どこからが交通費?あなたの移動を正しく経費に変える方法

フリーランスとして活動する中で、適切な経費管理は収益を最大化するための重要な要素です。特に交通費は日常的に発生する経費であり、正しく把握し計上することで、節税効果も期待できます。しかし、「どこまでが経費として認められるのか」「どのように記録すべきか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、フリーランスにとっての交通費の基本から実践的な管理方法まで、わかりやすく解説していきます。

フリーランスの交通費管理は業務と私用を明確に区分し、正確な記録を残しましょう。領収書の保管と電子ツールの活用で効率化を図り、適切に経費計上することで節税効果を最大化できます。経費管理の習慣づけが事業の安定と成長につながります。

交通費の基本を理解しよう

交通費とは何か

交通費とは、業務上必要な移動に伴って発生する費用のことです。具体的には、電車やバスなどの公共交通機関の運賃、タクシー代、自家用車のガソリン代や高速道路料金などが含まれます。

フリーランスの場合、仕事のための移動全般が交通費の対象となりますが、プライベートでの移動は含まれないため、区別して管理する必要があります。

通勤費と移動費の違い

会社員の「通勤費」と異なり、フリーランスには固定の勤務地がないため、「通勤費」という概念はありません。

しかし、自宅から常時利用している事務所や作業場への移動費は、自宅と「事業の拠点」間の移動として考えられ、経費として認められる場合があります。一方、クライアント先への訪問や打ち合わせのための移動費は「業務のための移動費」として明確に経費計上できます。

出張と日常の移動の区分

一般的に、日帰りできない距離への移動や宿泊を伴う業務は「出張」として扱われます。

出張の場合は、交通費だけでなく宿泊費や日当なども経費として計上できる場合がありますが、その基準や限度額については明確に設定しておくことが重要です。

旅費交通費の勘定科目

会計上、業務に関連する移動費用は「旅費交通費」という勘定科目で処理されます。

この科目には、交通機関の運賃、宿泊費、出張時の日当などが含まれます。適切な勘定科目で処理することで、確定申告時のミスを防ぎ、税務調査にも対応しやすくなります。

以下に、交通費として計上できる主な費用をまとめました。

費用の種類内容経費計上の可否
公共交通機関の運賃電車、バス、飛行機など○(業務関連のみ)
タクシー代業務上の利用○(合理的な理由が必要)
ガソリン代自家用車の業務利用分○(家事按分が必要)
高速道路料金業務のための移動○(業務関連のみ)
駐車場代業務先での駐車○(業務関連のみ)
宿泊費出張時の宿泊○(相当額のみ)

CHECK

・業務に必要な移動にかかる費用を交通費として扱う
・通勤や出張など移動の目的ごとに経費の可否が異なる
・経費計上に必要な交通費の内容と処理方法を確認する

経費として認められる交通費の範囲と注意点

経費計上できる交通費の種類と限度

業務に直接関連する交通費は基本的に全額経費計上できますが、「相当な金額」かどうかという判断基準があります。

例えば、必要以上に高級なホテルの宿泊費や、合理的な理由なくビジネスクラスを利用した場合などは、税務調査で否認されるリスクがあります。

以下に、特に注意が必要な交通費の種類と限度について示します。

費用の種類経費計上の目安注意点
グリーン車・ビジネスクラス合理的な理由がある場合のみ長時間移動や重要な商談前など、理由を記録
高級ホテルの宿泊費業務上必要な範囲内一般的な相場を大きく超えない額
タクシー利用合理的な理由がある場合深夜や大量の荷物がある場合など
レンタカー代公共交通機関より効率的な場合移動経路と理由を記録

ガソリン代と家事按分の考え方

自家用車を業務と私用の両方で使用している場合、ガソリン代や車両維持費は「家事按分」という方法で、業務使用分だけを経費計上します。

按分の方法としては、走行距離や使用日数の割合による計算が一般的です。

【家事按分の計算例】

1ヶ月のガソリン代:15,000円業務での走行距離:600km総走行距離:1,000km経費計上額:15,000円 × (600km ÷ 1,000km) = 9,000円

この計算のためには、業務での使用と私用での使用を明確に区別できるよう、走行記録をつけておくことが重要です。

消費税の扱い

交通費の消費税の扱いは、支払先が課税事業者かどうかによって異なります。

JRや大手私鉄などの公共交通機関の運賃には消費税が含まれていますが、インボイス制度導入後は、課税事業者からの領収書でないと仕入税額控除の対象になりません。

タクシーや駐車場などを利用する際は、可能な限り課税事業者から領収書を受け取るようにしましょう。

特殊な交通費の取り扱い

業務関連でも、接待や福利厚生、研修などの目的によって、勘定科目が「旅費交通費」ではなく別の科目になることがあります。

目的適切な勘定科目備考
接待のための移動接待交際費支接待との一連の出として
福利厚生(社員旅行など)福利厚生費従業員がいる場合
セミナー・研修参加研修費・会議費目的が明確なもの
広告・宣伝活動広告宣伝費営業活動に関連するもの

CHECK

・高額な移動や宿泊には合理性が必要となる
・自家用車の経費には家事按分の考え方を使う
・消費税や目的別で処理科目が変わることがある

交通費の効率的な管理と記録の方 

領収書の保管と記録の重要性

税務調査に備えるため、交通費の領収書は7年間保管する必要があります。

特に金額の大きな支出や頻繁に発生する交通費については、いつ、どこへ、何の目的で移動したかを記録しておくことで、後々の説明がしやすくなります。

【交通費記録の例】

日付出発地目的地交通手段金額業務内容領収書番号
4/15自宅新宿電車560円A社打ち合わせR-0415-1
4/20新宿大阪新幹線14,520円B社プレゼンR-0420-1
4/22大阪自宅飛行機15,800円帰路R-0422-1

電子マネーとアプリ利用の記録方法

Suica、PAYPAYなどの電子マネーやタクシー配車アプリを利用する場合も、利用履歴を保存することで領収書代わりになります。

多くの電子マネーやアプリでは、利用履歴をCSVファイルなどでダウンロードできる機能がありますので、定期的に履歴をダウンロードし保存しておくと良いでしょう。

また、利用履歴だけでは業務目的が明らかでないため、業務日誌や予定表と紐づけられるよう日付や目的を記録しておくことが重要です。

交通費精算の効率化ツール

交通費の管理や記録を効率化するためのツールやアプリを活用することで、経費管理の負担を大幅に軽減できます。経費精算システムや会計ソフトには、移動経路の自動検索と運賃計算機能が搭載されているものが多く、入力の手間を省けます。

また、レシートのスキャン・保存機能を備えたアプリを使えば、紙の領収書を電子化して管理できるため、紛失リスクを減らせるでしょう。

さらに、業務目的や顧客との紐づけ機能があれば、クライアントごとの経費管理も容易になります。

多くのツールでは定期的なレポート作成機能も備わっており、月次や年次の交通費分析も簡単に行えます。これらのツールを導入することで、確定申告の際の書類準備も格段にスムーズになるでしょう。

以下に、主な交通費管理ツールの比較表をご紹介します。

ツール名主な機能特徴適している事業者
会計ソフト連携型会計処理との一元管理自動仕訳レポート作成確定申告との連携が容易総合的な経費管理複数の経費を管理する事業者
経路探索アプリ経路検索運賃自動計算履歴保存正確な交通費の算出経路証明が簡単公共交通機関をよく利用する事業者
レシート管理アプリ領収書スキャンデータ化カテゴリ分けペーパーレス化検索機能領収書が多い事業者
統合型経費管理システム全機能統合クラウド保存複数デバイス対応包括的な管理チーム共有機能従業員がいる事業者規模の大きい事業者

交通費請求書の作成方法

クライアントに交通費を請求する際は、透明性と信頼性を確保するために、詳細な交通費請求書を作成することが重要です。

請求書には日付、訪問先、移動経路、使用した交通手段、料金の詳細を明記し、合計金額と消費税の取り扱いを明確にしましょう。

特に複数回の訪問や長期にわたるプロジェクトの場合は、交通費の内訳を時系列で整理すると、クライアントの理解を得やすくなります。

また、請求の根拠となる証拠書類(領収書のコピーや交通費の計算根拠)を添付することで、請求の正当性を示すことができます。公共交通機関の場合は経路検索サイトの結果を印刷するなどの工夫も有効です。

クライアントとの事前の合意に基づいた請求を行うことで、支払いの遅延や争いを防ぐことができるでしょう。

【交通費請求書のテンプレート例】

項目記載内容
基本情報請求書番号、発行日、支払期限、請求者・請求先の情報
交通費明細日付、訪問目的、経路(出発地・目的地)、交通手段、金額集計情報小計、消費税額、合計金額
支払い情報振込先口座情報、支払い条件
備考特記事項(事前合意内容、精算方法など)

CHECK

・交通費は領収書保管と記録が大切になる
・電子決済の履歴も業務目的と併せて管理する
・請求書には明細と証拠書類を丁寧に添付する

フリーランスにとって、交通費の適切な管理は税負担の適正化とビジネス効率化の鍵となります。業務関連の移動費用は「旅費交通費」として経費計上でき、自家用車使用の場合は家事按分が必要です。日々の記録と領収書の保管は重要な基盤であり、電子マネーやアプリの利用履歴も有効な証拠となります。

効率的な交通費管理のためには、専用のツールやシステムの活用がおすすめです。これらを導入することで、記録の手間を省きながら正確な経費計上が可能になります。適切に管理された交通費記録は、税務調査への対応だけでなく、事業の収支状況を正確に把握する上でも大切です。

交通費管理の仕組みを整えることで、経理業務の負担を軽減し、本来の業務により集中できる環境が整います。この記事で紹介した知識とテクニックを活用し、効率的な経費管理を実現していきましょう。

フリーランスに税理士は必要?依頼をすべきケースと事業と相性の良い税理士の探し方を解説

税理士に依頼するのはお金がかかるので、本当に必要かどうか悩みますよね。フリーランスとして外部に依頼できるものは積極的に活用すると良いですし、税理士がいると「節税効果が期待できる」「会計・税務の手間や不安が減る」「経営アドバイスや資金調達のサポートをもらえる」など多くのメリットがあります。

小規模なうちは会計ソフトを活用して自力での対応も可能ですが、事業拡大、複数の収入源、法人化を考えるタイミングでは税理士の専門知識が大きな助けとなります。税理士は記帳代行や税務申告だけでなく、節税対策、資金調達、経営相談など多様なサポートをしてくれます。

フリーランスに税理士は必要か?

フリーランスが税理士を頼むべきかは、収入や業務内容によって異なります。事業規模がそこまで大きくなく、会計ソフトで問題なく会計処理が出来ている場合は税理士に頼む必要はありません。取引内容が複雑だったり、今後事業を拡大する予定があるなどの場合は依頼を検討してみましょう。依頼費用がかかりますので、節税対策と費用負担のバランスも合わせて判断が必要です。

収入が低い場合は会計ソフトで自身で手続き

会計ソフトを使えば、税理士に頼むことなく自分で会計処理を簡単に行えます。自分で処理できる範囲であれば、税理士にお願いする必要はないでしょう。ただ、フリーランスとしての本業に集中するために会計業務を外注して業務を効率化させる目的として税理士に依頼するというのも手段のひとつです。

事業規模が大きくなる見込みができてから依頼がベター

事業規模を拡大させていく段階の、早いタイミングで弁護士に頼むことを検討すると良いでしょう。取引が複雑になる前にあらかじめ会計処理の仕組みを準備しておいたり、事前の節税対策を進められるなど、具体的かつ専門的なアドバイスをもらうことができます。事業が成長するにつれて会計処理や税務関連の対応が複雑になるため、早めに専門的なサポートを得ておくと安心です。

フリーランスが税理士に依頼するよくあるタイミング

フリーランスが税理士に依頼するタイミングは、自分の知識では対応しきれない事業規模や会計処理になってきた時が目安です。また、青色申告や節税対策をしっかり行いたい場合や、法人化を視野に入れ始めた段階で相談するのも効果的です。

売上が安定したタイミングから依頼する

売上の安定が実現したら、納税額を抑えるために経費の適切な計上や控除の活用を積極的に行います。これらの専門的なアドバイスを税理士からもらうことで、節税効果や会計処理にかかる時間の削減につながります。

開業したタイミングから依頼する

フリーランスとして事業を開始した直後は、資金繰りなどお金に関する不安や悩みが多い時期です。税理士に依頼することで、初期の段階から正しい税務処理だけでなく開業届や確定申告など必要な書類の準備をするサポートも受けられます。

確定申告だけスポットで依頼する

税理士は毎月の契約ではなくスポットでの依頼も可能です。特に確定申告関連が不安な場合は、確定申告だけスポットで依頼することで正確な申告ができます。また、長期契約前に一度依頼をしてみることで税理士との相性の良さを図れることもメリットです。

CHECK

・収入規模や業務内容によって税理士に頼むかどうか判断する
・自分で会計処理が問題なくできる規模であれば外注不要
・事業規模が大きくなる見込みができてから依頼すると良い

税理士の依頼がおすすめな具体的なケース

売上の拡大・節税対策・経理の負担軽減・法人化の判断など、様々なタイミングで税理士に依頼をするのが有効なケースがあります。お金のことを相談できる、税金・会計のプロがいることはフリーランスにとって大変心強いものです。

課税売上1,000万円を超えている場合

売上が伸びて所得が増えると、所得税の税率が高くなるためきちんとした節税対策が必須になります。税理士に相談することで、適切な税制を有効に利用した節税効果が期待できます。

複数の収入源がある場合

複数の収入源があると会計処理が複雑になります。帳簿・申告ミスによるリスクを防いだり、節税の幅を広げるために税理士のアドバイスを得ると良いでしょう。また、それぞれの収入源の資金繰り状況や、どの事業に注力すると良いのかなど、経営相談もしてもらえるため事業成長の後押しになります。

