この記事でわかること
フリーランスが源泉徴収されすぎた税金は、確定申告で「確定税額<源泉徴収合計」になれば差額が全額還付されます。申告期限後に気づいた場合も更正の請求で5年以内なら取り戻せます。発注者への返金要求は原則として不要で、税務署との精算は確定申告で完結します。
この記事の結論
フリーランスが源泉徴収されすぎた税金を取り戻す方法は、確定申告での精算が基本です。確定申告で年間の所得税額を計算し、源泉徴収された合計額が多ければ差額が還付されます。申告期限後に気づいた場合は更正の請求を使えば5年以内なら遡って請求でき、発注者への返金要求は原則として不要です。
今日やるべき1つ
発注者から受け取った支払調書と自分の請求書を並べ、源泉徴収税額の合計を集計します。合計額が確定申告書の「源泉徴収税額」欄に転記する数字になるため、今すぐ手元に揃えておくことが還付の第一歩です(所要時間:15分)。
状況別ショートカット
| 状況 | 読むべきセクション | 所要時間 |
| 源泉徴収の仕組みを基礎から理解したい | フリーランスの源泉徴収は3パターンで発生 | 5分 |
| 今年の確定申告で還付を受けたい | 源泉徴収還付は確定申告3ステップで完結 | 10分 |
| 申告期限後に払いすぎに気づいた | 申告期限後の還付は更正の請求で5年以内 | 8分 |
| 正しく還付できているか自己診断したい | 源泉徴収還付の対応を3分で診断 | 3分 |
| ケース別の成功・失敗事例を知りたい | 源泉徴収還付は2つのケースで比較 | 5分 |
| 確実に還付を受けるコツを知りたい | 源泉徴収還付を確実にする5つの仕組み | 10分 |
フリーランスの源泉徴収は3パターンで発生
どのパターンで源泉徴収されているかを特定することが、還付手続きの出発点です。業種・税率・支払調書の3点を理解すれば、年間の徴収合計を正確に把握できます。
源泉徴収対象の報酬は業種で決まる
フリーランスへの報酬がすべて源泉徴収の対象になるわけではありません。所得税法第204条が定める対象報酬は、デザイン・ライティング・翻訳・弁護士・税理士・社会保険労務士・システム開発(特定の業務委託)など、業種や契約形態によって範囲が決まっています。
対象報酬に該当する場合、発注者(支払者)は報酬支払時に所得税および復興特別所得税を天引きして税務署に納付する義務があります。フリーランス自身が発注者に請求して返してもらう手続きは原則として不要であり、税務署との精算は確定申告で完結します。個人事業主の源泉徴収の仕組みをあわせて確認しておくと、対象業種の全体像が把握しやすくなります。

源泉徴収税率は10.21%が基本
1回の報酬が100万円以下の場合、源泉徴収税率は「報酬額×10.21%」で計算されます。100万円を超える部分については20.42%が適用されます。この10.21%という数字は所得税10%に復興特別所得税0.21%(所得税額×2.1%)を加算したものです。
税抜報酬50万円の場合、源泉徴収税額は50万円×10.21%=5万1,050円となり、入金額は44万8,950円になります。請求書の税抜金額と入金額の差が「消費税相当額+源泉徴収税額」になっているかを確認すると、徴収額が正しいかどうかを自分で検証できます。なお、外注費の源泉徴収が必要か判定する方法も参考にすると、発注者側の視点から処理の正確さを確かめられます。

支払調書で年間の徴収合計を把握する
年間を通じて複数の発注者から源泉徴収されている場合、支払調書が各発注者から発行されます。支払調書には「支払金額」「源泉徴収税額」が記載されており、これを全発注者分集計したものが確定申告書の「源泉徴収税額」欄に転記する合計額です。
支払調書はフリーランス本人への送付まで法律上義務化されているわけではなく(支払調書の提出義務は税務署に対するものです)、届かない場合は発注者に依頼するか、自分の請求書・入金記録から逆算して算出します。フリーランスの支払調書について「受け取る側に提出義務はない」理由を理解しておくと、発注者との認識ズレを防げます。源泉徴収税額が正確に把握できないと還付額が過少になるため、年間の管理を習慣化しておくことが長期的な資金損失を防ぎます。

CHECK
▶ 今すぐやること: 手元の請求書と入金通知から「源泉徴収税額」欄に記載された金額をExcelまたはメモに一覧化する(15分)
Q: 消費税分も源泉徴収されているのですが正しいですか?
