フリーランスの少額減価償却資産の特例とは?|減価償却のルールと計算手順を具体例で解説

固定資産を一定期間にして会計処理する減価償却は、節税効果やキャッシュフローの改善といったメリットのあるものです。適用方法にはいくつか選択肢があります。フリーランスと減価償却について詳しく知りましょう。

減価償却資産に該当する資産は原則として減価償却を行い、耐用年数に応じて割って費用に計上する必要があります。フリーランスの場合は特例適用することで減価償却せずに一括経費計上ができる場合もあります。

フリーランスは30万円未満の減価償却資産は一括経費計上できる

フリーランスは、30万円未満の減価償却資産に関しては少額減価償却資産の特例を利用して一括経費計上が可能です。パソコンを買い替えたり、新しいソフトを導入したり、オフィスの引っ越しをした際など、通常よりも必要経費が増えた年度に使える制度を知っておきましょう。

そもそもフリーランスの経費と減価償却とは

まず、「経費」とは事業活動を行うために必要な支出のことです。

一方「減価償却」とは固定資産を耐用年数に応じて分割計上することを指します。減価償却により発生した「減価償却費」は経費の一部となります。

減価償却の対象になる資産や金額は定められていますので、資産ごとの耐用年数や減価償却方法を確認しておくことが重要です。

経費計上の減価償却は分割して経費化すること

減価償却とは、長期間使用する資産の価値を複数年で分割して経費として計上する処理のことです。

事業の運営に使用する固定資産の中で時間の経過とともに価値が減っていくもので、取得価額が10万円以上、耐用年数が1年以上のものが対象となります。

減価償却の定額法と定率法の違い

減価償却には主に定額法と定率法の2つの方法がありますが、フリーランスの場合は「定額法」を使用することが一般的です。

定額法のメリットとして、毎年同額の減価償却費を計上できてわかりやすく計算が簡単ということが挙げられます。

定額法:毎年均等に減価償却を行う方法です。資産の取得金額をその耐用年数で割り、毎年同じ減価償却額を経費として計上します。

定率法:初年度に多く減価償却し、減少した金額で償却する方法です。最初のうちは高い額が経費として計上され、その後は徐々に減少します。

そもそも経費になる例・ならない例

事業活動を行うために必要な支出は経費として計上できますが、プライベートなど業務と関係ない支出は経費として認められません。経費になる例・ならない例を以下表でまとめています。

  計上できる例計上できない例
事業関連外注費営業やマーケティング関連業務などの外注料金やライターやデザイナーへの報酬家事代行など業務とは無関係な代行
 広告宣伝費インターネット広告、チラシ広告、SNSやインフルエンサーとのコラボ費用や名刺作成費用など
 通信費事業用の電話代、インターネット代、モバイル通信費用家の固定回線など業務では使わないもの
 事務用品費事務所で使用する文房具や消耗品、コピー用紙などプライベートで利用するもの
 消耗品費電池、事務用品など業務で使うものプライベートで利用するもの
 接待交際費クライアントとの打ち合わせカフェ代や会食費、贈答品業務に関係ない飲食代
 交通費業務に関連する電車代やタクシー代、ガソリン代個人的な移動の交通費
 旅費交通費出張費用としての飛行機や新幹線、宿泊費用個人的な観光などの費用
オフィス関連家賃事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 光熱費事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 保険料事業用の損害保険や生命保険事業主自身の保険料
 設備投資パソコンやオフィス家具、カメラ機材など、事業に必要なものプライベートで利用するもの
 ソフトウェア費用業務で使用するソフトウェアの購入費用やサブスクリプション費用プライベートで利用するもの
人件費給与社員やアルバイトへの給与
 社会保険料雇用保険や健康保険、年金などの社会保険料
教育・研修関連研修費業務やスキルアップに関連する研修やセミナーの参加費用
 書籍費業務に役立つ書籍や資料購入代金個人の趣味で購入したもの

経費化できる減価償却の対象となる資産

フリーランスの減価償却の対象となる主な資産は以下の通りです。経費と同じく、事業に関連するもののみが対象になります。

  • パソコン・タブレット・スマートフォン:仕事で使用するパソコン、ノートパソコン、タブレット、スマートフォンなど。
  • オフィス機器:プリンター、スキャナー、コピー機、FAXなど、業務で使用する電子機器。
  • ソフトウェア:会計ソフトやデザインソフトなど業務で使用するソフトウェア。
  • 車両:事業用に使用する自動車やバイク、トラックなど。
  • 家具・備品:事務所で使用する机、椅子、棚、書類整理用のキャビネットなど。
  • 建物:事業用に借りている事務所や店舗。

※プライベートで使用しているものは減価償却対象になりません。

業務に使用しない固定資産や、時間が経っても価値が減少しない固定資産に関しては、減価償却の対象にはならず、大きな例で言うと土地は減価償却の対象ではありません。

減価償却の分割は耐用年数により決定されている

減価償却を行う場合、税務署が定めた耐用年数に基づいて償却します。主な資産の耐用年数は以下の通りです。

資産の種類耐用年数
パソコン・タブレット4年
携帯電話・スマートフォン10年
プリンター・コピー機・スキャナーなどの事務機器5年
ソフトウェア(業務用)5年
事務机、いす及びキャビネット(金属製のもの)15年
事務机、いす及びキャビネット(金属製以外のもの)8年
カメラ5年
自動車6年
軽自動車4年
バイク3年
自転車2年

さらに詳しい耐用年数は国税省の減価償却ページもご確認ください。

CHECK

・価値が時間とともに減少する固定資産は減価償却する
・フリーランスは30万円未満の減価償却資産は一括経費計上できる
・対象資産や分割年数は法で決められている

少額減価償却資産の特例で一括で損金算入する

少額の減価償却資産とは取得価格10万円未満の資産のことを指し、この資産に関しては減価償却せずに費用を全て経費計上することができます。

これに加えて、青色申告法人である中小企業者の場合は「少額減価償却資産の特例」が適用となり、購入金額が10万円以上30万円未満の資産についてその年に一括で経費計上できます。これは青色申告を行っているフリーランスも対象となっており、一括で減価償却することで税負担軽減につなげられます。

少額減価償却資産の特例の概要

少額減価償却資産の特例とは、10万円以上30万円未満の減価償却資産を取得した場合に合計300万円までを限度に、即時償却(全額損金算入)が認められる制度です。青色申告をしている中小企業および個人事業主が対象となっています。

減価償却の手続きを避けたい場合や、経費を増やして利益額を減らすことで減税対策をしたい場合に有用です。

少額減価償却資産の特例の対象となる資産は取得価格が30万円未満

1つあたりの取得価格が30万円未満かどうかで対象になるか判断されます。

また、自社の経理処理が消費税込みで処理をしているか、税抜きで処理をしているかによって、判断する価格が変わってくることにも注意しましょう。

少額減価償却資産の特例の上限は事業年度で300万円までが対象

1年間に特例として計上できる資産の上限額は300万円となっています。300万円を超えるものに関しては適用外となります。

ひとつの資産を特例の対象と対象外に分けることはできないため、上限金額ぎりぎりまで使いたいので資産を分けて計上する、ということはできません。

少額減価償却資産と一括償却の償却方法の違い

「少額減価償却資産の特例」とは別に、「一括償却資産制度」による減価償却手法もあります。

一括償却資産とは、すべての事業者を対象に10万円以上20万円未満の減価償却資産を3年間で均等償却できる制度です。

例えば15万円(10万円以上20万円未満の)のパソコンを購入した場合にできる処理方法は以下の3パターンになります。

①耐用年数に応じて減価償却

②一括償却資産として処理

③少額減価償却資産の特例で処理(青色申告をしている場合)

