フリーランスの少額減価償却資産の特例とは?|減価償却のルールと計算手順を具体例で解説

固定資産を一定期間にして会計処理する減価償却は、節税効果やキャッシュフローの改善といったメリットのあるものです。適用方法にはいくつか選択肢があります。フリーランスと減価償却について詳しく知りましょう。

減価償却資産に該当する資産は原則として減価償却を行い、耐用年数に応じて割って費用に計上する必要があります。フリーランスの場合は特例適用することで減価償却せずに一括経費計上ができる場合もあります。

フリーランスは30万円未満の減価償却資産は一括経費計上できる

フリーランスは、30万円未満の減価償却資産に関しては少額減価償却資産の特例を利用して一括経費計上が可能です。パソコンを買い替えたり、新しいソフトを導入したり、オフィスの引っ越しをした際など、通常よりも必要経費が増えた年度に使える制度を知っておきましょう。

そもそもフリーランスの経費と減価償却とは

まず、「経費」とは事業活動を行うために必要な支出のことです。

一方「減価償却」とは固定資産を耐用年数に応じて分割計上することを指します。減価償却により発生した「減価償却費」は経費の一部となります。

減価償却の対象になる資産や金額は定められていますので、資産ごとの耐用年数や減価償却方法を確認しておくことが重要です。

経費計上の減価償却は分割して経費化すること

減価償却とは、長期間使用する資産の価値を複数年で分割して経費として計上する処理のことです。

事業の運営に使用する固定資産の中で時間の経過とともに価値が減っていくもので、取得価額が10万円以上、耐用年数が1年以上のものが対象となります。

減価償却の定額法と定率法の違い

減価償却には主に定額法と定率法の2つの方法がありますが、フリーランスの場合は「定額法」を使用することが一般的です。

定額法のメリットとして、毎年同額の減価償却費を計上できてわかりやすく計算が簡単ということが挙げられます。

定額法:毎年均等に減価償却を行う方法です。資産の取得金額をその耐用年数で割り、毎年同じ減価償却額を経費として計上します。

定率法:初年度に多く減価償却し、減少した金額で償却する方法です。最初のうちは高い額が経費として計上され、その後は徐々に減少します。

そもそも経費になる例・ならない例

事業活動を行うために必要な支出は経費として計上できますが、プライベートなど業務と関係ない支出は経費として認められません。経費になる例・ならない例を以下表でまとめています。

  計上できる例計上できない例
事業関連外注費営業やマーケティング関連業務などの外注料金やライターやデザイナーへの報酬家事代行など業務とは無関係な代行
 広告宣伝費インターネット広告、チラシ広告、SNSやインフルエンサーとのコラボ費用や名刺作成費用など
 通信費事業用の電話代、インターネット代、モバイル通信費用家の固定回線など業務では使わないもの
 事務用品費事務所で使用する文房具や消耗品、コピー用紙などプライベートで利用するもの
 消耗品費電池、事務用品など業務で使うものプライベートで利用するもの
 接待交際費クライアントとの打ち合わせカフェ代や会食費、贈答品業務に関係ない飲食代
 交通費業務に関連する電車代やタクシー代、ガソリン代個人的な移動の交通費
 旅費交通費出張費用としての飛行機や新幹線、宿泊費用個人的な観光などの費用
オフィス関連家賃事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 光熱費事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 保険料事業用の損害保険や生命保険事業主自身の保険料
 設備投資パソコンやオフィス家具、カメラ機材など、事業に必要なものプライベートで利用するもの
 ソフトウェア費用業務で使用するソフトウェアの購入費用やサブスクリプション費用プライベートで利用するもの
人件費給与社員やアルバイトへの給与
 社会保険料雇用保険や健康保険、年金などの社会保険料
教育・研修関連研修費業務やスキルアップに関連する研修やセミナーの参加費用
 書籍費業務に役立つ書籍や資料購入代金個人の趣味で購入したもの

経費化できる減価償却の対象となる資産

フリーランスの減価償却の対象となる主な資産は以下の通りです。経費と同じく、事業に関連するもののみが対象になります。

  • パソコン・タブレット・スマートフォン:仕事で使用するパソコン、ノートパソコン、タブレット、スマートフォンなど。
  • オフィス機器:プリンター、スキャナー、コピー機、FAXなど、業務で使用する電子機器。
  • ソフトウェア:会計ソフトやデザインソフトなど業務で使用するソフトウェア。
  • 車両:事業用に使用する自動車やバイク、トラックなど。
  • 家具・備品:事務所で使用する机、椅子、棚、書類整理用のキャビネットなど。
  • 建物:事業用に借りている事務所や店舗。

※プライベートで使用しているものは減価償却対象になりません。

業務に使用しない固定資産や、時間が経っても価値が減少しない固定資産に関しては、減価償却の対象にはならず、大きな例で言うと土地は減価償却の対象ではありません。

減価償却の分割は耐用年数により決定されている

減価償却を行う場合、税務署が定めた耐用年数に基づいて償却します。主な資産の耐用年数は以下の通りです。

資産の種類耐用年数
パソコン・タブレット4年
携帯電話・スマートフォン10年
プリンター・コピー機・スキャナーなどの事務機器5年
ソフトウェア(業務用)5年
事務机、いす及びキャビネット(金属製のもの)15年
事務机、いす及びキャビネット(金属製以外のもの)8年
カメラ5年
自動車6年
軽自動車4年
バイク3年
自転車2年

さらに詳しい耐用年数は国税省の減価償却ページもご確認ください。

CHECK

・価値が時間とともに減少する固定資産は減価償却する
・フリーランスは30万円未満の減価償却資産は一括経費計上できる
・対象資産や分割年数は法で決められている

少額減価償却資産の特例で一括で損金算入する

少額の減価償却資産とは取得価格10万円未満の資産のことを指し、この資産に関しては減価償却せずに費用を全て経費計上することができます。

これに加えて、青色申告法人である中小企業者の場合は「少額減価償却資産の特例」が適用となり、購入金額が10万円以上30万円未満の資産についてその年に一括で経費計上できます。これは青色申告を行っているフリーランスも対象となっており、一括で減価償却することで税負担軽減につなげられます。

少額減価償却資産の特例の概要

少額減価償却資産の特例とは、10万円以上30万円未満の減価償却資産を取得した場合に合計300万円までを限度に、即時償却(全額損金算入)が認められる制度です。青色申告をしている中小企業および個人事業主が対象となっています。

減価償却の手続きを避けたい場合や、経費を増やして利益額を減らすことで減税対策をしたい場合に有用です。

少額減価償却資産の特例の対象となる資産は取得価格が30万円未満

1つあたりの取得価格が30万円未満かどうかで対象になるか判断されます。

また、自社の経理処理が消費税込みで処理をしているか、税抜きで処理をしているかによって、判断する価格が変わってくることにも注意しましょう。

少額減価償却資産の特例の上限は事業年度で300万円までが対象

1年間に特例として計上できる資産の上限額は300万円となっています。300万円を超えるものに関しては適用外となります。

ひとつの資産を特例の対象と対象外に分けることはできないため、上限金額ぎりぎりまで使いたいので資産を分けて計上する、ということはできません。

少額減価償却資産と一括償却の償却方法の違い

「少額減価償却資産の特例」とは別に、「一括償却資産制度」による減価償却手法もあります。

一括償却資産とは、すべての事業者を対象に10万円以上20万円未満の減価償却資産を3年間で均等償却できる制度です。

例えば15万円(10万円以上20万円未満の)のパソコンを購入した場合にできる処理方法は以下の3パターンになります。

①耐用年数に応じて減価償却

②一括償却資産として処理

③少額減価償却資産の特例で処理(青色申告をしている場合)

①耐用年数に応じて減価償却②一括償却資産として処理③少額減価償却資産の特例で処理
償却年数4年(パソコンの耐用年数が4年)3年(3年の均等償却が適用される)1年(即時償却が可能)
会計処理初年度:減価償却費 3万7,500円2年目:減価償却費 3万7,500円3年目:減価償却費 3万7,500円4年目:減価償却費 3万7,500円初年度:減価償却費 5万円2年目:減価償却費 5万円3年目:減価償却費 5万円初年度:減価償却費 15万円

少額減価償却資産の特例の適用には青色申告が必要 

少額減価償却資産の特例を適用できるのは、青色申告書を提出している事業者のうち、常時使用する従業員数が500人以下である事業者に限定されています。

特例を適用したい場合は、青色申告で確定申告を行う必要があるので注意しましょう。

少額減価償却資産の特例は節税にメリットがある

少額減価償却資産の特例を使う大きなメリットは節税効果です。実際に支払った金額を同じ年度のうちに経費として計上することで利益額を抑え、課税対象額を低くすることで節税効果を得られます。

CHECK

・フリーランスは少額減価償却資産の特例が適用される
・少額減価償却資産の特例により年300万円まで全額損金算入可能
・少額減価償却資産の特例は節税にメリットがある

少額減価償却資産の特例を適用する注意点

少額減価償却資産の特例は、10万円未満の減価償却資産や一括償却資産との違いを理解しどれが最適なのかを判断して選択する必要があります。

また、資産の購入金額が基準を超えている場合や事業用途でない資産には適用されないので注意しましょう。

節税対策になる一方で利益が減るケースも

少額減価償却資産の特例を利用すると、その年度に全額を経費として計上するので帳簿上の利益額が減少します。

利益が減少することは、税負担軽減や資金繰り改善に有利である反面、銀行からの融資を受けにくくなるなどのメリットもあります。

消費税の処理の方法で会計の扱いが変わる

インボイス制度により免税事業者と課税事業者のどちらかを選択するフリーランスが出てきました。免税事業者は消費税の納付義務が免除されており税抜きで会計を行います。

課税事業者は消費税の納税義務があり、税込みで会計を行います。少額減価償却資産の特例が適用される30万円までに費用が収まるかどうか、税抜きか税込みのどちらで判断するべきなのか自社の会計方法をきちんと把握しておく必要があります。

CHECK

・少額減価償却資産の特例を適用するには注意が必要
・短期的な利益の減少によるデメリットもある
・消費税の処理の方法で会計の扱いが変わる

減価償却は、フリーランスにとって節税やキャッシュフローの改善に有効な手段です。特に、30万円未満の資産には一括経費計上ができる特例があり、これを活用することで税負担を軽減し、経営の安定性を高めることができます。

フリーランスこそ会計ソフトで経理作業を効率化|推奨ツール・導入後の効率的な会計業務の始め方

フリーランスが売上を上げる行為に集中するためには、事務処理や経理作業などのバックオフィス業務を効率化させるのがカギになります。特に経理作業は専門知識が必要で、初心者にとっては時間がかかるもの。会計業務を楽にするツールを導入することで効率化を図ります。

フリーランスが会計業務を効率よく進めるためのツールとして、会計ソフトの導入が非常に重要です。初心者でも使いやすく、事業をサポートする機能が豊富なソフトを選ぶことがポイントです。

青色申告のフリーランスには会計ソフトが必須

青色申告をするには原則として仕訳帳と総勘定元帳の2つの帳簿が必要になります。仕訳帳は日々の取引を日付順に記録する帳簿で、総勘定元帳は仕訳帳に記録された取引を勘定科目ごとに記録する帳簿です。どちらも経理の知識がある程度ないと作成が難しいのですが、会計ソフトを使うことで知識がなくても効率的に申告準備を進めることができます。

迷ったら導入すべき会計ソフトおすすめの会計ソフトの特徴と強み

会計ソフトは入力された取引をもとに自動で仕訳を行い帳簿を作成してくれるだけでなく、青色申告や確定申告に必要な書類を自動で作成する機能を持っているものもあります。これらの機能を持っているソフトを使うことで、正確な帳簿管理や確定申告をスムーズに済ませることができるのです。

会計初心者向けに優しいfreee会計

フリーランス向けに設計されたfreee会計は、会計知識がない人でも操作がわかりやすく、自動仕訳やレポート作成機能が豊富です。請求・支払業務から会計帳簿・決算書の作成、経営管理まで、会計をスムーズに効率化してくれます。

マイクロ法人フリーランス向けなMoneyForwardクラウド確定申告

MoneyForwordクラウド確定申告は、ステップに沿って入力していくだけで確定申告に必要な書類をカンタンに作成できるサービスです。銀行口座やクレジットカードからの取引明細自動取得、勘定科目の自動提案などの機能も充実しています。

領収書が多い人向けな弥生のクラウド確定申告ソフト

やよいの青色申告は、青色申告に対応した機能が充実しており、簿記知識がない人でも仕訳や帳簿の管理が簡単に行えるのが特徴です。1日あたり10,000枚まで領収書を取り込める機能があり、領収書が多い人に向いている会計ソフトです。

大手シェア会計ソフトから選べば間違いない

フリーランスによく選ばれているのは、freee・マネーフォワード・弥生の三大会計ソフトです。これらの会計ソフトにはフリーランスに必要な機能が備わっており、未経験でも使いやすい仕様になっているので3つのうちから選んで使ってみると良いでしょう。

CHECK

・会計ソフトを使えば経理知識がなくても確定申告がスムーズになる
・さまざまな会計ソフトの違いを知り、自分に合ったものを選ぶ
・大手シェア会計ソフトから選べば間違いない

会計ソフトでできること・メリット・デメリット

会計ソフトを導入するメリットは経理業務の効率と正確性が大幅に向上することです。会計ソフトでできることを詳しく知り、何がどう便利になるのかを把握しましょう。

会計ソフトの主な機能

会計ソフトは会計が初めての人でもわかりやすく経理処理ができるようになるツールです。銀行やカードの取引データを自動で取り込んだり、売上や経費を自動で計算してくれたり、必要な帳簿類を自動で作成してくれるなどとても心強い存在です。AI機能を搭載した会計ソフトではデータの自動入力だけでなく、数字のチェックもしてくれるなど便利な機能が追加されています。

