目次

この記事でわかること

個人事業主が破産しても、フリーランスや一社専従の形態なら免責後に事業を継続できるケースが約3割存在します。破産法216条1項に基づく同時廃止か少額管財かで費用は最大50万円以上変わります。本記事では申立手続きから確定申告対応まで5ステップで解説します。本記事の情報は2026年3月時点のものです。

この記事の結論

個人事業主の破産は、原則として管財事件(少額管財)となりますが、弁護士に依頼することで予納金を20万円程度に抑えられます。フリーランス・一社専従など設備・在庫を持たない形態であれば、免責確定後に事業を再開・継続できる可能性が残されています。まずは法テラスの無料相談で自分の状況を把握することが、費用を最小化する最速ルートです。

今日やるべき1つ

法テラス(0570-078374)に電話し、無料法律相談の予約を入れる(所要時間:10分)。収入・資産が基準以下なら弁護士費用の立替制度が使え、着手金の初期負担をゼロにできます。

状況別ショートカット

状況読むべきセクション所要時間
同時廃止か管財か判断したい個人事業主破産は3タイプで判定5分
手続きの流れを知りたい破産申立は5ステップで完了7分
事業を続けられるか確認したい破産後も事業継続できる3条件5分
自分のケースを診断したい自分の破産タイプを3分で診断3分
準備すべきことを確認したい破産前の準備は7項目でチェック5分
コスト削減の具体策を知りたい個人事業主破産は5つの仕組みで解決10分
実際の事例を見たい破産2件の実例は明暗を分けた1つの差5分

個人事業主破産は3タイプで判定

「自己破産」と聞くと一種類の手続きをイメージしがちですが、個人事業主の場合は実態に応じて3つの手続きに分かれます。どれに該当するかで費用が数十万円単位で変わります。最初に正確に把握することが、費用最小化の第一歩です。

まず3タイプの基本構造を整理します。

同時廃止:費用1〜3万円・期間3〜4か月

同時廃止とは、破産手続の開始と同時に手続が廃止(終了)される最もシンプルな方法です。破産管財人が選任されないため、裁判所に納める予納金は官報掲載費用を含め1〜3万円程度で済みます。破産法216条1項に「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは…破産手続廃止の決定をしなければならない」と規定されており、財産がない場合に適用されます(裁判所公式サイト)。

ただし、個人事業主は売掛金・在庫・設備などの事業用財産を持つことが多く、原則として同時廃止には該当しません。在庫も設備も持たない一社専従のフリーランスで、かつ免責不許可事由がない場合に限り、例外的に同時廃止が認められる余地があります。「同時廃止を狙えるかどうか」を正確に判断するだけで、費用を20万円以上削減できる可能性があります。

少額管財:費用20万円+弁護士費用・期間3〜6か月

少額管財は、弁護士が申立代理人になることで手続きを簡略化した管財事件です。裁判所への予納金(破産管財人の報酬)を20万円程度に抑えられる点が通常管財と異なります。個人事業主が弁護士に依頼して自己破産する場合、多くのケースがこの少額管財に振り分けられます(ベンナビ債務整理「個人事業主の破産は同時廃止になりにくい」)。

弁護士費用(着手金)の相場は30〜60万円程度で、予納金と合わせると総額50〜80万円前後が目安です。費用への懸念から着手が遅れるケースが多いですが、法テラスを活用すれば弁護士費用を毎月5,000円〜の分割払いに抑えられます。デメリットとして、手続き期間が同時廃止より長く、破産管財人の調査を受ける必要がある点は事前に把握しておいてください。

通常管財:費用50万円以上・期間6か月〜1年以上

財産額が大きい、取引関係が複雑、または免責不許可事由(ギャンブル・浪費等)に該当する場合は通常の管財事件となります。予納金は負債額に応じて50万円〜700万円と幅広く、期間も1年以上に及ぶことがあります。個人事業主でも、複数の従業員を抱える事業や設備・在庫が多いケースがここに該当します。

