フリーランスの年金の手続き|国民年金への切り替え手続き・保険料・老後資産形成の方法まで解説

フリーランスの年金受給額は、会社員に比べて少なくなります。会社員は「厚生年金」と「国民年金」の二階建て構造で年金を受け取れますが、フリーランスは基本的に「国民年金」の一階部分のみの受け取りになるためです。このため、老後の生活資金確保のため年金だけに頼らず様々な制度の活用を検討する必要があります。

フリーランスは受け取れる年金が少なくなるため、計画的な資産形成が老後の安心につながります。フリーランスになった際に必要な年金関連の手続き及び、年金額を増やすための手法をみていきましょう。

フリーランスになったら国民年金に切り替え

会社員からフリーランスになった際には、会社が手続きを行ってくれていた厚生年金から、自分で国民年金に切り替える必要があります。

国民年金は法律で義務づけられているもので、未加入や未納の場合将来の老齢基礎年金が受け取れないだけでなく、病気や事故で働けなくなった場合の障害基礎年金や、万が一亡くなったときの遺族基礎年金も受け取れなくなるので早めの手続きが必要です。

国民年金加入の手続き方法・納付方法

厚生年金から国民年金への切り替えは、最寄りの市区町村の年金窓口で国民年金の第1号資格取得手続きを行います。その際、以下のものが必要になります。

  • 退職を証明する書類
  • 身分証明書
  • 年金手帳
  • 印鑑

手続きは、原則として退職から14日以内に行う必要があります。また、配偶者も扶養に入れる場合は、配偶者の分も国民年金への加入手続きが必要になります。

手続き後、納付書が送付されるので、金融機関やコンビニ、口座振替、クレジットカード払いなどで支払います。毎月の保険料は定額で年度により金額が定められています。

手続きをしないと年金額が減少する可能性も

国民年金は、加入期間に応じて将来の受給額が決まります。そのため、未加入や未納の期間があると老後の年金額が減ってしまう可能性があります。

さらに、一定期間以上の加入がないと、年金をまったく受け取れない場合もあります。フリーランスになったら、できるだけ早く市区町村で加入手続きを行い、保険料を確実に納めることが大切です。納め忘れがあった場合でも、2年以内であればさかのぼって納付することができます。

日本の公的年金は二階建て構造

日本の公的年金制度は「二階建て構造」と呼ばれ、すべての人が対象の「国民年金(1階部分)」と、会社員や公務員などが上乗せで加入する「厚生年金(2階部分)」から成り立っています。

1階部分の国民年金は、20歳以上60歳未満の全国民が対象で、保険料は定額、支給額も一定です。40年間納めた場合の満額は、2025年現在で年約80万円です。2階部分の厚生年金は、主に会社員や公務員が対象で、保険料と支給額は収入に応じて変動します。

国民全員が対象の国民年金

国民年金は日本の公的年金制度で、20歳以上60歳未満のすべての人に加入義務があります。自営業者やフリーランス、学生、無職の人も対象で、2025年度の保険料は月17,510円です。

主に会社員が対象の厚生年金

厚生年金は、日本の公的年金制度の一部で、主に会社員や公務員が加入する年金です。保険料は給与に応じて決まり、勤務先と加入者が半分ずつ負担します。厚生年金の受給額は、加入期間中の平均標準報酬額と加入期間によって計算されるため、収入が多いほど将来の年金額も増えます。

フリーランスにおける厚生年金と国民年金の違い

フリーランスが加入する国民年金は、会社員とは異なる点がいくつかあります。給与天引きされないので自分で支払わなければならないことや、国民年金保険料を控除できることが挙げられます。

フリーランスの場合配偶者も保険料を支払う

フリーランス世帯では、配偶者も国民年金の保険料を自分で納める必要があります。ただし、配偶者が会社員や公務員の被扶養者であれば、第3号被保険者として保険料の支払いが免除されるケースもあります。

フリーランスは年金を控除対象にできる

フリーランスが支払う国民年金の保険料は、「社会保険料控除」の対象となり、所得税や住民税の計算時に所得から控除できます。

社会保険料控除は、納税者本人だけでなく、生計を同じくする配偶者の保険料も対象です。控除を受けるには、支払った保険料の領収書や納付証明書を確定申告で提出する必要があります。

CHECK

・フリーランスが加入する年金は国民年金
・厚生年金は会社員や公務員が対象
・フリーランスの国民年金保険料は社会保険料控除の対象になる

フリーランスは会社員よりも年金受給額が少ない

フリーランスは原則として国民年金のみに加入するため、受け取れるのは「老齢基礎年金」のみです。一方、会社員は国民年金に加えて厚生年金にも加入しており、「老齢厚生年金」が上乗せされるため、年金受給額が多くなります。また、フリーランスの保険料は定額ですが、会社員は給与に応じた保険料を納め、その額が将来の年金にも反映されます。これらの制度の違いにより、フリーランスの年金額は会社員より少なくなる傾向があります。

国民年金の月額保険料の計算

国民年金の月額保険料は、全国一律の定額制で、年ごとに国が決定します。最新の保険料は日本年金機構のホームページで確認できます。

国民年金保険料は月々17,510円

国民年金の保険料は、収入や職業に関係なく定額になっています。ただし、前納割引や口座振替割引など支払い方法や制度によって割引が適用されることがあります。

前納制度による割引も受けられる

国民年金の前納制度は、保険料を一定期間分まとめて前払いすることで割引を受けられる仕組みです。6ケ月、1年、2年分をまとめて支払うことができます。

たとえば、2年分をまとめて支払う「2年前納」では、毎月納付する場合と比べて2年間で約17,000円の割引が受けられます。前納を希望する場合は、事前に申出書の提出が必要で、納付書に記載された期限までに支払う必要があり、早めの手続きが大切です。

フリーランスの実際の支給年金額はいくら

フリーランスが受け取る公的年金は、原則国民年金のみです。保険料を40年間納めた場合の満額は年額816,000円(月額68,000円)ですが、納付期間が短かったり、保険料の免除があった場合は受給額が減少します。厚生年金にも加入している会社員と比べると年金額は少ないと言えます。

受給開始年齢は原則65歳から

フリーランスが受け取る公的年金(国民年金)は、原則として65歳から受給が開始されますが、60~75歳の間で受給開始時期を選ぶことができます。これを繰上げ受給・繰下げ受給と呼びます。

受給額と計算方法

フリーランスが受け取る国民年金は満額で年額816,000円(月額68,000円)です。これは20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)全て納付した場合の額で、納付月数が少ないと減額されます。

計算式:国民年金受給額 = 基準額(816,000円) × 保険料納付月数 ÷ 480

納付期間・繰上げ/繰下げ受給・厚生年金加入歴で金額が上下

フリーランスが受け取る年金額は、保険料を納めた期間や受給を始める年齢によって変わります。通常は65歳から受給開始ですが、60~64歳で受け取る「繰上げ受給」を選ぶと、1ヶ月ごとに0.4%ずつ減額され、最大で30%減額されます。

一方、受給開始を遅らせて66~75歳で受け取る「繰下げ受給」を選ぶと、1ヶ月ごとに0.7%増額され、最大84%増額となります。

CHECK

・国民年金の保険料は収入など関係なく定額制
・年金の受給開始年齢は原則65歳から
・繰上げ受給・繰下げ受給で受取金額が変動する

フリーランスができる将来もらえる年金額を増やす方法

フリーランスは会社員と違って厚生年金に加入できず、将来受け取れる年金額が少なくなる傾向があります。そのため、老後の生活資金が不足するリスクが高くなります。

安心した老後を迎えるためには、早い段階から年金以外の資産形成も含めた準備を始めることが大切です。今のうちから少しずつ備えることで、将来の経済的負担を軽減することができます。

国民年金基金で2階建て年金に

国民年金基金は、自営業者やフリーランスなど国民年金第1号被保険者が利用できる、公的な年金の上乗せ制度です。

老後の年金をより手厚くするための仕組みで、将来の備えとして有効です。加入は、全国国民年金基金の公式サイトから必要書類をダウンロードし、郵送で申し込みます。

付加年金で手軽に支給額を増やす

付加年金は、フリーランスや自営業者など国民年金第1号被保険者が利用できる、少額で効率的に年金を増やせる制度です。

月額400円を国民年金保険料に上乗せするだけで、「200円 × 納付月数」分の年金が一生涯にわたり加算されます。ただし、国民年金基金との併用はできないため注意が必要です。加入手続きは市区町村の窓口で行います。

iDeCo(個人型確定拠出年金)で所得税控除をしつつ資産形成

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の略で、自分で年金資金を積立て・運用し、老後に年金や一時金として受け取れる制度です。

特にフリーランスにとっては、将来の年金対策と資産形成を両立できる有効な手段です。掛金は全額が所得控除の対象となり、節税効果も期待できます。金融機関によって手数料や運用商品が異なるため、事前に比較・検討が大切です。加入は、選んだ金融機関で申し込みを行います。

小規模企業共済で退職金を積み立てつつ節税

小規模企業共済は、フリーランスや個人事業主が自分で退職金を積み立てながら節税できる、国が運営する共済制度です。

廃業や引退時に退職金を受け取ることができ、税制上も優遇されています。加入手続きは委託団体や金融機関の窓口で行います。長く続けるほどメリットが大きいため、早めの加入で老後の安心と節税効果を高めることができます。

個人年金保険で将来のリスクに備える

個人年金保険は、公的年金の上乗せを目的に保険会社が提供する保険商品です。自分で保険料を積み立て、一定期間後や老後に年金として受け取る仕組みで、老後の収入を安定させる役割があります。選ぶ際は、運用利回りや保障内容をよく比較することが重要です。

年金だけでなく今からさまざまな資産形成をしておく

会社員のように厚生年金や企業の退職金制度がなく、公的年金だけでは老後の生活費が不足するリスクが高いフリーランスにとって、資産形成は非常に重要です。

早いうちから貯蓄や投資、iDeCoや小規模企業共済などの制度を活用し、リスクを分散しながら着実に資産を築いていきましょう。

CHECK

・年金額を増やす方法はいくつかある
・公的制度だけでなく民間制度も活用する
・早いうちから老後を見据えた資産形成をすること

フリーランスにとって、年金だけに頼る老後資金計画はリスクが高く、貯蓄や投資、公的制度などをうまく活用して計画的に資産形成をすることが大切です。基礎となる国民年金はきちんと納付しつつ、リスク分散を心掛けながら賢く老後資産を作っておきましょう。

えっ、こんなに使えるの?知らなきゃ損なフリーランスの福利厚生

会社員からフリーランスになると、これまで当たり前に受けられていた福利厚生がなくなってしまうことに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

しかし、近年はフリーランス向けの福利厚生サービスが充実し、個人でも手厚いサポートを受けられる環境が整ってきています。本記事では、フリーランスが利用できる福利厚生サービスの種類や内容、おすすめのサービス、さらには経費計上の可能性について詳しく解説します。

これからフリーランスになる方も、すでに活動中の方も、より安心で充実したフリーランスライフを送るための参考にしてください。

フリーランスの福利厚生サービスは必須の投資です。まずは普段利用するプラットフォームの会員特典を活用し、賠償責任保険や所得補償は最優先で加入してください。税務・法務相談やスキルアップ支援も積極的に利用し、経費計上については必ず専門家に相談することをおすすめします。

フリーランスの福利厚生の基礎知識

フリーランスと福利厚生の関係性

フリーランスは会社に属さない個人事業主のため、一般的な会社員が受けられる法定福利厚生(健康保険、厚生年金保険、雇用保険など)は受けられません。一方で、法定外福利厚生(レジャー施設の割引、健康診断補助、研修制度など)については、専門のサービスを活用することで個人でも利用可能です。

ただし、フリーランスが法定外福利厚生を受けるには申し込みが必要であり、自動的に付与されるものではありません。自分自身で必要なサービスを選択し、契約手続きを行う必要があります。

法定福利厚生と法定外福利厚生の違い

福利厚生には、法律で義務付けられた「法定福利厚生」と、企業が任意で提供する「法定外福利厚生」の2種類があります。

種類内容フリーランスの利用可否具体例
法定福利厚生法律で定められた義務的な福利厚生利用不可(一部例外あり)健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険
法定外福利厚生企業が任意で提供する福利厚生利用可能(専門サービス経由)レジャー施設割引、健康診断補助、研修制度

