フリーランスの印鑑作成完全ガイド|用途別の種類・契約書での使い方・電子印鑑の活用法

フリーランスとして仕事をスタートするときに印鑑を作ったほうが良いのか、必要ないのか?と疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。「印鑑を新しく作らなくてもフリーランスとして始めることができるが、あったほうが便利なので作ったほうが良い」というのが結論です。では、どのような場合に必要なのか?どんな種類の印鑑が必要なのか?をこの記事でわかりやすく説明します。

フリーランスであっても印鑑を作りましょう!法人登記と異なり必ず必要ではありませんが、事業用の印鑑を使うことでビジネス上の信頼度がアップして取引先とのやりとりが好印象になりますよ。

フリーランスは「個人の実印と銀行印」だけでも始められる

フリーランスとして仕事を始めたい場合、印鑑が必要な場面は大まかに以下2つに分類されます。

  • 事業用の銀行口座を開設する
  • 事業を行う中で発生する書類捺印に使う

まず、フリーランスとして事業を始めるにあたり、プライベートの口座と分けた新しい銀行口座が必要です。個人の銀行口座とビジネスの銀行口座を兼用すると、お金の管理がしづらくなり、会計ソフトとの連携や確定申告の手続きの手間が大きくなります。事業用に分けた口座開設のためにまず「事業用の銀行口座を開設するための銀行印」が必要です。

実際に事業を始めた際、契約書や請求書などさまざまな書類に捺印をする場面が出てきます。ビジネスとしての信用度アップのためには屋号(ビジネス名、ブランド名)の入った事業用の印鑑で捺印ができれば良いですが、屋号がなく新しく印鑑を作る余裕がない場合は「個人の実印」を使っても問題ありません。

なお、2021年4月以降は税制改正により税務署に提出する書類への押印が不要になりました。開業届も確定申告書も印鑑なしで提出できるようになっています。会社間のやりとりでも電子署名やデジタル文書による契約が一般的になってきており、契約の際に印鑑を使う機会が減りました。これらの理由により最近では事業用の印鑑がなくても「個人の印鑑(個人の実印)」で事業を行うことが可能になっています。

フリーランスが作るべき印鑑は「事業用の丸印・角印・銀行印」

新しい印鑑を作らなくてもフリーランスとして事業を始めることは出来ますが、私用と事業用で用途を分けて印鑑をそろえておくことをおすすめします。

事業用の印鑑を使い分けることで以下のようなメリットが生まれます。

  • フリーランスとしての信用度が上がる

事業用の印鑑を使うことによりビジネスの信頼性や信用度が高まります。プロフェッショナルとして事業を行っていることを相手に印象付け、安心して取引をしてもらうことが出来ます。屋号を持っている場合は屋号が記された印鑑を使うとさらに良いでしょう。

  • プライバシー保護や紛失時の損害防止になる

印鑑を一つにまとめることで、個人情報が漏れやすくなり紛失時のリスクが高まります。私用と事業用で印鑑を使い分けることにより、不要な個人情報が漏れるリスクを回避することが出来ます。

事業用に印鑑を新調する際、フリーランスとして持っておきたいのは「丸印」「角印」「銀行印」の3点。ちなみに銀行印と個人の実印は兼用可能なので「丸印」と「角印」の2点のみでも手続き面では問題ないのですが、印影の悪用などのリスクがあるのでおすすめできません。「丸印」も「角印」も「銀行印」もインターネットの印鑑専門店で買うことが出来ます。

将来法人化を考えている場合は、法人設立登記の際に「丸印」「角印」「銀行印」の3点セットが必要になるので、今のうちに作っておくと良いでしょう。

CHECK

印鑑を新しく作らなくても「個人の実印」と「銀行印」でフリーランスは始められる
信頼確保やリスク防止の観点からは個人用の印鑑と事業用の印鑑は分けたほうが良い
フリーランスとして作るべき印鑑は「丸印」「角印」「銀行印」の3点セット

フリーランスが日常的に使用する事業用印鑑「丸印」と「角印」の役割の違い

フリーランスとして日常的に使う「丸印」と「角印」の違いを説明します。ちなみに「銀行印」は銀行などの金融機関で口座開設をする為の印鑑ですので、日常的に使うものではありません。

