フリーランスが自宅で仕事をする場合、通信費と水道光熱費はどちらも家事按分が必要な経費です。通信費は使用時間・日数、水道光熱費は業務時間・面積比で按分するのが合理的とされており、税務調査でも説明できる根拠を残すことが最重要です。この記事では2つの費目の違いから計算方法、注意点まで解説します。
この記事でわかること
通信費と水道光熱費の勘定科目・按分基準の違い
按分率の計算式と税務調査で認められる記録の残し方
月5分で回る記録の仕組みを作る5つの実務ノウハウ
この記事の結論
通信費と水道光熱費は「按分の基準」が異なります。通信費は業務で使った時間や日数、通話・データの利用実態を根拠にします。水道光熱費は業務時間の割合や作業スペースの面積比を根拠にします。どちらも「合理的に説明できる根拠」を記録しておくことが、税務調査対策と正確な経費計上の両立につながります。
今日やるべき1つ
先月の通信費と電気代の請求書を開き、業務で使った時間・日数を書き出してください。この作業だけで按分計算の土台が完成します(10分)。
状況別ショートカット
| 状況 | 読むべきセクション | 所要時間 |
| 通信費と水道光熱費の違いを確認したい | 通信費と水道光熱費は勘定科目と按分基準が異なる | 3分 |
| 計算方法を今すぐ知りたい | 通信費の家事按分は3つの基準で計算 | 5分 |
| 水道光熱費の按分方法を知りたい | 水道光熱費の家事按分は業務時間と面積で計算 | 5分 |
| 自分の按分割合が適切か診断したい | 家事按分の妥当性を5分で自己診断 | 5分 |
| 税務調査で否認されない記録の残し方を知りたい | 家事按分は5つの仕組みで税務調査に備える | 7分 |
| よくある失敗パターンを確認したい | 家事按分の実例は2パターンで比較 | 5分 |
通信費と水道光熱費は勘定科目と按分基準が異なる
2つは費目の性質も、経費として認められる根拠も異なります。まず費目の定義から整理します。
通信費に含まれる費目は4種類
通信費の勘定科目には、インターネット回線使用料、スマートフォン料金、通話料、プロバイダー料金が含まれます。これらは「情報・通信」に関連する支出として「通信費」という勘定科目で処理します。会計ソフトの仕訳入力でも「通信費」の項目を選択します。
注意が必要なのは、FAX用電話回線も通信費に該当する一方、スマートフォンの分割購入代金は通信費ではなく「消耗品費」(10万円未満の場合)または「工具器具備品」(10万円以上の場合)に分類される点です。月額料金部分のみが通信費の対象です。費目を誤って勘定科目を混在させると、税務調査での説明が複雑になります。
水道光熱費に含まれる費目は3種類
水道光熱費の勘定科目には、電気代・ガス代・水道代が含まれます。これらをまとめて「水道光熱費」という勘定科目で処理します。電気代とガス代が混在しても、すべて水道光熱費の1つの勘定科目にまとめて記帳するのが一般的です(家事按分とは?個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算(freee))。
電気代は在宅ワークで最も影響が大きく、パソコンや照明・空調の使用で業務中の消費電力が増加します。ガス代は主に暖房や給湯で使われますが、料理など私的利用との切り分けが難しい費目です。水道代は事業用途が限定的なケースが多く、事務所ではなく自宅の場合は按分根拠の説明が難しくなりやすい点を押さえておくことが重要です。
勘定科目の違いが按分基準の違いにつながる
通信費と水道光熱費で勘定科目が分かれる理由は、費用の性質と使用実態が異なるからです。通信費はデータの送受信という「情報の流れ」に対して発生します。業務中に使ったデータ量や通話時間の記録が、按分の根拠として機能します。
一方、水道光熱費はエネルギーや資源の消費という「物理的な使用」に対して発生します。業務で使っていた時間帯や、作業スペースとして確保していた面積が、按分の根拠として機能します(個人事業主の水道光熱費は経費になる? 計上できる経費や注意点(弥生))。この性質の違いを理解することで、どの基準で計算すべきかが自然に決まります。まず「何を根拠にできるか」を考えてから計算式を決めるのが、実務上の正しい順序です。
個人事業主の勘定科目一覧|5分類と20科目で確定申告を完結では、各費目の性質と仕訳の基本的な考え方を詳しく解説しています。

CHECK
▶ 今すぐやること: 自分の月次支出を「通信費」と「水道光熱費」に分類し、混在していないか確認する(5分)
Q: 電話代とインターネット代は同じ勘定科目ですか?
