フリーランスとして独立したばかりの人にとって、最初の案件獲得は大きな壁となることが多いです。人脈がまだ少ない駆け出しの段階では、どこから手をつければよいか迷う方も多いでしょう。
本記事では、案件獲得のために押さえておきたい基本のステップや効率的な営業方法、ポートフォリオ作成のポイントをわかりやすく解説します。初めての案件獲得に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
初めての案件獲得は、何から始める?
- 独立前にポートフォリオ整理
- 案件獲得サービスに登録
- 営業した案件をさらにポートフォリオに追記する
独立したばかりのフリーランスにとって、最初の案件獲得は大きなハードルです。会社員時代と違い、フリーランスは自分で動かなければ仕事を得ることはできません。
案件獲得の方法は多岐にわたり、エージェントやクラウドソーシングサイトの活用、SNSやブログでの発信、交流会への参加、人脈の活用、企業への直接営業などがあります。
知人からの紹介やSNS経由で案件を獲得するケースもありますが、独立したばかりで人脈や実績がまだ少ない段階では、「クラウドソーシング」や「フリーランスエージェント」への登録がおすすめです。初心者でも応募しやすく、案件の種類も豊富なため、実績を積むきっかけになります。
まずは、案件獲得のための基本の3ステップを説明します。
ポートフォリオの整理
フリーランスにとってポートフォリオは、自分のスキルや実績をクライアントにアピールするものです。特にWebデザイナーやエンジニアなどのクリエイティブ職では、ポートフォリオの質が案件獲得に大きく影響します。
フリーランスとして活動を始める前に、まずは自分の強みや実績が伝わるポートフォリオを準備しましょう。
過去に携わった案件やサンプル作品を整理し、クライアントにアピールしたい部分を明確にしてまとめます。単に作品を並べるのではなく、担当した役割、工夫した点なども添えることで、あなたの強みがより具体的に伝わります。
案件紹介チャネルに登録
ポートフォリオの準備が整ったら、仕事獲得のためのチャネルに登録しましょう。初心者にはクラウドソーシングやフリーランス専門のエージェントがおすすめです。
また、前職の同僚や取引先など、これまでの人脈に相談したり、交流会に参加する方法も有効です。
実績を新たにポートフォリオに追加
無事に案件を獲得したら、その実績をポートフォリオに追加しましょう。実績を積み重ねることで、次の営業がスムーズになり、より良い案件獲得につながります。
ポートフォリオは常に更新し、自身の成長をアピールすることが成功のポイントです。
フリーランスの仕事につながるポートフォリオの作り方
フリーランスが仕事を獲得するためには、まず自分を知ってもらうことが大切です。そのための強力な武器が「ポートフォリオ」です。
ただし、単に作品や実績を並べるだけでは不十分。得意領域や具体的に依頼できる業務内容を明確にすることです。
「スキル」や「使用できるツール」は得意領域に絞って必要最低限書きましょう。クライアントは、依頼したい業務に対してピンポイントでスキルを持っている人を求めています。
業務の種類ごとにポートフォリオを分けて用意するなど、1つのポートフォリオ内では、「これができる人」と分かるものを意識してまとめます。
クライアントの目に留まり、信頼につながるポートフォリオのポイントを3つご紹介します。
何がいついくらでどのようにできる人か明確にする
ポートフォリオには、単なる自己紹介以上の情報が求められます。自分が「何ができるのか」を具体的に示すだけでなく、「どのくらいのスピードやコスト感で提供できるのか」まで明確に伝えましょう。
例えば、「Webデザイン:トップページデザイン・コーディング込みで2週間・10万円程度」のように記載すると、依頼者がイメージしやすくなります。
また、「作業の進め方」を簡潔に説明するのも効果的です。対応可能なサービス内容と費用を明瞭に示すことで、クライアントは依頼の判断がしやすくなり、費用に関するトラブルも未然に防げます。
実績やサービスは定量で明瞭に示す
過去の実績は、できるだけ数字や客観的な指標を用いて示すことが重要です。
例えば、「SNS運用でフォロワーを1万人に増やした」「ECサイトの売上を前年比150%に改善した」といった具体的な成果があれば、説得力が大きく増します。
成果物の画像やURLを添えて、閲覧しやすくする工夫も欠かせません。漠然と「経験があります」と伝えるのではなく、「結果を出せる人」であることをアピールしましょう。
ポートフォリオにおける実績は、やってきた仕事をすべて列挙するのではなく、得意分野に絞ってまとめることでクライアントにわかりやすく伝わります。
形にこだわりすぎず既存サービスでまず作ってみる
無料のポートフォリオ作成サービスを活用し、まずは形にして公開することが大切です。仕事をしながら徐々にブラッシュアップすることで、効率的かつスピーディーに完成度を高められます。
自分でゼロから作るよりも、見やすく魅力的なポートフォリオが簡単に作れるので、ぜひ積極的に利用しましょう。
クラウドソーシングとエージェントの使い分け