A: いいえ、過大徴収です。国税庁の原則では、消費税等の額を明示した請求書であれば報酬部分のみを計算対象とすることが認められています(国税庁「消費税等の額に相当する金額を含めないで計算する場合の取扱い」)。差額は確定申告で還付請求できます。
Q: 源泉徴収対象外の報酬も一緒に申告する必要がありますか?
A: はい、源泉徴収対象外の報酬も含めた年間の事業所得または雑所得として確定申告に計上します。源泉徴収がない報酬は還付対象にはなりませんが、所得計算には含める必要があります。
源泉徴収還付は確定申告3ステップで完結
手順を3段階に分けると、どこに何を書けばよいかの全体像が見えてきます。売上の計上方法・源泉税額の転記・還付口座の指定という3点を順に押さえてください。
ステップ1:年間収入と所得を正確に計算する
確定申告の第一歩は、事業所得(売上-必要経費)の計算です。源泉徴収された報酬はすべて「売上」として計上し、源泉徴収される前の金額(請求書ベースの金額)を使います。入金額ベースで計上すると売上が過少になり、税額計算が狂います。
売上から必要経費を差し引いた事業所得に、各種所得控除(基礎控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除など)を適用して課税所得を算出します。課税所得に所得税率を掛けたものが「年間の確定所得税額」です。この金額が年間に源泉徴収された合計額を下回っていれば、その差額が還付されます。個人事業主の所得税計算の5ステップを参照すると、課税所得の算出方法をより詳しく確認できます。

ステップ2:申告書の源泉徴収税額欄に正確に転記する
確定申告書(所得税及び復興特別所得税の確定申告書)の「源泉徴収税額」欄に、年間の源泉徴収税額合計を記入します。転記ミスが最も多い箇所の一つであり、1円の誤差でも還付額が変わります。
支払調書が手元にある場合はその「源泉徴収税額」欄の数字をそのまま集計します。支払調書がない場合は、請求書の税抜報酬額×10.21%を発注者ごとに積算します。e-Taxやクラウド会計ソフトを使う場合、支払調書データを読み込むと自動集計されるため転記ミスを防げます。
ステップ3:還付口座を指定して申告書を提出する
申告書の「還付される税金の受取場所」欄に金融機関の口座情報を記入します。誤った口座番号を入力すると還付が遅延するため、通帳またはネットバンクの口座情報を開いた状態で入力してください。ゆうちょ銀行を指定する場合は「振替口座番号」ではなく「貯金口座番号(記号・番号)」を使います。
申告後の還付までの目安は、e-Tax提出で約3週間、書面提出で約2か月です(国税庁「No.2030 還付申告」)。還付予定時期を見越した資金繰り計画を立てておくと、申告前後の現金不足を避けられます。
CHECK
▶ 今すぐやること: 確定申告書の「源泉徴収税額」欄に転記すべき合計額を計算し、手元の支払調書と一致しているかを照合する(20分)
Q: 確定申告書をe-Taxと書面提出で、還付金の受取時期に差はありますか?
A: はい、差があります。e-Taxでは提出後約3週間、書面提出では約2か月が目安です。還付を早く受けたい場合はe-Taxが有利です。
Q: 医療費控除や住宅ローン控除も合わせて申告できますか?