屋号名と代表者名が記載される「丸印」は重要な契約に使う印鑑

丸印はその名の通り丸い形の印鑑です。二重構造になっており、外枠に屋号、内枠に代表取締役之印という文字が入る作りになっています。実印、代表印とも呼ばれ、契約書や取引書類などの法的な文書に使います。屋号がない場合は、プライベートの印鑑とは別に事業用の丸印を個人名で作れば問題ありません。

屋号名のみ記載される「角印」は見積書・請求書など対外書類に使う印鑑

角印は四角い形の印鑑で、屋号だけが入ったもので屋号印とも呼びます。丸印が二者間の正式な契約書など重要な書類に使われるのに対して、角印は領収書や請求書といった対外書類に使います。

企業によっては「角印が押されていない見積書は受け付けない」といったルールもあるので、フリーランスであっても作っておいて損はないでしょう。

角印は印鑑登録をするものではないので法的効力はなく、種類としては認印(確認した旨を示すためのもの)に分類されます。

屋号がない場合は角印を作らなくても事業用の丸印で代用可能です。ただ、角印があったほうが対外的な信用度が上がるので屋号と角印の作成はぜひ検討しましょう。

CHECK

「丸印」は屋号と代表者が記載されており契約書など法的な書類に使う
「角印」は屋号が記載されており見積書・請求書など対外書類に使う
「角印」は種類としては法的効力のない認印に分類される

「実印」の手続きが必要な場合は個人の実印と印鑑証明書で対応する

フリーランスとして事務所を設けるため不動産契約をしたい、自動車を使う仕事をするので自動車を購入してローンを組みたいといった際に「実印」が必要になることがあります。「実印」とは、役所に印鑑登録している公的に認められた印鑑のことを指し、重要な契約や手続きをする時に欠かせないものです。

フリーランスは法人登記の印鑑登録がないので会社としての実印というものがなく、実印が求められる取引の際には印鑑登録している「個人の実印」と「印鑑証明書」で対応します。

印鑑登録は住民票登録されている市区町村の窓口にて、本人確認できる証明書と申請書を提出すれば手続き出来ます。もし個人の印鑑登録が済んでいない場合はフリーランスを始める時に手続きをしておくと良いでしょう。

フリーランスが印鑑を購入する時に注意すべきポイント・ルール

それぞれの印鑑を作る際に最低限押さえておきたいポイントや、一般的な仕様を説明します。まず印鑑の大きさですが、丸印>銀行印>角印の順にサイズが小さくなるのが一般的です。効力が大きな印鑑ほど大きく作られます。

男性用は大きめ、女性用はやや小さめが推奨されることが多いですが、その通りに作らないと使えないということはありません。自分の好みや使いやすさに合わせて作りましょう。

印鑑に使う書体ですが、選び方があります。事業で使うものは「偽造されにくさ」「耐久性」「読みやすさ」などを考慮したフォントを選ばなければいけません。また、作る際には自分の目でデザイン確認を行いましょう。

素材に関しては、動物の角や牙、木材、チタンなどの金属など様々なものがありますので、予算や好みに応じて選ぶことが出来ます。

「丸印」は欠けにくい「吉相体」で13.5〜15.0mm以上の大きさにする

  • サイズ

13.5〜15.0mm以上

  • 書体

重要な取引で使う丸印に良く使われるのが「吉相体」です。「印相体」とも呼ばれます。文字の線が外枠に向かって広がるようなデザインになっており、末広がりで縁起が良いとされています。線が太く、文字と枠が接する部分が多いので欠けにくいというメリットがあります。

<<吉相体 のイメージ画像>>

「角印」は見やすい「隷書体」で18.0〜24.0mmの大きさにする

  • サイズ

18.0〜24.0mm

  • 書体

角印は記載されている法人名が読みやすいようにシンプルな「隷書体」がおすすめです。バランスの取れたデザインの文字は明瞭で堅実な印象を与えてくれ、文字数に合わせて縦横のアレンジがしやすい書体です。