A: どちらも「通信費」という同一の勘定科目で処理します。明細を合算して仕訳できます。
Q: スマートフォンの機種代金は通信費になりますか?
A: 機種代金は通信費ではなく消耗品費(10万円未満)または工具器具備品(10万円以上)として処理します。月額の通話・データ料金のみが通信費に該当します。
通信費の家事按分は3つの基準で計算
通信費の場合、3つの計算基準のうち自分の使用実態に合ったものを選ぶことが重要です。通信費按分割合は50〜70%が目安|5つの根拠作成術では、実際の計算方法と根拠の作り方を詳しく解説しています。

基準1:使用日数で按分する方法
1ヶ月のうち業務で使った日数を分子、月の総日数を分母として按分率を計算します。例えば月に20日仕事をした場合、20日÷31日=約64.5%が按分率になります。この方法は「スマートフォンを休日はほとんど業務で使わない」「平日のみ仕事をしている」という使用実態がある場合に合理的です。
毎月のカレンダーで業務日に印をつけておくと、按分率の根拠として保管できます。税務調査では「なぜその割合なのか」を問われるため、記録の存在が説明の根拠になります。使用日数方式は記録の作成が比較的簡単なため、フリーランス1年目の方に向いている方法です。
基準2:使用時間で按分する方法
1日の総使用時間のうち業務で使った時間を記録し、月の合計時間で按分率を計算します。例えば1日8時間使用し、そのうち6時間が業務なら75%が業務割合です。月の業務使用時間÷月の総使用時間で按分率を算出します。
この方法はスマートフォンやインターネット回線を夜間や休日に私的利用することが多い場合に特に有効です。業務時間の記録をタスク管理アプリやスプレッドシートで残しておくと、説明根拠として機能します。使用時間方式は実態をより正確に反映できますが、毎日の記録が必要という手間があります。継続できるかどうかで選ぶのが長続きのポイントです。
業務専用回線なら全額計上できる
インターネット回線やスマートフォンが100%業務専用であれば、家事按分は不要で全額を通信費として経費計上できます。例えば、業務専用のSIMカードを別途契約している場合や、事業専用のWi-Fiルーターを導入している場合がこれに該当します。
全額計上するためには「専用である事実」を説明できる状態を維持することが前提です。例えば、業務専用スマートフォンに個人のSNSアプリをインストールしていると、「本当に専用か」という点を問われる可能性があります。専用であると主張するなら、使用用途を私的利用と混在させないことが重要です。
月額1,000円台のデータSIMを業務専用で持つだけで、按分計算の手間がなくなります。税務調査対応の説明もシンプルになるため、按分計算を省力化したいフリーランスには有効な選択肢です。
CHECK
▶ 今すぐやること: 先月の通信費明細を開き、業務で使った日数と総日数を書き出して按分率を計算する(10分)
Q: 家族共用のWi-Fi料金は按分できますか?
A: 家族共用のWi-Fi料金も、業務で使用している実態があれば按分して経費計上できます。業務で使用している時間や日数を記録し、その割合を按分率として使用します。家族分の私的利用部分は経費にならないため、実態に即した割合を算出することが重要です。
Q: 通話料が月によって変動する場合、按分はどうすればよいですか?
