目次

この記事でわかること

フリーランスが病気で収入ゼロになった場合に使える制度が5つある。傷病手当金は原則受け取れないが、労災特別加入・障害基礎年金・民間保険を組み合わせれば月収の一定割合を補填できる。今日から始められる5つの対策で、健康なうちにリスクを最小化できる。

フリーランスが病気で働けなくなったとき、会社員向けの傷病手当金は原則使えません。ただし、労災特別加入・障害年金・民間保険など最大5つの制度で収入を補える可能性があります。この記事では制度ごとの条件と使い方を解説します。

本記事の情報は2026年06月時点のものです。

この記事の結論

フリーランスが病気で働けなくなった場合、まず確認すべきは「仕事中か否か」「障害が残るか否か」「民間保険に加入済みか否か」の3点です。仕事中のケガや病気なら労災特別加入で休業補償が受けられ、長期の障害が残るなら障害基礎年金の申請が選択肢に入ります。公的制度だけでは月収の全額を補えないため、就業不能保険や所得補償保険との組み合わせが現実的な備えになります。

今日やるべき1つ

自分が労災保険の特別加入に入っているかを確認し、未加入なら加入手続きを行う特定フリーランス団体または労働局に問い合わせてください(30分)。

状況別ショートカット

状況読むべきセクション所要時間
傷病手当金がもらえるか知りたいフリーランスの傷病手当金は原則ゼロ2分
仕事中のケガ・病気で休業している労災特別加入で休業補償を受ける方法3分
長期入院・障害が残る可能性がある障害基礎年金は3要件で判定3分
民間保険で備える方法を知りたい就業不能保険と所得補償保険は2軸で選ぶ4分
今すぐ使える制度を診断したいフリーランスの休業補償を3分で診断3分

フリーランスの傷病手当金は原則ゼロ

フリーランスが病気になったとき、国民健康保険加入者には原則として傷病手当金の制度が存在しません。傷病手当金は会社員・公務員が加入する健康保険の給付であり、国民健康保険では受け取れない設計です。傷病手当金に頼れないことを出発点として、代替手段を組み合わせる設計が必要です。

傷病手当金は会社員専用の制度

傷病手当金は健康保険(協会けんぽや組合健保)の給付であり、会社員や公務員が加入する制度です(協会けんぽ「傷病手当金」)。支給額は給与の3分の2程度で、支給期間は通算1年6か月です。フリーランスが加入する国民健康保険にはこの給付が原則設けられていないため、会社員と同じ感覚で「休んでいれば給付が来る」という前提で資金計画を立てると危険です。傷病手当金に頼れないことを出発点として、代替手段を組み合わせる設計が必要になります。

国民健康保険に傷病手当金がない理由

国民健康保険は自治体ごとに運営されており、加入者は自営業者・フリーランス・無職など収入が多様な人々で構成されています。傷病手当金は「就労して給与を受け取っている」ことを前提とした制度であるため、就労形態が多様な国民健康保険では設計上対象外とされています(lify.jp「国民健康保険に傷病手当金はない」)。一部の市区町村が独自に傷病手当金相当の給付を設けているケースがありますが、全国一律ではなく、コロナ禍を契機とした特例期間終了後は多くの自治体で廃止・縮小されています。傷病手当金がない前提で備えを考えることが、フリーランス全体のスタートラインです。

会社員との給付差は最大で月20万円以上

月収30万円の会社員が傷病手当金を受け取る場合、支給額はおおよそ月20万円です(支給額は標準報酬日額の3分の2相当であり、実際の金額は個人の標準報酬月額によって異なります)。これが最長1年6か月継続します。フリーランスには同等の公的給付がないため、仮に同じ収入水準であれば、1年6か月で最大360万円以上の差が生じる計算になります。この金額差が「フリーランスの病気リスク」の核心であり、民間保険や貯蓄での補完を必要とする根拠です。数百万円規模の無防備状態を防ぐために、今すぐ次の行動に移してください。また、フリーランスの社会保険の仕組みを事前に整理しておくと、不足する補償の全体像が把握しやすくなります。

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▶ 今すぐやること: 国民健康保険の保険証を確認し、加入している健康保険の種類(協会けんぽ・組合健保・国民健康保険)を特定する(5分)

Q: 会社員から独立したばかりですが、以前の健保の傷病手当金は継続しますか?