「銀行印」は偽造しにくい「篆書体」で12.0〜13.5mm以上の大きさにする

  • サイズ

12.0〜13.5mm以上

  • 書体

銀行印は悪用を防ぐため、偽造や盗用防止に効果の高い「篆書体」にしましょう。日本国パスポートやお札にも採用されている書体です。

「電子印鑑」の準備も電子契約のために同時に進めておく

電子契約で契約を取り交わすケースも増えているため、印鑑を作るタイミングで電子印鑑も同時に作ってしまいましょう。「電子印鑑」とは、パソコン上の文書に印鑑を押印できるようにするものです。「電子印鑑」の準備方法は2通りあります。

  • 印影画像を自分でスキャンする

印鑑を白い紙にきれいに押印し、スキャナーでスキャンをしてパソコンに取り込みます。正方形にトリミングをし、背景を透過させればオンライン捺印として使える電子印鑑画像が出来上がります。

  • 電子印鑑作成ソフトを使う

自分で作った電子印鑑画像データは簡単に複製されやすくリスクが高いものです。セキュリティ対策として画像データに使用者情報を持たせた「電子印鑑」がおすすめです。誰が押印したのかを識別することで、偽造や悪用のリスク軽減効果があります。「電子印鑑GMOサイン」や「My電子印鑑」など識別情報付きの電子印鑑を作成する有料サービスに申込をし、印鑑のデータを送るだけで作成することができます。

CHECK

フリーランスの活動で実印が求められる場合は個人の実印を使う
事業用印鑑は大きさやフォントにはルールがある
電子印鑑はセキュリティの高い識別情報付きのものがおすすめ

印鑑を作る費用は「消耗品費」として事業経費に全額計上できる

印鑑の購入や印鑑登録にかかった費用は事業経費として計上可能です。勘定科目は定められていませんが、消耗品費として処理されることが一般的です。確定申告の際に漏れのないように収支にまとめておきましょう。

フリーランスが事業用印鑑を紛失した場合は「銀行・警察」へすぐに連絡

印鑑は会社の顔となる大切なもの。持ち歩くものではないので紛失することは少ないはずですが、紛失・盗難には十分注意が必要です。紛失した場合は、印鑑の種類によって対応が変わってきます。

  • 銀行印を紛失した場合

すぐに銀行と警察に届け出ます。銀行には早めの連絡が必要なので、夜間など窓口が開いていない時間帯は「紛失受付センター」へ連絡します。銀行へ印鑑紛失の旨が伝わると該当の印鑑での入出金や取引が停止され、悪用を防ぐことが出来ます。その後新しい印鑑を用意して銀行印の登録をしなおします。警察には紛失届を提出します。

  • 印鑑登録している実印を紛失した場合

印鑑登録をしている市町村と警察へ届け出ます。印鑑登録書と本人確認が出来る証明書と共に、印鑑登録亡失届を役所へ提出します。これにより印鑑証明書が不正に発行されるのを防ぐことが出来ます。もし印鑑が見つからない場合は、以前の印鑑登録を廃止し新しい印鑑の登録も行います。同時に警察には紛失届を提出します。

  • 印鑑登録していない印鑑(丸印、角印)を紛失した場合

会社の取引時に使う大切な印鑑なので、きちんと警察に届け出をします。誰かが落とし物として届けてくれた際にすぐに連絡がもらえるように警察署で紛失届出証明書や盗難届出証明書をもらっておきます。

新たな気持ちでスタートする決意も込めて、フリーランスを始める際には「丸印」「角印」「銀行印」の3点セットを作りましょう。電子契約が主流になってきているので同時に電子印鑑の用意もおすすめします。

本格的な活動を視野に入れて事業用の印鑑を作る

印鑑を使う機会が減ってきているとはいえ、信用度を上げるために欠かせない事業用の印鑑。WEBデザイナーなどWEB案件が中心のフリーランスであっても是非作っておきましょう。

フリーランスにとって、コミュニケーション能力やスケジュール管理能力と並び事務処理力も大切なスキルの一つです。取引先へ提出する書類の見やすさや印鑑の有無によって信用力が左右されることも留意すると安定的な案件獲得につながります。

フリーランスの屋号を決めるために|開業届や銀行口座・名刺での使い方をわかりやすく解説

フリーランスにとって屋号は大切なパートナー。屋号があるのとないので得られるメリットが大きく変わります。ビジネスの顔として事業の成長に大きく貢献してくれるものです。