自動仕訳機能

仕訳とは、ビジネスにおいて発生した取引を「借方」と「貸方」に分けて仕訳帳に記入することです。記入する際には適切な勘定科目を選ぶ必要がありますが、会計ソフトでは自動で判別して仕訳伝票を作成してくれます。

領収書やレシートのスキャン保存機能

紙でもらった領収書やレシートをスキャナーでスキャンしたり、スマートフォンのカメラで撮影すると、日付や金額を自動でデータ化して会計ソフトに取り込んでくれる機能です。手入力によるミスを防止し、何よりも時短につながります。

銀行口座やクレジットカードとの連携機能

会計ソフトを銀行口座やクレジットカードと連携すると、取引情報が自動で会計ソフトに取り込まれ、支払い詳細や未払金の状態など、取引情報をリアルタイムに正確に把握することができます。

帳簿や資金繰り表などのレポート作成機能

確定申告の際に提出が必要な帳簿や、キャッシュフローを把握するための資金繰り表を自動で作成してくれる機能です。資料をまとめる時間を取られることなく売上推移や支払いスケジュールなどを素早く把握することができます。

確定申告書類の自動作成機能

フリーランスが行う会計処理の中で一番大変なのが確定申告です。毎月の収支データを会計ソフトに蓄積しておけば確定申告に必要な書類を作る手間を減らせるだけでなく、控除額の確認や記載漏れ防止などミスを防ぐことができます。

メリットは簿記の知識不要で効率的な会計業務

フリーランスが会計ソフトを使う大きなメリットは簿記や会計の知識がなくても経理業務を効率的に進められることです。自分でエクセルなどで数字の管理を行う手間と比べてスピーディに会計処理を行い、仕訳の自動化やチェック機能によりミスが少ないのが心強いポイントです。デメリットよりもメリットのほうがはるかに大きいので、会計ソフトの導入は積極的に検討しましょう。

デメリットはランニングコストのみ

機能が充実している会計ソフトを使う場合は費用がかかるのがデメリットではあるものの、その分削減できる手間や時間を考えると決して高い投資ではないでしょう。

CHECK

・会計ソフトの導入はフリーランスにとってメリットが多い
・大きなメリットは経理業務の効率と正確性が大幅に向上すること
・会計ソフトはメリットが多いので導入は積極的に

法人とフリーランスでは必要な確定申告書類の違いがある

法人とフリーランスの大きな違いは、法人登記しているかどうかです。法人登記をすると申告先や税金の種類、税率などが変わります。また、フリーランスといわれる働き方の中にも、法人を設立せずに個人で事業を営む個人事業主のフリーランスもいれば、1人で事業を回しながら法人化しているマイクロ法人フリーランスといった人もいます。

個人事業主フリーランスの場合

個人事業主とは法人ではなく個人で事業を営む自営業者のことを指します。個人事業主で確定申告をするには青色申告がおすすめですが、会計ソフトを使うことで以下の必要書類を簡単に作成することができます。

確定申告で必要な書類:

  • 確定申告書B
  • 収支内訳書
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)

マイクロ法人フリーランスの場合

マイクロ法人とは、代表者ひとりで経営している法人のことです。実態としては個人事業主と変わらないことが多いですが、法人格の有無、経費の取り扱い方法などが大きく異なります。確定申告においても、法人に準じた申告が必要になるため個人事業主の確定申告よりも複雑な決算申告及び税務申告が必要になります。提出が必要な書類の種類も増えるので、税理士に依頼することが多いです。

確定申告で必要な書類:

  • 総勘定元帳
  • 領収書綴り
  • 決算報告書
  • 勘定科目明細書
  • 法人事情概況説明書
  • 法人税の申告書
  • 消費税の申告書
  • 地方法人税の申告書

CHECK

・法人とフリーランスでは必要な確定申告書類が異なる
・個人事業主の確定申告は比較的簡単
・マイクロ法人の場合は確定申告においても、法人に準じた申告が必要になる

本当に必要な会計ソフトの比較ポイント・選び方

会計ソフトには様々な種類があり、事業規模や自身の会計知識量にあったものを選ぶのが良いでしょう。会計ソフトを選ぶ際にチェックしておきたい比較ポイント4点を紹介します。

クラウド型であること

会計ソフトにはパソコンにダウンロードして使用する「インストール型」とインターネットにアクセスしてブラウザで使用する「クラウド型」があります。銀行の入出金記録やクレジットカードの明細などを連携して読み込むことができ、税制度の改正などにも対応してアップデートされるクラウド型がおすすめです。

青色申告に対応していること

フリーランスの確定申告に欠かせない会計ソフトは、青色申告で必要な複式簿記に対応しており、e-Tax対応で書類作成から提出までをオンラインで済ませることができるものが必須です。

口座やカードなど外部連携機能が豊富であること

会計ソフトには銀行やクレジットカードなど金融機関や電子マネーと連携してデータを自動入力し、入力の手間を削減する機能がついています。自身が使っている金融機関との連携が対応されているかどうかチェックをしましょう。

有料プランの費用が高すぎないこと

クラウド型会計ソフトにかかる費用は年間1万円前後が目安です。フリーランスとして必要な機能を満たしているものであれば十分です。必要以上にハイスペックなソフトを導入すると費用も高くなるので気を付けましょう。

会計ソフト導入後の効率的な会計業務の始め方

会計ソフトを導入したら初期設定が肝心です。自社の取引先に合わせた仕訳設定や、必要な書類のフォーマットを設定しておきます。なにかが必要になった時に設定から始めようとすると、欲しいデータがまとまっていなくていちからやり直し、といったことになりかねません。

事業用口座を開設し会計ソフトに紐づける

プライベートのお金と混ざらないように事業用口座をまず開設し、口座と会計ソフトの紐づけを行います。これにより入出金のデータを自動的に取り込むことができます。

ビジネスカードを​つくり会計ソフトに紐づける

銀行口座だけでなく、ビジネス用のクレジットカードを使う場合はカードと会計ソフトの紐づけを行うことで取引情報を自動的に取り込めます。支払いの詳細や未払金の管理が簡単になります。

​請求書や​見積書の​ツールを用意する

会計ソフトに用意されているテンプレートをもとに、請求書や見積書のフォーマットを作っておきます。

月末毎に会計ソフトで入出金の仕訳を行う

会計ソフトで自動仕訳を行うには、事前に自動仕訳ルールを設定しておきます。自動仕訳ルールとは、勘定科目などの仕訳内容を記憶し、明細が取り込まれた際に自動で仕訳できるようにしておくことです。この設定をすることで仕訳候補に勘定科目や摘要が反映されるため、仕訳業務が簡単に完了します。

最初はお金の流れを知るために会計業務は​自分で​行うべし

会計ソフトが出てくる前までは会計業務の負担削減手段として税理士に頼んでやってもらうことも選択肢の一つでしたが、現在では優秀な会計ソフトがその役割を担ってくれています。フリーランスとして自身の資金繰りを把握しておくために、まずは会計ソフトを使いながら自分で会計業務の一連の流れを経験しておくことをおすすめします。

CHECK

・会計ソフトは青色申告に対応しているものを選ぶこと
・事業規模や自身の会計知識量にあったものを選ぶのが良い
・お金の流れを知るために、まずは自分でやってみること

自分の事業規模や、自身の経理知識の度合いに合わせた会計ソフトを選び導入することで、日々の経理業務だけでなく確定申告まで効率的に済ませることができます。

【無料DLあり】フリーランスの始め方まるわかり!開業手続き・準備リスト完全ガイド

フリーランスになるにあたって、自信をもって「どんな手続きをすればよいか理解している」と言い切ることはできますか?

なんとなくはわかっていても、「抜けれもがあるかも」「何か忘れていそう」と不安を感じる方も多いかもしれません。そこで今回は、フリーランスに必要な開業手続きについて解説します。

副業・複業フリーランスと独立フリーランスどちらを目指す?

これからフリーランスを目指す方にとって、まず考えるべきは「副業や複業としてフリーランスの案件を受けるか、完全に独立したフリーランスになるか」ということです。

副業や複業としてフリーランスをする場合、案件の発注元と雇用関係を結ぶため、会社員のように国民年金と厚生年金の加入対象となり、健康保険組合にも入れます。

独立したフリーランスになると、雇用関係は発生しません。個人事業主として働く場合は国民年金と国民健康保険に加入し、法人として働く場合は厚生年金の対象となり健康保険組合や協会けんぽに入ることになります。

働き方によって優劣があるわけではなく、様々な面で違いがあるので、それぞれの選択肢について「資料名:フリーランス開業の手続きカレンダー – これ1枚で独立準備は万全!【無料ホワイトペーパー】」を参考にしっかり理解しましょう。

どのようにフリーランスになるか悩んでいる方は、いきなり独立するよりもまずは副業や複業から始めてソフトランディングしていく方法をおすすめします。

フリーランスを始める際の今の会社との向き合い方

会社員として働いている方がフリーランスとして独立する場合、どのように今の会社とコミュニケーションを取ればよいのでしょうか。会社との向き合い方について、解説します。

独立・副業でも会社には必ず報告

近年は副業を認める会社が増えていますが、会社には副業を始めることを言いにくい方も多いでしょう。

しかし、会社に何も言わず始めても、確定申告を通じてバレたり、副業と本業の人脈が繋がったりしてバレたりするケースは多々あります。発覚してから「実は……」と切り出すより、事前に報告しておいたほうが信頼関係を損ねないため、前もって話しておきましょう。

他にも独立するためにリスクを抑える方法を「副業フリーランスの始め方。副業で始めるメリット・デメリットとおすすめ職種と案件探しのコツを紹介」で紹介しているので、ぜひご一読ください。

完全独立をする際にこそ円満退社

副業から始めて売上が軌道に乗ると、完全独立のタイミングとなります。この時は本業の会社を辞めることになりますが、円満に退社できるようにしましょう。

どのように会社に報告するべきかは「副業に関する就業規則別の会社に報告する具体的な流れ」にありますが、副業を始める段階で会社に報告したり、周りの人に応援してもらえるように工夫したりといったポイントがあります。

副業-会社報告

会社に所属している間にローンやクレジットカードを契約

残念ながら、日本ではフリーランスというだけで社会的信用が低いとみなされることが頻発するのが現状です。そのため、会社員という身分があるうちにやれることはやっておきましょう。特に大切なのは、ローンとクレジットカードの契約です。これらは、フリーランスになると審査落ちする確率が増えます。

フリーランスの方におすすめのカードについては「フリーランスの会計処理を効率化するクレジットカード。クレジットカードの選び方とおすすめのカードを紹介」で、ローンを組みたい方に耳よりの情報は「フリーランスの資金繰りをサポートするローン活用。ローンの種類と申し込みタイミングや融資による資金繰り方法を紹介」で解説しているので、退職前に必ずご一読ください。

また、引っ越しを考えている方は退職前に賃貸契約を結びましょう。フリーランスであるというだけで、会社員時代の倍の収入や、1年分の賃料が払えるだけの貯金の証明を見せても、入居を断られるケースは珍しくありません。

CHECK

・まずは副業や複業から始め、軌道にのってから独立したフリーランスになる
・副業を始めるときは会社にしっかり報告することで信頼関係を保てる
・会社員のうちにローンやクレジットカードの申し込み、賃貸契約を終わらせる

フリーランスは案件獲得やプライベートにも人脈は大切

フリーランスが最初にぶつかる壁は、仕事が見つからないということです。自分にスキルがあってもそれをアピールできる場は多くないですし、ポートフォリオが豊富でなければクライアントに自分の実力を示すことも難しいです。

だからこそ、人脈を広げて多くの方とつながりましょう。知り合い1人だけに営業しても仕事がもらえる確率は非常に低いですが、100人に営業すればそのうちの1人くらいは仕事をくれる可能性があります。

また、フリーランスの場合は基本的に一人で仕事をしますし、案件が終われば同じ人と関わることはありません。だからこそ、孤独を感じないようにたくさんの方と知り合いになりプライベートも充実させましょう。

具体的な人脈の広げ方は、「フリーランスにとって人脈は重要?人脈の作り方や継続的な仕事につなげるまでの道のり」で解説しています。

フリーランス開業手続きロードマップ

フリーランスとして開業するためどのような手続きが必要か、具体的な方法を知っておかなくてはうっかり何かを忘れてしまうかもしれません。何か月前からどういった書類を用意し、何を準備してどこに提出すればよいのかなど、「資料名:フリーランス開業の手続きカレンダー – これ1枚で独立準備は万全!【無料ホワイトペーパー】」で確認してください。

会社に退職願を提出し源泉徴収を受理

会社に退職届を出し、正式に辞めましょう。その際、源泉徴収の発行をお願いすることを忘れないでください。たいていの場合、最終出勤月の給与が確定した後、給与明細と一緒に受け取れます。

ハローワークで失業手当(再就職手当)を申請

退職後は、失業保険をもらいましょう。会社から離職票をもらったらハローワークに行き、申し込みします。一週間後に雇用保険説明会に参加して失業認定報告書を提出すると、4週間ごとに手当が振り込まれます。

社会保険料の手続きを申請

フリーランスは、国民健康保険と国民年金に入らなくてはなりません。会社員であれば会社が保険料の5割を負担してくれますが、フリーランスは全額自己負担となります。

役所にて必要な書類を提出すると申請できるため、「フリーランスが加入すべき社会保険は?加入条件や加入手続きや保険料を抑えるコツを解説」を参考に退職後早急に手続きを進めてください。

税務署に開業届・青色申告承認申請書の提出

フリーランスになったら、原則1か月以内に開業届を提出してください。その際、青色申告承認書も出しましょう。これにより最大65万円の特別控除が受けられるようになり、節税ができるようになります。

開業届を出すメリットは様々あるため、気になる方は「フリーランスの開業届。開業届の提出のスムーズに進めるに必要な準備をステップ式で解説。」をご一読ください。

事業用口座の開設申請をし独立

フリーランスになったら、事業用の口座を開きましょう。個人で使っている口座とわけることで、お金の動きをしっかり管理できるようになります。金融機関はどこでも良いですが、店舗のある銀行であれば窓口で色々と相談ができますし、ネット銀行であれば時間や場所を問わず安い手数料で利用できます。

フリーランスにおすすめの銀行については、「フリーランス向け屋号付き事業用口座の開設方法。会計を楽にするおすすめ口座や活用法を解説」にて解説しています。

営業活動は準備期間から常に並行して行い余裕を持つ

フリーランスになってからいきなり営業をするのではなく、準備段階からしっかり進めておきましょう。繰り返しますが、フリーランスにとって最初の壁は案件獲得です。営業活動はどんなにやってもやりすぎということはないので、スキルを磨いたりポートフォリオを作ったりするのと同時並行で、営業先を見つけてコミュニケーションをとっていってください。

具体的な営業方法については、「フリーランスが直案件を獲得する営業手法。案件獲得のチャネルの種類や直営業までのステップを解説」にまとめています。

CHECK

・退職届を出し源泉徴収発行を依頼したら、失業手当を申請する
・各種保険の申請と開業届の申請手続きを行う
・準備段階から営業活動を始め、案件確保に注力する

フリーランスの独立に必要な資金はいくらから?