フリーランスが受けられる福利厚生の範囲

フリーランス向けの福利厚生サービスは、大きく4つのカテゴリーに分類されます。クラウドソーシング・エージェント会社系の福利厚生サービスは、利用しているプラットフォームの会員特典として提供されるもので、仕事に直結したサービスが多いのが特徴です。専業会社系の福利厚生サービスは、福利厚生を専門に扱う会社が個人向けに提供するサービスで、幅広い優待が受けられます。

公的機関系の福利厚生サービスは、商工会議所や事業協同組合などが運営するもので、比較的安価で利用できるメリットがあります。フリーランス支援会社系の福利厚生サービスは、フリーランス専門の協会や企業が提供するもので、フリーランス特有のニーズに特化したサービス内容となっています。

CHECK

・フリーランスも法定外福利厚生を申請すれば利用できる
・福利厚生は法定と法定外の2種類に大別される
・提供元に応じて4つの福利厚生サービスが存在する

フリーランス向け福利厚生サービスの内容と特徴

賠償責任保険や所得補償などの保険関連

フリーランスにとって最も重要な福利厚生の一つが、賠償責任保険や所得補償です。業務遂行中の事故による損害賠償や、情報漏えい、納品物の瑕疵、著作権侵害、納期遅延などのリスクに備えることができます。

また、病気やケガで働けなくなった際の所得補償も、収入が不安定になりがちなフリーランスには欠かせない保障です。

フリーランス協会の賠償責任保険では、一般的な対人・対物事故だけでなく、フリーランス特有のリスクまで幅広くカバーしており、発注主も補償対象となるため、安心して仕事を依頼してもらえるというメリットもあります。

税務・法務関連の相談サービス

税務・法務関連の相談は、多くのフリーランスが悩みを抱えやすい分野です。確定申告の方法、経費計上の仕方、契約書の作成方法、著作権の取り扱いなど、専門的な知識が必要な場面で専門家に相談できるサービスは非常に価値があります。

オンラインでの相談や、メール・電話での対応、さらには面談での詳細な相談まで、サービスによって提供形態はさまざまです。税理士や弁護士などの専門家が対応するため、安心して相談することができます。

スキル獲得支援と健康・レジャー優待

スキル獲得支援として、オンラインスクールの割引や書籍購入費の補助、セミナー参加費の優待などが提供されます。フリーランスは継続的なスキルアップが収入に直結するため、これらの支援は非常に実用的です。

健康診断などの優待では、人間ドックの割引、スポーツジムの利用料金優待、メンタルヘルス相談などが含まれます。また、レジャーホテルなどの優待では、宿泊施設、テーマパーク、映画館、レストランなどの割引が受けられ、プライベートの充実にも貢献します。

CHECK

・損害賠償や病気時の所得補償で仕事の安心を確保できる
・税務や契約書作成など法務の悩みを専門家に相談できる
・スキル支援や健康・レジャー優待で生活面も手厚く支えられる

おすすめの福利厚生サービスと選び方

クラウドソーシング・エージェント系のサービス

クラウドソーシングやエージェント系のサービスは、それぞれ独自の特色を持っています。

サービス名運営会社主な特徴
クラウドワーカー会員特典クラウドワークス業務用サービスの割引、スキルアップ支援
フリーランストータルサポートランサーズ確定申告サポート、レジャー優待
fukurintフリーランスハブITエンジニア特化の福利厚生
Workship PREMIUM Club OffWorkshipクリエイター向け優待サービス
フリノベgeechs.jobエンジニア向け、仕事直結サービス割引
サポートプラスフリーランススタート総合的な支援サービス
レバテックケアレバテックITエンジニア・クリエイター特化
SOKUDAN PLUS+SOKUDANエンジニア向け案件紹介と福利厚生

これらのサービスは、普段から該当プラットフォームを利用している方にとって、追加費用をかけずに福利厚生を受けられるメリットがあります。

専業会社系と公的機関系のサービス

専業会社系の福利厚生サービスとして、ベネフィット・ステーションやWELBOXなどがあります。これらは企業向けサービスの個人版として提供されており、非常に幅広い優待サービスを利用できるのが特徴です。

公的機関系の福利厚生サービスでは、あんしん財団、CLUB CCI(商工会議所)、全国デジタル・オープン・ネットワーク事業協同組合、日本フルハップなどがあります。これらは比較的低価格で利用でき、地域密着型のサービスも多く含まれています。

フリーランス支援会社系のおすすめサービス

フリーランス協会は、フリーランス向けサービスの先駆けとして、賠償責任保険をはじめとした包括的な支援を提供しています。年会費1万円で、業界最高水準の保険サービスや各種優待を受けることができます。

フリーナンスは、GMOが運営するフリーランス向けの総合支援サービスで、損害賠償保険や所得補償保険に加えて、即日払いサービスなどの資金面でのサポートも充実しています。

CHECK

・クラウドソーシング系では会員特典として無料で福利厚生を活用できる
・専業会社や公的機関のサービスでは多様な優待を個人でも安価に利用できる
・フリーランス支援会社系では保険や資金支援など実務に役立つ保障が充実する

フリーランスの福利厚生と経費計上について

福利厚生費の経費計上の考え方

従業員を雇っていない個人事業主自身の福利厚生費は経費として認められないというのが税務上の基本的な考え方です。福利厚生費は本来、事業主が従業員に対して提供するものであり、事業主自身が受ける便益は個人的な支出とみなされるためです。

ただし、フリーランスの福利厚生費は非常に曖昧でグレーゾーンが存在するのも事実です。すべてが経費として認められないわけではなく、事業に直接関連する部分については経費計上できる可能性があります。

経費計上が可能な項目

税務法務・オフィス、スキル支援は経費に一部計上できる場合があります。例えば、税理士への相談費用は「支払手数料」として、仕事に必要なスキルアップのための研修費用は「研修費」として計上することが可能です。

また、業務に直接必要な保険(賠償責任保険など)については「保険料」として、事業用のソフトウェア割引については「消耗品費」や「通信費」として計上できる場合があります。ただし、これらの判断は複雑なため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

CHECK

・事業主本人の福利厚生費は原則として経費にできない
・事業と関係がある支出なら経費になる可能性がある
・保険や研修費などは条件次第で経費計上が可能となる

フリーランス向けの福利厚生サービスは年々充実しており、賠償責任保険や所得補償などのリスク対策から、スキルアップ支援、健康・レジャー優待まで幅広いサービスが個人でも利用可能になっています。

重要なのは自分の働き方やニーズに合ったサービスを選択することで、普段利用しているプラットフォームの会員特典から始めて、必要に応じて専門的なサービスを追加していくのが良いでしょう。

また、経費計上については専門家に相談しながら適切に処理し、これらの福利厚生サービスを「あったら便利」なものではなく持続可能なフリーランス活動のための「必要な投資」として積極的に活用することで、より安心で充実したフリーランスライフを実現できます。

納めて得する?追納マジック!フリーランスの年金必勝法

フリーランスとして働く方にとって、国民年金の納付は将来の生活を左右する重要な問題です。しかし、収入が不安定な時期もあり、納付が難しいケースも少なくありません。本記事では、フリーランスの方が知っておくべき年金制度の基本から、未納時のリスク、そして追納制度のメリットまで詳しく解説します。特に「追納」に焦点を当て、将来の年金額を確保するための効果的な方法を紹介します。

フリーランスは国民年金の免除・猶予制度を活用しながら、収入が安定したら必ず追納しましょう。追納は10年以内に可能で、将来の年金額増加と社会保険料控除による税負担軽減の二重メリットがあります。計画的な追納で将来の経済基盤を固めることが重要です。

フリーランスの年金制度を理解しよう

フリーランスが加入する年金の種類

フリーランスの方は基本的に「国民年金(第1号被保険者)」に加入することになります。会社員のように厚生年金に加入していないため、自分で国民年金の保険料を納める必要があります。

区分加入する年金保険料(2025年度)納付方法
フリーランス(個人事業主)国民年金(第1号被保険者)月額16,990円自分で納付
会社員・公務員国民年金(第2号被保険者)+ 厚生年金給与に比例給与から天引き
第2号被保険者の扶養配偶者国民年金(第3号被保険者)負担なし配偶者の加入する制度が負担

国民年金は20歳から60歳までの40年間加入することが原則で、この期間の納付状況によって将来の年金額が決まります。

国民年金の受給資格と支給額

年金を受け取るためには、保険料納付済期間と免除期間を合わせて10年以上の「受給資格期間」が必要です。

老齢基礎年金の満額(40年間すべて納付した場合)は、2025年度の場合で年間約79万円です。例えば30年分しか納めていない場合は、その4分の3である約59万円となります。

老齢基礎年金額 = 満額(約79万円)× 保険料納付月数 ÷ 480月(40年)

国民年金の免除・猶予制度

収入が少なく保険料の納付が難しい場合は、以下の制度を利用できます。

制度対象者免除率将来の年金への反映
全額免除所得が低い方100%年金額に2分の1として算入
4分の3免除全額免除よりやや所得が高い方75%年金額に5分の8として算入
半額免除4分の3免除よりやや所得が高い方50%年金額に4分の3として算入
4分の1免除半額免除よりやや所得が高い方25%年金額に8分の7として算入
納付猶予50歳未満で所得が低い方100%年金額に算入されない
学生納付特例学生で所得が低い方100%年金額に算入されない

特に創業間もないフリーランスの方や、収入の変動が大きい時期には、これらの制度を活用することで、将来の年金受給権を確保しつつ、一時的な経済的負担を軽減できます。

CHECK

・フリーランスは原則として国民年金に加入し、自分で保険料を納める必要がある
・年金を受け取るには10年以上の加入が必要で、納付期間に応じて支給額が決まる
・所得が少ない場合は免除や猶予制度を使い、経済的負担を軽くしながら将来に備える

国民年金を納めないとどうなる?未納のリスク

年金が減額または受給できなくなる

国民年金を納めないと、最も大きなリスクは将来の年金が減額されるか、最悪の場合は受給資格を得られないことです。

未納期間が長くなるほど、将来受け取れる年金額は少なくなります。例えば、40年のうち10年分未納があると、満額の4分の3しか受け取れません。また、受給資格期間(10年)に満たないと、1円も受け取れなくなります。

障害年金や遺族年金も受給できないことも

国民年金の未納は老齢年金だけでなく、以下の保障にも影響します。

年金の種類未納の影響条件
障害基礎年金受給できない可能性あり初診日の前々月までの直近1年間に未納がないこと
遺族基礎年金受給できない可能性あり死亡日の前々月までの直近1年間に未納がないこと

特に障害年金は、病気やケガで働けなくなった場合の重要なセーフティーネットです。未納によってこの保障を失うリスクは大きいといえます。

強制徴収・差し押さえのリスク

未納が続くと、日本年金機構から督促状が届きます。それでも納付しない場合、以下のような措置が取られる可能性があります。

  1. 督促状の送付
  2. 電話や訪問による納付指導
  3. 財産の調査
  4. 差し押さえ(銀行口座、不動産、給与など)

特に収入や財産がある程度あるにもかかわらず納付していない場合、強制徴収の対象となりやすいので注意が必要です。

CHECK

・国民年金を未納にすると将来の年金が減額され、受給資格を失う場合もある
・未納があると障害年金や遺族年金も受け取れなくなる可能性がある
・納付を怠り続けると財産差し押さえなど強制措置を受ける恐れがある

国民年金の追納制度を活用しよう

追納とは?そのメリットとデメリット

追納とは、過去に免除や猶予を受けた期間の保険料を後から納付することです。

【メリット】

  • 将来の年金受給額が増える
  • 障害年金や遺族年金の保障が確保される
  • 所得税・住民税の社会保険料控除が受けられる

【デメリット】

  • 一時的な支出がかさむ
  • 時間が経つほど加算金が上乗せされる

追納の期限と方法

追納には期限があり、免除・猶予を受けた期間から10年以内に行う必要があります。

追納の手順は以下の通りです。

  1. 年金事務所で「国民年金保険料追納申込書」を入手
  2. 必要事項を記入して提出
  3. 後日送られてくる納付書で支払い

なお、追納は古い期間から順に納付していく必要があります。

追納が特に得になるタイミング

以下のようなケースでは、追納を検討する価値があります。

  1. 収入が安定してきた時期(開業から数年経過後など)
  2. 確定申告で所得税の還付を多く受けたい年
  3. 免除・猶予期間からあまり時間が経っていない時(加算金が少ない)