フリーランスとして案件を獲得するための営業活動には、「クラウドソーシング」と「エージェント」という二つの代表的な手段があります。それぞれに向いている人や活用ポイントが異なるため、自分に合った使い方を知っておくことが重要です。
初めての営業がクラウドソーシングに向いている人
営業経験が少なく、まずは実績を積みたい人にはクラウドソーシングがおすすめです。未経験者向けや低単価の案件が多く、応募しやすいのが特徴です。
実績を作ってポートフォリオに載せられるほか、依頼者と直接やり取りしながら進められるので、クライアントワークの基本を学びたい初心者にも向いています。スキルを磨きながら経験を積む第一歩として活用できます。
登録しておくべきクラウドソーシングサービス
クラウドソーシングは、企業や個人が募集する案件に対してフリーランスが応募する仕組みで、Webデザイン・プログラミング・ライティングなど、幅広いジャンルの案件が掲載されています。
オンライン上でプロジェクトを探し、直接クライアントと契約を結ぶ交渉ができ、営業経験が少ない人でも始めやすいのがメリットです。反面、取引先と直接契約になるのである程度の交渉力が必要になります。
代表的なサービスには「クラウドワークス」「ランサーズ」があり、初心者向けから高単価まで幅広い案件が揃っています。まずは登録して案件を検索し、条件や報酬を確認して応募してみましょう。
クラウドワークス
クラウドワークスは案件数が非常に多く、初心者向けの案件も豊富にあるため未経験から始めたい人に人気です。
ランサーズ
ランサーズはデザインや開発など専門性の高い案件が多く、スキルを活かして高単価案件を狙いたい人に向いています。
初めての営業がエージェントに向いている人
ある程度のスキルや実績があり、安定した収入や高単価の仕事を目指したい人にはエージェントの利用がおすすめです。
エージェントはあなたの経験やスキルに合った案件を企業とマッチングし、契約や報酬の管理まで代行してくれるので、営業が苦手な人や事務作業に時間をかけたくない人にぴったりです。
週3〜5日勤務の常駐型や長期案件が多く、安定して働けるのも魅力です。
登録しておくべきエージェントサービス
フリーランス向けエージェントサービスは、フリーランスと企業をつなぐ仲介サービスです。
スキルや経験、希望条件に合った案件を紹介し、クライアントとの契約交渉や交渉手続き、報酬管理まで代行してくれます。デザイナー向けやエンジニア向けなど専門特化したサービスもあるので、自分に合うサービスを選びましょう。
信頼性の高いクライアントや高品質な案件に出会える可能性が高く、営業活動の手間を減らして仕事に集中できるというメリットがあります。
登録やサポートは無料な場合が多いので気軽に利用可能です。複数のエージェントに登録して比較するのもおすすめです。ただし、報酬から手数料が引かれる点には注意しましょう。
レバテック
レバテックフリーランスは、ITエンジニアやWebデザイナーなど、フリーランス向けに特化した案件紹介エージェントです。
スキルの安売りだけは絶対にしないフリーランスの値決めの仕方
フリーランスにとって、自分の価格をどう決めるかはとても重要です。
まずは、自分のスキルや経験、案件にかかる時間と労力、そして市場の相場を調べ、自分の価値に見合った「適正価格」を設定しましょう。
安く価格設定をすることで案件を得やすくなるかもしれませんが、長期的には労力に見合わずに消耗してしまいます。
安く請け負うより、適正な価格で質の高い仕事をし、信頼を積み重ねる方が、将来的なキャリアや収入の安定につながります。自分の価値を信じ、根拠のある価格を提示する姿勢が大切です。
特別な目的がない限り安請け合いをしないが基本
自分の時間やスキルに見合わない低単価の仕事を続けると、生活が苦しくなり、スキルアップや準備の時間も確保できず、成長やキャリア形成が難しくなります。
また、「安い人」という印象が定着すると、適正価格での受注が難しくなり、高単価案件や優良クライアントとの出会いも遠のきます。
安定したキャリアのためには、実績作りなどの特別な場合を除き、適正価格での受注を心がけましょう。
駆け出しフリーランスが適正価格を自分で決めるステップ
- 業務にかかる工数毎を必要な時間数まで落とし込む
- 職種・業務や類似した案件の価格相場を調べる
- 自分の今の経験・実績やスキルといった付加価値を価格相場に上乗せする
- 必要な時間数×付加価値込みの時給単価から見積価格を計算する
フリーランスが適正価格を決めるには、いくつかのステップがあります。
まず、自身のスキルや経験を棚卸して価格相場を知ることと、目標とする月収や稼働可能な時間から、最低限必要な単価を計算して知っておきましょう。そのうえで以下のステップで適正価格を算出します。
市場感覚と自己評価のバランスが、適正価格の決め方のポイントです。
フリーランスの直案件の営業でレベルアップ
フリーランスが営業を通じて直接クライアントと契約する「直案件」は、仲介手数料がかからず、報酬を最大限に得られるのが大きなメリットです。
また、クライアントと直接やり取りすることで要望や意図を正確に把握しやすく、信頼関係も築きやすくなります。
自分の得意分野や希望する働き方との相性の良い案件を獲得することで、スキルアップにつながります。
