この記事でわかること
フリーランスの赤字年でも確定申告をすると所得税の還付が受けられるケースがあること、住民税の非課税認定には申告が唯一の方法であること、青色申告なら赤字を翌年以降3年間繰り越せることの3点を解説します。
フリーランスが赤字なら住民税の所得割は原則0円です。ただし確定申告をしないと自治体が所得を把握できず、国民健康保険料の軽減や非課税証明書の発行で不利になります。申告の要否から損益通算まで実務ポイントを解説します。
この記事の結論
フリーランスが赤字の年は、住民税の所得割は原則として発生しません。ただし「発生しない」という事実を自治体に伝えるためには、確定申告または住民税申告のいずれかを行う必要があります。申告なしでは非課税証明書の取得や国民健康保険料の軽減が受けられないため、赤字だからこそ申告が必須です。
今日やるべき1つ
直近の収入・経費の記録を確認し、年間収支が赤字かどうかを把握してください(10分)。赤字が確定したら、本記事の判断フローで確定申告の要否と住民税申告の要否を確認してください。
状況別ショートカット
| 状況 | 読むべきセクション | 所要時間 |
| 赤字の年に住民税がかかるか今すぐ知りたい | フリーランス赤字時の住民税は所得割0円が原則 | 3分 |
| 確定申告・住民税申告のどちらが必要か判断したい | 申告要否は3分岐で判定 | 3分 |
| 損益通算できるか確認したい | 事業所得の赤字は損益通算で節税できる場合がある | 5分 |
| 国保料や証明書への影響を知りたい | 赤字申告で国保軽減と証明書発行が可能になる | 3分 |
| 赤字でも申告すべき具体的理由を知りたい | 赤字でも確定申告は5つの仕組みで必須 | 7分 |
フリーランス赤字時の住民税は所得割0円が原則
事業収入から経費を差し引いた所得が0円以下になる赤字の年は、住民税の所得割は発生しません。この事実は多くのフリーランスが見落としており、申告手続きとセットで理解することで実務上の判断が格段に速くなります。
住民税は所得割と均等割の2構造
住民税は所得割と均等割の2つで構成されています。所得割は前年の所得に税率(市区町村民税6%+都道府県民税4%=合計10%)を乗じて算出します。均等割は所得の多少にかかわらず定額で課税される部分ですが、多くの自治体では一定の所得以下の場合に均等割も非課税となります(総務省:個人住民税の概要)。
なお、2023年度(令和5年度)税制改正により、従来の均等割(年額5,000円前後)に森林環境税(年額1,000円)が加算され、2024年度(令和6年度)分から個人住民税と合わせて徴収されています(総務省:森林環境税及び森林環境譲与税)。均等割の非課税基準については居住地の市区町村でご確認ください。
所得割の計算式は「(前年の課税所得)×税率10%」です。赤字で事業所得がマイナスになると課税所得も0円以下に抑えられるため、所得割の税額は0円になります。赤字の年は住民税の大部分を占める所得割が発生しないと判断できます。個人事業主の住民税計算の詳細については、青色申告との節税効果も含めて別記事で解説しています。

住民税はフリーランス自身が普通徴収で納付
会社員の住民税は給与から天引きされる特別徴収が基本ですが、フリーランスを含む個人事業主は普通徴収で納付します。普通徴収とは、自治体から送られる納付書をもとに年4回に分けて自分で納める方式です(総務省:個人住民税の概要)。
赤字で所得割が0円になる場合、この納付書が届かないか、届いても均等割のみの少額請求となります。フリーランスが赤字の年に「住民税の請求が来た」と感じる場合は、前年の黒字分が当年に請求されているケースがほとんどです。住民税は常に前年所得をもとに計算されるため、事業を始めた翌年に請求が来ることも珍しくありません。
赤字の定義は「事業収入マイナス経費」の計算で確認
住民税の所得割が0円になるかどうかは、事業収入から必要経費をすべて差し引いた事業所得がマイナスかどうかで判断します。売上だけを見て「今年は少ない」と感じていても、経費計上を適切に行わなければ正確な赤字判定はできません。
経費として認められる主な支出は、通信費・家賃(事業使用割合相当分)・消耗品費・外注費・広告宣伝費などです。経費漏れがあると実態は赤字でも申告上は黒字になり、不要な税負担が生じます。家事按分割合の目安と根拠の作り方を理解しておくと、経費計上の精度が高まります。

赤字を正確に把握するために、収支の記帳を月次で行い、申告前に漏れがないか確認してください。
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▶ 今すぐやること: 直近12か月の事業収入合計と経費合計を計算し、差し引いた金額がマイナスかどうかを確認する(15分)
Q: 赤字でも均等割はかかりますか?