A: 月ごとに実際の業務通話時間を記録し、その月ごとに按分率を計算するのが最も正確です。通話履歴から業務通話の件数や時間を抽出して記録を保管してください。
水道光熱費の家事按分は業務時間と面積で計算
水道光熱費は通信費と異なり、「場所」と「時間」の2軸で考えることが合理的です。
電気代の按分は業務時間比で計算する
電気代の按分で最も説明しやすい方法は「業務時間比」です。1日の総在宅時間のうち業務時間が占める割合を計算し、月の電気代に乗じます。例えば1日16時間自宅にいて、そのうち8時間を業務に使った場合、50%が業務按分率です。月の電気代が1万円なら、5,000円が経費として計上できます。
電気代は在宅ワークで確実に増加する費目です。外出していた会社員時代と比べて、自宅で8時間以上パソコン・照明・空調を使い続ければ、電気消費は実質的に増えています。この増加分を経費として正当に計上するためにも、業務時間の記録が重要です。GoogleカレンダーやA4の日報で毎日記録する習慣を持つことで、年間を通じた按分の根拠が積み上がります。
ガス代は業務関連用途に限定して按分する
ガス代は私的利用(料理・入浴)との切り分けが最も難しい費目です。暖房利用であれば業務時間中の使用として按分できますが、料理や入浴との混在が多い場合は、業務割合が限定的になります。
例えば、冬季に暖房として使ったガス代を業務時間比で按分する場合は説明しやすいですが、「ガス代全体の30%を経費に」という根拠が薄い按分は否認リスクがあります。ガス代の按分は電気代と比べて合理的根拠を作りにくいため、按分割合を低めに設定するか、暖房のみ按分対象とする方針が安全です(個人事業主の水道光熱費は経費になる? 計上できる経費や注意点(弥生))。
水道代は業務用途が明確でない限り按分を慎重に
水道代は自宅オフィスとして使っていても、業務直接関連の使用量を特定するのが困難です。事務所スペースを掃除する、業務用の植物に水やりをするなど、業務関連の使用実態が明確な場合のみ按分を検討します。
一般的なデスクワーク中心のフリーランスであれば、水道代の按分は「経費としての合理性が弱い」と判断される可能性があります。按分を行わないか、合理的に説明できる業務用途を特定してから計上してください。
面積比で按分する場合の考え方
業務専用スペースが存在する場合、部屋の面積比で按分する方法も有効です。自宅全体が50平方メートルで、専用作業スペースが10平方メートルなら按分率は20%になります。この方法は「作業スペースが固定されている」場合に合理的な根拠になります。
リビングのテーブルで仕事をしている場合は「専用スペース」として認められにくいため、面積比での按分は専用の部屋や区画が存在する場合に限定して使うことが重要です。業務時間比と面積比を組み合わせることで、より精度の高い按分も可能です(家事按分を活用して生活費を経費に(マネーフォワード))。
固定資産税経費個人事業主|按分計算で5つのミスをゼロにする方法では、面積按分を使った経費計算の具体的な方法を解説しています。

CHECK
▶ 今すぐやること: 先月の電気代請求書を開き、1日の平均業務時間÷在宅時間で按分率を計算する(10分)
Q: 電気代の按分率は毎月変えても問題ありませんか?
A: 毎月の業務実態が変わる場合、月ごとに按分率を変えることは問題ありません。ただし、算定根拠(業務時間記録)を月ごとに保管しておく必要があります。毎月変更する場合は記録の手間が増えるため、年間を通じた平均値を使う方法も選択肢の1つです。
Q: 仕事部屋の電気代だけを経費にできますか?
A: 仕事専用の部屋に独立した電気メーターがある場合は全額計上できますが、通常の住宅では部屋別の計量は難しいため、面積比または業務時間比での按分が必要です。
家事按分の妥当性を5分で自己診断
以下の質問に答えることで、現在の按分状況を確認できます。
Q1: 通信費・水道光熱費の按分率に「根拠となる記録」が存在しますか?
存在する場合はQ2へ進んでください。存在しない場合は按分率の根拠記録が不足しています。業務時間の記録またはスペースの面積計測を今月から開始してください(Result D)。
Q2: その記録は「計算式として再現できる」形で保管されていますか?
