目次

この記事でわかること

フリーランスの還付申告は翌年1月1日から5年間提出でき、e-Taxなら24時間手続きが完結します。所得税法第122条に基づく制度で、源泉徴収された税額が実際の税額を上回れば差額が戻ります。この記事では必要書類の準備から口座入金まで7ステップで解説します。

学べること内容
5年分さかのぼる方法2020〜2024年分の未申告を今から回収できる手順
書類収集の全体像5グループに整理した収集漏れゼロのチェック方法
振込までの所要期間e-Taxなら3週間〜1カ月、郵送なら1カ月〜1カ月半

この記事の結論

フリーランスの還付申告は「書類収集→申告書作成→提出→口座確認」の4段階で完結し、e-Tax利用なら最短当日に手続きが終わります。申告期限は翌年1月1日から起算して5年間あるため、過去分の取りこぼしも回収できます。控除漏れと口座名義の誤りがミスの多くを占めるため、この2点を重点チェックするだけで還付失敗リスクを大幅に下げられます。

今日やるべき1つ

国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスし、自分が還付申告の対象かを5分で確認してください。源泉徴収された金額が記載された支払調書または収入明細を手元に用意してから開始すると、判定が最短で終わります。

状況別ショートカット

状況読むべきセクション所要時間
そもそも自分が対象か確認したいフリーランスが還付申告できる4つの条件3分
何の書類を集めればいいか知りたい還付申告に必要な書類は5種類5分
e-Taxで申告する手順を知りたい還付申告は7ステップで完了10分
対象か迷っている、自己診断したい3分でわかる還付申告の対象診断3分
いつ振り込まれるか確認したい還付金は申告後1カ月半以内が目安2分

フリーランスが還付申告できる4つの条件

会社員は年末調整で税額が自動調整されますが、フリーランスにはその仕組みがありません。自分で確定申告を行って差額を取り戻す必要があります。以下の4条件のどれかに該当するかを確認してください。

条件1:源泉徴収で税金を先払いしている

フリーランスが特定の取引先から報酬を受け取る場合、支払い時点で所得税(原則10.21%)が天引きされます。この源泉徴収額が年間の実際の税額を上回っていれば、還付申告の対象です。支払調書や収入明細の「源泉徴収税額」欄にゼロ以外の数字が入っているかどうかが第一の確認ポイントです。支払調書を受け取っていない場合は取引先に発行を依頼することで確認できます(国税庁 確定申告に関する案内)。

条件2:年間の所得控除が多い

医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、ふるさと納税の寄付金控除など、年間を通じて支払いが多かった場合、課税所得が下がり納税額が減ります。源泉徴収された段階では控除が反映されていないため、申告によって差額が返ってきます。医療費が年間10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得の5%)を超えた年、国民健康保険料・国民年金を全額支払った年は特に還付額が大きくなる傾向があります。控除の多い年ほど、還付申告を怠ると数万円単位で損をするリスクがあります。フリーランスの個人事業税や社会保険料の負担が大きい年は、特に申告価値が高まります。

条件3:事業所得がマイナスまたは低水準だった年

廃業・休業・事業縮小などで年間所得が大幅に減少した年も対象です。源泉徴収は収入発生時に計算されるため、経費が多く最終的な課税所得が低い場合、源泉徴収額が過剰になります。青色申告の場合は純損失の繰越控除(最長3年)も活用でき、過去の黒字年に対して還付を受けられる場合もあります(国税庁 所得税の確定申告)。

条件4:還付申告の有効期限は翌年1月1日から5年間

還付申告は通常の確定申告期間(2月16日〜3月15日)より前の翌年1月1日から提出可能で、期限は5年間です。2020年分なら2025年12月31日が最終期限です。申告していない年があっても、5年以内であれば今からでも取り戻せます。この5年という期限は所得税法第122条に根拠があり、確定申告期間を過ぎても還付申告が認められる特例です。過去分の確認は早めに行ってください(国税庁 確定申告に関する案内)。

CHECK

▶ 今すぐやること:手元の支払調書または収入明細を開き、「源泉徴収税額」欄の数字を確認する(3分)

Q:確定申告をしたことがないフリーランスでも還付申告はできますか?