A: 均等割の非課税基準は自治体によって異なります。多くの自治体では所得が一定額(例:35万円以下×(本人+扶養人数)等)を下回る場合に均等割も非課税になります。居住地の市区町村窓口でご確認ください。
Q: 住民税の所得割と均等割はどちらが金額として大きいですか?
A: 所得割は所得×10%のため、所得が大きいほど金額も大きくなります。均等割は年額数千円程度(自治体によって異なり、2024年度以降は森林環境税を含む)が多く、所得割に比べて金額は小さくなります。赤字で所得割が0円になれば、住民税負担はほぼ解消されます。
| 項目 | 内容 | 赤字時の扱い |
| 所得割 | 前年所得×10% | 0円(所得ゼロ以下のため) |
| 均等割 | 定額(年額5,000円前後+森林環境税1,000円) | 所得基準以下なら非課税 |
| 納付方式 | 普通徴収(年4回) | 納付書が届かないか均等割のみ |
▶ 重要ポイント確認
赤字の年は住民税の大部分を占める所得割が0円になります。ただし均等割の非課税判定は自治体ごとに基準が異なるため、居住地の市区町村で確認してください。
申告要否は3分岐で判定
申告の要否は所得の種類と状況によって4つのパターンに分かれます。自分の区分を3分以内で確定してください。
Q1: 事業所得(または不動産所得・山林所得)で赤字が生じていますか?
Yesの場合はQ2へ進んでください。Noの場合(雑所得のみが赤字の場合)はResult Dを参照してください。
Q2: 給与所得など他の所得がありますか?
Yesの場合(給与所得あり、損益通算の可能性あり)はResult Aを参照してください。Noの場合(フリーランス専業で給与所得なし)はQ3へ進んでください。
Q3: 源泉徴収されている報酬(10.21%が差し引かれた取引)がありますか?
Yesの場合(源泉徴収あり、還付の可能性あり)はResult Bを参照してください。Noの場合(源泉徴収なし)はResult Cを参照してください。
Result A: 確定申告を行う(損益通算で節税可能)
給与所得と事業所得を合算することで、給与から源泉徴収された税金の一部が戻る可能性があります。国税庁:損益通算から概要を確認し、確定申告書を作成してください。
Result B: 確定申告を行う(源泉徴収分の還付を受けられる)
源泉徴収された所得税は、年間の確定所得が赤字または少額であれば全額還付される場合があります。確定申告を行わなければ還付は受けられません。
Result C: 確定申告は義務ではないが、住民税申告を行う
フリーランス専業で赤字かつ源泉徴収なしの場合、所得税の確定申告義務はありません(国税庁:確定申告が必要な人)。ただし、自治体への住民税申告を行わないと非課税であることが把握されず、国民健康保険料の軽減や証明書の発行に支障が出ます。居住地の市区町村窓口に住民税申告書を提出してください。
Result D: 雑所得の赤字は損益通算不可、住民税申告の要否を個別確認
副業収入が「雑所得」に区分される場合、赤字になっても他の所得との損益通算はできません(国税庁:損益通算)。フリーランス雑所得と事業所得の違いについては、3つの判定基準で詳しく解説しています。

雑所得のみで他の所得がなければ確定申告義務は基本的に発生しませんが、住民税申告の要否は自治体に確認してください。
CHECK
▶ 今すぐやること: 上記フローで自分の区分(A/B/C/D)を確定し、該当する申告手続きを翌営業日中に開始する(10分)
Q: 確定申告と住民税申告は同じ書類ですか?