フリーランスとして活動するにはぜひ持っておきたい屋号。屋号は開業時に決まっていなくても大丈夫です。途中から付けることも、変更することも自由にできます。役所への書類にある屋号記入欄に記入して提出するだけで簡単に登録できるので、気負わずに決めてしまうのがおすすめです。

開業時に屋号は必須ではなく、後から変更もできる

「屋号」とは、フリーランスや個人企業主がビジネスをする際に用いる、事業名を表す名称のことです。とはいえ、屋号は必ず持たなければいけないわけではありません。

屋号を使う場合は名刺・請求書・領収書などに記載するのが一般的です。また、開業届や確定申告書など役所に提出する書類にも記載欄があるため、屋号を持つ場合には記入が必要です。

屋号はいつでも好きな時につけることができ、あとから変更することも自由です。変更のための特別な手続きも不要です。開業届を出すときに屋号が決まっていなくても、確定申告の際に申請書類に屋号を記載すればそのまま登録が可能です。

屋号が決められずに開業届が出せないと思っているのなら、「freee開業」などのサポートツールで屋号なしで、まずは開業をしてしまいましょう。

ATTENTION

freee開業

フリーランスが屋号を活用するタイミング

屋号を日常的に使う名刺や請求書以外にも使う場面はたくさんあります。

開業届を出すタイミング

開業届には屋号を記入する欄があります。提出のタイミングで屋号が決まっていれば記入しましょう。決まっていなければ空白での提出で問題ありません。

事業用の銀行口座を作るタイミング

事業用として作る銀行口座の名義は、個人名だけでなく「屋号+事業主名」を設定することができます。

屋号入りの印鑑を作るタイミング

フリーランスが使う印鑑は「丸印」と「角印」があります。屋号が記入された「角印」を用意すると領収書・請求書などの書類に使うことができます。

フリーランスとして名刺を作るタイミング

オンラインでのビジネスの場が多くなった今でも、名刺は作っておくほうが良いでしょう。個人名のみ記載の名刺と屋号入りの名刺では印象が変わります。

見積書・請求書・領収書などの受発注取引のタイミング

案件ベースで業務を行うフリーランスは取引先へ見積書や請求書などの書類を提出する場面が多くあります。その際、屋号が記された書類を提出することで先方からの信頼を得やすくなります。

青色申告・白色申告に関わらず確定申告を行うタイミング

確定申告書には屋号を記入する欄があります。なお、屋号の記入は必須ではありませんので決まっていない場合は未記入での提出で問題ありません。

経理・会計処理や事務書類の公私の区別が屋号をつける一番のメリット

屋号を持つことで、公私の区別ができることは大きなメリットです。個人名で仕事をしているとメールやチャットなど、仕事とプライベートで切り替えが難しく、仕事の時間のオンオフがあいまいになってしまいます。

同様に、契約書類や領収書類もプライベートと事業用が混ざる整理が大変です。

年末に書類の山を処理するのに膨大な時間がかかるなんていうことは避けるために、仕事関連の書類や会計処理を個人用と別で管理することで事務処理がスムーズになります。

CHECK

屋号が決まっていなくても開業できる
開業後でも屋号をつけることも、変更することも可能
屋号を持っているとオンオフの区別がつきやすい

フリーランスの屋号の決め方のポイント

屋号を持つもうひとつの大きなメリットは、社会的信用力が高まり仕事の依頼をもらいやすくなることです。屋号による依頼数への影響度は意外に大きいので、思い付きだけでなくポイントを押さえて決める必要があります。

ひと目で事業内容がわかる・覚えやすい屋号がおすすめ

屋号にオシャレさは必要ありません。読みにくく変換しづらい名前は避け、シンプルで分かりやすいものにするのがマストです。

例えば、デザイナーの場合は「○○デザイン」「○○ウェブ」「○○クリエイティブ」「○○事務所」、エンジニアの場合は「○○制作」「○○システム」。また、クリエイターの場合はペンネームを屋号として使うパターンもあります。

  • 文字数は長くても10文字~15文字程度
  • 読みにくい漢字や難しいスペルの外国語は避け、ひらがなやカタカナで表記
  • 簡潔に事業内容が伝わる内容にする

