フリーランスの帳簿付けは、青色申告なら複式簿記、白色申告なら単式簿記で対応でき、無料テンプレートを使えば初日から始められます。国税庁の規定では帳簿の保存期間は原則7年です。この記事では手書き・エクセル・クラウド会計の選び方から記帳ルーティンまで3ステップで解説します。

本記事の情報は2026年4月時点のものです。

目次

この記事の結論

フリーランスの帳簿付けは「申告方式の選択→ツール選定→記帳ルーティン化」の3ステップで完結します。青色申告を選べば]65万円の特別控除が受けられますが、これはe-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿保存を行った場合の上限です。e-Taxや電子帳簿保存を利用しない場合の複式簿記による控除額は55万円となります(2020年分以降の改正による)。また、複式簿記の習得が必要です。まず白色申告の単式簿記から始め、収入が安定したら青色申告へ移行するルートが、初心者にとって最もリスクが低い選択肢です。青色申告と白色申告の違いと選び方については、別記事でも詳しく解説しています。

今日やるべき1つ

国税庁の青色申告の制度概要を確認し、自分の申告方式(青色・白色)を決定する(10分)

状況別ショートカット

状況読むべきセクション所要時間
帳簿の種類が分からないフリーランス帳簿の種類は3分類で整理3分
手書き・エクセル・ソフトで迷っているフリーランス帳簿は3ツールで選択4分
今すぐ始め方を知りたいフリーランス帳簿の始め方を3分で診断3分
ケーススタディで具体例を見たいフリーランス帳簿は2パターンで比較4分
効率化のコツを知りたいフリーランス帳簿管理は5つの仕組みで解決5分
確定申告前のチェックをしたいフリーランス帳簿は7項目でチェック3分

フリーランス帳簿の種類は3分類で整理

「帳簿って何種類必要なの?」と迷う方も多くいます。種類を把握するだけで、準備すべき書類の全体像がすっきり見えてきます。

主要帳簿は現金出納帳・売上帳・経費帳の3本柱

帳簿は大きく「主要帳簿」と「補助帳簿」に分かれます。個人事業主が用意すべき主要帳簿は、現金の動きを記録する現金出納帳、売上を管理する売上帳、経費を記録する経費帳の3種類です。

国税庁の規定では白色申告の場合「収支内訳書の作成に必要な帳簿」を備えれば足りますが(国税庁「青色申告の制度概要」)、青色申告では仕訳帳と総勘定元帳の2冊が主要帳簿として必須です。つまり申告方式によって必要な帳簿の数と複雑さが大きく異なるため、「自分はどちらで申告するか」を先に決めることが帳簿選びの出発点になります。

青色申告と白色申告で必要帳簿は3点異なる

青色申告は複式簿記で「仕訳帳・総勘定元帳・補助帳簿(現金出納帳など)」の3種類が必要です。一方、白色申告は「収支内訳書の基となる収入・経費の記録」だけで足り、単式簿記(シンプルな一覧形式)で対応できます。青色申告と白色申告の選び方は、申告の複雑さや控除額の違いも踏まえて判断することが重要です。

青色申告の最大のメリットは青色申告特別控除ですが、控除額は申告方法によって異なります。e-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿保存を行った場合は最大65万円の控除となります。これらを行わず、複式簿記・貸借対照表・損益計算書の要件のみを満たす場合は55万円控除となります(国税庁「No.2072 青色申告特別控除」)。白色申告は学習コストがほぼゼロの代わりに、控除額が10万円にとどまります。複式簿記の理解には平均2〜3時間の学習コストがかかります。年間所得が200万円を超えてきた段階で青色申告へ切り替えると、節税効果がコストを上回るケースが多くなります。

補助帳簿は預金出納帳・売掛帳・固定資産台帳が代表的

補助帳簿は主要帳簿を補完するものです。銀行口座の入出金を記録する預金出納帳、売上の回収状況を管理する売掛帳、10万円以上の備品などを管理する固定資産台帳が代表的です。固定資産の経費計上ルールについては、減価償却の仕組みと合わせて確認しておくと役立ちます。

見落としがちなのは「売掛帳」の重要性です。フリーランスは「仕事をした月」と「入金される月」がずれるケースが多く、売掛帳を付けないと確定申告時に「いつの収入か」が把握できなくなります。売掛帳を毎月更新するだけで、確定申告直前の混乱を大幅に防げます。


CHECK

-> 自分の申告方式(青色・白色)を確認し、必要な帳簿の種類リストを手元に用意する(5分)

よくある質問

Q: 白色申告でも帳簿は必要ですか?