A: 任意継続被保険者として旧健保に加入継続している場合、退職前に発病した傷病について、一定の条件のもと引き続き傷病手当金を受け取れる場合があります。独立後に新たに発病した傷病には適用されないため、以前の健保の窓口で個別の状況を確認してください。

Q: 国民健康保険で傷病手当金が出る市区町村はありますか?

A: 一部の市区町村が独自給付を設けている場合があります。全国一律の制度ではないため、お住まいの市区町村の国民健康保険窓口に問い合わせてください。

労災特別加入で休業補償を受ける方法

「仕事中にケガをした」「取材先で事故に遭った」という場合でも、フリーランスは会社員のような労災補償を自動的に受けられません。労災保険の特別加入という仕組みを活用することで、仕事中のリスクに対して会社員とほぼ同等の補償を受けられます。

労災保険の特別加入とは何か

労災保険は本来、雇用されている労働者を対象とした制度です。しかしフリーランスや個人事業主のうち一定の条件を満たす者は、特別加入という形で任意加入できます(厚生労働省「フリーランスの皆さまも、特別加入により労災保険の補償」)。2021年の制度改正により、IT・デザイン・映像制作・ライターなど多くの職種が対象に加わり、加入の機会が大幅に広がりました。特定フリーランス団体や特別加入団体を通じて申請することで、仕事中のケガや疾病について療養費の補償と休業補償を受けられます。個人事業主の労災保険特別加入の手続き詳細も合わせて確認してください。

休業(補償)等給付の仕組み

仕事上の病気やケガで4日以上休業し、その間収入を得られない場合に「休業(補償)等給付」が支給されます(厚生労働省「労災保険」)。支給額は給付基礎日額の60%相当であり、さらに休業特別支給金として20%が上乗せされるため、実質的には給付基礎日額の80%相当が受け取れます。給付基礎日額は加入時に申告する収入をもとに設定するため、実態に近い金額を申告することが重要です。申告額が低すぎると給付も低くなるため、実収入に合わせた設定が必要です。

特別加入の対象職種と加入手続き

加入できる職種は厚生労働省が指定しており、ITエンジニア・ライター・グラフィックデザイナー・映像制作者・あん摩マッサージ指圧師など多岐にわたります(厚生労働省「特別加入制度」)。加入手続きは「特別加入団体」または「特定フリーランス支援機関」を経由して行い、所轄の労働基準監督署に申請書を提出します。掛け金は申告する給付基礎日額と保険料率によって異なりますが、月額数百円から数千円程度が一般的です。加入前に所轄の労働局または労働基準監督署へ確認してください。

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▶ 今すぐやること: 厚生労働省の特別加入制度ページで自分の職種が対象かを確認し、対象であれば特別加入団体の窓口に連絡する(15分)

Q: フリーランスが通勤中に事故に遭った場合も労災特別加入の対象になりますか?

A: 労災保険の特別加入では、業務中のケガや疾病が基本的な補償対象です。通勤中の事故については、特別加入の種類や加入形態によって扱いが異なるため、所轄の労働基準監督署に確認してください。

Q: すでに病気で働けない状態ですが、今から特別加入できますか?

A: 原則として、休業中や既往症がある状態での新規加入は補償対象外となります。加入は健康なうちに行ってください。詳細は所轄の労働基準監督署または特別加入団体に確認してください。

フリーランスの休業補償を3分で診断

以下の質問に答えるだけで、優先的に確認すべき制度を3分で特定できます。

Q1: 病気やケガの原因は仕事中または通勤中ですか?

Yesの場合はQ2へ進んでください。Noの場合はQ3へ進んでください。

Q2: 労災保険の特別加入に加入していますか?

Yesの場合はResult A(労災の休業補償申請を最優先)。Noの場合はResult B(特別加入への加入を検討しつつ、民間保険を確認)。

Q3: 病気・ケガによって身体機能・精神機能に1年6か月以上続く障害が残る見込みがありますか?

Yesの場合はResult C(障害基礎年金の申請を検討)。Noの場合はQ4へ進んでください。

Q4: 就業不能保険または所得補償保険に加入していますか?