①耐用年数に応じて減価償却②一括償却資産として処理③少額減価償却資産の特例で処理
償却年数4年(パソコンの耐用年数が4年)3年(3年の均等償却が適用される)1年(即時償却が可能)
会計処理初年度:減価償却費 3万7,500円2年目:減価償却費 3万7,500円3年目:減価償却費 3万7,500円4年目:減価償却費 3万7,500円初年度:減価償却費 5万円2年目:減価償却費 5万円3年目:減価償却費 5万円初年度:減価償却費 15万円

少額減価償却資産の特例の適用には青色申告が必要 

少額減価償却資産の特例を適用できるのは、青色申告書を提出している事業者のうち、常時使用する従業員数が500人以下である事業者に限定されています。

特例を適用したい場合は、青色申告で確定申告を行う必要があるので注意しましょう。

少額減価償却資産の特例は節税にメリットがある

少額減価償却資産の特例を使う大きなメリットは節税効果です。実際に支払った金額を同じ年度のうちに経費として計上することで利益額を抑え、課税対象額を低くすることで節税効果を得られます。

CHECK

・フリーランスは少額減価償却資産の特例が適用される
・少額減価償却資産の特例により年300万円まで全額損金算入可能
・少額減価償却資産の特例は節税にメリットがある

少額減価償却資産の特例を適用する注意点

少額減価償却資産の特例は、10万円未満の減価償却資産や一括償却資産との違いを理解しどれが最適なのかを判断して選択する必要があります。

また、資産の購入金額が基準を超えている場合や事業用途でない資産には適用されないので注意しましょう。

節税対策になる一方で利益が減るケースも

少額減価償却資産の特例を利用すると、その年度に全額を経費として計上するので帳簿上の利益額が減少します。

利益が減少することは、税負担軽減や資金繰り改善に有利である反面、銀行からの融資を受けにくくなるなどのメリットもあります。

消費税の処理の方法で会計の扱いが変わる

インボイス制度により免税事業者と課税事業者のどちらかを選択するフリーランスが出てきました。免税事業者は消費税の納付義務が免除されており税抜きで会計を行います。

課税事業者は消費税の納税義務があり、税込みで会計を行います。少額減価償却資産の特例が適用される30万円までに費用が収まるかどうか、税抜きか税込みのどちらで判断するべきなのか自社の会計方法をきちんと把握しておく必要があります。

CHECK

・少額減価償却資産の特例を適用するには注意が必要
・短期的な利益の減少によるデメリットもある
・消費税の処理の方法で会計の扱いが変わる

減価償却は、フリーランスにとって節税やキャッシュフローの改善に有効な手段です。特に、30万円未満の資産には一括経費計上ができる特例があり、これを活用することで税負担を軽減し、経営の安定性を高めることができます。

フリーランスこそ会計ソフトで経理作業を効率化|推奨ツール・導入後の効率的な会計業務の始め方

フリーランスが売上を上げる行為に集中するためには、事務処理や経理作業などのバックオフィス業務を効率化させるのがカギになります。特に経理作業は専門知識が必要で、初心者にとっては時間がかかるもの。会計業務を楽にするツールを導入することで効率化を図ります。

フリーランスが会計業務を効率よく進めるためのツールとして、会計ソフトの導入が非常に重要です。初心者でも使いやすく、事業をサポートする機能が豊富なソフトを選ぶことがポイントです。

青色申告のフリーランスには会計ソフトが必須

青色申告をするには原則として仕訳帳と総勘定元帳の2つの帳簿が必要になります。仕訳帳は日々の取引を日付順に記録する帳簿で、総勘定元帳は仕訳帳に記録された取引を勘定科目ごとに記録する帳簿です。どちらも経理の知識がある程度ないと作成が難しいのですが、会計ソフトを使うことで知識がなくても効率的に申告準備を進めることができます。

迷ったら導入すべき会計ソフトおすすめの会計ソフトの特徴と強み

会計ソフトは入力された取引をもとに自動で仕訳を行い帳簿を作成してくれるだけでなく、青色申告や確定申告に必要な書類を自動で作成する機能を持っているものもあります。これらの機能を持っているソフトを使うことで、正確な帳簿管理や確定申告をスムーズに済ませることができるのです。

会計初心者向けに優しいfreee会計

フリーランス向けに設計されたfreee会計は、会計知識がない人でも操作がわかりやすく、自動仕訳やレポート作成機能が豊富です。請求・支払業務から会計帳簿・決算書の作成、経営管理まで、会計をスムーズに効率化してくれます。

マイクロ法人フリーランス向けなMoneyForwardクラウド確定申告

MoneyForwordクラウド確定申告は、ステップに沿って入力していくだけで確定申告に必要な書類をカンタンに作成できるサービスです。銀行口座やクレジットカードからの取引明細自動取得、勘定科目の自動提案などの機能も充実しています。

領収書が多い人向けな弥生のクラウド確定申告ソフト

やよいの青色申告は、青色申告に対応した機能が充実しており、簿記知識がない人でも仕訳や帳簿の管理が簡単に行えるのが特徴です。1日あたり10,000枚まで領収書を取り込める機能があり、領収書が多い人に向いている会計ソフトです。

大手シェア会計ソフトから選べば間違いない

フリーランスによく選ばれているのは、freee・マネーフォワード・弥生の三大会計ソフトです。これらの会計ソフトにはフリーランスに必要な機能が備わっており、未経験でも使いやすい仕様になっているので3つのうちから選んで使ってみると良いでしょう。

CHECK

・会計ソフトを使えば経理知識がなくても確定申告がスムーズになる
・さまざまな会計ソフトの違いを知り、自分に合ったものを選ぶ
・大手シェア会計ソフトから選べば間違いない

会計ソフトでできること・メリット・デメリット

会計ソフトを導入するメリットは経理業務の効率と正確性が大幅に向上することです。会計ソフトでできることを詳しく知り、何がどう便利になるのかを把握しましょう。

会計ソフトの主な機能

会計ソフトは会計が初めての人でもわかりやすく経理処理ができるようになるツールです。銀行やカードの取引データを自動で取り込んだり、売上や経費を自動で計算してくれたり、必要な帳簿類を自動で作成してくれるなどとても心強い存在です。AI機能を搭載した会計ソフトではデータの自動入力だけでなく、数字のチェックもしてくれるなど便利な機能が追加されています。

自動仕訳機能

仕訳とは、ビジネスにおいて発生した取引を「借方」と「貸方」に分けて仕訳帳に記入することです。記入する際には適切な勘定科目を選ぶ必要がありますが、会計ソフトでは自動で判別して仕訳伝票を作成してくれます。

領収書やレシートのスキャン保存機能

紙でもらった領収書やレシートをスキャナーでスキャンしたり、スマートフォンのカメラで撮影すると、日付や金額を自動でデータ化して会計ソフトに取り込んでくれる機能です。手入力によるミスを防止し、何よりも時短につながります。

