この記事でわかること
フリーランス単価表は「必要手取り÷実稼働時間」の時給換算を起点に、松竹梅3プランへ展開する5ステップで完成します。相場との乖離を防ぎながら安売りを避ける具体的な手順と、値引き交渉を回避するオプション設計の方法がわかります。実績ゼロの段階でも「なぜこの価格か」を数字で説明できる単価表を、最短30分で作れます。
フリーランスの単価表は「必要手取り÷稼働時間」の時給換算を起点に、松竹梅3プランへ展開する5ステップで完成します。相場との乖離を防ぎながら安売りを避ける具体的な手順を解説します。
この記事の結論
フリーランスの単価表は、目標月収から逆算した最低時給を土台にして、作業範囲・修正回数・納期を明記した松竹梅3プランに落とし込む5ステップで完成します。税込・税抜の明示と作業工程の細分化によって価格交渉時の説得力が生まれ、受注率の低下を防ぎながら単価アップを実現できます。実績が少ない段階でも「なぜこの価格か」を数字で説明できる設計が、長期的な収益安定につながります。
今日やるべき1つ
先月の実稼働時間を手帳やカレンダーで確認し、「目標月収÷実稼働時間」で自分の最低時給を1つ算出してください(10分)。
状況別ショートカット
| 状況 | 読むべきセクション | 所要時間 |
| 単価の数字をゼロから決めたい | フリーランス単価表は5ステップで設計 | 10分 |
| 料金表の見た目・構成を整えたい | 単価表の項目は7つで構成 | 5分 |
| 松竹梅プランの作り方を知りたい | 松竹梅3プランは中央値で受注率を上げる | 5分 |
| 今の単価が相場とズレていないか確認したい | フリーランス単価の相場を3分で診断 | 3分 |
| 実際の作り方事例を見たい | 単価表作成の実例は2パターンで比較 | 5分 |
| 単価アップの進め方を知りたい | 単価表は5つの仕組みで収益を最大化 | 10分 |
フリーランス単価表は5ステップで設計
単価表の作り方は、感覚ではなく数字の根拠を持った5ステップで完成します。「高すぎて仕事が取れなくなるのでは」という不安と「安売りして利益が残らない」という現実のどちらも、この手順で解消できます。
目標月収から最低時給を算出する
フリーランスの単価設定は、目標手取り月収を起点に逆算するのが最も確実な方法です。会社員との大きな違いは、所得税・住民税・国民健康保険・国民年金・経費をすべて自分で負担する点にあります。手取り30万円を確保するためには、売上として50万円前後が必要になるケースが一般的です。
会社員時代の月収をそのまま目標売上に設定すると、実質的な手取りが3〜4割減になります。この前提を把握しないまま単価を設定すると、働いても利益が残らない構造に陥ります。最初に「手取りから逆算した必要売上」を算出することが、単価設計の最重要ステップです。
計算式は「必要売上月額÷月間稼働時間=最低時給」です。たとえば必要売上50万円・月間稼働120時間の場合、最低時給は約4,200円になります。この数字が単価表全体の底値となり、これを下回る案件は原則受けないというラインとして機能します。なお、フリーランスの開業資金を事前に把握し、必要売上の計算に反映しておくことも重要です。

稼働時間を週単位で棚卸しする
最低時給を算出したら、次は自分が実際に稼げる時間を週単位で把握します。打ち合わせ・提案書作成・請求処理・スキルアップなど、直接収益に結びつかない時間を除いた「実質稼働時間」を算出してください。
フリーランスの場合、1週間のうち実際に受注案件に使える時間は、フルタイム換算でも25〜30時間程度になるケースが多いです。月4週計算で100〜120時間が実稼働の現実的な上限です。この数字を過大に見積もると、単価を低めに設定してしまい、後から時間が足りなくなります。
実稼働時間を正確に把握することで、「月に何件・何時間分の案件なら受けられるか」という受注キャパシティが明確になります。単価は収益の問題だけでなく、自分の時間管理の問題でもあるという認識が、長期的な稼働継続につながります。
作業工程を細分化して漏れをなくす