A:できます。還付申告は確定申告の一種で、まだ一度も申告していない年分でも5年以内であれば申告が可能です。白色申告・青色申告の区分は事前の届出状況によって変わります(国税庁 確定申告Q&A)。

Q:還付申告と確定申告は何が違うのですか?

A:確定申告は所得税の最終的な精算手続き全体を指し、還付申告はそのうち「払いすぎた税金を取り戻すための申告」です。フリーランスの場合は還付申告も確定申告書を使って行います。

還付申告に必要な書類は5種類

必要書類を性質別に5グループで整理すると、収集漏れを防げます。グループごとに手元にあるものとないものを仕分けしてから収集に入るのが最も効率的です。確定申告の必要書類一覧を事前に確認しておくと、準備漏れを大幅に減らせます。

書類グループ1:申告書本体

確定申告書(第一表・第二表)が中心です。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の指示に従って入力するだけで第一表・第二表が自動生成されます。紙で提出する場合は税務署の窓口または国税庁サイトからPDFをダウンロードして印刷します。第一表の右下「還付される税金の受取場所」欄に本人名義の口座情報を記入する必要があり、この記入漏れが最も多いミスの一つです(弥生 還付申告の手順解説)。

書類グループ2:収入の証明

フリーランスの収入証明は主に2種類に分かれます。第一は取引先から発行される支払調書で、源泉徴収税額が記載されています。第二は自分で管理している売上帳・請求書控えなど、支払調書が発行されない取引をカバーするものです。支払調書の提出は義務ではありませんが、還付額の計算根拠として手元に保管しておくと税務署からの問い合わせに対応しやすくなります。支払調書が手元にない場合は取引先に発行依頼するか、振込履歴から収入を再集計してください。フリーランスの支払調書は確定申告への添付が法律上不要ですが、手元に保管しておくと安心です。

書類グループ3:控除を証明する書類

医療費控除なら医療費の領収書または医療費通知書、社会保険料控除なら国民健康保険・国民年金の支払証明書(国民年金は日本年金機構から11月頃に発送される控除証明書が必要)、生命保険料控除なら保険会社から届く控除証明書、ふるさと納税なら自治体から届く寄付金受領証明書が必要です。年末にまとめて届く場合が多いため、封筒を開封せずに置いてしまうと紛失リスクがあります。控除証明書が見当たらない場合は各機関に再発行依頼が可能ですが、再発行まで1〜2週間かかります。

書類グループ4:本人確認書類

マイナンバーカード(番号確認と身元確認を1枚で兼ねる)が最もシンプルです。マイナンバーカードがない場合は、マイナンバー通知カードまたはマイナンバー記載の住民票(番号確認用)と運転免許証・パスポート等(身元確認用)の2点が必要です。e-Taxを使う場合はマイナンバーカードとICカードリーダー、またはスマートフォンのマイナンバーカード読み取り機能を使います。

書類グループ5:還付先口座情報

第一表への記入に必要なため、本人名義の銀行口座(金融機関名、支店名、口座種別、口座番号)を手元に用意します。屋号のみの口座名義または「個人名+屋号」の口座では振込不可となるケースがあります。口座名義は個人名のみ(例:山田太郎)であることを事前に確認してください(paytner フリーランスの申告解説)。

CHECK

▶ 今すぐやること:上記5グループの書類を確認し、手元にあるものに○、ないものに×をつける(5分)

Q:源泉徴収票がありません。フリーランスでも源泉徴収票は必要ですか?

A:フリーランスへの報酬に対して発行されるのは「支払調書」であり、源泉徴収票は主に給与所得者向けです。兼業で給与収入がある場合は源泉徴収票が必要ですが、純粋なフリーランスの場合は支払調書と自己管理の収入帳で対応できます。

Q:控除証明書を紛失した場合はどうすればよいですか?

