えっ、こんなに使えるの?知らなきゃ損なフリーランスの福利厚生
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フリ転編集部 山脇
大手新聞社で編集オペレーターを務めた後、奈良日日新聞社に入社し、制作課主任として編集業務全般(紙面組版をはじめ、記者・広告制作、デザイン業務など)に従事。休刊後はフリーランスとして本格的に活動を開始し、新聞組版のほか、地方紙やウェブメディアでの原稿執筆も行う。
会社員からフリーランスになると、これまで当たり前に受けられていた福利厚生がなくなってしまうことに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、近年はフリーランス向けの福利厚生サービスが充実し、個人でも手厚いサポートを受けられる環境が整ってきています。本記事では、フリーランスが利用できる福利厚生サービスの種類や内容、おすすめのサービス、さらには経費計上の可能性について詳しく解説します。
これからフリーランスになる方も、すでに活動中の方も、より安心で充実したフリーランスライフを送るための参考にしてください。

フリーランスの福利厚生サービスは必須の投資です。まずは普段利用するプラットフォームの会員特典を活用し、賠償責任保険や所得補償は最優先で加入してください。税務・法務相談やスキルアップ支援も積極的に利用し、経費計上については必ず専門家に相談することをおすすめします。
フリーランスの福利厚生の基礎知識
フリーランスと福利厚生の関係性
フリーランスは会社に属さない個人事業主のため、一般的な会社員が受けられる法定福利厚生(健康保険、厚生年金保険、雇用保険など)は受けられません。一方で、法定外福利厚生(レジャー施設の割引、健康診断補助、研修制度など)については、専門のサービスを活用することで個人でも利用可能です。
ただし、フリーランスが法定外福利厚生を受けるには申し込みが必要であり、自動的に付与されるものではありません。自分自身で必要なサービスを選択し、契約手続きを行う必要があります。
法定福利厚生と法定外福利厚生の違い
福利厚生には、法律で義務付けられた「法定福利厚生」と、企業が任意で提供する「法定外福利厚生」の2種類があります。
種類 | 内容 | フリーランスの利用可否 | 具体例 |
法定福利厚生 | 法律で定められた義務的な福利厚生 | 利用不可(一部例外あり) | 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険 |
法定外福利厚生 | 企業が任意で提供する福利厚生 | 利用可能(専門サービス経由) | レジャー施設割引、健康診断補助、研修制度 |
フリーランスが受けられる福利厚生の範囲
フリーランス向けの福利厚生サービスは、大きく4つのカテゴリーに分類されます。クラウドソーシング・エージェント会社系の福利厚生サービスは、利用しているプラットフォームの会員特典として提供されるもので、仕事に直結したサービスが多いのが特徴です。専業会社系の福利厚生サービスは、福利厚生を専門に扱う会社が個人向けに提供するサービスで、幅広い優待が受けられます。
公的機関系の福利厚生サービスは、商工会議所や事業協同組合などが運営するもので、比較的安価で利用できるメリットがあります。フリーランス支援会社系の福利厚生サービスは、フリーランス専門の協会や企業が提供するもので、フリーランス特有のニーズに特化したサービス内容となっています。
CHECK
・フリーランスも法定外福利厚生を申請すれば利用できる
・福利厚生は法定と法定外の2種類に大別される
・提供元に応じて4つの福利厚生サービスが存在する
フリーランス向け福利厚生サービスの内容と特徴
賠償責任保険や所得補償などの保険関連
フリーランスにとって最も重要な福利厚生の一つが、賠償責任保険や所得補償です。業務遂行中の事故による損害賠償や、情報漏えい、納品物の瑕疵、著作権侵害、納期遅延などのリスクに備えることができます。
また、病気やケガで働けなくなった際の所得補償も、収入が不安定になりがちなフリーランスには欠かせない保障です。
フリーランス協会の賠償責任保険では、一般的な対人・対物事故だけでなく、フリーランス特有のリスクまで幅広くカバーしており、発注主も補償対象となるため、安心して仕事を依頼してもらえるというメリットもあります。
税務・法務関連の相談サービス
税務・法務関連の相談は、多くのフリーランスが悩みを抱えやすい分野です。確定申告の方法、経費計上の仕方、契約書の作成方法、著作権の取り扱いなど、専門的な知識が必要な場面で専門家に相談できるサービスは非常に価値があります。
オンラインでの相談や、メール・電話での対応、さらには面談での詳細な相談まで、サービスによって提供形態はさまざまです。税理士や弁護士などの専門家が対応するため、安心して相談することができます。
スキル獲得支援と健康・レジャー優待
スキル獲得支援として、オンラインスクールの割引や書籍購入費の補助、セミナー参加費の優待などが提供されます。フリーランスは継続的なスキルアップが収入に直結するため、これらの支援は非常に実用的です。