A: 別の書類です。確定申告書は税務署に提出して所得税の申告を行うもの、住民税申告書は市区町村に提出して住民税の申告を行うものです。確定申告を行った場合はその情報が市区町村に送られるため、住民税申告を別途行う必要はありません。
Q: 住民税申告の期限はいつですか?
A: 多くの自治体では3月15日前後を締め切りとしています。居住地の市区町村のウェブサイトで確認するか、窓口に問い合わせてください。
| 区分 | 条件 | 必要な申告 |
| Result A | 副業事業所得の赤字+給与所得あり | 確定申告(損益通算) |
| Result B | フリーランス専業+源泉徴収あり | 確定申告(還付申請) |
| Result C | フリーランス専業+源泉徴収なし | 住民税申告のみ |
| Result D | 雑所得のみが赤字 | 確定申告義務なし(住民税申告は要確認) |
▶ 重要ポイント確認
自分の区分(A〜D)を確定し、必要な申告手続きを期限内に行ってください。「赤字なので申告不要」と判断してよいのはResult Cのケースに限られます。
事業所得の赤字は損益通算で節税できる場合がある
損益通算は会社員の副業でもフリーランス専業でも活用できる仕組みです。ただし所得の種類によって適用可否が異なるため、自分のケースを正確に確認してください。
損益通算は事業所得・不動産所得・山林所得・譲渡所得に限定
損益通算とは、一定の所得で生じた赤字を他の所得の黒字と差し引きして、課税対象の所得を減らす仕組みです。損益通算が適用できる所得は、事業所得・不動産所得・山林所得・譲渡所得の4種類に限られています(国税庁:損益通算)。ただし、譲渡所得については土地・建物等の譲渡損失など、損益通算が制限されるケースもあります。
雑所得はこの対象外であるため、副業収入が雑所得に区分される場合は赤字になっても給与所得との損益通算はできません。副業収入が事業所得に該当するか雑所得に該当するかは、事業の継続性・規模・帳簿の保管状況などで判断されます。
会社員副業が事業所得なら給与との損益通算が可能
会社員が副業で事業所得の赤字を出した場合、給与所得と損益通算することで課税所得を圧縮できます。たとえば給与所得が400万円で副業事業所得が▲50万円なら、課税所得は350万円に下がります。この差額に対応する所得税が源泉徴収分から還付される形になります。
ただし、意図的に経費を計上して赤字を作り続ける行為は、税務署から「事業の実態がない」と判断されるリスクがあります。損益通算のメリットは実態のある赤字に対して発生するものであり、節税目的だけの経費計上は後日修正申告や加算税の対象になる場合があります。
フリーランス専業の赤字は繰越控除で翌年以降に活用
青色申告を選択しているフリーランスは、赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越す「純損失の繰越控除」を活用できます(国税庁:純損失の繰越控除)。翌年以降に黒字に転じた際に、繰り越した赤字と相殺することで、黒字年の税負担を抑えられます。白色申告では原則としてこの繰越控除は適用されません。
繰越控除を活用するためには、赤字の年に確定申告を行うことが必須の条件です。申告しなければ赤字の記録が税務署に残らず、翌年以降に相殺する根拠がなくなります。赤字の年こそ申告を怠らないことが、中長期的な節税につながります。個人事業主赤字確定申告と繰越控除の実務ハックも参考にしてください。

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▶ 今すぐやること: 副業収入が事業所得か雑所得かを確認し、損益通算できるか国税庁の確定申告書作成コーナーで確認する(20分)
Q: 雑所得の赤字を損益通算できる方法はありますか?
A: 原則として雑所得の赤字は損益通算できません。副業収入を事業所得として申告できるかどうかは、活動の継続性・収益性・帳簿管理の状況等で総合的に判断されます。
Q: 損益通算を使うと、翌年の住民税にも影響しますか?
