知らないと損する?電子帳簿保存法の保存義務、フリーランスが取るべき対応とは

2023年10月にはインボイス制度の開始、2024年1月には電子帳簿保存法の義務化、そして2024年10月にはフリーランス新法の施行など、ここ数年、フリーランスを取り巻く制度が次々と整備されています。

こうした目まぐるしい変化は、自由な働き方を支える一方で、各制度への理解や実務対応をフリーランスにも強く求めるシーンも増えています。特に「電子取引データの保存義務」は、対応が遅れがちにもかかわらず、見落とせない義務の1つです。

この記事では、「電子取引における保存ってなに?」「結局、自分に何が必要なの?」といった疑問に答えながら、フリーランスがやるべきことや対応のコツについて、わかりやすく解説します。

電子取引におけるデータ保存義務って何?

電子取引における「データ保存義務」とは、請求書や領収書などをメールやWebでやりとりした場合に、そのデータを電子のまま保存しなければならないというルールです。これは、2022年の電子帳簿保存法改正により義務化され、2024年1月から本格的に運用が始まりました。

紙に印刷して保存する方法は認められないため、対象者はデータのまま保存する必要があります。取引の電子化が進む中で、税務調査への対応を効率化する目的で制定されました。データ保存義務に違反した場合、罰則もあります

ここでは、フリーランスならおさえておきたい、データ保存義務の対象者や違反した場合の罰則について見ていきましょう。

データ保存義務はフリーランスも対象?

請求書や領収書をメールやWebで受け取っているなら、フリーランスでも電子取引の保存義務が発生します。「個人だから関係ない」と思っていると、実は対象だった…なんてケースも少なくありません。

違反すると、青色申告の取り消しや加算税などのリスクもあるため、油断は禁物です。まずは、自分が対象かどうかをしっかり確認しておきましょう。

データ保存義務に違反するとどうなる?

電子取引データの保存を怠ると、税務署に注意されるどころでは済みません。最悪の場合、青色申告の取消や経費の否認、重加算税の対象になるなど、フリーランスにとって大きな痛手となる可能性があります。

たとえば、データ保存が不十分だと、「帳簿が信頼できない」と判断され、推計課税の対象になります。経費計上も認められず、実際より多くの税金を支払うハメになるケースもあるでしょう。

さらに、悪質だとみなされれば、重加算税(最大50%上乗せ)の適用もあります。つまり、保存ミス1つが数十万円〜百万円単位の損失につながるリスクがあるということです。

「データ保存ぐらい、あとでやればいいや」と放置してしまうと、税務調査で一気に不利になるかもしれません。

そのため、日頃から適切に保存・管理することが、自分の身を守る一番の対策になります。

CHECK

・フリーランスも対象になる可能性がある
・違反すると、重い税務リスクにつながる
・日頃から適切に保存・管理する必要がある

データ保存義務の実態は?

電子帳簿保存法の義務化により、多くの企業や個人が対応を進めていますが、現場では「手間が増えた」「複雑で分かりにくい」といった声も少なくありません。

ここでは、実際の対応状況や現場のリアルな声をもとに、データ保存義務の「今」を見ていきましょう。

多くの人や企業が負担を感じている

電子帳簿保存法の義務化により、多くの企業が対応を進める一方で、実務面での負担感も無視できません。たとえば、リコージャパンの調査によると、全国の中堅・中小企業のうち86%がすでに対応を進めているものの、93%が「業務効率化が必要」と回答しています

また、Sansan株式会社の調査では、経理担当者は月4.5時間、非経理担当者も月4.1時間の業務増という結果が出ており、導入後の作業負担が深刻化していることがわかります。

実際、ネットでも「電子取引のチェックが4つも増えて地獄のようだ」「システムに自動取り込みしてほしい」といった声が散見されており、現場では対応して終わりでは済まない状況です。

フリーランスの場合も、請求書や領収書のやり取りがメールやチャットなどで完結するケースが多いため、対象になっている可能性は十分にあります。

そのため、対応を後回しにするのではなく、「どのようなデータを、どのように保存すればいいか」を今のうちに確認しておくことが大切です。

参照:
電帳法対応に関する調査を実施、93%の企業が「業務効率化が必要」と回答 | リコーグループ 企業・IR | リコー

Sansan、「電子帳簿保存法に関する実態調査」を実施〜電帳法対応で、経理担当者の業務が一人あたり月4.5時間増加。紙と電子の混在による業務負担増が明らかに〜 | Sansan株式会社

CHECK

・義務化が進む一方で、現場では作業負担が増加
・多くの人や企業が業務効率化の必要性を感じているのが現状
・対応を後回しにせず、今のうちに準備を始めることが大切

フリーランスは具体的に何をすればいい?