Yesの場合はResult D(加入中の保険会社に休業開始から速やかに連絡)。Noの場合はResult E(まず生活防衛資金の確認と民間保険の新規加入を検討)。

Result A: 労災の休業補償(給付基礎日額の80%相当)を申請します。主治医に「療養のため就労不能」の証明をもらい、労働基準監督署に書類を提出してください。

Result B: 仕事中のリスクがあるにもかかわらず特別加入していない状態です。回復後に速やかに加入手続きを行い、今の休業期間は生活防衛資金と民間保険でカバーを検討します。

Result C: 障害基礎年金の初診日から1年6か月後に障害認定日が到来します。日本年金機構の窓口で受給要件を確認し、申請準備を早めに始めてください。

Result D: 保険会社の指定書類(診断書・就労不能証明等)を揃えて請求手続きを行います。支払開始日(免責期間)の設定を事前に確認してください。

Result E: 現時点で使える公的制度が限られているため、生活費6か月分相当の現金確保状況を確認します。回復後は就業不能保険への加入を最優先事項として検討してください。

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▶ 今すぐやること: 上記の診断フローで自分のResultを特定し、該当するセクションを読む(3分)

Q: 精神疾患(うつ病)は労災特別加入の対象になりますか?

A: 業務上のストレス等が原因で発症した精神疾患は、一定の要件を満たせば労災認定される場合があります。認定の判断は個別の状況によって異なるため、所轄の労働基準監督署に相談してください。

Q: 複数の制度を同時に申請できますか?

A: 労災給付と民間保険は原則として重複受給が可能ですが、障害年金と労災給付は一定の調整規定が設けられており、受給額が減額される場合があります。組み合わせる制度によって調整のルールが異なるため、各制度の窓口に個別に確認してください。

障害基礎年金は3要件で判定

病気やケガが長引き、身体や精神に障害が残った場合に備える制度が障害年金です。フリーランスでも国民年金を通じた障害基礎年金を受け取れます。

障害基礎年金の3つの受給要件

障害基礎年金を受け取るには、以下の3要件をすべて満たす必要があります(日本年金機構「障害年金」)。第一に「初診日要件」として、障害の原因となった病気・ケガで初めて医師の診察を受けた日(初診日)に国民年金の被保険者であること、または被保険者だった60歳以上65歳未満の間に初診日があることです。第二に「保険料納付要件」として、初診日の前日時点で保険料の未納期間が全加入期間の3分の1以下であること、または初診日の属する月の前々月までの直近1年間に未納がないことです。第三に「障害状態要件」として、初診日から1年6か月後の「障害認定日」に、障害等級1級または2級に該当する状態であることです。国民年金保険料を未納している期間があると、受給要件を満たせないリスクがあります。国民年金の免除制度と未納リスクも事前に確認しておくことをおすすめします。

支給額と申請タイミング

2025年度の障害基礎年金の支給額は、1級が年額約102万円(月額約8.5万円)、2級が年額約81万円(月額約6.8万円)とされていますが、金額は毎年度改定されるため、最新額は日本年金機構公式サイトで確認してください。子どもがいる場合は子の加算があります。申請は障害認定日以後に行いますが、障害認定日から1年以上経過してから申請する「遅延申請(障害認定日請求)」も可能です。精神疾患(うつ病・統合失調症等)も対象となりますが、認定基準が身体障害と異なるため、精神科の主治医との連携が重要です。精神疾患を抱えるフリーランスも、初診日の記録を必ず残しておいてください。

申請に必要な書類と注意点

申請の主な必要書類は、障害年金請求書・診断書(傷病ごとに専用書式)・受診状況等証明書(初診日を証明する書類)・病歴・就労状況等申立書です。診断書は発行に数週間かかることがあるため、申請を検討した時点で早めに主治医へ依頼してください。また、初診日の証明が困難なケースがあるため、発症当初から通院記録や診察券を保管しておくことが備えになります。申請に不安がある場合は社会保険労務士への相談も検討してください。なお、ねんきんネットで納付状況を確認する方法を活用すれば、受給要件の充足状況を事前に把握できます。

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▶ 今すぐやること: 直近3か月分の国民年金保険料の納付状況をねんきんネットで確認する(10分)

Q: うつ病で仕事ができない状態でも障害基礎年金を受け取れますか?

A: うつ病は障害基礎年金の対象疾患です。認定の可否は症状の重さと日常生活への支障度によって判断されます。診断書の内容が認定に大きく影響するため、主治医と十分に状況を共有してください。最寄りの年金事務所で個別の状況を確認してください。

Q: 国民年金保険料を免除申請していた期間がある場合、受給要件はどうなりますか?

