目次

この記事でわかること

複式簿記に切り替えると年間8万〜18万円の手取り増が見込める理由、4問の診断で自分に合う簿記方法を即判定できる基準、会計ソフトを使えば今日から複式簿記を始められる具体的な手順。

フリーランスの確定申告で複式簿記を選ぶと最大65万円の青色申告特別控除を得られますが、単式簿記(簡易簿記)では10万円にとどまります。この差は所得税法第65条の青色申告特別控除の規定に基づきます。記帳方法の違いから申告控除額の比較、移行手順まで解説します。

この記事の結論

複式簿記を選ぶかどうかは「年間節税額55万円分の価値があるか」という一点で判断できます。取引が月10件以下のフリーランスであれば会計ソフトを使えば初日から複式簿記を始められ、簿記の専門知識は不要です。単式簿記は記帳の手間が最小限という利点がありますが、青色申告の65万円控除を捨てることになります。

今日やるべき1つ

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状況別ショートカット

状況読むべきセクション所要時間
単式と複式の基本的な違いを知りたい単式・複式簿記は3つの記録方式で区別3分
自分にどちらが向いているか診断したいフリーランスの簿記選択は4問で判定2分
複式簿記の実際の書き方を見たいフリーランスの複式簿記は5つの仕訳で完結5分
65万円控除への移行手順を知りたい単式から複式への移行は3ステップで完了4分
控除額の差で実際にどれだけ得するか確認したい簿記選択で年間節税額は最大55万円変わる3分

単式・複式簿記は3つの記録方式で区別

簿記の選択で迷うフリーランスは多いです。「借方・貸方という言葉だけで複式簿記を避けてしまった」という判断は、年間55万円の控除機会損失につながります。まず2つの記録方式の根本的な違いを整理します。

単式簿記は収支のみを1行で記録する方式

単式簿記は「いつ、いくら入って、いくら出たか」を1行で記録する方法です。家計簿と同じ構造で、5万円の仕事代金を受け取ったら「収入5万円・取材費」と1行書くだけです。現金出納帳、預金出納帳、売上帳、仕入帳、経費帳の5種類の帳簿で対応でき、記帳にかかる時間は1取引あたり1〜2分です。損益計算書(売上−経費=利益)は作成できますが、貸借対照表(資産・負債の全体像)は作成できません。「今月いくら稼いで使ったか」はわかりますが、「事業の財産が今いくらあるか」は把握できない構造です。

複式簿記は原因と結果を2行で同時記録する方式

複式簿記は1つの取引を「原因(借方)」と「結果(貸方)」の2面から同時に記録します。5万円の入金であれば「借方:普通預金5万円/貸方:売上5万円」と記入します。この2行の記録によって損益計算書と貸借対照表の両方が自動的に完成します。「利益がいくらか」に加えて「銀行残高・売掛金・借入金が今いくらあるか」まで一元管理できます。会計ソフトを使えばこの2行入力は自動補完されるため、簿記の知識ゼロでも始められます。

青色申告の控除額は簿記選択で3段階に分かれる

白色申告・青色申告の選択と単式・複式の選択は、控除額に直接影響します。3つの組み合わせに分かれます。白色申告では単式簿記で申告でき、控除は基礎控除のみです。青色申告で単式簿記(簡易簿記)を使うと青色申告特別控除10万円が加わります。青色申告で複式簿記を使い、かつe-Taxで電子申告すると青色申告特別控除65万円が加わります。課税所得300万円のフリーランスが最大控除を受けると、所得税・住民税の合計で年間10万〜20万円以上の節税効果が見込めます。控除額の差55万円分の節税インパクトを計算すると(所得税率20%+住民税10%の場合)年間約16.5万円の手取り差になります。

一次情報として国税庁が青色申告特別控除の要件を公開しています。国税庁「青色申告特別控除」で確認できます。青色申告65万円控除の3条件とe-Tax申告の詳細も合わせて参照してください。

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▶ 今すぐやること: 自分の現在の申告方法(白色/青色)と簿記方法を確認し、控除額の差をメモする(5分)

Q: 単式簿記でも青色申告できますか?

A: できます。青色申告には「10万円控除(単式簿記可)」と「65万円控除(複式簿記必須)」の2種類があります。単式簿記の青色申告は現金出納帳などの帳簿保存が要件です。

Q: 白色申告なら帳簿をつけなくていいですか?