銀行口座やクレジットカードとの連携機能

会計ソフトを銀行口座やクレジットカードと連携すると、取引情報が自動で会計ソフトに取り込まれ、支払い詳細や未払金の状態など、取引情報をリアルタイムに正確に把握することができます。

帳簿や資金繰り表などのレポート作成機能

確定申告の際に提出が必要な帳簿や、キャッシュフローを把握するための資金繰り表を自動で作成してくれる機能です。資料をまとめる時間を取られることなく売上推移や支払いスケジュールなどを素早く把握することができます。

確定申告書類の自動作成機能

フリーランスが行う会計処理の中で一番大変なのが確定申告です。毎月の収支データを会計ソフトに蓄積しておけば確定申告に必要な書類を作る手間を減らせるだけでなく、控除額の確認や記載漏れ防止などミスを防ぐことができます。

メリットは簿記の知識不要で効率的な会計業務

フリーランスが会計ソフトを使う大きなメリットは簿記や会計の知識がなくても経理業務を効率的に進められることです。自分でエクセルなどで数字の管理を行う手間と比べてスピーディに会計処理を行い、仕訳の自動化やチェック機能によりミスが少ないのが心強いポイントです。デメリットよりもメリットのほうがはるかに大きいので、会計ソフトの導入は積極的に検討しましょう。

デメリットはランニングコストのみ

機能が充実している会計ソフトを使う場合は費用がかかるのがデメリットではあるものの、その分削減できる手間や時間を考えると決して高い投資ではないでしょう。

CHECK

・会計ソフトの導入はフリーランスにとってメリットが多い
・大きなメリットは経理業務の効率と正確性が大幅に向上すること
・会計ソフトはメリットが多いので導入は積極的に

法人とフリーランスでは必要な確定申告書類の違いがある

法人とフリーランスの大きな違いは、法人登記しているかどうかです。法人登記をすると申告先や税金の種類、税率などが変わります。また、フリーランスといわれる働き方の中にも、法人を設立せずに個人で事業を営む個人事業主のフリーランスもいれば、1人で事業を回しながら法人化しているマイクロ法人フリーランスといった人もいます。

個人事業主フリーランスの場合

個人事業主とは法人ではなく個人で事業を営む自営業者のことを指します。個人事業主で確定申告をするには青色申告がおすすめですが、会計ソフトを使うことで以下の必要書類を簡単に作成することができます。

確定申告で必要な書類:

  • 確定申告書B
  • 収支内訳書
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)

マイクロ法人フリーランスの場合

マイクロ法人とは、代表者ひとりで経営している法人のことです。実態としては個人事業主と変わらないことが多いですが、法人格の有無、経費の取り扱い方法などが大きく異なります。確定申告においても、法人に準じた申告が必要になるため個人事業主の確定申告よりも複雑な決算申告及び税務申告が必要になります。提出が必要な書類の種類も増えるので、税理士に依頼することが多いです。

確定申告で必要な書類:

  • 総勘定元帳
  • 領収書綴り
  • 決算報告書
  • 勘定科目明細書
  • 法人事情概況説明書
  • 法人税の申告書
  • 消費税の申告書
  • 地方法人税の申告書

CHECK

・法人とフリーランスでは必要な確定申告書類が異なる
・個人事業主の確定申告は比較的簡単
・マイクロ法人の場合は確定申告においても、法人に準じた申告が必要になる

本当に必要な会計ソフトの比較ポイント・選び方

会計ソフトには様々な種類があり、事業規模や自身の会計知識量にあったものを選ぶのが良いでしょう。会計ソフトを選ぶ際にチェックしておきたい比較ポイント4点を紹介します。

クラウド型であること

会計ソフトにはパソコンにダウンロードして使用する「インストール型」とインターネットにアクセスしてブラウザで使用する「クラウド型」があります。銀行の入出金記録やクレジットカードの明細などを連携して読み込むことができ、税制度の改正などにも対応してアップデートされるクラウド型がおすすめです。

青色申告に対応していること

フリーランスの確定申告に欠かせない会計ソフトは、青色申告で必要な複式簿記に対応しており、e-Tax対応で書類作成から提出までをオンラインで済ませることができるものが必須です。

口座やカードなど外部連携機能が豊富であること

会計ソフトには銀行やクレジットカードなど金融機関や電子マネーと連携してデータを自動入力し、入力の手間を削減する機能がついています。自身が使っている金融機関との連携が対応されているかどうかチェックをしましょう。

有料プランの費用が高すぎないこと

クラウド型会計ソフトにかかる費用は年間1万円前後が目安です。フリーランスとして必要な機能を満たしているものであれば十分です。必要以上にハイスペックなソフトを導入すると費用も高くなるので気を付けましょう。

会計ソフト導入後の効率的な会計業務の始め方

会計ソフトを導入したら初期設定が肝心です。自社の取引先に合わせた仕訳設定や、必要な書類のフォーマットを設定しておきます。なにかが必要になった時に設定から始めようとすると、欲しいデータがまとまっていなくていちからやり直し、といったことになりかねません。

事業用口座を開設し会計ソフトに紐づける

プライベートのお金と混ざらないように事業用口座をまず開設し、口座と会計ソフトの紐づけを行います。これにより入出金のデータを自動的に取り込むことができます。

ビジネスカードを​つくり会計ソフトに紐づける

銀行口座だけでなく、ビジネス用のクレジットカードを使う場合はカードと会計ソフトの紐づけを行うことで取引情報を自動的に取り込めます。支払いの詳細や未払金の管理が簡単になります。

​請求書や​見積書の​ツールを用意する

会計ソフトに用意されているテンプレートをもとに、請求書や見積書のフォーマットを作っておきます。

月末毎に会計ソフトで入出金の仕訳を行う

会計ソフトで自動仕訳を行うには、事前に自動仕訳ルールを設定しておきます。自動仕訳ルールとは、勘定科目などの仕訳内容を記憶し、明細が取り込まれた際に自動で仕訳できるようにしておくことです。この設定をすることで仕訳候補に勘定科目や摘要が反映されるため、仕訳業務が簡単に完了します。

最初はお金の流れを知るために会計業務は​自分で​行うべし

会計ソフトが出てくる前までは会計業務の負担削減手段として税理士に頼んでやってもらうことも選択肢の一つでしたが、現在では優秀な会計ソフトがその役割を担ってくれています。フリーランスとして自身の資金繰りを把握しておくために、まずは会計ソフトを使いながら自分で会計業務の一連の流れを経験しておくことをおすすめします。

CHECK

・会計ソフトは青色申告に対応しているものを選ぶこと
・事業規模や自身の会計知識量にあったものを選ぶのが良い
・お金の流れを知るために、まずは自分でやってみること

自分の事業規模や、自身の経理知識の度合いに合わせた会計ソフトを選び導入することで、日々の経理業務だけでなく確定申告まで効率的に済ませることができます。

【無料DLあり】フリーランスの始め方まるわかり!開業手続き・準備リスト完全ガイド

フリーランスになるにあたって、自信をもって「どんな手続きをすればよいか理解している」と言い切ることはできますか?