電子取引データの保存義務があるとわかっても、実際に何をすればいいのか分からないというフリーランスもいるのではないでしょうか。

ここでは、フリーランスが最低限やっておくべき対応について、簡潔に紹介します。

より詳細な実践方法については、以下の記事も参考にしてください。

インボイス登録した課税事業者の場合は?

インボイス制度に登録した課税事業者の場合、電子取引データの保存義務に加えて、保存対象となるデータの範囲や形式にも注意が必要です。

たとえば、仕入税額控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)をデータで保存し、その形式や検索性などが要件を満たしている必要があります。

保存すべきデータって?

電子帳簿保存法では、請求書や領収書、契約書、見積書など、従来紙で保存していた書類に相当する電子データを保存する必要があります。

具体的には、メールやWeb上で受け取った請求書・領収書、ECサイトでの購入履歴、クラウドサービスからのダウンロードデータなどが該当します。

これらのデータは、受け取った場合だけでなく、送信した場合も保存対象となります。保存形式は問いません。PDFやスクリーンショットでも問題ないでしょう。

参照:電子取引データ|国税庁

保存方法は?どうやってやればいいの?

電子取引データは、改ざん防止のためのいずれかの措置を講じて保存する必要があります。具体的には、以下の方法のいずれかで対応可能です。

  • タイムスタンプを付けて保存する
  • 訂正・削除の履歴が残るクラウドサービスなどで保存する
  • 改ざん防止に関する事務処理規程を整備し、その手順に沿って保存する

また、「日付・金額・取引先」で検索できるようにしておくことも求められています。専用システムがなくても、ファイル名を統一ルールで付ける、Excelで索引簿を作成するといった方法で対応可能です。

税務調査などでデータを提示できるよう、モニターやプリンターの準備も必要です。対応を後回しにせず、今のうちに保存方法を見直しておきましょう。

参照:電子取引データ|国税庁

どんなツールが便利?選び方は?

電子取引データの保存には、改ざん防止や検索性の確保といった要件を満たす必要があります。これらの条件をクリアするためには、電子帳簿保存法に対応したクラウド会計ソフトや請求書管理ツールを活用するのが有効です。

たとえば、freeeやマネーフォワードなどの主要な会計ソフトは、タイムスタンプの付与や訂正削除履歴の保存、検索機能の確保に対応しています。導入にあたっては、ツールが「電子帳簿保存法対応」と明記されているかを確認することが重要です。

対応の手順としては、まず自社の取引形式を整理し、必要な保存機能を明確にしたうえで、対応可能なツールを選定する流れが基本となります。複数のサービスを併用している場合は、保存場所やファイル名のルールを統一することで、業務の属人化や検索漏れのリスクを防ぐことが可能です。

CHECK

・対象となる保存データを把握する
・正しい保存方法を選定する
・自分に合ったツールを導入する

フリーランスが保存時に気をつけるべきことは?

電子取引データの保存には、いくつかのルールや注意点があります。ここでは、フリーランスがとくに意識すべきポイントを3つに分けて紹介します。

改ざん防止の要件

電子取引データは、タイムスタンプを付けて保存するか、訂正・削除の履歴が残るシステムで保存する必要があります。事務処理規程を作成・運用する方法でも対応可能です。

検索性の確保

保存したデータは「日付・金額・取引先」で検索できるようにしておくことが求められます。前述したクラウド会計ソフトなど、対応機能を備えたツールを活用すると便利です。

紙での保存との違い

電子で受け取ったデータを、印刷して保存するだけではNGです。紙で受け取った書類は、紙保存でも問題ありませんが、スキャンして電子保存する方法も認められる場合があります。

CHECK

・タイムスタンプや履歴機能で改ざん防止に対応する
・「日付・金額・取引先」で検索できるように整理する
・電子で受け取ったものは電子のまま保存する必要がある

めんどくさいけど…やらなかったらどうなる?

電子取引データの保存は、「やっていないからすぐに罰則を受ける」という性質のものではありません。しかし、対応を後回しにしていたことが、税務調査の場面で思わぬリスクとして跳ね返ってくる可能性があります。

ここでは、保存義務を行った際の税務調査・経費否認リスクなどについて解説します。

税務調査で「帳簿の信頼性」が疑われる

税務調査では、帳簿や領収書、請求書の保存状況が厳しくチェックされます。

とくに、電子取引に関するデータについては、「紙に印刷して保管しているだけ」「改ざん防止措置が取られていない」といった状態では、帳簿の信頼性に欠けると判断されるリスクがあります。

このように判断された場合、調査官から「本来の取引内容が正確に記録されていない」とされ、経費としての否認や推計課税といった不利益な対応につながる可能性があるでしょう。