フリーランスとして独立するためには、どのくらいの資金が必要でしょうか。「フリーランス独立に必要な初期費用。開業資金・運転資金の目安や資金調達の方法を解説」を参考に、コツコツお金を貯めておきましょう。

フリーランスとして効率的に仕事するために必要な準備

フリーランスとして働く中で、効率性を高めることが重要です。月給が決まっているわけではなく仕事をやればやるほど売上が上がるので、効率的に作業を進めて限られた時間でたくさんの案件をこなしましょう。

マイナンバーは開業届や確定申告の効率化のため事前に取得

マイナンバーを取得していない方は、早急に手続きしてください。開業届や確定申告の際、自分のマイナンバーを記入する機会があります。e-Taxを使って税務署への手続きも効率的に進められます。

他にどのようなメリットがあるかについては、「フリーランスのマイナンバー活用術。開業届から青色申告での確定申告と便利な活用方法を解説」にまとめています。

印鑑は事業用の丸印・角印・銀行印を準備

事業用として使う印鑑を準備しましょう。様々なリスクに備えること、いずれ法人化するかもしれないことを考えると、丸印・角印・銀行印の3つを買っておくことをおすすめします。

購入の際に絶対に気を付けたいポイントについては、「フリーランスが作るべき印鑑。印鑑の種類・用途・具体的な作成方法と電子印鑑の準備も解説」にて解説しています。

オフィスには投資を惜しまず作業環境を完備

初期投資を抑えることは重要ですが、作業環境を整えるためにはある程度のお金を使いましょう。コワーキングスペースに登録すると、仕事場と生活の場を分けられますし、フリーランス仲間も得やすいです。家で仕事をする場合は、長時間使っても疲れない椅子や机を買いましょう。

どうすれば生産性の高い環境を作れるかについては、「フリーランスの生産性とQOLを上げるオフィス環境作り。オフィスの選び方を中心に快適な働き方を実現する方法を紹介。」をご一読ください。

屋号は覚えやすく・事業内容がわかりやすいが基本

必須ではありませんが、フリーランスとして独立する際に屋号を作ることができます。もし作るのであれば、「何をやっているかがわかる」「複雑な名前ではなく覚えやすい」の2点がポイントです。

具体的な考え方については、「フリーランスと屋号。後から変更もできる屋号はこだわり過ぎず、まずは開業し手を動かして実績を積み上げる」を参考にしてください。

オンライン商談が多い時世でも営業ツールとして名刺は用意

「今の時代、名刺っているの?」と思うかもしれませんが、持っておいて損はないでしょう。対面での交流会に参加する際、名刺がないとなかなか新しい方と繋がれません。また、自分の事業内容をパッと伝えられる点も魅力です。

名刺を作る際は、どのような点に気を付ければよいか「フリーランスの名刺の作り方。営業ツールとして仕事につなげる名刺のポイントと発注方法・効果的な交換方法を解説」を参考にしながら考えてみてください。

確定申告のため会計ソフトを事業用口座と事前に連携

フリーランスとして働くなら、確定申告は必須です。効率的に作業ができるよう、事業用口座を会計ソフトと連携させておきましょう。確定申告については不安な点も多いと思うので、「フリーランスの確定申告。確定申告の流れや必要書類の書き方と会計ソフトを活用した効率化方法」を参考に勉強してみてください。

受発注管理のために契約書フォーマットと電子契約サービスを準備

案件が増えてくると、それぞれについてしっかり管理する必要性が高まります。受発注管理については、2024年11月から施行されているフリーランス新法に準じることが大切です。

「フリーランスの受発注管理。フリーランス新法対応の契約書フォーマットを無料ダウンロード」を参考に、契約書のフォーマットと電子契約のサービスを準備してください。

フリーランスになるためには、様々な準備が必要です。つい自分のスキルを高めることだけに集中してしまいがちですが、「手続きを滞りなく進める」「お金周りの準備を整える」といったことにも注意を払いましょう。

まだ何をしていいかわからないという方には、今回ご紹介した改行手続きのロードマップが役立つはずです。どのタイミングから、どのような書類を用意し、どのように提出すればよいか、しっかり確認してください。

フリーランスの社会保険を賢く活用|国民健康保険・年金・iDeCoの加入方法と保険料軽減策を紹介

自分の身は自分で守らなければいけないフリーランスは社会保険も自分で加入し自分で全額負担します。万が一の事態に備えるために社会保険を含む保障を整えておくことは非常に大切です。しっかりと備えるための具体的な方法を知っておきましょう。

社会保険は怪我や病気など万が一への備えや老後の生活保障として加入する大切なもの。うまく活用すれば節税対策にもなります。。

フリーランスが加入義務がある社会保険は国民健康保険と国民年金

社会保険とは保険料を支払うことでリスクに備える制度のことで、フリーランスが加入義務のある社会保険は「国民健康保険」と「国民年金」です。その他の社会保険(雇用保険や労災保険など)は、基本的にフリーランスには適用されませんが、特定の状況に応じて加入できる場合もあります。他にも任意加入できる保険や制度もあるので、万が一の際に備えて検討してみると良いでしょう。

そもそも社会保険の種類

社会保険とは「健康保険」「年金保険」「雇用保険」「労災保険」の4つを指しますが、フリーランスが加入できるのはそのうちの2つ「健康保険」「年金保険」のみです。会社員の際と加入できる保険の種類が異なるので切り替えなどの手続きが必要になります。

会社員とフリーランスの保険の違いは加入条件と負担率 

次の表は、会社員とフリーランスで加入できる保険の違いです。

社会保険内容フリーランスの場合会社員の場合
健康保険病気やケガの際の補償国民健康保険に加入できる保険料は全額自己負担勤務先の健康保険に加入できる保険料は会社と折半で5割負担
年金保険老後の生活資金を支えるための制度国民健康保険に加入できる保険料は全額自己負担厚生年金に加入できる保険料は会社と折半で5割負担
雇用保険失業した際に生活支援をするための保険加入できない加入できる保険料は会社と折半で5割負担
労災保険仕事中の事故や病気に対する補償加入できない加入できる保険料は全額会社負担

フリーランスが加入できる社会保険の種類

フリーランスの社会保険には様々な選択肢があります。加入義務のあるものもあれば自分で選べる任意の制度も多く用意されているので、安定した生活を実現するために加入しておいたほうがいい制度があるかどうか知っておくことが必要です。

健康保険の場合

健康保険とは病気やケガの際に必要な医療費の一部をカバーする制度です。会社員として健康保険に入ると会社が保険料を5割負担してくれますが、フリーランスは全額自己負担になります。注意したいのは、病院でかかる費用の保障はありますが、フリーランスの場合、雇用保険や労災保険に入れないので、病気などでの休業中の休業補償や失業手当といった保障がないことです。

国民健康保険へ切り替えする

国民健康保険は市区町村が運営する制度で、フリーランスや自営業者、学生などが加入する保険です。市区町村の役所で申請すると保険証が交付されます。会社の健康保険から切り替える場合は退職日から14日以内に手続きが必要です。保険料は前年の所得をもとに計算され、全額自己負担となります。

社会保険を任意継続する

会社の健康保険に退職後も継続して加入する「任意継続被保険者」という選択肢もあります。会社の健康保険に最大2年間継続して加入することができる制度で、退職後20日以内に手続きをすればそれまでの健康保険をそのまま利用できます。希望する際は会社の人事部門、もしくは健康保険組合に任意継続の旨を連絡しましょう。こちらも保険料は全額負担になります。

年金保険の場合

フリーランスの年金の構造は会社員の場合と大きく異なり、会社を退職する際は切り替え手続きが必要になります。また、フリーランスとして加入義務のある年金保険の運用だけでは将来の不安があるため、老後の生活資金補完のため追加で私的年金も運用しておくと良いでしょう。

厚生年金から国民年金への切り替えが必須

厚生年金は会社員や公務員が加入できる公的年金のため、フリーランスになった際は国民年金へ切り替え手続きが必要になります。退社時に会社から交付される離職票(退職証明書)、年金手帳、本人確認書類を持ち最寄りの市区町村の役所で申請を行うと国民年金への切り替えができます。保険料は毎月一定額で、口座振替などの支払い設定ができます。

国民年金基金への加入

国民年金基金とは自営業・フリーランスを対象にした、国民年金に上乗せして加入できる公的な年金制度です。加入は任意ですが、将来の保障のために検討するとよいでしょう。申し込みをする場合は、基金のホームページより加入申出書を入手し、必要事項を記入後提出します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは国民年金にプラスして加入できる私的年金制度の一つです。確定拠出年金法にもとづいて運営され、自分で掛金を拠出、運用し、60歳以降にその元本と運用益を受け取ります。フリーランスの場合、掛金の全額が所得控除対象になるので節税にもつながり加入メリットが多いです。iDeCoは複数の金融機関で取り扱っているので、手数料や商品ラインナップなどを比較して取引する金融機関を選び、加入手続きを行います。

付加年金の導入

付加年金とはフリーランスや自営業者が加入できるもので、国民年金保険料を上乗せして支払うことで将来の年金額を増やすことができる制度です。希望する場合は国民年金への切り替えの際に市区町村の役所で付加年金も加入しましょう。国民年金への加入と同時申し込みでなくても、途中で追加することもできます。

フリーランスが加入できる労働・労災保険は基本的には適用外

業務に起因して傷病が発生した場合に出る労災保険はこれまでフリーランスは対象外とされていましたが、2024年11月のフリーランス保護を目的とした法改正により企業等から業務委託を受けているフリーランスも労災保険特別加入の対象になりました。また、労災保険の代わりとなる民間の傷害保険への加入も検討するとよいでしょう。

健康・年金保険も退職後14日以内に加入の手続きが必要

会社を辞めてフリーランスになる場合の社会保険切り替えの手続きはそれぞれ14日以内に行わなければなりません。企業を退職して健康保険から国民健康保険への切り替えを行わずに14日の期限を過ぎると、医療費をすべて自己負担でまかなわなければならなくなります。

CHECK

・会社員とフリーランスで加入できる社会保険が異なる
・フリーランスが加入義務があるのは国民健康保険と国民年金
・健康保険・年金保険それぞれ選択肢があるので自分に合うものを選ぼう

フリーランスの社会保険のメリット・デメリットや違い

フリーランスは社会保険料を全額自己負担しなければならないので、社会保険に入るメリットが小さいと感じるかもしれませんが、不安定なフリーランスだからこそ社会保険の加入は必須です。けがや病気などもしもの時のための経済保障として上手く使いましょう。

確定申告で社会保険料を控除ができるメリット

フリーランスが社会保険に入る大きなメリットは社会保険料を控除できることです。フリーランスとして確定申告をする際に、控除を最大限活用して税負担を軽減することで、手取り額を増やすことができます。

自己責任範囲が大きいデメリット

フリーランスは社会保険に自己責任で加入・管理しなければなりません。保険料の負担も大きくなります。加入できる保険も限られており、企業に勤めるより社会保障が薄いということも考慮しましょう。

傷病手当金と出産手当金がない

病気やケガで働けない場合の保障になる傷病手当金と、出産のために仕事を休む場合に出る出産手当金は国民健康保険では支給されません。それぞれの手当ての支給を受けるためには国民健康保険には加入せず任意継続被保険者になるもしくは配偶者の扶養に入るなどの手段が必要です。

家族が扶養に入れられない

国民健康保険には扶養がないため、フリーランスになって国民健康保険に加入した場合家族を扶養に入れることができません。いままで配偶者やお子さんが扶養に入っていたとしても、国民健康保険に移行した後は世帯全員が国民健康保険に加入し、保険料(国民健康保険税)を納付する必要があります。

保険料が全額自己負担

会社の社会保険に入っている時には会社が保険料を5割負担してくれますが、フリーランスは保険料をすべて自分で負担しなければなりません。そのため会社員の時と比べて保険料の支払い額が大きく感じられることがあります。

厚生年金の上乗せがない

厚生年金の上乗せとは、厚生年金の基本的な給付に追加して退職後に受け取る年金額を増やすことです。会社員の場合、企業年金と呼ばれる企業が自ら設ける年金制度があり、企業が掛け金を拠出し厚生年金の受給額を上乗せすることができますが、フリーランスは国民年金への加入になり厚生年金の上乗せができません。

保険料が経済的負担になる

フリーランスは社会保険料を全額自己負担で払わなければならないため、経済的負担が大きくなります。ただ、支払った国民年金や健康保険の保険料は確定申告で経費として計上できるので、結果として節税にもなります。

フリーランスが社会保険に入らないとどうなる?