インボイス登録事業者の場合

フリーランスがインボイス制度に登録し「適格請求書発行事業者」となった場合、インボイス対応の請求書処理が必要となります。消費税に関する専門知識を持ちながら複雑化する請求書の発行や管理に対応できるのが税理士のメリットです。

海外との取引がある場合

海外取引に関する税務は複雑で、日本の税法だけでなく、相手国の税制や国際税務を考慮する必要があります。税理士のサポートを受けることで、対応するべきことが対応でき、税務リスクを最小限に抑えられます。

特殊な業種形態を営んでいる場合

業界専門の慣習があるなど特殊な業種形態を営んでいる場合、税理士に依頼することで専門的な税務知識と業種理解に基づいた正確な申告と節税対策を受けることができます。特殊業種では収入や経費の扱いが一般と異なることが多く、自己判断ではミスや申告漏れのリスクが高まります。税理士に依頼することで税務署からの指摘リスクを減らすことができます。

会社設立を考えている場合

売上や利益が大きくなってきたら法人化をしたほうがメリットが大きい場合があります。法人化するべきかどうかの判断やどのタイミングで踏み切るのが最適かなど、税理士からの専門的なアドバイスをもらえるのは大きな利点です。事業の収益状況をもとに、法人化による節税メリットがあるかどうかを具体的に判断してもらえます。

法人化するタイミングでは顧問税理士が必要になる

顧問税理士とは法人や個人事業主などを対象として一定期間の顧問契約を結んだ税理士のことです。法人化をすると個人事業に比べて会計処理や税務申告が複雑になり、決算書の作成など複雑な手続きが多くなります。顧問弁護士を持つことでこれらの業務のサポートだけでなく税務署や役所への届け出や経営面のアドバイスなどを多角的に受けることが可能になります。

CHECK

・税金・会計のプロがいることはフリーランスにとって心強い
・課税売上1,000万円を超えたら税理士の検討をすると良い
・法人化するタイミングでは顧問税理士が必要になる

税理士に依頼できる業務と恩恵

税理士に依頼できる業務は多岐にわたりますが、主に税務や会計に関連する業務が中心です。フリーランスにとって、税理士に依頼できる業務を理解しておくと、ビジネスの運営や節税、経営の効率化がしやすくなります。

記帳代行

毎月の収入や支出を整理して、税務申告に必要な書類を整えます。自社で導入している会計ソフトがある場合は、使っているソフトに対応可能かどうかの確認もすると良いでしょう。

税務書類作成

税務署への各種届出書類の作成や提出も代行してくれます。これにはもちろん確定申告書類も含まれます。

税務代理

税務署への申告や各種届出を税理士が代理対応してくれます。フリーランスが自分で行う場合と比べて専門知識に基づいた適切な手続きができ、スムーズに進められます。

資金調達のサポート

事業内容や事業計画を踏まえた最適な融資の選定から、銀行や金融機関から融資を受ける際のアドバイスや申請のサポート、資金繰りのアドバイスまで対応してくれます。事業計画書の作成サポートなど、融資を受けやすくなるためのアドバイスまでもらえ、事業成長を後押ししてくれます。

税務相談

節税対策はもちろん、税務に関する専門的なアドバイスがもらえると同時に、最新の税法改正に関する情報も得られます。

税務調査への対応

税務調査が入った場合、税理士が立ち会って対応を行うことができます。具体的には調査に必要な書類などの準備、実際の調査の際の立ち合いや説明、調査後の対応まで任せられます。

CHECK

・税理士に依頼できる業務は幅広い
・日々の記帳代行だけでなく経営面でのアドバイスまで
・どんな業務を依頼できるかを知っておくことが重要

フリーランスが税理士への依頼費用の相場

フリーランスが税理士を頼む場合の費用相場は月額1万円〜4万円と幅広くなっています。税理士にお願いする内容や頻度、そして事業の売り上げ規模などにより料金が変わってきます。

確定申告のスポット依頼の場合の相場

確定申告を一括で依頼する場合は3万円〜10万円程度が相場です。白色申告のほうが依頼単価が低く、複式簿記が必要な青色申告のほうが単価が高い傾向にあります。複雑な経費計上や複数の収入源がある場合も料金が上がります。

税務相談など顧問契約の場合の相場

定期的に税務相談や経理サポートを受ける場合、月額2万円〜10万円程度になります。事業が大きくなり一人で会計作業をするのに不安を感じはじめたときや、税務だけでなく経営やお金の管理に関するアドバイスを定期的に受けたいと考え始めたら、顧問契約も検討しましょう。

フリーランス税理士契約をすることで節税はできるか?

税理士に会計処理を頼むことで自分では気づかない、見逃しがちな支出を経費として計上できるようアドバイスしてくれるため、税金を減らす手助けになります。その結果事業所得が減り、課税対象の金額が少なくなることで節税につながるのです。また、税法上の特例や優遇措置など節税に関する最適な方法を提案してくれることで税金を軽減させることができます。

専門知識による効果的な節税対策はできる

フリーランスが税金を節約する主な方法の一つは、経費を適切に計上し、各種所得控除を活用して課税対象となる所得を減らすことです。税理士に頼むことで素人では気づかない経費や、専門知識がないとわからない優遇措置などを的確に使うことができ、節税対策になります。

節税にはまとまった現金が必要でもあり安定した売上は必須

売上があまりにも少ない場合、経費を計上しても赤字となり節税効果が小さくなってしまいます。経費を計上することで節税効果を得るためには、それに見合った売上が必要なのです。

CHECK

・税理士への依頼方法はスポット依頼と顧問契約
・依頼内容や頻度、事業の売上規模により費用が変わる
・税理士契約することで費用はかかるが節税対策が可能

フリーランスが税理士を選ぶ際に確認したい項目

税理士事務所は数多くあるので、どこに依頼すればよいか悩むかもしれません。専門分野の知識や料金体系、評判など考慮しながら検討しましょう。

必要なサービスが業務範囲に含まれるか

税理士によってアドバイスできる内容の幅は大きく異なります。確定申告に強いのか、税務・会計改善のアドバイスが専門なのか、自社として求めるサービスに合っているかを確認しましょう。

担当者との相性が良くコミュニケーションを取りやすいか

フリーランスの場合、税務に関する疑問が出てきた際にすぐに相談できる相手がいると安心です。レスポンスが早く、かつ親身に対応してくれる税理士を見つけると心強いです。

積極的に節税対策を提案してくれるか

フリーランスとしての事業経営に合わせたアドバイスをしてもらうことで事業収益の最大化につながります。例えば収入が増えた場合に最適な節税方法を再提案するなど、状況に合わせて積極的に提案をもらえるとしっかりとした節税になります。

業界や業種特有の専門知識を有しているか

フリーランスにはIT系からメディア系、コンサルティングなど幅広い業界・職種があり、自分の属する業界特有の商慣習や注意点を理解している税理士が良いでしょう。

ITツールに明るいか

メールやチャットなどオンラインでコミュニケーションを取りやすかったり、会計ソフトなどのクラウドツールや確定申告の電子申請方法などの最新知識を持っている税理士だとスムーズにやり取りができます。

フリーランスが税理士を探すおすすめの方法

同業者の知り合いや、フリーランス仲間がいれば、おすすめの税理士を紹介してもらうのも良い手段です。自分で探す場合は、オンラインの紹介サービスを使って効率的に見つけましょう。

会計ソフトの税理士紹介サービスを活用する

会計ソフトの税理士紹介サービスとは、クラウド型会計ソフトを利用しているユーザーに対して、会計ソフト運営会社が税理士を紹介するサービスです。使っている会計ソフトの知識を持った税理士を紹介してもらえるので、相談がしやすいのがメリットです。

マネーフォワード

全国40,000名超の士業事務所とパートナーシップを持ち、大手税理士法人から個人事務所まで幅広いニーズに合わせて無料で紹介。ITツールに強く、クラウド会計の導入実績が豊富な税理士・社労士を紹介してくれます。

フリー会計

freee税理士コーディネーターがfreee認定資格を持つ全国の税理士事務所から要望に沿った税理士を紹介。面談調整やお断り連絡などもコーディネーターが行ってくれるので探すのに費やす手間がかかりません。

専門の税理士紹介サービスを活用する

税理士紹介サービスを利用することで、自分の業務に最適な税理士を見つけて税務に関する専門的なサポートを受けることができます。フリーランス専門に紹介してくれるところもあります。

税理士紹介ドットコム

納得のいく税理士と出会うまで何度でも無料で紹介してくれるサービス。コーディネーターが間に入り条件面の交渉なども行ってくれます。

税理士紹介センター

成約手数料など一切不要で、無料で税理士を紹介してくれます。最短で申込当日に紹介も可能で、業界に合わせた税理士を見つけてくれます。相性の合う税理士が見つかるまで何度も紹介してくれるサービスです。

事業の成功は会計を担う税理士選びも大切な要因

税理士は仕訳や確定申告を手伝ってくれるだけでなく、税務や経営に関するアドバイスを行い事業の成長をサポートしてくれる心強いパートナーです。信頼できる税理士を見つけることで、ビジネスの成長を後押しすることができます。

大手が必ずしも良いとは限らない

相性の良さが税理士選びで大切なポイントのため、税理士事務所の規模はそこまで気にする必要はありません。税理士の得意ジャンルや費用面、お願いしたい事に対応してくれるかどうか、などを細かく擦り合わせて、自社のニーズに合った人を見つけ出すことが大切です。

必ず複数の税理士と面談をしてから決める

複数の税理士と面談し、比較検討するのが良い税理士を見つけるカギになります。税理士の専門知識、対応の速さ、説明のわかりやすさ、料金体系などを比較し、自分のニーズに最も合っている税理士を選ぶようにします。

CHECK

・業界知識や料金体系、評判など考慮しながら税理士選びを行うこと
・税理士紹介サービスは数多くある
・必ず複数の税理士と面談をしてから決めること

駆け出しのフリーランスは自分で会計を。安定したら税理士に依頼

まずはお金の流れを知るために自分で会計業務を行うことも経験です。会計ソフトを上手く使いながら、金の流れを可視化し、自身の資金繰りを把握しておくことで、税関連としてどこを強化する必要があるのかわかってきます。そのうえで経理業務の効率化や資金繰り・税務面のアドバイスを税理士にあおぐことで、事業強化につながります。

信頼できる税理士を選ぶためには、業界知識・相性・料金体系などを比較検討し、紹介サービスを活用すると効率的です。最初は自分で会計を経験し、お金の流れを理解した上で、タイミングを見て税理士と連携しながら事業を拡大させましょう。

フリーランスの確定申告ガイド|スケジュール別の必要な手続き・書類・控除や修正申告の方法を解説

フリーランスになると、会社員時代はやらなくてよかった面倒なことを自分でやらなくてはなりません。その代表例ともいえるのが、確定申告です。1年間の売上と経費を計算し、正しく納税する必要があります。

今回は、初めて確定申告をする方も一人で完結できるよう、具体的な方法を解説していきます。

フリーランスに確定申告はいつから必要?

まずは、フリーランスの方にとって、確定申告がどのタイミングで必要になるか解説します。

フリーランスの確定申告の必要なケース

フリーランスでは、確定申告が必要なケースが3つあります。

本業で48万円以上の利益がある場合

本業を続けながら副業でフリーランスの案件を受けている方は、本業の利益が48万円以上になった時点で確定申告が必要です。フリーランス案件の利益がほとんど出ていなくても必要になるため、「あまり儲けがないから大丈夫」と勘違いしないようにしましょう。

本業以外の複数の収入がある場合

本業以外に、いくつかの収入がある方も確定申告が必要です。こちらも売上や利益に関係なく、仕事をした時点で必ず確定申告をしなくてはならないので注意しましょう。

株・不動産投資の収入がある場合

金額を問わず、株や不動産投資の収入がある方は確定申告が必要です。フリーランスの案件を受けている・いないに関わらず、投資で収益が出た年は確定申告をしましょう。

フリーランスの確定申告の不要なケース

フリーランスの案件を請けていても、確定申告が不要なケースがあります。

本業の利益が48万円以下の場合

確定申告をする場合、48万円の基礎控除が適用されます。基礎控除とは、所得金額から差し引けるもので、年間合計所得金額が2,500万円以下の方全員に与えられます。本業の利益が48万円以下の場合、基礎控除が適用されると課税対象となる所得がゼロになるため、確定申告は不要です。

本業が赤字で経費もない場合

本業が赤字で経費もない場合、課税所得がないため確定申告は不要です。ただし、青色申告をしておけば損失を最大3年間繰り越せるため、翌年に大きな黒字になる見込みがある場合は確定申告をしておくのも一手でしょう。

青色申告・白色申告はどちらを選ぶべき?

確定申告には、青色と白色の2種類があります。それぞれの違いについて解説します。

手間はかかるが青色申告の最大のメリットは節税

青色申告は、最大65万円の特別控除が適用されるため大きな節税効果があります。また、赤字の年に青色申告しておくことで翌年に繰り越し税金を減らせます。

複式簿記で記帳し、損益計算書や貸借対照表などを作成しなくてはならないので手間はかかりますが、高い節税効果があるため白色よりおすすめです。

原則節税は難しいが白色申告の最大のメリットは簡易さ

白色申告は、単式簿記で記帳でき、貸借対照表の作成も不要なため非常に簡単です。今年だけ副業をする予定の方や、控除を気にしない方は白色申告でよいでしょう。

しかし、これからずっとフリーランスでやっていくのであれば青色申告を強くおすすめします。会計ソフトを利用すれば、自分で計算しなくても自動で経費精算や各種提出書類作成などができるため手間もそれほどかかりません。

確定申告はどのように行う?