フリーランスの案件獲得は直営業・直案件が理想
エージェントやクラウドソーシングを通すと手数料が引かれてしまいますが、直案件であれば契約金額がそのまま収入になり収益性が高くなります。
また、クライアントと直接やり取りすることで信頼関係を築きやすく、継続案件や長期契約、紹介などにつながる可能性が高まります。
さらに、自分のスキルや希望条件を直接伝えられるため、働きやすい内容やスケジュールで進めやすくなります。
このように、報酬面・信頼構築・働きやすさの点で、直営業・直案件はフリーランスにとって非常にメリットが多いのです。
知人の紹介、営業メール・求人サイトから直アプローチ
フリーランスが直で営業する手法としてはさまざまなアプローチがあります。まず、知人の紹介は信頼関係を活かせるため、受注につながりやすいのが特長です。
過去の仕事仲間や友人、SNSやイベントで出会った人などに、自分のスキルや実績を伝えておくことで、仕事の紹介や依頼をもらえる可能性が高まります。
特に最初のうちは、実績が少ない場合でも人となりを知ってもらっている分、信頼を得やすい方法です。
営業メールや求人サイトを活用したアプローチも有効です。気になる企業や案件に対して、自分からメールやメッセージで提案を送り、仕事を打診します。
ポートフォリオや過去の実績を添えて、自分がどんな価値を提供できるかをわかりやすく伝えることがポイントです。
また、求人情報サイトでは、フリーランス・業務委託歓迎の案件が掲載されていることも多く、そこから応募することで直接契約につながることもあります。
どちらの方法も、「自分の強みを伝えること」「誠実なコミュニケーション」が成功のカギとなります。自分から行動することで、理想の案件に出会えるチャンスが広がります。
初めての営業メールはどう作る?
営業メールは、自分のスキルや実績を相手に伝え、仕事のチャンスを作る大切な手段です。特にフリーランスの駆け出しの頃は人脈も少ないため、積極的に営業メールを送ることが案件獲得につながります。
フリーランスが営業メールを書く際は、簡潔かつ丁寧に自分の強みを伝えることが大切です。まずは件名で内容がわかるようにし、冒頭で自己紹介と連絡の目的を明確に伝えましょう。
本文では、相手の業務内容に触れつつ、自分のスキルや実績がどのように役立つかを具体的に示します。ポートフォリオや過去の制作例があればリンクを添えると効果的です。
メールの内容は信頼感にも直結するため、誠実で読みやすい文章を心がけることがポイントです。
駆け出しフリーランスが案件がなかなか獲得できない理由
駆け出しフリーランスが案件を獲得するのは簡単ではありません。営業経験が少ないため、自分から積極的に仕事を探してクライアントにアピールするのが難しいからです。
また、実績やポートフォリオが不足しているため、信頼されにくく、仕事を任せてもらえないことも多いです。
どんなにスキルが高くても、クライアントと出会えなければ仕事につながりません。そのため、営業力や積極的な行動が案件獲得のポイントになります。
フリーランスは仕事が自然に舞い込むわけではなく、自分でクライアントを見つけ、提案し、信頼を築く努力と時間が必要です。
営業スキルが低い・人脈が狭い・ポートフォリオがないが主な理由
駆け出しフリーランスが案件をなかなか獲得できない理由には、大きく3つの課題があります。
まず一つ目は、営業スキルが低いことです。自分の強みや実績を相手に伝え、相手の課題に合った提案をするスキルが不足していると、魅力が伝わらず案件につながりにくくなります。
二つ目は、人脈が狭いことです。フリーランスの仕事の多くは、過去のつながりや紹介によって生まれますが、人脈が乏しいと情報やチャンスが回ってきません。
三つ目は、ポートフォリオがないことです。クライアントは「どんな成果が期待できるのか」を重視しますが、実績やスキルを具体的に示すポートフォリオがなければ、依頼する決め手に欠けてしまいます。
これらの課題を一つずつ克服し、営業力の向上やネットワーク作り、見やすいポートフォリオの準備をすることが、案件獲得への第一歩です。
ポートフォリオ・サービスの整理、序盤は営業代行も一つの選択肢
フリーランスが案件を獲得するには、まずポートフォリオを作成することが大切です。その後、営業活動に取り組みます。
実績や強みを整理することで、新しい顧客との商談がスムーズに進みやすくなります。
営業代行サービスは、テレアポや商談の代行だけでなく、ポートフォリオなどの営業資料作成もサポートしてくれる心強いサービスなので、営業が苦手な人や時間が取れない人にとって大きな助けになるでしょう。
フリーランスが増える中で、営業が苦手な人が営業代行を利用するケースも増えています。
フリーランスが自分自身で案件を獲得するためには、自分のスキルや実績を整理し、クライアントにわかりやすく伝えるポートフォリオを作成します。次に、クラウドソーシングやフリーランスエージェントに登録し、初心者向けの案件に応募することで実績を積みます。
実績が増えれば、ポートフォリオに反映させ、さらに営業メールや人脈を活用してスキルアップを狙うことができます。焦らず地道に取り組み、適正価格で質の高い仕事を続けることで、安定したフリーランスのキャリアを築くことができるのでこつこつと頑張りましょう。