フリーランスは国民年金、国民健康保険の社会保険に加入する義務があります。社会保険に加入しない場合、医療費が高額になる、年金が少なくなる、税金面で不利になるなどのリスクがあります。また、国民健康保険を含めた公的医療保険に入らなかった場合、過去2年分さかのぼって未納分の保険料を請求されるので注意が必要です。安定した生活を送るために、社会保険にはきちんと加入しましょう。

CHECK

・社会保険料は控除でき節税につなげることができる
・保険料全額自己負担など責任範囲が大きい
・安定した生活のためにも社会保険はしっかり検討する

フリーランスの社会保険の計算方法・シミュレーション例

保険料の金額を把握し計画的に支払いを行うことがフリーランスの資金繰りとしても重要になります。

健康保険料の計算方法は均等割と所得割で異なる

健康保険料は前年の所得を基に計算される「所得割」、世帯人数に基づく「均等割」、世帯に対して課せられる「平等割」の3つの要素を合算して算出されます。所得に応じて保険料が変動するため、収入が多いと保険料も高くなります。

均等割の計算方法

均等割とは「所得額に関係なく均等に課される保険料額」です。被保険者の人数に応じて保険料額が増える仕組みです。

所得割の計算方法

所得割とは「前年の所得額をもとに計算する保険料額」です。前年の課税所得(総収入額 – 経費 – 基礎控除など)× 所得割の保険料率で算出されます。所得割の保険料率は、自治体によって異なるので市区町村に問い合わせましょう。

年金保険料の計算方法は保険料額×保険料改定率

フリーランスが支払う年金保険料は、所得に関わらず年ごとの定額制です。物価や賃金の伸びにより保険料は毎年調整され(保険料改定率)、2025年度の国民年金保険料は、月額16,610円となっています。

CHECK

・保険料を把握することは資金繰りの一環としても大切
・健康保険料は所得や被保険者の人数により増える
・年金保険料は年ごとの定額制

フリーランスの保険料を抑える方法

国民健康保険の保険料は住民税や所得に基づいて算出され、所得が多くなると保険料が高くなります。健康保険料を安く抑えるための方法も知っておきましょう。

任意継続被保険者になる

会社員から独立してフリーランスになる場合は、「任意継続被保険者」という選択があります。任意継続被保険者とは、会社で加入している企業健康保険を退職後も最長2年間、任意で継続できる制度です。退職した日から20日以内に手続きを行う必要があり、20日を過ぎると継続資格は失いますので継続希望の場合は早めに人事部門に伝えて手続きをしましょう。

保険料負担が少ない自治体に引っ越しをする

国民健康保険は市町村ごとに保険料が異なります。ご自身が住んでいる自治体の保険料を確認し、ほかの自治体と比較することができます。自治体ごとに保険料が公開されているので、ホームページをチェックして比較してみましょう。

国民健康保険組合が母体の国民保険に入る

国民健康保険組合とは特定の業界や職種に属している人が加入できる健康保険団体です。デザイナーやライター向けの組合やIT業界やクリエイティブ業界に特化した組合などがあり、WEBデザイナーの場合ですと「文芸美術健康保険組合」が該当します。これらの健康保険に加入することで所得にかかわらず保険料が一定になり、保険料の負担軽減につながります。加入の際は、組合の加入条件がありますのでホームページで確認しましょう。

被保険者の場合には配偶者の扶養に入る

配偶者が会社員であり、自身のフリーランス収入が年間130万円以内であれば、配偶者の扶養に入ることができます。自分で健康保険に入って保険料を払う必要がなくなり、フリーランスにはない社会保険サービスを受けることができるという大きなメリットがあります。

フリーランスは社会保険以外に民間保険に入るべきか?

フリーランスは病気や事故などで働けなくなった際の備えを作っておく必要があります。医療保険や生命保険、収入保障保険などの民間保険は収入減に備えるために有効です。特に収入保障保険や所得補償保険はフリーランスで収入が不安定になった際に助けとなるものですので、事業の状況や生活費の状況、将来の収入計画と照らし合わせて検討しましょう。

社会保険の切り替えは手残りを多くする選択肢を選ぶ

フリーランスとして入れる社会保険の種類や計算方法を理解し、手取りを多くするための適切な選択をすることで無駄な支出を抑えることができます。社会保険控除などを活用し、保険料や経費を上手く管理しましょう。

CHECK

・保険料の全額自己負担を避けて支出を抑える方法もある
・社会保険以外の民間保険も検討するメリットはある
・社会保険の検討の際は手取りを多くする選択肢を選ぶ

会社員の場合と加入できる条件や負担額が大きく異なるフリーランスの社会保険。社会保険についてしっかりと理解し、自分の状況に合わせた最適な選択をして節税や手取り額アップにつなげるのがポイントです。

フリーランスの節税につながる経費計上|具体例で経費にできる・できないの判断基準や注意点を解説

フリーランスは税金の手続き等も全て自分でしなくてはなりません。経費を上手に活用することで、節税に繋がるので経費はきちんと管理しましょう。

頑張って稼いだ収入から、できる限り税金で引かれる金額を減らすようにするのが節税対策で、フリーランスとして上手く対処したいところです。正しい知識と適切な対処法を知り、確定申告を節税のチャンスとして活用できると良いですね。

フリーランス活動にかかる税金の仕組み

フリーランスは個人事業主として、所得税、消費税、住民税、個人事業税などの税金を自分で管理・納税します。なかでも所得税は確定申告によって毎年申告が必要なものです。

所得税は、「年間の総収入から必要経費を差し引いた所得」に対して課税されるため、経費の管理が非常に重要になってきます。

収入から必要経費や各種控除を引いた課税所得に税金がかかる

所得税は稼いだ売上額ではなく、利益の額に対して課税されます。「総収入(売上)」「経費」「控除」「事業所得(利益)」それぞれの違いを理解することで上手く節税対策しましょう。

  • 総収入(売上)= 仕事の報酬で受け取る金額
  • 経費= 事業に関連する支出
  • 控除=基礎控除、扶養控除、医療費控除など
  • 事業所得(利益)= 収入-経費
  • 課税所得= 所得-所得控除

正しい経費計上で節税につながったり還付金が返ってくる

還付金とは、確定申告で必要よりも多くの税額を払っている場合に税務署から過剰分を払い戻しされることです。事業に関する経費を適切に計上することで課税所得が減り、過剰に支払った税金が還付されることがあります。

CHECK

・フリーランスは納税も自分で行わなければならない
・「総収入(売上)」「経費」「控除」「事業所得(利益)」の違いを理解しておこう
・正しい経費計上で節税につながったり還付金が返ってくる

フリーランスの経費の原則は業務上利用したものだけに適用される

なんでもかんでも経費に出来るわけではなく、業務に直接関連する支出のみ経費として扱えます。不適切な経費計上は税務署から指摘される可能性もあるため気を付けましょう。

売上や収入がなくても経費があるなら確定申告で計上可能

フリーランスの場合、売上や収入がなくても経費があれば確定申告で計上することができます。申告しておくことで、青色申告特別控除の適用など、将来的に利益が出たときにメリットを得られるためです。

フリーランスが計上できる勘定科目と経費になる例・ならない例一覧 

用途 科目 計上できる例計上できない例
事業関連外注費営業やマーケティング関連業務などの外注料金やライターやデザイナーへの報酬家事代行など業務とは無関係な代行
 広告宣伝費インターネット広告、チラシ広告、SNSやインフルエンサーとのコラボ費用や名刺作成費用など
 通信費事業用の電話代、インターネット代、モバイル通信費用家の固定回線など業務では使わないもの
 事務用品費事務所で使用する文房具や消耗品、コピー用紙などプライベートで利用するもの
 消耗品費電池、事務用品など業務で使うものプライベートで利用するもの
 接待交際費クライアントとの打ち合わせカフェ代や会食費、贈答品業務に関係ない飲食代
 交通費業務に関連する電車代やタクシー代、ガソリン代個人的な移動の交通費
 旅費交通費出張費用としての飛行機や新幹線、宿泊費用個人的な観光などの費用
オフィス関連家賃事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 光熱費事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 保険料事業用の損害保険や生命保険事業主自身の保険料
 設備投資パソコンやオフィス家具、カメラ機材など、事業に必要なものプライベートで利用するもの
 ソフトウェア費用業務で使用するソフトウェアの購入費用やサブスクリプション費用プライベートで利用するもの
人件費給与社員やアルバイトへの給与
 社会保険料雇用保険や健康保険、年金などの社会保険料
教育・研修関連研修費業務やスキルアップに関連する研修やセミナーの参加費用
 書籍費業務に役立つ書籍や資料購入代金個人の趣味で購入したもの

場合により経費にできる業種や職業によっても変わる費用の例一覧

  • ライター:取材での飲食代や、サービスの体験利用料など
  • フォトグラファー:カメラやレンズなどの購入費、撮影スタジオの利用料
  • デザイナー:デザインツールのソフトウェアライセンス料
  • Webデザイナー:サーバーレンタル費やクラウドサービス利用料

経費として計上できるかどうか迷いやすい費用の例

 項目計上できる場合計上できない場合
バッグ仕事で使うバッグプライベートで使うバッグ
手帳スケジュール管理など業務で使用しているもの日記など業務に関係なく使っているもの
スーツ取引先に訪問したり、業務内で着用する服仕事の際には着用しないプライベートのもの
タクシー代業務内での利用。行先やその目的など利用履歴を残しておくと良い休日の利用や旅行時などに利用したもの
車のガソリン代業務内での利用。行先やその目的など利用履歴を残しておくと良い休日の利用や旅行時などに利用したもの
カフェ取引先との打ち合わせや作業のための利用個人的な利用
保険料国民健康保険は計上できる自身の生命保険料は計上不可
病院の治療費なし治療費は一定額以上で「医療費控除」の対象

CHECK

・不適切な経費計上は税務署から指摘される可能性もある
・売上や収入がなくても経費があれば確定申告で計上できる
・業種や職種、状況によって経費として計上出来るものと出来ないものがある

個人事業主やフリーランスの経費は家事按分が可能

家事按分(かじあんぶん)とは、フリーランスが自宅で仕事をしている場合など、仕事とプライベートの両方で使っているものを仕事で使用している割合と家庭で使用している割合に分けて経費計上することです。

按分の計算方法としては、利用しているスペースの「面積」で計算する方法や、使っている「時間」の割合をもとに計算する方法があります。

自宅オフィスの場合は家賃や光熱費・通信費などの一部を経費に計上できる

フリーランスの家事按分経費の対象となるものの例は、家賃、水道光熱費、通信費、交際費、交通費などが挙げられます。それぞれ仕事で使用している割合と家庭で使用している割合に分けて経費として計上します。

家事按分の勘定科目と家事按分の仕訳の例 

①家賃を家事按分する場合の仕訳例

家賃10万円、床面積が100㎡の家のうち、25㎡の部屋をオフィスとして事業用で利用している場合

按分計算(面積):按分の割合は25÷100=25%

仕訳の入力方法

事業として使った分を「地代家賃」、プライベートとして使った分を「事業主貸」で記入

 日付借方貸方
地代家賃 25,000普通預金 100,000
 事業主貸 75,000

②インターネット代を家事按分する場合の仕訳例

1ヶ月のインターネット使用料が15,000円、毎月200時間仕事をしてネットを使っている場合

按分計算(時間):按分の割合は200÷720(1ケ月あたりの時間)=28%

仕訳の入力方法

勘定科目「通信費」と、プライベート分を「事業主貸」で記入

 日付借方貸方
通信費 4,200普通預金 15,000
 事業主貸 10,800

生活費を何でも経費にしてしまうと怪しまれて税務調査の対象に

経費として計上できるのはフリーランスとして売上をあげるために支出した費用のみです。私的な生活費や個人的な支出などなんでも経費で落とそうとすると税務署からの指摘を受けたり、ペナルティを課せられる可能性もありますので、十分に注意しましょう。

CHECK

・個人事業主の経費は家事按分が可能
・家賃、水道光熱費、通信費、交際費、交通費などを按分できる
・生活費のすべてを按分できるわけではないので注意

経費にできるかどうか迷ったときの判断基準

経費になるかならないかには、はっきりとした線引きがなくあいまいです。フリーランスが経費として計上できるかどうか迷った場合、以下の判断基準を参考にすると良いでしょう。

事業との関連性があるか

業務上必要なパソコンソフトやツール、電話や、デザイナーの場合はデザインツールなど、それがないと仕事ができないものかどうか、で判断します。

個人的な支出ではないか

フリーランスの場合、どこまでが経費でどこまでがプライベートか迷うことが多くあります。自宅オフィスなどプライベートと共通して使っている場合は按分して経費計算をします。