A: 法定免除・申請全額免除等の承認を受けた期間は、保険料納付要件の「未納」とは扱われないため、受給要件の計算では納付済みとして算入されます。ただし、学生納付特例・納付猶予の期間は保険料納付要件の算入対象外となるため注意が必要です。詳細は年金事務所で確認してください。

就業不能保険と所得補償保険は2軸で選ぶ

公的制度だけでは月収を十分カバーできないフリーランスにとって、民間保険は重要な補完手段です。就業不能保険と所得補償保険は設計が異なるため、自分の状況に合わせて選ぶことが出発点です。

就業不能保険と所得補償保険の違い

就業不能保険は生命保険会社が販売する保険で、長期の入院や在宅療養が続き就業不能と認定された場合に毎月給付金が支払われます(富国生命「就業不能保険の解説」)。精神疾患も多くの商品で対象に含まれており、給付期間は5年・10年・60歳まで等の設定があります。一方、所得補償保険は損害保険会社が販売する保険で、病気やケガで就業不能になった期間の所得減少をカバーします(あおば保険「所得補償保険の解説」)。免責期間(7日・30日・60日等)の設定が可能で、免責期間を長くするほど保険料が下がる特徴があります。所得補償保険と就業不能保険の詳しい違いと選び方も参考にしてください。

フリーランスが確認すべき5つのポイント

保険選びで見落とされやすい点が複数あります。第一に「職業告知」です。フリーランス・自営業者はリスク区分が高く、加入を断られる保険や保険料が高く設定される保険があるため、複数社を比較してください。第二に「免責期間」です。生活費6か月分の貯蓄がある場合は免責期間を60日以上に設定して保険料を抑える選択も合理的です。第三に「精神疾患の対象可否」です。うつ病や適応障害は増加傾向にあり、対象外の保険では役に立たない場面が生じます(ネオファースト生命「フリーランスの備え」)。第四に「支払限度日数または月数」です。1年・2年・5年と設定差があり、長期罹患リスクを考慮して選んでください。第五に「加入中の保険の約款確認」です。すでに何らかの保険に加入している場合は、就業不能や精神疾患が対象かを先に確認し、重複加入や補償漏れを防いでください。

所得補償保険の確定申告での扱い

フリーランスが所得補償保険の保険料を支払った場合、契約形態によって生命保険料控除の対象となる場合があります(損害保険の所得補償保険は介護医療保険料控除の対象となる場合があります)。また、受け取った給付金は原則として雑収入として申告が必要です。税務上の扱いは契約形態によって異なるため、税務署または税理士に確認してください(マネーフォワード クラウド「個人事業主が働けなくなった時の対策ガイド」)。

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▶ 今すぐやること: 加入中の保険の保険証券または約款を取り出し、「就業不能」「精神疾患」の補償対象記載を確認する(10分)

Q: 就業不能保険と所得補償保険は両方加入した方がよいですか?

A: 商品の設計が異なるため、両方加入することで補完できる場合があります。まず公的制度で補えない期間・金額を試算し、必要な補填額を明確にしてから検討してください。

Q: すでに病気を発症してから保険に加入できますか?

A: 発症後や治療中の申し込みは、告知義務によって加入できないか、当該疾病を対象外として付帯条件が付く場合がほとんどです。就業不能保険・所得補償保険は健康なうちに加入するものとして認識してください。

フリーランスの病気対策は5つの仕組みで完成

病気で働けなくなるリスクを最小限に抑えるために実践できる5つのポイントを紹介します。以下のポイントを実践することで、収入ゼロの状態でも生活を維持できる体制を整えられます。

ポイント1: 生活防衛資金6か月分を専用口座に分離して資金ショートをゼロにする

【対象】月の生活費の6か月分相当の現金を手元に持っていないフリーランス全般

【手順】月の最低生活費(家賃・食費・通信費・社会保険料等の固定費合計)を計算してください(15分)。その金額の6か月分を目標として、事業用口座とは別の専用普通預金口座を作成します(30分)。毎月の収入から一定額を自動振替に設定し、6か月分に到達するまで積み立ててください(設定5分、以後自動)。目標達成後は、その口座には手をつけない運用ルールを設定し、達成額を定期的に見直します。

【理由】生活防衛資金を事業資金・生活費と混在させると、病気時に使える金額が即座に分からず判断が遅れます。口座を分離することで、休業当日から何か月間生活できるかが数字で把握でき、保険や制度の申請を落ち着いて進められます。フリーランスの貯金の安全ラインも参考にして、具体的な目標額を設定してください。

【注意点】生活防衛資金を投資に回す必要はありません。株式や投資信託は価格変動があるため、いざというときに元本を下回っている可能性があります。普通預金または定期預金のまま保持してください。