確定申告は、具体的にどのように行えばよいかについて解説します。

会計ソフトで課税所得を計算する

まずは、会計ソフトを選びPCにインストールします。月ごとの売上や経費を入力すると、自動で収支や利益を算出できます。青色申告の場合、特別控除の65万円も自動で計算できます。

レシートを取り込んだり、クレジットカードや銀行口座と連携させたりすることで、手入力しなくても自動で金額が入力されます。

所得控除に関わる資料から課税所得を計算する

課税所得とは、売上から所得控除を引いた金額です。控除には48万円の基礎控除以外にも、社会保険料控除や配偶者控除などがあります。会計ソフトを使えば、質問に答えて金額を入力していくだけで自動計算できます。

確定申告の必要性を判断する

計算した結果、年間所得が48万円を超えていたら確定申告が必要です。もし48万円未満だったとしても、翌年以降もフリーランスとして活動予定があればぜひ申告してください。

所得税が必要な書類を準備する

売上と経費の記録、口座やクレジットカードの取引明細など、必要な書類をそろえましょう。ふるさと納税を活用した方は、自治体から発行される受領書も忘れないでください。青色申告の方は損益計算書と貸借対照表も必要ですが、これも会計ソフトが自動で作成します。

所得税を税務署・e-Taxで納付する

確定申告書を提出します。所得税は、税務署の窓口やコンビニから払えます。締め切り間際の税務署は非常に混雑しているため、わざわざ出向くのではなくe-Taxでの申告と納付がおすすめです。マイナンバーカードとICカードリーダー、またはマイナポータルアプリがあれば自宅から完結します。

CHECK

・本業で48万円以上の利益がある場合や、本業以外の複数の収入がある場合は、確定申告が必要
・青色申告は、手間はかかるものの節税効果が高い
・会計ソフトを活用することで、課税所得を計算や提出書類の作成が簡単にできる

フリーランスに関係する税金の種類は?

フリーランスとして働くうえで、どのような税金が関係するのか解説します。

■所得税

利益に対する課税です。上記の方法で、確定申告を通じて納税します。所得税は累進課税となっており、利益の5~45%を納める必要があります。

■住民税

市区町村に支払う税金です。道府県民税・都民税は4%、区市町村民税は6%課税されます。

■個人事業税

フリーランスとして年間290万円以上の所得があると発生します。税率は3~5%で、業種により異なります。所得税と住民税の申告をする場合、個人事業税の申告は不要です。

■消費税

もともと、課税売上高1,000万円以下の事業者であれば消費税は免除されていましたが、インボイス制度によって登録事業者は全員課税対象となりました。確定申告同様、会計ソフトで自動計算して納付しましょう。

フリーランスの節税はどう進める?

フリーランスにとって、いかに節税するかは重要なポイントです。以下の7つは簡単にできるので、ぜひ取り組んでみてください。

青色申告で申告をする

「手間はかかるが青色申告の最大のメリットは節税」で説明した通り、青色申告をするだけで控除が得られて節税になります。多少の手間はかかりますが、白色ではなく青色で申告しましょう。

経費を確実に計上する

売上が小さいほど、納税額は安くなります。経費を計上しなければ売上が大きくなってしまうため、かかった経費はしっかり計算してください。まずは、経費の種類を正しく理解するところから始めましょう。

減価償却を正しく活用する

減価滅却とは、固定資産を購入した年から数年にわたって経費を分割計上する処理方法です。例えば、200万円の機械を買った年に200万円の経費として計上するのではなく、毎年40万円ずつ5年にわたって経費計上するといったことができます。

使える控除を活用する

控除を活用すればするほど所得額が小さくなり、納税金額も少なくなります。下記のような控除は必ずチェックしてください。

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄附金控除

ふるさと納税を活用する

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄付をして、返礼品をもらう仕組みです。確定申告をすることで、所得税と住民税の控除を受けられます。

マイクロ法人の活用を検討する

マイクロ法人とは、少人数で運営する小規模法人です。個人事業主と組み合わせることによって、収益の流れを分散させて税負担を軽減できます。

倒産防止共済を活用する

中小企業倒産防止共済とは、一社が倒産したことによりその取引先が連鎖的に倒産する事態を防ぐための仕組みです。共済に入ることで、何かあった時に共済金を借入できます。掛け金は全額経費として計上できるため、節税につながります。

CHECK

・フリーランスには所得税や住民税など複数の税金が関係する
・節税のためには、青色で申告し、経費を確実に計上することが大切
・ふるさと納税や倒産防止共済などを活用することで、高い節税効果が期待できる

確定申告の還付金はいつ返還される?

確定申告の還付金は、e-Taxで申告した場合は、申告から1~3週間以内、紙で申告した場合は1~2か月が目安です。確定申告期間は時間がかかることも多いため、早めに受け取りたい方は1月1日から2月15日までに申告しましょう。

確定申告をミス・遅れた場合にはどうなる?

確定申告の内容にミスがあったり、期限内に申告できなかったりした場合どうなるか、解説します。

修正申告によりミスを後から修正できる

確定申告にミスが見つかったら、修正申告を行います。e-Taxページの「確定申告書等作成コーナー」にある「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」から修正可能です。

無申告加算税がかかる場合

確定申告期間から遅れた場合は期限後申告となり、青色申告の特別控除は10万円のみになり、無申告課税が課せられます。

延滞税がかかる場合

期限を過ぎてから申告すると、遅れた日数に応じて延滞税が課せられます。申告のタイミングが遅れれば遅れるほど延滞税が増える可能性があるので、できるだけ早く提出しましょう。

重加算税の課税があり得る場合

隠蔽目的など悪質性が認められた場合、重加算税が課せられます。何度も続けると最大50%の課税が発生するので、必ず提出してください。

CHECK

・確定申告の内容にミスがあったら、修正申告により修正できる
・期限が過ぎてから確定申告すると、無申告加算税が課される
・悪質な無申告だと認められると、重加算税が課される

確定申告に必要な書類はどのようにいつまで保存すべき?

確定申告で使った書類の保存期間は、下記の通りです。

  • 帳簿:7年間
  • 決算関係書類:7年間
  • 領収書や請求書:5年間
  • 確定申告控え:5年間
  • 所得控除証明書:5年間

2024年以降、電子取引でやり取りした書類はデータ保存が義務化されているので気を付けましょう。

確定申告をスムーズに行うにはどうする?

手間がかかり面倒な確定申告ですが、コツをおさえればスムーズに準備を進められます。具体的な方法を、6つ解説します。

クラウド会計ソフトで月次で帳簿をつける

確定申告のタイミングで一年分の売上と経費を計算しようとすると、膨大な時間がかかります。そのため、クラウド会計ソフトを使って月次ごとに整理しましょう。毎月コツコツ作業しておけば、直前になって膨大な作業に追われることがなく、余裕が生まれるのでミスも減らせます。

請求書などの取引資料を電子管理する

請求書などの取引資料は、電子管理しましょう。アナログでの管理は手間がかかりますし、2024年以降は電子データでの保存が義務化されています。

契約書については、誰が何をしたかを証明する電子署名と、いつ何を作成したかを証明するタイムスタンプが必要です。

日頃からクレジットカードで経費を支払う

クレジットカードと会計ソフトを紐づけましょう。これにより、経費をクレジットカードで使った時に自動で金額などの情報が入力されます。クレジットカードを使うことでキャッシュフローの改善につながりますし、年会費の経費計上によって節税効果も狙えます。

紙の領収書は会計アプリで毎日取り込みする

電子データではなく、紙で領収書をもらうこともあるでしょう。そんな時はためこまず、会計アプリに毎日取り込んでください。写真を撮るだけで金額などが入力されるため、ためこまなければ大した手間にはなりません。

マイナポータルの連携機能で控除資料をダウンロードする

e-Taxと連携させることで、マイナポータルから控除資料をダウンロードできます。各種控除申請書が一括で手に入りますし、e-Taxで確定申告を作る時にデータが自動で入力されて便利です。

e-Taxを活用して申告を行う

-e-Taxを使って申告することで、青色申告特別控除として65万円が適用されます。また、申告期間中の税務署は非常に混むため、窓口に並ぶ時間を短縮できる点もメリットです。インボイス制度にも対応しているため、事業者登録した方も安心してe-Taxを活用できます。

税理士はいつからつけるべき?

年間売上が1,000万円を超えたら、税理士をつけることを検討してみてください。1,000万円未満の場合、税務処理はシンプルですし税理士を雇っても報酬支払が負担になるだけです。また、税務署に行けば無料で相談にのってもらえるため、あえて税理士を雇う必要はないでしょう。

今回は、フリーランスの確定申告方法について解説しました。フリーランスになったら、まずは確定申告をしなくてはならないかどうかを確認しましょう。確定申告する場合、メリットが大きいのでぜひe-Taxから青色申告をしてください。最初は複雑に思えるかもしれませんが、会計ソフトを使えば初心者の方も一人でできるため、ぜひ頑張りましょう。

自宅兼事務所のベストプラクティス!按分の経費計上と個人事業主・マイクロ法人の節税の最適解

自宅を事務所として活用する「自宅兼事務所」は、個人事業主や小規模法人にとって、コスト削減や業務効率化の面で有効な選択肢です。しかし、経費計上や税務処理において注意すべき点が多く存在します。

本記事では、自宅兼事務所の基本概念から、経費の按分方法、個人事業主とマイクロ法人の場合の経費化割合の相場、社宅との比較、不動産評価証明書による経費化割合の上昇、自宅が持ち家の場合の住宅ローンの経費計上、そして関連費用の経費計上可否について詳しく解説いたします。

自宅兼事務所の活用は、適切な経費計上を行うことで節税効果を最大化できます。個人事業主は按分計算を明確にし、法人は社宅契約を適正に組むことで、より多くの経費計上が可能です。制度を理解し、最適な方法を選択しましょう。

自宅兼事務所とは?基本的な考え方

自宅兼事務所の定義

自宅兼事務所とは、自宅の一部を事業活動のためのオフィススペースとして利用する形態を指します。この方法は、個人事業主や小規模法人が追加のオフィスを借りることなく、コストを抑えつつ事業を運営する手段として広く利用されています。

経費計上の基本ルール

自宅兼事務所として自宅を利用する場合、家賃や光熱費などの費用を事業経費として計上することが可能です。ただし、これらの費用全額を経費とすることはできず、事業で使用している部分の割合(事業共用割合)に応じて按分する必要があります。

CHECK

・自宅兼事務所は、住居を仕事場とする形態。費用は事業割合で按分し、経費計上が可能
・経費計上ルールでは、家賃や光熱費を事業利用割合に応じて按分。全額経費にはならない
・事業共用割合が重要。自宅費用の公私区分を明確にし、適切な割合で経費計上が必要

経費の按分と計算方法

按分の考え方

経費の按分には、主に「面積按分」「時間按分」「用途按分」の3つの方法があります。

面積按分は、自宅全体の床面積に対する事務所スペースの割合を求め、それに基づいて家賃や光熱費を按分する方法です。例えば、50㎡の自宅のうち10㎡を事務所として使用している場合、家賃の20%を経費として計上できます。

時間按分は、1日のうち何時間を仕事に使っているかを基準にして按分する方法です。例えば、1日24時間のうち8時間を事業に使うなら、家賃や光熱費の3分の1(約33%)を経費として計上できます。

用途按分は、特定の部屋を完全に事業用として使用している場合、その部屋に関する費用を全額経費計上し、共用部分の費用は面積や時間按分を組み合わせて計算する方法です。

住宅ローンと関連費用の取り扱い

住宅ローンのうち、利息部分は事業経費として計上できますが、元本部分は経費に含めることができません。したがって、住宅ローンを組んでいる場合は、支払利息額を確認し、按分計算を行う必要があります。

引越費用は、事業目的での引越しであれば、その費用の一部を経費として計上できます。例えば、新しい住居が業務のために必要な立地である場合や、業務拡張に伴う移転であれば、合理的な範囲で計上可能です。

敷金・礼金についても、事業利用分に相当する割合を経費化できます。例えば、賃貸物件の50%を事業用として使用する場合、敷金・礼金の半分を経費計上できます。

光熱費やインターネット費用も、事業利用部分を按分し、適切な割合で経費として処理できます。一般的には、使用時間や使用スペースを基準にして計算し、税務調査時に説明できるよう記録を残しておくことが重要です。

【経費計上の可否一覧】

費用項目経費計上可否備考
家賃事業使用割合に応じて按分
住宅ローン利息元本部分は対象外
住宅ローン元本×経費計上不可
引越費用事業目的であれば一部計上可
敷金・礼金事業用部分のみ按分
光熱費使用割合に応じて按分
インターネット費用事業用割合を明確に
固定資産税事業使用割合に応じて按分
火災保険料事業使用割合に応じて按分
修繕費事業に関連する部分のみ可
通信費(電話代)事業用部分を明確に区分

CHECK

・経費按分は、面積や時間で計算。住宅ローン利息は経費だが、元本は対象外
・光熱費やネット代も事業利用分を按分し、記録が重要。引越や敷金礼金も事業割合で計上可能
・家賃、ローン利息、敷金礼金、光熱費、ネット代は按分で経費化可能。元本や私的費用は不可

自宅兼事務所の活用と最適な選択肢

個人事業主にとっての最適な選択肢

個人事業主は、自宅の家賃や光熱費を按分し、20%〜50%程度を経費として計上することが一般的です。按分方法は、使用する部屋の面積や使用時間などを基準に、合理的に計算する必要があります。例えば、自宅の延床面積が100㎡で、仕事で使用する部屋が30㎡の場合、面積按分による経費化割合は30%となります。また、1日のうち8時間を仕事に使用する場合、時間按分による経費化割合は約33%となります。