案件単価を決める際に最も損をしやすいのは、「含まれる作業の見積もり漏れ」です。たとえばWebデザイン1件を受注する場合、ヒアリング・構成案作成・デザイン・修正対応・納品作業まで合計すると、想定の1.5〜2倍の時間がかかることがあります。
作業工程を事前に細分化し、各工程に所要時間を割り当てることで、案件単価の根拠が生まれます。細分化した工程リストは、後で単価表の「含まれる範囲」欄に記載する情報としても活用できます。工程の見える化は価格の透明性を高め、クライアントへの説明力にも直結します。
工程細分化の目安として、ライティングなら「構成・執筆・修正・入稿」、デザインなら「ヒアリング・ワイヤー・デザイン・コーディング・修正・納品」のように5〜8工程に分解するのが実用的です。
競合相場を確認して価格帯を決める
自分の最低時給と稼働時間が把握できたら、市場相場と照合します。同じスキル・サービスで他のフリーランスがどの価格帯で受注しているかを確認することで、自分の価格が高すぎないか・低すぎないかの目安が得られます。
相場調査は、クラウドワークス・ランサーズ・ポートフォリオサイトの料金ページを10〜20件確認するのが手軽です。自分のスキルや実績が相場の中央値より上であれば、相場よりやや高めの設定が可能です。実績が少ない段階では、相場の中央値〜やや下からスタートして実績を積み、3〜6ヶ月ごとに見直す設計が現実的です。
時給×想定工数で案件単価を決める
最低時給と想定作業工数が揃ったら、「最低時給×想定工数」で案件単価の最低ラインを算出します。たとえば最低時給4,200円・想定工数10時間の案件なら42,000円が底値です。
実際の提示価格はこの底値に「責任・品質・スピード」の付加価値を乗せて決定します。修正1回のみ・5営業日納品を標準とし、追加修正や即日納品にはオプション料金を設定することで、基本価格を下げずに柔軟な対応が可能になります。端数は500円・1,000円単位に丸めると提示しやすく、クライアントも判断しやすくなります。
CHECK
▶ 今すぐやること: 先月の実稼働時間を確認し、「必要売上÷実稼働時間」で最低時給を算出してください(10分)
Q: フリーランスの単価は税抜・税込どちらで計算すればいいですか?
A: 単価設計は税抜ベースで行い、クライアントへの提示は税込・税抜を並記するのが実務上の混乱を防ぎます。インボイス制度(適格請求書等保存方式)導入後は、消費税の扱いを明示することがトラブル防止に直結します。
Q: 実績ゼロのフリーランスはどの単価から始めるべきですか?
A: 市場相場の最低ライン近辺からスタートし、3件以上の納品実績が得られた時点で10〜15%の値上げを検討するのが現実的な進め方です。最初から高単価を狙うより、実績と口コミの蓄積を優先する期間を設けることをおすすめします。
単価表の項目は7つで構成
情報が少なすぎるとクライアントが判断できず、多すぎると読まれない。この問題を解決するのが、7つの項目に絞った単価表の設計です。判断しやすく・交渉のしやすい単価表が、この構成で完成します。
サービス名と料金は最初に明示する
単価表の冒頭には「何のサービスで・いくらか」を迷わず伝えることが最優先です。サービス名が曖昧だと、クライアントは自分の依頼が対象になるのかを判断できません。「ブログ記事執筆(2,000文字)」「ロゴデザイン(1案)」のように、成果物の形と量を名称に含めると誤解が減ります。
料金は税込・税抜を両方明記し、「30,000円(税込33,000円)」の形式で記載するのが標準的です。税込だけ・税抜だけの記載は、後から請求額が変わったと誤解されるリスクがあります。インボイス登録事業者かどうかも、料金表の注記に1行加えておくと取引上の透明性が高まります。なお、個人事業主の見積書の書き方も参照することで、単価表から見積書への展開がスムーズになります。

含まれる作業範囲を明記する
料金表でクライアントが最も確認したい情報は「この金額で何をしてもらえるのか」です。作業範囲が不明瞭な単価表は、納品後のトラブルと追加費用交渉の原因になります。