経費として否認されるケースもある

電子取引に関する保存要件を満たしていないと、たとえ実際に事業のために支出した費用であっても、「証拠不十分」として経費として認められないケースがあります

たとえば、クラウドサービスで取得した請求書をPDFで保存していたものの、タイムスタンプも履歴も残っていなかった場合、「このデータは改ざんされていないと証明できない」と判断され、経費から除外されるおそれがあります

特にフリーランスの場合、1つひとつの経費が事業利益に直結するため、少額の否認でも税額に大きな影響が出る可能性があるでしょう。

帳簿全体の否認=加算税リスクの引き金になる可能性がある

一部のデータ保存の不備がきっかけとなり、帳簿全体の信頼性が疑われると、さらに大きな税務リスクが発生します。

たとえば、保存が不十分な取引が複数見つかった場合、「意図的な隠ぺいまたは仮装」とみなされ、重加算税(本来の税額に最大50%上乗せ)の対象になる可能性もあります

つまり、保存方法1つのミスが、帳簿全体の信頼を揺るがす要因となりかねないため、注意しましょう。

CHECK

・帳簿の信頼性が疑われる可能性がある
・経費として否認される恐れがある
・帳簿全体が加算税対象になるリスクがある

めんどうな保管、ちょっとでもラクにするには?

電子帳簿保存法への対応が求められるなか、どのようにすれば効率よく保存できるか、頭を悩ませているフリーランスも少なくありません。「すべてデータで残せばいいのでは?」と考え、領収書や請求書をまるごとデータ管理するフリーランスも見られます。

こうしたデータ管理の手段としては、会計ソフトの活用が代表的です。たとえば、会計ソフトに連携することで、クラウド上に取引情報を一元管理し、紙での管理を最小限に抑えるケースなどがその一例として挙げられます。

すべての取引を電子化する必要はありませんが、「データで受け取れるものは電子で受け取り、紙の場合もすぐにスキャンする」といった対応を意識することで、保存漏れや手続き忘れのリスクを大幅に減らすことができます。

ここでは、保存をスムーズにするための工夫について、具体的に見ていきましょう。

そもそも電子化された状態で受け取る

保存の手間を減らすには、受け取る時点ですでにデータ化されていることが重要なポイントになります。

たとえば、取引先から届く請求書や契約書がPDFなどの形式で送られてくれば、社内でスキャンや変換をする必要もなく、そのまま保存要件に沿った対応がしやすくなります。

もちろん、すべての取引が電子化されている必要はありません。郵送などで届いた紙の書類でも、受領後すぐにスキャンしてデータとして保管すれば、対応可能です。

受け取る書類をなるべく電子化しておくことで、支払い漏れや保存漏れといった業務上のリスクも最小限に抑えることができます。

現場で迷わないためのルールを作る

業務を効率的に進めるには、「何をどう保存するか」の判断基準を明文化しておくことが効果的です。

たとえば、「FAXで届いた書類はすべて自動でPDF化する」「契約書は可能な限り電子締結を推奨する」といったルールを設定しておけば、書類ごとの対応をその都度判断する必要がなくなります。

さらに、「紙での保存が必要なものには『紙保存』と記載したシールを貼り、保管場所を統一する」といった具体策を講じることで、担当者間での認識のズレを防ぐことも可能です。

ルールが整備されていれば、フリーランス本人だけでなく、将来的にチームで作業する場面でも、情報の取り扱いがブレなくなるため、対応が進めやすくなります。

CHECK

・会計ソフトなどでデータ管理を効率化
・書類は受領時点で電子化しておくと便利
・保存ルールを明文化すれば、迷わず対応可能に

まだまだ課題やグレーゾーンもたくさん…

実務の現場では、電子帳簿保存法への対応に関してさまざまな課題やグレーゾーンが存在しています。ここでは、現場でよく挙がる具体的な課題と、今後の展望についてチェックしていきましょう。

紙書類と電子取引データが混在している

現場では、郵送で届く紙の請求書とPDFの電子データが混在し、整理が難しいという声が多く聞かれます。

特に税務関連では、同じ内容が紙と電子の両方で届くこともあるため、「どちらを保存すべきか」「重複しないようにどう管理するか」といった悩みも多い傾向です。

また、制度が過渡期にある中、「すべてを電子で管理するのは現実的に難しい」という声も少なくありません。高齢の事業者やITに不慣れな層では対応が困難な場面も多く、超高齢化が進んでいる日本において、スキル格差や負担感の大きさが課題になっています。

会計ソフトの導入・運用が進まない

また、会計ソフトの導入や運用に関しても、コストや操作性の問題から導入が進まないケースもあります。これらの課題に対して、税理士や専門家の意見を参考にしながら、適切な対応策を検討することが求められています。

明確なガイドラインがない

たとえば、取引メールの本文やSNSのDMなど、正式な書類以外のやり取りが保存対象となるかどうかについては、明確なガイドラインがないため、対応に苦慮している事業者も多いようです。