ただし、税務調査時に説明できるよう、按分方法を明確にしておく必要があります。日頃から、仕事で使用する部屋の面積や使用時間を記録しておくと良いでしょう。また、税務署から問い合わせがあった際に、合理的な説明ができるように準備しておくことも重要です。

マイクロ法人と経費計上の選択肢

マイクロ法人の場合、法人契約で自宅を社宅として扱うことで、家賃の50%〜100%を経費として計上できる可能性があります。社宅として経費計上する場合、以下の点に注意する必要があります。

  • 法人契約で賃貸借契約を締結する
  • 家賃の支払いも法人名義の口座から行う
  • 仕事で使用するスペースとプライベートのスペースを明確に区分する

ただし、適正な契約が求められます。税務署から、家賃の設定や使用状況について確認される可能性があるため、客観的な証拠を残しておくことが重要です。

自宅兼オフィスと社宅、どちらが有利か

個人事業主の場合は、自宅の家賃を按分して経費計上する方法が一般的です。一方で、法人化して社宅契約を結ぶことで、より多くの費用を経費化できる可能性があります。

社宅契約のメリットとしては、経費計上できる割合が高いことが挙げられます。しかし、社宅契約には税務リスクや契約上の要件があるため、慎重な判断が必要です。例えば、家賃の設定が相場よりも高い場合や、仕事で使用するスペースが少ない場合は、税務署から否認される可能性があります。

どちらの方法が有利かは、個人の状況によって異なります。税理士などの専門家に相談し、最適な方法を選択することをおすすめします。

不動産評価証明書の活用

不動産評価証明書を活用することで、経費計上割合を正当化しやすくなります。不動産評価証明書は、固定資産税の評価額を証明する書類です。この書類に記載された評価額を基に、仕事で使用するスペースの割合を計算することで、より正確な按分が可能となります。

これにより、適正な経費計上が可能となり、税務対策としても有効です。税務署から、経費計上割合について確認された際に、客観的な証拠として提示することができます。

CHECK

・個人事業主は按分で経費計上、記録と説明準備を徹底
・法人は社宅扱いで高経費化、契約と区分明確化が必須
・個別状況で選択、専門家相談推奨。証明書で根拠を強化

自宅兼事務所の活用は、コスト削減と業務効率化の大きなメリットがあります。しかし、経費計上には明確なルールがあり、適切な按分や記録が不可欠です。個人事業主と法人では経費化の方法が異なるため、自身の事業形態に合った選択をすることが重要です。適切な手続きを行い、税務リスクを回避しながら、自宅兼事務所を最大限に活用しましょう。

フリーランスの節税につながる経費計上|具体例で経費にできる・できないの判断基準や注意点を解説

フリーランスは税金の手続き等も全て自分でしなくてはなりません。経費を上手に活用することで、節税に繋がるので経費はきちんと管理しましょう。

頑張って稼いだ収入から、できる限り税金で引かれる金額を減らすようにするのが節税対策で、フリーランスとして上手く対処したいところです。正しい知識と適切な対処法を知り、確定申告を節税のチャンスとして活用できると良いですね。

フリーランス活動にかかる税金の仕組み

フリーランスは個人事業主として、所得税、消費税、住民税、個人事業税などの税金を自分で管理・納税します。なかでも所得税は確定申告によって毎年申告が必要なものです。

所得税は、「年間の総収入から必要経費を差し引いた所得」に対して課税されるため、経費の管理が非常に重要になってきます。

収入から必要経費や各種控除を引いた課税所得に税金がかかる

所得税は稼いだ売上額ではなく、利益の額に対して課税されます。「総収入(売上)」「経費」「控除」「事業所得(利益)」それぞれの違いを理解することで上手く節税対策しましょう。

  • 総収入(売上)= 仕事の報酬で受け取る金額
  • 経費= 事業に関連する支出
  • 控除=基礎控除、扶養控除、医療費控除など
  • 事業所得(利益)= 収入-経費
  • 課税所得= 所得-所得控除

正しい経費計上で節税につながったり還付金が返ってくる

還付金とは、確定申告で必要よりも多くの税額を払っている場合に税務署から過剰分を払い戻しされることです。事業に関する経費を適切に計上することで課税所得が減り、過剰に支払った税金が還付されることがあります。

CHECK

・フリーランスは納税も自分で行わなければならない
・「総収入(売上)」「経費」「控除」「事業所得(利益)」の違いを理解しておこう
・正しい経費計上で節税につながったり還付金が返ってくる

フリーランスの経費の原則は業務上利用したものだけに適用される

なんでもかんでも経費に出来るわけではなく、業務に直接関連する支出のみ経費として扱えます。不適切な経費計上は税務署から指摘される可能性もあるため気を付けましょう。

売上や収入がなくても経費があるなら確定申告で計上可能

フリーランスの場合、売上や収入がなくても経費があれば確定申告で計上することができます。申告しておくことで、青色申告特別控除の適用など、将来的に利益が出たときにメリットを得られるためです。

フリーランスが計上できる勘定科目と経費になる例・ならない例一覧 

用途 科目 計上できる例計上できない例
事業関連外注費営業やマーケティング関連業務などの外注料金やライターやデザイナーへの報酬家事代行など業務とは無関係な代行
 広告宣伝費インターネット広告、チラシ広告、SNSやインフルエンサーとのコラボ費用や名刺作成費用など
 通信費事業用の電話代、インターネット代、モバイル通信費用家の固定回線など業務では使わないもの
 事務用品費事務所で使用する文房具や消耗品、コピー用紙などプライベートで利用するもの
 消耗品費電池、事務用品など業務で使うものプライベートで利用するもの
 接待交際費クライアントとの打ち合わせカフェ代や会食費、贈答品業務に関係ない飲食代
 交通費業務に関連する電車代やタクシー代、ガソリン代個人的な移動の交通費
 旅費交通費出張費用としての飛行機や新幹線、宿泊費用個人的な観光などの費用
オフィス関連家賃事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 光熱費事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 保険料事業用の損害保険や生命保険事業主自身の保険料
 設備投資パソコンやオフィス家具、カメラ機材など、事業に必要なものプライベートで利用するもの
 ソフトウェア費用業務で使用するソフトウェアの購入費用やサブスクリプション費用プライベートで利用するもの
人件費給与社員やアルバイトへの給与
 社会保険料雇用保険や健康保険、年金などの社会保険料
教育・研修関連研修費業務やスキルアップに関連する研修やセミナーの参加費用
 書籍費業務に役立つ書籍や資料購入代金個人の趣味で購入したもの

場合により経費にできる業種や職業によっても変わる費用の例一覧

  • ライター:取材での飲食代や、サービスの体験利用料など
  • フォトグラファー:カメラやレンズなどの購入費、撮影スタジオの利用料
  • デザイナー:デザインツールのソフトウェアライセンス料
  • Webデザイナー:サーバーレンタル費やクラウドサービス利用料

経費として計上できるかどうか迷いやすい費用の例

 項目計上できる場合計上できない場合
バッグ仕事で使うバッグプライベートで使うバッグ
手帳スケジュール管理など業務で使用しているもの日記など業務に関係なく使っているもの
スーツ取引先に訪問したり、業務内で着用する服仕事の際には着用しないプライベートのもの
タクシー代業務内での利用。行先やその目的など利用履歴を残しておくと良い休日の利用や旅行時などに利用したもの
車のガソリン代業務内での利用。行先やその目的など利用履歴を残しておくと良い休日の利用や旅行時などに利用したもの
カフェ取引先との打ち合わせや作業のための利用個人的な利用
保険料国民健康保険は計上できる自身の生命保険料は計上不可
病院の治療費なし治療費は一定額以上で「医療費控除」の対象

CHECK

・不適切な経費計上は税務署から指摘される可能性もある
・売上や収入がなくても経費があれば確定申告で計上できる
・業種や職種、状況によって経費として計上出来るものと出来ないものがある

個人事業主やフリーランスの経費は家事按分が可能

家事按分(かじあんぶん)とは、フリーランスが自宅で仕事をしている場合など、仕事とプライベートの両方で使っているものを仕事で使用している割合と家庭で使用している割合に分けて経費計上することです。

按分の計算方法としては、利用しているスペースの「面積」で計算する方法や、使っている「時間」の割合をもとに計算する方法があります。

自宅オフィスの場合は家賃や光熱費・通信費などの一部を経費に計上できる

フリーランスの家事按分経費の対象となるものの例は、家賃、水道光熱費、通信費、交際費、交通費などが挙げられます。それぞれ仕事で使用している割合と家庭で使用している割合に分けて経費として計上します。

家事按分の勘定科目と家事按分の仕訳の例 

①家賃を家事按分する場合の仕訳例

家賃10万円、床面積が100㎡の家のうち、25㎡の部屋をオフィスとして事業用で利用している場合

按分計算(面積):按分の割合は25÷100=25%

仕訳の入力方法

事業として使った分を「地代家賃」、プライベートとして使った分を「事業主貸」で記入

 日付借方貸方
地代家賃 25,000普通預金 100,000
 事業主貸 75,000

②インターネット代を家事按分する場合の仕訳例

1ヶ月のインターネット使用料が15,000円、毎月200時間仕事をしてネットを使っている場合

按分計算(時間):按分の割合は200÷720(1ケ月あたりの時間)=28%

仕訳の入力方法

勘定科目「通信費」と、プライベート分を「事業主貸」で記入

 日付借方貸方
通信費 4,200普通預金 15,000
 事業主貸 10,800

生活費を何でも経費にしてしまうと怪しまれて税務調査の対象に

経費として計上できるのはフリーランスとして売上をあげるために支出した費用のみです。私的な生活費や個人的な支出などなんでも経費で落とそうとすると税務署からの指摘を受けたり、ペナルティを課せられる可能性もありますので、十分に注意しましょう。

CHECK

・個人事業主の経費は家事按分が可能
・家賃、水道光熱費、通信費、交際費、交通費などを按分できる
・生活費のすべてを按分できるわけではないので注意

経費にできるかどうか迷ったときの判断基準

経費になるかならないかには、はっきりとした線引きがなくあいまいです。フリーランスが経費として計上できるかどうか迷った場合、以下の判断基準を参考にすると良いでしょう。

事業との関連性があるか

業務上必要なパソコンソフトやツール、電話や、デザイナーの場合はデザインツールなど、それがないと仕事ができないものかどうか、で判断します。

個人的な支出ではないか

フリーランスの場合、どこまでが経費でどこまでがプライベートか迷うことが多くあります。自宅オフィスなどプライベートと共通して使っている場合は按分して経費計算をします。

家族の旅行代や個人の趣味の買い物などはくれぐれも計上してはいけません。

経費として常識の範囲内の金額であるであるか

事業規模に対して適切な割合かどうか、という視点も重要です。大量の備品購入や高級車の利用など、過剰な支出は避けましょう。

税務署から指摘を受けた際に説明できるか

経費として計上するためには領収書、請求書、振込明細書など証拠として示せる書類が必要です。税務署から指摘を受けた際に、それらの経費が事業に関連していることを説明できるようにしておきます。

経費の割合が50%を超えないか

フリーランスの売上に対する経費の割合は50%前後が目安です。上限が定められているわけではありませんが、経費の割合が高過ぎると税務からの調査が入る恐れがあります。

CHECK

・経費にできるかどうかの明確な基準は定められていない
・事業を行うに必要な支出かどうかで判断する
・フリーランスの売上に対する経費の割合は50%前後が目安

経費の領収書の取り扱い方法

領収書は経費として支出をした証明をするために欠かせない書類であり、税務署から決められたルールに基づいて管理をしなければなりません。

領収書は7年間保存が義務に

個人事業主の場合、領収書の保管期限は原則7年間と定められています。紙と電子のそれぞれ、なくさない保管方法で保存しておき、税務署から求められた際にいつでも開示できるようにしておきます。

領収書を紛失した際は出金伝票を用意しておく

領収書が見当たらなくなった場合は、代替証拠となるものをそろえる必要があります。その際に使えるのが出金伝票です。

出金伝票とは取引に関連する支払内容を記録する書類で、領収書が発行されない取引の際に使われるものですが、領収書の代わりとして使うこともできます。

あくまで領収書やレシートがない場合の代替方法なので、多用は避けましょう。

経費計算アプリでこまめに電子データで管理をしておく

会計ソフトのアプリや経費管理アプリを使うと、電子取引データの自動取り込みやレシートのスキャン機能を使い経費データの管理を手軽に行うことができます。ツールを活用して効率的に経費処理が出来て便利です。

CHECK

・領収書は経費として支出をした証明をする大切な書類
・経費の領収書は7年間保存する義務がある
・経費計算アプリを活用してうまくデータ管理を行おう

フリーランスが経費を計上する際の注意点

フリーランスが経費を計上する際に注意することとしては、まずプライベートとの線引きが大きなポイントになります。

自宅オフィスやインターネット料金は按分して業務利用分のみを経費として計上しましょう。

電子取引の領収書やレシートは電子データのまま保存

紙での領収書だけでなく、近年では電子領収書としてPDFファイルや画像データで領収書を受け取ることも多くなっています。

電子領収書が改ざんされていないことを証明するために、受け取った電子領収書はそのままのかたちで保存が必要です。

経費計上に誤りがあり脱税とみなされると重いペナルティに

申告漏れや不正確な申告をしたとみなされた場合はペナルティが課されます。

過少申告加算税

税額を納めるべき金額よりも過少に申告したと判断された場合にその差額に対して課される追加の税金。

重加算税

”故意に”税額を少なく申告した場合に課される税金。過少申告加算税よりも高い税率が課されます。

経費・確定申告など税務に関する相談は迷わず税理士へ

フリーランスだからと言って経費処理や確定申告をすべて自分でしなければならない訳ではありません。大きなトラブルを防止するために、不安なことや分からないことがあれば税理士に相談すると良いでしょう。