A:国民年金は日本年金機構(ねんきんダイヤル:0570-051-165)、生命保険料控除証明書は各保険会社に再発行依頼が可能です。再発行には1〜2週間かかるため、申告期限の1カ月前には確認してください。

3分でわかる還付申告の対象診断

以下の3問に答えるだけで、自分が対象かどうかを3分以内に判定できます。

Q1:昨年1年間に、取引先から源泉徴収(報酬から税金が差し引かれて支払い)を受けましたか?

Yesの場合 → Q2へ進んでください。Noの場合 → 還付申告の対象外の可能性が高いです。ただし廃業・赤字年は例外があるためQ2も確認してください。

Q2:医療費・国民健康保険・国民年金・生命保険料などで、年間を通じて一定額の支払いがありましたか?(例:医療費10万円超、国保・年金の支払い実績あり)

Yesの場合 → 控除が適用でき、還付額が発生する可能性が高いです。Q3へ進んでください。Noの場合 → 源泉徴収額と課税所得の差だけで還付判定します。Q3へ進んでください。

Q3:過去5年以内に申告していない年がありますか?(例:2020〜2024年分で未申告の年がある)

Yesの場合 → Result A:過去分をさかのぼって申告することで、複数年分の還付を一度に受け取れます。年ごとに申告書を分けて作成します。

Noの場合 → Result B:今年分または直近1年分の申告を通常どおり進めます。翌年1月1日から提出可能で、3月15日以降も受け付けられます。

Result Aの方へ(過去分の取り戻し): 最大5年分の申告書を年ごとに作成し、税務署へ提出します。各年の税率・控除額は当該年の制度に従います。過去年分は確定申告書等作成コーナーの「過去の申告書作成」から対応できます。

Result Bの方へ(今年分の申告): e-Taxまたは郵送で申告書を提出します。提出後、1カ月〜1カ月半程度で還付金が指定口座に入金されます。

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▶ 今すぐやること:過去5年(2020〜2024年)分の申告状況を確認し、未申告の年がある場合はリストアップする(3分)

Q:還付申告は毎年しなければいけませんか?

A:義務ではありません。還付申告は任意の制度ですが、申告しなければ還付金は受け取れません。源泉徴収を受けた年はほぼ毎年申告するメリットがあります。

Q:過去5年より前の年はさかのぼれませんか?

A:さかのぼれません。還付申告の提出期限は申告できる年の翌年1月1日から5年間で、これを過ぎると権利が消滅します(所得税法第122条)(国税庁 確定申告に関する案内)。

還付申告は7ステップで完了

7ステップに分解するとそれぞれは単純な作業の積み重ねです。e-Tax利用を前提に解説します。

ステップ1〜3:書類収集と前準備(所要時間:30分〜1時間)

第一のステップは「収入の確定」です。すべての取引先からの報酬合計と、それに対応する源泉徴収税額の合計を集計します。支払調書が手元にない取引先は振込履歴から確認してください。第二のステップは「控除書類の収集」です。医療費領収書、国民健康保険・国民年金の支払証明書、生命保険料控除証明書、ふるさと納税の受領証明書を一箇所にまとめます。第三のステップは「マイナンバーカードの準備」です。e-Taxを利用するにはマイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダー)が必要です。マイナンバーカードがない場合は郵送申告に切り替えてください。

ステップ4〜5:申告書の作成(所要時間:30分〜1時間)

第四のステップは「確定申告書等作成コーナーへのアクセス」です。国税庁の確定申告書等作成コーナーから「e-Taxで申告する」を選択し、マイナンバーカードでログインします。第五のステップは「申告書への入力」です。収入金額、経費、各種控除を順番に入力すると、還付税額が自動計算されます。第一表の「還付される税金の受取場所」欄に本人名義の口座情報を入力することを忘れないでください。口座名義は個人名のみを入力します。