「電子帳簿保存法の対策セミナーでも、取引メールの保存範囲が十分に説明されていない」といった声もあり、たとえば売上計上に関係するやり取りを削除していた場合には、帳簿不備とみなされ重加算税のリスクが高まるという懸念も出ています。

しかし、実際には「DMやメールをすべて保存するのは現実的でない」という声も多く、「どこまで保存すれば十分か」という基準の不明確さが、現場の混乱を招いています。

現場や専門家の声から見る、今後の電子帳簿保存法

電子帳簿保存法への対応は、制度の整備だけでなく、現場のIT環境や業務の変化にも密接に関わっています。税理士や経理担当者、会計ソフト企業など、さまざまな立場の声からも、今後の方向性が少しずつ見えてきています。

たとえば、会計ソフト「freee」では、インボイス番号を自動で読み取り、事業者情報を検索・表示できる機能が実装されるなど、保存の“手間”を減らす自動化の流れが加速しています。

また、税理士の中からは「これからは税務もデジタル化に強くないと対応できない時代が来る」との声もあり、電子帳簿保存法は単なる「保存義務」ではなく、業務全体のデジタル対応の一環と捉える視点が広がっています。

一方、実務では「メールで請求書を受け取って印刷保存しているが、将来的にNGになるのでは?」という不安の声も散見されます。現時点では認められている対応でも、将来的なルール変更やガイドラインの見直しがある可能性は否定できません。

このように、現場や専門家のリアルな声からも、「効率化」と「ルールの明確化」への期待と課題が交錯しており、今後の動向を注視していく必要がありそうです。

令和7年度税制改正で見直しの方針も明示されている

2024年(令和6年)7月に公開された「令和7年度税制改正の大綱」では、電子取引における電磁的記録の保存制度に関する見直しが正式に盛り込まれました。これは、今後の電子帳簿保存法の運用に大きな影響を与える可能性があります。

たとえば、重加算税の加重措置に関しては、保存要件を満たした「特定電磁的記録」については対象外とする方向で見直しが進められています。この「特定電磁的記録」には、訂正・削除の履歴が確認できるシステムで保存されたデータや、帳簿との相互関連性が確保されているデータなどが該当します。

さらに、青色申告特別控除(65万円)の適用要件についても、帳簿の電磁的保存だけでなく、こうした一定のシステム要件を満たした電子保存をしていれば要件を満たすとする方向での緩和が予定されています。

これらの改正案は、2027年(令和9年)以降に適用が開始される見通しです。中小企業やフリーランスにとっては、ツールやシステムの整備によって、より実務に即した柔軟な運用が可能になることが期待されています。

CHECK

・紙と電子の混在やIT格差が混乱を招いている
・会計ソフト導入や保存範囲の判断が難しい
・令和7年度改正で制度の見直しが進められている

電子帳簿保存法は、私たちフリーランスにとって決して他人事ではありません。

インボイス制度、フリーランス新法、そして電子帳簿保存法の義務化…。制度が次々と変わる中で、何をどうすればいいのか分からず、後回しにしてしまっている人も多いのではないでしょうか。

しかし、電子帳簿保存法は、私たちフリーランスにとって、税務上のリスクから身を守るための「備え」です。

難しく感じるからこそ、「まずはここから」という入り口を見つけて、1つずつ整えていくことが大切です。最初は完璧じゃなくても問題ありません。少しずつ対応を始めておくことで、後々のリスクを防ぐことができます。

また、義務だからといやいや対応するのではなく、仕組みを理解し、自分の仕事のスタイルに合った方法でコツコツ整えていくことで、将来のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

ただ言われるがままに従うのではなく、制度の内容を正しく知り、自分自身で考えて選ぶ姿勢こそが、これからのフリーランスにはますます求められるのではないでしょうか。

フリーランスの請求管理を効率化|電子帳簿保存法対応の請求書テンプレ・回収遅延対応を解説

提供したサービスや販売した商品の代金を請求する書類を「請求書」と言います。フリーランスにとって請求書は売上請求をするためだけでなく、取引完了の証明や支出の管理などさまざまな役割を持つ書類です。

請求書を漏れずに送るだけでなく、請求書をきちんと保管するまでが請求管理。フリーランスとしておろそかにはできない大切な業務です。

フリーランスの請求管理業務は経営戦略を立てるために必要な経験 

フリーランスとしての請求管理は、キャッシュフローを安定させ、経営戦略を効果的に立てるために不可欠です。経理業務代行サービスもありますが、フリーランスとして独立したばかりであれば資金の流れを理解するためにも一度自分でやってみることをおすすめします。

