

フリ転編集部 柿本
Webライター兼コンテンツディレクター。20年以上の人事キャリア経験をもとに、現在はHR分野からビジネス系インタビュー記事まで幅広く執筆中。
フリーランスはプライベート用銀行口座と事業用の銀行口座を分けて持つのが鉄則です。どの支払いがビジネス関連で、どの支払いが個人の支出なのかを思い出しながら会計処理をするのは途方もない労力がかかるので、さっさと銀行口座を分けてしまうのがベストです。

オンラインであれば即日で開設可能な事業用口座。経費処理を簡単にでき、収入と支出の流れを明確にしキャッシュフローの管理がしやすくなるなどメリットが多いので、まだ開設していない場合は早めに事業用口座を開設しましょう。
目次
全フリーランスは事業用口座で会計作業を楽にすべし
銀行の口座は通常口座と事業用口座があります。通常口座は誰でも開設できるものであるのに対し、事業用口座は仕事用の名前で開設する口座で開業届を銀行に提出している必要があります。
仕事とプライベートのお金の管理を分けるためにも、事業用口座を早めに作っておきましょう。
そもそも事業用口座とは
個人事業主やフリーランスが個人的に使用する銀行口座と分ける目的で、事業用に分けて使う口座のことを事業口座と呼びます。
個人用口座と分けて管理をすることで、事業の収入や支出を区別し、資金繰りがわかりやすくなるだけでなく帳簿付けがやりやすくなるなどのメリットがあります。
個人名で新しく口座を開設して事業用として使うこともできますし、事業用に屋号付きの口座を開設することもできます。
サポートがある店舗型銀行と手数料が安いネット銀行
店舗のある通常の銀行と、インターネットバンキングを主に利用するネット銀行は、営業形態やサービスに違いがあります。事業を行う際にはご自身の使いやすい銀行を選んで口座を開設すると良いでしょう。
店舗型銀行
メリット | 対面で相談できるので直接いろいろ聞きたい人向け。 |
デメリット | 店舗の営業時間内にしかサービスを受けられない。手数料が高め。 |
ネット銀行
メリット | 時間や場所を問わずインターネットを通じて全ての取引が可能。手数料が安い。キャンペーンなどがありお得な特典がある。 |
デメリット | 電話やオンラインチャットでのサポートのみ。オンラインのためセキュリティ面の不安がある。 |
法人口座と異なり屋号付き口座はあくまで個人口座の一種
個人事業主が利用する屋号付き口座と法人口座はどちらも事業用口座ですが、法人口座は法人専用の口座であるのに対して、屋号付き口座は個人口座の一種として開設を行います。
口座名に屋号を記載することで事業名で取引を行うことができますが、口座名義自体は個人の名前となります。
利便性ならGMOあおぞらネット銀行がおすすめ
GMOあおぞらネット銀行はオンラインで簡単に取引ができ、手数料が安いのが特徴です。
さらにクラウド会計との連携がスムーズで、入金管理や資金管理がわかりやすい、社会保険料やダイレクト納付の支払いが可能など、会計処理の効率化を図りたいフリーランスにとっておすすめの銀行です。
安心感なら屋号付きで口座開設ができるゆうちょ銀行がおすすめ
対面とオンラインのどちらも使えるようにしておきたい場合は、ゆうちょ銀行での口座開設がおすすめです。日本全国にネットワークが広がっており、地方でも使いやすく、ゆうちょダイレクトを使えばオンラインで各種操作が可能です。
なんと言っても金融機関としての信頼性が高いゆうちょ銀行での口座を持つことで取引先からの信頼を高めることができます。
屋号付き口座で資金管理や帳簿付けを楽にする
事業用の銀行口座を持つことで、生活費とビジネス用のお金を別に管理することができます。事業用口座を会計ソフトと連携させると日々の仕訳や帳簿付けを自動で済ませることができ、プライベートで使ったお金と間違えずにミス防止になります。
これらの会計業務の体制をしっかりつくっておくことで年度末の確定申告もスムーズになるのです。
簡易手続きで屋号付き口座が開設できるネット銀行
ネット銀行での口座開設はオンラインで手続きが完結し、開設までの期間が短いので開業後すぐに使い始められるというメリットがあります。屋号付き口座を開設できるネット銀行を3つご紹介します。
GMOあおぞらネット銀行 | PayPay銀行 | 楽天銀行 | |
特徴・メリット | ・使い分け口座機能で用途別での使い分けがしやすい ・クラウド会計との連携がスムーズ | ・口座開設から残高確認、取引先への振り込みまでスマホアプリで完結 ・ビジネスローンの申し込みもWebでできる | ・ATMの提携金融機関が多い ・個人事業主のビジネスに便利なサービスを多く提供 |
振込手数料 | GMOあおぞらネット銀行あて:無料他行あて:145円 | PayPay銀行あて:55円他行あて:160円 | 無料〜145円 |
口座開設に必要な書類 | ・個人事業主の確認書類(個人事業開業届出書、青色申告承認申請書、確定申告書など)・事業内容確認書類(ホームページ、チラシ、請求書など) GMOあおぞら銀行の個人口座を持っている必要がある 最短で2営業日後に開設 | ・本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカードなど)・個人事業開業届出書、営業許可証、確定申告書、課税証明書のいずれか 最短当日~7日程度で開設 | ・個人事業開業届出書または個人事業開始申告書(郵送で提出) 楽天銀行の個人口座を持っている必要がある 口座開設まで1~2週間程度 |