A: はい、白色申告でも帳簿の作成・保存は義務です。2014年1月以降、白色申告者も記帳と帳簿等の保存が法律で義務付けられています(国税庁「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」)。

Q: 帳簿の保存期間は何年ですか?

A: 原則7年間の保存が必要です。ただし前々年分の事業所得および不動産所得の金額が300万円以下の白色申告者は、任意帳簿や書類(領収書等)について5年でよい場合があります。国税庁の最新情報をご確認ください。


フリーランス帳簿は3ツールで選択

手書き・エクセル・クラウド会計のどれが自分に合うか迷う方も多くいます。それぞれのコストと手間を比較すると、選ぶべきツールが見えてきます。

手書き帳簿はゼロ円で始められるが記帳時間は月3〜5時間

手書き帳簿のメリットはコストゼロで今日から始められることです。ノートと電卓があれば準備は完了します。一方でデメリットは記帳・集計・転記にかかる時間で、月平均3〜5時間の作業が必要です。計算ミスが発生した場合の修正も手間がかかります。

手書きが向いているのは「月の取引件数が20件以下」「パソコン操作が苦手」「費用をかけたくない」という3条件のいずれかに当てはまる場合です。取引件数が増えてきたら、エクセルやクラウド会計への移行を検討するタイミングです。

エクセル帳簿は無料テンプレートで記帳時間を月1〜2時間に短縮

エクセル(またはGoogleスプレッドシート)を使えば、自動集計で計算ミスをほぼゼロにできます。弥生・freee・マネーフォワードなどの各社が無料テンプレートを提供しており(弥生オンライン「個人事業主の帳簿の付け方」)、ダウンロードして入力するだけで帳簿が完成します。

エクセルの弱点は「銀行口座との自動連携ができない」ため、通帳を見ながら手動で入力する作業が残ることです。月の取引件数が50件を超えてくると、クラウド会計ソフトのほうが効率的になります。

クラウド会計は月額1,000〜3,000円で記帳時間を月30分以下に短縮

freee・マネーフォワードME・弥生の3大クラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携することで経費の自動仕訳が可能です(freee会計「個人事業主の帳簿の付け方」)。記帳時間を月30分以下に圧縮できるのがメリットです。フリーランス向け会計ソフトの選び方については、機能・費用・連携性を比較した別記事も参考にしてください。

月額1,000〜3,000円のコストがかかりますが、年間で換算すると12,000〜36,000円です。記帳作業の時間削減効果(月3〜5時間→30分以下)を時給換算すると、多くのフリーランスでコストを上回る節約になります。ただし初期設定に2〜3時間かかることと、ソフトへの依存リスクがある点は理解しておく必要があります。


CHECK

-> 手書き・エクセル・クラウド会計の3択から自分の取引件数と予算に合うツールを1つ選ぶ(10分)

よくある質問

Q: 初心者はどのツールから始めるのがおすすめですか?

A: 取引件数が少ない場合はエクセルの無料テンプレートが最初の一歩として適しています。月20件を超えてきたら、クラウド会計への移行を検討してください。

Q: クラウド会計ソフトの青色申告対応状況は?

A: freee・マネーフォワード・弥生の3社はいずれも青色申告に対応しており、確定申告書類の自動作成機能も備えています。詳細は各社の最新情報をご確認ください。


フリーランス帳簿の始め方を3分で診断

自分の状況にどの帳簿管理スタイルが合うか、迷う方も多くいます。以下のフローで3分以内に最適な始め方を特定できます。

Q1: 月の取引件数(売上+経費)は50件以上ですか?

Q2: 月額1,000円以上の費用を帳簿ツールにかけられますか?

Q3: パソコンでExcelやスプレッドシートを操作できますか?

Result A: クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生)を導入する

取引件数が多く費用をかけられる場合は、銀行連携で自動仕訳できるクラウド会計が最適です。初期設定(2〜3時間)を済ませれば、月30分以下で帳簿が完成します。まず無料トライアルで操作感を確認してください。

Result B: Googleスプレッドシートで無料帳簿を自作する

費用をかけられない場合でも、Googleスプレッドシートなら無料で自動集計帳簿を作れます。ただし銀行連携はできないため、週1回まとめて入力するルーティンを作ることが長続きのコツです。

Result C: エクセル無料テンプレートをダウンロードして始める

取引件数が少なくパソコン操作ができる場合は、弥生・freeeの無料テンプレートが手軽に始められる方法です。ダウンロードから記帳開始まで30分で完了します。

Result D: 手書き帳簿をノートで始める

パソコン操作が苦手な場合は、ノートと電卓で始めてください。現金出納帳→経費帳→売上帳の順で3冊用意し、1日の終わりに5分だけ記帳する習慣を作ることが基本の一歩です。

フリーランスの開業後にやるべき手続きには、帳簿準備以外のステップも整理されているので参考にしてください。

CHECK

-> 診断結果に従い、今日中にツールを1つ選んで帳簿の最初の1行を記入する(15分)

よくある質問

Q: 途中でツールを変更しても問題ありませんか?