フリーランスが​行う請求管理に伴う​経理業務

経理の業務は基本的に月次で毎月行うものと、年次で年に1回行うものに分かれます。毎月の業務を漏れなく行っていれば年度ごとの経理業務が楽になります。

毎月​行う​請求管理に伴う経理業務

通帳の​記帳、​または​入出金チェック

入出金チェックは経理管理の重要な部分です。定期的に行うことで財務状況を把握しやすくなります。

請求書の​発行

フリーランスとして請求書を発行することは、金銭トラブルの防止や報酬を正しく受け取るために必要不可欠です。漏れやミスなく、納品と同時に請求書を送付しましょう。

経費の​支払い 

フリーランスにとっての経費とは事業に関して支出した金額のことです。家賃、wifi代、ツールの利用料金などが該当します。

帳簿の​抜け漏れの​確認

帳簿の作成はすべての事業主の義務であり、白色申告や青色申告をしているフリーランスも帳簿をつけなければなりません。毎月の家計簿と同じように帳簿をつける癖をつけ、漏れがないかチェックをしましょう。

領収書や​請求書などの​整理と​保存

電子帳簿保存法により、取引の際に発生する税務関連の書類を指定に沿って保存が必要です。これは領収書や請求書も該当します。忙しいとフォルダ保存をし漏れていることもあるので、毎月漏れがないか確認します。

毎年行う請求管理に伴う経理業務

棚卸作業

個人事業主や法人は、年に1度必ず決算を行わなければなりません。決算にともない、資産の残高を適切に把握するために棚卸を行います。Webデザイナーなどのフリーランスの場合は在庫を持たないビジネスですが、使用しているツールやライセンスなどを見直しをするタイミングです。

決算書の​作成

棚卸後、年間の収支をまとめた決算書を作成して確定申告書に添付しなければなりません。freeeなどの会計ソフトを使って作成すると簡単です。

確定申告 

フリーランスの確定申告は、収入や経費を正確に申告する重要なものです。確定申告とは、その年の収益と経費を申告し、所得に対する正しい税金を計算して納税することです。毎年2月16日から3月15日までの期間中に前年度の所得に関する申告を行う必要があります。

CHECK

・キャッシュフローを知るために、フリーランスでも自分で経理業務をやってみるのがおすすめ
・毎月の経理業務には入出金チェックや請求書発行、帳簿づけがあります
・年度末に年1回行われる経理業務は確定申告がメインになります

フリーランスが請求書を発行する際の注意点

フリーランスにとって、請求書は非常に重要な書類です。請求書に必ず記載しなければならない項目は、国税庁の「請求書等の記載事項や発行のしかた」にて、以下の5つに定められています。

1.書類作成者の氏名または名称
2.取引年月日
3.取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
4.税率ごとに区分して合計した税込対価の額
5.書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
国税庁「請求書等の記載事項や発行のしかた

振込手数料の対応

報酬の振込手数料は支払側が負担するのが一般的です。新規の取引先の業務を初めて受託する場合は、どちらが振込手数料を負担するかを確認して明確にしておきましょう。

源泉徴収の対応

源泉徴収とは取引先がフリーランスに支払う報酬から一定の税金(所得税)を差し引き、直接税務署に納付する制度です。契約時に源泉徴収の有無や条件を確認し、対象の場合は源泉徴収された分を明記した請求書の保管が必要です。

消費税の書き方

フリーランスも消費税を請求できますので、請求書には消費税欄が必要です。インボイス対応の場合は適格請求書発行事業者の氏名や登録番号の記載、適用税率の記載が必要になります。

押印の必要性

請求書には印鑑の押印義務はありません。もしフォーマットとして押印をしたい場合は角印を使うことが一般的です。

PDF化した後のパスワード処理 

請求書はデータが誤って消えたり改ざんされたりしないように、パスワード付きPDFにして取引先に送ります。請求書を送るメールと請求書のパスワードを知らせるメールは別々に送信します。

CHECK

・請求書に記載しなければならない項目は法律で定められている
・振込手数料や源泉徴収の対応など注意が必要
・請求書はPDF化してパスワードを付けて取引先に送る

電子帳簿保存法に準じた請求書作成・送付後に必要な保存のポイント 

フリーランスが請求書を電子で保存する際、電子帳簿保存法を理解しておく必要があります。電子帳簿保存法とは、税務関係帳簿書類のデータ保存の方法について細かく定めている法律です。

取引年月日・金額・取引先名をファイル名に記載

保存したデータの中から必要な書類を探しやすくするために、検索しやすいファイル名を付けることが推奨されています。例えば以下のように、ファイル名に検索できる要件名を入れておくと良いでしょう。

[取引先名]_[取引内容]_[YYYYMMDD]_[金額].pdf

請求書は5年・インボイス(適格請求書)は7年保存が義務

請求書は法律にもとづき一定期間保存しなければなりません。確定申告が終わったからもう使わなくなると思って削除するとアウトです。通常の請求書は5年、インボイス(適格請求書)に関しては7年の保存が義務付けられています。