含まれる範囲として記載する要素は、ヒアリング回数・制作物の数・修正回数・使用ツール・ファイル形式が標準的です。逆に「含まれない範囲」も明記することで、追加オプションの必要性をクライアント自身が判断できます。この透明性が、価格交渉を「値引き要求」ではなく「何を追加するか」という建設的な議論に変える効果があります。
修正回数・納期・オプションを設定する
修正回数の上限は単価表の中で最も重要な制約条件の1つです。修正回数を無制限にすると、作業時間が膨張して時給換算で赤字になるリスクがあります。「修正2回まで含む、3回目以降は1回10,000円」のような明示が、収益を守る仕組みとして機能します。
納期は標準納期と特急対応の2種類を設定し、特急は通常料金の20〜50%増しを目安にします。たとえば通常5営業日・特急2営業日の場合、特急料金として30%増しを設定しているフリーランスが多いです。オプション料金として「追加修正・特急対応・商用利用権・SNS展開サイズ追加」などを単価表に掲載することで、基本料金を下げずに顧客ニーズに対応できます。
CHECK
▶ 今すぐやること: 直近の案件で「修正何回対応したか」を確認し、上限回数と超過料金を単価表に追記してください(15分)
Q: 単価表と見積書の違いは何ですか?
A: 単価表は価格の目安を示す案内ツールで、見積書は特定の案件に対して正式な金額を提示する書類です。単価表で概算を伝え、詳細確認後に見積書を発行する2段階の運用が、クライアントとの認識ズレを防ぎます。
Q: 料金表に修正回数を書くと印象が悪くなりませんか?
A: 修正回数の明示はむしろ信頼性を高めます。プロとして作業範囲を明確にしている、という印象を与えるため、受注率への悪影響はほぼありません。修正無制限を売りにしているフリーランスが多い中、上限明示は差別化にもなります。
松竹梅3プランは中央値で受注率を上げる
選択肢を与えることでクライアントの「判断する側」に立ってもらい、交渉ではなく選択の場面に変える——それが松竹梅の3プラン設計です。「1つのプランだけ提示して断られる」という状況を、この設計で回避できます。
竹プランを標準として設計する
松竹梅の中で「竹(中央プラン)」が最も選ばれやすい心理傾向は、行動経済学の「極端の回避性(エクストリーム・アバージョン)」として知られています。最も安いプランは「この品質でいいのか」という不安を生み、最も高いプランは「予算オーバー」と判断されやすく、結果として中央プランに集中する傾向があります。
この仕組みを意図的に設計することで、自分が主力としたいサービスを中央プランに置き、選ばれやすくする効果が生まれます。たとえばライターであれば「梅:1,500文字5,000円・竹:3,000文字15,000円・松:5,000文字30,000円」のような設計で、竹プランが標準として認識されます。
松プランは付加価値で差別化する
松プランは「高額だから選ばれない」のではなく、「何が含まれているか」を明示することで選ばれる可能性が生まれます。成果物の量だけでなく、SEO調査・構成提案・修正3回・SNS用要約テキスト同梱など、付加価値を可視化してください。
松プランを選んでくれるクライアントは、価格より品質・スピード・付帯サービスを重視する層です。この層は価格交渉をしてくることが少なく、長期継続につながりやすい傾向があります。松プランの存在は直接受注につながらなくても、竹プランを「コスパが良い選択」に見せる効果があります。
梅プランは基本作業のみに絞る
梅プランは「最低限の品質を最低価格で提供する」という位置づけで設計します。修正なし・納品形式限定・ヒアリングなしなど、含まれない要素を明示することで梅プランの価格が正当化されます。梅プランにすべての要素を詰め込もうとすると、時給換算で赤字になりやすいため注意してください。梅プランは「この作業だけなら受けられる」という最小単位として設計し、追加要素はすべてオプションか上位プランへの誘導として機能させます。
CHECK
▶ 今すぐやること: 現在の単価表を「梅・竹・松」の3列に整理し、各プランの作業範囲を書き出してください(20分)
Q: 松竹梅にするとメニューが多すぎて逆に選びにくくなりませんか?