A: はい、確定申告で複数の控除を同時に申告できます。控除が増えるほど課税所得が下がり、還付額が増える場合があります。
申告期限後の還付は更正の請求で5年以内
申告後に「源泉徴収税額の転記を忘れた」「控除の申告漏れがあった」と気づいても、5年以内であれば更正の請求で取り戻せます。手続きの方向を間違えないために、更正の請求と修正申告の使い分けを最初に確認してください。
更正の請求と修正申告の使い分け
更正の請求と修正申告は目的が正反対です。更正の請求は「税金を多く払いすぎていたため返してほしい」と税務署に求める手続きです。修正申告は「税金を少なく申告していたため追加で納付する」手続きです。
源泉徴収されすぎて還付が少なかったケース(例:源泉徴収税額の転記漏れ)は更正の請求の対象です。逆に、売上の申告漏れや経費の過大計上が発覚した場合は修正申告が必要になります。この2つを混同すると、本来不要な追加納付をしてしまうリスクがあります。更正の請求の書き方5ステップをあわせて確認すると、手続きの全体像が把握しやすくなります。

更正の請求の提出期限と手順
更正の請求の提出期限は、法定申告期限(原則として翌年3月15日)の翌日から起算して5年以内です(国税通則法第23条第1項)。過去5年分の申告について見直す余地があります。
手順は次のとおりです。更正の請求書に「修正前の税額」「修正後の税額」「更正を求める理由」を記載し、該当する確定申告書の控えと支払調書の写しを添付して税務署に提出します。e-Taxからも提出可能です。税務署での審査期間は概ね3か月程度で、認められれば差額が還付されます。
複数年度にまたがる請求や判断が難しいケースでは、税務署の無料相談窓口(確定申告相談会)または税理士への相談を活用してください。
還付申告(期限前)と更正の請求(期限後)の比較
還付だけを目的とする「還付申告」は、法定申告期限(翌年3月15日)を待たずに翌年1月1日から申告できます。申告義務がない所得水準のフリーランスであっても、翌年から起算して5年以内であれば還付申告が可能です(国税庁「No.2030 還付申告」)。
| 項目 | 還付申告 | 更正の請求 |
| 使う場面 | 申告期限前または未申告のまま5年以内 | 申告済みで税額を多く申告した後 |
| 提出先 | 所轄税務署 | 所轄税務署 |
| 期限 | 翌年1月1日から5年以内 | 法定申告期限翌日から5年以内 |
CHECK
▶ 今すぐやること: 過去5年分の確定申告書の控えを取り出し、「源泉徴収税額」欄が空白になっている年度がないか確認する(10分)
Q: 更正の請求は何回でも提出できますか?
A: 同一年度について複数回提出することは可能ですが、1回の請求で漏れのないよう整理してから提出することを推奨します。
Q: 更正の請求書はどこで入手できますか?
A: 国税庁のWebサイトからダウンロードするか、e-Taxの「更正の請求書作成コーナー」から作成できます。
源泉徴収還付の対応を3分で診断
現在の状況に応じた対応を3分で特定できます。Q1から順に答えてください。
Q1: 今年分の確定申告をまだ提出していますか?
「まだ提出していない(または期限前)」→ Q2へ進む
「すでに提出済み」→ Q3へ進む
Q2: 手元に支払調書または請求書・入金記録はありますか?
「ある」→ Result A(今年の確定申告で還付申告を実施する)
「ない」→ Result B(発注者に支払調書の交付を依頼してから申告する)
Q3: 申告書の「源泉徴収税額」欄に正しい金額を記入しましたか?
「記入した(金額も合っている)」→ Result C(既に還付手続き済み。振込を待つ)
「記入していない、または金額が違う」→ Result D(更正の請求を申告期限翌日から5年以内に提出する)
Result A: 確定申告で還付申告を実施
支払調書をもとに源泉徴収税額の合計を算出し、確定申告書に転記して提出します。e-Taxを使うと提出から約3週間で還付されます。
Result B: 支払調書の入手から着手
発注者に「支払調書の交付依頼」のメールまたは書面を送付します。届かない場合は請求書の税抜金額×10.21%で自己算出して申告できます。申告期限(3月15日)に間に合わない場合も翌年1月から5年以内は還付申告が可能です。
Result C: 振込を待つ(必要に応じ税務署に確認)
e-Tax提出から3週間、書面提出から2か月を目安に還付されます。超過した場合は所轄税務署に問い合わせてください。
Result D: 更正の請求を提出
申告済みの確定申告書の控えと支払調書を用意し、更正の請求書を作成します。e-Taxまたは書面で所轄税務署に提出してください。提出から審査まで概ね3か月が目安です。
CHECK
▶ 今すぐやること: 上記Result A〜Dのうち自分が該当するものを特定し、その項目に書かれている次の一手を今日中に実行する(3分)
Q: 申告期限が3月15日を過ぎていますが、5年以内なら今からでも還付を受けられますか?
A: はい、還付申告(未申告の場合)および更正の請求(申告済みの場合)ともに、法定申告期限翌日から5年以内であれば請求できます。
Q: 発注者が源泉徴収税額を税務署に未納付だった場合はどうなりますか?