ステップ6〜7:送信と確認(所要時間:10分)

第六のステップは「申告書の送信」です。入力内容を最終確認後、マイナンバーカードで電子署名し送信します。送信完了後に「受付番号」が発行されますので、必ず控えておいてください。第七のステップは「還付金の入金確認」です。申告から1カ月〜1カ月半程度で指定口座に入金されます。国税庁の「確定申告書等の処理状況確認サービス」から処理状況を確認できます(国税庁 確定申告書等作成コーナー案内)。

e-Taxではなく郵送で申告する場合は、作成した申告書と添付書類を封筒に入れ、管轄の税務署宛てに送付します。切手代は数百円で済み、消印有効のため期限当日の発送も認められます。e-Taxと郵送の最大の違いは処理速度で、e-Taxの場合は還付まで約3週間〜1カ月、郵送の場合は約1カ月〜1カ月半が目安です(freee 還付申告のやり方解説)。

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▶ 今すぐやること:国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスし、「令和○年分の確定申告書作成」を選択して初期画面を確認する(5分)

Q:e-Taxで入力途中で保存はできますか?

A:できます。マイナンバーカードでログインしたセッションでは「一時保存」機能があり、別の日に続きから入力可能です。一時保存データには有効期限があるため、1〜2日以内に完成させてください。

Q:紙の申告書はどこで入手できますか?

A:税務署の窓口で配布しているほか、国税庁サイトからPDFをダウンロードして印刷できます。用紙を入手するためだけに税務署に行く必要はありません。

還付申告を確実に完了させる5つのポイント

競合記事の多くは「申告書を作成して提出する」という手順を紹介しますが、実務でつまずく場面は手順の外側にあります。5つのポイントを知っているかどうかで、申告の確実性と速度が大きく変わります。

ポイント1:控除漏れを申告前に再点検して還付額を最大化

【対象】: 控除の種類を把握しきれていないフリーランス全員

【所要時間】: 約35分

【手順】:

第一に、医療費・国民健康保険・国民年金・生命保険料・ふるさと納税の5項目について、昨年の支払い実績を一覧表に書き出します(10分)。第二に、各控除の計算式(例:医療費控除=医療費合計-10万円、ただし総所得金額等が200万円未満の場合は総所得の5%)で試算し、控除額を数値化します(15分)。第三に、確定申告書等作成コーナーの入力画面で各控除欄に入力し、還付税額の変化を確認します(10分)。最後に、試算した還付額と入力後の数字が一致しているかを照合してから送信してください。

【なぜ効くのか】: 総所得金額等が200万円未満の場合は医療費の基準が総所得の5%になるため、年収が低いほど控除が有利に働きます。社会保険料控除(国保・国民年金)は支払った全額が控除対象です。年収300万円のフリーランスが国保12万円+国民年金20万円を支払っている場合、32万円が課税所得から差し引かれ、税額にして数万円単位の差が生じます(実際の税額は所得・控除の状況により異なります)。控除書類を集める手間が直接手取り増加に変換される仕組みです。個人事業主の所得税計算を事前に把握しておくと、控除の効果をより正確に見積もれます。

【注意点】: 同一の医療費を申告書に2回入力する二重計上はしないでください。二重計上が発覚した場合、後日税務署から修正依頼が来ます。また、美容目的の施術費や健康増進目的のサプリメント購入費は医療費控除の対象外です。

ポイント2:口座名義を申告前に確認して振込不可を防ぐ

【対象】: 屋号付き口座または複数口座を持つフリーランス

【所要時間】: 約7分

【手順】:

第一に、使用する口座のキャッシュカードまたは通帳を開き、「口座名義人欄」が個人名のみ(例:ヤマダ タロウ)であることを確認します(2分)。第二に、屋号が含まれている場合(例:ヤマダ タロウ フリーランス事務所)は個人名のみの口座を別途選定するか、新規開設を検討します(口座開設には通常1〜2週間)。第三に、確定申告書第一表の「還付される税金の受取場所」に金融機関名・支店名・口座種別・口座番号・口座名義を正確に入力します(5分)。