なんとなくはわかっていても、「抜けれもがあるかも」「何か忘れていそう」と不安を感じる方も多いかもしれません。そこで今回は、フリーランスに必要な開業手続きについて解説します。

副業・複業フリーランスと独立フリーランスどちらを目指す?

これからフリーランスを目指す方にとって、まず考えるべきは「副業や複業としてフリーランスの案件を受けるか、完全に独立したフリーランスになるか」ということです。

副業や複業としてフリーランスをする場合、案件の発注元と雇用関係を結ぶため、会社員のように国民年金と厚生年金の加入対象となり、健康保険組合にも入れます。

独立したフリーランスになると、雇用関係は発生しません。個人事業主として働く場合は国民年金と国民健康保険に加入し、法人として働く場合は厚生年金の対象となり健康保険組合や協会けんぽに入ることになります。

働き方によって優劣があるわけではなく、様々な面で違いがあるので、それぞれの選択肢について「資料名:フリーランス開業の手続きカレンダー – これ1枚で独立準備は万全!【無料ホワイトペーパー】」を参考にしっかり理解しましょう。

どのようにフリーランスになるか悩んでいる方は、いきなり独立するよりもまずは副業や複業から始めてソフトランディングしていく方法をおすすめします。

フリーランスを始める際の今の会社との向き合い方

会社員として働いている方がフリーランスとして独立する場合、どのように今の会社とコミュニケーションを取ればよいのでしょうか。会社との向き合い方について、解説します。

独立・副業でも会社には必ず報告

近年は副業を認める会社が増えていますが、会社には副業を始めることを言いにくい方も多いでしょう。

しかし、会社に何も言わず始めても、確定申告を通じてバレたり、副業と本業の人脈が繋がったりしてバレたりするケースは多々あります。発覚してから「実は……」と切り出すより、事前に報告しておいたほうが信頼関係を損ねないため、前もって話しておきましょう。

他にも独立するためにリスクを抑える方法を「副業フリーランスの始め方。副業で始めるメリット・デメリットとおすすめ職種と案件探しのコツを紹介」で紹介しているので、ぜひご一読ください。

完全独立をする際にこそ円満退社

副業から始めて売上が軌道に乗ると、完全独立のタイミングとなります。この時は本業の会社を辞めることになりますが、円満に退社できるようにしましょう。

どのように会社に報告するべきかは「副業に関する就業規則別の会社に報告する具体的な流れ」にありますが、副業を始める段階で会社に報告したり、周りの人に応援してもらえるように工夫したりといったポイントがあります。

副業-会社報告

会社に所属している間にローンやクレジットカードを契約

残念ながら、日本ではフリーランスというだけで社会的信用が低いとみなされることが頻発するのが現状です。そのため、会社員という身分があるうちにやれることはやっておきましょう。特に大切なのは、ローンとクレジットカードの契約です。これらは、フリーランスになると審査落ちする確率が増えます。

フリーランスの方におすすめのカードについては「フリーランスの会計処理を効率化するクレジットカード。クレジットカードの選び方とおすすめのカードを紹介」で、ローンを組みたい方に耳よりの情報は「フリーランスの資金繰りをサポートするローン活用。ローンの種類と申し込みタイミングや融資による資金繰り方法を紹介」で解説しているので、退職前に必ずご一読ください。

また、引っ越しを考えている方は退職前に賃貸契約を結びましょう。フリーランスであるというだけで、会社員時代の倍の収入や、1年分の賃料が払えるだけの貯金の証明を見せても、入居を断られるケースは珍しくありません。

CHECK

・まずは副業や複業から始め、軌道にのってから独立したフリーランスになる
・副業を始めるときは会社にしっかり報告することで信頼関係を保てる
・会社員のうちにローンやクレジットカードの申し込み、賃貸契約を終わらせる

フリーランスは案件獲得やプライベートにも人脈は大切

フリーランスが最初にぶつかる壁は、仕事が見つからないということです。自分にスキルがあってもそれをアピールできる場は多くないですし、ポートフォリオが豊富でなければクライアントに自分の実力を示すことも難しいです。

だからこそ、人脈を広げて多くの方とつながりましょう。知り合い1人だけに営業しても仕事がもらえる確率は非常に低いですが、100人に営業すればそのうちの1人くらいは仕事をくれる可能性があります。

また、フリーランスの場合は基本的に一人で仕事をしますし、案件が終われば同じ人と関わることはありません。だからこそ、孤独を感じないようにたくさんの方と知り合いになりプライベートも充実させましょう。

具体的な人脈の広げ方は、「フリーランスにとって人脈は重要?人脈の作り方や継続的な仕事につなげるまでの道のり」で解説しています。

フリーランス開業手続きロードマップ

フリーランスとして開業するためどのような手続きが必要か、具体的な方法を知っておかなくてはうっかり何かを忘れてしまうかもしれません。何か月前からどういった書類を用意し、何を準備してどこに提出すればよいのかなど、「資料名:フリーランス開業の手続きカレンダー – これ1枚で独立準備は万全!【無料ホワイトペーパー】」で確認してください。

会社に退職願を提出し源泉徴収を受理

会社に退職届を出し、正式に辞めましょう。その際、源泉徴収の発行をお願いすることを忘れないでください。たいていの場合、最終出勤月の給与が確定した後、給与明細と一緒に受け取れます。

ハローワークで失業手当(再就職手当)を申請

退職後は、失業保険をもらいましょう。会社から離職票をもらったらハローワークに行き、申し込みします。一週間後に雇用保険説明会に参加して失業認定報告書を提出すると、4週間ごとに手当が振り込まれます。

社会保険料の手続きを申請

フリーランスは、国民健康保険と国民年金に入らなくてはなりません。会社員であれば会社が保険料の5割を負担してくれますが、フリーランスは全額自己負担となります。

役所にて必要な書類を提出すると申請できるため、「フリーランスが加入すべき社会保険は?加入条件や加入手続きや保険料を抑えるコツを解説」を参考に退職後早急に手続きを進めてください。

税務署に開業届・青色申告承認申請書の提出

フリーランスになったら、原則1か月以内に開業届を提出してください。その際、青色申告承認書も出しましょう。これにより最大65万円の特別控除が受けられるようになり、節税ができるようになります。

開業届を出すメリットは様々あるため、気になる方は「フリーランスの開業届。開業届の提出のスムーズに進めるに必要な準備をステップ式で解説。」をご一読ください。

事業用口座の開設申請をし独立

フリーランスになったら、事業用の口座を開きましょう。個人で使っている口座とわけることで、お金の動きをしっかり管理できるようになります。金融機関はどこでも良いですが、店舗のある銀行であれば窓口で色々と相談ができますし、ネット銀行であれば時間や場所を問わず安い手数料で利用できます。

フリーランスにおすすめの銀行については、「フリーランス向け屋号付き事業用口座の開設方法。会計を楽にするおすすめ口座や活用法を解説」にて解説しています。

営業活動は準備期間から常に並行して行い余裕を持つ

フリーランスになってからいきなり営業をするのではなく、準備段階からしっかり進めておきましょう。繰り返しますが、フリーランスにとって最初の壁は案件獲得です。営業活動はどんなにやってもやりすぎということはないので、スキルを磨いたりポートフォリオを作ったりするのと同時並行で、営業先を見つけてコミュニケーションをとっていってください。

具体的な営業方法については、「フリーランスが直案件を獲得する営業手法。案件獲得のチャネルの種類や直営業までのステップを解説」にまとめています。

CHECK

・退職届を出し源泉徴収発行を依頼したら、失業手当を申請する
・各種保険の申請と開業届の申請手続きを行う
・準備段階から営業活動を始め、案件確保に注力する

フリーランスの独立に必要な資金はいくらから?