A: 2014年(平成26年)以降、白色申告でも法定帳簿の記帳・保存が義務化されています。収入金額や必要経費を記録する帳簿の保存が必要です(国税庁「記帳と帳簿等の保存」)。

要点整理

複式簿記とe-Taxの組み合わせで65万円控除を取得した。申告方法(白色/青色/複式)を確認した。単式簿記のままでは貸借対照表が作成できないことを把握した。

フリーランスの簿記選択は4問で判定

取引の規模や将来の事業計画によって最適解は変わります。以下の診断で2分以内に方向性を把握できます。

Q1: 現在、または今後青色申告65万円控除を取得したいですか?

Yesの場合 → Q2へ。Noの場合 → Result A(単式で十分)。

Q2: 月間の取引件数は50件以上ですか?

Yesの場合 → Result B(複式簿記+会計ソフト必須)。Noの場合 → Q3へ。

Q3: 事業の財産状況(売掛金・借入金・固定資産)を月次で把握したいですか?

Yesの場合 → Result C(複式簿記推奨)。Noの場合 → Q4へ。

Q4: 将来的に法人化や融資申請の予定がありますか?

Yesの場合 → Result C(複式簿記推奨)。Noの場合 → Result D(状況に応じて選択)。

Result A: 単式簿記で十分なケース

白色申告を選択しており、年間売上が比較的小規模(目安300万円未満)で節税より記帳の簡便さを優先したい場合は、現金出納帳と売上帳の2冊で対応できます。将来的な青色申告移行の機会は失われません。なお白色申告の帳簿付け方と3帳簿の詳細も参考にしてください。

Result B: 複式簿記+会計ソフトのケース

取引件数が月50件を超える場合、会計ソフトの自動仕訳機能を使えば、複式簿記の入力を大幅に削減できます。freeeやマネーフォワードクラウドの場合、銀行口座連携により取引の大半が自動取込されます。

Result C: 複式簿記を強く推奨するケース

財務管理や融資対応が必要な場合、貸借対照表が作成できる複式簿記は必須です。金融機関の融資審査では貸借対照表の提出を求められることが多く、単式簿記では対応できません。

Result D: 将来計画で判断するケース

現時点では単式簿記でも十分です。事業成長の見通しがある場合は今から複式簿記に慣れておくと移行コストを抑えられます。会計ソフトを使えば単式から複式への切り替えは1日で完了します。

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▶ 今すぐやること: 上記Q1〜Q4の診断を実施し、自分のResultを確認する(2分)

Q: フリーランスを始めたばかりで取引が少ない場合はどちらが向いていますか?

A: 取引が月20件以下であれば、会計ソフトを使った複式簿記でも1日5分の入力で対応できます。初年度から65万円控除を取得できる複式簿記を選ぶと、将来的な切り替えコストをゼロにできます。

Q: インボイス制度への対応は簿記の選択に影響しますか?

A: 影響します。適格請求書発行事業者(インボイス登録)の場合、仕入税額控除の管理が必要になるため、複式簿記の方が消費税の仕訳処理を正確に行いやすい構造です。

確認事項

4問の診断を実施し自分のResultを特定した。65万円控除を取得したい場合はResultがBまたはCになることを確認した。融資申請の予定がある場合は複式簿記が必須であることを把握した。

フリーランスの複式簿記は5つの仕訳で完結

フリーランスが使う仕訳パターンは5種類に絞られます。この5パターンを把握するだけで日常取引の9割以上に対応できます。

売上の入金仕訳は2ステップで記録する

売上が発生したとき、「売上の計上」と「入金の確認」の2段階に分けて記録します。まず仕事が完了した日に「借方:売掛金10万円/貸方:売上10万円」と記入します。次に口座に入金された日に「借方:普通預金10万円/貸方:売掛金10万円」と記入します。この2ステップにより、いつ仕事が完了して、いつ実際にお金が入ったかを別々に管理できます。単式簿記では「入金された日に収入10万円」の1行しか記録しないため、売掛金(まだ入金されていない売上)の残高が把握できません。取引先が5社を超えてくると、この差が資金管理の精度に直接影響します。