【なぜ効くのか】: 国税庁のシステムは「申告者の法定氏名」と「口座名義」を照合するため、相違があると振込処理が止まります。屋号入り口座や家族名義口座だと振込不可となり、還付金の受け取りが遅延します。事前確認で遅延リスクを防げます(freenance 税理士解説の還付・還付金事例)。

【注意点】: 口座番号は手書き入力ミスが多いため、必ず通帳・キャッシュカードの現物を確認しながら入力してください。「0(ゼロ)」と「O(オー)」、「1(いち)」と「l(エル)」の見間違いは特に多いです。ネット銀行でも本人名義であれば問題なく使えます。

ポイント3:1月1日から申告して税務署の混雑を回避

【対象】: 早めに還付金を受け取りたいフリーランス、税務署窓口を利用予定の方

【所要時間】: 申告書作成1〜2時間、送信10分、窓口利用30分〜1時間

【手順】:

第一に、書類が揃い次第、翌年1月1日〜2月15日の間に申告書を作成・提出します。第二に、e-Taxなら24時間いつでも送信できるため、1月5日〜15日頃に提出すると処理が速い傾向があります。第三に、窓口利用の場合は税務署の相談スペースが比較的空いている1月中旬〜2月上旬を選んでください。

【なぜ効くのか】: 還付申告は1月1日から提出が認められており、この時期に提出することで3月以降の混雑期より処理が早まります。3月15日前後は税務署の混雑がピークに達し、窓口の待ち時間が長くなることもあります(フリーランスの還付申告体験解説)。

【注意点】: 1月1日時点では前年分の控除証明書(生命保険・国民年金)が届いていない場合があります。控除証明書は通常11月〜12月に発送されますが、届いていない書類があれば先に証明書収集を完了してから申告してください。控除書類なしで先に申告し後から修正申告する作業は時間がかかるため、書類が揃ってからまとめて申告することをおすすめします。

ポイント4:経費項目を事前に分類して計上漏れをゼロにする

【対象】: 経費の集計を年末にまとめてやろうとしていたフリーランス

【所要時間】: 約70分

【手順】:

第一に、事業用の経費を「通信費・交通費・外注費・消耗品費・家賃(按分)」の5カテゴリに分けてリスト化します(20分)。第二に、クレジットカードや銀行の利用明細から事業用の支出を抽出し、各カテゴリに振り分けます(30分〜1時間)。第三に、在宅勤務の場合は家賃・光熱費の按分比率(仕事部屋の床面積÷総床面積×使用時間比率)を計算し、経費計上できる金額を確定します(10分)。最後に、会計ソフト(freee・マネーフォワード等)または表計算ソフトに入力して合計を出し、申告書の「収入金額・必要経費」欄に転記してください(10分)。家事按分割合の決め方を事前に確認しておくと、在宅経費の計上根拠を正確に作れます。

【なぜ効くのか】: 年末に領収書をまとめて整理するより、毎月または四半期ごとに仕分けする方が1回あたりの作業が短時間で済み、計上漏れを大幅に減らせます。月次整理をしていない場合、年末の集計作業で古い領収書の用途を忘れ、結果として経費が過少計上になるケースが多いです。経費の計上漏れは課税所得の増加を通じて所得税・住民税の増加につながります。

【注意点】: プライベートと事業の支出が混在するクレジットカードを使っている場合、全明細を経費申告しないでください。按分の根拠(業務の何%に使用したか)を説明できる支出のみを計上してください。按分の根拠を文書化しておくと、税務調査時の説明が容易になります。

ポイント5:更正の請求と還付申告を混同せずに使い分ける

【対象】: 過去の申告に誤りがあったことに後から気づいたフリーランス

【所要時間】: 確認5分、書類作成30〜60分、提出10分

【手順】:

第一に、「誤りの種類」を確認します。申告自体をしていない場合は還付申告(5年以内)、申告済みだが控除が少なかった場合は更正の請求(原則5年以内)です(5分)。第二に、更正の請求の場合は更正の請求書(国税庁の書式)を作成し、元の申告書の控えと差異を示す書類を添付して提出します(30〜60分)。第三に、どちらのケースも税務署窓口または郵送で受け付けているため、書類の準備が完了次第、速やかに提出してください(10分)。

【なぜ効くのか】: 申告済み年について「もう一度確定申告を出せばよい」と考えると誤りです。正しくは「更正の請求」という別の手続きが必要で、この2つを混同して二重申告すると、税務署から照会が入り処理が遅延します。更正の請求は法定申告期限から5年以内(例:2024年3月15日申告分なら2029年3月15日まで)が基本的な期限ですが、特殊な事由がある場合は事由が生じた日の翌日から2カ月以内という短い期限が適用されることもあります(国税通則法第23条第2項)(国税庁 確定申告に関する案内)。更正の請求の書き方を参照すれば、手続きを5ステップで完了できます。

【注意点】: 確定申告書をすでに提出した年分に対して「修正申告」(追加納税)と「更正の請求」(還付請求)を混同しないでください。修正申告は税額を増やすときに使い、更正の請求は税額を減らすときに使います。両者は目的が正反対であり、誤った手続きをすると処理に遅延が生じます。

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▶ 今すぐやること:ポイント1〜5のうち自分に最も当てはまるものを1つ選び、今日中に書類収集または操作確認まで進める(所要時間:10〜30分)

Q:経費の領収書はすべて税務署に提出しなければいけませんか?

A:提出は不要です。申告書とともに提出が必要な書類は控除証明書等に限られます。領収書は申告後5年間(青色申告は7年間)自己保管が義務です。税務調査があった場合に提示できる状態にしておけば問題ありません。

Q:会計ソフトを使えば還付申告はもっと簡単になりますか?

A:なります。freee・マネーフォワード・弥生などの会計ソフトは収支入力から申告書作成、e-Tax送信まで一括で対応しており、手入力の手間を大幅に削減できます。

還付金は申告後1カ月半以内が目安

入金時期は「申告時期」と「提出方法」の2要素で変わります。申告後に最も多く出てくる疑問を、仕組みから整理します。

e-Tax提出と郵送提出で入金時期が変わる

e-Taxで申告した場合、税務署の処理が完了して還付金が入金されるまでの標準的な期間は3週間〜1カ月です。郵送や窓口で紙申告した場合は処理に1カ月〜1カ月半かかります。1月〜2月に申告した場合は処理が比較的速く、3月15日以降に申告が集中する時期は1カ月半程度かかることもあります。入金後に郵便で「国税還付金振込通知書」が届きます。受取口座は本人名義が必要です(freenance 税理士解説の還付・還付金事例)。

入金前の確認方法と問い合わせ先

申告受付番号(e-Tax送信時に発行)を使って、国税庁の「確定申告書等の処理状況確認サービス」から処理状況をオンラインで確認できます。1カ月半以上経過しても入金がない場合は、管轄の税務署に電話確認するか、税務署窓口で申告受付番号を提示して照会してください。口座名義の相違が原因で処理が止まっているケースが多いため、最初に口座情報を再確認してください。

処理状況確認サービスの使い方

国税庁 確定申告書等の処理状況確認サービスでは、申告の受付状況と還付の処理状況を確認できます。申告から約2〜3週間後に処理状況が更新されますので、それまでは状況変化がない場合があります。「送信済み」から「処理中」に変わった段階で入金が近いと判断できます。

CHECK

▶ 今すぐやること:申告完了後、申告受付番号をメモまたはスクリーンショットで保存し、申告日から1カ月後にカレンダーリマインダーを設定する(2分)

Q:還付金の入金通知は来ますか?