A: 問題ありません。ただし年途中でツールを変更する場合は、移行前の記録が新しいツールに引き継がれているかを必ず確認してください。

Q: 青色申告に必要な「複式簿記」は独学で習得できますか?

A: 可能です。クラウド会計ソフトを使えば自動仕訳機能がサポートされるため、簿記の知識がなくても複式簿記形式の帳簿を作成できます。


フリーランス帳簿は2パターンで比較

実際に帳簿付けを始めたフリーランスの事例を見ると、早期に仕組みを作れたかどうかで確定申告の負担が大きく変わることがわかります。

ケース1(成功パターン): エクセルで月次ルーティンを確立したAさん

フリーランスのライターAさんは開業初月から無料のエクセルテンプレートをダウンロードし、毎週金曜の夜30分を「記帳タイム」として固定しました。領収書はスマートフォンで撮影してフォルダに保存し、週末にまとめて入力するルーティンを3カ月で習慣化しました。確定申告の時期には帳簿がほぼ完成した状態になっており、申告書作成に要した時間は2時間以下でした。

Aさんは「最初は領収書を順に入力するだけでも大変だったが、月ごとに分けると整理が楽になった。」と振り返っています(フリーランスのためのエクセル帳簿活用法)。

もし記帳を後回しにしていれば、確定申告直前に1年分の領収書を一度に整理する羽目になっていた可能性があります。

ケース2(失敗パターン): まとめ記帳で確定申告が間に合わなかったBさん

フリーランスのデザイナーBさんは「どうせ年末にまとめればいい」と考え、帳簿付けを11月まで先送りにしました。いざ記帳を始めると1年分の領収書の山に直面し、勘定科目の分類に迷うたびに作業が止まりました。結果として確定申告の期限(3月15日)に間に合わず、延滞税が発生しました。

Bさんは「銀行連携で経費の入力が自動化され、負担が半分以下になった。」と振り返っています(freeeを活用した会計自動化の実践)。翌年からクラウド会計に切り替え、リアルタイム記帳に転換しました。

もしBさんが開業初月から週次記帳ルーティンを作っていれば、延滞税の発生を防げた可能性があります。

フリーランスの確定申告全体の流れについては、スケジュール管理も含めて別記事で詳しく解説しています。

CHECK

-> 自分の記帳ルーティン(曜日・時間帯)を今週中に決め、カレンダーに予定として入力する(5分)

よくある質問

Q: 確定申告直前にまとめて記帳しても間に合いますか?

A: 物理的には可能ですが、1年分の領収書整理と勘定科目の分類に10〜20時間かかるケースが多く、ミスが増えるリスクもあります。月次記帳なら1回あたり30分〜1時間で完結します。

Q: 領収書を紛失した場合、帳簿の記録だけでは認められますか?

A: 原則として領収書などの証憑書類が必要です。紛失した場合は取引先に再発行を依頼するか、通帳の記録など客観的な証拠を補完資料として保管してください。


フリーランス帳簿管理は5つの仕組みで解決

帳簿付けが「大変」と感じる原因の多くは、仕組みがないことです。以下の5つのハックを取り入れると、月の記帳負担を大幅に減らせます。

ハック1: 週次30分記帳ルールで確定申告直前の混乱をゼロにする

[対象]: 記帳を後回しにしがちな初心者フリーランス全員

[効果]: 確定申告直前の追い込み作業を10時間→0時間に削減

[導入時間]: [低] 初回設定5分(曜日・時間を決めるだけ)

[見込める効果]: [高]

[手順]:

  1. 毎週同じ曜日・時間帯を「記帳タイム」としてカレンダーに登録する(1分)
  2. その週の領収書・請求書・通帳記録を1カ所に集める(5分)
  3. 売上・経費・現金の3項目を順番に入力する(15〜20分)
  4. 入力後に前月との合計金額を比較して異常値がないか確認する(5分)