仕訳の具体例は以下のとおりです。

日付借方金額貸方金額
仕事完了日売掛金100,000円売上100,000円
入金日普通預金100,000円売掛金100,000円

経費の支出仕訳はジャンルごとに科目を使い分ける

経費を支払ったときは「借方:経費科目○○円/貸方:現金(または普通預金)○○円」と記入します。フリーランスがよく使う経費科目は、通信費(スマートフォン・インターネット代)、消耗品費(文房具・USBメモリ代)、地代家賃(自宅兼事務所の家賃按分)、旅費交通費(移動費)、外注費(業務委託費)の5つです。単式簿記では「経費5,000円」とだけ記録しますが、複式簿記では科目を分けて記録するため、年間でどの費目に費用がかかったかを自動集計できます。確定申告の際に経費科目ごとの集計表が必要になるため、日常から科目を分けて記録することで申告作業が大幅に短縮されます。個人事業主の勘定科目一覧と20科目の詳細も参照してください。

会計ソフトを使うと仕訳の入力は自動補完される

freee・マネーフォワードクラウドなどの会計ソフトを使う場合、借方・貸方の入力は不要です。「売上が入金された」「○○を購入した」といった取引の内容をソフトが判断し、仕訳を自動生成します。銀行口座やクレジットカードを連携させると、取引明細が自動取込され、金額の手入力すら省けます。複式簿記を難しく感じているフリーランスは、まず会計ソフトを使って3日間入力を続けてください。操作に慣れると「借方・貸方を意識しなくても複式簿記ができている」状態になります。

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▶ 今すぐやること: freeeまたはマネーフォワードクラウドの無料トライアルに登録し、直近の入金1件を入力する(15分)

Q: 会計ソフトなしで複式簿記を手書きで行うことはできますか?

A: できますが、取引が月20件を超える場合は手間が大きくなります。ExcelやGoogleスプレッドシートで仕訳帳テンプレートを作成する方法もありますが、試算表や決算書を自動作成できる会計ソフトを使う方が申告ミスのリスクを下げられます。

Q: 複式簿記の仕訳を覚えるのにどれくらいかかりますか?

A: フリーランスの日常取引に必要な仕訳パターンは10〜15種類です。動画学習サービスや簿記入門テキストを使えば、週2時間×2週間(合計8時間)程度で基礎を習得できます。会計ソフトを使う場合は仕訳を暗記する必要はありません。

押さえておきたい点

売上仕訳の2ステップ(売掛金計上→入金消込)を把握した。よく使う経費科目5種類を確認した。会計ソフトでは借方・貸方の手入力が不要であることを確認した。

単式から複式への移行は3ステップで完了

移行に必要な手続きは3ステップです。過去の帳簿を修正する必要はありません。

ステップ1: 青色申告承認申請書を税務署に提出する(締切:3月15日または開業後2ヶ月以内)

複式簿記で65万円控除を受けるには、まず青色申告の承認が必要です。「所得税の青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出します。提出期限は申告しようとする年の3月15日まで(開業初年度の場合は開業日から2ヶ月以内)です(国税庁「所得税の青色申告承認申請書」)。すでに白色申告で申告している場合でも、翌年度分から青色申告に切り替えられます。青色申告承認申請書の提出期限と2つの締切の詳細も確認しておきましょう。

ステップ2: 会計ソフトを導入して期首残高を入力する

青色申告の承認を受けた年の1月1日(または開業日)を起点として、複式簿記の記帳を開始します。移行時に必要な作業は、期首(1月1日時点)の資産と負債の残高を会計ソフトに入力する「開始残高設定」だけです。具体的には、銀行口座の残高・現金残高・売掛金残高・借入金残高を1回入力するのみで、所要時間は30分〜1時間です。それ以前の単式簿記の記帳を複式に直す必要はありません。

ステップ3: e-Taxの利用登録をしてマイナンバーカードを準備する

65万円控除の要件にはe-Taxによる電子申告または電子帳簿保存法に基づく電子帳簿保存が含まれています。国税庁の「e-Tax」サービスに利用者識別番号を登録し、マイナンバーカードまたはID・パスワード方式で申告できる状態にしておきます(e-Tax公式サイト)。会計ソフトからe-Taxへのデータ連携機能を使えば、完成した決算書をそのまま電子申告できます。登録手続きは30分〜1時間で完了します。

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▶ 今すぐやること: 国税庁サイトで「青色申告承認申請書」を検索し、提出期限を確認する(5分)

Q: 青色申告に切り替えると、翌年から65万円控除が使えますか?