家族の旅行代や個人の趣味の買い物などはくれぐれも計上してはいけません。

経費として常識の範囲内の金額であるであるか

事業規模に対して適切な割合かどうか、という視点も重要です。大量の備品購入や高級車の利用など、過剰な支出は避けましょう。

税務署から指摘を受けた際に説明できるか

経費として計上するためには領収書、請求書、振込明細書など証拠として示せる書類が必要です。税務署から指摘を受けた際に、それらの経費が事業に関連していることを説明できるようにしておきます。

経費の割合が50%を超えないか

フリーランスの売上に対する経費の割合は50%前後が目安です。上限が定められているわけではありませんが、経費の割合が高過ぎると税務からの調査が入る恐れがあります。

CHECK

・経費にできるかどうかの明確な基準は定められていない
・事業を行うに必要な支出かどうかで判断する
・フリーランスの売上に対する経費の割合は50%前後が目安

経費の領収書の取り扱い方法

領収書は経費として支出をした証明をするために欠かせない書類であり、税務署から決められたルールに基づいて管理をしなければなりません。

領収書は7年間保存が義務に

個人事業主の場合、領収書の保管期限は原則7年間と定められています。紙と電子のそれぞれ、なくさない保管方法で保存しておき、税務署から求められた際にいつでも開示できるようにしておきます。

領収書を紛失した際は出金伝票を用意しておく

領収書が見当たらなくなった場合は、代替証拠となるものをそろえる必要があります。その際に使えるのが出金伝票です。

出金伝票とは取引に関連する支払内容を記録する書類で、領収書が発行されない取引の際に使われるものですが、領収書の代わりとして使うこともできます。

あくまで領収書やレシートがない場合の代替方法なので、多用は避けましょう。

経費計算アプリでこまめに電子データで管理をしておく

会計ソフトのアプリや経費管理アプリを使うと、電子取引データの自動取り込みやレシートのスキャン機能を使い経費データの管理を手軽に行うことができます。ツールを活用して効率的に経費処理が出来て便利です。

CHECK

・領収書は経費として支出をした証明をする大切な書類
・経費の領収書は7年間保存する義務がある
・経費計算アプリを活用してうまくデータ管理を行おう

フリーランスが経費を計上する際の注意点

フリーランスが経費を計上する際に注意することとしては、まずプライベートとの線引きが大きなポイントになります。

自宅オフィスやインターネット料金は按分して業務利用分のみを経費として計上しましょう。

電子取引の領収書やレシートは電子データのまま保存

紙での領収書だけでなく、近年では電子領収書としてPDFファイルや画像データで領収書を受け取ることも多くなっています。

電子領収書が改ざんされていないことを証明するために、受け取った電子領収書はそのままのかたちで保存が必要です。

経費計上に誤りがあり脱税とみなされると重いペナルティに

申告漏れや不正確な申告をしたとみなされた場合はペナルティが課されます。

過少申告加算税

税額を納めるべき金額よりも過少に申告したと判断された場合にその差額に対して課される追加の税金。

重加算税

”故意に”税額を少なく申告した場合に課される税金。過少申告加算税よりも高い税率が課されます。

経費・確定申告など税務に関する相談は迷わず税理士へ

フリーランスだからと言って経費処理や確定申告をすべて自分でしなければならない訳ではありません。大きなトラブルを防止するために、不安なことや分からないことがあれば税理士に相談すると良いでしょう。

CHECK

・フリーランスが経費を計上する際にはプライベートとの線引きがポイント
・電子取引の領収書やレシートは電子データのまま保存する
・わからないことは気軽に税理士に相談しよう

フリーランスが事業をうまく回すためには経費のポイントをしっかり押さておくことが非常に大切です。どこまでが経費の対象になるのか、家事按分の割合など、あとから指摘を受けることがないようにうまく管理して計上しましょう。

フリーランスのマイナンバー活用術|開業届や確定申告など申告・管理に必須の使い方を解説

フリーランスとして活動する際、マイナンバーカード(個人番号カード)の申請と活用は大きなメリットがあります。はじめの手続きや登録作業は少し面倒ですが、その後の業務効率化のためにぜひマイナンバーカードは活用しましょう。

マイナンバーカードはさまざまなメリットがありますが、特にフリーランスや個人事業主にとって税務や行政手続きが効率化される点で大きな利点があります。

フリーランスになったらマイナンバーカードを申請して活用すべき 

フリーランスになると確定申告や各種届出書類の対応など、さまざまな手続きの対応が必要になります。マイナンバーカードを持っていると、確定申告がスムーズにできたり、マイナポータルで年金や保険の情報を一元化できるなど大きなメリットがあります。

フリーランスにマイナンバーが必要なシーン

フリーランスでマイナンバーを求められるのは以下のような場合があたります。

  • 開業・廃業届を提出するとき

開業届の「個人情報」欄に氏名、住所、マイナンバー(個人番号)を記入する箇所があります

  • 確定申告を行うとき

確定申告をする際、税務署に提出する申告書にマイナンバーを記入する欄があります

  • 源泉徴収されるとき

給与支払い者(企業など)は、源泉徴収票にあなたのマイナンバーを記載する必要があります

  • 支払い調書を作成するとき

支払調書には支払いを受ける個人のマイナンバーを記載する欄があります

  • 従業員を雇っているとき

給与支払いや社会保険料の納付など、税務・労務手続きに使用するために、雇用時に従業員のマイナンバーを取得する必要があります

取引先へのマイナンバー提出は拒否もできる

支払調書など一部の税務書類にはマイナンバーカードを記載する欄が設けられています。このため、取引先からマイナンバーの提出を求められることもあります。

基本的に提出に協力するのがスムーズですが、マイナンバー利用の目的やその必要性などに疑問がある場合はきちんと確認が必要ですし、納得できない場合は拒否することもできます。

e-Taxで電子申告手続きにかかる時間や手数料も削減できる

e-Taxは、マイナンバーカードがなくても利用可能ですが、その場合は事前に税務署への届け出などの手続きが必要になります。マイナンバーカードを使うことでオンラインでの申告ができ、必要な書類の提出も簡単になります。そのほかのメリットは以下の通りです。

  • オンラインでどこからでも申告可能
  • 24時間申請可能
  • 申告書をデータで入手できる
  • 添付書類の提出不要
  • 還付スケジュールが早くなる

CHECK

・フリーランスにとってマイナンバーカードは持つべきアイテム
・開業から確定申告とフリーランス活動で必要になる
・e-Taxでの手続きが電子申告で時短できる

マイナンバーカードの発行手順とカードリーダーの用意 

マイナンバーカードは、個人番号(マイナンバー)を証明するためのICカードです。税務署や行政サービスでの手続きの際に入力したり、健康保険証としても使えるようになっています。

マイナンバーカードの発行手順 

自治体から届いているマイナンバーが記載された通知カード(紙)と証明写真を用意します。マイナポータルにログイン後、通知カードの番号を入力して顔写真をアップロードし、申請を行います。

自治体の窓口で直接申請をすることもできます。申請完了後、通常1〜2か月後に市区町村役場から交付通知書が届くので窓口でマイナンバーカードを受け取ります。

マイナンバーカード利用にはカードリーダーが必要

マイナンバーカードにはICチップが内蔵されており、このICチップに登録されている個人情報を読み取るにはカードリーダーが必要なので、e-Tax(電子申告)登録のためにはカードリーダーも用意しておきましょう。

利用者識別番号の取得方法

利用者識別番号は、e-Taxを利用するために必要な番号で、税務署が発行するものです。郵送やオンラインで取得できます。

管轄の税務署で直接手続き・書類の郵送

最寄りの税務署に出向き、必要書類を提出して申請後、利用者識別番号が発行されます。発行には数日かかることがあります。

e-Taxからマイナンバーカードを使って開始届出書を提出

マイナンバーカードと、カードリーダーを用意します。e-Taxソフト(WEB版)のログイン画面からマイナンバーカードを読み取り、「マイナンバーカード方式の利用開始」>「利用者情報の登録」画面から登録できます。

e-Taxからマイナンバーカードを使わずに開始届出書を提出

e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」から開始届出書を作成・送信すると、利用者識別番号を取得できます。

マイナポータルのもっとつながる機能の活用

マイナポータルの「外部サイトとの連携」機能から「e-Taxを利用する」を選択し、マイナンバーカード方式のアカウント登録および利用者識別番号の取得をすることができます。

マイナポータルとの連携はさらに確定申告が簡単に

マイナポータルと連携することで、確定申告の際に入力が必要な控除証明書等のデータが一括反映されるので手入力が不要になります。これにより申告内容の正確性が増し、税務署への申告ミスを減らすことができます。

・マイナンバーカードの利用にはカードリーダーが必要

・利用者識別番号を取得すればe-Taxが簡単に利用できる

・マイナポータルとの連携で確定申告が楽になる

利用者識別番号を忘れてしまった場合の対処方法

利用者識別番号を忘れた場合、e-Taxへのログインができなくなるので、オンラインで税務手続きができなくなります。識別番号はわからなくならないようにパスワードなどと同じように大切に保存し管理しましょう。

e-Taxにアクセスすれば確認できる 

マイナンバーカード方式でログインしている場合は、

e-Taxソフト(WEB版)の「マイページ」>「基本情報」>「利用者識別番号の通知・確認」

ここから利用者識別番号を確認することができます。

利用者識別番号の再発行が必要

マイナンバーカードを使わずにログインしている場合は再発行が必要になります。「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を税務署に提出するか、e-Taxホームページの「作成・送信する開始(変更等)届出書の選択」のページから再発行手続きを行います。利用者識別番号を再発行した場合は、e-Taxの利用に必要な電子署名の再登録も必要です。

再発行前のデータは確認できなくなる

利用者識別番号を再発行すると以前の利用者識別番号の時のデータは確認できなくなります。過去の申告内容などは、ハードディスクに保存している内容を参照するか、税務署に相談することを検討しましょう。

フリーランスがマイナンバーを管理する際の注意点

マイナンバーは税金や社会保険などの手続きに必要な個人情報であり、適切に管理する必要があります。自分自身のマイナンバーだけでなく、従業員がいる場合は受け取ったマイナンバーの管理も適切に行いましょう。不正利用や情報漏洩により大きなトラブルに巻き込まれる可能性もあるので十分に注意が必要です。

保管場所の安全性に注意

容易に他人の目に触れない場所に保管したり、データの場合は暗号化しておきます。またメールやSNSなどでの共有は避けましょう。

保管期間の妥当性に注意

マイナンバー制度においては使用しない特定個人情報は廃棄することが前提となっています。マイナンバーの利用目的(税務、社会保険、雇用保険など)が完了後、持っておく必要のない情報はなるべく早く手放します。

CHECK

・マイナンバーの管理には場所や保管期間に注意
・再発行をすると以前のデータが見れなくなる
・利用者識別番号は忘れないように管理する

マイナンバーカードとマイナポータルを活用することで確定申告をe-Taxでのオンライン申告ができるようになるだけでなく、税務や行政手続きがスムーズに進み、時間や手間を大幅に削減できます。早めに取得しましょう。

フリーランスの事業用銀行口座を開設するために|審査通過のコツ・必要書類・おすすめ銀行を紹介

フリーランスはプライベート用銀行口座と事業用の銀行口座を分けて持つのが鉄則です。どの支払いがビジネス関連で、どの支払いが個人の支出なのかを思い出しながら会計処理をするのは途方もない労力がかかるので、さっさと銀行口座を分けてしまうのがベストです。

オンラインであれば即日で開設可能な事業用口座。経費処理を簡単にでき、収入と支出の流れを明確にしキャッシュフローの管理がしやすくなるなどメリットが多いので、まだ開設していない場合は早めに事業用口座を開設しましょう。

全フリーランスは事業用口座で会計作業を楽にすべし  

銀行の口座は通常口座と事業用口座があります。通常口座は誰でも開設できるものであるのに対し、事業用口座は仕事用の名前で開設する口座で開業届を銀行に提出している必要があります。

仕事とプライベートのお金の管理を分けるためにも、事業用口座を早めに作っておきましょう。

そもそも事業用口座とは

個人事業主やフリーランスが個人的に使用する銀行口座と分ける目的で、事業用に分けて使う口座のことを事業口座と呼びます。

個人用口座と分けて管理をすることで、事業の収入や支出を区別し、資金繰りがわかりやすくなるだけでなく帳簿付けがやりやすくなるなどのメリットがあります。

個人名で新しく口座を開設して事業用として使うこともできますし、事業用に屋号付きの口座を開設することもできます。

サポートがある店舗型銀行と手数料が安いネット銀行 

店舗のある通常の銀行と、インターネットバンキングを主に利用するネット銀行は、営業形態やサービスに違いがあります。事業を行う際にはご自身の使いやすい銀行を選んで口座を開設すると良いでしょう。

店舗型銀行

メリット対面で相談できるので直接いろいろ聞きたい人向け。
デメリット店舗の営業時間内にしかサービスを受けられない。手数料が高め。

ネット銀行

メリット時間や場所を問わずインターネットを通じて全ての取引が可能。手数料が安い。キャンペーンなどがありお得な特典がある。
デメリット電話やオンラインチャットでのサポートのみ。オンラインのためセキュリティ面の不安がある。

法人口座と異なり屋号付き口座はあくまで個人口座の一種 

個人事業主が利用する屋号付き口座と法人口座はどちらも事業用口座ですが、法人口座は法人専用の口座であるのに対して、屋号付き口座は個人口座の一種として開設を行います。