再現できる場合はQ3へ進んでください。再現できない場合は「感覚的な割合」での経費計上になっている可能性があります。計算式を文書化することを優先してください(Result C)。
Q3: 按分率が「業務の実態」を反映していますか?(例:週5日フルタイム在宅なのに按分率10%等がないか)
反映している場合はResult A(現状維持+記録の継続を推奨)です。反映していない可能性がある場合はResult B(按分率の見直しが必要)です。
Result A: 按分率・記録ともに問題なし
現状の記録を毎月継続し、年度末に通年の平均按分率を計算した上で確定申告に反映してください。
Result B: 按分率の見直しが必要
業務実態(業務時間、日数、スペース)を今一度計測し、計算式を更新してください。
Result C: 計算式の文書化が必要
使用している按分率の根拠(計算式・記録の保管場所)をA4用紙1枚にまとめ、確定申告書類と一緒に保管してください。
Result D: 記録の新規作成が最優先
今日から業務時間をカレンダーに記録し始めてください。過去の月については手元の記憶と請求書から可能な範囲で再現し、今後の根拠として積み上げていきます。
家事按分割合目安|費用別の決め方と税務署に通る根拠の作り方では、費目ごとの按分割合の目安と根拠の作り方を詳しく解説しています。

CHECK
▶ 今すぐやること: 上記4つの質問に答え、Result A〜Dのうち自分の該当するResultの行動を今日中に1つ実施する(5分)
Q: 按分率に「上限」はありますか?
A: 所得税法上、家事按分の一律上限は定められていません。ただし、業務実態を大幅に超えた高い按分率は税務調査で否認されるリスクがあります。実態に即した計算根拠があることが前提です。
Q: 税務調査で按分率を否認された場合はどうなりますか?
A: 否認された経費分が所得に加算され、追加の税額と過少申告加算税・延滞税が生じる可能性があります。合理的な根拠と記録を保管しておくことが最大のリスク対策です。
家事按分の実例は2パターンで比較
成功パターンと失敗パターンの違いを知ることで、自分の対応に活かせます。
ケース1(成功パターン): 業務時間記録を毎日つけ、税務調査で説明できた事例
在宅ワークを開始したフリーランスのWebデザイナーAさんは、開始当初から業務時間をGoogleカレンダーで記録していました。月ごとの業務時間合計÷総在宅時間で按分率を算出し、電気代と通信費を按分して経費計上しました。税務調査が入った際も、カレンダーの業務記録と月次の計算シートをもとに按分の根拠を説明し、経費が認められました。
仕事と私用の両方で使うもの【家事按分のルール】でも「仕事と私用で使うものは家事按分が必要であり、経理・税金の基本ルールを押さえることが重要」と説明されています。
記録をつけずに「感覚的な割合」で計上し続けると、調査時に根拠を示せず否認される可能性があります。
ケース2(失敗パターン): 根拠なき高按分率で修正を求められた事例
フリーランスのライターBさんは、電気代・ガス代・水道代・通信費のすべてを一律80%で経費計上していました。按分の根拠記録はなく、「在宅ワークだからほとんど仕事で使っている」という認識で申告を続けました。税務調査では按分率80%の根拠を問われ、記録が存在しないため合理的な説明ができませんでした。水道代とガス代については業務関連の使用実態が特定できず、経費を大幅に減額する修正申告が必要になりました。
専門家も繰り返し指摘するとおり、家事按分のルールを知らずに感覚で計上することにはリスクがあります(仕事と私用の両方で使うもの【家事按分のルール】)。
開業初年度から按分の根拠記録を作成しておくことで、税務調査での否認リスクを大幅に低減できます。
CHECK
▶ 今すぐやること: 現在の按分率を書き出し、各費目の計算根拠(何を分母・分子にしているか)を確認する(5分)
Q: 税務調査は通常どのタイミングで行われますか?