特に所得が増えて税率の高い所得区分になった年は、社会保険料控除によるメリットが大きくなります。

追納による税金軽減効果

追納した保険料は、全額が社会保険料控除の対象となり、所得税・住民税の負担を軽減できます。

例えば、所得税率20%の方が2年分(約41万円)を追納した場合、

  • 所得税軽減額:約8.2万円
  • 住民税軽減額:約4.1万円
  • 合計軽減額:約12.3万円

結果として、実質的な負担は追納額から税金軽減額を引いた約28.7万円となります。

CHECK

・追納は免除期間の保険料を納め直し、将来の年金や保障を充実させられる
・追納には10年以内の期限があり、年金事務所での申請手続きが必要になる
・収入が安定した時期に追納すれば、節税効果を得つつ年金額も増やせる

国民年金追納の確定申告・年末調整

なぜ確定申告が必要なのか

国民年金の追納分は、通常の国民年金保険料と同様に社会保険料控除の対象となります。ただし、会社員と異なり、フリーランスの場合は年末調整ではなく確定申告で控除を受ける必要があります。

控除・還付の具体的な効果

追納した保険料は、その年の所得から全額控除されます。例えば年間所得300万円の方が、過去2年分の保険料約41万円を追納した場合、

項目追納なしの場合追納ありの場合差額
所得金額300万円259万円▲41万円
所得税(税率10%と仮定)30万円25.9万円▲4.1万円
住民税(税率10%と仮定)30万円25.9万円▲4.1万円
税金合計60万円51.8万円▲8.2万円

このように、追納によって税負担が軽減されます。

確定申告の方法と必要書類

追納した保険料を確定申告で控除するためには、以下の書類が必要です。

  1. 「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」
    • 通常の納付分:毎年10〜11月頃に日本年金機構から送付
    • 追納分:追納後に別途送付される
  2. 確定申告書(B様式)の「社会保険料控除」欄に記入

追納した年にまとめて控除を受けるため、追納の時期は確定申告前の1〜2月が効率的です。なお、前年分の追納を今年の所得から控除することはできないので、その年に控除を受けたい場合は12月末までに追納を完了させる必要があります。

CHECK

・フリーランスは追納分の控除を確定申告で申請する必要がある
・追納によって所得控除が増え、所得税と住民税を軽減できる
・控除には証明書が必要で、追納の時期も申告前に調整しておくとよい

ATTENTION

フリーランスの方は収入不安定時に年金免除制度を活用しつつ、経済的余裕ができたら10年以内の追納を検討すべきです。追納により将来の年金額確保と社会保険料控除による税負担軽減の二重メリットが得られ、自分自身で将来の経済基盤を築く重要な選択となります。特に収入が安定してきたタイミングでの計画的な追納が、老後の安心につながるでしょう。

給料を渡して、税金もカット!?フリーランス家族の最強節税法

個人事業主やフリーランスとして活動される方の多くは、配偶者や家族の協力を得ながら事業を運営されています。こうした家族の労働に対して正当な報酬を支払い、かつ節税効果も得られる制度が「専従者給与」や「専従者控除」です。しかし、「いくらまで支払えるのか」「どのような手続きが必要か」など、わからないことも多いのではないでしょうか。

この記事では、青色申告と白色申告それぞれの専従者給与・控除の仕組みや上限額、節税効果について詳しく解説します。

専従者給与は家族経営の強みを生かす制度です。適正な金額設定と勤務実態の明確な記録が不可欠です。毎月の勤務記録表を作成・保管し、業務内容と時間を具体的に記録しましょう。これにより税務調査にも対応でき、適切な節税効果が得られます。

青色申告事業専従者給与・専従者控除の基本

専従者給与・専従者控除の仕組み

専従者給与とは、個人事業主が事業に従事する家族(専従者)に支払う給与のことです。青色申告では「青色事業専従者給与」、白色申告では「事業専従者控除」という形で税制上の優遇を受けることができます。

両者の大きな違いは以下の表のとおりです。

区分青色申告(青色事業専従者給与)白色申告(事業専従者控除)
対象者生計を一にする配偶者や親族生計を一にする配偶者や親族
控除額実際に支払った金額(適正な金額)配偶者:86万円その他親族:50万円(定額)
届出青色事業専従者給与に関する届出書の提出が必要不要
専従者の所得税専従者が確定申告する必要あり課税対象外のため確定申告不要

専従者の条件

専従者として認められるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 事業主と生計を一にする配偶者またはその他の親族であること
  2. 年齢が15歳以上であること(年の途中で15歳になる場合は、誕生日以降が対象)
  3. その年を通じて6か月を超える期間、専ら事業に従事していること

ここでいう「生計を一にする」とは、必ずしも同居している必要はなく、例えば学生の子どもに仕送りをしている場合なども含まれます。また「専ら事業に従事」とは、主にその事業のために働いていることを意味し、パートタイムでも条件を満たせば専従者として認められます。

専従者給与の上限額

青色申告の専従者給与には、明確な上限額の規定はありませんが、「適正な金額」であることが求められます。この「適正な金額」は、以下の要素を考慮して決定されます。

  1. 専従者の従事した期間
  2. 従事した時間(労働時間)
  3. 従事した内容(業務内容)
  4. 事業の規模や収益性
  5. 同業種・同地域の給与水準

一般的な目安としては、同じ業務を行う一般従業員の給与水準と比較して妥当と思われる金額、または事業所得の50%程度までが安全圏とされています。

以下は業種別の専従者給与の一般的な相場です(あくまで参考値)

業種月額給与の目安年間給与の目安
小売業15~25万円180~300万円
サービス業15~25万円180~300万円
建設業20~30万円240~360万円
IT・フリーランス15~30万円180~360万円

専従者給与と専従者控除の使い分け

専従者給与と専従者控除を使い分ける際には、いくつかのポイントを考慮すると良いでしょう。

まず、青色申告における専従者給与は、実際に支払った金額が経費として認められるうえ、上限についても比較的柔軟です。一方、白色申告の専従者控除は、定額での控除となるため手続きが簡便という利点があります。

また、専従者自身の所得状況によって、世帯全体の税負担が変動する可能性もあるため、その点も踏まえて検討する必要があります。

CHECK

・専従者給与と控除の違いを理解して制度を使い分ける必要がある
・専従者と認められるための条件を満たすことが重要
・給与額は業務内容や相場を参考に適正に設定するべき

専従者給与・専従者控除の節税効果と必要手続き

青色申告における節税効果

青色申告事業専従者給与の最大の魅力は、家族の働きに応じた給与を経費として計上できる点です。これにより事業主の所得を専従者に分散させ、全体の税負担を軽減することができます。

具体的な節税効果を見てみましょう。

【例】年間所得800万円の個人事業主が配偶者に専従者給与として年間240万円を支払う場合

項目専従者給与なし専従者給与あり差額
事業主の所得800万円560万円▲240万円
事業主の所得税・住民税(概算)約207万円約121万円▲86万円
専従者の所得0円240万円240万円
専従者の所得税・住民税(概算)0円約24万円24万円
合計税負担約207万円約145万円▲62万円

※税額は基礎控除や社会保険料控除などを考慮した概算値です。

このように、高所得の事業主から低所得の専従者へ所得を移転することで、累進課税の効果により全体の税負担を軽減できます。

白色申告における専従者控除

白色申告の場合は、実際の給与支払いに関係なく、以下の定額を控除できます。

  • 配偶者:86万円
  • その他の親族:1人につき50万円

【例】年間所得500万円の個人事業主が配偶者を専従者とする場合

項目専従者控除なし専従者控除あり差額
事業主の所得500万円414万円▲86万円
事業主の所得税・住民税(概算)約104万円約80万円▲24万円

白色申告の場合、専従者への実際の給与支払いは必要なく、また専従者側に課税されることもありません。手続きも簡単ですが、控除額が固定されているため、節税効果は青色申告に比べて限定的です。

専従者給与に必要な手続き

青色申告で専従者給与を計上するためには、以下の手続きが必要です。

  1. 青色事業専従者給与に関する届出書の提出
    • 提出期限:その年の3月15日まで(新規事業開始時は開業届と同時)
    • 提出先:所轄の税務署
  2. 給与の適正な支払いと記録
    • 毎月定期的に専従者の銀行口座等に振り込み
    • 給与台帳の作成・保管
    • 源泉徴収(必要な場合)
  3. 専従者の確定申告
    • 専従者本人が給与所得として確定申告(必要な場合)

専従者給与額の変更方法

事業の状況変化や専従者の業務内容の変更に応じて、専従者給与の金額を変更したい場合は、以下の手続きが必要です。

  1. 「青色事業専従者給与に関する届出書」の再提出
    • 変更適用年の3月15日までに提出
  2. 年の途中での変更の場合
    • 原則として認められませんが、以下の場合は例外的に可能
      • 業務内容の著しい変化があった場合
      • 物価の著しい変動があった場合
      • 専従者の病気・出産等による就労時間の変化があった場合

給与額の変更は税務調査で特に注目される点ですので、変更の合理的な理由を記録しておくことが重要です。

CHECK

・青色申告では所得分散により節税効果が得られる
・白色申告は手続きが簡単だが控除額に限りがある
・専従者給与の適用や変更には届出と記録が必要になる

税務調査対策と専従者給与の活用法

税務調査での注意点

専従者給与は税務調査でよく確認される項目の一つです。以下の点に注意しましょう。

  1. 専従者の実際の従事状況の証明
    • 勤務表やタイムカードなどの労働記録を保管
    • 業務日誌や議事録に専従者の参加を記録
    • 専従者が担当した業務の成果物の保存
  2. 給与の適正額の証明
    • 同業他社の給与水準の資料
    • 専従者の職務内容や技能を示す資料(資格証明書など)
    • 事業への貢献度を示す資料
  3. 給与の実際の支払いの証明
    • 給与振込の銀行明細
    • 給与台帳
    • 源泉徴収票や支払調書

専従者給与を適正に計上するためには、専従者の就業実態を客観的に証明できる記録が必要不可欠です。以下に、税務調査でも通用する「専従者勤務記録表」のサンプルをご紹介します。このような記録表を日々つけることで、専従者の業務内容や労働時間を明確に示すことができます。いざという時の証拠資料として、ぜひ参考にしてください。

専従者勤務記録表(サンプル)事業者名: 山田太郎専従者名: 山田花子(配偶者)年  月: 2025年4月
日付勤務時間勤務内容備考
4/1(月)9:00-15:00 (6h)経理処理、請求書発行請求書10件処理
4/2(火)9:00-17:00 (8h)顧客対応、資料作成新規顧客2件対応
4/3(水)9:00-16:00 (7h)WEB更新、SNS運用Instagram投稿5件
4/4(木)休業
4/5(金)9:00-17:00 (8h)在庫管理、発送業務商品発送15件
4/6(土)10:00-15:00 (5h)イベント出店補助売上85,000円
4/7(日)休業
(中略)
4/30(火)9:00-17:00 (8h)月次集計、翌月準備月間報告書作成
合計140時間
給与金額: 200,000円(月額)
振 込 日: 2025年5月25日振込先口座: ○○銀行△△支店 普通口座1234567事業主確認: 山田太郎 ㊞  専従者確認: 山田花子 ㊞

税務調査で最も重要なのは「実態があること」です。形式的な手続きだけでなく、専従者が実際に働いていることを示す証拠を日頃から蓄積しておきましょう。

青色専従者給与と配偶者控除の違い

青色専従者給与と配偶者控除は、どちらも配偶者に関連する税制ですが、性質が大きく異なります。

項目青色専従者給与配偶者控除
対象事業に従事する配偶者所得が48万円以下の配偶者
前提条件青色申告を行っていること配偶者の所得制限あり
控除額実際に支払った給与額(適正額)最大38万円(所得制限あり)
配偶者の働き方事業に従事する必要あり事業従事の有無は関係なし
手続き届出書の提出が必要確定申告書に記載するのみ