A: 3プランの比較表を1枚の表にまとめることで解決できます。各行に「作業範囲・修正回数・納期・料金」を並べると、3プランでも視認性が高い料金表になります。プランが4つ以上になる場合は、まず3つに絞り込む方が受注率が高まります。
Q: 3プランの価格差はどれくらいが適切ですか?
A: 梅:竹:松の比率は1:2〜2.5:3.5〜4程度が選ばれやすいバランスです。竹が梅の2倍前後・松が梅の3〜4倍程度に設定すると、中央プランへの集中が起きやすくなります。各プランの価格差が1,000〜2,000円程度では差が感じられず、3プランの設計効果が薄れます。
フリーランス単価の相場を3分で診断
「自分の単価が市場とどれくらいずれているか」を3分で確認できます。以下の3問に答えてください。
Q1: 先月の時給換算(月収÷実稼働時間)は2,500円以上でしたか?
Yesの場合はQ2へ進んでください。Noの場合はResult Aへ進んでください。
Q2: 単価表に「修正回数の上限」と「作業範囲」の両方が明記されていますか?
Yesの場合はQ3へ進んでください。Noの場合はResult Bへ進んでください。
Q3: 直近6ヶ月以内に単価の見直し(値上げ検討を含む)をしましたか?
Yesの場合はResult Cへ進んでください。Noの場合はResult Dへ進んでください。
Result A: 最低時給の再設計が最優先です
現在の単価が労働コストをカバーしていない状態です。「必要手取り÷実稼働時間」の計算をもう一度実施し、最低時給2,500円以上を確保できる案件単価に設定し直してください。即日対応として、直近案件の工数記録から実際の時給を算出してください(30分)。
Result B: 単価表への作業範囲明記が次の課題です
時給水準はクリアしていますが、単価表の記載内容が不完全なため、修正対応の増加や価格交渉でのトラブルが起きやすい状態です。修正回数の上限と含まれる作業範囲を今日中に追記してください(15分)。
Result C: 現状維持・または次のステップへ進める段階です
単価設計の基本は整っています。次のステップとして、松竹梅プランへの展開か、実績ベースの値上げ(現行の10〜20%増し)を検討する時期です。
Result D: 定期的な単価見直しのルール化が必要です
単価設計の内容は整っていますが、見直しの仕組みがありません。「半年ごとに単価表を見直す日」をカレンダーに登録してください(5分)。単価を1年据え置くことは、インフレや物価上昇を考慮すると実質的な値下げになります。
CHECK
▶ 今すぐやること: 上記診断を実施し、自分のResultに対応するアクションを今日中に1つ実行してください(3〜30分)
Q: 相場より高い単価を設定しても受注できますか?
A: 相場より20〜30%高い単価でも、「なぜこの価格か」を説明できる根拠(実績・納期・付加価値)があれば受注は可能です。価格だけで選ぶクライアントより、品質重視のクライアントと長期的な関係を築く方が収益の安定につながります。
Q: 単価の見直し頻度はどれくらいが適切ですか?