A: 税務調査には任意調査と強制調査があり、任意調査は申告から数年後に行われることが多いです。調査対象になりやすいのは、経費が急増した年度や収入に対して経費率が高い申告が続いた場合です。国税通則法の規定により、帳簿書類の保存期間は原則7年間とされています。
家事按分は5つの仕組みで税務調査に備える
以下5つの実務ノウハウを実装すると、記録の作成と経費計上の両方が仕組みとして回り始めます。
ハック1: 業務時間記録で電気代の按分根拠を自動生成
【対象】: 在宅ワーク中心のフリーランスで電気代の按分根拠を作りたい人
【手順】: Googleカレンダーに「業務時間」の繰り返しイベントを設定します(初日10分)。毎週末に実際の業務時間と在宅時間の差異を30秒で確認し、必要なら修正します。月末にカレンダーの業務時間合計÷在宅時間合計を計算し、按分率をスプレッドシートに記録します。この記録が電気代の按分根拠として機能します(月5分)。
【ポイント】: 「後でまとめて記録しよう」と考えると、月をまたぐと業務時間の記憶が曖昧になり記録が不正確になります。最初から日次で自動記録される仕組みを作ると、記録の精度が上がり税務調査時の説明根拠として信頼性が高まります。Googleカレンダーは無料で、スマートフォンとPCで同期されるため手間なく記録が蓄積します。
【注意点】: 実際より長く記録すると、実態と記録の乖離が後に問題になります。按分率を高めるために記録を操作することは逆効果です。「正確な記録」が目的です。
ハック2: 費目別フォルダで請求書の保管を月1回で完結
【対象】: 通信費・電気代・ガス代の請求書をバラバラに保管していて、確定申告時に困っているフリーランス
【手順】: クラウドストレージ(Google DriveまたはDropbox)に「経費」フォルダを作り、「通信費」「水道光熱費」のサブフォルダを作成します(5分)。毎月の請求書(PDF・スクリーンショット)が届いたら、その月中にフォルダへ格納します(月2分)。請求書ファイル名を「YYYY-MM-通信費-金額」形式に統一し、確定申告時に一覧として使えるようにします。
【ポイント】: 請求書をメールで受け取りそのままにしておくと、申告時にまとめて探す作業に30〜60分かかります。月1回2分でフォルダに格納する習慣を作ると、申告時の作業が大幅に削減されます。ファイル名を統一すると年間の費目別合計を素早く把握できます。
【注意点】: 紙の請求書が届く場合はスキャンまたはスマートフォンで撮影してデジタル化してください。撮影は鮮明に写っていれば専用スキャナーを購入する必要はありません。
ハック3: 通信費の按分計算シートで毎月5分で仕訳完了
【対象】: 通信費の按分率を毎月計算しているが、計算過程が残らないフリーランス
【手順】: スプレッドシートに「月」「請求額」「業務日数」「月の総日数」「按分率(=業務日数/総日数)」「経費計上額(=請求額×按分率)」の列を作成します(15分)。毎月請求書が届いた日に請求額と業務日数を入力します。按分率と経費計上額は自動計算されます(月3分)。確定申告時にこのシートを印刷または保存し、按分の計算根拠として保管します。
【ポイント】: 毎月の請求書だけを保管し、按分計算を頭の中で行うと、税務調査で「なぜこの金額か」の説明ができなくなります。スプレッドシートで計算式を固定しておくと、計算ミスが防止でき、根拠の透明性が高まります。
【注意点】: 按分率を固定値(例:毎月65%)で入力することは避けてください。実際の業務日数を毎月入力することで、実態を反映した動的な按分率が計算されます。固定値を使うと「実態と無関係な恣意的な割合」と判断されるリスクがあります。
家事按分計算ツール完全ガイド|5つの仕組みで確定申告を正確化では、スプレッドシートを使った按分計算の自動化方法を詳しく解説しています。

ハック4: 仕事専用SIMの導入で通信費を全額経費に
【対象】: プライベート兼用スマートフォンの通信費の按分に毎月時間をかけているフリーランス
【手順】: 格安SIMサービス(IIJmio、mineoなど)でデータ専用SIMを契約します。このSIMを業務専用のスマートフォンまたはルーターに挿入します(契約手続き30分)。業務用端末にはビジネス関連のアプリのみをインストールし、私的なSNS・エンターテインメントは使用しません。業務専用SIMの月額料金を全額「通信費」として計上します。按分計算は不要になります。