どちらを選ぶかは、配偶者の働き方や事業への関与度によって判断すべきです。

専従者給与のメリットとデメリット

青色専従者給与の制度には、事業主にとっての利点と注意点の双方が存在します。具体的なメリットとデメリットは以下のとおりです。

【青色専従者給与のメリット】

  • 実際の業務内容に応じた金額を経費計上できる
  • 所得分散による節税効果が大きい
  • 専従者の社会保険料や年金の納付実績となる

【青色専従者給与のデメリット】

  • 手続きや記録の管理が必要
  • 専従者側の確定申告が必要
  • 税務調査のリスクがある

最適な専従者給与活用術

専従者給与の効果を最大限に引き出すためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。制度を形式的に取り入れるだけでは十分なメリットを享受できず、むしろリスクを招く可能性もあります。以下に、専従者給与を実務の中で賢く活用するための具体的な留意点を整理しました。

  1. 適正な金額設定
    • 業務内容に見合った給与設定
    • 事業規模に応じた金額設定
    • 段階的な増額で急激な変化を避ける
  2. 記録の徹底
    • 勤務実態を示す記録の作成と保管
    • 業務内容の明確化と文書化
    • 給与支払いの証跡保管
  3. 専従者のスキルアップ投資
    • 業務に関連する資格取得支援
    • セミナーや研修への参加
    • 専門知識の向上支援
  4. 将来を見据えた活用
    • 専従者の社会保険加入や年金記録の確保
    • 事業承継を視野に入れた役割付与
    • 家族全体の資産形成戦略に組み込む

CHECK

・税務調査では実態を証明する記録が必要になる
・専従者給与と配偶者控除は適用条件が大きく異なる
・制度の活用には金額設定や記録管理が重要になる

専従者給与・専従者控除は、家族の協力を得ながら事業を営む個人事業主にとって、非常に有効な税制優遇制度です。青色申告では実際に支払った給与を経費計上でき、白色申告でも一定額の控除が認められています。

専従者給与の仕組みをしっかり理解し、税務調査にも耐えうる実態作りを心がけることで、家族経営の強みを最大限に生かしつつ、適正な節税効果を得ることができます。制度を正しく活用して、持続可能な事業運営と家族の経済的基盤の構築を目指しましょう。

その手があったのか!“別生計の家族”が最強の経費要員に!?

個人事業主やフリーランスとして活動する中で、事業の拡大に伴い家族の力を借りることも少なくありません。その際、「生計を一にする家族」と「生計を一にしない家族」では、給与の支払い方や税務上の取り扱いが大きく異なります。特に「生計を一にしない家族」への給与は、適切に活用することで節税効果が期待できる重要な手段です。この記事では、個人事業主が「生計を一にしない家族」に給与を支払う際の仕組みや注意点、効果的な活用法について解説します。

生計を一にしない家族への給与は、青色・白色申告に関わらず全額経費計上できる有効な節税策です。ただし実際の労働実態を伴い、適正な金額設定が必須です。勤務記録や給与明細などの証拠書類を残し、「生計を一にしない」証明を明確にすることで、税務リスクを回避しながら節税効果を最大化できます。

「生計を一にしない家族」とは何か

生計を一にしない家族の定義

「生計を一にしない」とは、簡単に言えば「家計が別である」状態を指します。税法上では、日常生活における収入と支出を別々に管理している状態と定義されています。同じ家族であっても、収入や生活費を共有していない場合は「生計を一にしない」と判断されます。

判断要素生計を一にする場合生計を一にしない場合
収入の管理収入を共有・合算する各自が独立して管理する
生活費の負担共通の財布から支出各自が独自に負担する
生計の依存度お互いに依存している経済的に独立している
生活スタイル一体的な生活独立した生活

生計を一にしない家族の具体例

「生計を一にしない家族」には、以下のようなケースが含まれます。

  • 同じ住所に住んでいるが家計は別

同じ住所に居住していても、収入や支出を別々に管理している場合は「生計を一にしない」と判断されることがあります。例えば、親と同居する社会人の子どもが家賃や食費を定額で支払い、その他の生活費も自分で管理している場合などです。

  • 正式な婚姻届を出していない

事実婚(内縁関係)のパートナーは、基本的に「生計を一にしない」と見なされます。ただし、実際の生活実態によっては「生計を一にする」と判断されるケースもあるため、日常生活での経済的な独立性が重要です。

  • 子どもが自立し別の家で暮らしている

独立して別居している子どもは、基本的に「生計を一にしない」と判断されます。ただし、親が生活費の大部分を負担しているような場合は、「生計を一にする」と見なされる可能性があります。

  • 両親が年金生活をしている

年金で生活する両親が、子どもとは別に家計を維持している場合は「生計を一にしない」と判断される可能性が高いです。それぞれが独自の収入で生計を立てていることが条件となります。

生計を一にするか否かの判断基準

「生計を一にする」か否かの判断は、形式的な要件だけでなく実質的な生活実態に基づいて行われます。以下の観点から総合的に判断されます。

判断基準詳細
経済的独立性収入源が別で、互いに依存していないか
居住形態同居していても生活空間や費用負担が明確に分かれているか
収支の管理銀行口座や家計簿が別々に管理されているか
契約関係住居の契約名義や公共料金の支払い名義が別々になっているか

CHECK

・生計を一にしない家族とは、収入支出を別々に管理し経済的に独立した家族を指す
・同居家族や事実婚パートナー、独立した子どもなども該当する
・形式だけでなく実質的な生活実態から総合的に判断する

個人事業主の「生計を一にしない家族」での節税メカニズム

節税の基本的な仕組み

個人事業主が「生計を一にしない家族」を雇用して給与を支払う場合、その給与は「労務の対価」として経費に計上できます。これは、「生計を一にする家族」への給与と大きく異なる点です。

【「生計を一にする家族」の場合】

  • 青色申告者は「青色事業専従者給与」として経費計上可能(事前届出が必要)
  • 白色申告者は「事業専従者控除」として一定額のみ控除可能(配偶者86万円、その他50万円まで)

【「生計を一にしない家族」の場合】

  • 青色・白色申告に関わらず、適正な給与であれば全額を「給与賃金」として経費計上可能
  • 特別な届出は不要

個人事業主の生計を一にしない家族に対する給与の上限

「生計を一にしない家族」への給与に法的な上限はありませんが、「労務の対価として適正」であることが求められます。具体的には以下の点に注意が必要です。

考慮すべき点詳細
業務内容実際に行っている仕事の内容と量
労働時間勤務時間や日数が適切か
市場価値同様の業務の市場相場に見合った金額か
事業規模事業の収益に対して不相応に高額でないか

不自然に高額な給与を設定すると、税務調査の対象となり、経費として認められない可能性があります。一般的には、その人の労働内容や時間、スキルに見合った金額を設定することが重要です。

個人事業主の生計を一にしない家族への給与計上・明細の記載方法

「生計を一にしない家族」への給与を経費として計上するためには、適切な書類作成と記録が必要です。

給与計上の基本的な流れ:

  1. 雇用契約書の作成:業務内容、勤務時間、給与額などを明記
  2. 勤務記録の保管:タイムカードや業務日誌など
  3. 給与明細の作成:給与額、控除項目などを明記
  4. 支払いの証明:振込記録や領収書の保管
  5. 帳簿への記載:「給与賃金」などの勘定科目で計上

給与明細には以下の項目を記載します。

記載項目詳細
支給額基本給、手当など
控除額源泉所得税、社会保険料など
差引支給額実際に支払う金額
支払日給与の支払日
支払者・受取者事業主と従業員の名前

個人事業主の生計を一にしない家族への給与の勘定科目

「生計を一にしない家族」への給与は、通常の従業員と同様に「給与賃金」として計上します。複式簿記の場合の仕訳例は以下のとおりです。

借方金額貸方金額
給与賃金200,000円現金(または預金)180,000円
源泉所得税預り金20,000円

なお、個人事業の場合、以下のような勘定科目でも計上可能です:

  • 「人件費」
  • 「アルバイト代」
  • 「パート代」

勘定科目は業種や会計ソフトによって若干異なることがありますが、要は「従業員への報酬」として明確に区分できれば問題ありません。

CHECK

・生計を一にしない家族への給与は青色・白色申告に関わらず全額を経費計上できる
・給与に法的上限はないが労務の対価として適正な金額設定が必要
・適切な書類作成と記録を残し給与賃金として正しく勘定処理する

生計を一にしない家族への給与支払いにおける実務と注意点

生計を一にしない家族へ給与を支払う場合の注意点

「生計を一にしない家族」への給与支払いは、税務調査の対象になりやすい項目です。以下の点に注意して適切に対応しましょう。

注意点対応策
実態を伴う労働実際に業務に従事し、その記録を残す
適正な給与額業務内容・時間に見合った金額設定
書類の整備雇用契約書、勤怠記録、給与明細などを整備
振込による支払い現金ではなく口座振込で支払う
源泉徴収所得税の源泉徴収と納付を適切に行う

特に重要なのは「実態を伴う労働」の証明です。家族だからといって適当な金額を設定するのではなく、実際の労働時間や業務内容に基づいた適正な給与を設定することが大切です。

個人事業主の生計を一にしない家族に対する福利厚生と雇用保険の適用

福利厚生は対象外

個人事業主の場合、一般的な企業のような福利厚生制度を設けることは難しく、「生計を一にしない家族」に対しても福利厚生費として計上できる項目は限られています。

個人事業の場合、以下のような費用は原則として「福利厚生費」として認められません:

  • 家族旅行の費用
  • 家族の食事代
  • 家族の医療費や保険料

ただし、明確に業務に関連する以下のようなものは経費として認められる可能性があります:

  • 業務上必要な研修費
  • 作業用の制服や備品
  • 業務上の怪我や病気の治療費

雇用保険は加入手続きが必要

「生計を一にしない家族」であっても、労働時間や雇用形態が条件を満たせば雇用保険に加入することができます。加入条件は以下のとおりです。

条件詳細
労働時間週20時間以上の勤務
雇用見込み31日以上の雇用見込みがある
適用事業所雇用保険の適用事業所である

雇用保険に加入する場合は、最寄りのハローワークで手続きを行います。必要書類は以下のとおりです。

  • 雇用保険被保険者資格取得届
  • 事業主の印鑑
  • 雇用契約書(写し)
  • 本人確認書類(写し)

生計を一にしない家族への給与と税務調査

「生計を一にしない家族」への給与支払いは、税務調査でチェックされやすい項目です。以下の点に注意して適切に対応しましょう。

税務調査のポイント対応策
労働の実態証明勤務記録や業務日誌を残す
給与額の適正性業務内容に見合った金額設定
「生計を一にしない」証明別居や経済的独立の証拠を残す
支払いの証明振込記録や領収書を保管する

特に「生計を一にしない」ことの証明は重要です。同居している場合は、光熱費や家賃の負担割合、食事の別会計など、家計が別であることを示す証拠を残しておくと良いでしょう。

専門家への相談の重要性

「生計を一にしない家族」への給与支払いは、節税効果が期待できる一方で、税務上のリスクも伴います。不明点がある場合は、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。特に以下のようなケースでは専門家のアドバイスが役立ちます。

  • 「生計を一にしない」の判断が難しい場合
  • 適正な給与額の設定に迷う場合
  • 税務調査を受ける可能性がある場合
  • 青色申告と白色申告のどちらが有利か判断したい場合

専門家のアドバイスを受けることで、適切な節税対策と税務リスクの回避を両立させることができます。

CHECK

・実態を伴う労働の証明と適正な給与設定が税務調査対策として重要
・福利厚生費は限定的だが雇用保険は条件を満たせば加入できる
・労働実態や生計分離の証拠を残し必要に応じて専門家に相談する

「生計を一にしない家族」への給与支払いは、個人事業主にとって有効な節税手段となります。青色申告・白色申告にかかわらず、適正な給与であれば全額を経費として計上できるため、事業所得を減らし税負担を軽減する効果があります。

ただし、その活用には「生計を一にしない」ことの明確な証明と、実態を伴った適正な労働・給与設定が不可欠です。家族であっても実際に業務に従事し、その労働の対価として適正な金額を支払うことが重要です。

適切な書類の作成・保管や、雇用保険などの手続きも忘れずに行いましょう。不明点がある場合は、税理士などの専門家に相談し、節税と税務リスクの回避を両立させながら、家族の協力を得て事業を発展させていきましょう。

【無料DLあり】フリーランスの始め方まるわかり!開業手続き・準備リスト完全ガイド

フリーランスになるにあたって、自信をもって「どんな手続きをすればよいか理解している」と言い切ることはできますか?