A: フリーランス本人の確定申告での源泉税額控除は認められます。未納付の責任は発注者側にあり、フリーランス本人の還付請求権は失われません。
源泉徴収還付は2つのケースで比較
実際の対応がうまくいくかどうかは、気づいたタイミングと行動の速さで決まります。
ケース1(成功パターン): 申告前に気づいて全額還付
年間5社から源泉徴収された合計税額があったにもかかわらず、当初は支払調書を2社分しか集めていなかったフリーランスAさんのケースです。確定申告書を作成する段階で「入金額と請求額の差が合わない」ことに気づき、残り3社に支払調書の交付を依頼して全社分の源泉徴収税額を確認しました。その結果、確定所得税額との差額が還付され、e-Tax提出から数週間後に振り込まれました。
「源泉徴収で払いすぎた税金は、確定申告で還付を受けられます」という説明が実務でも裏付けられています(paytner「フリーランスの還付金・確定申告の実務解説」)。
支払調書の収集を2社分のみで申告していれば、本来還付されるべき金額の一部が取り戻せないままになっていた可能性があります。
ケース2(失敗パターン): 申告後に気づいて更正の請求が必要に
フリーランスBさんは前年の確定申告で源泉徴収税額欄を空白のまま提出し、本来受けられたはずの還付を受け取れていませんでした。翌年に指摘で気づき、更正の請求を提出した事例です。
「申告期限後でも更正の請求で税金を取り戻せる場合がある」といった説明が実務解説でも確認されています(freenance「フリーランスの還付・更正の請求に関する実務体験寄りの解説」)。
更正の請求提出から審査完了まで概ね3か月かかり、その間は還付金が手元に戻らない状態が続きます。申告前に源泉徴収税額欄を確認するチェックリストを使っていれば、提出から約3週間で還付を受けられた可能性があります。
CHECK
▶ 今すぐやること: 過去2年分の申告書の控えを確認し、「源泉徴収税額」欄が0または空白になっている年度があれば更正の請求の準備を開始する(10分)
Q: ケース2のように申告書の記入欄が空白でも更正の請求は認められますか?
A: 認められます。更正の請求書に「源泉徴収税額の記載漏れ」と理由を記載し、支払調書の写しを添付して提出してください。
源泉徴収還付を確実にする5つの仕組み
「毎年申告のたびに漏れが出る」「差額の計算が毎回不安」という状況は、仕組みで解決できます。以下の5つを順に実装することで、翌年以降の申告ミスを構造的に防げます。
ハック1: 発注者別の源泉徴収一覧表で転記ミスをゼロにする
【対象】: 複数の発注者から源泉徴収されているフリーランス全員
【手順】: まずスプレッドシートに「発注者名・請求書番号・請求金額・源泉徴収税額・入金日・支払調書受取日」の6列を作成します(10分)。次に請求書発行のたびに行を追加し、入金確認時に実際の入金額と照合します(3分/件)。年末に「源泉徴収税額」列を合計し、その数字を確定申告書に転記します(5分)。
【ポイント】: 「支払調書が届いたら確認する」方式より「請求書発行時点から逐次記録する」方式が転記ミスを防止できます。支払調書が届かないケースや金額が合わないケースでも、請求書ベースの記録があれば自己算出の根拠になります。人間は1年分をまとめて集計しようとすると記憶と記録が混在してミスが発生しますが、都度記録であれば照合すべきデータが揃っているため誤差がゼロに近づきます。
【注意点】: 支払調書が届いたからといって、その数字が正しいとは限りません。請求書ベースの自己集計と照合し、1円でも差があれば発注者に確認を取ってください。
ハック2: 請求書に源泉徴収税額を明記して認識ズレを防止する
【対象】: 源泉徴収対象報酬でトラブルが生じたことがあるフリーランス、または新規取引先が多いフリーランス
【手順】: 請求書のフォーマットに「源泉徴収税額:○○円(税抜報酬×10.21%)」の行を追加します(初回設定10分)。続いて「差引入金額:報酬+消費税-源泉徴収税額」の行も追加して入金予定額を明示します(5分)。取引開始時に「請求書のとおりに源泉徴収いただく形で問題ありませんか」と一文確認メールを送ります(3分)。個人事業主の請求書の書き方では源泉徴収の記載例も含めた実践的なフォーマットを確認できます。

【ポイント】: 「源泉徴収の計算は発注者がやるもの」という前提で任せると、発注者の経理担当者が計算を誤る場合があります。請求書側で計算式を明示することで認識ズレを事前に防止できます。曖昧な情報は各自が異なる解釈をするため、請求書で「答え」を提示することでその余地をなくせます。