【ポイント】: 現在使っているスマートフォンで按分する方法と比べて、業務専用SIMを別途契約すると按分計算が完全に不要になります。月額1,000円台の追加コストで、毎月の按分計算の手間がゼロになり、全額経費として計上できます。
【注意点】: 業務専用SIMを入れた端末でも私的利用をした場合、「専用である事実」が崩れます。端末の利用アプリや通信履歴が「業務専用」と説明できる状態を維持することが前提です。端末を業務専用に保つことができないなら、この方法は選ばない方が安全です。
ハック5: 年1回の按分率見直しで実態とのズレを防止
【対象】: 数年前に設定した按分率を一度も見直していないフリーランス
【手順】: 確定申告の準備を始める毎年1〜2月に、前年1年間の業務時間・日数記録を集計します(30分)。通信費・電気代それぞれについて、前年の実績値を使って按分率を算出し、前年の按分率と比較します。差が5ポイント以上あれば見直しを実施します。新しい按分率を計算シートに記録し、確定申告から新たな率で計上を開始します。変更の理由(業務実態の変化)もメモとして残します(10分)。
【ポイント】: 業務形態が変わった(副業から専業へ、在宅率の変化など)場合に按分率が実態と乖離してしまいます。実態との乖離は税務調査で指摘される原因の1つです。年1回の見直しを習慣化することで、常に実態に即した按分率を維持できます。
【注意点】: 按分率を急激に変更する場合(例:30%から70%へ)は、変更理由の記録が特に重要になります。業務量の変化を示す証拠(業務記録、受注履歴など)と合わせて保管してください。
CHECK
▶ 今すぐやること: 上記5つのハックのうち、今の自分に最も不足している1つを選び、今週中に着手する(判断5分、初期設定15分以内)
Q: 按分の計算方法は費目ごとに変えてよいですか?
A: 問題ありません。通信費は使用日数、電気代は業務時間比というように、費目の性質に合った最も合理的な方法を選んでください。重要なのは各費目の計算根拠を明確にすることです。
Q: 会計ソフトでの仕訳入力はどのようにすればよいですか?
A: 按分後の金額を通信費または水道光熱費の勘定科目で仕訳します。例えば月の電気代1万円を60%按分する場合、6,000円を「水道光熱費」として入力します。残りの4,000円は事業主貸(生活費)として処理します。
家事按分は根拠記録が決め手
フリーランスの家事按分は、「合理的な根拠があるかどうか」が経費計上の可否を決めます。通信費は使用時間・日数の記録、水道光熱費は業務時間比または面積比が合理的な根拠になります。どちらの費目も、計算式と記録を書面として保管しておくことが税務調査での説明力を左右します。
按分率を決めることよりも、その按分率を「なぜその割合にしたか」説明できる状態を作ることの方が重要です。記録を作る習慣は最初の1週間が山場です。今日、Googleカレンダーに業務時間の記録を始めることが、来年の確定申告をスムーズにする最初の一歩です。
| 状況 | 次の一歩 | 所要時間 |
| 記録がまだない | 業務時間をGoogleカレンダーに今日から記録開始 | 5分 |
| 按分率の根拠がない | 先月分の業務日数と請求書から計算式を作成 | 15分 |
| 記録はあるが計算式が残っていない | スプレッドシートに計算シートを作成 | 20分 |
| 専用SIMを検討中 | 格安SIMサービスのプランを比較 | 10分 |
※本記事で紹介した情報は2025年7月時点のものです。
フリーランスの家事按分に関するよくある質問
Q: 通信費の按分割合は何%が目安ですか?
A: 法令上の一律目安はありませんが、週5日フルタイムで在宅業務をしている場合は50〜70%が一般的な水準とされています。重要なのは「この割合の根拠は何か」を説明できることです。使用日数や業務時間の記録があれば、実態に応じた割合で問題ありません。
Q: 水道代も家事按分できますか?
A: 事業への使用実態が明確であれば按分できますが、一般的なデスクワーク中心のフリーランスでは業務関連の使用を特定するのが難しいため、計上しないか非常に低い按分率にとどめる方が安全です。電気代やガス代と比較して合理的根拠を作りにくい費目です。
Q: 自宅の家賃と光熱費を同じ按分率で計上してもよいですか?
A: 家賃と光熱費は性質が異なるため、同じ按分率を使う必要はありません。家賃は面積比で按分し、光熱費は業務時間比で按分するなど、費目ごとに最も実態に即した方法を選んでください。
【出典・参照元】
個人事業主の水道光熱費は経費になる? 計上できる経費や注意点(弥生)