A: はい、影響します。損益通算によって課税所得が下がれば、翌年の住民税の課税標準も下がるため、住民税額も減少します。
| 所得の種類 | 損益通算 | 繰越控除(青色) |
| 事業所得 | ○ | ○ |
| 不動産所得 | ○(制限あり) | ○ |
| 給与所得 | 損益通算の相手方になる | — |
| 雑所得 | × | × |
▶ 重要ポイント確認
副業収入が事業所得に区分されるかどうかが、損益通算・繰越控除を使えるかどうかの分岐点です。雑所得と判断されると両制度とも使えなくなるため、事業の実態を記録・証明できる状態を整えておいてください。
赤字申告で国保軽減と証明書発行が可能になる
「赤字なら申告しなくてもいい」と考えていると、思わぬ場面で困ることがあります。申告しないことで損するケースを具体的に確認してください。
国民健康保険料は前年所得に連動して軽減される
国民健康保険料は前年の所得に基づいて計算されます。所得が一定額以下の場合、保険料の均等割が7割・5割・2割のいずれかで軽減される制度があります(厚生労働省:国民健康保険制度)。この軽減を受けるためには、前年の所得が自治体に把握されている必要があります。
確定申告または住民税申告を行えば、所得が0円(または赤字)であることが自治体に伝わり、軽減判定に反映されます。申告を行わない場合、自治体は所得を把握できないため軽減が適用されず、保険料が満額になる可能性があります。国民健康保険料の軽減制度の詳細は居住地の市区町村窓口に確認してください。

課税証明書・非課税証明書は申告なしでは発行されない
賃貸契約・奨学金申請・保育所の利用料算定・各種行政サービスの申請では、課税証明書または非課税証明書の提出を求められる場面があります。これらの証明書は、自治体が所得情報を把握していなければ発行できません。
申告を行わないと「所得不明」の状態になり、非課税証明書を取得できません。「フリーランスで赤字だったので申告していない」という状況では、必要な書類を提出できず、手続きが止まってしまいます。申告することで、自治体が「所得0円・非課税」を公式に認定できるようになります。
申告不要の年でも住民税申告を行う実務手順
確定申告の義務がない場合(フリーランス専業・赤字・源泉徴収なし)でも、住民税申告は居住地の市区町村に直接提出できます。必要な書類は住民税申告書(市区町村の窓口またはウェブサイトで入手可能)と、収入と経費がわかる記帳帳簿または収支内訳書のコピーです。記入内容は事業収入・必要経費・差し引き所得が中心で、赤字の場合は0円または負の数字を記入します。提出先は居住地の市区町村の税務担当窓口です。
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▶ 今すぐやること: 居住地の市区町村ウェブサイトで「住民税申告書」の書式を入手し、提出期限を確認する(5分)
Q: 国民健康保険料の軽減は自動で適用されますか?
A: 申告を行えば、軽減判定は原則として自動で行われます。ただし自治体によって手続きが異なる場合があるため、軽減が反映された保険料通知が届かない場合は窓口に確認してください。
Q: 確定申告をした場合、住民税申告を別に行う必要はありますか?
A: 確定申告のデータは税務署から市区町村に送られるため、住民税申告を別途行う必要はありません。ただし、確定申告に含まれない非課税の収入(一定の給付金等)が住民税に影響する場合は、別途申告が必要なケースもあります。
| 申告あり | 申告なし |
| 国保料軽減の判定対象になる | 所得不明として軽減されない可能性 |
| 非課税証明書が発行される | 「所得不明」で証明書が発行されない |
| 住民税の非課税が公式に認定される | 自治体が非課税を把握できない |
▶ 重要ポイント確認
赤字の年こそ申告が「受け取れるものを受け取る」手続きになります。申告しないことで国保軽減と各種証明書の両方を失うリスクがあることを押さえておいてください。
赤字でも確定申告は5つの仕組みで必須
赤字のフリーランスが確定申告をするメリットは「義務だから」という理由だけではありません。申告しないことで実際に損をする仕組みを5つ確認してください。
ハック1: 源泉徴収分の還付は申告しなければ受け取れない
【対象】: 報酬から10.21%が源泉徴収されている取引があるフリーランス
【手順】: まず年間に受け取った報酬の支払調書を取引先から取り寄せてください(1月末までに届く場合が多い)。次に確定申告書に事業収入と経費を記入し、年間の事業所得(赤字の場合は0または負の値)を確定します。源泉徴収税額を記入すると、所得税額が0円であれば全額が還付金として計算されます(確定申告書の作成は2〜3時間)。
【ポイントと理由】: 源泉徴収は取引先が代わりに納めた税金の「仮払い」です。年間の最終的な税額と照合して過払い分を還付するのが確定申告の役割であり、申告しなければ源泉徴収分は自動的に返金されません。申告を怠ることは、自分のお金を返還請求しないまま放置することと同じです。