A: 青色申告承認申請書を3月15日までに提出し、その年の1月1日から複式簿記で記帳すれば、翌年2〜3月の確定申告から65万円控除を適用できます。申請書の提出が3月15日を過ぎると、翌々年度からの適用になります。

Q: 税理士に頼まずに複式簿記で青色申告できますか?

A: 会計ソフトを使えば税理士なしでも対応できます。freeeやマネーフォワードクラウドには確定申告書の自動作成機能とe-Tax送信機能が含まれており、ソフトの案内に沿って操作するだけで申告書を作成・提出できます。取引が複雑な場合(不動産収入との合算・事業所得と給与所得の混在など)は税理士への相談も選択肢です。

重要ポイント

青色申告承認申請書の提出期限(3月15日)を確認した。会計ソフトへの開始残高設定が移行時の唯一の追加作業であることを把握した。e-Tax登録を完了した(または完了予定日を設定した)。

簿記選択で年間節税額は最大55万円変わる

控除額の差を所得税・住民税のシミュレーションで具体化します。

控除額55万円の差は税率次第で手取りに直結する

青色申告65万円控除と単式簿記の10万円控除の差は55万円です。この55万円の控除差額が税額に与える影響は適用される税率によって変わります。

課税所得の範囲所得税率節税差額(住民税10%込み)
195万円以下5%約8.25万円
330万円超〜695万円以下20%約16.5万円
695万円超〜900万円以下23%約18.15万円

年間8万〜18万円の手取り差は、会計ソフトの月額費用(目安:年間1.5万〜3万円程度)を差し引いても十分に上回ります。上記は復興特別所得税(2.1%加算)を含まない概算です。個人事業主の所得税計算と5ステップの詳細も参考にしてください。

単式簿記を選ぶ合理的な条件は3つに限定される

単式簿記が合理的な選択肢になるのは、売上規模が小さく控除額の差額メリットが会計ソフト代に見合わない場合、記帳自体の時間コストを最小化したい副業的フリーランスの場合、そして事業廃止が近い場合の3つです。年間売上が200万円を超えるフリーランスであれば複式簿記・青色申告を選ぶ方が年間収支でプラスになります。売上200万円未満かつ事業継続年数が1〜2年の見通しであれば、単式簿記で記帳の手間を省くという選択も合理的です。

複式簿記は融資・インボイスへの対応でも有利になる

節税以外の観点から複式簿記が有利になる場面が2つあります。1つは融資申請です。日本政策金融公庫などの金融機関は融資審査で貸借対照表の提出を求めることが多く、複式簿記でなければ作成できません。2つ目はインボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応です。インボイス登録事業者は消費税の仕訳を正確に管理する必要があり、複式簿記の方が仕入税額控除の計算ミスを防ぎやすい構造になっています。マネーフォワードクラウドのインボイス対応解説でも複式簿記の活用が推奨されています。

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▶ 今すぐやること: 前年度の課税所得を確認し、上記シミュレーション表で控除差額の手取りインパクトを計算する(10分)

Q: 青色申告の65万円控除と55万円控除の違いは何ですか?

A: 65万円控除はe-Tax(電子申告)または電子帳簿保存法に基づく電子帳簿保存を行った場合に適用されます。これらを行わず書面で申告した場合は55万円控除になります。複式簿記での記帳自体は65万円控除・55万円控除どちらにも共通の要件です(国税庁「青色申告特別控除」)。

Q: 単式簿記で青色申告10万円控除を取得する場合、必要な帳簿は何ですか?

A: 現金出納帳、売上帳、仕入帳、経費帳、預金出納帳の5種類が必要です。領収書や請求書などの証憑とあわせて7年間保存する義務があります(国税庁「記帳と帳簿等の保存」)。

覚えておくこと

自分の課税所得帯で節税差額を計算した。単式簿記が合理的な3条件(売上規模・副業・廃業見通し)を確認した。融資申請予定がある場合は複式簿記が必須であることを把握した。