フリーランスとして独立するためには、どのくらいの資金が必要でしょうか。「フリーランス独立に必要な初期費用。開業資金・運転資金の目安や資金調達の方法を解説」を参考に、コツコツお金を貯めておきましょう。

フリーランスとして効率的に仕事するために必要な準備

フリーランスとして働く中で、効率性を高めることが重要です。月給が決まっているわけではなく仕事をやればやるほど売上が上がるので、効率的に作業を進めて限られた時間でたくさんの案件をこなしましょう。

マイナンバーは開業届や確定申告の効率化のため事前に取得

マイナンバーを取得していない方は、早急に手続きしてください。開業届や確定申告の際、自分のマイナンバーを記入する機会があります。e-Taxを使って税務署への手続きも効率的に進められます。

他にどのようなメリットがあるかについては、「フリーランスのマイナンバー活用術。開業届から青色申告での確定申告と便利な活用方法を解説」にまとめています。

印鑑は事業用の丸印・角印・銀行印を準備

事業用として使う印鑑を準備しましょう。様々なリスクに備えること、いずれ法人化するかもしれないことを考えると、丸印・角印・銀行印の3つを買っておくことをおすすめします。

購入の際に絶対に気を付けたいポイントについては、「フリーランスが作るべき印鑑。印鑑の種類・用途・具体的な作成方法と電子印鑑の準備も解説」にて解説しています。

オフィスには投資を惜しまず作業環境を完備

初期投資を抑えることは重要ですが、作業環境を整えるためにはある程度のお金を使いましょう。コワーキングスペースに登録すると、仕事場と生活の場を分けられますし、フリーランス仲間も得やすいです。家で仕事をする場合は、長時間使っても疲れない椅子や机を買いましょう。

どうすれば生産性の高い環境を作れるかについては、「フリーランスの生産性とQOLを上げるオフィス環境作り。オフィスの選び方を中心に快適な働き方を実現する方法を紹介。」をご一読ください。

屋号は覚えやすく・事業内容がわかりやすいが基本

必須ではありませんが、フリーランスとして独立する際に屋号を作ることができます。もし作るのであれば、「何をやっているかがわかる」「複雑な名前ではなく覚えやすい」の2点がポイントです。

具体的な考え方については、「フリーランスと屋号。後から変更もできる屋号はこだわり過ぎず、まずは開業し手を動かして実績を積み上げる」を参考にしてください。

オンライン商談が多い時世でも営業ツールとして名刺は用意

「今の時代、名刺っているの?」と思うかもしれませんが、持っておいて損はないでしょう。対面での交流会に参加する際、名刺がないとなかなか新しい方と繋がれません。また、自分の事業内容をパッと伝えられる点も魅力です。

名刺を作る際は、どのような点に気を付ければよいか「フリーランスの名刺の作り方。営業ツールとして仕事につなげる名刺のポイントと発注方法・効果的な交換方法を解説」を参考にしながら考えてみてください。

確定申告のため会計ソフトを事業用口座と事前に連携

フリーランスとして働くなら、確定申告は必須です。効率的に作業ができるよう、事業用口座を会計ソフトと連携させておきましょう。確定申告については不安な点も多いと思うので、「フリーランスの確定申告。確定申告の流れや必要書類の書き方と会計ソフトを活用した効率化方法」を参考に勉強してみてください。

受発注管理のために契約書フォーマットと電子契約サービスを準備

案件が増えてくると、それぞれについてしっかり管理する必要性が高まります。受発注管理については、2024年11月から施行されているフリーランス新法に準じることが大切です。

「フリーランスの受発注管理。フリーランス新法対応の契約書フォーマットを無料ダウンロード」を参考に、契約書のフォーマットと電子契約のサービスを準備してください。

フリーランスになるためには、様々な準備が必要です。つい自分のスキルを高めることだけに集中してしまいがちですが、「手続きを滞りなく進める」「お金周りの準備を整える」といったことにも注意を払いましょう。

まだ何をしていいかわからないという方には、今回ご紹介した改行手続きのロードマップが役立つはずです。どのタイミングから、どのような書類を用意し、どのように提出すればよいか、しっかり確認してください。

フリーランスにとって人脈は重要?人脈の作り方や継続的な仕事につなげるまでの道のり

フリーランスとして安定的に仕事を獲得するには、人脈の活用が欠かせません。しかし、「人付き合いが苦手」「人脈を作るのが難しい」と感じている人は少なくありません。また、「そもそも人脈とは何なのか?」「どうやって作ればいいのか?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。

本記事では、フリーランス協会が公開している『フリーランス白書2024』の結果をもとに、フリーランスの仕事獲得における「人脈」の重要性や、効果的な人脈の作り方、活かし方について詳しく解説します。

さらに、仕事につながる人脈の特徴や悪い人脈の見極め方、築いた人脈をどのように仕事に結びつけるのかまで具体的な方法を紹介するので、自分に合った人脈を見つけ、案件獲得につなげるのに役立ててください。

人脈づくりはフリーランスにとって永遠の課題

フリーランスにとって、「人脈づくり」は永遠の課題です。仕事を得るために人脈が大事なのは分かっていても、「実際にどこでどうやって作ればいいのか分からない」といった悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。

特に、独立したばかりの頃は、実績が少なく信頼も築けていないため、安定した案件を継続的に獲得するのが難しく、収入の波も大きくなりがちです。

私自身、独立当初はクライアントとどうつながればいいのか分からず、手探り状態でした。独立から5年経った今でも、案件が減ったり契約が終了するたびに「次の仕事をどう探そう?」と焦燥感に駆られることがあります

それでは、どのような場所に行き、どのような行動をすれば、無理なく人脈を広げ、仕事につなげることができるのでしょうか?

ここからは、人脈の作り方や仕事につなげる方法について詳しく解説していきます。

そもそも人脈とは?

皆さんは、「人脈」という言葉にどんなイメージを持っていますか?

仕事につながる大切なつながりと考える人もいれば、「損得勘定が見え隠れする関係性」「打算的な人間関係」などと、ネガティブに感じる人も少なくありません。

また、せっかくある程度の自由があるフリーランスという働き方を選んだにも関わらず、無理に人間関係を広げることに違和感を感じる人もいるでしょう

ここでは、フリーランスにとっての「人脈の種類」を整理し、「仕事につながる人脈とは何か?」を考えていきます。

「人脈」は友人・知人だけじゃない

「人脈」とは、友人や知人だけに限られません。以下の表は、フリーランスにとっての人脈の一部を整理し、まとめたものです。

人脈の種類具体例
クライアント企業の担当者(法人案件)直接の依頼主(個人クライアント)継続案件を依頼してくれるリピーター
ビジネスパートナー外注先(デザイナー・エンジニア・翻訳者など)共同でプロジェクトを進める業務提携先販売やプロモーションをサポートするパートナー
紹介者・つなぎ役先輩フリーランス・同業の仲間企業の元同僚・取引先フリーランスエージェント・マッチングサービス運営者
支援者メンター・コーチ(経験者からのアドバイス)税理士・弁護士など専門家金融機関担当者(資金調達やビジネス口座の相談)
学び・コミュニティの仲間業界の勉強会・交流会の参加者オンラインサロンやFacebookグループのメンバースクール・講座で出会った仲間
フリーランスの友人・信頼できる仲間ビジネス関係を超えて支え合える友人気軽に相談できるフリーランス仲間

このように、人脈とは必ずしも新しく作るものではなく、すでにある関係を活かすことも含まれます

CHECK

・人脈に対してネガティブなイメージを持つ人も多い
・人脈は友人や知人だけに限られない
・人脈とはすでにあるつながりも含まれる

フリーランスにとって人脈は本当に大事?