口座名に屋号を記載することで事業名で取引を行うことができますが、口座名義自体は個人の名前となります。

利便性ならGMOあおぞらネット銀行がおすすめ

GMOあおぞらネット銀行はオンラインで簡単に取引ができ、手数料が安いのが特徴です。

さらにクラウド会計との連携がスムーズで、入金管理や資金管理がわかりやすい、社会保険料やダイレクト納付の支払いが可能など、会計処理の効率化を図りたいフリーランスにとっておすすめの銀行です。

安心感なら屋号付きで口座開設ができるゆうちょ銀行がおすすめ 

対面とオンラインのどちらも使えるようにしておきたい場合は、ゆうちょ銀行での口座開設がおすすめです。日本全国にネットワークが広がっており、地方でも使いやすく、ゆうちょダイレクトを使えばオンラインで各種操作が可能です。

なんと言っても金融機関としての信頼性が高いゆうちょ銀行での口座を持つことで取引先からの信頼を高めることができます。

CHECK

・フリーランスは事業用口座を開設すべし
・屋号がある場合は屋号付き口座が開設できる
・屋号付き口座は店舗型銀行でもネット銀行でも開設可能

屋号付き口座で資金管理や帳簿付けを楽にする

事業用の銀行口座を持つことで、生活費とビジネス用のお金を別に管理することができます。事業用口座を会計ソフトと連携させると日々の仕訳や帳簿付けを自動で済ませることができ、プライベートで使ったお金と間違えずにミス防止になります。

これらの会計業務の体制をしっかりつくっておくことで年度末の確定申告もスムーズになるのです。

簡易手続きで屋号付き口座が開設できるネット銀行  

ネット銀行での口座開設はオンラインで手続きが完結し、開設までの期間が短いので開業後すぐに使い始められるというメリットがあります。屋号付き口座を開設できるネット銀行を3つご紹介します。

GMOあおぞらネット銀行PayPay銀行楽天銀行
特徴・メリット・使い分け口座機能で用途別での使い分けがしやすい
・クラウド会計との連携がスムーズ
・口座開設から残高確認、取引先への振り込みまでスマホアプリで完結
・ビジネスローンの申し込みもWebでできる
・ATMの提携金融機関が多い
・個人事業主のビジネスに便利なサービスを多く提供
振込手数料GMOあおぞらネット銀行あて:無料他行あて:145円PayPay銀行あて:55円他行あて:160円無料〜145円
口座開設に必要な書類・個人事業主の確認書類(個人事業開業届出書、青色申告承認申請書、確定申告書など)・事業内容確認書類(ホームページ、チラシ、請求書など)
GMOあおぞら銀行の個人口座を持っている必要がある
最短で2営業日後に開設
・本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカードなど)・個人事業開業届出書、営業許可証、確定申告書、課税証明書のいずれか
最短当日~7日程度で開設
・個人事業開業届出書または個人事業開始申告書(郵送で提出)
楽天銀行の個人口座を持っている必要がある
口座開設まで1~2週間程度

窓口でのサポートとクライアントからの信頼が厚いメガバンク 

メガバンクでの口座開設は、資金繰りなどに関して直接相談したいフリーランスにとっておすすめ。屋号付き口座を開設できるメガバンクを3つご紹介します。

三菱UFJ銀行三井住友銀行みずほ銀行
特徴・メリット・三菱UFJダイレクトでオンライン取引が楽・手数料の割引やキャンペーンあり・SMBCダイレクトでオンライン取引が楽・事業主向けのサポートが充実・みずほダイレクトでオンライン取引が楽・自動引落としや定期振込機能が便利
振込手数料【同行】3万円未満:110円3万円以上:110円【他行】3万円未満:275円3万円位以上:275円【同行】3万円未満:無料〜330円3万円以上:無料〜550円【他行】3万円未満:165〜605円3万円位以上:330〜770円【同行】3万円未満:無料〜440円3万円以上:無料〜440円【他行】3万円未満:150〜710円3万円位以上:320〜880円
口座開設に必要な書類・本人確認書類・印鑑・事業内容確認書類(個人事業開業届出書、青色申告承認申請書、確定申告書など)・本人確認書類・印鑑・開業届・本人確認書類・印鑑・屋号付き口座開設に関するヒアリングを行った後に必要書類を提出する

事業用口座を選ぶ際に必ず抑えるべきポイント 

事業用口座をどの銀行で開設するか検討する際には、いくつか抑えておくべきポイントがあります。個人で銀行口座を開設する際に考慮する、アクセスの良さや手数料の安さだけでなく、事業を円滑にかつ効率的に進めるために検討しておくべきポイントがあります。

屋号付き口座が作れるか

屋号付きの口座を作れる銀行と作れない銀行があるので、検討している銀行が屋号付き口座に対応しているかどうか確認が必要です。屋号付きの口座も、屋号のみの口座開設は基本的にできず、「屋号と個人名」が並列して口座名義に表記されるのが一般的です。

会計ソフトとの連携ができるか

検討している銀行が使っている(もしくは使う予定の)会計ソフトと連携できるか確認が必要です。銀行により対応しているソフトが異なるので必ず事前にチェックしましょう。

取引明細のエクスポートができるか

取引明細データは口座の利用状況や収支管理、確定申告に必要な情報を把握するために使います。

手数料を抑えられるか

銀行手数料はビジネス上のコストであり、少なく済むに越したことはありません。振込手数料、ATM利用手数料、引き出し手数料などが最適な銀行を選ぶことが大切です。

屋号付き口座で資金管理や帳簿付けが楽になる

ネット銀行とメガバンクのメリット・デメリットを把握したうえで銀行選びをしよう

会計ソフトとの連携有無やデータエキスポートが可能かどうかもチェックするべきポイント

屋号名で口座を開設する流れ

どの銀行で口座開設するかが決まったら、実際に手続きを進めます。屋号付きの口座開設には屋号を証明できる書類(開業届など)の提出が求められるので、その準備も必要です。

屋号を決め開業届に記載して提出し開業

開業届とは、個人が事業を開始した旨を税務署に届け出る書類のことで、屋号が決まっている場合屋号も記載して提出します。ここで提出した名称をビジネスの通称として使うことができます。

口座開設に必要な書類を用意

銀行によって口座開設の際に求められる書類が変わってくるので、あらかじめ銀行のページで確認しておくとよいです。

口座開設に必要な書類例

  • 開業届(税務署に提出した開業届の写し)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
  • 屋号を証明できる書類(名刺や請求書などに記載された屋号など)

口座開設の目的と事業内容の書き方

口座開設の申込書類には、開設する目的を記載する必要があります。フリーランスの事業用口座開設の際には「フリーランスとしての事業収支管理のため」と書けば問題ありません。また事業内容の記載も求められた場合は「Webデザインの制作およびコンサルティング」「デザイナー業務」など事業の内容を簡潔に書きましょう。

口座開設手続きを店舗・オンラインで実行

銀行で口座開設申込手続きを行い、審査通過後に口座が開設されます。銀行により口座が使えるようになる期間は即日〜1週間などさまざまです。

事業用口座でさらに会計を楽にするためのポイント

事業用口座を分けて物理的に収支データを整理することで会計作業はシンプルになりますが、データ連携やツールを駆使することでさらに会計を楽にすることができます。

経費とプライベートの支払いは必ず口座を分ける

経費として計上できるのは事業に関する支出のみであり、個人の支出は含めないことを徹底します。

事業用口座と会計ソフトと連携して帳簿をつける

会計ソフトと連携させることで、口座の取引データが自動で取り込まれ、帳簿や確定申告などの会計作業の効率が大幅に向上します。

事業用のクレジットカードで経費を支払う

事業用クレジットカードを使って経費を支払うことで、すべての取引を一元管理でき、経費の処理が簡単になります。

CHECK

・屋号付きの口座開設には開業届に屋号の記載が必要
・事業用口座を作ることで会計処理はぐっと楽になる
・会計ソフトとの連携や事業用クレジットカードの活用でさらに効率化を図る

フリーランスはプライベート用の銀行口座と事業用口座を分けて持ち、帳簿作業や収支管理を効率的に行いましょう。

フリーランスのe‑Tax活用|マイナンバーカードと会計ソフトで簡単・青色申告65万円控除と還付金受取

2004年から全国で運用が開始されたe-Tax(国税電子申告・納税システム)は、確定申告や納税の手続きをオンラインで簡単に行うことができるサービスです。マイナンバーカードとの連携ができるようになるなど使いやすさが改善され続けており、利用することで大幅な業務効率化が実現できます。

e-Taxは税金に関する手続きをオンライン化して業務効率化してくれる、フリーランスの強い味方です。初めて使う際にはいくつかの設定が必要ですが、一度設定すればかなり楽になるのでぜひ味方につけて年度末を乗り切りましょう!

e-Taxとはオンラインで申告や納税手続きができる電子システム

e-Tax(国税電子申告・納税システム)とは、税申告や納税に関するオンラインサービスです。e-Tax以前は税務署へ行ったり、書類を郵送しなければならなかったのが、オンラインで簡単に申告ができるようになりました。

e-Taxとは、以下のような国税に関する各種の手続きについて、インターネット等を利用して電子的に手続きが行えるシステムです。
1.所得税、相続税、贈与税、法人税、地方法人税、消費税(地方消費税を含みます。)、酒税及び間接諸税に係る申告2.全税目の納税(電子納税証明書の手数料納付を含みます。)3.申請・届出等(電子納税証明書の請求及び発行を含みます。)
なお、所得税・消費税・贈与税の確定申告を行う場合は、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーをご利用ください。

国税庁ホームページより引用
https://www.e-tax.nta.go.jp/toiawase/qa/yokuaru01/01.htm

e-Taxの申告・申請の手続きからフリーランスが主に活用する納税・確定申告

フリーランスとして働いている場合、確定申告や納税も自分自身で手続きをしなければなりません。e-Taxを使うとオンラインですべての手続きが可能になり、作業時間の短縮につながります。また、会計ソフトを使えば確定申告の準備を効率化できるのでぜひ活用しましょう。

申告・申請・届出の定義の違いとスマホ・パソコンでできることの違い

税に関する用語には「申告」「申請」「届出」があり、それぞれ意味合いが異なります。

申告:納税者が税金に関する情報を報告すること

申請:特定のサービスや支援を受けるための手続きのこと

届出:納税者が状況の変更を税務署に通知すること

なお、e-Taxの手続きはパソコンからでもスマートフォンからでも可能です。オンラインで操作が可能なWEB型と、ネットにつながなくてもデスクトップで操作ができるダウンロード型の2種類があります。

パソコン、スマートフォンともにできることはほとんど変わりません。外出先からすぐに確認・修正対応などができるようにスマートフォンアプリもダウンロードしておくと便利です。

対応ソフトログイン方法確定申告書等作成コーナー会計ソフトのデータ取り込み利用できる手続き
パソコンe-Taxソフト(Web版・ダウンロード版)マイナンバーカード方式ID・パスワード方式源泉所得税、法定調書、納税関係、納税証明関係
スマートフォンe-Taxアプリマイナンバーカード方式ID・パスワード方式源泉所得税、納税関係、納税証明関係

e-Taxで開業届のオンライン化で便利に

個人事業主として事業を始める際に税務署へ提出する開業届は、e-Taxを通じてオンラインで提出することができます。開業届は、事業をスタートしてからできる限り早めに提出する必要があり、遅れて提出すると青色申告の特典を受けられない場合があるので注意しましょう。

e-Taxで確定申告がオンラインで便利に

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得と、それに対する所得税を計算し精算する手続きのことで、フリーランスは原則対応必須の申告です。こちらもe-Taxと連携することでオンラインで簡単に完結させることができます。

詳しくはe-Taxページもご覧ください。

e-Taxで所得税・消費税の手続きで便利に 

e-Taxからは所得税や消費税の手続きも簡単にできます。e-Taxに登録した銀行口座・インターネットバンキングの口座から税金を振り込んだり、還付がある場合にはe-Taxに登録した口座に還付金額が振り込まれます。

CHECK

・e-Taxとはオンラインで申告や納税手続きができる電子システム
・e-Taxの手続きはパソコンからでもスマートフォンからでも簡単にできる
・開業届から確定申告、納税手続きまでオンライン化できて便利

e-Taxの利用に必要な事前準備はマイナンバーカードの取得がおすすめ 

e-Taxを利用するにはデータ作成者を証明するための電子証明が必要になり、「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」のいずれかを選択できます。安全性が高く操作がスムーズなマイナンバーカード方式で進める場合は、事前にマイナンバーカードを取得しておきましょう。

マイナンバーカード方式

ICチップ(電子証明書)が埋め込まれたマイナンバーカードを使いログインします。マイナンバーカードをまだ持っていない人はカードの取得が必要なことと、カードリーダーもしくはスマートフォンの専用アプリを用いてマイナンバーカードを読み取る必要があります。一度設定すれば住所や氏名、利用者識別番号などが入力不要になり、セキュリティが大変高いのがメリットです。

ID・パスワード方式

e-TaxのシステムにユーザーIDとパスワードを入力することでログインします。マイナンバーカードを持っていない人、カードリーダーを持っていない人にはこちらの方式を使います。セキュリティ面はマイナンバーカード方式と比べてやや低いとされており、パスワードの管理には注意が必要です。また、一部の会計ソフトでは対応していないところもあります。

e-Tax活用の具体的なメリットは資金繰りと手間の削減

e-Taxを活用することでどこからでもスムーズに申告書等の提出や納税ができるので手間の削減になるだけでなく、資金繰りにおいても大きなメリットがあります。

青色申告特別控除と還付金受取期間の短縮で資金繰りが楽に

e-Taxを使うことで青色申告特別控除として最大65万円の控除が適用され、還付される税金がある場合は3週間程度で受け取ることができます。年度末のものいりの際に還付金で手元の資金が増加することでキャッシュフローが改善され資金繰りが楽になります。