フリーランスの簿記管理は5つの仕組みで効率化

毎日の記帳を習慣化するための仕組みを5つ紹介します。

ハック1: 口座連携で入力作業を月2回に圧縮する

【対象】: 銀行口座・クレジットカードで主な取引を行っているフリーランス

【手順】: 会計ソフト(freeeまたはマネーフォワードクラウド)に銀行口座とクレジットカードを連携します(初回設定30分)。月に2回(月初と月中)、自動取込された取引明細を確認し、勘定科目を割り当てます(1回あたり15〜20分)。現金取引分のみ手動入力し、月次の帳簿を締めます(月5〜10分)。

【コツと理由】: 月2回の集中確認の方が継続率が上がります。毎日入力を義務づけると1回の漏れでやる気を失い記帳が途絶えるリスクがあり、月2回なら取引明細の自動取込があるため漏れなく処理できます。口座連携により手動入力の対象は現金取引のみに絞られます。

【注意点】: 連携後の取引明細を確認せずに放置することは危険です。ソフトが自動で科目を割り当てますが、誤分類が発生することがあります。月2回の確認で誤分類を修正しないと、決算時に大量修正が発生します。

ハック2: 頻出仕訳5パターンを登録して入力時間を削減する

【対象】: 毎月同じ種類の経費(通信費・家賃・外注費)が発生するフリーランス

【手順】: 過去3ヶ月の取引を振り返り、毎月繰り返される経費の上位5項目をリストアップします(15分)。会計ソフトの「取引テンプレート」または「定型仕訳」機能にその5項目を登録します(20分)。翌月以降は登録済みテンプレートを呼び出して金額を修正するだけで入力を完了できます(1取引30秒)。

【コツと理由】: 仕訳入力の時間の大半は「どの科目を使うか考える時間」です。科目選択をテンプレート化することでその思考コストをゼロにできます。登録済みテンプレートを使うと1取引の入力時間を大幅に短縮できます。

【注意点】: 同じテンプレートを使い続けることで「科目の見直し」を怠ることが逆効果になります。事業内容が変わった場合(副業追加・業種変更など)は半年に1回テンプレートの内容を見直してください。

ハック3: 経費領収書の撮影を当日習慣化して年末の紙整理をゼロにする

【対象】: 現金での経費支払いが月5件以上あり、領収書管理が苦手なフリーランス

【手順】: 会計ソフトのスマートフォンアプリをホーム画面に配置します(1分)。現金で経費を支払った直後、その場でレシートをアプリのカメラで撮影し登録します(1取引1分)。週に1回、撮影済みの取引を確認して科目を確定し、電子帳簿保存法の要件を満たす場合は紙のレシートをシュレッダーにかけます。

【コツと理由】: 支払い直後に撮影する習慣にすると情報の鮮度が高く摘要欄の記入も正確になります。また、電子帳簿保存法の要件を満たすことで紙の保存義務を減らせます。年末に領収書を整理する時間を削減できます。

【注意点】: 電子帳簿保存法のスキャン要件を満たさない状態で紙の領収書を捨ててはいけません。要件が不明な場合は国税庁・電子帳簿保存法を確認するか、紙のまま7年間保存してください。

ハック4: 月次試算表の出力で確定申告の作業を1日に短縮する

【対象】: 毎年の確定申告作業に丸1日〜2日かかっているフリーランス

【手順】: 会計ソフトで毎月末に試算表(損益計算書の月次版)を出力し、前月と比較して数字の異常(突出した経費・売上の未計上)がないか確認します(月10〜15分)。年間12回の月次確認を通じて記帳の誤りをその月中に修正し、年末に大量修正が発生しない状態を維持します。確定申告期(2月〜3月)は会計ソフトの「決算書自動作成」機能で申告書を完成させ、e-Taxで提出します(半日)。

【コツと理由】: 毎月15分×12回の確認で年末の作業を半日にできます。月次でエラーを修正する仕組みを持てば、確定申告直前の「去年の領収書が見つからない」「金額が合わない」という問題が起きなくなります。

【注意点】: 月次確認はあくまで自己チェックです。複雑な申告(事業所得と不動産所得の合算など)では専門家への相談も検討してください。

ハック5: 記帳ルーチン化で年間の会計作業を効率化する

【対象】: 「記帳が苦手で確定申告が毎年ギリギリになる」フリーランス全員

【手順】: カレンダーアプリに「毎月5日・20日に会計入力15分」のリマインダーを設定します(5分)。リマインダーが鳴ったらソフトを開き、自動取込された取引の確認と現金取引の手入力を行います(15分)。3ヶ月継続できたら、月次試算表の出力と確認をルーティンに追加します(追加10分/月)。