ポイント2: 労災特別加入の給付基礎日額を実収入に連動させて補償額を最大化する

【対象】労災保険の特別加入に加入済み、または加入を検討しているフリーランス

【手順】直近1年間の事業所得(確定申告書の所得金額)を確認してください(5分)。年間所得を365日で割り、日額換算した金額を算出します(5分)。特別加入申請時の「給付基礎日額」の選択肢(3,500円〜25,000円の範囲)から実収入に最も近い金額を選んでください(10分)。加入後は毎年度更新時に給付基礎日額を見直し、収入変動があれば変更申請を行います。

【理由】給付基礎日額が実収入を大幅に下回ると、休業時に受け取れる金額(給付基礎日額の80%相当)が生活費に遠く及ばず、民間保険で全額補填せざるを得なくなります。保険料の差は月数百円程度であるのに対し、給付の差は月数万円に及ぶため、給付基礎日額は実収入に合わせてください。

【注意点】給付基礎日額の変更は毎年度の更新時にのみ可能な場合があります。収入が大きく増えた翌年度には忘れず変更申請を行ってください。収入を過大に申告することは認められないため、確定申告書の数字を基準にしてください。

ポイント3: 免責期間60日設定の所得補償保険で保険料を削減する

【対象】生活防衛資金6か月分の確保が完了しており、追加で民間保険の加入を検討しているフリーランス

【手順】現在の月の最低生活費と、病気時に確保できる公的給付(労災補償等)を試算してください(20分)。不足する月額を算出し、所得補償保険の「月額給付金額」として設定する目安を決めます(10分)。保険会社の見積もり時に、免責期間を7日・30日・60日で比較し、保険料の差額を確認してください(20分)。貯蓄で60日間は乗り切れると判断できる場合は免責期間60日の商品を選び、差額分を貯蓄に回します。

【理由】生活防衛資金6か月分がある場合、免責期間60日設定は免責期間7日設定と比べて保険料を抑えられます(削減幅は商品・年齢・職種によって異なるため、各社の見積もりで比較してください)。節約分を生活防衛資金の上乗せや別のリスク対策に充当できます。

【注意点】免責期間60日の設定は、60日間は保険給付がゼロであることを意味します。生活防衛資金が不十分な状態で長い免責期間を選ぶことは逆効果です。まず貯蓄確保(ポイント1)を完了してから、免責期間の延長を検討してください。

ポイント4: 初診日と通院記録を毎回写真で保管して障害年金の申請準備を早める

【対象】長期化する可能性のある病気・ケガで通院中のフリーランス

【手順】初めて医師の診察を受けた日(初診日)の診察券・領収書・紹介状等をスマートフォンで撮影し、クラウドストレージに保存してください(5分)。その後の通院のたびに領収書・処方箋・診断書等を同様に撮影・保存するルーティンを設定します(1回あたり2分)。年に1回、ねんきんネットにログインして国民年金保険料の納付状況を確認してください(10分)。症状が1年以上続いている場合は、主治医に障害年金の受給可能性について相談します。

【理由】初診日の証明ができないために申請が認められないケースがあり、初診日から数年後に申請する段階では当時の記録が病院側にも残っていない場合があります。初診日の記録は後から遡って作成することができず、デジタル保存が確実な手段の一つです。記録を事前に保管しておくことで、申請時の書類収集にかかる時間を短縮できます。

【注意点】診察券の写真だけでは初診日の証明として不十分な場合があります。「受診状況等証明書」の発行を後日病院に依頼することになるため、通院当初から初診日を確認できる書類(領収書・診療明細書等)を複数保存してください。

ポイント5: 固定費の一時停止リストを事前に作成して休業時の支出を削減する

【対象】病気で休業したとき、何の支出を止めるべきか分からないフリーランス全般

【手順】毎月支払っているサブスクリプション・有料ツール・クラウドサービス・習い事等を一覧化してください(20分)。それぞれについて「業務停止中も継続が必要か」「解約・一時停止できるか」「最短でいつ止められるか」を確認します(30分)。一時停止・解約の手順と連絡先を1つのドキュメントにまとめ、「休業時の固定費削減リスト」として保存してください(20分)。病気で休業した際は、リストを参照して優先順の高いものから順に停止手続きを行います(休業当日から3日以内)。

【理由】病気で判断力が低下しているときに一から支出を調べる作業は負担が大きく、結果として不要な固定費が数か月間継続してしまう場合があります。事前リストがあれば休業当日から3日以内に対応でき、業務用途の固定費を停止するだけで実質的な支出を削減できます。

【注意点】ドメイン・サーバー費用・会計ソフトは解約すると復旧に時間がかかるため、停止リストには含めないでください。これらは休業中も維持コストとして確保する項目として別管理してください。

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▶ 今すぐやること: 固定費一覧の作成を今日中に始め、業務停止中も必要な費用と一時停止可能な費用を色分けしておく(20分)

Q: 就業不能保険の給付金には税金がかかりますか?