【注意点】: 還付申告は通常の確定申告期限(3月15日)に関わらず5年間提出できます。ただし毎年速やかに申告する習慣をつけてください。
ハック2: 青色申告の赤字は翌年以降3年間繰り越せる
【対象】: 青色申告を選択しているフリーランスで、今年赤字が発生した方
【手順】: 青色申告決算書(損益計算書)に事業収入・経費・差し引き損失額を記入します。確定申告書の「翌年以降に繰り越す純損失の金額」欄に赤字額を記入します。申告書を税務署に提出し、控えを保管してください(申告作業は1〜2時間)。翌年に黒字になった際、確定申告書で前年からの繰越控除欄に損失額を入力し、黒字と相殺します。
【ポイントと理由】: 赤字の年の申告は「翌年の節税チケット」を入手する行為です。たとえば今年の赤字が100万円で翌年の黒字が300万円なら、繰越控除により課税対象は200万円に圧縮されます。赤字の年に申告しなければ、翌年以降に繰越控除を使う権利が消滅します。
【注意点】: 繰越控除は青色申告専用の制度です。白色申告では原則として適用されません。青色申告をまだ選択していない場合は、翌年分から切り替えるために「青色申告承認申請書」を税務署に提出してください(提出期限は青色申告を開始したい年の3月15日まで、または開業後2か月以内)。開業届と青色申告を同時提出することで、最短で65万円控除を取得できます。

ハック3: 住民税の非課税認定は申告が唯一の方法
【対象】: フリーランス専業で赤字となり、源泉徴収がないため確定申告義務がない方
【手順】: 居住地の市区町村の税務担当窓口またはウェブサイトで住民税申告書を入手してください(5分)。事業収入・必要経費・所得(赤字の場合は0)を記入します。提出期限(多くの自治体で3月15日前後)までに窓口または郵送で提出します。提出後1〜2か月で住民税非課税の認定が受けられ、証明書の発行も可能になります。
【ポイントと理由】: 申告しなければ自治体に所得ゼロを証明できないのが問題です。非課税証明書は申告がなければ発行されず、「所得不明者」として扱われます。住民税申告は課税されるための手続きではなく、非課税であることを公式に証明するための手続きです。住民税申告は確定申告より書類が少なく、収支内訳書のコピーと申告書のみで完結する場合がほとんどです。
ハック4: 国保料の軽減判定は申告情報が基準になる
【対象】: フリーランスで国民健康保険に加入しており、前年に赤字が出た方
【手順】: 前年の事業収入と経費の合計を確認し、所得(赤字の場合は0)を把握します。確定申告または住民税申告で前年所得を自治体に申告してください(提出後に軽減判定が行われます)。翌年6〜7月ごろに届く国民健康保険料の通知で軽減後の金額を確認します。軽減が反映されていない場合は市区町村窓口に確認してください(確認5分)。
【ポイントと理由】: 自治体は申告データをもとに軽減判定を行うため、申告がなければ「所得不明=軽減なし」という扱いになります。国民健康保険料の均等割軽減(7割・5割・2割)が適用されると、年間の保険料負担が大幅に変わる場合があります。軽減額は世帯構成や自治体によって異なるため、居住地の市区町村にご確認ください。
【注意点】: 保険料の軽減申請は後から遡って申請できる場合もありますが、自治体によって対応が異なります。毎年の申告期限内に提出することが最善の対応です。
ハック5: 経費の漏れをなくせば赤字の根拠が固まる
【対象】: 経費計上を十分に行っておらず、実態は赤字だが申告上の所得がプラスになっている可能性があるフリーランス
【手順】: 年間の支出を「事業関連」と「私的支出」に仕分けしてください(1〜2時間)。通信費・家賃・交通費・消耗品費・外注費・研修費・書籍代など、事業に関連する支出をすべてリストアップします。家賃や光熱費は事業使用割合(按分)を計算し、事業分のみを経費として計上します。会計ソフトまたは帳簿に記入し、領収書・レシートと照合して漏れがないか確認します。
【ポイントと理由】: 自宅兼事務所の家賃按分・スマートフォン通話料・オンラインツールのサブスクリプション費用なども経費として認められる場合があります。家事按分計算ツールを活用することで、経費計算の精度と効率を上げられます。

経費の計上漏れは、支払った税金を無駄にするだけでなく、赤字の実態を申告に反映させる機会を失うことを意味します。正確な経費計上が、住民税非課税の正確な認定と国保料軽減の根拠にもなります。
【注意点】: プライベートと事業の費用が混在する支出(按分が必要な費用)は、合理的な根拠のある按分割合を設定してください。根拠がない按分は税務調査で否認されるリスクがあります。
CHECK
▶ 今すぐやること: 今年の経費リストを会計ソフトまたはスプレッドシートに入力し、計上漏れがないか確認する(30分)
Q: フリーランスが確定申告をする期限はいつですか?