【注意点】: 請求書に源泉徴収税額を記載しても、発注者が別の金額で天引きする場合があります。その場合は入金後に差額を確認し、発注者に訂正依頼の連絡を入れてください。入金確認を必ずハック1の一覧表と照合することが不可欠です。
ハック3: 申告前チェックリスト7項目で申告書の記入漏れをゼロにする
【対象】: 過去に確定申告で記入漏れや転記ミスを経験したことがあるフリーランス
【手順】: 申告書提出の2週間前を目安にチェックリストを実施します(30分)。チェック項目は以下の7点です。①事業所得の売上が請求書ベース(入金額ベースでない)か。②源泉徴収税額合計が支払調書または自己集計と一致しているか。③還付口座の金融機関・支店・口座番号に誤りがないか。④社会保険料控除の金額が控除証明書と一致しているか。⑤青色申告特別控除の適用要件を満たしているか。⑥医療費控除・小規模企業共済等の控除漏れがないか。⑦申告書の提出先税務署が現住所の所轄税務署と一致しているか。
【ポイント】: 申告書を一気に完成させた直後は自分のミスに気づきにくいという認知バイアスが働きます。提出2週間前に時間を空けて別の観点でチェックすることで見落としが発見されやすくなります。更正の請求の審査待ち(3か月)と比較すると、事前チェックに30分投資する方が資金回収スピードで圧倒的に優位です。
【注意点】: ⑥の医療費控除は、医療費が10万円未満であっても「総所得金額等の5%以下」であれば適用できるケースがあります(所得税法第73条)。「医療費が10万円ないから対象外」と判断してチェックをスキップしないでください。総所得金額等が200万円未満のフリーランスは特に確認してください。
ハック4: 更正の請求を5年遡及で活用して過去の申告漏れを回収する
【対象】: 過去5年以内に確定申告で源泉徴収税額を転記していない年度があるフリーランス
【手順】: まず過去5年分の確定申告書の控えを引き出し、「源泉徴収税額」欄が0または空白の年度を特定します(10分)。次に該当年度の支払調書または請求書から源泉徴収税額を集計し直します(年度あたり20分)。更正の請求書を国税庁の書式またはe-Taxで作成し、支払調書のコピーと共に所轄税務署に提出します(30分/年度)。
【ポイント】: 「税額を減らす(還付を増やす)場合は更正の請求、税額を増やす(追加納付)場合は修正申告」という区別を正確に把握してください。この区別を知らずに修正申告を選ぶと、本来不要な追加納付をしてしまうという逆方向の処理ミスが起きます。5年分を遡れる権利を使わないことは、数十万円単位の取り戻しを諦めることと同義です。
【注意点】: 更正の請求後に税務署から確認が入る場合があります。複数年度にわたる請求や金額が大きいケースで不安な場合は、税理士に代理提出を依頼することを検討してください。申告内容に虚偽がなければ問題ありません。
ハック5: 会計ソフトの源泉徴収入力機能で集計を自動化する
【対象】: 現在Excelまたは手書きで源泉徴収税額を管理しているフリーランス
【手順】: freee、マネーフォワードクラウド確定申告、弥生の青色申告オンラインのいずれかで「取引の登録」時に源泉徴収税額を入力する項目を設定します(初回設定15分)。以降は請求書発行のたびに源泉徴収税額フィールドに数値を入力します(1分/件)。申告時には「源泉徴収税額の集計レポート」を出力し、申告書の該当欄に転記します(5分)。個人事業主向けのおすすめ会計ソフト比較を参照すると、自分の業務量に合ったソフトを選びやすくなります。

【ポイント】: 会計ソフトの源泉徴収入力機能から始めると、申告書への自動連携で入力工数を削減できます。ソフト側が法改正(税率変更や新設控除)に対応したアップデートを行うため、税制改正の知識がなくても計算誤りが起きにくい構造になっています。人間が繰り返し行う計算作業はミスの確率が件数に比例して増加しますが、ソフトへの入力は確認コストが一定であるという非対称性があります。
【注意点】: 会計ソフトに源泉徴収税額を入力するのは「売上の記録」であり、「還付の申請」ではありません。ソフトに入力しただけでは還付は受けられず、確定申告書を実際に提出して初めて還付手続きが完了します。入力したまま申告書提出を失念することが、最も避けるべきミスです。
CHECK
▶ 今すぐやること: ハック1の一覧表をスプレッドシートで作成し、今年すでに発行した請求書の源泉徴収税額を入力する(20分)
Q: 源泉徴収税額の計算で消費税の扱いがわからないのですが?