DropboxやBoxなど電子保存用のストレージを契約しておくと便利 

DropboxBoxといったクラウドストレージに保存をしておくとどこからでもアクセスでき、社内外のユーザーと簡単にデータ共有が可能になり便利です。クラウドストレージとは、インターネット上で利用できるファイルの保管場所のことです。ファイルを保管するだけでなく、クラウドストレージ上の(保管場所の)URLを共有することでファイルの共有も簡単に行えます。

CHECK

・電子帳簿保存法により請求書の保存のしかたが定められている
・ファイル名は検索しやすい名前のパターンを決めて保存すること
・最長で7年の書類の保存が義務付けられており、クラウドストレージに入れておくと便利

提案や案件の進捗・請求や支払いなどの一元管理で経理業務の負担を減らす

経理業務の負担を減らすためには、ツールの導入が欠かせません。プロジェクト管理と会計ソフトが統合された統合管理システムの導入や、手作業によるミスを減らすために請求を自動化する仕組みを作るなど、できるだけ自動化・効率化しましょう。

見積から請求まで一気通貫のおすすめ請求管理ソフト

フリーランスとして請求管理をするメリットは、事務作業の効率化、請求ミスの削減、キャッシュフローの管理、収益の可視化など多くあります。請求漏れは収入減だけでなく取引先からの信用低下にもつながります。請求管理をミスなく行うために専用ソフトの導入をおすすめします。

Make Leaps

Make Leapsは帳票作成から入金管理までをWEB上で一元管理できる請求管理クラウドサービス。誰でも直感的に使えるシンプルでわかりやすい操作性が特長で、2019年度グッドデザイン賞を受賞しています。

Tooon

Tooonは取引管理や決済機能をワンストップで完結する業務管理ツールで、ブラウザ上で共同編集出来るのが特徴。フリーランスやクリエイター向けに開発された取引アプリで、業務負担の軽減を実現することで創造的な活動に集中できる環境をつくることを目的としています。

INVOY

INVOYは請求書の作成や取引先の追加など請求・経理業務に必要な多くの機能を無料で利用できるサイトです。インボイス制度や電子帳簿保存法など最新の法令にも対応しています。

INVOICY 

INVOICYはフリーランス向けの完全無料な請求書、作業報告書管理ツール。請求書、見積書だけでなくフリーランスには欠かせない作業報告書の作成&管理を行うことができる クラウドサービスです。

CHECK

・経理業務やツールの導入により自動化することが可能
・キャッシュフローの管理、収益の可視化といった観点から請求管理は不可欠
・見積から請求まで一気通貫でできるソフトもいろいろあります

フリーランスとして請求管理はお金の流れを可視化し、計画的に資金管理をするために大切なこと。守らなければいけない法律もいくつかあるので、知識をみにつけながらこつこつと経理スキルも身に着けていきましょう。

フリーランスに改正電子帳簿保存法が義務化|取引書類の保存義務・保存期間にクラウド活用

2024年1月1日より電子帳簿保存法で電子取引のデータ保存が完全義務化となりました。フリーランスも対象で、違反すると罰則の対象になりますので必ず対応が必要です。

取引先との書類のやり取りは、今ではオンライン(メールやWeb経由)で行うのが主流になりました。これを機会にすべてを電子化し、電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを導入することで経理や書類管理にかける労力を効率化しましょう!

フリーランスは電子帳簿保存法で電子取引のデータ保存が完全義務化に

電子帳簿保存法はほぼすべての事業者が対象であり、フリーランスももちろん対象です。会社員で副業している場合も、所得を雑所得として申告しており、前々年分の雑所得の収入金額が300万円を超える場合は電子帳簿保存法の対象です。これにより、電子取引によって発行・受領した書類は、すべて電子データでの保存が必要になっています。

そもそも電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、税務関係帳簿書類のデータ保存の方法について細かく定めている法律を指し、税務関係帳簿書類とは国税関係帳簿と国税関係書類の2種類に分かれます。2024年1月1日以降の電子取引はデータ保存が完全義務化されています。

国税関係帳簿と国税関係書類をデータで保存する場合の要件を定めた法律

電子帳簿保存法では「電子帳簿等保存」、「スキャナ保存」、「電子取引データ保存」の3種類の保存手法に分けられており、それぞれに保存要件が定められています。帳簿や書類を紙で保存する代わりにデータで保存することでヒューマンエラーの防止や税務調査の時間短縮を目的としています。