フリーランスにとって、人脈は本当に大事なのでしょうか。ここでは、実際の案件獲得ルートをもとに解説します。

フリーランスの仕事獲得ルートの6割が「人脈」経由

フリーランス白書 2024』によると、「Q.仕事はどのようなところから見つけますか。(複数回答)」という問いに対し、「人脈(知人の紹介含む)」と答えた人は61.6%にのぼります。次いで「過去・現在の取引先」が58.9%、「自分自身の広告宣伝活動(Web・SNS・新聞・雑誌など)を活用している人は33.2%、「エージェントサービスの利用」は23.2%となっています。

この結果を見ても、人脈はフリーランスとして働くうえで非常に重要な要素であるといえるでしょう。

過去や現在の取引先も重要な人脈の一部

人脈というと、友人や業界の知り合い、イベントで知り合った人を想像してしまいがちですが、過去や現在の取引先も重要な人脈の一部です。実際に、『フリーランス白書 2024』の案件獲得ルートを見ると、「人脈(知人の紹介含む)(61.6%)」の次に「過去・現在の取引先(58.9%)」が続いています。

初回の案件獲得だけでなく、取引先との信頼関係ができていれば、リピート案件や紹介につながる可能性も高まります。

CHECK

・人脈を活用して仕事を獲得しているフリーランスは多い
・過去や現在の取引先も重要
・取引先との信頼関係を築くことが大事

フリーランスによく見られる人脈づくりの悩み

フリーランス白書 2024』によると、今の働き方において就業環境や仕事上の人間関係、達成感および充実感、プライベートとの両立、スキル・知識・経験の向上に満足している人が半数以上を超える一方で、「多様性に富んだ人脈形成」に満足している人は、たった33.9%しかいません。

これは、多くのフリーランスが人脈づくりに頭を抱えていることを物語っています。以下では、フリーランスによく見られる人脈の悩みを深掘りしていきます。

人脈がない

フリーランスになったばかりの人が抱えがちな悩みの1つが、「人脈がないこと」です。会社員時代と違い、自然に人脈が広がる機会が少なく、自分から動かないと仕事につながる関係は生まれません。そのため、何から始めればいいのか分からず、不安を感じてしまう人は多いです。

人脈の作り方がわからない

人と関わる意欲はあるものの、「具体的にどこで出会い、どう関係を築けばいいのか分からない」という悩みを持つ人もいます。そもそも何をすれば仕事につながるのかが見えないと、行動に移しづらいでしょう。

人付き合いが苦手

人と関わること自体には抵抗がないものの、初対面での会話や関係構築が苦手で悩んでいる人もいます。「話しかけるのが怖い」「雑談が続かない」などの理由で、せっかくの出会いを仕事につなげられないケースもあるでしょう。無理に社交的になるのではなく、自分なりの関係の築き方を見つけることが大切です。

そもそも人と関わりたくない

人間関係に惑わされずに自由に働きたくて、フリーランスを選んだ人は少なくありません。意図的に人脈を作ろうとする行為やあからさまに営業っぽい行為に、抵抗がある人もいるでしょう。フリーランスとして、「自分のペースで仕事をしたい」と考えるのは自然なことです。

必要以上に人と関わることなく、適度な距離を保ちながら仕事を得られる方法を考えることも、選択肢の1つです。

打算的な人間関係に違和感を感じる

「この人とつながれば得をする」という損得勘定が透けて見える関係に、違和感を覚える人も少なくありません。表面的な付き合いを増やすよりも、本音で話せる関係を大事にしたいと考えるフリーランスも多いです。無理に広げるよりも、信頼できるつながりを深める方が、結果的に良い人脈につながることもあります。

CHECK

・何をすれば仕事につながるのかを考えて行動する
・自分なりの関係の築き方や距離感を見つける
・無理に人脈を広げるのではなく、信頼できるつながりを深める

もっとも収入につながる案件獲得ルートは?

ただ案件を獲得するだけでなく、高単価の収入を得たいと思っているフリーランスも多いでしょう。それでは、もっとも収入につながるのは、一体どのようなルートなのでしょうか。

人脈を活用する

フリーランス白書 2024』によると、「Q.その中で、最も収入が得られる仕事はどのようなところから見つけたものですか。」という質問に対し、1位と2位を「過去・現在の取引先(32.7%)」「人脈(27.9%)」が占めています。1位の「過去・現在の取引先」を含めると、約6割のフリーランスが、人脈を活用した案件獲得で高収入を得ていることが伺えます。

CHECK

・フリーランスの約6割が人脈を活用して高収入を得ている
・SNSやブログ、noteで実績を発信する
・WantedlyやIndeedなどのフリーランス向けサービスを活用する

自分で広告宣伝活動を行う

SNSやブログ、noteは無料で広告宣伝ができるツールです。これらのプラットフォームを活用し、自分のスキルや実績を発信することで、直接クライアントから仕事を得ることができます。特に、専門性のあるコンテンツを発信し続けることで、指名での依頼が増える可能性があります。有益な情報や専門知識を発信することで、自分の強みを可視化することが可能です。

ただし、広告宣伝活動を行っても、すぐに結果が出るわけではありません。そのため、継続的な発信が求められます。また、たくさんのフリーランスがいる中で多くの人にリーチするためには、ただブログを更新するのではなくSEOになどに努めるなど、継続的な努力が大切です。

フリーランス向けサービスを利用する

近年では、WantedlyやIndeedをはじめ、さまざまなフリーランス向けサービスが普及しています。フリーランスエージェントやマッチングサービス、クラウドソーシングを利用することで、案件を探す手間を減らしながら仕事を獲得可能です。特にエージェント経由の案件は、高単価かつ長期契約になりやすい傾向があります

一方で、手数料や契約の制約があるため、条件をよく確認することが重要です。

人脈づくりのためにSNSはやるべき?