3タイプの費用・期間を一覧で比較します。

手続き予納金目安期間目安弁護士費用相場個人事業主への適用
同時廃止1〜3万円3〜4か月20〜30万円例外的に適用(一社専従等)
少額管財20万円3〜6か月30〜60万円弁護士依頼で大半が該当
通常管財50万円〜6か月〜1年以上50〜80万円超大規模・複雑事案

個人事業主が最初に目指すべきは「少額管財で確実に免責を取得すること」です。コストへの不安から弁護士への依頼を躊躇すると、逆に通常管財に振り分けられて費用が増す可能性があります。


CHECK

自分の事業形態(在庫・設備の有無、取引先の数)を確認し、法テラスに無料相談を申し込む(10分)

なお、廃業と破産のどちらを選ぶべきか迷う場合は、個人事業主の廃業手続き7ステップも参照してください。

よくある質問

Q: 個人事業主でも同時廃止になれますか?

A: 例外的にあり得ます。在庫も設備も持たない一社専従のフリーランス(エンジニア・デザイナー等)で、財産が基準額以下かつ免責不許可事由がない場合、同時廃止が認められる可能性があります。判断は裁判所によって異なるため、弁護士への相談が不可欠です(裁判所公式サイト)。

Q: 破産申立てをしたら取引先に知られますか?

A: 弁護士に依頼した時点で受任通知が送付されるため、債権者である取引先には知られます。官報は一般的にほとんど読まれないため、家族や近隣への周知リスクは低いとされています。

CHECK

・在庫・設備の有無が「同時廃止か管財か」の最大の分岐点になる
・弁護士依頼で少額管財(予納金20万円)を目指すのが費用効率の高い選択
・法テラスの無料相談を活用して、まず自分のタイプを確認する


破産申立は5ステップで完了

手続きの全体像を把握すれば、次の行動が明確になります。弁護士への相談から免責確定まで、5つのステップで整理します。

ステップ1:弁護士への相談・依頼(2〜4週間)

最初の一歩は弁護士への相談です。弁護士が受任すると、金融機関や取引先への取立てが即日停止します。これにより精神的な圧力から解放され、手続き準備に集中できます。費用が不安な場合は法テラスを活用してください。法テラスの民事法律扶助制度を使えば、弁護士費用(着手金+実費)を法テラスが立て替え、月5,000円〜の分割払いで返済できます(法テラス公式サイト立替制度FAQ)。

なお、法テラスの予納金立替は原則として同時廃止の官報費用のみ対象で、管財事件の予納金20万円は自己負担となる点に注意が必要です。事前に弁護士と費用計画を立てることが重要です。

ステップ2:書類収集・申立書作成(1〜2か月)

個人事業主特有の必要書類として、直近2年分の確定申告書が求められます。確定申告書があると事業収支や財産状況が明確になり、手続きがスムーズに進みます(名古屋の弁護士:個人事業主の自己破産)。確定申告を怠っていても申立ては可能ですが、上申書の提出など追加対応が生じ、手続きが長引く可能性があります。共通して必要な書類には、住民票・戸籍謄本・通帳の写し(過去2年分)・債権者一覧表・収支計算書などがあります。確定申告書の基本的な書き方については確定申告書の書き方5ステップガイドも参照してください。

ステップ3:裁判所への申立て・振り分け(2〜4週間)

書類が揃ったら、住所地を管轄する地方裁判所に申立てを行います。東京地裁では弁護士と裁判官が「即日面接」で振り分けを行い、その場で同時廃止か管財かが決まります。他の地裁でも申立て後2週間〜1か月程度で振り分けの決定が出るのが一般的です。

ステップ4:管財人調査・財産処分(少額管財の場合:1〜4か月)

少額管財に振り分けられた場合、破産管財人(弁護士)が選任され、財産調査・処分・債権者集会が行われます。事業用資産(設備・在庫・売掛金)も調査対象となりますが、業務に欠かせない器具(民事執行法131条6号)は差押禁止財産として保護される場合があります。管財人の調査に誠実に協力することが手続き短縮の鍵です。

ステップ5:免責審尋・免責許可決定(申立てから3〜6か月後)