A:入金後に「国税還付金振込通知書」がハガキで届きます。ハガキが届く前に口座確認で気づく場合もあります。

Q:還付金は課税対象になりますか?

A:なりません。還付金は払いすぎた所得税が戻ってきたものであり、新たな所得ではないため課税されません。

フリーランスの還付申告を完了させる:7ステップと5つのポイントのまとめ

フリーランスの還付申告は「書類収集→申告書作成→提出→口座確認」の4段階で完結し、e-Taxを使えば最短当日に手続きが終わります。翌年1月1日から5年間提出できるため、過去分の取りこぼしも今から回収できます。控除漏れと口座名義の確認という2点を押さえるだけで、還付失敗リスクを大幅に下げられます。

申告は書類を揃えて国税庁サイトにアクセスするところから始まります。一度仕組みを理解すれば、毎年の作業は短時間に短縮できます。なお、フリーランスの開業資金の準備段階から税務の知識を身につけておくと、還付申告を含む確定申告全体がスムーズになります。

状況次の一歩所要時間
対象かどうかわからない支払調書で源泉徴収税額欄を確認する3分
書類が揃っているか不安5グループのチェックリストを作成する5分
申告書を今すぐ作りたい確定申告書等作成コーナーにアクセスする10分〜
過去分が未申告か確認したい過去5年(2020〜2024年)の申告履歴を確認する5分
還付金の入金状況を確認したい処理状況確認サービスに申告受付番号を入力する2分

※本記事で紹介した情報は2025年7月時点のものです。

フリーランス還付申告のやり方に関するよくある質問

Q:青色申告と白色申告のどちらでも還付申告はできますか?

A:どちらでも可能です。ただし青色申告は事前に「青色申告承認申請書」を提出している必要があります。青色申告特別控除(最大65万円)を適用できる場合は、その分課税所得が下がり還付額が増える可能性があります(国税庁 所得税の確定申告)。開業届と青色申告の同時提出を行っている方は、最初から65万円控除の恩恵を受けられます。

Q:フリーランスが還付申告を忘れるとどうなりますか?

A:ペナルティはありませんが、還付金を受け取る権利が5年の経過とともに消滅します。2020年分の申告をしていない場合、2025年12月31日を過ぎると永久に還付を受けられなくなります。

Q:e-Taxを使いたいのですが、スマートフォンだけで手続きできますか?

A:できます。マイナポータルアプリをインストールしたスマートフォンにマイナンバーカードを読み取らせる方法で、PCやICカードリーダーなしにe-Tax申告が完結します(国税庁 確定申告書等作成コーナー案内)。

Q:還付申告の提出期限を過ぎた場合、更正の請求との違いは何ですか?

A:還付申告は申告自体をしていない年に使い、更正の請求は申告済みの年に控除漏れ等を見つけた場合に使います。どちらも法定申告期限から5年以内が基本的な期限です。ただし更正の請求は特殊な事由がある場合に2カ月以内の短期期限が適用されることがあるため、申告済みの修正は早めに確認してください。

Q:フリーランスは税理士に頼まないと還付申告できませんか?

A:税理士への依頼は必須ではありません。e-Taxの確定申告書等作成コーナーは画面の指示に従って入力するだけで申告書が作成でき、初めての方でも対応可能です。ただし事業規模が大きい場合や青色申告特別控除の適用を最大化したい場合は、確定申告の税理士費用を確認した上で依頼を検討すると、還付額が増える場合もあります。

【出典・参照元】

国税庁 確定申告に関する案内

国税庁 所得税の確定申告

国税庁 確定申告書等作成コーナー案内

国税庁 確定申告Q&A

freenance 税理士解説の還付・還付金事例

フリーランスの還付申告体験解説

paytner フリーランスの申告解説

freee 還付申告のやり方解説

弥生 還付申告の手順解説