A: 最低でも半年に1回は見直してください。実績が増えた・スキルが向上した・稼働率が常に90%超えている、といった状況は値上げのサインです。年1回の確定申告時期に合わせて見直すと忘れにくくなります。
単価表作成の実例は2パターンで比較
ケース1(成功パターン): 字数×単価方式で安売りから脱出したライター
フリーランスライターのAさんは、長期間「1文字1円」の相場単価で受注を続けていました。月に10万文字納品しても売上10万円で、税金・経費を差し引くと手取りは6万円台という状況でした。転機となったのは、「字数×単価方式+ベース料金明示」への切り替えです。記事1本あたりの想定工数(構成・執筆・修正・入稿)を細分化し、時給3,500円×想定工数で案件単価を再計算したところ、2,000文字記事の適正単価が15,000円と判明しました。
単価表を刷新し、「梅:1,500文字8,000円・竹:2,500文字18,000円・松:3,500文字28,000円(SEO調査・構成提案込み)」の3プランに設計し直した結果、受注件数は半減しましたが月売上は1.4倍に改善しました。
字数×単価方式とベース料金を明示することで、安売りせずに信頼を得られたという声があります(価格表の作り方・見積り術)。
従来の「1文字1円」を継続していれば、月10万文字を超える受注が必要なまま体力的限界を迎えていた可能性があります。
ケース2(失敗パターン): 相場調査なしで安値提示を続けたデザイナー
フリーランスWebデザイナーのBさんは、受注を優先するために「相場より安くすれば選ばれる」という判断でポートフォリオ期間から低価格を継続していました。LP1枚15,000円という設定で稼働していましたが、ヒアリング・デザイン・コーディング・修正対応まで含めると実作業時間は20〜25時間。時給換算で600〜750円という水準でした。
値上げを検討するたびに「今のクライアントに嫌われるかも」という不安から先延ばしにした結果、2年間単価が据え置かれました。
「理想の時給から料金を決め、相場を確認しながら試行錯誤した」という経験を持つフリーランスデザイナーの報告があります(フリーランスの料金設定の試行錯誤)。
最初の3ヶ月で相場調査を行い、時給換算で根拠のある単価表を作成していれば、2年分の機会損失を避けられた可能性があります。値上げのタイミングや伝え方については、単価交渉メール例文を参考にすることで、既存クライアントとの関係を維持しながら進めることができます。

CHECK
▶ 今すぐやること: 直近1ヶ月の案件を1件選び、実作業時間を記録して時給換算してください(10分)
Q: 値上げを既存クライアントに伝えるベストなタイミングはいつですか?
A: 既存クライアントへの値上げ通知は、契約更新の1〜2ヶ月前が適切です。「〇月より料金改定を予定しております」と事前に伝え、移行期間として現行価格での受注を一定期間継続する配慮が、関係維持に効果的です。
単価表は5つの仕組みで収益を最大化

ハック1: 時給逆算で受注時間あたりの最低利益を確保する
【対象】: 単価を感覚で決めており、月末に利益が残らないと感じているフリーランス
【手順】: 必要手取り月収に1.5〜1.7倍を掛けた「必要売上月額」を算出します(例:手取り30万円→必要売上45〜51万円)(5分)。次に先月の実稼働時間(受注案件のみ)をカレンダーやタイムトラッキングツールで集計します(10分)。最後に必要売上÷実稼働時間で最低時給を算出し、案件見積もり時はこの数値に想定工数を掛けて底値を決めます(5分・以降の案件ごとに2分)。
【コツと理由】: 相場参照だけでは自分の固定費・税負担・稼働実態が反映されず、見かけ上は相場通りでも実質赤字になるケースがあります。「必要手取りから逆算した最低時給を底値として固定し、そこから上積みする」設計が赤字案件を防ぐ効果が高いです。最低時給を固定することで、値引き要求を受けた際も「これ以下は受けられない数字が存在する」という判断基準が生まれます。
【注意点】: 最低時給の計算を「手取り÷総稼働時間」で行うのは避けてください。打ち合わせ・営業・事務処理などの非収益時間を含めて計算すると、収益案件に使える実稼働時間が過大評価され、底値が低くなりすぎます。「収益案件に使った時間だけ」で計算するのが正しい方法です。
ハック2: 作業工程の細分化で見積もり漏れを月1〜3件防ぐ
【対象】: 案件を受けるたびに「想定より時間がかかった」と感じることが月2回以上あるフリーランス
【手順】: 自分が提供するサービスの標準的な作業工程を5〜8ステップに書き出します(例:ヒアリング→構成→制作→修正→納品)(15分)。各工程に「最小時間・標準時間・最大時間」の3パターンを割り当てます(10分)。見積もり時は標準時間の1.2倍を想定工数として使用し、最低時給と掛け合わせて案件単価を算出します(以降の案件ごとに5分)。