国税関係帳簿に該当する書類

総勘定元帳・仕訳帳・現金出納帳・固定資産台帳・売掛金元帳・買掛金元帳

国税関係書類に該当する書類

・決算関係書類

貸借対照表・損益計算書・試算表・棚卸表・財産目録・事業報告書

・取引関係書類

見積書・契約書・請求書・領収書・小切手・納品書・送り状・注文書・見積書・入庫報告書など

改正により電子取引のデータ保存への対応が2024年1月1日より完全義務化に

2022年1月から施行されて2年間の猶予期間が設けられていた電子帳簿保存法ですが、2024年から完全義務化されています。これにより電子データでやり取りをしている帳簿書類はデータ保存対応をしなければなりません。

電子帳簿保存法と電子帳簿等保存制度は似て非なる法律であり要注意

帳簿や書類をデータ保存するためのルールをまとめた「電子帳簿等保存制度」は、「電子帳簿保存法」とは別物。電子帳簿保存法は遵守するべき法律なので国税庁電子帳簿等保存制度特設サイトを確認しながら対応しましょう。

CHECK

・電子帳簿保存法はフリーランスも対象
・対象となる書類は「国税関係帳簿」と「国税関係書類」
・名前が似ている「電子帳簿等保存制度」とは違う法律なので注意

電子帳簿保存法は電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引に区分される

電子帳簿保存法における保存方法は以下3つに区分されています。

・電子帳簿等保存…自分で作成した書類の電子データを電子データのまま保存すること

・スキャナ保存…紙で受領した書類をスキャンして画像保存すること

・電子取引データ保存…取引先から受領した電子データの書類は電子データのまま保存すること

電子帳簿等保存は国税関係帳簿書類のデータ保存を認める任意対応

総勘定元帳や仕訳帳、貸借対照表、損益計算書などの帳簿は電子データでの保存は必須ではありませんが、データで作成している場合は電子での帳簿保存が可能です。

スキャナ保存は取引先から受け取った紙の請求書などのデータ保存を認める任意対応

取引先から紙で受け取った契約書、納品書、請求書、領収書、見積書、注文書、検収書などの取引関係書類は電子データの保存は必須ではありませんが、スキャナ保存も可能です。その場合、改ざん防止のための保存条件が定められています。

電子取引が電子データで行った電子取引のファイルをデータ保存する義務対応

電子データでやりとりした取引関連書類(契約書、見積書、納品書、請求書、領収書、送り状など)は電子保存が必須になります。取引年月日・金額・取引先名をファイル名に記載して、すぐに見つけやすいように保存をしておきましょう。

電子データでの保存が必要な主な取引関係書類の例

取引関係書類として電子帳簿保存法の適用に当てはまる書類を、作成・入手シーン別にまとめました。

見積書や発注書、請求書といった自身の業務取引上の書類

自社で作成した書類に関しては、電子帳簿保存法に対応している会計ソフトで作成をすれば自動で保存がされるので便利です。エクセルなどを使って書類作成をしている場合は、タイムスタンプや検索機能を付けて保存をする必要があります。

データで発行されダウンロードした領収書や請求書などの書類

取引先から電子データで送られた領収書や請求書は、電子帳簿保存法に適合した形式で保存が必要です。メールに添付された状態での保存ではなく、パソコンやドロップボックスに専用のフォルダを作って、検索してすぐに探し出せるように整理しておく必要があります。

インターネットバンキングやクレジットカードの明細・履歴などの取引情報書類

電子データで受け取ったインターネットバンキングやクレジットカードの領収書は、紙に印刷せずに電子データのまま保存が必要です。電子データで受け取った領収書などを紙に印刷をして保存しても税務上は証憑書類として認められません。また、クレジットカードの利用明細は国税関係書類に該当せず経費を証明する書類にはならないので、領収書の保管が必要となっています。

CHECK

・電子帳簿等保存(帳簿の電子保存)は必須ではない
・紙で受け取った書類をスキャナ保存することは必須ではない
・オンラインで電子データでやり取りした書類は電子取引データとして保存が必須

電子取引のデータ保存を安全に行うために必要な指定要件

電子取引のデータ保存を安全に行うためには、電子帳簿保存法に基づいて一定の指定要件を満たす必要があります。要件には、「真実性の確保」と「可視性(検索性)の確保」の2点が求められています。

電子データの真実性を確保する要件

電子データの真実性とは、データが削除・改ざんされていないことが確認できる状態を保っていることを指します。これにはタイムスタンプの付与が有効です。

検索機能を確保する要件

電子データの検索性とは、誰もがすぐに確認できる状態を確保していることを指します。具体的には以下の方法があります。

・保存するファイル名に規則性を定める

・Excelなどで検索簿・データ一覧を作る

・検索要件に対応したシステムを利用する

フリーランスが電子帳簿保存法に違反した場合の罰則・リスク

フリーランスが電子帳簿保存法に違反した場合、以下のような罰則、信頼性の低下などさまざまなリスクが伴います。税務署への提出や税務調査の際に必要となる帳簿や書類の電子保存は必ず行いましょう。