最終段階として、裁判所が免責を許可するかどうかを判断します。免責が確定すると、税金・養育費など非免責債権を除くすべての債務の支払い義務がなくなります。免責確定と同時に破産手続き中の資格制限(士業・警備員等)も解除されます。免責が確定してから約5〜7年間は信用情報機関に登録が残り、クレジットカードや融資を利用できない点はデメリットとして理解しておいてください。


CHECK

直近2年分の確定申告書・通帳コピーが手元にあるか確認し、なければ税務署または金融機関への請求手続きを開始する(30分)

破産に至る前に資金繰りを改善できるケースもあります。フリーランスの資金繰り術も合わせて確認してください。

よくある質問

Q: 弁護士なしで自分で申立てできますか?

A: 法律上は可能ですが、弁護士なしの場合は裁判所から管財事件に振り分けられやすくなり、逆に費用が増す可能性があります。個人事業主の書類準備は複雑なため、弁護士依頼を推奨します。

Q: 破産手続き中も確定申告は必要ですか?

A: 必要です。破産手続き中も個人事業主としての確定申告義務は継続します。管財事件の場合は破産管財人が税務処理を担うケースもありますが、いずれにせよ申告義務は免除されません。税金は非免責債権であり、破産後も支払い義務が残ります(マネーフォワード クラウド確定申告:個人事業主が自己破産したらどうなる?)。

CHECK

・受任通知の送付により取立てが即日停止する
・確定申告書2年分の準備が手続き期間短縮の鍵
・管財人調査への誠実な協力が免責取得を早める


破産後も事業継続できる3条件

「破産したら事業は終わり」という認識は誤りです。一定の条件を満たすフリーランスや個人事業主は、免責確定後に事業を継続・再開できます。ただし「継続できる」と「継続が容易」は別の話であり、条件を正確に理解することが必要です。

条件1:設備・在庫・複数取引先を持たない

破産後も事業継続しやすいのは、パソコン1台・ネット環境だけで完結する仕事です。Webライター・デザイナー・エンジニア・コンサルタント・フードデリバリーなど、在庫も高額設備も不要な業種が該当します(agoora「自営業者・個人事業主は自己破産できる?」)。「処分される財産が事業継続に影響しない形態かどうか」が最大の分かれ目です。飲食店・製造業・小売業など設備や在庫が必要な業種は、破産後の継続が非常に困難になります。

条件2:破産による資格制限に該当しない

破産手続き中(免責確定前)は、一定の資格・職業に就けなくなる制限があります。弁護士・税理士・公認会計士・司法書士などの士業、警備員、保険外交員などが代表的です。ただし、これらの制限は免責確定と同時に解除されます。フリーランスのデザイナーやライター、エンジニア等の資格不要の職種は手続き中も制限を受けません。資格が必要な業種を営んでいる場合、免責確定まで事業を一時停止する必要がある点を事前に把握しておいてください。

条件3:新規取引先の開拓または既存先との関係再構築

免責確定後に事業を再開する場合、既存の取引先との契約は破産手続き中に解除されている可能性があります。業務委託契約書に「破産申立てを契約解除事由とする」条項が盛り込まれているケースがあるためです。免責後の事業継続は「ゼロから新規開拓する」覚悟が必要です。一方で、破産後の起業・開業に法律上の制限はなく、個人事業の開業届は誰でも提出できます。開業届の記入から提出まで完全対応を参照すれば、免責後の再スタート準備を今から進められます。「破産後は二度と事業ができない」は誤解であり、実際に免責後に再起した事業主も存在します。


CHECK

自分の事業が3条件(設備不要・資格制限なし・新規開拓可能)を満たすか確認し、弁護士に「事業継続の可能性」を相談事項として明記してから相談予約を入れる(15分)

よくある質問

Q: 破産後に新たに開業届を出すことはできますか?

A: できます。免責確定後は法律上の制限がすべて解除されるため、新たに開業届を税務署に提出して個人事業主として再スタートすることが可能です。

Q: 破産後も屋号(事業名)を使えますか?