CHECK

・フリーランスが経費を計上する際にはプライベートとの線引きがポイント
・電子取引の領収書やレシートは電子データのまま保存する
・わからないことは気軽に税理士に相談しよう

フリーランスが事業をうまく回すためには経費のポイントをしっかり押さておくことが非常に大切です。どこまでが経費の対象になるのか、家事按分の割合など、あとから指摘を受けることがないようにうまく管理して計上しましょう。

フリーランスの事業用銀行口座を開設するために|審査通過のコツ・必要書類・おすすめ銀行を紹介

フリーランスはプライベート用銀行口座と事業用の銀行口座を分けて持つのが鉄則です。どの支払いがビジネス関連で、どの支払いが個人の支出なのかを思い出しながら会計処理をするのは途方もない労力がかかるので、さっさと銀行口座を分けてしまうのがベストです。

オンラインであれば即日で開設可能な事業用口座。経費処理を簡単にでき、収入と支出の流れを明確にしキャッシュフローの管理がしやすくなるなどメリットが多いので、まだ開設していない場合は早めに事業用口座を開設しましょう。

全フリーランスは事業用口座で会計作業を楽にすべし  

銀行の口座は通常口座と事業用口座があります。通常口座は誰でも開設できるものであるのに対し、事業用口座は仕事用の名前で開設する口座で開業届を銀行に提出している必要があります。

仕事とプライベートのお金の管理を分けるためにも、事業用口座を早めに作っておきましょう。

そもそも事業用口座とは

個人事業主やフリーランスが個人的に使用する銀行口座と分ける目的で、事業用に分けて使う口座のことを事業口座と呼びます。

個人用口座と分けて管理をすることで、事業の収入や支出を区別し、資金繰りがわかりやすくなるだけでなく帳簿付けがやりやすくなるなどのメリットがあります。

個人名で新しく口座を開設して事業用として使うこともできますし、事業用に屋号付きの口座を開設することもできます。

サポートがある店舗型銀行と手数料が安いネット銀行 

店舗のある通常の銀行と、インターネットバンキングを主に利用するネット銀行は、営業形態やサービスに違いがあります。事業を行う際にはご自身の使いやすい銀行を選んで口座を開設すると良いでしょう。

店舗型銀行

メリット対面で相談できるので直接いろいろ聞きたい人向け。
デメリット店舗の営業時間内にしかサービスを受けられない。手数料が高め。

ネット銀行

メリット時間や場所を問わずインターネットを通じて全ての取引が可能。手数料が安い。キャンペーンなどがありお得な特典がある。
デメリット電話やオンラインチャットでのサポートのみ。オンラインのためセキュリティ面の不安がある。

法人口座と異なり屋号付き口座はあくまで個人口座の一種 

個人事業主が利用する屋号付き口座と法人口座はどちらも事業用口座ですが、法人口座は法人専用の口座であるのに対して、屋号付き口座は個人口座の一種として開設を行います。

口座名に屋号を記載することで事業名で取引を行うことができますが、口座名義自体は個人の名前となります。

利便性ならGMOあおぞらネット銀行がおすすめ

GMOあおぞらネット銀行はオンラインで簡単に取引ができ、手数料が安いのが特徴です。

さらにクラウド会計との連携がスムーズで、入金管理や資金管理がわかりやすい、社会保険料やダイレクト納付の支払いが可能など、会計処理の効率化を図りたいフリーランスにとっておすすめの銀行です。

安心感なら屋号付きで口座開設ができるゆうちょ銀行がおすすめ 

対面とオンラインのどちらも使えるようにしておきたい場合は、ゆうちょ銀行での口座開設がおすすめです。日本全国にネットワークが広がっており、地方でも使いやすく、ゆうちょダイレクトを使えばオンラインで各種操作が可能です。

なんと言っても金融機関としての信頼性が高いゆうちょ銀行での口座を持つことで取引先からの信頼を高めることができます。

CHECK

・フリーランスは事業用口座を開設すべし
・屋号がある場合は屋号付き口座が開設できる
・屋号付き口座は店舗型銀行でもネット銀行でも開設可能

屋号付き口座で資金管理や帳簿付けを楽にする

事業用の銀行口座を持つことで、生活費とビジネス用のお金を別に管理することができます。事業用口座を会計ソフトと連携させると日々の仕訳や帳簿付けを自動で済ませることができ、プライベートで使ったお金と間違えずにミス防止になります。

これらの会計業務の体制をしっかりつくっておくことで年度末の確定申告もスムーズになるのです。

簡易手続きで屋号付き口座が開設できるネット銀行  

ネット銀行での口座開設はオンラインで手続きが完結し、開設までの期間が短いので開業後すぐに使い始められるというメリットがあります。屋号付き口座を開設できるネット銀行を3つご紹介します。

GMOあおぞらネット銀行PayPay銀行楽天銀行
特徴・メリット・使い分け口座機能で用途別での使い分けがしやすい
・クラウド会計との連携がスムーズ
・口座開設から残高確認、取引先への振り込みまでスマホアプリで完結
・ビジネスローンの申し込みもWebでできる
・ATMの提携金融機関が多い
・個人事業主のビジネスに便利なサービスを多く提供
振込手数料GMOあおぞらネット銀行あて:無料他行あて:145円PayPay銀行あて:55円他行あて:160円無料〜145円
口座開設に必要な書類・個人事業主の確認書類(個人事業開業届出書、青色申告承認申請書、確定申告書など)・事業内容確認書類(ホームページ、チラシ、請求書など)
GMOあおぞら銀行の個人口座を持っている必要がある
最短で2営業日後に開設
・本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカードなど)・個人事業開業届出書、営業許可証、確定申告書、課税証明書のいずれか
最短当日~7日程度で開設
・個人事業開業届出書または個人事業開始申告書(郵送で提出)
楽天銀行の個人口座を持っている必要がある
口座開設まで1~2週間程度

窓口でのサポートとクライアントからの信頼が厚いメガバンク 

メガバンクでの口座開設は、資金繰りなどに関して直接相談したいフリーランスにとっておすすめ。屋号付き口座を開設できるメガバンクを3つご紹介します。

三菱UFJ銀行三井住友銀行みずほ銀行
特徴・メリット・三菱UFJダイレクトでオンライン取引が楽・手数料の割引やキャンペーンあり・SMBCダイレクトでオンライン取引が楽・事業主向けのサポートが充実・みずほダイレクトでオンライン取引が楽・自動引落としや定期振込機能が便利
振込手数料【同行】3万円未満:110円3万円以上:110円【他行】3万円未満:275円3万円位以上:275円【同行】3万円未満:無料〜330円3万円以上:無料〜550円【他行】3万円未満:165〜605円3万円位以上:330〜770円【同行】3万円未満:無料〜440円3万円以上:無料〜440円【他行】3万円未満:150〜710円3万円位以上:320〜880円
口座開設に必要な書類・本人確認書類・印鑑・事業内容確認書類(個人事業開業届出書、青色申告承認申請書、確定申告書など)・本人確認書類・印鑑・開業届・本人確認書類・印鑑・屋号付き口座開設に関するヒアリングを行った後に必要書類を提出する

事業用口座を選ぶ際に必ず抑えるべきポイント 

事業用口座をどの銀行で開設するか検討する際には、いくつか抑えておくべきポイントがあります。個人で銀行口座を開設する際に考慮する、アクセスの良さや手数料の安さだけでなく、事業を円滑にかつ効率的に進めるために検討しておくべきポイントがあります。

屋号付き口座が作れるか

屋号付きの口座を作れる銀行と作れない銀行があるので、検討している銀行が屋号付き口座に対応しているかどうか確認が必要です。屋号付きの口座も、屋号のみの口座開設は基本的にできず、「屋号と個人名」が並列して口座名義に表記されるのが一般的です。

会計ソフトとの連携ができるか

検討している銀行が使っている(もしくは使う予定の)会計ソフトと連携できるか確認が必要です。銀行により対応しているソフトが異なるので必ず事前にチェックしましょう。

取引明細のエクスポートができるか

取引明細データは口座の利用状況や収支管理、確定申告に必要な情報を把握するために使います。

手数料を抑えられるか

銀行手数料はビジネス上のコストであり、少なく済むに越したことはありません。振込手数料、ATM利用手数料、引き出し手数料などが最適な銀行を選ぶことが大切です。

屋号付き口座で資金管理や帳簿付けが楽になる

ネット銀行とメガバンクのメリット・デメリットを把握したうえで銀行選びをしよう

会計ソフトとの連携有無やデータエキスポートが可能かどうかもチェックするべきポイント

屋号名で口座を開設する流れ

どの銀行で口座開設するかが決まったら、実際に手続きを進めます。屋号付きの口座開設には屋号を証明できる書類(開業届など)の提出が求められるので、その準備も必要です。

屋号を決め開業届に記載して提出し開業

開業届とは、個人が事業を開始した旨を税務署に届け出る書類のことで、屋号が決まっている場合屋号も記載して提出します。ここで提出した名称をビジネスの通称として使うことができます。

口座開設に必要な書類を用意

銀行によって口座開設の際に求められる書類が変わってくるので、あらかじめ銀行のページで確認しておくとよいです。

口座開設に必要な書類例

  • 開業届(税務署に提出した開業届の写し)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
  • 屋号を証明できる書類(名刺や請求書などに記載された屋号など)

口座開設の目的と事業内容の書き方

口座開設の申込書類には、開設する目的を記載する必要があります。フリーランスの事業用口座開設の際には「フリーランスとしての事業収支管理のため」と書けば問題ありません。また事業内容の記載も求められた場合は「Webデザインの制作およびコンサルティング」「デザイナー業務」など事業の内容を簡潔に書きましょう。

口座開設手続きを店舗・オンラインで実行

銀行で口座開設申込手続きを行い、審査通過後に口座が開設されます。銀行により口座が使えるようになる期間は即日〜1週間などさまざまです。

事業用口座でさらに会計を楽にするためのポイント

事業用口座を分けて物理的に収支データを整理することで会計作業はシンプルになりますが、データ連携やツールを駆使することでさらに会計を楽にすることができます。

経費とプライベートの支払いは必ず口座を分ける

経費として計上できるのは事業に関する支出のみであり、個人の支出は含めないことを徹底します。

事業用口座と会計ソフトと連携して帳簿をつける

会計ソフトと連携させることで、口座の取引データが自動で取り込まれ、帳簿や確定申告などの会計作業の効率が大幅に向上します。

事業用のクレジットカードで経費を支払う

事業用クレジットカードを使って経費を支払うことで、すべての取引を一元管理でき、経費の処理が簡単になります。

CHECK

・屋号付きの口座開設には開業届に屋号の記載が必要
・事業用口座を作ることで会計処理はぐっと楽になる
・会計ソフトとの連携や事業用クレジットカードの活用でさらに効率化を図る

フリーランスはプライベート用の銀行口座と事業用口座を分けて持ち、帳簿作業や収支管理を効率的に行いましょう。

フリーランスの請求管理を効率化|電子帳簿保存法対応の請求書テンプレ・回収遅延対応を解説

提供したサービスや販売した商品の代金を請求する書類を「請求書」と言います。フリーランスにとって請求書は売上請求をするためだけでなく、取引完了の証明や支出の管理などさまざまな役割を持つ書類です。

請求書を漏れずに送るだけでなく、請求書をきちんと保管するまでが請求管理。フリーランスとしておろそかにはできない大切な業務です。

フリーランスの請求管理業務は経営戦略を立てるために必要な経験 

フリーランスとしての請求管理は、キャッシュフローを安定させ、経営戦略を効果的に立てるために不可欠です。経理業務代行サービスもありますが、フリーランスとして独立したばかりであれば資金の流れを理解するためにも一度自分でやってみることをおすすめします。

フリーランスが​行う請求管理に伴う​経理業務

経理の業務は基本的に月次で毎月行うものと、年次で年に1回行うものに分かれます。毎月の業務を漏れなく行っていれば年度ごとの経理業務が楽になります。

毎月​行う​請求管理に伴う経理業務

通帳の​記帳、​または​入出金チェック

入出金チェックは経理管理の重要な部分です。定期的に行うことで財務状況を把握しやすくなります。

請求書の​発行

フリーランスとして請求書を発行することは、金銭トラブルの防止や報酬を正しく受け取るために必要不可欠です。漏れやミスなく、納品と同時に請求書を送付しましょう。

経費の​支払い 

フリーランスにとっての経費とは事業に関して支出した金額のことです。家賃、wifi代、ツールの利用料金などが該当します。

帳簿の​抜け漏れの​確認

帳簿の作成はすべての事業主の義務であり、白色申告や青色申告をしているフリーランスも帳簿をつけなければなりません。毎月の家計簿と同じように帳簿をつける癖をつけ、漏れがないかチェックをしましょう。

領収書や​請求書などの​整理と​保存

電子帳簿保存法により、取引の際に発生する税務関連の書類を指定に沿って保存が必要です。これは領収書や請求書も該当します。忙しいとフォルダ保存をし漏れていることもあるので、毎月漏れがないか確認します。

毎年行う請求管理に伴う経理業務

棚卸作業

個人事業主や法人は、年に1度必ず決算を行わなければなりません。決算にともない、資産の残高を適切に把握するために棚卸を行います。Webデザイナーなどのフリーランスの場合は在庫を持たないビジネスですが、使用しているツールやライセンスなどを見直しをするタイミングです。

決算書の​作成

棚卸後、年間の収支をまとめた決算書を作成して確定申告書に添付しなければなりません。freeeなどの会計ソフトを使って作成すると簡単です。

確定申告 

フリーランスの確定申告は、収入や経費を正確に申告する重要なものです。確定申告とは、その年の収益と経費を申告し、所得に対する正しい税金を計算して納税することです。毎年2月16日から3月15日までの期間中に前年度の所得に関する申告を行う必要があります。