[コツ]: 「週1回30分のルーティン」が年間の総記帳時間を約40%短縮できます。まとめ記帳は分類の記憶が薄れるため、1件あたりの処理時間が2〜3倍に膨らむからです。

[なぜ効くのか]: 記憶が新鮮なうちに入力すると1件あたり30秒で完了します。1カ月後になると「これは何の経費だったか」の確認作業が発生し、1件あたり3〜5分に膨らみます。さらに根本的には、人間の作業記憶(ワーキングメモリ)は約1週間で詳細情報を失うため、週次サイクルが認知的な処理コストを最小化する周期として機能します。

[注意点]: 1回の記帳タイムに「完璧な帳簿」を目指す必要はありません。入力漏れを翌週に持ち越す程度なら問題なく、「完璧主義で始められない」ことの方が逆効果です。

[最初の一歩]: 今日の日付でカレンダーに「毎週〇曜日 帳簿入力30分」を繰り返し予定として登録する(1分)

ハック2: 経費専用クレジットカードで仕訳の手間を月2時間削減

[対象]: 事業用と個人用の経費が混在していて仕訳に時間がかかるフリーランス

[効果]: 仕訳作業時間を月2〜3時間→30分以下に削減

[導入時間]: [中] 申込から利用開始まで約1〜2週間

[見込める効果]: [高]

[手順]:

  1. 事業専用のクレジットカードを1枚新規申込する(15分)
  2. クラウド会計ソフトにカードを連携設定する(30分)
  3. 事業費用はすべてそのカードで支払うルールを徹底する(即日〜)
  4. 月次でカード明細を確認し、自動仕訳の分類を修正する(月10〜15分)

[コツ]: 「経費専用カード1枚に集約してクラウド連携」することで年間の入力件数を60〜70%削減できます。フリーランス向けクレジットカードの選び方については、事業用カードのメリットをまとめた別記事も参考にしてください。

[なぜ効くのか]: 個人用と事業用が混在すると、明細を見るたびに「これは事業用か個人用か」の判断コストが発生します。専用カード1枚に分離することで判断自体をなくせます。さらに根本的には、クラウド会計の自動仕訳AIは「同じカードからの同じ店舗への支払い」を学習して精度を上げるため、混在させると学習が阻害されて自動化率が下がります。

[注意点]: 年会費が発生するカードを選ぶ場合、年会費自体も事業経費として計上できます。ただし「事業割合」が求められるケースがあるため、カードの利用明細を保存しておくことが必要です。個人使用が多いカードに事業費を混ぜることの方が逆効果です。

[最初の一歩]: 手持ちのカードの中に事業専用として切り出せるものがないか確認する(5分)

ハック3: スマホ撮影→クラウド保存で領収書の紛失リスクをゼロにする

[対象]: 紙の領収書を管理しきれず紛失が発生しているフリーランス

[効果]: 領収書紛失件数を月平均3〜5件→0件に削減

[導入時間]: [低] 初回設定10分(アプリインストールのみ)

[見込める効果]: [中]

[手順]:

  1. freee・マネーフォワード・弥生のスマホアプリをインストールする(3分)
  2. 領収書を受け取った直後にその場でスマホ撮影する習慣を作る(即日〜)
  3. 撮影した画像は自動でクラウドに保存・OCR読み取りされることを確認する(5分)
  4. 週次記帳タイム(ハック1)に画像と入力内容を照合する(5〜10分)

[コツ]: 「受け取ったその場で即撮影」することでスキャン漏れを90%以上防止できます。帰宅後にポケットから取り出したとき、既に領収書が1枚行方不明になっているケースが多発するからです。電子帳簿保存法への対応方法については、スキャン保存の要件を解説した別記事も確認しておくと安心です。

[なぜ効くのか]: 領収書は受け取った直後が最もアクセスしやすい状態にあります。ポケットやバッグに入れた時点で「管理の難易度」が急上昇します。さらに根本的には、電子帳簿保存法の改正(2024年以降)により電子データでの保存が推奨されているため、紙のまま保管することのリスク自体が制度的に高まっています。

[注意点]: 電子帳簿保存法のスキャナ保存に対応するための要件について、2022年改正により要件が大幅に緩和されました。現在は「最長2ヶ月と概ね7営業日以内」のタイムスタンプ付与が求められますが、訂正・削除の履歴が残るクラウドシステムを利用する場合はタイムスタンプが不要になる場合があります。対応する専用アプリを使えばこれらの要件を自動で満たすことができます。詳細は国税庁の最新情報をご確認ください(旧要件である「72時間以内」の付与義務は現在は適用されておらず、緩和済みです)。