なんとなくはわかっていても、「抜けれもがあるかも」「何か忘れていそう」と不安を感じる方も多いかもしれません。そこで今回は、フリーランスに必要な開業手続きについて解説します。

副業・複業フリーランスと独立フリーランスどちらを目指す?

これからフリーランスを目指す方にとって、まず考えるべきは「副業や複業としてフリーランスの案件を受けるか、完全に独立したフリーランスになるか」ということです。

副業や複業としてフリーランスをする場合、案件の発注元と雇用関係を結ぶため、会社員のように国民年金と厚生年金の加入対象となり、健康保険組合にも入れます。

独立したフリーランスになると、雇用関係は発生しません。個人事業主として働く場合は国民年金と国民健康保険に加入し、法人として働く場合は厚生年金の対象となり健康保険組合や協会けんぽに入ることになります。

働き方によって優劣があるわけではなく、様々な面で違いがあるので、それぞれの選択肢について「資料名:フリーランス開業の手続きカレンダー – これ1枚で独立準備は万全!【無料ホワイトペーパー】」を参考にしっかり理解しましょう。

どのようにフリーランスになるか悩んでいる方は、いきなり独立するよりもまずは副業や複業から始めてソフトランディングしていく方法をおすすめします。

フリーランスを始める際の今の会社との向き合い方

会社員として働いている方がフリーランスとして独立する場合、どのように今の会社とコミュニケーションを取ればよいのでしょうか。会社との向き合い方について、解説します。

独立・副業でも会社には必ず報告

近年は副業を認める会社が増えていますが、会社には副業を始めることを言いにくい方も多いでしょう。

しかし、会社に何も言わず始めても、確定申告を通じてバレたり、副業と本業の人脈が繋がったりしてバレたりするケースは多々あります。発覚してから「実は……」と切り出すより、事前に報告しておいたほうが信頼関係を損ねないため、前もって話しておきましょう。

他にも独立するためにリスクを抑える方法を「副業フリーランスの始め方。副業で始めるメリット・デメリットとおすすめ職種と案件探しのコツを紹介」で紹介しているので、ぜひご一読ください。

完全独立をする際にこそ円満退社

副業から始めて売上が軌道に乗ると、完全独立のタイミングとなります。この時は本業の会社を辞めることになりますが、円満に退社できるようにしましょう。

どのように会社に報告するべきかは「副業に関する就業規則別の会社に報告する具体的な流れ」にありますが、副業を始める段階で会社に報告したり、周りの人に応援してもらえるように工夫したりといったポイントがあります。

副業-会社報告

会社に所属している間にローンやクレジットカードを契約

残念ながら、日本ではフリーランスというだけで社会的信用が低いとみなされることが頻発するのが現状です。そのため、会社員という身分があるうちにやれることはやっておきましょう。特に大切なのは、ローンとクレジットカードの契約です。これらは、フリーランスになると審査落ちする確率が増えます。

フリーランスの方におすすめのカードについては「フリーランスの会計処理を効率化するクレジットカード。クレジットカードの選び方とおすすめのカードを紹介」で、ローンを組みたい方に耳よりの情報は「フリーランスの資金繰りをサポートするローン活用。ローンの種類と申し込みタイミングや融資による資金繰り方法を紹介」で解説しているので、退職前に必ずご一読ください。

また、引っ越しを考えている方は退職前に賃貸契約を結びましょう。フリーランスであるというだけで、会社員時代の倍の収入や、1年分の賃料が払えるだけの貯金の証明を見せても、入居を断られるケースは珍しくありません。

CHECK

・まずは副業や複業から始め、軌道にのってから独立したフリーランスになる
・副業を始めるときは会社にしっかり報告することで信頼関係を保てる
・会社員のうちにローンやクレジットカードの申し込み、賃貸契約を終わらせる

フリーランスは案件獲得やプライベートにも人脈は大切

フリーランスが最初にぶつかる壁は、仕事が見つからないということです。自分にスキルがあってもそれをアピールできる場は多くないですし、ポートフォリオが豊富でなければクライアントに自分の実力を示すことも難しいです。

だからこそ、人脈を広げて多くの方とつながりましょう。知り合い1人だけに営業しても仕事がもらえる確率は非常に低いですが、100人に営業すればそのうちの1人くらいは仕事をくれる可能性があります。

また、フリーランスの場合は基本的に一人で仕事をしますし、案件が終われば同じ人と関わることはありません。だからこそ、孤独を感じないようにたくさんの方と知り合いになりプライベートも充実させましょう。

具体的な人脈の広げ方は、「フリーランスにとって人脈は重要?人脈の作り方や継続的な仕事につなげるまでの道のり」で解説しています。

フリーランス開業手続きロードマップ

フリーランスとして開業するためどのような手続きが必要か、具体的な方法を知っておかなくてはうっかり何かを忘れてしまうかもしれません。何か月前からどういった書類を用意し、何を準備してどこに提出すればよいのかなど、「資料名:フリーランス開業の手続きカレンダー – これ1枚で独立準備は万全!【無料ホワイトペーパー】」で確認してください。

会社に退職願を提出し源泉徴収を受理

会社に退職届を出し、正式に辞めましょう。その際、源泉徴収の発行をお願いすることを忘れないでください。たいていの場合、最終出勤月の給与が確定した後、給与明細と一緒に受け取れます。

ハローワークで失業手当(再就職手当)を申請

退職後は、失業保険をもらいましょう。会社から離職票をもらったらハローワークに行き、申し込みします。一週間後に雇用保険説明会に参加して失業認定報告書を提出すると、4週間ごとに手当が振り込まれます。

社会保険料の手続きを申請

フリーランスは、国民健康保険と国民年金に入らなくてはなりません。会社員であれば会社が保険料の5割を負担してくれますが、フリーランスは全額自己負担となります。

役所にて必要な書類を提出すると申請できるため、「フリーランスが加入すべき社会保険は?加入条件や加入手続きや保険料を抑えるコツを解説」を参考に退職後早急に手続きを進めてください。

税務署に開業届・青色申告承認申請書の提出

フリーランスになったら、原則1か月以内に開業届を提出してください。その際、青色申告承認書も出しましょう。これにより最大65万円の特別控除が受けられるようになり、節税ができるようになります。

開業届を出すメリットは様々あるため、気になる方は「フリーランスの開業届。開業届の提出のスムーズに進めるに必要な準備をステップ式で解説。」をご一読ください。

事業用口座の開設申請をし独立

フリーランスになったら、事業用の口座を開きましょう。個人で使っている口座とわけることで、お金の動きをしっかり管理できるようになります。金融機関はどこでも良いですが、店舗のある銀行であれば窓口で色々と相談ができますし、ネット銀行であれば時間や場所を問わず安い手数料で利用できます。

フリーランスにおすすめの銀行については、「フリーランス向け屋号付き事業用口座の開設方法。会計を楽にするおすすめ口座や活用法を解説」にて解説しています。

営業活動は準備期間から常に並行して行い余裕を持つ

フリーランスになってからいきなり営業をするのではなく、準備段階からしっかり進めておきましょう。繰り返しますが、フリーランスにとって最初の壁は案件獲得です。営業活動はどんなにやってもやりすぎということはないので、スキルを磨いたりポートフォリオを作ったりするのと同時並行で、営業先を見つけてコミュニケーションをとっていってください。

具体的な営業方法については、「フリーランスが直案件を獲得する営業手法。案件獲得のチャネルの種類や直営業までのステップを解説」にまとめています。

CHECK

・退職届を出し源泉徴収発行を依頼したら、失業手当を申請する
・各種保険の申請と開業届の申請手続きを行う
・準備段階から営業活動を始め、案件確保に注力する

フリーランスの独立に必要な資金はいくらから?

フリーランスとして独立するためには、どのくらいの資金が必要でしょうか。「フリーランス独立に必要な初期費用。開業資金・運転資金の目安や資金調達の方法を解説」を参考に、コツコツお金を貯めておきましょう。

フリーランスとして効率的に仕事するために必要な準備

フリーランスとして働く中で、効率性を高めることが重要です。月給が決まっているわけではなく仕事をやればやるほど売上が上がるので、効率的に作業を進めて限られた時間でたくさんの案件をこなしましょう。

マイナンバーは開業届や確定申告の効率化のため事前に取得

マイナンバーを取得していない方は、早急に手続きしてください。開業届や確定申告の際、自分のマイナンバーを記入する機会があります。e-Taxを使って税務署への手続きも効率的に進められます。

他にどのようなメリットがあるかについては、「フリーランスのマイナンバー活用術。開業届から青色申告での確定申告と便利な活用方法を解説」にまとめています。

印鑑は事業用の丸印・角印・銀行印を準備

事業用として使う印鑑を準備しましょう。様々なリスクに備えること、いずれ法人化するかもしれないことを考えると、丸印・角印・銀行印の3つを買っておくことをおすすめします。

購入の際に絶対に気を付けたいポイントについては、「フリーランスが作るべき印鑑。印鑑の種類・用途・具体的な作成方法と電子印鑑の準備も解説」にて解説しています。

オフィスには投資を惜しまず作業環境を完備

初期投資を抑えることは重要ですが、作業環境を整えるためにはある程度のお金を使いましょう。コワーキングスペースに登録すると、仕事場と生活の場を分けられますし、フリーランス仲間も得やすいです。家で仕事をする場合は、長時間使っても疲れない椅子や机を買いましょう。

どうすれば生産性の高い環境を作れるかについては、「フリーランスの生産性とQOLを上げるオフィス環境作り。オフィスの選び方を中心に快適な働き方を実現する方法を紹介。」をご一読ください。

屋号は覚えやすく・事業内容がわかりやすいが基本

必須ではありませんが、フリーランスとして独立する際に屋号を作ることができます。もし作るのであれば、「何をやっているかがわかる」「複雑な名前ではなく覚えやすい」の2点がポイントです。

具体的な考え方については、「フリーランスと屋号。後から変更もできる屋号はこだわり過ぎず、まずは開業し手を動かして実績を積み上げる」を参考にしてください。

オンライン商談が多い時世でも営業ツールとして名刺は用意

「今の時代、名刺っているの?」と思うかもしれませんが、持っておいて損はないでしょう。対面での交流会に参加する際、名刺がないとなかなか新しい方と繋がれません。また、自分の事業内容をパッと伝えられる点も魅力です。

名刺を作る際は、どのような点に気を付ければよいか「フリーランスの名刺の作り方。営業ツールとして仕事につなげる名刺のポイントと発注方法・効果的な交換方法を解説」を参考にしながら考えてみてください。

確定申告のため会計ソフトを事業用口座と事前に連携

フリーランスとして働くなら、確定申告は必須です。効率的に作業ができるよう、事業用口座を会計ソフトと連携させておきましょう。確定申告については不安な点も多いと思うので、「フリーランスの確定申告。確定申告の流れや必要書類の書き方と会計ソフトを活用した効率化方法」を参考に勉強してみてください。

受発注管理のために契約書フォーマットと電子契約サービスを準備

案件が増えてくると、それぞれについてしっかり管理する必要性が高まります。受発注管理については、2024年11月から施行されているフリーランス新法に準じることが大切です。

「フリーランスの受発注管理。フリーランス新法対応の契約書フォーマットを無料ダウンロード」を参考に、契約書のフォーマットと電子契約のサービスを準備してください。

フリーランスになるためには、様々な準備が必要です。つい自分のスキルを高めることだけに集中してしまいがちですが、「手続きを滞りなく進める」「お金周りの準備を整える」といったことにも注意を払いましょう。