A: 基本的に使えます。ただし以前の取引先に対する旧事業の債務と混同されないよう、新事業での契約・取引は独立したものとして進めることが重要です。

CHECK

・在庫・設備不要のフリーランスは免責後すぐに事業再開できる
・資格制限は免責確定と同時に自動的に解除される
・破産後の開業届提出に法律上の制限はない


自分の破産タイプを3分で診断

弁護士への相談前に自分の状況を整理するための診断です。

Q1: 現在、事業用の在庫・設備(20万円超)を保有していますか?

Q2: 取引先が複数あり、売掛金・買掛金が発生していますか?

Q3: 現金・預金が33万円未満で、免責不許可事由(ギャンブル・浪費等)に該当しませんか?

タイプA: 費用最小化の可能性あり

在庫・設備なし・財産少額・免責不許可事由なし。弁護士に依頼すれば、少額管財か例外的な同時廃止を狙える可能性があります。法テラスを使えば総費用を30万円以下に抑えられるケースもあります。

タイプB: 少額管財が現実的

弁護士に依頼して少額管財(予納金20万円)を目指すルートが最もコスト効率が高いです。総額50〜80万円を目安に、法テラスの分割払い制度を活用してください。

タイプC: 通常管財・専門弁護士への相談が必須

財産・取引関係が複雑な場合、管財事件の規模と費用が大きくなります。弁護士が事前に財産を整理し、少額管財への振り分けを交渉することで、費用を抑えられる可能性があります。


CHECK

上記の診断結果と自分の状況を整理し、「タイプA/B/C」を明記した上で弁護士に相談の予約を入れる(10分)

よくある質問

Q: 過去にギャンブルで作った借金があると免責されないですか?

A: 免責不許可事由に該当しますが、必ずしも免責されないわけではありません。裁量免責(裁判所の裁量で免責する制度)があるため、状況を正直に弁護士に伝えることが重要です。ただし管財事件になる可能性が高くなります。

Q: 複数の事業をしていると手続きはどうなりますか?

A: すべての事業と個人財産が一体として申立ての対象になります。事業ごとに別々に申立てることはできません。取引関係が複雑なほど管財事件になる可能性が高まります。

CHECK

・在庫・設備(20万円超)の有無を確認した
・免責不許可事由(ギャンブル・浪費・偏頗弁済)に該当しないか確認した
・法テラスの収入・資産基準を確認した


破産前の準備は7項目でチェック

事前に準備を整えることで、初回相談の質が上がり、手続き期間を短縮できます。以下の7項目を確認してください。

チェック1:確定申告書(直近2年分)の確保

個人事業主の申立てに最も重要な書類です。手元にない場合は、確定申告書等閲覧サービスを利用して所轄の税務署で写しを取得できます(国税庁 確定申告書の閲覧サービス)。確定申告が赤字の年度も提出義務があり、赤字年度の確定申告で得られる節税メリットも把握しておくと、破産前後の税務対応がスムーズになります。未申告の年度がある場合でも、弁護士が上申書で対応できますが、手続きが複雑になります。確定申告書の有無が、手続きスピードに直結します。

チェック2:全債権者リストの作成

誰にいくら借りているかを網羅したリストを作成します。金融機関・消費者金融・取引先への買掛金・税金の滞納額をすべて含めます。一部の債権者を隠すと「偏頗弁済(特定の人だけへの返済)」と同様のリスクが生じ、免責が認められなくなる可能性があります。知人・家族からの借金もリストから外さないよう注意してください。

チェック3:通帳コピー(過去2年分)の用意

普通預金・事業用口座・ネット銀行すべての取引履歴が必要です。破産管財人は財産の流出(直前の大きな出金・贈与等)を調査します。2年分を揃えておかないと調査が長引き、手続き期間が延長します。

チェック4:事業用資産の現状把握

在庫・設備・売掛金の現在価値を整理します。各財産が20万円を超えるかどうかが管財事件への振り分けに影響します。業務上不可欠な器具(技術者・職人の作業道具等)は差押禁止財産として残せる場合がある点も確認しておいてください。