窓口でのサポートとクライアントからの信頼が厚いメガバンク
メガバンクでの口座開設は、資金繰りなどに関して直接相談したいフリーランスにとっておすすめ。屋号付き口座を開設できるメガバンクを3つご紹介します。
三菱UFJ銀行 | 三井住友銀行 | みずほ銀行 | |
特徴・メリット | ・三菱UFJダイレクトでオンライン取引が楽・手数料の割引やキャンペーンあり | ・SMBCダイレクトでオンライン取引が楽・事業主向けのサポートが充実 | ・みずほダイレクトでオンライン取引が楽・自動引落としや定期振込機能が便利 |
振込手数料 | 【同行】3万円未満:110円3万円以上:110円【他行】3万円未満:275円3万円位以上:275円 | 【同行】3万円未満:無料〜330円3万円以上:無料〜550円【他行】3万円未満:165〜605円3万円位以上:330〜770円 | 【同行】3万円未満:無料〜440円3万円以上:無料〜440円【他行】3万円未満:150〜710円3万円位以上:320〜880円 |
口座開設に必要な書類 | ・本人確認書類・印鑑・事業内容確認書類(個人事業開業届出書、青色申告承認申請書、確定申告書など) | ・本人確認書類・印鑑・開業届 | ・本人確認書類・印鑑・屋号付き口座開設に関するヒアリングを行った後に必要書類を提出する |
事業用口座を選ぶ際に必ず抑えるべきポイント
事業用口座をどの銀行で開設するか検討する際には、いくつか抑えておくべきポイントがあります。個人で銀行口座を開設する際に考慮する、アクセスの良さや手数料の安さだけでなく、事業を円滑にかつ効率的に進めるために検討しておくべきポイントがあります。
屋号付き口座が作れるか
屋号付きの口座を作れる銀行と作れない銀行があるので、検討している銀行が屋号付き口座に対応しているかどうか確認が必要です。屋号付きの口座も、屋号のみの口座開設は基本的にできず、「屋号と個人名」が並列して口座名義に表記されるのが一般的です。
会計ソフトとの連携ができるか
検討している銀行が使っている(もしくは使う予定の)会計ソフトと連携できるか確認が必要です。銀行により対応しているソフトが異なるので必ず事前にチェックしましょう。
取引明細のエクスポートができるか
取引明細データは口座の利用状況や収支管理、確定申告に必要な情報を把握するために使います。
手数料を抑えられるか
銀行手数料はビジネス上のコストであり、少なく済むに越したことはありません。振込手数料、ATM利用手数料、引き出し手数料などが最適な銀行を選ぶことが大切です。
屋号付き口座で資金管理や帳簿付けが楽になる
ネット銀行とメガバンクのメリット・デメリットを把握したうえで銀行選びをしよう
会計ソフトとの連携有無やデータエキスポートが可能かどうかもチェックするべきポイント
屋号名で口座を開設する流れ
どの銀行で口座開設するかが決まったら、実際に手続きを進めます。屋号付きの口座開設には屋号を証明できる書類(開業届など)の提出が求められるので、その準備も必要です。
屋号を決め開業届に記載して提出し開業
開業届とは、個人が事業を開始した旨を税務署に届け出る書類のことで、屋号が決まっている場合屋号も記載して提出します。ここで提出した名称をビジネスの通称として使うことができます。
口座開設に必要な書類を用意
銀行によって口座開設の際に求められる書類が変わってくるので、あらかじめ銀行のページで確認しておくとよいです。
口座開設に必要な書類例
- 開業届(税務署に提出した開業届の写し)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 屋号を証明できる書類(名刺や請求書などに記載された屋号など)
口座開設の目的と事業内容の書き方
口座開設の申込書類には、開設する目的を記載する必要があります。フリーランスの事業用口座開設の際には「フリーランスとしての事業収支管理のため」と書けば問題ありません。また事業内容の記載も求められた場合は「Webデザインの制作およびコンサルティング」「デザイナー業務」など事業の内容を簡潔に書きましょう。
口座開設手続きを店舗・オンラインで実行
銀行で口座開設申込手続きを行い、審査通過後に口座が開設されます。銀行により口座が使えるようになる期間は即日〜1週間などさまざまです。
事業用口座でさらに会計を楽にするためのポイント
事業用口座を分けて物理的に収支データを整理することで会計作業はシンプルになりますが、データ連携やツールを駆使することでさらに会計を楽にすることができます。
経費とプライベートの支払いは必ず口座を分ける
経費として計上できるのは事業に関する支出のみであり、個人の支出は含めないことを徹底します。
事業用口座と会計ソフトと連携して帳簿をつける
会計ソフトと連携させることで、口座の取引データが自動で取り込まれ、帳簿や確定申告などの会計作業の効率が大幅に向上します。
事業用のクレジットカードで経費を支払う
事業用クレジットカードを使って経費を支払うことで、すべての取引を一元管理でき、経費の処理が簡単になります。
CHECK
・屋号付きの口座開設には開業届に屋号の記載が必要
・事業用口座を作ることで会計処理はぐっと楽になる
・会計ソフトとの連携や事業用クレジットカードの活用でさらに効率化を図る

フリーランスはプライベート用の銀行口座と事業用口座を分けて持ち、帳簿作業や収支管理を効率的に行いましょう。