CHECK

・キャッシュフローを知るために、フリーランスでも自分で経理業務をやってみるのがおすすめ
・毎月の経理業務には入出金チェックや請求書発行、帳簿づけがあります
・年度末に年1回行われる経理業務は確定申告がメインになります

フリーランスが請求書を発行する際の注意点

フリーランスにとって、請求書は非常に重要な書類です。請求書に必ず記載しなければならない項目は、国税庁の「請求書等の記載事項や発行のしかた」にて、以下の5つに定められています。

1.書類作成者の氏名または名称
2.取引年月日
3.取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
4.税率ごとに区分して合計した税込対価の額
5.書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
国税庁「請求書等の記載事項や発行のしかた

振込手数料の対応

報酬の振込手数料は支払側が負担するのが一般的です。新規の取引先の業務を初めて受託する場合は、どちらが振込手数料を負担するかを確認して明確にしておきましょう。

源泉徴収の対応

源泉徴収とは取引先がフリーランスに支払う報酬から一定の税金(所得税)を差し引き、直接税務署に納付する制度です。契約時に源泉徴収の有無や条件を確認し、対象の場合は源泉徴収された分を明記した請求書の保管が必要です。

消費税の書き方

フリーランスも消費税を請求できますので、請求書には消費税欄が必要です。インボイス対応の場合は適格請求書発行事業者の氏名や登録番号の記載、適用税率の記載が必要になります。

押印の必要性

請求書には印鑑の押印義務はありません。もしフォーマットとして押印をしたい場合は角印を使うことが一般的です。

PDF化した後のパスワード処理 

請求書はデータが誤って消えたり改ざんされたりしないように、パスワード付きPDFにして取引先に送ります。請求書を送るメールと請求書のパスワードを知らせるメールは別々に送信します。

CHECK

・請求書に記載しなければならない項目は法律で定められている
・振込手数料や源泉徴収の対応など注意が必要
・請求書はPDF化してパスワードを付けて取引先に送る

電子帳簿保存法に準じた請求書作成・送付後に必要な保存のポイント 

フリーランスが請求書を電子で保存する際、電子帳簿保存法を理解しておく必要があります。電子帳簿保存法とは、税務関係帳簿書類のデータ保存の方法について細かく定めている法律です。

取引年月日・金額・取引先名をファイル名に記載

保存したデータの中から必要な書類を探しやすくするために、検索しやすいファイル名を付けることが推奨されています。例えば以下のように、ファイル名に検索できる要件名を入れておくと良いでしょう。

[取引先名]_[取引内容]_[YYYYMMDD]_[金額].pdf

請求書は5年・インボイス(適格請求書)は7年保存が義務

請求書は法律にもとづき一定期間保存しなければなりません。確定申告が終わったからもう使わなくなると思って削除するとアウトです。通常の請求書は5年、インボイス(適格請求書)に関しては7年の保存が義務付けられています。

DropboxやBoxなど電子保存用のストレージを契約しておくと便利 

DropboxBoxといったクラウドストレージに保存をしておくとどこからでもアクセスでき、社内外のユーザーと簡単にデータ共有が可能になり便利です。クラウドストレージとは、インターネット上で利用できるファイルの保管場所のことです。ファイルを保管するだけでなく、クラウドストレージ上の(保管場所の)URLを共有することでファイルの共有も簡単に行えます。

CHECK

・電子帳簿保存法により請求書の保存のしかたが定められている
・ファイル名は検索しやすい名前のパターンを決めて保存すること
・最長で7年の書類の保存が義務付けられており、クラウドストレージに入れておくと便利

提案や案件の進捗・請求や支払いなどの一元管理で経理業務の負担を減らす

経理業務の負担を減らすためには、ツールの導入が欠かせません。プロジェクト管理と会計ソフトが統合された統合管理システムの導入や、手作業によるミスを減らすために請求を自動化する仕組みを作るなど、できるだけ自動化・効率化しましょう。

見積から請求まで一気通貫のおすすめ請求管理ソフト

フリーランスとして請求管理をするメリットは、事務作業の効率化、請求ミスの削減、キャッシュフローの管理、収益の可視化など多くあります。請求漏れは収入減だけでなく取引先からの信用低下にもつながります。請求管理をミスなく行うために専用ソフトの導入をおすすめします。

Make Leaps

Make Leapsは帳票作成から入金管理までをWEB上で一元管理できる請求管理クラウドサービス。誰でも直感的に使えるシンプルでわかりやすい操作性が特長で、2019年度グッドデザイン賞を受賞しています。

Tooon

Tooonは取引管理や決済機能をワンストップで完結する業務管理ツールで、ブラウザ上で共同編集出来るのが特徴。フリーランスやクリエイター向けに開発された取引アプリで、業務負担の軽減を実現することで創造的な活動に集中できる環境をつくることを目的としています。

INVOY

INVOYは請求書の作成や取引先の追加など請求・経理業務に必要な多くの機能を無料で利用できるサイトです。インボイス制度や電子帳簿保存法など最新の法令にも対応しています。

INVOICY 

INVOICYはフリーランス向けの完全無料な請求書、作業報告書管理ツール。請求書、見積書だけでなくフリーランスには欠かせない作業報告書の作成&管理を行うことができる クラウドサービスです。

CHECK

・経理業務やツールの導入により自動化することが可能
・キャッシュフローの管理、収益の可視化といった観点から請求管理は不可欠
・見積から請求まで一気通貫でできるソフトもいろいろあります

フリーランスとして請求管理はお金の流れを可視化し、計画的に資金管理をするために大切なこと。守らなければいけない法律もいくつかあるので、知識をみにつけながらこつこつと経理スキルも身に着けていきましょう。

フリーランスのオフィス環境を整えるために|集中力アップと仕事効率を高める自宅・レンタル・シェアオフィスの選び方

フリーランスで仕事をする際、働く場所の選択肢は無限です。どこでも働けるのが魅力である半面、効率良く仕事できる場所が確保出来ないと収入が危うくなります。

フリーランスで働く場所の候補や、場所を選ぶ際の考え方をお伝えします。

稼ぐフリーランスは作業環境に投資を惜しまない

会社や組織に属さないフリーランスの大きなメリットは、働く時間や場所を自分で選べることです。自由であるからこそ、プライベートと仕事の線引きが難しく、自身の生産性を意識的に管理する必要があります。

生産性を上げるためには、「作業がはかどる環境づくり」が必要不可欠。家のダイニングテーブルと椅子で仕事をしていては効率は良くないです。

必要な設備が整っていて、集中でき、生産性高く仕事が出来る場所はフリーランスにとってとても大切!海辺のカフェで仕事しているオシャレなイメージなどありますが、日差しでモニターが見づらいし、砂が飛んでくるし、全く効率が上がらないというのが現実です。効率よく稼ぐために、自分にとって働きやすい環境作りを行いましょう。

フリーランスのオフィス事情

子育てをしながらフリーで仕事をしたいと考えるフリーランスの場合、自宅が第一の仕事場候補になるでしょう。他にも、カフェやコワーキングスペースを利用したり、オフィスを借りるのも選択肢に入ります。

フリーランスとして独立したばかりでまとまった資金が確保できていない時点では、まず自宅で働くことから始めるのが無難です。

自宅オフィスで働くフリーランスが多い

「フリーランスの実態に関する調査」によると、フリーランスの約6割が自宅を作業場にしています。

事業を行う場所が「自宅の居室」と回答する割合をみると、フリーランスは61.1%にのぼり、多くが在宅就業である

「フリーランスの実態に関する調査」2018年日本政策金融公庫

フリーランスの登記に事務所を登記する必要はない

事業を行うにあたり、法人を設立した際は「法人登記」として法人名、設立年月日、住所、事業内容などの登記が必要とされていますが、フリーランスの場合は法人登記は必須ではなく「開業届」のみで問題ありません。

CHECK

稼げるフリーランスになるためには効率よく仕事できる環境づくりが不可欠
フリーランスの6割は自宅をオフィスにしている
フリーランスの場合住所を登記する必要はない

フリーランスのオフィスの選択肢とメリット・デメリット

フリーランスで働くにあたって、打ち合わせや作業に集中できるスペースの確保をしておきたいものです。働く場所の選択肢として、自宅、シェアオフィス、カフェなどがあります。

カフェに関しては騒がしかったり席が確保できない可能性があるので、あくまでサードプレイスとして使いましょう。

フリーランスのオフィス選択肢としては、自宅をオフィスとして利用するパターンと、自宅とオフィスを分けるパターンの2つです。それぞれのメリットとデメリットを紹介します。

通勤の必要がなく時間を有効活用するには自宅オフィス

自宅をオフィスにする大きなメリットは、コストがかからない点と、移動時間が無駄にならない点です。

自宅オフィスのメリット

コストをおさえられる
オフィスを別に借りる費用や交通費をおさえられるだけでなく、自宅の賃料や光熱費の一部を経費として計上可能です。

時間が有効活用できる
オフィスまでの移動時間が不要なので、仕事ができる時間がその分多く確保できます。自宅にいればランチなどの食事も簡単に用意出来るので、時間とお金の節約につながります。

柔軟な働き方ができる
仕事の合間に家事や育児・介護ができ、両立しやすいのが自宅オフィスです。お子さんが学校から帰って来て家でひとりでお留守番しなければならない、ということもないので働く親としては安心です。

自宅オフィスのデメリット

仕事とプライベートの切り替えが難しい
仕事とプライベートを同じ空間で行うため、オン・オフの切り替えがしづらく長時間働きがちになり、体調を崩すことにも繋がります。ジョギングや散歩で外に出る時間を作るなど、積極的に気分転換のルーチンを作る事が大切です。

集中力の維持が課題
仕事に向いていない椅子や机で仕事をすると身体が痛み、集中力が続きません。見える範囲内にテレビがあるなど集中をさまたげるものがあるのも仕事の邪魔になります。また、同居されている家族がいる場合、なかなか集中しづらいのが自宅で働くデメリットです。

孤独感につながりやすい
フリーランスは基本的に1人で仕事をするわけですが、自分から積極的に外に出て人脈を作らないとなかなか輪が広がりません。1日中自宅で仕事をしていると仲間ができず、孤独感につながります。

個人・複数人で集中できる作業環境にはレンタルオフィス・シェアオフィス

レンタルオフィス・シェアオフィスは、自分専用の作業スペースを確保できる場所です。個室や個人ブース単位で契約できるレンタルオフィス、共用スペースをシェアして使うシェアオフィスがあります。

レンタルオフィス・シェアオフィスのメリット

プライバシーの確保ができる
レンタルオフィス・シェアオフィスの住所や電話番号はビジネスで利用することが可能です。自宅の住所やプライベートの電話番号を公開せずにプライバシーを守りながら仕事をすることが出来ます。

ビジネス用住所として使える
例えば渋谷や六本木のレンタルオフィスを契約すればその住所を会社の所在地として表記でき、社会的信用度が上がります。

レンタルオフィス・シェアオフィスのデメリット

比較的高コストである
立地やサービス内容により異なりますが、レンタルオフィスを借りる場合は月額3万~10万円前後の費用が掛かります。売上計画と照らし合わせて支払い可能な範囲内で探しましょう。

契約期間の縛りがある場合もある
契約期間が短期で、即入居可能なのがレンタルオフィスの売りですが、契約期間の縛りがある場合もあるので契約時にきちんと内容を確認しましょう。

他フリーランスとの交流の機会も期待するならコワーキングスペース

コワーキングスペースはシェアオフィスと似ていますが、利用者間の交流を重視している場を指し、人脈づくりの場としても適しています。

コワーキングスペースのメリット

人脈が広がる
新しい出会いや人脈作りが出来るのがコワーキングスペースの大きなメリット。様々な業種の人と交流ができ、新たなアイデアやビジネスチャンスにつながります。

快適な作業環境がある
高速インターネット、プリンター、会議室、カフェサービスなど、自宅オフィスでは実現できない設備が整っているのが魅力です。

柔軟な利用プランである
コワーキングスペースはレンタルオフィスと比べて柔軟な契約プランが用意されており、必要に応じて短期間から長期間まで利用が出来ます。

コワーキングスペースのデメリット

月額の固定費用がかかる
レンタルオフィスよりもリーズナブルですが、コワーキングスペースを利用する場合、月額5,000~3万円程度かかります。

話し声が気になる人には不向き
コワーキングスペースは会話OKな場所であるため、常に誰かしらの話し声が聞こえます。静かな環境でないと集中できない方には向かない可能性が高いです。

CHECK

コストを抑えて時間を有効活用したい場合は自宅オフィス
設備やプライバシーを重視する場合はレンタルオフィスやシェアオフィス
人脈作りも行いたい場合はコワーキングスペース

フリーランスのためのオフィス選び・作業環境作りのポイント

フリーランスにとって効率的に働く環境があるかどうかは売上を左右する大切なポイントです。自宅ではどうしても集中できない場合は、オフィスを借りることも検討しましょう。

立地・アクセスがよいか

家からのアクセスの良さ、利便性は重要です。対面での打ち合わせは昨今少なくなっているので、クライアントとの打ち合わせ場所としての利便性ではなく、自分自身が通いやすい場所を優先して考えましょう。

継続して利用ができる範囲の費用であるか

家賃を含む経費が売上を超えると赤字になるので、月々の費用と売上金額のバランスを考慮して物件を決めましょう。

コワーキングスペースの利用料の目安は月額5,000~3万円程度、オフィスの家賃は3万~10万円前後とさまざまです。

自然光が取り入れられているか

健康的な働き方を実現するには「自然の光」のある環境が必要だと、“Harvard Business Review” 誌で「The #1 Office Perk? Natural Light」として取り上げられました。