フリーランス白書 2024』によると、「Q.仕事はどのようなところから見つけますか。」という問いに対し、約3割が「自分自身の広告宣伝活動(Web・SNS・新聞・雑誌など)」と回答しています。この結果を見ても、仕事を獲得するうえでSNSの活用は有用です。以下では、人脈づくりのためにSNSを活用するメリットについて解説します。

人脈づくりに役立てられる

『フリーランス白書 2024』によると、「Q.取引をしたフリーランスとの関係性や出会いのきっかけについて教えてください。」という問いに対し、「SNSでつながった人」は「もともとの友人・知人」「友人・知人の紹介」に次いで3位です。

例えば、ビジネス系SNSの呼び声高いLinkedInでは、さまざまな求人が掲載されており、ビジネス的な関係構築にも役立ちます。Facebookは、「フリーランスライター」「Webデザイナー」「翻訳者」など、職種ごとのコミュニティが充実しており、フリーランス向けのビジネス勉強会やオンラインイベントが告知されるため、リアルな交流につながりやすいのが特徴です。

情報収集ができる

SNSを活用すれば、業界の最新情報やトレンドをリアルタイムでキャッチできます。特に、同業のフリーランスや企業アカウントをフォローすることで、有益な情報が集まりやすくなります。 仕事のヒントや新しい案件につながる情報も得られるため、効率的な情報収集ツールとして活用できます。

X(旧・Twitter)では、「#Webライター」「#Webデザイナー」などで検索すれば、仕事を募集している人とつながれる可能性があります。業界のトレンドやリアルな声をキャッチアップしたり、共通の仲間を見つけたりするのにも有益です。

セルフブランディングに活かせる

受け身で待っているだけでは、仕事は入ってきません。SNSで自身のスキルや実績を積極的に発信することで、仕事の依頼や認知度向上につなげることができます。特に、専門知識や経験を活かした投稿は、信頼度を高める要素となります。継続的な発信をすることで、「この分野ならこの人」と認識されやすくなるのもポイントです。

Instagramやポートフォリオサイトでクリエイティブ系の実績をアピールしたり、LinkedInでビジネススキルやキャリアの強みを発信したりすることで、ターゲットに合ったセルフブランディングが可能です。発信の内容に応じて、適切なプラットフォームを選ぶことが、より効果的なブランディングにつながります。

CHECK

・LinkedInやFacebookで関係や交流を深める
・Xのハッシュタグを活用して求人や仲間を見つける
・実績や強みを継続的に発信してセルフブランディングに役立てる

人脈づくりにおいて大切なことは?

「知り合い」は多くても、仕事につながらなければ意味がありません。ここでは、仕事につなげるにあたって大切なことについて見ていきます。

約束を守る

「仕事につながる人脈」は、関係性の深さや信頼の高さがキーです。例えば、「期日を守る」「レスポンスを早くする」「小さな約束を大事にする」などの積み重ねが、自身の価値を高め、結果的に案件獲得のチャンスを生みます。信頼関係が築ける人脈こそ、長く続く仕事につながるのです。

迅速に行動する

フリーランスにとって、レスの速さは安心感や信頼の獲得に直結します。逆にいうと、返信の遅さは信頼の失墜につながりかねません。出社スタイルと異なり、リモートでは画面の向こうで相手がどのように仕事を進めているのか、本当に納期に間に合うのか見えないためです。

リモートワークでは直接顔を合わせる機会が少ないからこそ、返信の速さが信頼の指標になります。素早く行動することは、誠意ややる気のアピールにもつながります。

相手との共通点を意識する

共通点があると、関係が自然と深まり、仕事の依頼や紹介につながりやすくなります。趣味、キャリアの経歴、得意分野など、意識的に相手との共通点を見つけることが大切です。「この人とは価値観が合う」「一緒にいて楽しい」と思ってもらえれば、関係が続きやすく、「一緒に仕事をしたい」と思ってもらいやすいです。結果的に、案件の機会も増えるでしょう。

CHECK

・小さな約束を守って信頼関係を高める
・迅速なレスポンスに努める
・相手との共通点を見つける

人脈はどうやって作ればいいの?

それでは、実際に人脈は一体どのように作ればいいのでしょうか。ここでは、仕事につなげられる人脈を作るための具体的な行動や手段について解説します。

SNSを活用してつながりを広げる

SNSで「#仕事募集中」「#フリーランスライター」などのハッシュタグを活用し、案件を募集している企業や個人を探す方法があります。また、自分自身が「ライターとして案件を受け付けています」と発信することで、仕事のチャンスを引き寄せることも可能です。

最近では、フリーランスを束ねているディレクターや企業がSNSを通じてフリーランスを探すケースも増えており、思わぬ縁につながることもあります。

元同僚や昔の仲間とつながる

新しい人脈を開拓しようと思うと、ハードルが高く感じる人もいるかもしれません。そこで、時をさかのぼって昔の仲間たちにコンタクトを取ってみるのも1つの方法です。過去に一緒に働いた人は、すでにあなたのスキルや仕事ぶりを知っているため、紹介や案件につながりやすい傾向があります。また、一緒に働いた経験があるため、案件を円滑に進めやすいのも利点です。 

先輩フリーランスに話を聞く

フリーランス白書 2024』によると、フリーランスの約半数は、他のフリーランスからの受注を経験しています。すでにその道を歩んでいる先輩フリーランスに話を聞くことで、どのように継続的に人脈を構築しているかのヒントをもらえます。また、そこから生まれた縁で案件を振ってもらえたり、プロジェクトに一緒させてもらえたりすることもあるでしょう。

元取引先との関係を活かす

独立前に対企業で仕事をしていたなら、元取引先の担当者に独立した旨を伝えてみるのも有効な方法です。すでにあなたのスキルや仕事ぶりを知っているため、実績が少ない段階でも安心して依頼してもらえる可能性があります。独立直後の案件獲得は特にハードルが高いため、過去のつながりを活かすことで、スムーズに仕事を得られるチャンスが広がるでしょう。

同じ目的のコミュニティに参加する

業界の勉強会やオンラインサロンに参加すると、同じ目標を持つ人たちとつながりやすく、仕事のチャンスも生まれやすくなります。実際に、コミュニティ経由で案件を獲得したフリーランスも多く、活動の幅を広げることで新たな可能性が広がるでしょう。また、リアルのミートアップやイベントに足を運び、直接顔を合わせることで、オンラインよりも信頼関係を深められ、より確実な人脈につなげられます。

イベントや交流会で名刺を配る

イベントや交流会では、名刺を渡すだけでなく、その後のつながりを意識することが大切です。 名刺交換した相手とSNSを交換し、定期的にコンタクトを取ることで関係が深まり、仕事につながる可能性も高まります。FacebookグループやPeatixで業界イベントを探し、積極的に参加するのも有効な方法です。

CHECK

・SNSのハッシュタグを活用してつながりを広げる
・元々あるつながりを活用・強化する
・定期的にコンタクトを取るなど、その後のつながりを意識する

人との出会い方・探し方

人脈の作り方が分かったところで、具体的にどこで出会うかについて深掘りします。

学びの場で人脈を広げる

スクールや講座に参加することで、同じ目標を持つ人とつながりやすく、人脈が広がるきっかけになります。実際に、『フリーランス白書 2024』によると、「Q.学びの効果として、得られたものをお答えください。」の問いに対し、約2割のフリーランスが「人脈が広がった」と答えました

また、「必要な業務に役立った」「受注できる案件の幅が広がった」と回答した人が約4割、「より高度な仕事ができた」と回答した人も約3割いるなど、人脈以外にもメリットを得ているフリーランスが多いことが分かります。

例えば、ノマドニアのような短期集中型プログラムでは、学びながら実際に仕事につながるネットワークを築けることもあります。オンラインスクールなら、テック系やクリエイティブ系の分野で、全国の受講生とつながるチャンスがあります。