移動や混雑を避けられるオンライン対応と添付書類の省略で手間の削減に

オンラインで申告書の作成から提出まで完結できることは、窓口に並ぶ時間の短縮だけでなく、自動計算による入力ミスの削減や記入漏れ防止、提出後にミスがあった場合にも迅速に修正を行うことができるので全体の効率化につながります。

e-Taxで申告を行う場合、一部の控除証明書の添付を省略でき、書類をまとめる手間も省けるのが魅力です。

提出を省略できる主な添付書類

  • 雑損控除の証明書
  • 医療費の明細書
  • 社会保険料控除の証明書
  • 小規模企業共済等掛金控除の証明書
  • 生命保険料控除の証明書
  • 地震保険料控除の証明書
  • 寄附金控除の証明書
  • 勤労学生控除の証明書

インボイス発行事業者のフリーランスの消費税申告にも対応済み

2023年10月より開始したインボイス制度により、個人事業主・フリーランスがインボイス制度に対応するためには消費税の確定申告が必要になっています。e-Taxはインボイス発行事業者のフリーランスの消費税申告にも対応しています。

e-Taxのマイナポータル連携で自動入力でさらに事務作業の時短に

e-Taxとマイナポータル連携することで、確定申告書類作成に必要な控除証明書等をデータで一括取得が可能になり、各控除欄に金額が自動入力されるため、添付書類や必要事項の入力にかかる作業負担が軽減されます。マイナポータルとの連携方法は、マイナンバーカードを使ってマイナポータルにログイン後、マイナポータルの「外部サイトとの連携」の設定で連携の設定ができます。


詳しくはマイナポータル連携特設ページもご覧ください。

収入の自動連携による時短

マイナポータルと連携させることで給与情報や源泉徴収票の情報がe-Taxに自動的に連携され、申告書の作成が簡単になります。給与所得の源泉徴収票情報の反映は令和5年分以後の年分に限られます。

控除の自動連携による時短

マイナポータルとの連携では控除に関する情報の自動連携が進められています。確定申告時に控除が自動で反映されることで、申告手続きが格段に簡略化されるメリットもあります。自動連携が可能な控除は以下の通りです。

  • 医療費・ふるさと納税
  • 生命保険・地震保険
  • 社会保険(国民年金保険料・国民年金基金掛金)
  • iDeCo・小規模企業共済掛金
  • 住宅ローン控除関係

CHECK

・e-Taxのログインにはマイナンバーカード方式がおすすめ
・e-Tax活用で添付書類の省略や特別控除受けられるなどのメリットがある
・マイナポータル連携でさらに事務作業の時短につながる

e-Taxで確定申告をするおすすめのやり方

個人事業主・フリーランスが確定申告をするにはe-Tax経由がおすすめです。手続きが簡単で迅速なだけでなく、以下のようなさまざまなメリットがあります。

  • 提出書類を省略できる
  • 早めに確定申告ができる
  • 還付金の振り込みが早い
  • 青色申告はe-Taxで控除額が10万円分アップになる

利用者識別番号の取得や電子証明書の読み取りの準備 

利用者識別番号とは、e-Taxを使用するために必要な16桁の番号です。「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」から利用者識別番号を取得できます。

また、マイナンバーカードで電子証明を行う際には事前準備が必要になります。まず、マイナンバーカードとICカードリーダーまたはマイナンバーカード読み取りに対応したスマホアプリを準備しておきます。操作方法はそれぞれ以下の通りです。

ICカードリーダーを使う場合

  • 「個人ログイン」画面で「ICカードリーダーで読み取り」ボタンをクリック
  • マイナンバーカードの「利用者証明用パスワード(数字4桁)」を入力
  • 利用者識別番号・暗証番号を入力し、「マイナンバーカード情報の確認へ」をクリック
  • 「ICカードリーダーで読み取り」をクリック
  • 表示された内容を確認し、「次へ」ボタンをクリック

スマートフォンで読み取る場合

  • 「個人ログイン」画面で「スマートフォンで読み取り」ボタンをクリック
  • スマートフォンで表示されるQRコードを読み取る
  • スマートフォンのマイナポータルアプリを起動し「読取り」マークを選択
  • マイナンバーカードを準備し「読み取り開始」を選択
  • パソコン画面に戻り、表示された内容を確認し、「次へ」ボタンをクリック

e-Tax対応の会計ソフトで確定申告書を作成 

e-Tax対応の会計ソフトを利用することで書類作成・提出・記帳までひとつのソフトでの操作で対応可能です。会計ソフトで作成した申告書データをe-Taxに対応した形式で出力し、そのままe-Taxで申告送付することができます。会計ソフトを使う際も、前述の「利用者識別番号の取得」と「マイナンバーカードの電子証明書設定」は必要になりますので設定を済ませておきましょう。

e-Taxから確定申告書をデータ送信し納税の対応 

確定申告書を作成した後、e-Taxから申告書を送付します。送付の流れは以下の通りです。

  • ログイン後、「申請・納付手続きを行う」をクリック
  • 「作成済みデータの利用」の「操作に進む」をクリック
  • 作成した申告書を選択し添付
  • 「電子署名の付与」をクリック
  • 「送信する」をクリック
  • 「受信通知を確認」で送信されていることを確認して完了

詳しくはe-Tax操作マニュアルもご覧ください。

e-Tax対応のおすすめ会計ソフト

e-Tax対応の会計ソフトを選ぶには、事業のビジネス規模や操作性のわかりやすさなどをポイントに選びましょう。個人事業主やフリーランスには、e-Taxとの連携がスムーズで使いやすい機能が充実している「freee」や「マネーフォワードクラウド会計」がおすすめです。

はじめての独立開業や各種納税手続きにはfreee会計

freee会計は個人事業主や中小企業向けに特化したクラウド型の会計ソフトで、シンプルな操作性と豊富な自動化機能が特徴です。独立したばかりのフリーランスや、会計の知識をあまり持っていない初心者の方でも使いやすい会計ソフトです。

  • 直感的に操作できる
  • 自動仕訳機能で、会計知識不要
  • 確定申告書の作成からe-Tax申告までワンストップ

会計に慣れてきた場合にはマネーフォワードクラウド会計

マネーフォワードクラウド会計は個人事業主から中小企業まで幅広いユーザー向けに提供されるクラウド型会計ソフトで、便利な連携機能やサポートが強みです。確定申告を行う際は確定申告書の作成に特化したマネーフォワード確定申告を使うこともできます。

  • 手厚いサポート体制
  • 税理士との連携や経営分析機能も使える
  • 確定申告書の作成からe-Tax申告までワンストップ

入力の際は仕訳の知識が多少必要になるので、会計の流れに慣れてきた方におすすめです。

e-Taxはフリーランスにとって、税務手続きをオンラインで効率よく進めることができる強力なシステムです。年度末の確定申告時期にあせって着手するのではなく、余裕をもって事前登録など準備を進めておきましょう。

フリーランスの請求管理を効率化|電子帳簿保存法対応の請求書テンプレ・回収遅延対応を解説

提供したサービスや販売した商品の代金を請求する書類を「請求書」と言います。フリーランスにとって請求書は売上請求をするためだけでなく、取引完了の証明や支出の管理などさまざまな役割を持つ書類です。

請求書を漏れずに送るだけでなく、請求書をきちんと保管するまでが請求管理。フリーランスとしておろそかにはできない大切な業務です。

フリーランスの請求管理業務は経営戦略を立てるために必要な経験 

フリーランスとしての請求管理は、キャッシュフローを安定させ、経営戦略を効果的に立てるために不可欠です。経理業務代行サービスもありますが、フリーランスとして独立したばかりであれば資金の流れを理解するためにも一度自分でやってみることをおすすめします。

フリーランスが​行う請求管理に伴う​経理業務

経理の業務は基本的に月次で毎月行うものと、年次で年に1回行うものに分かれます。毎月の業務を漏れなく行っていれば年度ごとの経理業務が楽になります。

毎月​行う​請求管理に伴う経理業務

通帳の​記帳、​または​入出金チェック

入出金チェックは経理管理の重要な部分です。定期的に行うことで財務状況を把握しやすくなります。

請求書の​発行

フリーランスとして請求書を発行することは、金銭トラブルの防止や報酬を正しく受け取るために必要不可欠です。漏れやミスなく、納品と同時に請求書を送付しましょう。

経費の​支払い 

フリーランスにとっての経費とは事業に関して支出した金額のことです。家賃、wifi代、ツールの利用料金などが該当します。

帳簿の​抜け漏れの​確認

帳簿の作成はすべての事業主の義務であり、白色申告や青色申告をしているフリーランスも帳簿をつけなければなりません。毎月の家計簿と同じように帳簿をつける癖をつけ、漏れがないかチェックをしましょう。

領収書や​請求書などの​整理と​保存

電子帳簿保存法により、取引の際に発生する税務関連の書類を指定に沿って保存が必要です。これは領収書や請求書も該当します。忙しいとフォルダ保存をし漏れていることもあるので、毎月漏れがないか確認します。

毎年行う請求管理に伴う経理業務

棚卸作業

個人事業主や法人は、年に1度必ず決算を行わなければなりません。決算にともない、資産の残高を適切に把握するために棚卸を行います。Webデザイナーなどのフリーランスの場合は在庫を持たないビジネスですが、使用しているツールやライセンスなどを見直しをするタイミングです。

決算書の​作成

棚卸後、年間の収支をまとめた決算書を作成して確定申告書に添付しなければなりません。freeeなどの会計ソフトを使って作成すると簡単です。

確定申告 

フリーランスの確定申告は、収入や経費を正確に申告する重要なものです。確定申告とは、その年の収益と経費を申告し、所得に対する正しい税金を計算して納税することです。毎年2月16日から3月15日までの期間中に前年度の所得に関する申告を行う必要があります。

CHECK

・キャッシュフローを知るために、フリーランスでも自分で経理業務をやってみるのがおすすめ
・毎月の経理業務には入出金チェックや請求書発行、帳簿づけがあります
・年度末に年1回行われる経理業務は確定申告がメインになります

フリーランスが請求書を発行する際の注意点

フリーランスにとって、請求書は非常に重要な書類です。請求書に必ず記載しなければならない項目は、国税庁の「請求書等の記載事項や発行のしかた」にて、以下の5つに定められています。

1.書類作成者の氏名または名称
2.取引年月日
3.取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
4.税率ごとに区分して合計した税込対価の額
5.書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
国税庁「請求書等の記載事項や発行のしかた

振込手数料の対応

報酬の振込手数料は支払側が負担するのが一般的です。新規の取引先の業務を初めて受託する場合は、どちらが振込手数料を負担するかを確認して明確にしておきましょう。

源泉徴収の対応

源泉徴収とは取引先がフリーランスに支払う報酬から一定の税金(所得税)を差し引き、直接税務署に納付する制度です。契約時に源泉徴収の有無や条件を確認し、対象の場合は源泉徴収された分を明記した請求書の保管が必要です。

消費税の書き方

フリーランスも消費税を請求できますので、請求書には消費税欄が必要です。インボイス対応の場合は適格請求書発行事業者の氏名や登録番号の記載、適用税率の記載が必要になります。

押印の必要性

請求書には印鑑の押印義務はありません。もしフォーマットとして押印をしたい場合は角印を使うことが一般的です。

PDF化した後のパスワード処理 

請求書はデータが誤って消えたり改ざんされたりしないように、パスワード付きPDFにして取引先に送ります。請求書を送るメールと請求書のパスワードを知らせるメールは別々に送信します。

CHECK

・請求書に記載しなければならない項目は法律で定められている
・振込手数料や源泉徴収の対応など注意が必要
・請求書はPDF化してパスワードを付けて取引先に送る

電子帳簿保存法に準じた請求書作成・送付後に必要な保存のポイント 

フリーランスが請求書を電子で保存する際、電子帳簿保存法を理解しておく必要があります。電子帳簿保存法とは、税務関係帳簿書類のデータ保存の方法について細かく定めている法律です。

取引年月日・金額・取引先名をファイル名に記載

保存したデータの中から必要な書類を探しやすくするために、検索しやすいファイル名を付けることが推奨されています。例えば以下のように、ファイル名に検索できる要件名を入れておくと良いでしょう。

[取引先名]_[取引内容]_[YYYYMMDD]_[金額].pdf

請求書は5年・インボイス(適格請求書)は7年保存が義務

請求書は法律にもとづき一定期間保存しなければなりません。確定申告が終わったからもう使わなくなると思って削除するとアウトです。通常の請求書は5年、インボイス(適格請求書)に関しては7年の保存が義務付けられています。

DropboxやBoxなど電子保存用のストレージを契約しておくと便利 

DropboxBoxといったクラウドストレージに保存をしておくとどこからでもアクセスでき、社内外のユーザーと簡単にデータ共有が可能になり便利です。クラウドストレージとは、インターネット上で利用できるファイルの保管場所のことです。ファイルを保管するだけでなく、クラウドストレージ上の(保管場所の)URLを共有することでファイルの共有も簡単に行えます。

CHECK

・電子帳簿保存法により請求書の保存のしかたが定められている
・ファイル名は検索しやすい名前のパターンを決めて保存すること
・最長で7年の書類の保存が義務付けられており、クラウドストレージに入れておくと便利