A: 消費税額を明示した請求書であれば報酬部分のみに10.21%を掛けます。消費税を含む総額に掛けている場合は過大徴収になるため、差額は確定申告で還付請求できます。
源泉徴収還付は7項目でチェック
還付手続きを実行する前に、以下7項目を確認してください。1つでも未確認のまま申告すると、還付額が変わります。
収入・税額の確認(3項目)
確認すべき第1項目は「売上が請求書ベースか」です。入金額ベースで計上していると源泉徴収税額分だけ売上が過少になり、所得計算が狂います。第2項目は「源泉徴収税額の合計が全発注者分揃っているか」です。1社でも漏れがあると還付額が減ります。第3項目は「支払調書の金額と自己集計が一致しているか」です。差額がある場合は発注者に確認を入れてください。
申告書の記入確認(2項目)
第4項目は「申告書の源泉徴収税額欄が空白でないか」です。最も多い申告ミスの一つです。第5項目は「還付口座の情報に誤りがないか」です。口座番号1桁のミスで振込不能になります。
手続きの確認(2項目)
第6項目は「申告期限内か更正の請求期間内か」の確認です。申告期限(3月15日)を過ぎていても、法定申告期限翌日から5年以内であれば更正の請求が使えます。第7項目は「申告書を実際に提出済みか」の確認です。クラウド会計ソフトで作成しても、提出操作を完了しないと還付手続きは開始されません。
CHECK
▶ 今すぐやること: 上記7項目を書き出し、今年の申告書(または昨年分)に照らし合わせて1項目ずつ確認する(15分)
Q: チェックリストにすべて確認が入った場合、他にやることはありますか?
A: 申告書の提出先税務署が現住所の所轄税務署と一致しているかを最終確認してください。引越しをした年度は提出先が変わります。
源泉徴収還付を回収する:確定申告と5年以内の行動まとめ
フリーランスが源泉徴収されすぎた税金を取り戻す方法は、確定申告での精算が基本です。申告書の「源泉徴収税額」欄に全発注者分の合計を正確に転記することで、差額が自動的に還付されます。申告後に気づいた場合も、更正の請求を使えば法定申告期限翌日から5年以内であれば遡って請求できます。
5年という期限は長いように見えますが、過去の請求書や支払調書の保管状況によっては書類収集に時間がかかります。今日確認できる範囲から着手することが、確実な回収につながります。
| 状況 | 次の一歩 | 所要時間 |
| 今年まだ申告していない | 支払調書・請求書を集めて確定申告書を作成 | 2〜3時間 |
| 申告済みで源泉税額欄が空白 | 更正の請求書を作成して所轄税務署に提出 | 1〜2時間 |
| 過去5年分に記入漏れがある可能性 | 年度ごとに申告書を確認して更正の請求を提出 | 1時間/年度 |
| 支払調書が揃っていない | 発注者に交付依頼メールを送付 | 15分 |
フリーランス源泉徴収されすぎたときに関するよくある質問
Q: 源泉徴収されすぎた場合、発注者に返金を求める必要がありますか?
A: 原則として不要です。フリーランス自身が確定申告で還付を受ける手続きをします。ただし、源泉徴収税率の計算が明らかに誤っている(例:消費税込みの総額に10.21%を掛けている)場合は、発注者に計算の誤りを確認する連絡を入れ、翌年分以降の正確な処理を依頼することを推奨します。
Q: 還付金はどのくらいで口座に振り込まれますか?
A: e-Tax提出の場合は約3週間、書面提出の場合は約2か月が目安です。申告書に記載した口座情報の誤りや、税務署での書類確認に時間がかかる場合は遅延することがあります。3か月を超えても振り込まれない場合は所轄税務署に問い合わせてください。
Q: 源泉徴収対象の報酬かどうか、自分で判断できますか?
A: 所得税法第204条が定める業種リスト(デザイン・ライティング・翻訳・弁護士・税理士・特定の技術料など)を確認することで概ね判断できます。業務内容が複合的な場合や契約形態が特殊な場合は、国税庁の相談窓口または税理士に確認することでより正確な判断が得られます。
【出典・参照元】
国税庁「No.2506 源泉所得税及び復興特別所得税を納め過ぎたとき」
国税庁「No.2793 消費税等の額に相当する金額を含めないで計算する場合の取扱い」
国税庁「No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出義務者」