健康診断などの優待では、人間ドックの割引、スポーツジムの利用料金優待、メンタルヘルス相談などが含まれます。また、レジャーホテルなどの優待では、宿泊施設、テーマパーク、映画館、レストランなどの割引が受けられ、プライベートの充実にも貢献します。
CHECK
・損害賠償や病気時の所得補償で仕事の安心を確保できる
・税務や契約書作成など法務の悩みを専門家に相談できる
・スキル支援や健康・レジャー優待で生活面も手厚く支えられる
おすすめの福利厚生サービスと選び方
クラウドソーシング・エージェント系のサービス
クラウドソーシングやエージェント系のサービスは、それぞれ独自の特色を持っています。
サービス名 | 運営会社 | 主な特徴 |
クラウドワーカー会員特典 | クラウドワークス | 業務用サービスの割引、スキルアップ支援 |
フリーランストータルサポート | ランサーズ | 確定申告サポート、レジャー優待 |
fukurint | フリーランスハブ | ITエンジニア特化の福利厚生 |
Workship PREMIUM Club Off | Workship | クリエイター向け優待サービス |
フリノベ | geechs.job | エンジニア向け、仕事直結サービス割引 |
サポートプラス | フリーランススタート | 総合的な支援サービス |
レバテックケア | レバテック | ITエンジニア・クリエイター特化 |
SOKUDAN PLUS+ | SOKUDAN | エンジニア向け案件紹介と福利厚生 |
これらのサービスは、普段から該当プラットフォームを利用している方にとって、追加費用をかけずに福利厚生を受けられるメリットがあります。
専業会社系と公的機関系のサービス
専業会社系の福利厚生サービスとして、ベネフィット・ステーションやWELBOXなどがあります。これらは企業向けサービスの個人版として提供されており、非常に幅広い優待サービスを利用できるのが特徴です。
公的機関系の福利厚生サービスでは、あんしん財団、CLUB CCI(商工会議所)、全国デジタル・オープン・ネットワーク事業協同組合、日本フルハップなどがあります。これらは比較的低価格で利用でき、地域密着型のサービスも多く含まれています。
フリーランス支援会社系のおすすめサービス
フリーランス協会は、フリーランス向けサービスの先駆けとして、賠償責任保険をはじめとした包括的な支援を提供しています。年会費1万円で、業界最高水準の保険サービスや各種優待を受けることができます。
フリーナンスは、GMOが運営するフリーランス向けの総合支援サービスで、損害賠償保険や所得補償保険に加えて、即日払いサービスなどの資金面でのサポートも充実しています。
CHECK
・クラウドソーシング系では会員特典として無料で福利厚生を活用できる
・専業会社や公的機関のサービスでは多様な優待を個人でも安価に利用できる
・フリーランス支援会社系では保険や資金支援など実務に役立つ保障が充実する
フリーランスの福利厚生と経費計上について
福利厚生費の経費計上の考え方
従業員を雇っていない個人事業主自身の福利厚生費は経費として認められないというのが税務上の基本的な考え方です。福利厚生費は本来、事業主が従業員に対して提供するものであり、事業主自身が受ける便益は個人的な支出とみなされるためです。
ただし、フリーランスの福利厚生費は非常に曖昧でグレーゾーンが存在するのも事実です。すべてが経費として認められないわけではなく、事業に直接関連する部分については経費計上できる可能性があります。
経費計上が可能な項目
税務法務・オフィス、スキル支援は経費に一部計上できる場合があります。例えば、税理士への相談費用は「支払手数料」として、仕事に必要なスキルアップのための研修費用は「研修費」として計上することが可能です。
また、業務に直接必要な保険(賠償責任保険など)については「保険料」として、事業用のソフトウェア割引については「消耗品費」や「通信費」として計上できる場合があります。ただし、これらの判断は複雑なため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
CHECK
・事業主本人の福利厚生費は原則として経費にできない
・事業と関係がある支出なら経費になる可能性がある
・保険や研修費などは条件次第で経費計上が可能となる
フリーランス向けの福利厚生サービスは年々充実しており、賠償責任保険や所得補償などのリスク対策から、スキルアップ支援、健康・レジャー優待まで幅広いサービスが個人でも利用可能になっています。
重要なのは自分の働き方やニーズに合ったサービスを選択することで、普段利用しているプラットフォームの会員特典から始めて、必要に応じて専門的なサービスを追加していくのが良いでしょう。
また、経費計上については専門家に相談しながら適切に処理し、これらの福利厚生サービスを「あったら便利」なものではなく持続可能なフリーランス活動のための「必要な投資」として積極的に活用することで、より安心で充実したフリーランスライフを実現できます。