A: 原則として毎年2月16日から3月15日までです。還付申告(税金が戻る申告)については1月1日から5年間提出できます(国税庁:確定申告が必要な人)。
Q: 青色申告を選択していない場合、今から変更できますか?
A: 翌年分から青色申告に切り替えるためには、切り替えたい年の3月15日(または開業後2か月以内)までに「所得税の青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出する必要があります。
| ハック | 対象 | 申告しない場合の損失 |
| ハック1: 源泉徴収分還付 | 源泉徴収あり | 源泉徴収税額が返ってこない |
| ハック2: 繰越控除 | 青色申告選択者 | 翌年以降の節税権利が消滅 |
| ハック3: 非課税認定 | 専業フリーランス | 証明書が発行されない |
| ハック4: 国保軽減 | 国民健康保険加入者 | 保険料が満額になる可能性 |
| ハック5: 経費計上 | 経費漏れがある人 | 不要な税負担が発生 |
▶ 重要ポイント確認
5つのハックのうち自分に該当するものを確認し、申告書の作成に着手してください。ハック1〜4は申告するだけで受け取れる利益です。先送りにする理由はありません。
フリーランス赤字でも申告が必須の理由
フリーランスが赤字なら住民税の所得割は原則0円ですが、申告なしにこの事実は自治体に伝わりません。申告によって、住民税の非課税認定・国民健康保険料の軽減・課税証明書の取得・源泉徴収分の還付・翌年以降の繰越控除という5つの実務メリットが得られます。赤字の年に申告しないことは、受け取れるはずの還付や軽減を手放すことと同じです。
赤字の年こそ確定申告と住民税申告を活用する年だと考えてください。税務手続きの義務を果たすだけでなく、翌年以降の税負担を抑える選択肢が広がります。
| 状況 | 次の一歩 | 所要時間 |
| 赤字が確定した(専業) | 住民税申告書を市区町村から入手して提出 | 1時間以内 |
| 赤字+源泉徴収あり | 確定申告書を作成して還付申請 | 2〜3時間 |
| 会社員+副業赤字(事業所得) | 確定申告で給与と損益通算 | 2〜3時間 |
| 青色申告で赤字 | 申告書に繰越損失を記入・提出 | 2時間 |
フリーランス赤字でも住民税はかかるのかに関するよくある質問
Q: 赤字が2年続いた場合、住民税は2年分免除されますか?
A: 住民税は毎年の所得をもとに翌年に課税されます。赤字が2年続けば、2年分の所得割はそれぞれ0円になります。ただし、いずれの年も申告を行うことが非課税認定の条件です。
Q: 副業の赤字を給与所得と損益通算したら、会社に副業がバレますか?
A: 損益通算を行って確定申告をすると、住民税の額が変わります。住民税を普通徴収(自分で納付)に設定すれば、会社への通知に影響が及ばない場合があります。ただし、勤務先の就業規則によっては副業自体の申告が求められるため、事前に確認してください。
Q: 赤字でも事業所得として認められなかった場合はどうなりますか?
A: 税務署が副業収入を「事業所得でなく雑所得」と判断した場合、損益通算や繰越控除が適用されません。修正申告が求められる場合もあります。事業所得として申告する際は、継続的な取引実績・帳簿の整備・事業としての実態を示す記録を保管しておくことが重要です。