チェック5:非免責債権の把握

税金(所得税・消費税・住民税)・社会保険料・従業員への未払い賃金は、免責後も支払い義務が残ります。これらの滞納額を事前に把握し、破産後の支払い計画を立てておく必要があります。「破産すれば税金もなくなる」という誤解は危険です。

チェック6:資格制限の確認

現在の事業に必要な資格が破産手続き中の制限対象かどうかを確認します。弁護士・税理士・宅建士・保険外交員などが代表的な制限資格です。免責確定後は制限が解除されますが、手続き中の期間(3〜6か月)は制限業種に就けません。フリーランスのライター・デザイナー・エンジニア等は制限を受けません。

チェック7:法テラスの利用資格確認

月収・保有資産が一定基準以下であれば、法テラスの民事法律扶助制度で弁護士費用の立替を受けられます(法テラス公式サイト)。単身者の場合、月収182,000円以下かつ保有資産180万円以下が目安ですが、家族構成によって基準が変わります。法テラスを利用しなくても、弁護士事務所に直接分割払い交渉をするケースも多いため、費用面を理由に相談を諦める必要はありません。


CHECK

7項目のうち未確認のものを特定し、まず「確定申告書の確保」と「全債権者リストの作成」の2つを今日中に着手する(合計30〜60分)

よくある質問

Q: 確定申告書がない場合、破産申立てはできませんか?

A: できます。確定申告書がなくても申立ては可能ですが、収入・財産を証明できる他の書類(請求書控え・帳簿等)を集め、上申書を裁判所に提出することで対応します。ただし手続きが複雑になるため、弁護士への相談が不可欠です。

Q: 破産前に特定の取引先だけ返済しても大丈夫ですか?

A: 危険です。特定の債権者にだけ返済することは「偏頗弁済」として免責不許可事由に該当します。破産を検討し始めた段階で、弁護士に相談するまで新たな返済・贈与は原則止めてください。

CHECK

・確定申告書(直近2年分)を確保した
・全債権者リスト(税金・社会保険料含む)を作成した
・通帳コピー(過去2年分)を用意した
・事業用資産(20万円超の財産)を把握した
・非免責債権の滞納額を確認した
・資格制限の対象業種かどうか確認した
・法テラスの利用資格(収入・資産基準)を確認した


個人事業主破産は5つの仕組みで解決

以下は、破産にかかる費用・期間・精神的負担を最小化するための実践的な手法です。

ハック1:法テラス×弁護士で着手金負担をゼロにする仕組み

ハック2:少額管財への振り分け交渉で費用を30万円削減する仕組み

  1. 弁護士に「少額管財での申立て」を明確に希望として伝える(相談時)
  2. 事業用財産の目録を弁護士とともに作成し、20万円超の財産を正確に把握する(2〜3時間)
  3. 申立書類を弁護士が「少額管財」基準を満たす形で作成する(弁護士主導)
  4. 裁判所への申立て後、弁護士が管財人候補の選任交渉を行う
  5. 少額管財に振り分けられた場合、予納金20万円を裁判所に納付する

ハック3:2年分の確定申告を事前提出して審査期間を2か月短縮する仕組み

  1. 過去2年分の確定申告が提出済みか確認する(確定申告書の写しを税務署で入手可:10分)
  2. 未申告年度がある場合は税理士か弁護士に相談し、遅延申告の手続きをとる(1〜2か月)
  3. 申告書・会計帳簿を弁護士に提出し、破産申立書の作成に活用してもらう
  4. 管財人が財産調査を行う際、申告書があれば収支の確認が短時間で完了する
  5. 審査・調査の短縮で手続き全体の期間が圧縮される

ハック4:破産管財人への積極協力で手続きを最短化する仕組み

  1. 管財人選任後、速やかに面談の日程を組む(就任後1〜2週間以内)
  2. 財産目録・通帳・帳簿など要求された書類を期限前に全て提出する
  3. 管財人からの問合せには24時間以内に回答する(メール・電話)
  4. 財産処分(車・機器の売却等)が必要な場合は速やかに協力する
  5. 債権者集会には必ず出席し、質問に誠実に回答する

