すると必要な時間単価は約8,333円になります。職種によって現実的かどうかは異なりますが、目標から逆算するとこの水準が1つの目安になります。