まだ何をしていいかわからないという方には、今回ご紹介した改行手続きのロードマップが役立つはずです。どのタイミングから、どのような書類を用意し、どのように提出すればよいか、しっかり確認してください。

マイクロ法人で社会保険料を劇的カット!賢い節税戦略

社会保険料の負担を重く感じていませんか?特に、個人事業主や小規模なビジネスオーナーにとって、この負担は大きなコストになります。そんな中、注目されているのが「マイクロ法人」を活用した節税戦略です。本記事では、マイクロ法人を活用して社会保険料を最適化する方法や、そのリスクについて詳しく解説します。賢く制度を利用して、手元に残るお金を最大化しましょう。

マイクロ法人を活用すれば、社会保険料を抑えながら節税が可能ですが、年金の減少や税務調査のリスクも伴います。役員報酬を適切に設定し、法的リスクを理解した上で慎重に運用することが重要です。

社会保険の基礎知識

社会保険の種類と概要

社会保険は、健康保険、厚生年金保険、介護保険、労災保険、雇用保険などの公的保険を総称するものです。企業は、設立後に健康保険法第3条や厚生年金保険法第9条などの法律に基づき、健康保険と厚生年金への加入が義務付けられています。労災保険や雇用保険については、従業員を1人でも雇用している場合に加入が必要となります。

社会保険料の料率

社会保険料の料率は、健康保険や厚生年金などの種類や事業所の所在地によって異なります。例えば、健康保険料率は都道府県ごとに異なり、厚生年金保険料率は全国一律です。これらの保険料は、事業主と被保険者(従業員)がそれぞれ負担することとなっています。

CHECK

・法人設立後は健康保険と厚生年金が義務となる
・労災・雇用保険は従業員雇用時に必要となる
・社会保険料の料率は地域や種類で異なる

マイクロ法人を活用した節税スキーム

マイクロ法人とは?

マイクロ法人とは、主に個人事業主が設立する小規模な法人を指し、社会保険料や所得税の負担を軽減するための手段として利用されることがあります。このスキームでは、個人事業主としての活動と法人としての活動を組み合わせることで、全体の社会保険料負担を最適化することが可能です。

個人事業主+マイクロ法人の二刀流パターン

個人事業主とマイクロ法人を併用することで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 社会保険料の最適化:個人事業主としての所得に対しては、国民健康保険や国民年金の保険料が適用されます。一方、法人からの役員報酬に対しては、健康保険や厚生年金の保険料が適用されます。これらを組み合わせることで、全体の社会保険料負担を調整することが可能です。
  • 所得税の節約:法人としての利益を適切に分配することで、個人の所得税負担を軽減することができます。

役員報酬の設定目安

マイクロ法人を活用する際、役員報酬の金額設定は社会保険料や所得税の負担に大きく影響します。一般的には、役員報酬を低めに設定することで、法人としての利益を内部留保し、個人の所得税や社会保険料の負担を抑えることが可能です。ただし、過度に低い報酬設定は、税務調査のリスクを高める可能性があるため、適切なバランスを考慮することが重要です。

CHECK

・マイクロ法人は節税目的で活用される
・二刀流で社会保険料や所得税を調整する
・役員報酬の設定は税務リスクに注意する

マイクロ法人設立のリスクと注意点

年金額の減少リスク

役員報酬を低く設定すると、将来的な厚生年金の受給額が減少する可能性があります。マイクロ法人の設立を検討する際には、将来の年金受給額も考慮した上で報酬を決定することが重要です。

税務調査のリスク

社会保険料や税負担の軽減を目的としたスキームは、税務当局からの注意を引きやすく、税務調査の対象となるリスクがあります。過度な節税対策は、結果的に税務調査のリスクを高めるため、慎重に運用する必要があります。

売上がないマイクロ法人の注意点

売上がない状態が続くマイクロ法人では、以下の点に注意が必要です。

  • 社会保険料の負担:売上がなくても、役員報酬を支払っている場合は、社会保険料の負担が発生します。
  • 法人維持コスト:法人を維持するための各種手続きや費用が継続的に発生します。

CHECK

・役員報酬が低いと年金額が減少する
・節税目的の法人は税務調査の対象になる
・売上がなくても保険料や維持費が発生する

マイクロ法人を活用することで、社会保険料の負担を軽減し、節税効果を得ることができます。しかし、役員報酬の設定次第では、将来の年金受給額が減少するリスクや、税務調査の対象となる可能性もあります。適切な役員報酬を設定し、制度の仕組みを理解した上で運用することで、最大限のメリットを享受できるでしょう。

フリーランスの社会保険を賢く活用|国民健康保険・年金・iDeCoの加入方法と保険料軽減策を紹介

自分の身は自分で守らなければいけないフリーランスは社会保険も自分で加入し自分で全額負担します。万が一の事態に備えるために社会保険を含む保障を整えておくことは非常に大切です。しっかりと備えるための具体的な方法を知っておきましょう。

社会保険は怪我や病気など万が一への備えや老後の生活保障として加入する大切なもの。うまく活用すれば節税対策にもなります。。

フリーランスが加入義務がある社会保険は国民健康保険と国民年金

社会保険とは保険料を支払うことでリスクに備える制度のことで、フリーランスが加入義務のある社会保険は「国民健康保険」と「国民年金」です。その他の社会保険(雇用保険や労災保険など)は、基本的にフリーランスには適用されませんが、特定の状況に応じて加入できる場合もあります。他にも任意加入できる保険や制度もあるので、万が一の際に備えて検討してみると良いでしょう。

そもそも社会保険の種類

社会保険とは「健康保険」「年金保険」「雇用保険」「労災保険」の4つを指しますが、フリーランスが加入できるのはそのうちの2つ「健康保険」「年金保険」のみです。会社員の際と加入できる保険の種類が異なるので切り替えなどの手続きが必要になります。

会社員とフリーランスの保険の違いは加入条件と負担率 

次の表は、会社員とフリーランスで加入できる保険の違いです。

社会保険内容フリーランスの場合会社員の場合
健康保険病気やケガの際の補償国民健康保険に加入できる保険料は全額自己負担勤務先の健康保険に加入できる保険料は会社と折半で5割負担
年金保険老後の生活資金を支えるための制度国民健康保険に加入できる保険料は全額自己負担厚生年金に加入できる保険料は会社と折半で5割負担
雇用保険失業した際に生活支援をするための保険加入できない加入できる保険料は会社と折半で5割負担
労災保険仕事中の事故や病気に対する補償加入できない加入できる保険料は全額会社負担

フリーランスが加入できる社会保険の種類

フリーランスの社会保険には様々な選択肢があります。加入義務のあるものもあれば自分で選べる任意の制度も多く用意されているので、安定した生活を実現するために加入しておいたほうがいい制度があるかどうか知っておくことが必要です。

健康保険の場合

健康保険とは病気やケガの際に必要な医療費の一部をカバーする制度です。会社員として健康保険に入ると会社が保険料を5割負担してくれますが、フリーランスは全額自己負担になります。注意したいのは、病院でかかる費用の保障はありますが、フリーランスの場合、雇用保険や労災保険に入れないので、病気などでの休業中の休業補償や失業手当といった保障がないことです。

国民健康保険へ切り替えする

国民健康保険は市区町村が運営する制度で、フリーランスや自営業者、学生などが加入する保険です。市区町村の役所で申請すると保険証が交付されます。会社の健康保険から切り替える場合は退職日から14日以内に手続きが必要です。保険料は前年の所得をもとに計算され、全額自己負担となります。

社会保険を任意継続する

会社の健康保険に退職後も継続して加入する「任意継続被保険者」という選択肢もあります。会社の健康保険に最大2年間継続して加入することができる制度で、退職後20日以内に手続きをすればそれまでの健康保険をそのまま利用できます。希望する際は会社の人事部門、もしくは健康保険組合に任意継続の旨を連絡しましょう。こちらも保険料は全額負担になります。

年金保険の場合

フリーランスの年金の構造は会社員の場合と大きく異なり、会社を退職する際は切り替え手続きが必要になります。また、フリーランスとして加入義務のある年金保険の運用だけでは将来の不安があるため、老後の生活資金補完のため追加で私的年金も運用しておくと良いでしょう。

厚生年金から国民年金への切り替えが必須

厚生年金は会社員や公務員が加入できる公的年金のため、フリーランスになった際は国民年金へ切り替え手続きが必要になります。退社時に会社から交付される離職票(退職証明書)、年金手帳、本人確認書類を持ち最寄りの市区町村の役所で申請を行うと国民年金への切り替えができます。保険料は毎月一定額で、口座振替などの支払い設定ができます。

国民年金基金への加入

国民年金基金とは自営業・フリーランスを対象にした、国民年金に上乗せして加入できる公的な年金制度です。加入は任意ですが、将来の保障のために検討するとよいでしょう。申し込みをする場合は、基金のホームページより加入申出書を入手し、必要事項を記入後提出します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは国民年金にプラスして加入できる私的年金制度の一つです。確定拠出年金法にもとづいて運営され、自分で掛金を拠出、運用し、60歳以降にその元本と運用益を受け取ります。フリーランスの場合、掛金の全額が所得控除対象になるので節税にもつながり加入メリットが多いです。iDeCoは複数の金融機関で取り扱っているので、手数料や商品ラインナップなどを比較して取引する金融機関を選び、加入手続きを行います。

付加年金の導入

付加年金とはフリーランスや自営業者が加入できるもので、国民年金保険料を上乗せして支払うことで将来の年金額を増やすことができる制度です。希望する場合は国民年金への切り替えの際に市区町村の役所で付加年金も加入しましょう。国民年金への加入と同時申し込みでなくても、途中で追加することもできます。

フリーランスが加入できる労働・労災保険は基本的には適用外

業務に起因して傷病が発生した場合に出る労災保険はこれまでフリーランスは対象外とされていましたが、2024年11月のフリーランス保護を目的とした法改正により企業等から業務委託を受けているフリーランスも労災保険特別加入の対象になりました。また、労災保険の代わりとなる民間の傷害保険への加入も検討するとよいでしょう。

健康・年金保険も退職後14日以内に加入の手続きが必要

会社を辞めてフリーランスになる場合の社会保険切り替えの手続きはそれぞれ14日以内に行わなければなりません。企業を退職して健康保険から国民健康保険への切り替えを行わずに14日の期限を過ぎると、医療費をすべて自己負担でまかなわなければならなくなります。

CHECK

・会社員とフリーランスで加入できる社会保険が異なる
・フリーランスが加入義務があるのは国民健康保険と国民年金
・健康保険・年金保険それぞれ選択肢があるので自分に合うものを選ぼう

フリーランスの社会保険のメリット・デメリットや違い

フリーランスは社会保険料を全額自己負担しなければならないので、社会保険に入るメリットが小さいと感じるかもしれませんが、不安定なフリーランスだからこそ社会保険の加入は必須です。けがや病気などもしもの時のための経済保障として上手く使いましょう。

確定申告で社会保険料を控除ができるメリット

フリーランスが社会保険に入る大きなメリットは社会保険料を控除できることです。フリーランスとして確定申告をする際に、控除を最大限活用して税負担を軽減することで、手取り額を増やすことができます。

自己責任範囲が大きいデメリット

フリーランスは社会保険に自己責任で加入・管理しなければなりません。保険料の負担も大きくなります。加入できる保険も限られており、企業に勤めるより社会保障が薄いということも考慮しましょう。

傷病手当金と出産手当金がない

病気やケガで働けない場合の保障になる傷病手当金と、出産のために仕事を休む場合に出る出産手当金は国民健康保険では支給されません。それぞれの手当ての支給を受けるためには国民健康保険には加入せず任意継続被保険者になるもしくは配偶者の扶養に入るなどの手段が必要です。

家族が扶養に入れられない

国民健康保険には扶養がないため、フリーランスになって国民健康保険に加入した場合家族を扶養に入れることができません。いままで配偶者やお子さんが扶養に入っていたとしても、国民健康保険に移行した後は世帯全員が国民健康保険に加入し、保険料(国民健康保険税)を納付する必要があります。

保険料が全額自己負担

会社の社会保険に入っている時には会社が保険料を5割負担してくれますが、フリーランスは保険料をすべて自分で負担しなければなりません。そのため会社員の時と比べて保険料の支払い額が大きく感じられることがあります。

厚生年金の上乗せがない

厚生年金の上乗せとは、厚生年金の基本的な給付に追加して退職後に受け取る年金額を増やすことです。会社員の場合、企業年金と呼ばれる企業が自ら設ける年金制度があり、企業が掛け金を拠出し厚生年金の受給額を上乗せすることができますが、フリーランスは国民年金への加入になり厚生年金の上乗せができません。

保険料が経済的負担になる

フリーランスは社会保険料を全額自己負担で払わなければならないため、経済的負担が大きくなります。ただ、支払った国民年金や健康保険の保険料は確定申告で経費として計上できるので、結果として節税にもなります。

フリーランスが社会保険に入らないとどうなる?