ハック5:「自由財産拡張」申請で事業継続に必要な財産を手元に残す仕組み

  1. 業務に不可欠な財産(パソコン・業務ソフト・作業道具等)をリストアップする
  2. 弁護士に「自由財産拡張申請」の意向を伝え、申請可能かを確認する
  3. 各財産の業務上の必要性を具体的に説明した書面を作成し管財人に提出する
  4. 管財人が裁判所に拡張の意見書を提出し、裁判所が決定する
  5. 拡張が認められた財産は破産財団から除外され、手元に残すことができる(マネーフォワード クラウド確定申告:個人事業主が自己破産したらどうなる?

CHECK

5つのハックのうち自分の状況に合う2つを選び、弁護士相談時の質問事項としてメモにまとめる(15分)

免責後の再起に向けて、フリーランスとして新たに収入を得る方法を事前に調べておくと行動が早まります。フリーランスの始め方まるわかりガイドも参考にしてください。

よくある質問

Q: 自由財産拡張はどんな財産が対象になりますか?

A: 生命保険の解約返戻金・退職金・自動車・敷金・電話加入権などが対象になりやすいとされています。パソコン・作業工具など業務上必要なものも対象になり得ます。ただし合計99万円の範囲内が基準であり、最終判断は裁判所が行います。

Q: 法テラスの収入基準を超えていると全額自己負担ですか?

A: 法テラスが使えない場合でも、多くの弁護士事務所が分割払いに対応しています。着手金を10〜20万円の分割で受け付けている事務所も多いため、収入基準超過でも費用面で諦める必要はありません。複数の事務所を比較してください。

CHECK

・法テラスの立替制度は弁護士費用のみが対象(予納金20万円は自己負担)
・少額管財への振り分けは弁護士依頼が前提条件
・業務上不可欠な財産は「自由財産拡張申請」で手元に残せる可能性がある


破産2件の実例は明暗を分けた1つの差

体験談を見ると、同じ「個人事業主の破産」でも早期行動と放置による明暗の差が明確に現れています。

ケース1(成功パターン): フリーランスが早期決断で免責・再起

Aさんは自宅でWebライターを営む30代フリーランス。収入減少で借金400万円が返済不能になり、友人に相談したことがきっかけで弁護士に依頼。在庫も設備も持たない一社専従型だったため、弁護士の尽力で少額管財として申立て。受任から約5か月で免責が確定し、免責後すぐにWebライターとして再スタートを切りました。破産手続き中の生活費は副業収入でカバーしていました。

「破産手続き中にWebライターをやって小銭を稼いでいたからです。最初は月5万円くらいだったが、多いときで20万円くらいは稼げる月もありました」

自己破産ブログ「自己破産した後は開業できない!って人に読んで欲しい」

相談を躊躇し続けていれば、取立てストップが遅れ、精神的疲弊と追加借入でさらに状況が悪化していた可能性があります。早期決断が功を奏したケースです。

ケース2(失敗パターン): 先送りで負債が拡大し再起が困難に

Bさんは人材派遣会社を経営する個人事業主。取引先の倒産で売掛金1億円相当の回収が困難になったにもかかわらず、「まだなんとかなる」と考えて事業継続のための借入を1年以上続けました。最終的に負債は1億円超に膨らみ、通常管財事件として申立てを行うことになりました。

「夢を持って起業したが事業継続のためにした借金1億円を、自己破産した」

note「自己破産体験談」

資金繰りが悪化した段階で即座に弁護士に相談していれば、負債の拡大を止め、少額管財での解決が可能だったかもしれません。先送りが総負担を数百万円単位で増加させた典型的な例です。

2つのケースから学ぶべきこと: 分岐点は「支払不能を認識した時点で即座に専門家に相談したかどうか」です。日本では「自己破産=人生の終わり」という誤解が根強く、相談を先延ばしにする傾向があります。しかし実際は、早期に手続きを取るほど負債の膨張を止め、事業再起の選択肢が広がります。


CHECK

自分が「ケース1の早期行動」と「ケース2の先送り」のどちらに近いかを確認し、今日中に弁護士か法テラスへの相談予約を入れる(10分)

よくある質問

Q: 破産して事業が失敗すると家族に迷惑がかかりますか?