自分では良い名前が思いつかないという場合は、無料の「お名前自動生成ツール」を活用すると便利です。様々な単語を組み合わせたネーミングのアイデアと共にロゴも作ってくれる優れものです。

検索結果を確認して他人と被らない屋号をつける

ある程度候補ができたら、ネットで検索をして同じような屋号がすでに使われていないかを確認します。フリーランスにとって検索で埋もれるのは集客において致命的です。他と被らないオリジナルなネーミングで、効率的に案件を獲得できるようにしましょう。

ホームページのドメインに空きがある屋号をつける

自身のホームページ作成を検討している場合は、屋号と同じドメインを取得できるかどうかも大きなポイントになります。ドメインとはインターネット上でウェブサイトを作るための住所のようなものです。

ホームページだけでなく、できればメールアドレスも屋号と揃えたいものです。ページを作る場所によりドメインの調べ方は変わります。

独自ドメインが空いているか調べる

WordPressやCanvaを使って自分でページを作る場合、独自ドメインを取得してオリジナルのURLでページを運営することができます。独自ドメインを取得後は都度の更新が必要です。

ドメインが空いているかどうか、まず以下のサイトから検索をしてみましょう。「取得可能です」と出てきたものが空いているドメインです。

ブログやnoteのIDが空いているか調べる

ブログサービスを使ってページを作る場合、URLの一部に自身のアカウント名が入ります。ドメインとは異なりますがページのアドレスとして世の中に出るものになります。

例:

https://note.com/*****

https://*****.hatenablog.com

*****部分が自分で好きに設定できる部分です

屋号として使いたい文字列がアカウントとして使えるかを確認します。会員登録画面から進み、ID・アカウント設定画面で使いたい文字列が利用可能かを確認します。

※noteの例画像挿入※

フリーランスの屋号の決め方で抑えておくべきルール

屋号は、文字制限などのルールはなく自分で好きに決めることができますが、いくつか注意点もあります。

事業毎に屋号をつける目的で複数取得できる

「フリーでWeb制作の仕事をしながら別で漫画の執筆からも収入を得ている」「ライターとイラストレーターとしてそれぞれ別のペンネームで活動している」というように、1人で異なる事業を複数行うフリーランスも珍しくありません。その場合、屋号も事業ごとに複数取得することができます。

銀行や会社など法人を想起させる屋号はNG

「○○会社」「○○法人」「○○ Inc.」など、法人と誤解される文字は屋号に使うことはできません。また、「○○銀行」「○○証券」といった特定の業種を連想させるような名前付けも禁止されています。フリーランスは個人事業主であり法人格ではないためです。

商標登録されている屋号はNG

屋号がすでに他社によって商標登録されていないかどうか確認しましょう。すでに商標登録がされているものを勝手に使うのは商標権侵害となり訴えられるので注意が必要です。以下ページの「商標(マーク)>商標(検索用)>キーワード」欄で検索をすることが出来ます。

また、自身の屋号が決まった際には特許庁へ商標登録を行いましょう。特許庁のサイトから自分で行うことも可能ですが、弁理士や特許事務所などに依頼するのが一般的です。標権の存続期間は登録日から10年となっているので、忘れずに更新手続きも必要です。少し面倒くさいですが、自身のブランドを守るために大切な手続きになります。

「,」「.」「-」「&」「・」「’」以外の記号は使えない

屋号の名前のつけ方には決まりはありませんが、法人名(商号)に使える文字は法律で決められています。

法人名で使える文字は、「漢字・ひらがな・カタカナ・数字・アルファベット・「,」「.」「-」「&」「・」「’」の6つの記号」となっています。将来法人化を視野に入れている場合は、上記6つの記号以外を屋号に使うのは避けたほうが良いでしょう。

CHECK

屋号の決め方にルールはないが押さえておきたいポイントはいくつかある
事業内容がわかりやすく、覚えやすい屋号にする
商標登録やドメインのチェックも行うこと

悩みすぎて開業に二の足を踏んでしまうのは元も子もありませんが、自分のフリーランス活動を後押ししてくれる屋号を見つけてください。屋号を決めることは決して難しいことではありません。紹介したポイントに沿って自分独自の屋号をつけましょう。