違反すると青色申告が取り消される可能性もある

電子帳簿保存法で定められた要件に満たされない管理・保存方法だったとしても直ちに青色申告が取り消されることはありませんが、税務調査で帳簿書類の提示を求められたにもかかわらず、提示を拒否した場合などは青色申告の承認の取消事由に該当することになります。

電子取引データの改ざんなど不正があれば重加算税10%加重の可能性も

電子帳簿保存法では国税関係書類の電子データ上で悪質な不正などがあった場合の重加算税の加重措置も明記されています。データ保存が適切でなく、税務調査においてデータ不正や意図的な隠ぺいをしたとみなされた場合は重加算税が適用されます。

フリーランスが電子帳簿保存に対応する手順

フリーランスや個人事業主であっても電子帳簿保存法への対応は必須です。まず自分の場合はどの書類が対象になるのかを洗い出し、どこにどのようなルールで保存をしていくべきかを決めてから運用するとやりやすいです。

自身が関わっている電子取引の範囲の確認をする

電子取引とは、電子メールのやり取りだけでなく、Webサイトからの資料ダウンロード、クラウド上で契約を行う電子契約、EDI(電子的データ交換)取引など様々なものが含まれます。それらのやり取りの中で、電子帳簿保存法で電子データ保存が求められている書類を洗い出します。

既存の会計ソフトが電子帳簿保存法に対応しているかを確認する

会計ソフトを使っている場合は、ツールが電子帳簿保存法に対応しているか確認しましょう。電子帳簿保存法の要件すべて(電子帳簿保存・スキャナ保存・電子取引)に対応している会計ソフトが理想です。

クラウドストレージなどデータの保管場所とファイルの命名ルールを決める

電子帳簿保存法における保存場所としては、クラウドストレージ、会計ソフト内、自社サーバー、外部ストレージなどが一般的に使用されます。いつでもアクセスでき、検索や印刷が可能な状態で保存されていて、バックアップ保存をされていることが理想です。

また、検索しやすいようにファイル名のルールを決めると良いので、以下のように検索できる要件名を入れておくと良いでしょう。

[取引先名]_[取引内容]_[YYYYMMDD]_[金額].pdf

保存形式を一元管理するためにスキャナーの導入などペーパーレスの運用を行う

保存が必要な書類が紙と電子の両方になる可能性もあります。その場合は統一して同じフォーマットで管理をするほうが効率的なので、電子データ保存で一本化するためにペーパーレス化を検討することを推奨します。

CHECK

・保存には「真実性の確保」と「可視性(検索性)の確保」の要件を満たさなければならない
・違反したとみなされた場合は罰則の対象となり得る
・まず手順に則って体制を整えよう

フリーランスの経理業務の効率化する電子帳簿保存法に対応のおすすめ会計ソフト

電子帳簿保存法に対応している会計ソフトには、請求書や納品書を電子化しクラウドへ保存する機能や、帳票の作成から送付・保管まで一括で行うことができる機能など、さまざまなシステムがあります。自身の経理状況に合わせたツールを選ぶことで業務効率向上につなげましょう。

MoneyForwordクラウド確定申告 

MoneyForwordクラウド確定申告は、ステップに沿って入力していくだけで確定申告に必要な書類をカンタンに作成できるサービスです。銀行口座やクレジットカードからの取引明細自動取得、勘定科目の自動提案などの機能も充実しています。

freee会計 

freee会計は、請求・支払業務から会計帳簿・決算書の作成、経営管理まで、経理をスムーズに効率化してくれます。法人、個人の事業規模を問わず、会計や経理作業全体を効率化し時間とコストを削減することができます。

やよいの青色申告オンライン 

やよいの青色申告オンラインは、入力画面が直感的で、簿記知識がない人でも簡単に使用できるのが特徴です。デスクトップアプリ(インストール型)とオンライン(クラウド型)がありますが、オンラインのほうが価格が安く気軽に始められます。

やよいの白色申告オンライン 

やよいの白色申告オンラインは、シンプルな画面で家計簿感覚で簡単に帳簿がつけられるので初心者に使いやすいソフト。白色申告に必要な機能がすべて使えて利用料金がずっと無料です。

CHECK

・電子帳簿保存法の要件に沿って電子データを保管できるのが会計ソフト導入のメリット
・会計ソフトによって確定申告まで対応しているものなどもある
・会計ソフト導入により経理業務の効率化にも役立つ

フリーランスを含むすべての事業者は電子帳簿保存法に基づき、電子取引の書類(見積書や請求書など)の電子保存が求められています。フリーランスは電子取引の範囲を確認し、適切な会計ソフトを導入し、ペーパーレス運用を進めましょう。

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