A: 個人で契約した就業不能保険の給付金は、原則として非課税です。ただし、保険料の支払方法や契約者・受取人の設定によって扱いが異なる場合があります。税務署または税理士に個別の状況を確認してください。

Q: 複数の所得補償保険に加入した場合、両方から給付を受けられますか?

A: 所得補償保険は実損補填型のため、複数加入していても受け取れる総額は実際の収入減少額を上限とする場合が一般的です。契約前に各保険会社の約款で重複給付の扱いを確認してください。

病気で働けないときは5制度を順に確認

フリーランスが病気で働けなくなった場合、傷病手当金という選択肢は原則存在せず、代替となる5つの仕組みを自分で組み合わせることが収入維持の鍵になります。仕事中のリスクには労災特別加入、長期障害には障害基礎年金、月々の収入補填には就業不能保険または所得補償保険、そしてすべての前提として生活防衛資金6か月分の確保が必要です。社会保険労務士・税理士・ファイナンシャルプランナーなどの専門家への相談も有効な選択肢です。

どの制度が使えるかは「いつ、どこで、どんな病気・ケガが起きたか」で変わります。今日できることは、労災特別加入の対象確認・保険証券の見直し・国民年金の納付状況確認という3つの行動に集約されます。制度は知っている人だけが使える仕組みのため、健康なうちに準備を完了しておくことが最大のリスクヘッジになります。また、フリーランスの休業補償と収入を守る3種類の仕組みも合わせて確認しておくと、制度の全体像が整理されます。

状況次の一歩所要時間
労災特別加入していない厚生労働省の特別加入制度ページで職種確認後、加入団体に連絡30分
生活防衛資金が不足専用口座を開設し、自動振替を設定1時間
民間保険未加入就業不能保険・所得補償保険の見積もりを3社以上比較2〜3時間
長期疾病・障害の疑いねんきんネットで納付状況確認後、年金事務所に相談予約1〜2時間
今すぐ休業中加入中の保険会社と労働基準監督署に連絡し、必要書類を確認本日中

フリーランスが病気で働けないときもらえるお金に関するよくある質問

Q: フリーランスが病気で全く働けない期間、利用できる公的支援はありますか?

A: 主な公的支援は、労災保険の特別加入による休業(補償)等給付と、障害が残る場合の障害基礎年金です。傷病手当金は原則利用できません。自治体によっては生活困窮者自立支援制度や緊急小口資金等の特例貸付を利用できる場合もあるため、最寄りの社会福祉協議会に確認してください。

Q: 病気が長引いて廃業を考えています。何か受け取れる給付はありますか?

A: 廃業時には小規模企業共済への加入があれば共済金が受け取れます。廃業後に国民健康保険から社会保険等に切り替える場合の手続きも必要です。廃業を決める前に、まず障害年金の受給可能性と就業不能保険の給付期間の残存を確認してください。社会保険労務士や中小企業の支援窓口への相談も検討してください。

Q: フリーランスとして活動しながら国民年金保険料を免除申請していますが、障害年金は受け取れますか?

A: 法定免除・申請免除が承認されていた期間は保険料納付要件の未納とはカウントされないため、受給要件を満たせる場合があります。ただし学生納付特例・納付猶予期間は算入されない点に注意が必要です。年金事務所で個別に要件を確認してください。

【出典・参照元】

厚生労働省「フリーランスの皆さまも、特別加入により労災保険の補償」

厚生労働省「特別加入制度」

日本年金機構「障害年金」

協会けんぽ「傷病手当金」

厚生労働省「労災保険」

lify.jp「国民健康保険に傷病手当金はない」

富国生命「就業不能保険の解説」

あおば保険「所得補償保険の解説」

ネオファースト生命「フリーランスの備え」

マネーフォワード クラウド「個人事業主が働けなくなった時の対策ガイド」

記事内容は2026年06月時点の法令に基づいています。