こだわり・悩み過ぎず。まずは実際に開業して実績とともに屋号を整える

屋号はフリーランスとして大切なものですが、名付けで悩みすぎる必要はありません。ポイントを踏まえたうえで、最終的には自分が好きになる名前を選ぶのが上手くいく秘訣です。

屋号に価値をつけていくのは、開業後のがんばりにかかっています。実績を積み重ねて信頼を育てていくことで、初めてブランディングが出来るようになります。

フリーランスの名刺を営業ツールとして活用するために|デザイン・情報整理・発注方法を解説

名刺は、肩書と連絡先を書いただけのカードではありません。相手との大切なコミュニケーションツールです。特にフリーランスの場合は自分で案件を獲得する必要があるため、いかに自分を印象付けるかが売上を左右します。フリーランスであっても必ず作っておいたほうが良い名刺づくりのコツをまとめました。

フリーランスの名刺づくりにはコツがあります。名前と連絡先だけ載せればよいわけではありません!自分の分身として案件獲得につなげるツールとして、戦略的に作成しましょう。

名刺はポートフォリオの1つとして、フリーランスの営業資料

名刺とは、相手に自分のことを知ってもらうための情報を表記したものです。

特に初対面の人に会った際に交換することが多く、自己紹介に使われます。会社に所属している場合は企業名・部署名・連絡先が記載されたフォーマットがほとんどですが、フリーランスの名刺はデザインや入れる情報に決まりはありません。

オンラインの打合せが主流となりデジタル名刺も出てきました。紙の名刺もデジタルの名刺も、フリーランスにとって自分自身をアピールし相手に興味をもってもらうための大切なツールであることは変わらないので、名刺は是非作っておきましょう。

印象に残るセンスの良い名刺の共通点

良い名刺というのは、名刺を渡したその場で案件につながらなくても、「〇〇に詳しい人がいたな」と思い出してもらえるものです。記憶に残ることで案件受注につながります。

記憶に残るためには目立つデザインの名刺ではなく、伝えたいことが明確で分かりやすい名刺であることが重要です。氏名・連絡先のみ記載をしている事務的なものではなく、自分の分身とも言えるような、事業内容をぱっと見で代弁してくれる名刺が、印象に残る名刺です。

名刺を受け取った相手に行って欲しい行動を明確にして作る

名刺には、「Webサイト制作に困っている際にお声がけしてほしい」、「まずはホームページを見て欲しい」など、案件獲得そのものや、営業の導線という目的があります。そのため、名刺を渡した相手にどんなアクションを起こして欲しいのかを、まず具体的にします。問い合わせ窓口や自身のホームページも作っておきましょう。

  • お問い合わせの連絡
  • サイトへの誘導
  • SNSのリンク

名刺を渡す目的に沿って名刺に載せるべき情報を絞る

名刺を渡すことで達成したい目的によって、記載する情報を取捨選択しましょう。名刺は表面だけではなく裏にも印刷が可能です。必ず載せたい内容をピックアップし、どこにどう配置するのかを考えていきます。ただし、情報量が多くなりすぎて、何を伝えたいのか、かえってわからなくなるようなことは避けましょう。

表面記載情報例:
・氏名(フリガナ)
・屋号・肩書き
・ロゴ
・連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)
・SNSアカウント
・ウェブサイトURL
・ポートフォリオなどのQRコード(※ QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。)
裏面記載情報例:
キャッチコピー
自分の強みやアピールポイント
事業に対する想い
ちょっとした自己紹介(趣味や出身地など)
一言メッセージ

必要な情報が強調されるようレイアウトに強弱や余白の工夫を施す

まず相手に印象付けたいのが、フリーランスとしての自分の強みです。自分がどの分野のプロフェッショナルなのか、具体的な提供サービス内容はどのようなものなのかをぱっと印象付けられるようにしましょう。

エンジニアという職種名をまず知ってもらいたいのか、地域密着型という特性を売りたいのか、専門資格を持っていることをアピールしたいのか、など何を強調するかをまず絞り込みます。決めたアピールポイントが目立つように文字の大きさや強弱をつけてデザインします。