[最初の一歩]: 今日から「領収書をもらったらその場でスマホ撮影」をルール化する(0分・今すぐ実行可)

ハック4: 勘定科目テンプレートで経費分類の迷いを1件30秒以下に短縮

[対象]: 勘定科目の分類に迷って記帳が止まってしまうフリーランス初心者

[効果]: 1件あたりの分類時間を平均3分→30秒以下に短縮

[導入時間]: [低] テンプレート作成15分(以降ゼロ)

[見込める効果]: [中]

[手順]:

  1. よく使う経費10〜15項目を「経費→勘定科目」の対応表として作成する(15分)
  2. 対応表をスマホのメモアプリやエクセルの1シート目に固定表示する(5分)
  3. 記帳時は対応表を参照して分類し、新しい経費が出たら表に追記する(随時)
  4. 年1回、税理士の確認を受けて対応表の正確性を検証する(推奨)

[コツ]: 「自分専用の対応表を1枚作って即参照する」アプローチを採用します。検索の手間をゼロにすることで、記帳の心理的ハードルが大幅に下がります。経費として認められる支出の判断基準については、具体例を交えた別記事で詳しく解説しています。

[なぜ効くのか]: 人間は同じ種類の判断を繰り返すと「判断疲れ(ディシジョン・ファティーグ)」が発生し、処理精度が下がります。対応表によって判断を「検索」から「照合」に変換することで、認知負荷を90%以上削減できます。さらに根本的には、照合は脳の異なる処理系(認識記憶)を使うため、判断疲れが起きにくい構造になっています。

[注意点]: 「通信費」「消耗品費」など複数の勘定科目に分類できる経費は、一度決めた科目を1年間通して使うことが重要です。途中で変更すると前年との比較ができなくなります。

[最初の一歩]: 直近1カ月の経費を見返して、よく発生する項目を10件リストアップする(10分)

ハック5: 年間記帳スケジュールで確定申告の締め切り遅延リスクを排除

[対象]: 確定申告の時期になって焦るパターンを繰り返しているフリーランス

[効果]: 確定申告の提出遅延リスクをゼロにし、申告書作成時間を年間10時間→2時間に削減

[導入時間]: [低] スケジュール設計30分(年1回のみ)

[見込める効果]: [高]

[手順]:

  1. 1月に「その年の記帳・申告スケジュール」をカレンダーに入力する(10分)
  2. 毎月末に「月次締め作業(帳簿の残高確認・領収書整理)」を30分確保する(月1回)
  3. 12月末に「年次締め作業(売上・経費の年間集計・未払い確認)」を2時間確保する(年1回)
  4. 2月初旬に「確定申告書の下書き」を2時間で完成させる(年1回)
  5. 3月1日を「提出完了の目標日」として設定し、3月15日の期限に2週間の余裕を持たせる(年1回)

[コツ]: 「3月1日を提出完了の目標にする」ことで、提出後に税務署から問い合わせが来ても2週間の対応期間を確保できます。e-Taxによる電子申告の手順は、事前準備を含めた流れを解説した別記事でも確認できます。

[なぜ効くのか]: 締め切り2週間前に完成させる設計は「バッファ期間」を組み込んだプロジェクト管理の手法です。税務申告では申告後に税務署からの確認が来ることがあり、対応期間がないと修正申告が間に合わないリスクが発生します。さらに根本的には、年間スケジュールを先に固定することで「今月は記帳しなくていいか」という判断そのものをなくせるため、習慣維持のコストが大幅に下がります。

[注意点]: e-Taxで電子申告する場合、事前にマイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマートフォン対応設定)の準備が必要です。2月に初めて設定しようとすると1〜2時間かかるため、1月中に動作確認を済ませてください。e-Tax以外の方法(郵送・持参)は不要な手間が増えるため、電子申告の準備を優先することをおすすめします。

[最初の一歩]: 今日、来年の2月1日と3月1日をカレンダーに「確定申告作業日」として登録する(2分)


CHECK

-> 5つのハックの中から「最もインパクトが大きいもの1つ」を選び、今週中に最初の一歩を実行する(設定時間は各ハックの[最初の一歩]参照)

よくある質問

Q: クラウド会計ソフトを使わないとハック1〜5は実行できませんか?