【コツと理由】: 完璧な記帳より継続できる記帳の方が申告ミスを減らします。記帳が継続されていれば税理士に依頼したときも修正コストが最小限になり、自己申告の場合も直近の取引を見ながら確認できます。月2回×15分のルーティンで年間の会計作業を大幅に効率化できます。

【注意点】: 1ヶ月分の記帳漏れを後から修正すると、当日入力の数倍の時間がかかります。また、青色申告の帳簿は法定保存期間7年が義務であり、記帳漏れがある状態で申告すると青色申告の承認取り消しリスクがあります。

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▶ 今すぐやること: カレンダーアプリに「毎月5日・20日に会計入力15分」のリマインダーを設定する(5分)

Q: 会計ソフトは無料のものでも複式簿記に対応できますか?

A: freeeとマネーフォワードクラウド確定申告はいずれも無料プランがありますが、青色申告65万円控除に必要な決算書(貸借対照表・損益計算書)の出力と確定申告書の自動作成は有料プランの機能です。節税効果(年間8万〜18万円)と比べると費用対効果は高いと言えます。

Q: 単式簿記向けの帳簿テンプレートはありますか?

A: 国税庁の帳簿の記帳のしかた(不動産所得者用・事業所得者用)ページから記帳の手引きをダウンロードできます。ExcelやGoogleスプレッドシートで現金出納帳と売上帳のテンプレートを自作する方法も有効です。

要点整理

口座連携を設定し月2回の確認サイクルを確立した。頻出仕訳5パターンのテンプレートを登録した。カレンダーアプリに月2回の記帳リマインダーを設定した。

フリーランスは複式簿記で節税を最大化する:今日からできる3つの行動

複式簿記を選ぶことで、単式簿記との控除差額55万円を税率に応じて年間8万〜18万円の手取り増に変えられます。会計ソフトを使えば簿記の専門知識なしに複式簿記を始められ、月2回・合計30分の作業で記帳を維持できます。

単式簿記を選ぶ合理的な理由は「売上200万円未満かつ事業継続年数が1〜2年の見通し」の場合のほぼ3つの条件に限られます。それ以外のフリーランスは、今日から会計ソフトの無料トライアルを始め、複式簿記・青色申告に移行してください。

状況次の一歩所要時間
まだ申告方法を決めていない国税庁サイトで青色申告承認申請書を確認する5分
単式簿記で白色申告中会計ソフトの無料トライアルに登録する15分
青色申告10万円控除を受けている複式簿記への切り替えとe-Tax登録を検討する30分
すでに複式簿記を使っている月次試算表出力のルーティンを設定する10分

※本記事で紹介した情報は2025年7月時点のものです。

フリーランスの単式・複式簿記に関するよくある質問

Q: 単式簿記と複式簿記はどちらが初心者に向いていますか?

A: 手間の少なさという意味では単式簿記の方がシンプルです。会計ソフトを使う場合は、複式簿記でも記帳の手間はほぼ変わりません。65万円控除を取得できる複式簿記を最初から選ぶと、将来的な切り替えコストをゼロにできます。

Q: 単式簿記から複式簿記に途中で切り替えることはできますか?

A: できます。青色申告承認申請書を3月15日までに提出し、翌年1月1日から複式簿記での記帳を開始するだけです。過去の単式簿記の帳簿を修正する必要はなく、承認後の分から複式で記帳を始めます。

Q: 確定申告で提出する書類は単式簿記と複式簿記で異なりますか?

A: 異なります。複式簿記(青色申告65万円控除)では損益計算書と貸借対照表の2種類の決算書が必要です。単式簿記(青色申告10万円控除)では損益計算書のみで、貸借対照表の提出は不要です。白色申告では決算書の提出は不要ですが、収支内訳書の添付が必要です。なお個人事業主の損益計算書の書き方と青色申告対応も参考にしてください。

【出典・参照元】

国税庁「青色申告特別控除」

国税庁「所得税の青色申告承認申請書」

国税庁「記帳と帳簿等の保存」

e-Tax公式サイト

国税庁・電子帳簿保存法

国税庁「帳簿の記帳のしかた」

マネーフォワードクラウド・インボイス対応解説