フォントや色の持つイメージを相手に与えたい印象から決める

名刺でよく使われるフォントは以下のものがありますが、決まりはありません。ナチュラルテイストを打ち出したい場合は手書き風にし、自分の名前の部分だけ手書きで書いたものを印刷していることもあります。

  • ゴシック体(角ゴシック、丸ゴシック)
  • 明朝体
  • 楷書体
  • 筆記体(毛筆体、スクリプト)

配色に関しては、相手が見やすい色合いにしましょう。濃すぎ・薄すぎも読みにくくなります。多くても3色までに抑えるのがポイント。風水でラッキーカラーを見てもらって運気が上がる色を使うのもよいですね。

SNSやWebサイトとのデザインに統一性をもたせる

自分自身のブランディングツールとして、名刺や自身のWebサイト、SNSサイトのデザインに一貫性があると覚えてもらいやすくなります。アピールポイントと合わせてデザインも統一させましょう。

フリーランスが名刺を作成する際の注意点

フリーランスが名刺を作成する際には、個人情報に関する注意が必要です。SNSリンクをプライベートのものにしない、必要以上の情報を載せない、など気を付けましょう。

個人の住所や電話番号などの連絡先情報の意図しない拡散リスクがある

名刺を作る際に悩むポイントの一つが、どこまで個人情報を記載するかというところ。自宅で仕事をしている場合、プライベートと同じ住所や電話番号を入れることになります。名刺を渡す相手にとってそこまでの情報が必要かどうか、安全面の観点も含めて判断しましょう。

レンタルオフィスやコワーキングの住所・電話番号を代わりに記載する

個人情報の一つとして登記場所として住居を公にしないためにも、レンタルオフィスを借り、その住所・もしくはバーチャルオフィスで住所だけ借りることができるサービスもあるので必要に応じて活用しましょう。バーチャルオフィスは電話や郵便物の受付や転送を行ってくれるところもあります。

CHECK

フリーランスの名刺に決まったフォーマットはないので、自分が入れたい内容を盛り込みます
名刺を受け取った相手に行ってほしい行動を明確にしましょう
個人情報は必要以上に載せないようにしましょう

フリーランスが名刺を作成する方法と活用したいサービス

名刺の作成方法は複数あります。入手までに必要な時間や、自分のスキル度合いによって発注先を選びましょう。デザインを0から作る場合は考える手間や時間がかかるので早めの着手が必要です。

自分でデザインを行い印刷まで行う

自分で作れば低コストで作成でき、自分のデザインセンスやスキルをアピールできるというメリットがあります。クリエイターの場合は個性が伝わる名刺を自分自身でデザインするパターンが多いですね。初心者でも使いやすいツールがあるのでまず触ってみるのもよいでしょう。

Canva

誰でも簡単にデザインができる無料のオンラインデザインツールです。操作がとても分かりやすく、初心者にもおすすめです。とにかくテンプレートが豊富にあり、自分のイメージに合ったものが見つかるはずです。

ATTENTION

Canva

<<canva名刺テンプレートの画像挿入>>

マヒトデザイン

印刷通販のマヒトデザインには、テンプレートから内容を自由に編集できるデザインメーカーというサービスがあります。白紙の状態、もしくは選んだテンプレートからアレンジを自由に編集し、オリジナルの名刺を作ることができます。

クラウドソーシングや友人にデザインを依頼し印刷する

クラウドソーシングやスキルマーケットを使ってデザイナーに名刺を作ってもらうと、他とかぶらないオリジナルのものが出来上がります。デザイナーの知り合いがいる場合は、知り合いに頼むのも良いですね。

その際は、アピールしたい内容、記載情報などを事前に整理したうえで依頼をしましょう。

coconala(ココナラ)

スキルや知識を売買できるスキルマーケットcoconalaでは、個人のクリエイターが多く、他と被らないデザインをお願いできます。依頼範囲や価格も明確ですので発注しやすいです。

Lancers(ランサーズ)

デザイナーが多数登録している、プロに直接依頼ができるクラウドソーシングサイトです。価格などが決まっているパッケージから選ぶ方法と、見積依頼を募集して提案をもらってから発注をする方法があります。