提案や案件の進捗・請求や支払いなどの一元管理で経理業務の負担を減らす

経理業務の負担を減らすためには、ツールの導入が欠かせません。プロジェクト管理と会計ソフトが統合された統合管理システムの導入や、手作業によるミスを減らすために請求を自動化する仕組みを作るなど、できるだけ自動化・効率化しましょう。

見積から請求まで一気通貫のおすすめ請求管理ソフト

フリーランスとして請求管理をするメリットは、事務作業の効率化、請求ミスの削減、キャッシュフローの管理、収益の可視化など多くあります。請求漏れは収入減だけでなく取引先からの信用低下にもつながります。請求管理をミスなく行うために専用ソフトの導入をおすすめします。

Make Leaps

Make Leapsは帳票作成から入金管理までをWEB上で一元管理できる請求管理クラウドサービス。誰でも直感的に使えるシンプルでわかりやすい操作性が特長で、2019年度グッドデザイン賞を受賞しています。

Tooon

Tooonは取引管理や決済機能をワンストップで完結する業務管理ツールで、ブラウザ上で共同編集出来るのが特徴。フリーランスやクリエイター向けに開発された取引アプリで、業務負担の軽減を実現することで創造的な活動に集中できる環境をつくることを目的としています。

INVOY

INVOYは請求書の作成や取引先の追加など請求・経理業務に必要な多くの機能を無料で利用できるサイトです。インボイス制度や電子帳簿保存法など最新の法令にも対応しています。

INVOICY 

INVOICYはフリーランス向けの完全無料な請求書、作業報告書管理ツール。請求書、見積書だけでなくフリーランスには欠かせない作業報告書の作成&管理を行うことができる クラウドサービスです。

CHECK

・経理業務やツールの導入により自動化することが可能
・キャッシュフローの管理、収益の可視化といった観点から請求管理は不可欠
・見積から請求まで一気通貫でできるソフトもいろいろあります

フリーランスとして請求管理はお金の流れを可視化し、計画的に資金管理をするために大切なこと。守らなければいけない法律もいくつかあるので、知識をみにつけながらこつこつと経理スキルも身に着けていきましょう。

副業に会社の許可は必要?申請すべきケースと通しやすくなる説明のコツ

多様な働き方が尊重される中で、副業が推奨される社会になってきました。副業を始める際は就業先へ報告や税務署への開業届などすることがいくつかあります。就業先の会社には副業をする旨を伝えたほうがいいのか?伝えなくてもいいのか?と気になっている方のために副業・兼業を始める時に気を付けるべきこと、ルールやフローについて詳しくご紹介します。

副業を就業先の会社に隠す必要はありません!副業をする前に必ず会社に報告してから始めましょう。会社に伝える際は、就業規則を確認し、自分のキャリアプランや会社へメリットがあることも合わせて伝えることでスムーズに始めやすくなりますよ。

副業をする際は必ず会社に報告をする

副業を始める際は、まず就業先の会社にきちんと報告が必要です。会社に報告をしなくても副業をすることはできます。

また、何かトラブルになることもありません。しかし、はじめに報告しておいたほうがリスク回避になり周りの協力を得られるので、結果的にメリットとなります。

副業を始めるということは、自分のキャリアの可能性を広げる一歩を踏み出すこと。

堂々と自分のキャリアづくりを進めましょう。そのためにも、まず会社からの理解を得たほうが心強いですよね。

一方で、会社によっては副業の申請が必要だったり副業が禁止されていたりする場合もあります。副業禁止の規則を守らず副業を行うと懲戒処分の対象となる可能性があるので、注意が必要です。

会社員の副業は法律で禁止されてはいない

少子高齢化が進み労働力不足が課題となっている中、働き方改革の一環として副業が解禁されました。人々の働き方の選択肢が拡大し、興味のある分野を経験しながら、スキルアップにチャレンジする人が増えています。

政府主体で副業・兼業を推奨している

働き方改革に伴い、政府は副業・兼業の促進や柔軟な働き方を推奨しています。副業を許可することで従業員のスキルアップやモチベーションの向上から離職率の低下につながるなど、企業側にとっても良い効果があり、推奨する会社が増えています。

就業規則によって副業を禁止している会社もある

副業を禁止する法律はありませんが、会社によっては副業を禁止している場合もあります。そのため、勤務先の就業規則の確認が必要です。ちなみに国家公務員・地方公務員は副業が禁止されています。

副業を認めている会社でも事前に許可が必要な場合もある

副業禁止となっていなくても、制約がある場合もあります。

例えば「競合する業種・企業での副業は禁止する」「副業は会社の許可が必要」など条件が定められていることがありますので方針をきちんと確認し、会社の定める承認フローに沿って上司や人事へ適切に報告しましょう。

CHECK

会社員の副業は法律で禁止されていません
会社の規則で副業が禁止されている場合があります
会社によっては事前に許可を取る必要があります

副業に関する就業規則別の会社に報告する具体的な流れ

まずは、就業規則を確認し、決められた方法に沿って会社に副業を開始する旨を報告します。その後、役所に開業届を出せば副業の申告は完了です。

会社の就業規則で副業禁止の規定がないか確認する

副業を始めようと思ったら一番初めにすることは就業規則の確認です。

会社によっては就業規則で副業禁止としている場合もあり、どの会社に所属をしていたとしてもまずは就業規則を確認し、自分の勤める会社の規則に応じて手続きをしましょう。

具体的には、就業規則の中にある「副業・兼業」もしくは「禁止事項」の章に書かれている規則を確認します。

副業許可申請書を記入して本業の会社へ提出する

就業規則で「他の会社等の業務に従事することができる」といった内容が書かれていれば副業OKです。「事前に会社に所定の届け出を行うものとする」「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」などがある場合は、会社へ申請書を提出します。

副業が完全許可制の場合

  • 届け出の必要はないが、上司には一言入れておく
  • 届け出をしなければならないと規則に書かれていなければ申請書の提出は必要ないですが、上司には報告しておくと良いでしょう。

副業が原則許可制の場合

  • 既定の手順で会社の許可を取りに行く
  • 申請を出せば基本的に副業OKの場合は、既定の手順で会社に報告し副業の許可をもらいます。
  • 申請却下される心配はないので、きちんと申請を出しましょう。

条件付きで副業が許可制の場合

  • 審査を経て副業許可が出る場合や、副業をする理由などを会社に詳しく伝えるよう求められている場合は、伝え方に注意が必要です。
  • 副業をする理由は、「収入を増やしたいため」と簡単に書くよりも「子どもの学費や親の介護費用を稼ぐため」「スキル取得のため」などと具体的に書き、嘘は書かないようにしましょう。
  • 副業をすることでスキルを得て本業に還元できるなど会社にとってメリットがある旨もアピールすると良いでしょう。

副業が就業規則で完全に禁止されている場合

  • もし会社にばれた場合は懲戒処分の対象となる可能性もあります。禁止されている場合は、副業をひかえましょう。

副業の業務内容を決めて開業届を出す

就業先から副業の許可をとれたら、役所に開業届を出します。

開業届とは、新たに所得を得る事業を始める人が出す届け出のことで、本業・副業問わず届け出が必要です。個人事業主やフリーランスとして活動している人だけでなく、副業の場合も必ず届け出が必要になります。

開業届の内容を確認する

  • e-Tax(国税電子申告・納税システム)や開業届支援ツールを使ってオンライン申請ができますのでシステムにログインして、どんな項目があるのかまず確認します。税務署や国税庁のホームページで開業届用紙をPDFでダウンロードすることもできます。

開業届に書く内容を決める

  • 開業届の項目の中には「事業の概要」として業務内容を書く欄があります。どんな仕事をする予定なのかある程度決めておく必要があるので、自分がやりたい事、挑戦したい事を整理しておきましょう。

必要書類と共に提出

  • オンライン申請もしくは直接or郵送で税務署窓口へ提出します。提出時期は特に決まっていないので、思い立ったら早めに届けを出してしまえば大丈夫です。

副業からの所得額が20万円を超えると確定申告も必要

1月1日から12月31日までの副業所得が20万円を超える場合は確定申告も必要になります。副業所得とは、副業で得た売上金額ではなく経費を差し引いた額のことです。

副業を始める際に購入した機器・ツールの領収書や、月々のネット使用料などはまとめておくと便利です。売上から必要経費を引いた金額が20万円を超えそうな場合は確定申告の準備をしておきます。

CHECK

まず会社の就業規則を確認しましょう
上司へ報告し、必要な場合は副業許可申告書を提出します
税務署へ開業届を提出して副業の届け出は完了です

副業をして懲戒処分を受けてしまうケース

就業規則で副業禁止とされている場合、規則を破って副業をしているのがばれた場合、懲戒処分を受ける可能性があります。副業が認められている場合も、明らかに会社にとって不利益が生じた場合は罰則が課されることがあります。

会社の定めるルールや規定に違反し、会社の信用や利益に深刻な損害を与える行為に対して行われるのが懲戒処分です。

「警告」、「減給やボーナスはく奪」、「降格」や、さらには「解雇」といった措置が取られます。さらに、副業をする際には、体調管理とともに情報漏洩などに十分注意しながら業務にあたる必要があります。

ケース例1:他社への情報漏洩で会社に不利益を被らせた場合 

特に気を付けたいのが情報漏洩です。意図的に情報漏洩するのはもちろんNGですし、自分でも気づかぬうちに情報漏洩のリスクを犯している場合もあります。以下のようなケースに当てはまらないか確認が必要です。

  • 会社支給のパソコンを使って副業をしている

間違って機密情報が外部に漏れる可能性があります

  • 副業で使用するパソコンのセキュリティ対策をしていない

不正アクセスやハッキングによって機密情報が漏れる可能性があります

  • 就業先の顧客情報や商品情報を副業先に伝える

企業の財産である情報を安易に外部に伝えることは機密情報漏洩にあたります

ケース例2:副業が原因で会社の信用に悪影響をもたらせた場合

副業として関わった業務が不正に関連しており、倫理的に問題があるなどの場合、社員が関わったとして会社の信用が損なわれる可能性があります。

例えば、副業の案件が詐欺行為に関っていた場合、就業先の会社の信用も傷ついてしまいます。案件は慎重に選びましょう。

また副業の営業活動のために自分のSNSを活用することもあるかもしれませんが、SNSで炎上するなどした場合も会社に影響する可能性があります。こちらにも十分に注意が必要です。

CHECK

就業規則で副業禁止とされている場合、副業はひかえること
副業が認められていても、会社の不利益につながることは懲戒処分対象になります
情報漏洩や会社の信頼低下を起こさないように注意しましょう

副業をすることの会社への切り出し方・報告のポイント

副業を報告する際は具体的な業務内容や副業をしたい背景と目指しているキャリアプランを明確に伝え、周りを味方に引き込むことがポイントです。

副業を会社に報告することでトラブルを防げるだけではなく、自分がどういうことに興味があり、どんなことをやりたいと思っているのかを上司や同僚に伝えることによって、社内でもやりたい仕事が回ってくるチャンスが増えることもあります。

まずは本業を通じて職場での信頼を得よう

「仕事できちんと成果を出していないのに副業をするなんて」「副業を始めさせたら、本業がおろそかになるのではないか」と、不当な評価を受けてしまうのは一番避けたいことです。

副業をスムーズに始めるためには、まず現在自分が受け持っている業務をきちんとこなし、仕事における信頼関係をつくっておくことが大切です。

副業に集中しすぎて本業がぼろぼろになることがないように、まずは本業でやるべきことをきっちりこなしましょう。

上司や周囲の同僚に応援をしてもらえるようにしよう

社内での信頼関係が構築できたら、タイミングを見計らって副業を始める旨を周りに伝えます。

目指すキャリアプランや、どんな想い・計画でどんな内容・頻度の業務を副業として行う予定なのか、上司に報告すると良いでしょう。

スケジュール感や、予想される影響範囲などもあらかじめ共有しておくと良いです。副業が現在の職務や会社の利益に影響を与えないことと納得できる理由も説明し、誠実に報告することで会社との関係を損なうことなく副業を始めます。

人事や管理部に報告をして会社から副業許可をもらう

周囲の理解が得られたら、上司の後押しとともに会社へ申請・報告を行い、副業許可をもらいます。その際以下の内容を伝えましょう。

  • 副業の目的:新しいスキルの取得のため、子供の学費のためなど、具体的に伝えます。その際、就業先にもメリットになることがある旨も伝えると良いでしょう。
  • 業務内容:具体的な業務内容のほかに、競合する企業でのプロジェクトではないか、顧客との関係性や機密情報の取り扱いなど利益相反の観点も問題がないことを伝えます。
  • 作業時間:副業と本業のバランスをもって両立できる時間配分がスケジュールできており、本業に支障が出ない働き方であることを伝えます。

CHECK

まず同僚や上司の信頼を得ることから始めます
会社のフローに沿って副業報告を行います
副業の目的、業務内容、背景、想定されるリスクと対処法まで包み隠さず伝えます

副業をする旨を会社に伝えたほうが、周りからの理解も得られて良いですね!会社によって報告のしかたが決められているので就業規則を確認し、フローに沿って報告します。まずは報告するところからが副業のスタートです。

副業を行う際は目的を持って臨み必ず会社に報告

副業を始める際はゴール設定が大切です。ゆくゆくはフリーランスとして独立したいのか、キャリアアップのためなのか、目指すゴールによって副業の働き方も変わってきます。自分がなりたい状態を具体化し、副業をする目的を明確化したうえで副業をスタートできると良いでしょう。

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