【コツと理由】: 過去の案件実績から平均工数を算出する方法だけに頼ると、クライアントの要求レベルやコミュニケーションコストの差が工数に与える影響を吸収できません。「標準工数の1.2倍バッファを全案件に適用する」方が案件収支の安定につながります。1.2倍バッファがあることで、想定外の修正対応や連絡待ち時間を吸収でき、時給換算での赤字案件が減少します。
【注意点】: 工程細分化のリストは「毎案件ゼロから作り直す」必要はありません。一度作成したテンプレートを再利用し、案件ごとの差分のみ追記する運用で十分です。毎回ゼロから作成すると、作業工程の洗い出し自体が工数になってしまいます。
ハック3: 基本料金+オプション設計で単価を下げずに柔軟対応
【対象】: クライアントから「もう少し安くならないか」と交渉されるたびに値引きしているフリーランス
【手順】: 現在の単価を「基本料金(標準作業範囲)」と「オプション料金(追加作業)」に分解します(15分)。基本料金から削除できる要素(修正回数・納品形式・ヒアリング回数など)を3〜5つ特定し、各要素の価格を設定します(10分)。価格交渉を受けた際は「値引き」ではなく「基本プランへの変更(含まれる範囲を狭める)」を提案します(以降の交渉ごとに)。
【コツと理由】: 値引きが慣例化すると次回以降の正規価格提示が困難になります。「含まれる範囲を減らして基本価格を下げる提案」を採用することで、単価表の価格水準を維持しながら予算の合わないクライアントにも対応できます。「値引き」という概念を使わないと決めることが、長期的な単価維持の最も効果的な仕組みです。
【注意点】: 基本プランから削除できる要素が1つもない場合は、その案件は最低時給を下回る可能性が高いため、受注を断ることも選択肢に含めてください。すべての依頼を受けようとすることは、単価表の意味をなくします。
ハック4: 修正回数の上限設定で時給を平均1,000円以上守る
【対象】: 修正が際限なく続き、案件ごとの実質時給が想定を下回ることがあるフリーランス
【手順】: 過去3ヶ月の案件の修正回数を記録から確認し、平均修正回数を算出します(10分)。修正上限を「平均修正回数+1回」に設定し、超過分の単価(1回あたり基本料金の10〜15%)を単価表に明記します(10分)。案件受注時にクライアントへ「修正は〇回まで含みます」と書面(メール・契約書)で確認を取ります(以降の案件ごとに2分)。
【コツと理由】: 単価表のテンプレートで「修正回数は応相談」と記載するケースがありますが、実際の現場では「修正回数を明確に上限設定して単価表に明記する」方が案件収支が安定します。「応相談」はクライアント側が「制限なし」と解釈するリスクがあります。上限を明記することで双方の認識が一致し、超過時の追加料金交渉もスムーズになります。なお、見積書諸経費の書き方も参照すると、修正費用の見積書への落とし込み方がよりスムーズになります。

【注意点】: 修正上限を「0回」にするのは避けてください。修正なし設定は受注ハードルを上げるだけでなく、納品後のクライアント満足度を下げる可能性があります。1〜2回の修正を含む設定が、品質保証と作業量管理の両立として機能します。
ハック5: 半年ごとの単価見直しで実質値下がりを防ぐ
【対象】: 単価を設定してから1年以上見直しておらず、スキルや実績が増えたと感じているフリーランス
【手順】: カレンダーに「単価見直し日(6ヶ月後)」を今日登録します(1分)。見直し日に「現在の稼働率・直近3ヶ月の時給換算・同分野の相場変動」の3点を確認します(30分)。稼働率が月80%超・時給換算が最低時給の1.5倍以上の場合、現行単価の10〜20%増しで新単価を設定し、既存クライアントには1〜2ヶ月前に通知します(以降の見直しごと)。
【コツと理由】: 値上げを個別の「決断」として捉えると心理的ハードルが高くなりますが、半年ごとの定期イベントとして仕組み化することで、感情ではなく数値基準で判断できるようになります。「定期見直しの仕組みを最初に設計しておく」方が、値上げを先延ばしにするリスクを防げます。単価を1年据え置くことは、インフレや物価上昇を考慮すると実質的な値下げになります。
【注意点】: 値上げ通知を「一方的なお知らせ」だけで済ませるのは避けてください。既存クライアントには理由(実績・スキルアップ・物価動向)を簡潔に説明し、移行期間(1〜2ヶ月間の現行価格継続)を設けることで、関係継続率を高く保てます。
CHECK
▶ 今すぐやること: カレンダーに6ヶ月後の「単価見直し日」を今すぐ登録してください(1分)
Q: エンジニア・デザイナー・ライターでは単価設計の方法に違いはありますか?