見積募集を出した場合はコンペとしてデザインや提案内容から発注先を選べます。

製作会社にデザインから印刷まで一括で依頼する

制作会社に発注すれば、デザインから印刷まで簡単にネット注文できます。短納期で作りたい方、大量に名刺を作りたい方に向いています。

ラクスル

ネット印刷のラクスルでは名刺をネット注文できます。フォーマットは決まっていますが、ロゴや写真の挿入が可能で、イラスト素材も豊富に用意されています。

ATTENTION

ラクスル

名刺通販ドットコム

名刺の印刷・作成専門サイトの名刺通販ドットコムでは、豊富な名刺テンプレートから手軽に名刺発注ができます。テンプレートから選択するだけでなく、キャッチコピー・事業内容などを自由度高くカスタムできるプランもあります。

CHECK

こだわってじっくり作りたい場合は自分で作ってみることもできる
クラウドソーシングなどを通じてデザインを外注する方法もある
とにかく早く簡単に作りたいなら名刺の制作会社に発注が良い

リモートワーク時代のデジタル名刺の活用方法とおすすめアプリ

オンラインの打ち合わせが多いので紙の名刺は使わないという方はデジタル名刺の作成をおすすめします。オンライン上のミーティングや商談でURLを送受信することによって簡単にプロフィール交換できる点が大きな特徴です。

名刺の情報更新や管理が簡単で、名刺を切らすこともないデジタル名刺

デジタル名刺とは、名刺情報が電子データ化されたもののことです。

紙の名刺と比べて情報の更新が簡単で、いつでもどこでも交換ができるというメリットがあります。デジタル名刺作成サービスは複数ありますが、デザイン性だけでなく共有のしやすさ、管理のしやすさの視点で選びましょう。

Eight・Wantedly PeopleのスマホアプリでURL・QRコードでの名刺共有や管理が簡単

デジタル名刺の作り方は、紙の名刺をデータ化する方法と、アプリやWEBサービスを使って情報を登録しデザイン編集をして作成する方法があります。最近はスマホでも簡単にデジタル名刺が交換できるアプリが人気です。

Eight

名刺アプリ「Eight」は QRコードやURLを送ってデジタル名刺を共有するだけでなく、アプリユーザー同士はスマホをかざすだけで簡単にタッチ名刺交換ができるサービスです。名刺を撮影するだけで素早く正確にデータ化し、管理することができます。

※ QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

Wantedly People

求人情報サイトWantedlyが提供する名刺管理アプリ「Wantedly People」では、デジタル名刺の交換だけでなく、Wantedlyの提供するビジネスSNS上の情報も検索することができ、より効率的な人脈形成が可能になっています。

ZoomやGoogle Meetの背景画像に名刺QRを設置してオンラインでも簡単に名刺交換

デジタル名刺はオンラインで名刺交換をできるだけでなく、オンラインの打ち合わせ時に背景に設定するという使い方もできます。相手にプロフェッショナルな印象を与えられ、個人のブランディングにもなります。

設定画面から「背景を選択」 をクリックして、パソコンに取り込んだ名刺画像を背景として選択すれば簡単に設定できます。

CHECK

デジタル名刺は紙に代わって主流になってきている名刺の使い方
URLやアプリで簡単に交換することができる
オンラインの打ち合わせ時の背景に設定することもできる

相手の印象に残るデザインにすることで、売り上げを大きく左右するのが名刺です。WebサイトやSNSと並ぶ大切な営業ツールの一つとして、載せる内容をじっくり検討して作成しましょう。営業の際のコミュニケーションがはずむこと間違いなしです。

セミナーや勉強会などのイベントコミュニティーで名刺を配り、輪を広げる

名刺をつくること一つとっても、作るのか作らないのか、どうやって作るのか、フリーランスを始めるに当たっての悩みはつきませんよね。

フリーランスで仕事を始めるにあたってこんな時どうする?という相談ができる仲間を持っていますか?

フリーランスだからこそ、取引先との人脈だけでなく同業やフリーランス同士のつながりを持つことが大きなメリットになります。相談相手ができるだけでなく、いろいろな情報が入ってくるようになるのです。セミナーや勉強会などで積極的に人脈を広げましょう。

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