自然光のもとで働くことにより、目の疲れが軽減され、良質な睡眠がとれるという研究結果もあります。

静かな環境で集中力を高めるられるか

シェアオフィスでは、他の利用者のオンライン商談が聞こえてくることもあります。ある程度の音があったほうが集中できる人もいれば静かなほうが良い人もいるので、好みの問題ですが、自分自身が集中できる環境が確保できるかは要確認です。

集中ブースや個室ブースがあるシェアオフィスもあるので設備も確認しましょう。

長時間座っても疲れない椅子などがあるか

椅子、モニター、プリンター、スキャナー、デスクライトなど、仕事がはかどる設備が整っているかどうかも忘れずにチェックしましょう。特に椅子は座り仕事がメインのフリーランスにとって大切な存在。

疲れにくい、姿勢が悪くならない、クッション性がある、など様々な椅子がありますので、自分に合った椅子があるところが良いです。

オンライン会議に対応した設備があるか

フリーランスはオンラインで商談や打ち合わせをする機会が多いので、落ち着いてオンライン会議が出来る場所を確保しましょう。

シェアオフィスの場合は予約制でブースを借りられるオプションを設けているところが多いです。

リラックスできる休憩スペースがあるか

フリーランスが集中力を持続させるためのメソッドは様々なものが紹介されていますが、共通するのはきちんと休憩時間を取ることです。

自分の集中ピーク時間を確保すると同時に、リラックスする場所と時間をきちんと確保することも生産性アップにつながります。

他の利用者との交流の機会があるか

フリーランスは自分でチャンスを取りに行くことでビジネスチャンスが広がります。

他のフリーランスの方と協働したり、新しいクライアント開拓につながる交流の機会は積極的に利用したいです。

フリーランスがオフィス・作業環境を作る流れ

フリーランスが働く環境整備にはまず、どこを拠点にして働くのかを決めましょう。

自宅で働く場合の流れ

  1. 仕事用のスペースを確保
  2. デスクや椅子など仕事用のものを新調
  3. モニターやプリンターなど作業に必要な機器を設置
  4. 住所や電話番号を公開したくない場合はバーチャルオフィス併用も検討

オフィスを構える場合の流れ

  1. オフィスの用途を整理し、目的に合った場所を探す
  2. いくつかのオフィスをドロップイン利用し雰囲気を確認
  3. 必要書類を準備して契約をする
  4. 仕事用に必要な機器がプラスで必要であれば設置

オフィス選びはまず実際に内覧に行って検討する

場所と値段だけで決めるのではなく、家と同じようにオフィスもまず内覧に行きましょう。

ドロップインや体験などで1日過ごし、入居者層や雰囲気、BGMの音量、インテリアや設備などを実際に自分の目で確認します。いくつか内覧し、ここなら仕事がはかどりそう、と思ったところに決めます。

作業場だけ欲しい場合はオフィスのサブスクサービスも一手

場所や人脈作りにこだわらず、いろいろなところで作業が出来るようにしたいという場合には、サブスクサービスがあります。

提携する全国のワークスペースを使い放題で利用できるプランで、自宅以外のワークスペースを持ちたい方におすすめです。

ATTENTION

サブスクサービス「NIKKEI OFFICE PASS

フリーランスのオフィスは自宅の場合も家事按分で経費化できる

フリーランスが自宅の一部をオフィスとして使う場合、家賃や光熱費の一部を経費として計上することが出来ます。

家事按分の対象となる主な費用項目としては、家賃、水道光熱費、通信費、交際費、交通費などが挙げられます。確定申告の際には忘れずに計上しましょう。

自宅での作業環境を整えつつも他者との交流の機会は大切に

自宅の一室を自分好みにカスタマイズして環境づくりに投資するなり、オフィスを借りてオンオフのメリットを付けて働くなり、自分なりの働きやすい環境を見つけていきましょう。環境や設備といったハード面の働きやすさだけでなく、人とのつながりのソフト面も実は大切なポイント。自宅で働いてもオフィスで働いても、コミュニティに属しておくことをおすすめします。

CHECK

オフィスに求める条件をまず整理すること
効率的に働く環境に欠かせない条件も整理し、自分にあったオフィスづくりをする
作業場所だけ欲しい場合はサブスクサービスもある
他者との交流の機会はいつまでも大切にする

フリーランスとして効率的に稼ぐためには生産性の管理が必要です。自分が効率よく働きやすい環境を積極的に作り、投資を惜しまないようにしましょう。

フリーランスの確定申告はいくらから?|確定申告が必要な所得と対応に必要な書類・控除・修正申告方法

フリーランスは会社に属さず、自分の好きなタイミングで仕事をすることができる働き方です。自由があることがメリットですが、税金や保険などの手続きもすべて自分自身で行わなければなりません。

お金の手続きの中で大きなものが確定申告。「難しい」「面倒くさい」といったイメージがありますが、個人事業主向けの会計ソフトの多様化や、申請手続きのオンライン化などによって以前と比べて楽になりました。どこから手を付けてよいのか全く分からない方でもわかりやすく、確定申告についてまとめています。

確定申告は会計ソフトを使えば簡単!そんなに大げさにとらえる必要はありません。準備するべきことをしっかりと把握し、毎月の収支を記録付けしておけばスムーズに手続きができます。

年間20万円以上の事業所得がある場合には確定申告が必要 

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日の1年間の所得(収入から経費を引いた額)をもとに所得税額を確定する手続きのことです。

売上から経費を引いた所得が年間20万円を超える場合は副業であっても確定申告が必要になります。

個人事業主やフリーランスの場合は、所得が48万円を超えると確定申告をする必要がありますが、所得が満たない場合や赤字の場合は申告が不要になります。ただし、不動産投資や株取引をしている場合は本業に関わらず申告が必要です。

CHECK

確定申告とは所得税等の額を計算して確定させる手続きのこと
フリーランスなどの事業所得がある人や会社員の副業で年間20万円を超える人が対象
赤字の場合は確定申告の義務はありません

確定申告の必要書類や具体的な申告の流れと準備

青色申告と白色申告の大きな違いは「控除があるかどうか」です。控除とは、所得税を計算する際に所得金額から差し引ける金額のことです。控除があることで、所得税や住民税などの税金を低く抑えることができます。

青色申告で提出したほうが、はるかに節税のメリットが大きいので、青色申告の準備が間に合わなかったといった場合以外は基本的に青色申告での手続きをおすすめします。

青色申告と白色申告では必要書類や記帳方法が異なる

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」と「開業届」を所管の税務署に提出する必要があります。白色申告をするために必要な申請はないので、上記2点を提出していなければ自動的に白色申告になります。

白色申告のほうが簡単といわれていますが、会計ソフトを利用すれば手間はほとんど変わりません。

青色申告白色申告
提出に必要な書類所得税の確定申告書
収支内訳書
※家計簿のようなかんたんなもの
所得税の確定申告書
青色申告決算書
※会計ソフトを使った帳簿のかたちのもの
記帳方法勘定科目で仕訳をした帳簿形式売上と経費が分かればよい
節税メリット最大で65万円控除の優遇措置
住民税、健康保険料も引き下げ
遇措置なし
その他メリット赤字を3年間繰り越しできる
家族への給料、家賃や電気代を経費にできる
30万円未満の固定資産を全額経費にできる
開業時期に関係なく申告できる

青色申告と白色申告の確定申告の流れ

青色申告と白色申告は、事前準備の有無と提出書類が異なりますが、スケジュールはどちらも同じです。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告する必要があります。

青色申告白色申告
事前準備開業届を提出
青色申告承認申請書を提出
なし
月々のお金の管理複式簿記
※会計ソフトで管理可能
単式簿記
※会計ソフトで管理可能
必要書類の準備青色申告決算書の作成
※会計ソフトで作成可能
控除証明書の準備
収支内訳書の作成
※会計ソフトで作成可能
確定申告書の作成※会計ソフトで作成可能※会計ソフトで作成可能
確定申告書を税務署へ提出
※2月15日から3月15日まで
※年によって期限日が異なる場合があります
税務署の窓口に直接or郵送にて提出もしくはe-Taxからオンラインで提出税務署の窓口に直接or郵送にて提出もしくはe-Taxからオンラインで提出
税金の納付・還付預金口座の引き落としor振込履歴を確認
※税務署から納付書などのお知らせはありません
預金口座の引き落としor振込履歴を確認
※税務署から納付書などのお知らせはありません

確定申告後に間違いが見つかった場合は修正申告も行う

提出済みの確定申告の内容にミスが見つかった場合は、できるだけ早く修正申告を行います。よくあるケースとしては、「計上するべき売上が漏れていた」「利用できる控除を入れ忘れた」というものがありますので、提出前にいま一度確認しましょう。

申告内容の修正はe-Taxページの「確定申告書等作成コーナー>新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」のボタンから申請可能です

領収書の保管や会計ソフトによる記帳を毎月行っておく

事前の申請や毎月の帳簿作成、そして確定申告に必要な項目を自動でまとめてくれるのが会計ソフトです。事務処理の効率が各段にアップしますので、法人化していないし売上額がまだまだだと思っていても、会計ソフトは早い段階で導入することをお勧めします。

会計ソフトを導入するメリット

  • 確定申告の負担を大幅に軽減できる
  • 経理業務を自動化できる
  • 簿記の知識がなくても経理業務ができる
  • 日々の収支管理を楽にできる
  • 会計ソフトにかかる費用は経費にできる
  • 見積書・請求書作成機能もある
  • スマホでも操作が可能

会計ソフトには「freee会計」や「マネーフォワードクラウド確定申告」などがあり、ニーズに合わせて選ぶことができますので詳しくは以下のリンクをご覧ください。

CHECK

青色申告と白色申告の違いは控除があるかどうか
青色申告は控除があり、必要書類を整えれば簡単に手続きできる
会計ソフトを導入すると確定申告の手続きだけでなく日々の記帳が楽になる

確定申告の対象となる所得や支払う税金の種類

確定申告の対象となるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」の3つです。会社員は給与所得ですが、フリーランスの場合は「事業所得」となり、確定申告の対象となります。

収入から経費を引いた事業所得が確定申告の対象

事業所得とは小売業やサービス業もしくは自営業で生じる所得を指します。個人事業主やフリーランスの所得が該当します。「所得とは収入から必要経費を引いた金額」のことなので、事業所得とは事業収入から必要経費等を差し引いた金額です。所得税はさらに所得控除を差し引いた額に課税されます。

フリーランスが計上できる経費の例

経費とは、事業を行う上で発生した費用のことです。フリーランスの場合ビジネスとプライベートの線引きが難しく判断に迷うこともありますが、客観的に事業に関わる費用であると説明できるかどうかを基準として判断しましょう。

<毎月発生する経費>

家賃:地代家賃
水道光熱費:水道光熱費
インターネット費:通信費
スマホや電話の通信費:通信費
レンタルオフィス費:賃借料
業務ソフトの使用料:消耗品費

<都度発生する経費>

ホームページ作成を外注した代金:広告宣伝費
パソコンなどを購入した代金:10万円未満は消耗品費、10万円以上は減価償却資産
打合せのカフェ代金:会議費
勉強会に参加した代金:教育費
文房具購入費:消耗品費
ガソリン代:消耗品費
電車やバス代:交通費

確定申告で支払う主な税金の種類

個人事業主やフリーランスにかかる税金は「所得税」「住民税」「消費税」「事業税」の4種類です。どの税金にどのような控除が使えるか知ることで、節税につながりますのでそれぞれしっかり把握しましょう!

所得税

毎年1月1日から12月31日の期間に得た収入から、経費を差し引いた所得に課税される税金です。

所得税=(所得 – 所得控除)× 税率 – 税額控除

住民税

住民税とは、納税者の住所や事業所を置いている都道府県及び市町村に納める税金のことです

住民税 = 均等割(一定額)+所得割(※所得に自治体の税率をかけたもの)

事業税

各都道府県に支払う事業を行っていることに対して支払う税です。年間の事業所得が事業主控除額である290万円以下になる場合は、事業税を納付する必要はありません。

事業税額=(所得-各種控除)×税率

消費税

個人事業主の売上高が1000万円を超えた場合、その2年後から消費税の納税義務が発生します。

消費税額=売上金額に含まれる消費税額-仕入れ・経費に含まれる消費税額

税金がかかる所得は所得控除後の課税所得金額が対象 

所得税の額を計算するもとになる「所得」とは、所得から所得控除を差し引いた残りの金額を指します。以上のことから、確定申告の際には控除額の大きさが重要になってきます。

所得控除と税額控除の違い

税率をかける前の課税所得から控除を行う「所得控除」とは別に、計算した税額から直接控除する「税額控除」というものもあります。配当控除、住宅ローン控除、外国税額控除などが該当します。

フリーランスが活用する代表的な所得控除

基礎控除、配偶者控除(特別控除)、扶養控除、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、寄附金控除

所得控除は15種類あり、内訳は以下の通りです。丸がついているものが、よく使われている控除になります。

物的控除人的控除
雑損控除
〇医療費控除
〇社会保険料控除
小規模企業共済等掛金控除
〇生命保険料控除
地震保険料控除
寄附金控除
〇基礎控除
〇配偶者控除
配偶者特別控除
〇扶養控除
障害者控除
寡婦控除
ひとり親控除
勤労学生控除

CHECK

所得とは収入から必要経費を引いた金額のこと
事業を行う上で発生した費用を経費とすることができる
フリーランスで使える控除はきちんと知っておくと良い

確定申告をしなかった場合・忘れてしまった場合の対処法

確定申告の提出が漏れるとペナルティが課されることがあるため毎年の申告期間は忘れないようにカレンダーに書き込んでおきましょう。

確定申告を忘れると無申告加算税や重加算税などペナルティがある場合も

法定期間内に確定申告を行わなかった場合、ペナルティとして追加で税徴収されることがあります。

加算税と言われ、「期限までに確定申告をしなかった」場合は無申告加算税、「期限後に修正をした」場合は過少申告加算税、「悪質な隠ぺいがあった」とされた場合は重加算税が課される可能性があります。