フリーランスは国民年金、国民健康保険の社会保険に加入する義務があります。社会保険に加入しない場合、医療費が高額になる、年金が少なくなる、税金面で不利になるなどのリスクがあります。また、国民健康保険を含めた公的医療保険に入らなかった場合、過去2年分さかのぼって未納分の保険料を請求されるので注意が必要です。安定した生活を送るために、社会保険にはきちんと加入しましょう。

CHECK

・社会保険料は控除でき節税につなげることができる
・保険料全額自己負担など責任範囲が大きい
・安定した生活のためにも社会保険はしっかり検討する

フリーランスの社会保険の計算方法・シミュレーション例

保険料の金額を把握し計画的に支払いを行うことがフリーランスの資金繰りとしても重要になります。

健康保険料の計算方法は均等割と所得割で異なる

健康保険料は前年の所得を基に計算される「所得割」、世帯人数に基づく「均等割」、世帯に対して課せられる「平等割」の3つの要素を合算して算出されます。所得に応じて保険料が変動するため、収入が多いと保険料も高くなります。

均等割の計算方法

均等割とは「所得額に関係なく均等に課される保険料額」です。被保険者の人数に応じて保険料額が増える仕組みです。

所得割の計算方法

所得割とは「前年の所得額をもとに計算する保険料額」です。前年の課税所得(総収入額 – 経費 – 基礎控除など)× 所得割の保険料率で算出されます。所得割の保険料率は、自治体によって異なるので市区町村に問い合わせましょう。

年金保険料の計算方法は保険料額×保険料改定率

フリーランスが支払う年金保険料は、所得に関わらず年ごとの定額制です。物価や賃金の伸びにより保険料は毎年調整され(保険料改定率)、2025年度の国民年金保険料は、月額16,610円となっています。

CHECK

・保険料を把握することは資金繰りの一環としても大切
・健康保険料は所得や被保険者の人数により増える
・年金保険料は年ごとの定額制

フリーランスの保険料を抑える方法

国民健康保険の保険料は住民税や所得に基づいて算出され、所得が多くなると保険料が高くなります。健康保険料を安く抑えるための方法も知っておきましょう。

任意継続被保険者になる

会社員から独立してフリーランスになる場合は、「任意継続被保険者」という選択があります。任意継続被保険者とは、会社で加入している企業健康保険を退職後も最長2年間、任意で継続できる制度です。退職した日から20日以内に手続きを行う必要があり、20日を過ぎると継続資格は失いますので継続希望の場合は早めに人事部門に伝えて手続きをしましょう。

保険料負担が少ない自治体に引っ越しをする

国民健康保険は市町村ごとに保険料が異なります。ご自身が住んでいる自治体の保険料を確認し、ほかの自治体と比較することができます。自治体ごとに保険料が公開されているので、ホームページをチェックして比較してみましょう。

国民健康保険組合が母体の国民保険に入る

国民健康保険組合とは特定の業界や職種に属している人が加入できる健康保険団体です。デザイナーやライター向けの組合やIT業界やクリエイティブ業界に特化した組合などがあり、WEBデザイナーの場合ですと「文芸美術健康保険組合」が該当します。これらの健康保険に加入することで所得にかかわらず保険料が一定になり、保険料の負担軽減につながります。加入の際は、組合の加入条件がありますのでホームページで確認しましょう。

被保険者の場合には配偶者の扶養に入る

配偶者が会社員であり、自身のフリーランス収入が年間130万円以内であれば、配偶者の扶養に入ることができます。自分で健康保険に入って保険料を払う必要がなくなり、フリーランスにはない社会保険サービスを受けることができるという大きなメリットがあります。

フリーランスは社会保険以外に民間保険に入るべきか?

フリーランスは病気や事故などで働けなくなった際の備えを作っておく必要があります。医療保険や生命保険、収入保障保険などの民間保険は収入減に備えるために有効です。特に収入保障保険や所得補償保険はフリーランスで収入が不安定になった際に助けとなるものですので、事業の状況や生活費の状況、将来の収入計画と照らし合わせて検討しましょう。

社会保険の切り替えは手残りを多くする選択肢を選ぶ

フリーランスとして入れる社会保険の種類や計算方法を理解し、手取りを多くするための適切な選択をすることで無駄な支出を抑えることができます。社会保険控除などを活用し、保険料や経費を上手く管理しましょう。

CHECK

・保険料の全額自己負担を避けて支出を抑える方法もある
・社会保険以外の民間保険も検討するメリットはある
・社会保険の検討の際は手取りを多くする選択肢を選ぶ

会社員の場合と加入できる条件や負担額が大きく異なるフリーランスの社会保険。社会保険についてしっかりと理解し、自分の状況に合わせた最適な選択をして節税や手取り額アップにつなげるのがポイントです。

フリーランスが開業届を迷わず提出するために|記入のコツ・押印の有無・控えの保存まで完全対応

「開業届の提出」はオンラインでいつでも提出可能で、事業内容などが決まっていれば簡単に手続きができます。

フリーランスにとって開業届はビジネススタートの記念となるもの。簡単な手続きで、オンラインでいつでも申請可能なので、後回しにせずに早めに提出してしまいましょう。

開業届はフリーランス活動を始めてから原則1月以内に提出

開業届とは個人が事業を開業したことを税務署に申告する書類で、正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」と言います。

営利目的で事業を開始した場合、利益の発生有無に関わらず開始1ヶ月以内に開業届を税務署に提出する義務があります。

開業届を出すことで、フリーランスとして正式に活動を開始したことを示す節目になりますので、きちんと手続きをしておきたいものです。開業届を出すことで得られるさまざまなメリットもありますので、独立を考えている方は準備を進めておきましょう。

開業届を提出しなくとも「罰則」はない

開業届の提出は法律で義務付けられているものの、実は開業届を出さないで事業を行っていても罰則はありません。

その代わり未提出にはデメリットもあります。

開業届を出さないと確定申告は「白色申告」のみ

確定申告は毎年1月1日から12月31日までの所得金額を税務署へ提出し、納税額を確定させるための必要な手続きです。「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があります。「青色申告」には要件を満たせば最大で65万円の控除を受けられる特別控除があり、節税の大きなメリットがあります。開業届と同時に青色申告承認申請書を提出していないと控除のない「白色申告」しかできなくなってしまいます。

開業届を出していなくてもインボイス制度には登録できる

2023年10月1日から導入された「インボイス制度」とは、消費税の仕入税額控除の金額を正しく計算するための制度です。適格請求書(インボイス)を発行するには課税事業者となり適格請求書発行事業者の登録が必要となっています。このインボイス制度の登録は、開業届提出有無に関係なく行うことができます。

開業届を提出する目安は「所得が48万円」を超える場合

フリーランスは所得合計が48万円以下であれば確定申告をする必要がありません。所得から基礎控除の48万円を差し引くと課税所得が0円になるためです。所得が48万円を超える見込みがある場合は、開業届を提出しておきましょう。

フリーランスは開業届の提出はメリットが多い

開業届を出した場合に得られるメリットは多くあります。最も大きいのが控除による節税の効果です。それ以外のメリットもしっかり押さえておきましょう。

青色申告の活用で確定申告時の節税につながる

「最大65万円の特別控除が受けられる」「赤字を繰り越せる」などの節税メリットがあるのが青色申告です。青色申告を行うには、開業届を提出した後、青色申告承認申請書を税務署に提出しておく必要があります。

小規模企業共済で退職金替わりのセーフティネットができる

小規模企業共済制度とはフリーランスや経営者向けの共済制度で、事業をやめる際に積立金額に応じた退職金を受け取ることができます。退職金のないフリーランスが万が一の備えに入るこの共済は、開業届を提出している事業者のみが加入することができます。

屋号付きの事業用銀行口座・法人用クレジットカードを作れる

開業届を出すことで、個人名義ではなく屋号が名義になった事業用銀行口座や法人用クレジットカードを作ることができます。プライベートと事業のお金の管理を分けることで、事業収益や経費の管理をしやすくなります。

保育園に就労証明書として提出できる

保育園を利用するためには、親が働いていることを証明する必要があります。フリーランスの場合は就労証明書に加えて業務委託契約書や税務署の受付印が押印された開業届の控えの提出が必要になります。開業届を出すことで、開業届の控えをフリーランスで仕事をしている証拠書類として提出することができます。

CHECK

開業届はフリーランス活動を始めてから1月以内に提出する
開業届を提出することでさまざまなメリットが得られる
青色申告をしたい場合は開業届と同時に青色申告承認申請書も提出する

開業届を提出すると失業手当はもらえなくなるため要注意

会社を退職してからすぐに開業届を提出した場合、失業手当や再就職手当は受給できません。退職後、失業手当を受け取りながら準備の時間を取りたいと考えている場合は実際に事業を開始するまで開業届を出さないほうがよいでしょう。

開業届の提出のスムーズな進め方と必要な準備物

開業届の提出は事前の準備をしておけばオンラインですぐに手続きができます。

開業までの流れ・全体像

項目内容
開業日を決める事業の開始日を決めます。事業用オフィスを借りた日、ホームページを開設した日、など基準は何でもかまいません。
屋号を決める事業の開始日を決めます。事業用オフィスを借りた日、ホームページを開設した日、など基準は何でもかまいません。
開業届の提出管轄の税務署へ、個人事業の開業・廃業等届出(開業届)を提出します。事業開始から1ヶ月以内と定められています。
青色申告承認申請書の提出管轄の税務署へ、青色申告承認申請書を提出します。事業開始から2ヶ月以内と定められています。
国民健康保険・国民年金への加入住んでいる市区町村の役所で手続きを行います。会社員から独立した場合は会社の健康保険からの切り替えを行います。
銀行口座の開設プライベート用とは別に事業用の銀行口座の開設をします。
ホームページの準備集客のためにホームページや自身のポートフォリオページを用意します。
帳簿をつけ始める開業準備費用も経費にできますので、開業手続きにかかった費用を記録に残しておきます。
名刺や印鑑など備品をそろえる実際に事業を行うにあたり必要になるものをそろえておきます。

開業届に必要な書類とスムーズな開業のための準備物

開業届を提出する際に必要なのは以下2点のみです。

  • 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)に記入をしたもの
  • マイナンバーカード

マイナンバーカードを持っていない場合は、「マイナンバー通知カード(マイナンバーの番号がわかるもの)」と「マイナンバーを記載した住民票の写し(身元確認ができる書類)」を用意します。

マイナンバーカードがある場合とない場合で、手続きの流れが大きく変わるので注意が必要です。マイナンバーカードがないとオンラインでの申請ができない場合がありますので事前に作っておくことをおすすめします。

屋号名

開業届には屋号を記入する欄があります。屋号とは会社でいう法人名にあてはまるもので、フリーランスが事業を行う際に使用するものです。開業届の提出に屋号の記入は必須ではないですが、フリーランスとしてビジネスを行う上で取引先からの信用獲得や屋号名義での銀行口座開設などのメリットが多いです。

屋号名

開業届には「職業」および「事業の概要」を記入する欄があります。書き方としては特に決まりがないのでありのままを記載します。

書き方例)

職業欄:小売業   事業概要:ハンドメイドアクセサリーの製造販売

職業欄:デザイナー 事業概要:Webサイトのデザインや制作

開業届の職業欄は個人事業税に関係しますので、事業内容を適切に記入する必要があります。個人事業税とはフリーランスが納める税金の一つで、職種ごとに税率が異なります。「法定業種」に該当する場