A: 基本の時給逆算と作業工程細分化の方法は職種を問わず共通です。ただし、エンジニアは「機能単位」、デザイナーは「成果物単位」、ライターは「文字数または記事単位」で単価を表示する方が業界慣習と合います。エンジニア単価表の作成事例では、200人へのヒアリングをもとにした単価設計の実例が参考になります。
単価表に使えるテンプレート3選
「どんな形式で見せるか」に迷う方のために、目的別に3つのテンプレートを用意しました。自分のサービスに合わせてコピーして使用してください。
テンプレート1: 松竹梅プラン比較表
クライアントが3プランを横に並べて比較できる形式で、竹(中央)プランを自然に選びやすくする設計です。
| 項目 | 梅プラン | 竹プラン(おすすめ) | 松プラン |
| 料金(税抜) | 10,000円 | 25,000円 | 50,000円 |
| 作業範囲 | 執筆のみ | 構成+執筆 | 調査+構成+執筆+修正提案 |
| 修正回数 | なし | 2回まで | 3回まで |
| 標準納期 | 7営業日 | 5営業日 | 3営業日 |
| 特急対応 | 不可 | 要相談(30%増し) | 可(30%増し) |
自分のサービス名・作業内容に合わせて「作業範囲」列の内容を入れ替えてください。デザイナーであれば「梅:修正なし・竹:修正2回・松:修正3回+ファイル形式3種」のように修正回数の差を主軸にすると差別化が明確になります。
テンプレート2: 単品サービス+オプション形式
サービスが1種類でも、オプションの組み合わせで対応範囲を広げられる設計です。価格交渉を「値引き」ではなく「オプション選択」に変換できます。
基本料金
| サービス | 内容 | 料金(税抜) |
| Webバナー制作(1点) | デザイン1案・修正2回・PNG/JPG納品 | 15,000円 |
オプション料金
| オプション | 料金(税抜) |
| 追加修正(1回につき) | 2,000円 |
| 特急対応(3営業日以内) | 5,000円増し |
| 追加バリエーション(1点) | 8,000円 |
| AI/PSD形式での納品 | 3,000円 |
基本料金の「修正2回」を「修正1回」に変更し、差額分をオプションに移すことで基本価格を下げた低価格プランも作れます。ライターであれば「基本:執筆のみ・オプション:構成案作成・SEOキーワード選定・入稿作業」のように展開できます。
テンプレート3: 初回問い合わせ返信用テキスト(価格説明文)
クライアントから「料金を教えてください」と連絡が来たときに、単価表を送付しながら案件の詳細確認につなげるための返信テンプレートです。見積もり前の最初の接点で使用します。
○○様
お問い合わせいただきありがとうございます。
料金の目安について、以下の通りご案内いたします。
【料金目安(税抜)】
梅プラン:10,000円〜
竹プラン:25,000円〜
松プラン:50,000円〜
正式なお見積もりは、作業内容・ボリューム・納期をお伺いした上で個別にご提示いたします。
つきましては、以下の点を教えていただけますでしょうか。
ご依頼内容の概要
ご希望の納期
ご予算のめやす
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
「梅・竹・松」の名称が気になる場合は、「ライトプラン・スタンダードプラン・プレミアムプラン」に変更してください。料金目安の数字は自分の単価表に合わせて変更してください。また、こうした問い合わせ対応から受注につなげるメール全般については、フリーランスのビジネスメール例文も合わせて活用してください。

CHECK
▶ 今すぐやること: 上記テンプレート1を自分のサービス内容に書き換えて、今日使える単価表の原型を作成してください(20分)
Q: 単価表はどのツールで作成するのが最適ですか?