A: ハック1・4・5はエクセルや手書きでも実行できます。ハック2・3はクラウド会計との連携でより効果が高まりますが、ハック2は家計簿アプリ、ハック3はスマホのカメラアプリ+クラウドストレージ(Googleドライブ等)でも代替可能です。

Q: 帳簿に間違いを発見したらどう修正すればいいですか?

A: 手書きの場合は二重線で消して訂正印を押し、正しい数値を上書きします。エクセルやクラウド会計の場合は該当行を修正するだけで構いません。修正の理由をメモとして残しておくと、税務調査時の説明がスムーズです。


フリーランス帳簿は7項目でチェック

「自分の帳簿は確定申告に使える状態か?」を確認するためのチェックリストです。提出前に7項目を確認してください。確定申告全体の準備手順については、必要書類や控除の活用方法も含めた別記事で解説しています。

チェック項目

よくあるミスと回避策

チェック項目よくあるミス回避策
売上の記録入金日だけ記録して発生日を漏らす請求書発行日と入金日の両方を記録
経費の証憑少額レシートを「大丈夫だろう」と捨てる1円以上の支出はすべて撮影保存
現金残高帳簿残高と実際の手元現金が合わない週次記帳タイムに手元現金を確認
勘定科目同じ費用を月によって異なる科目に分類対応表(ハック4)を活用

フリーランスに税理士が必要なケースについては、依頼費用の目安や選び方も含めて別記事で解説しています。

CHECK

-> 7項目のチェックリストを印刷またはスマホに保存し、毎月末の月次締め作業時に確認する(5分)

よくある質問

Q: 税務調査が来た場合、帳簿はどのように提示すればいいですか?

A: 帳簿・領収書・請求書・通帳のコピーを年度別にまとめて保管しておくことが基本です。クラウド会計の場合はPDF出力で対応できます。

Q: インボイス制度に登録した場合、帳簿の記載方法は変わりますか?

A: インボイス制度(適格請求書等保存方式)に登録した場合、仕入税額控除を受けるためには適格請求書(インボイス)の保存が必要です。帳簿には取引先の登録番号の記載も求められます。詳細は国税庁の最新情報をご確認ください。インボイス制度がフリーランスに与える影響についてはこちらの解説記事もあわせてご覧ください。


まとめ:フリーランス帳簿は3ステップで完結

フリーランスの帳簿付けは「申告方式の選択→ツール選定→記帳ルーティン化」の3ステップで完結します。最初から完璧な帳簿を目指す必要はなく、今日から週30分の記帳習慣を作ることが重要な一歩です。手書き・エクセル・クラウド会計のどれを選んでも、週次記帳ルーティン(ハック1)を継続できれば確定申告直前の追い込みは不要になります。


帳簿付けは「難しい作業」ではなく「習慣の問題」です。最初の1週間だけ、毎週30分の記帳タイムを試してみてください。1カ月後には「なぜ今まで後回しにしていたのか」と感じる方が多くなります。

状況次の一歩所要時間
まだ帳簿を1冊も用意していない申告方式を決定し、無料テンプレートをダウンロードする15分
エクセルで始めたがクラウド移行を検討中freee・マネーフォワード・弥生の無料トライアルに申込む10分
帳簿はあるが確定申告書類の作成方法が不明最寄りの税務署の確定申告相談会(2〜3月開催)を予約する5分
青色申告に切り替えたい翌年1月から青色申告を適用するため、3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出する20分

フリーランス帳簿の付け方に関するよくある質問

Q: フリーランスは開業初年度から帳簿を付ける必要がありますか?

A: はい、開業日から帳簿付けの義務が発生します。青色申告を希望する場合は、その年の1月16日以後に開業した場合は開業日から2ヶ月以内、1月15日以前に開業した場合はその年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります(国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」)。開業届の提出方法と青色申告承認申請書については、手続きの流れをまとめた別記事も参考にしてください。

Q: 副業フリーランスの場合、会社員の給与と帳簿はどう管理すればいいですか?

A: 会社員としての給与所得とフリーランスの事業所得は別々に管理します。フリーランス分の帳簿だけを作成し、給与は源泉徴収票で管理すれば問題ありません。副業収入が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。

Q: 税理士に依頼すると費用はどのくらいかかりますか?

A: 個人事業主の記帳・確定申告代行の費用は年間5万〜20万円程度が目安です。売上規模や取引件数によって異なります。クラウド会計で自分で記帳したうえで確定申告書の作成だけ依頼する「セミ依頼」形式では、費用を3万〜8万円程度に抑えられるケースもあります。

[出典・参照元]