A: 自己破産は個人の手続きであるため、家族の信用情報には影響しません。ただし家族名義の財産(共有財産・配偶者名義の口座等)や、家族が連帯保証人になっている場合は影響する可能性があります。詳細は弁護士に個別相談してください。

Q: 破産後に再び個人事業を始めると前の借金を引き継ぎますか?

A: 引き継ぎません。免責が確定した債務は消滅しているため、新たな事業は完全にゼロベースでスタートできます。ただし税金・社会保険料などの非免責債権は残るため、支払い計画を立てた上で再スタートしてください。

CHECK

・資金繰り悪化を認識した時点で弁護士に相談することが負債拡大を止める唯一の手段
・破産後の免責で個人の信用情報のみに影響し、家族の信用情報は別
・免責確定後の新事業開始に法律上の制限はない


破産を活かした再起:個人事業主の5つのアクションまとめ

個人事業主の破産は、早期に弁護士に依頼して少額管財(予納金20万円)を目指すことが、費用・期間・精神的負担を最小化する選択です。フリーランス・一社専従など設備不要の事業形態なら、免責後の事業継続という選択肢も残されています。

状況次の一歩所要時間
費用が心配で動けない法テラス(0570-078374)に電話し無料相談予約10分
手続きを早く終わらせたい確定申告書と通帳コピーを今日中に確認・取得開始30〜60分
事業継続できるか確認したい弁護士相談時に「事業継続の可能性」を最初に質問相談時5分
すでに取立てが来ている弁護士に今すぐ依頼し受任通知で取立てをストップ依頼後即日
免責後に再スタートしたい免責確定後すぐに開業届を税務署に提出する30分

「まず法テラスに電話する」この一歩が、負債の拡大を止め再起への道を開きます。お金の不安で相談を先延ばしにすることが最大のリスクです。本記事の情報は2026年3月時点のものです。

免責後の再スタートを見据えて、開業資金の目安も把握しておくと計画を立てやすくなります。フリーランスの開業資金計算と調達法も合わせて確認してください。

個人事業主破産に関するよくある質問

Q: 個人事業主が破産すると廃業届は必ず出さなければなりませんか?

A: 必ずしも破産と同時に廃業届を出す必要はありません。ただし実務上、事業用財産が管財人に引き継がれると継続が困難になるケースがほとんどです。フリーランスで設備が不要な場合は、弁護士と相談の上で廃業届の提出タイミングを判断してください。

Q: 破産後に信用情報はどのくらい残りますか?

A: 信用情報機関(CIC・JICC・全銀協)に事故情報として5〜10年残ります。この期間はクレジットカード・ローン・賃貸契約の審査に影響が出ることがあります。ただし官報には掲載されますが、一般に照会されることは少なく、日常生活への影響は限定的です(マネーフォワード クラウド確定申告:個人事業主が自己破産したらどうなる?)。

Q: 従業員がいる場合、破産時に従業員への給与はどうなりますか?

A: 未払い賃金は非免責債権のため、破産後も支払い義務が残ります。また「未払賃金立替払制度」(労働者健康安全機構が未払賃金を立て替える国の制度)を従業員が利用できる場合があります。従業員を抱えている場合は、早急に弁護士に相談してください(厚生労働省 未払賃金立替払制度の概要と実績)。

Q: 個人事業主の破産と法人の倒産はどう違いますか?

A: 法人(会社)の破産は法人が消滅し、代表者個人への影響は保証債務の範囲内に留まります。一方、個人事業主の破産は事業財産と個人財産が一体であるため、すべてが手続き対象となります。また個人破産後も「人」は存在するため、免責後の再起が可能です。

【出典・参照元】

記事内容は2026年3月時点の法令に基づいています。