確定申告を忘れたことに気づいたらできる限り早く申告を行う

確定申告の提出を忘れてしまった場合。また、提出内容に不備があることに気づいた場合はできるだけ早く手続きを行いましょう。

確定申告を忘れていたとき

確定申告をすることを忘れていたときは、できるだけ早く申告するようにしてください。申告の必要があるにもかかわらず、申告をしなかった場合には、税務署長が所得金額や税額の決定を行う場合があります。
なお、税務署長が決定を行う場合や申告期限に遅れて申告した場合などには、加算税が賦課される場合があるほか、法定納期限の翌日から納付日までの延滞税を併せて納付しなければなりませんので、ご注意ください。

税額を少なく申告していたとき

確定申告書を提出した後で、税額を少なく申告していたことに気付いたときは、「修正申告書」を提出して正しい税額に修正する必要があります。
修正申告書は、税務署長から更正を受けるまではいつでも提出できますが、なるべく早く申告してください。
修正申告によって新たに納める税額は、修正申告書を提出する日(納期限)までに、延滞税と併せて納めてください。

フリーランスでも税務調査で追徴課税がかかる場合も

確定申告終了後も、関係書類は保存が必要です。青色申告の場合、帳簿・決算関係書類は7年間、請求書、見積書などの書類は5年間の保存が義務付けられています。

実はフリーランスであっても税務調査が入ることがあります。

特に関係のない経費が多く計上されている、申告漏れが多い、といった場合は指摘が入る可能性があるので注意しましょう。確定申告は個人で完結できる作業ですが、不安な方は税理士にお願いすることもできます。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」がありますが、メリットの多い「青色申告」がおすすめです。毎月の帳簿付けは是非会計ソフトを活用し、事務手続きを効率化しましょう。

確定申告は青色申告・白色申告どちらがいい?|フリーランスに最適な選択と控除・申告の際の注意点と時短テクニック

確定申告をスムーズに時短で済ませる方法をまとめています!経理の専門知識がなくても、ソフトやツールを駆使すれば以外に簡単にできますよ。

確定申告は年度末に必ず行う、税金を納付する手続きです。申告をしないとペナルティが課せられるので必ずやりましょう。「青色申告」と「白色申告」で申請書類や使える控除などが異なり自分に合った申告方法を選ぶことが出来ますが、フリーランスの場合は青色申告がおすすめです。

白色申告は所得330万円がボーダーライン。フリーランスなら迷わず青色申告 

白色申告をしても青色申告をしても所得税率は変わりません。所得の金額に応じて所得税は計算されます。この所得額を大きく左右するのが控除です。

所得金額ごとに税率と控除額が決まってきます。330万円を超えると控除額が大きく増加していますよね。

同じ収入であっても、控除を使う(青色申告で申請する)方が、控除を使わない(白色申告で申請する)場合よりも納税金額を低くすることができるのです。

所得330万円を超えるのであれば控除や赤字繰り越し、減価償却特例などのメリットが多い青色申告にしましょう。事業を開始したばかりで売上が少ない場合や、3年以上赤字が続いている場合は白色申告が向いています。帳簿をつけるのが難しそうだからなんとなく白色申告にしている方は、会計ソフトを使えば手間はほとんど変わらないので青色申告への切り替えを検討してみましょう。

白色申告に必要な書類

白色申告とは、帳簿の作成が簡単な申告方法ですが、基本的に税制上のメリットがありません。以前は記帳しなくても手続き可能だったのですが、2014年の法改正より白色申告も記帳が義務化されました。

フリーランスの白色申告では「収支内訳書」「確定申告書」の提出が必要です。

①収支内訳書

収入や支出の流れ、所得金額の詳細をまとめたものを指します。

②確定申告書

1年間の所得額や控除額をまとめ、税金の金額を算出するものを指します。

準備~提出方法

毎月のお金の流れをまとめるために、売上や経費が発生したら記録を残しておきます。これを記帳と呼びますが、白色申告のフォーマットは特に決まっていないので自分が分かりやすいようにまとめておきましょう。

会計ソフトを使うと効率化ができて便利です。

確定申告の時期になったら、必要書類の準備を進めます。ひとつひとつの取引について数量や単価、金額を正しく記帳し、それをもとに収支計算書、確定申告書と作成を進めます。
必要書類は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。会計ソフトを使っている場合は、会計ソフト上で確定申告に必要な書類を作成し、オンラインで提出可能です。

白色申告のメリット・デメリット

メリットデメリット
・事前申請が不要
・簡易な記帳で良い
・節税効果は見込めない
・赤字が繰り越しできない

青色申告を控除と経費の扱いの違いからおすすめする理由

青色申告は最大65万円の特別控除が受けられるなど、メリットの大きい申告方法です。仮に同じ収入だった場合、青色申告で確定申告をすれば税金がかかる所得を最大65万円少なくでき、その分納税額も少なくなり得になります。

また、経費に関しても白色申告よりも幅広く計上できることもメリットです。自宅で使うパソコンなど30万円未満のものは一括で経費計上、家賃や家族への給与も経費にできます。

青色申告に必要な書類

青色申告とは、原則として複式簿記で帳簿をつけることが義務付けられている手続き方法です。青色申告特別控除をはじめ、様々なメリットがあります。

フリーランスの青色申告では「青色申告決算書」「確定申告書」の提出が必要です。

①青色申告決算書

日々の帳簿付けの結果を決算書の形式で記入する書類です。1年間の利益を計算した「損益計算書」と、期末時点での資産状況を示す「貸借対照表」からなります。

②確定申告書

1年間の所得額や控除額をまとめ、税金の金額を算出するものを指します。

準備~提出方法

まず事前に「青色申告承認申請書」の申告をする年の3月15日までに提出します。間に合わなかった場合は、次年度のために早めに申請書を出しておきましょう。

青色申告は仕訳をした複式簿記の準備が必要です。自分で0から帳簿付けをするためには勉強が必要ですが、会計ソフトを使えば自動仕訳できれいにまとめてくれるので、やりながら学ぶこともできます。

確定申告の時期になったら、会計ソフトで必要書類の準備を進めます。画面上で入力が必要な項目をひとつひとつ埋めていけば、書類を自動作成しオンラインで提出まで完了できます。

青色申告のメリット・デメリット

メリットデメリット
・最大で65万円の特別控除で、税負担を減らせる(青色申告特別控除)
・減価償却なしで30万円までを一括全額経費計上で節税できる
・3年間の赤字の繰り越しができる
・家族への給料を経費にできる
・事務所兼用として自宅の家賃や電気代など生活費の一部を経費にできる
・事前の申請が必要
・細かい帳簿の作成が必要

CHECK

所得330万円を超えるのであれば青色申告がおすすめ
青色申告はさまざまな控除があり経費計上の幅が広がる
事業を開始したばかりや赤字の場合は白色申告

白色申告の最大のメリットは経理事務の手間が必要ないこと

白色申告の最大のメリットは、事務手続きがシンプルで簡単なことです。白色申告をするために必要な事前申請は不要、お金の流れを管理する記帳も簡単にまとめてあれば問題ありません。

経理の知識がなくても、家計簿をつける感覚で「収入」と「支出」を分けて管理してまとめておけば手続きが可能です。

事業所得がまだ少なく経理作業に苦手意識があり、とにかく手間をおさえたい人に向いています。

青色申告で確定申告を行う流れ

確定申告書類を作る際には、適用される控除の証明書を手元に用意しておきます。流れとしてはまず帳簿をもとに「青色申告決算書」を作成し、決算書をもとに「確定申告書」を作成します。出来上がった書類を税務署に提出すれば、確定された額が引き落としされます。

会計ソフトで売上や経費の記帳を済ませる

フリーランスが使える会計ソフトはいくつかあります。青色申告に対応しており、初心者でも簡単に操作できるものを選びましょう。

会計ソフトに契約したら、まず名前や所在地などの事業情報と、銀行口座などの情報を登録します。その後、売上が発生した際や、経費が出た際に会計ソフトに入力をしていきます。銀行振込やクレジットカード支払いの場合は自動反映できますし、紙のレシートの場合はスキャンして読み込みすることが可能です。仕訳は自動仕分けができるように設定しておきましょう。

確定申告に必要な確定申告書と青色申告決算書を作成する

日々の記帳をきちんと行っていれば、確定申告の書類は簡単に作れます。会計ソフト内の「確定申告書類の作成」から指示に沿って、ステップごとに必要事項を入力していけば完成です。

確定申告書の書き方

会計ソフトで自動作成された内容は、以下項目がきちんと反映されているか最終チェックしましょう。

1ページ目・日付
・事業主の個人情報
・収入金額等
・所得金額
・所得から差し引かれる金額
・税金の計算
・延納の届出
・還付される税金の受取場所
2ページ目・年・住所・氏名
・所得の内訳
・譲渡所得、一時所得に関する事項
・特例適用条文等
・保険料控除等に関する事項
・本人に関する事項
・雑損控除に関する事項
・寄附金控除に関する事項
・配偶者や親族に関する事項
・事業専従者に関する事項
・住民税に関する事項
・個人事業税に関する事項

青色申告決算書の書き方

会計ソフトで自動作成された内容は、以下項目がきちんと反映されているか最終チェックしましょう。

1ページ目・3つの日付記入欄
・事業者情報
・売上(収入)金額・売上原価
・経費
・各種引当金・準備金等, 青色申告特別控除, 所得金額
2ページ目・月別売上(収入)金額 及び 仕入金額
・給料賃金の内訳
・専従者給与の内訳
・地代家賃の内訳
・貸倒引当金繰入額の計算
・青色申告特別控除額の計算
3ページ目・売上(収入)金額の明細
・仕入金額の明細
・減価償却費の計算
・利子割引料の内訳
・税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳
・本年中における特殊事情
4ページ目・貸借対照表 – 資産の部
・貸借対照表 – 負債・資本の部
・製造原価の計算

e-Tax、もしくは郵送・税務署窓口から資料を提出する

会計ソフトで作成した確定申告書類は、税務署窓口に直接提出or郵送提出か、オンラインでの提出が可能です。会計ソフトで作成し書類をもとに、自分でe-Taxにログインして書類提出もできますが、事前に会計ソフトとe-Taxを連携させることで、会計ソフト上から電子申請を済ませることもできます。

ATTENTION

e-Tax

税制改正で確定申告の書式・記入方式の変更に注意

確定申告の書類記入方法や提出方法など、毎年少しずつ変更があります。特に最近ではDX化で押印が不要になり、マイナポータルとの連携がなされるなど、手続きがどんどん簡単になっています。最新の情報は国税庁のホームページでチェックしましょう。

CHECK

会計ソフトで日々の記帳を自動化するとスムーズ
確定申告の書類も会計ソフトから自動作成できる
事前連携をすれば、オンラインでそのまま提出も可能

確定申告をもっと効率化する手間削減のリアルテクニック

ちょっとした工夫で確定申告の手続きを楽にするテクニックはいくつかあります。

銀行口座をあらかじめ公私で分けて経費の仕分けの手間を無くす

事業用の銀行口座を作り会計ソフトに同期しておけば、カード決済の内容を自動で入力できます。

クレジットカードで経費決済をして紙の領収書の対応を減らす

紙の領収書は保管や整理に手間がかかります。なるべくオンラインでの決済でペーパーレス化しましょう。

領収書やレシートはスキャナーでデジタル化し会計ソフトに取り込む

紙でもらった領収書やレシートがある場合は、スマホのカメラで写真にし、スキャナーでデジタル化し保存します。会計ソフトに取り込むと自動で読み取りをしてくれるので便利です。

e-Taxで提出書類を省略しつつオンラインで確定申告を終わらせる

e-Taxでは控除証明書など申告の内容を証明する書類の添付をせずにオンライン申告ができます。e-Taxで電子申告することで青色申告特別控除額65万円が適用されます。

会計ソフトの自動仕訳のパターンを早めに設定しておく

毎月決まった支払いなどがある場合、会計ソフトの「自動仕訳ルール一括編集」の機能で仕訳パターンを設定しておくとあとから修正する手間を省くことができます。

会計ソフトの確定申告必要書類の自動作成機能を使う

自分で国税庁から書類をダウンロードして記入作成をしなくても、会計ソフトで確定申告書類の自動作成機能があるので活用しましょう。

受発注管理と会計ソフトを連携させ売上の自動取り込みをさせる

業務委託など複数の委託先から仕事を受けていて受注管理ツールなどを使っている場合、会計ソフトと連携させることで売上を自動で取り込みできます。

マイナポータル連携機能を活用して控除証明書を一括でダウンロードする

控除証明書を取り寄せてチェックをするのは手間がかかりますが、マイナポータル連携機能を使うとオンラインで管理可能になります。

分からないことは悩む前に国税相談専用ダイヤルに電話相談する

国税局のホームページでは税の相談を様々な形で受け付けています。タックスアンサー(よくある質問集)、税相談チャットボット、また電話での相談も可能です。

国税相談専門ダイヤル…0570-00-5901

確定申告は会計ソフトを使えばスムーズ!効率化のための様々なコツもあるので、知識のある人に積極的に質問しながら業務をアップデートしていきましょう。期限内にしっかり提出できるように日々の記帳も忘れずに!

青色申告でも節税と事務作業は徹底して効率化してコア業務に集中

確定申告などの事務処理はなるべくスムーズに終わらせ、売上をつくるコア業務に集中したいですよね。いかに効率的に、損なく済ませるかが重要になってきます。

会計ソフトを導入するのはもちろんですが、最新の情報やちょっとしたコツなどはネットからの情報ではなく人づてで入ってくることが多いです。フリーランスだからこそ、人とのつながりを積極的に作っておくことが業務効率化につながります。

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