A: GoogleスライドまたはNotionが最も実用的です。Googleスライドはビジュアル調整しやすくPDF出力も容易で、NotionはURLで共有できるため常に最新版を渡せる利点があります。Excelやスプレッドシートは数字管理には向きますが、見た目の調整に時間がかかります。
Q: 料金表はWebサイトに公開すべきですか、非公開にすべきですか?
A: 公開する場合は問い合わせのハードルが下がり、予算が合わないクライアントからの無駄な交渉を減らせます。非公開にする場合は、案件ごとに詳細を確認してから提案できる柔軟性があります。実績が少ない段階は非公開・個別対応で始め、受注フローが安定してから公開に切り替える進め方が一般的です。
※本記事で紹介した情報は2025年7月時点のものです。
単価表は5ステップで利益を確保
フリーランスの単価表は「必要手取りからの逆算」が起点であり、感覚や相場の模倣から始めると利益が残らない構造になります。最低時給の算出・作業工程の細分化・松竹梅3プランへの落とし込み・修正上限の明記・半年ごとの定期見直しという5つの仕組みを組み合わせることで、価格交渉にも実績の少ない段階にも対応できる単価表が完成します。
単価表は一度作ったら終わりではなく、稼働率・時給換算・相場変動の3点を半年ごとに確認して更新し続けることが、長期的な収益安定の仕組みです。なお、フリーランスとして稼ぐための営業の仕組みを整えることも、単価表の活用と合わせて重要な課題です。

単価設定に「正解」はありませんが、「根拠のない価格」だけが唯一の失敗です。今日算出した最低時給の数字を、今夜の単価表に反映してください。それだけで次の案件から利益構造が変わります。
| 状況 | 次の一歩 | 所要時間 |
| 単価をゼロから決めたい | 必要手取り÷実稼働時間で最低時給を算出する | 10分 |
| 単価表の形式を整えたい | テンプレート1(松竹梅比較表)をコピーして書き換える | 20分 |
| 値上げを検討している | 直近3ヶ月の時給換算を確認して現行単価と比較する | 15分 |
| 価格交渉への対策をしたい | 基本料金+オプション形式(テンプレート2)に再設計する | 30分 |
フリーランス単価表の作り方に関するよくある質問
Q: 単価表はどのくらいの頻度で更新すべきですか?
A: 半年に1回を基本ルールにしてください。稼働率が月80%以上・受注案件の時給換算が最低時給の1.5倍以上・同分野の相場が上昇している、の3条件が揃っている場合は3ヶ月での見直しも有効です。
Q: 相場より安くしないと案件が取れない気がするのですが、どうすればいいですか?
A: 相場より低い価格での受注継続は、稼働率が上がるほど利益率が下がる構造です。まず自分の最低時給を算出し、相場の最低ラインと比較してください。相場以下でしか受注できない場合は、価格ではなくポートフォリオ・実績の整理から着手してください。価格を下げて受注を増やす方向性は、単価が上がりにくい習慣をつくります。
Q: クライアントから「他の人はもっと安い」と言われたときの対応は?
A: 「他の方との作業範囲・修正回数・納期が同一条件かどうかを確認させてください」と返答することで、比較の前提条件を揃える提案になります。同条件でないことが多く、条件が明確になった段階で自分の単価の根拠を説明できれば、値引きせずに交渉を進めやすくなります。