開業届の作成・提出はオンライン対応で自宅から行う

開業届はオンラインで提出できます。税務署の窓口へ持参や郵送もできますが、オンラインが最もスムーズです。提出方法としては①e-Tax経由で提出、②会計ソフトのサービスを使う、の2つの手段があります。

①e-Tax(国税電子申告・納税システム)で開業届を提出

国税局のe-Taxのページから利用者識別番号と呼ばれる16桁のID番号を取得してログインした後、e-Taxソフトをダウンロードし、必要事項を入力すればオンラインで申請できます。少しややこしく感じるかもしれませんが、窓口の手続きよりもはるかに短時間で手続きできます。

ATTENTION

e-Tax

②会計ソフトのサービスを使う

クラウド会計ソフトの中には、フリーランスに対する開業支援サービスを行っているものがあります。freee開業マネーフォワード クラウド開業届などでは無料で開業届の作成・提出をオンラインで簡単に完了できます。

開業後に会計ソフトの導入を考えている場合は、簿記の知識が不要で簡単に使えるfreeeをおすすめしています。freeeの開業支援サービスを使えば、事業開始後の会計も同じシステムで楽に移行可能です。

青色申告も開業届と同時に提出を行う

控除のある青色申告をするには、開業時に青色申告承認申請書の提出が必要です。開業から2ヶ月以内に提出が必要なもので、開業届と同時に提出ができますので忘れないように一緒に出しておきましょう。

開業届の提出と同時にしなければならない保険の手続き

フリーランスは社会保険のうち労災保険と雇用保険には加入できないので、「健康保険」「年金保険」の2つに自己負担で加入することになります。将来の健康や生活を守るために必要なものですので、開業届を出してフリーランスになると同時に手続きを進めます。

健康保険への加入手続きを行う

フリーランスの健康保険の選択肢は以下の3つです。

  • 国民健康保険

自営業やフリーランスが加入する健康保険です。お住いの市区町村の役所に「退職証明書」「身分証明書」「マイナンバーがわかるもの」を持って手続きを行います。

  • 会社の健康保険を任意継続

勤めていた会社の健康保険を任意継続するためには、退職後20日以内に手続きを行う必要があります。任意継続ができるのは2年間のみで任意継続被保険者となった日から2年を過ぎると自動的に資格喪失となります。

  • 国民健康保険組合

会社員でなくても加入ができる、業種別に組織された健康保険の組合です。ご自身の事業内容で入れるものがないか一度確認してみましょう。

上記以外にも配偶者の扶養に入ることもできます。その場合は加入する健保に確認の上、要件の金額を超えないように注意が必要です。

国民年金への加入手続きを行う

フリーランスになるにあたり、厚生年金から国民年金への切り替えが必要になります。国民年金のみの場合、年金給付額は少なくなるため国民年金基金やiDeCoへの加入も検討しましょう。お住いの市区町村の役所に「年金手帳」「退職証明書」を持って手続きを行います。

CHECK

開業届を提出するにはマイナンバーを活用したオンライン手続きがおすすめ
マイナンバーカードの準備と、屋号・事業内容は早めに決めておくこと
青色申告や保険の手続きも開業届の提出と同時に行うこと

開業届はオンラインでいつでも簡単にできます!開業届の提出と同時に、確定申告の準備や健康保険・国民年金の変更手続きも必要です。フリーランスとして存分に仕事ができる環境整備のため、初めの手続きは抜かりなく行いましょう!

開業届や会計作業はツールで時短。活動の幅を広げる「仕事」に専念

開業届の提出はゴールではなくスタートです。取引先の開拓や実績作りなどやらなければならないことがたくさん始まります。

フリーランスで仕事をするうえで大切にしたい考えが「効率化」と「人脈づくり」です。事務手続きや経費処理など自分がやる必要のない作業は積極的に業務効率化させて時間を作っていきましょう。

効率化によりできた時間を有効活用し、案件獲得や実績作り、スキルアップを図ることに使います。フリーランスは人とのつながりが業界の情報収集や案件紹介につながるので、積極的にコミュニティや勉強の場に入っていると安心です。

フリーランスを副業で始めるには?バレない働き方・収入の増やし方・独立までの道のり

今回は、これから副業フリーランスに取り組んでみたい方のため、具体的な始め方やおすすめの職種などについて解説します。

個人事業主に比べて、副業フリーランスは低リスクで活動を始められます。長期的に安定した収入を得るためにも、「時間管理を徹底すること」「事前に会社へ報告すること」というポイントを守って副業フリーランスの仕事を始めましょう。また、売上額によっては確定申告や保険への加入が必要になる点は注意が必要です。より成功した副業フリーランスになるため、優れたポートフォリオを準備しクライアントとの良好な関係性構築に尽力しましょう。

副業フリーランスなら低リスクでフリーランス活動を始められる

副業フリーランスとは、本業と並行しながら個人で仕事を請け負う働き方です。個人事業主との違いは、会社に所属していて独立していない点にあります。

副業フリーランスは個人事業主に比べると働き方の形が豊富で、人によって様々なスタイルで仕事をしています。また、本業の収入を確保しながら副業の報酬を得るため、収入面のリスクが小さいことは大きなポイントです。

副業フリーランスの始め方

副業フリーランスは、誰でも簡単に始められます。どのようにスタートすればよいか悩む方は、以下の3つのステップに沿って取り組んでみてください。

副業フリーランスはキャリアプランの設計から始める

副業フリーランスを始めるにあたり、漠然と始めるのではなく、まずは自分のキャリアプランを設計しましょう。初めに自己分析をし、「得意なこと」「本業で身につけたスキル」などを洗い出します。そこから、「どんな副業で仕事を獲得できそうか」「どんな目標を持つか」を明確にしましょう。

この時、「今よりも収入が増やす」というあいまいな内容ではなく、「毎月5万円稼ぐ」「3年後には副業で年に200万円を売り上げる」など細かく設定しましょう。

副業の職種・案件はこれまでのキャリアから選択する

副業フリーランスとしておすすめの職種は、仕事が在宅で完結するものです。例えばライターやエンジニア、デザイナーの業務委託案件は、原則オフィスに出社する必要がなく、一人で作業をして成果物を納品します。そのため、本業の合間をぬって自由なタイミングで仕事を進めることが可能です。

しかし、本業がこういったジャンルとは関係ない職業の場合、いきなり新しい案件を獲得することは簡単ではありません。

まずはこれまでのキャリアをベースに考え、「今後、在宅でできる仕事に就くためにどのようなキャリアを積み上げていけばよいか」を計画してください。

案件はクラウドソーシングサイトを活用しまずは経験を積む

副業フリーランスの案件探しには、クラウドソーシングサイトが役立ちます。未経験でも応募できる案件が多いものの、低単価の案件も少なくありません。

しかし、単価の安い案件をいくつか受けることで、副業として仕事を請ける流れを理解し、ポートフォリオの材料を充実させられるといったメリットがあります。

CHECK

副業フリーランスを始めるにあたり、キャリアプランを設計する
未経験の職種ではなく、本業でのキャリアを活かし仕事を選ぶ
クラウドソーシングで案件を探し、まずは安い単価の仕事も請ける

副業フリーランスを始める際の注意点

副業フリーランスを始めたのに失敗してしまう方には、いくつかの共通点があります。以下の2つは多くの方がつまずくポイントなので、気を付けてください。

副業フリーランスは時間管理が基本。軌道乗っても体調管理を優先する

副業フリーランスを始める上で最も大切なことは、しっかりとした時間管理です。副業ばかりに時間をかけると、本業がおろそかになったり、休む時間が取れず体調を崩したりします。

仕事が安定して獲れるようになるとついやりすぎてしまいますが、失敗しないよう「副業に使うのは毎日3時間まで」「週に1日は休みを取る」といったルールを作っておきましょう。

副業フリーランスはいずれバレる。会社には先に連絡しておく

最近では副業を許可する企業が増えていますが、「とはいえ、会社に言いにくい」「本業が手抜きになると思われるのでは」と不安を感じる方もいます。

しかし、副業を秘密にしてもどこかでバレる可能性は高いです。

一般的には確定申告のタイミングや住民税の金額などがきっかけになると言われていますが、その他にも「副業の人脈が本業の知り合いと繋がった」「副業の納品物が公開されて名前を見られてしまった」など、露見するパターンはいくつでもあります。

後からバレると信頼性を失うため、多少の抵抗があっても初めから報告しておくことを強くおすすめします。

CHECK

副業フリーランスは時間と体調の管理を徹底することが大切
会社に言わなくてもいずれバレる可能性があるため、事前に報告する

副業フリーランスの税務と社会保険の扱い

副業フリーランスの確定申告は20万円以上の所得で義務に

本業以外で年間20万円以上の所得を得ると、確定申告が義務となります。

このとき注意すべき点が、売上ではなく所得であることです。

所得とは「売上から経費を差し引いた金額」を指します。正しく税務処理をして、間違いなく確定申告をしましょう。

副業フリーランスの条件を満たせば社会保険の加入が必要に

副業フリーランスとしての仕事量や状況によって、雇用保険への加入が必須となります。

他にも働いている条件によっては、健康保険や介護保険、厚生年金保険、労災補償保険への加入が義務付けられるケースもあるため、自身が対象となるか確認しましょう。

CHECK

確定申告が必要か判断するため、正しく税務処理を行う
副業であっても、条件次第では各種保険への加入が義務となる

成功する副業フリーランスの共通点

副業フリーランスとして活動を始めた人の中には、案件を増やして売上を伸ばせる人もいれば上手くいかない人もいます。その差はどこにあるのか、成功者の共通点を解説します。

ポートフォリオと自己PRの強さ

案件を獲得するために最も大切なことは、自分の強みを打ち出すことです。

例えばライターの中にも、企業のHPに掲載するライティングが得意な人もいれば、SNSに投稿する文章を考えるのが得意な人もいます。

自分に何ができるのかを明確にすると、クライアントから「この人にはこれを頼めそうだ」と依頼してもらいやすくなります。

自分の強みを裏付けるためにも、ポートフォリオは重要です。自己PRに繋がる実績を多く掲載し、経験の豊富さをアピールしましょう。

クライアントとの良好な関係構築

副業フリーランスとして成功している方は、クライアントとの良好な関係構築に注力しています。相手に信頼してもらうためには、求められているクオリティの仕事をスピーディに終わらせることが必須です。

初めのうちはとにかく速さを重視し、品質にこだわるのは何度か仕事をして信頼関係が生まれてからにしましょう。

また、初めのうちは小さいことでも報連相を徹底してください。お互いに慣れるまでは、すれ違いが起きないよう頻繁にコミュニケーションを取り、そこから頻度を落とします。これなら、相手の時間を無駄にとることがなく高評価を得られます。

継続的なスキルアップや学習意欲・好奇心

会社員とは異なり、フリーランスの場合は会社や上司が学びの機会を与えてくれることがありません。

常に自分で学習意欲と好奇心を持ち、継続的にスキルアップする必要があります。学びをやめるとスキルや知識が時代遅れになり、安定的な収入は見込めません。新規顧客の獲得も難しくなります。

また、やみくもに勉強するのではなく、どのようなスキルを伸ばすべきかを見極めてください。この時、一人で考えるよりも、同じ業界で活躍する人に相談することがおすすめです。フリーランスコミュニティーなどに加わり、いつでも相談ができる人がいる環境を整えましょう。

CHECK

自己アピールするポイントを明確化しポートフォリオで信頼性を高める
スピーディなコミュニケーションでクライアントとの良好な関係性を構築する
学習意欲や好奇心を持ち続け常に新しいスキルを学ぶ

本業と並行し副業としてフリーランスを始めると、収入面でのリスクを軽減できます。特にライターやデザイナーなど成果物を納品する仕事であれば、時間に融通が効き無理なく進められます。
副業フリーランスについて「難しそう」「自分にできるだろうか」と不安に感じる方も多いですが、成功者に共通しているポイントをおさえれば誰でも売上を上げられます。ぜひ、まずは行動してみましょう。

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