コミュニティやビジネスネットワークを活用する

オンラインサロンや業界別の勉強会に参加すると、実際に仕事を発注する人や、フリーランス仲間とのつながりを築きやすくなります。Facebookコミュニティなどのプラットフォームでは、海外フリーランス向けの案件情報も共有されることがあり、新たな仕事の機会が広がることもあります。同業種同士のオフ会や交流会、セミナーに参加することで、情報収集ができ、同じ目的や共通点を持った参加者間でより深い関係を築きやすくなります。

また、異業種交流会に参加するのも1つの方法です。 同業の知り合いは多くても、異業種とのつながりが少ない人は意外と多いものです。例えば、Webエンジニアがサイトのコピーを書けるライターを探していたり、カメラマンがインタビューもできるライターを求めていたりと、異業種同士で仕事を紹介し合うこともあります。

過去のつながりを活かす

新しい人脈を作る前に、まずは元同僚や取引先に相談してみるのも有効な方法です。すでに仕事の実績がある関係性のため、営業のハードルが低く、スムーズに案件につながる可能性があります。また、業務委託先の企業との関係を維持することで、別の仕事を紹介してもらえるチャンスも広がるでしょう。

自分に合った出会い方を見つける

人脈づくりの方法は1つではありません。そのため、自分に合ったスタイルを選ぶことが大切です。人付き合いが苦手ならオンライン交流を中心に、フリーランス仲間を増やしたいならコワーキングスペースやノマドイベント、業界のつながりを広げたいなら、カンファレンスやMeetupイベントに参加するなど、目的に合った出会い方を意識すると効率的です。

CHECK

・学びの場やビジネスネットワークに参加する
・元同僚や取引先に相談する
・自分の目的に合った出会い方を意識する

良い人脈、悪い人脈の見極め方

ただがむしゃらに人脈づくりをするのではなく、良い人脈を築く必要があります。それでは、良い人脈、悪い人脈とは、どういったものを指すのでしょうか。

長期的に価値を生み出せる人脈

良い人脈とは、互いに信頼し合い、長期的に支え合える関係です。仕事の依頼や紹介だけでなく、悩みを相談できたり、新しい学びを得られることもあります。テイカーの姿勢で居続けるのではなく、相手に有益な情報を届けたり、仕事を紹介したり、お互いに価値を与え合える関係の構築も大切です。

一時的なつながりではなく、継続的に価値を共有できる関係こそ、仕事の機会を広げる人脈といえるでしょう。

何も生まれない人脈

名刺交換だけで終わる関係や、表面的なつながりにとどまる人脈は、結果的に何の価値も生まれません。また、「何となく付き合っているけど話が合わない」「関係を続ける意味が見いだせない」と感じる場合は、無理に維持する必要はありません。エネルギーを注ぐべき人脈を見極めることが大切です。

避けるべき人脈

出会いの中には、ビジネスの勧誘や保険の営業を目的とした人もいます。また、表面的なつながりは、仕事に直接結びつくことが少なく、時間を無駄にするリスクがあります。人脈づくりの場では、単なるつながりを増やすのではなく、「何を得たいか?」を明確にすることが重要です。「学びたい」「新しい仕事につなげたい」など、自分の目的を意識して関係を築くことが、人脈の質を高めるポイントになるでしょう。

CHECK

・良い人脈とは、互いに信頼し合い、長期的に支え合える関係
・表面的なつながりからは何も生まれない
・単なるつながりを増やすのではなく、目的を明確にすることが大事

人脈ができても仕事につながらない…どうすれば?

人脈ができても、実際に仕事につなげることができずに頭を抱えているフリーランスは少なくありません。築いた人脈を仕事につなげるには、一体どうしたらいいのでしょうか。

ただの「知り合い」ではなく「仕事を頼みたくなる人脈」を築く

人脈があっても、仕事につながらなければ意味がありません。「この人に仕事を頼みたい」と思われるためには、自分の知識やスキルを発信し続けることが大切です。営業が苦手な場合でも、ブログやSNSで実績やモチベーション、自分の価値を伝えることで、自然と仕事の依頼が来るようになります。

フリーランスで活動していることを周囲に伝える

「仕事を頼みたい」と思われるためには、まずは自分がフリーランスとして活動していることを知ってもらうことが重要です。人材を探している人に「アサインできる人物だ」と認識されるだけでも、仕事のチャンスが増えます。知人や取引先に「仕事を探してます」と軽く伝えるだけでも、意外な案件につながることがあります。

得意なことや実績を発信する

自分の得意なことを発信し、自分が何ができるのかを明確に伝えることで、仕事の依頼につながりやすくなります。実績がない場合、最初は「無料でやります」と告知またはDM営業を行い、実績を積んだ人もいるようです。実績のある発信を続けることで、信頼度が上がり、次の案件へとつながる可能性が広がります。自己分析を行い、自分の強みを知っておくことも重要です。

仕事につながる認知を広げる

https://twitter.com/moco191112/status/1886520062615462357?ref_src=twsrc%5Etfw”>February 3, 2025

フリーランスで安定した仕事を得るには、地道な発信や行動を積み重ねることが欠かせません。フリーランスでやっている活動をSNSで発信したり、積極的に声をかけたりすることで、時間差で仕事につながることもあります。多くの案件を獲得している人は、圧倒的に行動量が多いのも特徴です。

1回の仕事をリピート案件につなげる

1回の仕事をリピート案件につなげるためには、1つひとつの仕事に丁寧かつ迅速に取り組み、「仕事がしやすい」「クオリティが高い」と思ってもらうことが大切です。一定のクオリティを担保することはもちろん、レスや納品の速さもやる気やモチベーションのアピールや信頼につながります。

また、単発の仕事で終わらせず、「◯◯の案件があったらまたお願いします」と伝えることで、次の依頼につながる可能性が高まります。実際に、リピート案件を得ているフリーランスの多くが、クライアントとの関係を意識的に築いています。信頼関係を深めることで、継続案件や紹介につながることもあるでしょう。

CHECK

・自分がフリーランスとして活動していることを伝える
・自己分析を行い、自分が何ができるのかを明確に発信する
・丁寧かつ迅速な納品を心がけ、リピート案件につなげる

人脈を活かし、仕事につなげ、育てるコツ

安定しているフリーランスは、一体どのように人脈を活かし、継続的に受注しているのでしょうか。人脈は「築いたら目的達成」ではありません。築いた人脈を活かして仕事につなげ、育てるコツを押さえておきましょう。

行動し続ける

人脈を活かすには、ただ機会を待っているのではなく、自ら動き続けることが大切です。仕事を得る人は、出会いの場に足を運び、新しい人と積極的に関わっています。一度築いた人脈も、定期的なアクションがなければ、仕事につながるチャンスを逃してしまいます。

定期的に連絡を取る

仕事を誰かに依頼したいと思っていても、クライアント側が単にあなたの存在を忘れてしまっているだけのこともあります。定期的に連絡を取ることで、「この人に頼もう」と思い出してもらいやすくなります。「声をかけやすい人」でいることが、継続的な仕事につながるポイントです。

継続的にコミュニティに参加する

築いた人脈は、一度できたら終わりではなく、継続して関わり続けることで価値が生まれます。 コミュニティに定期的に顔を出し、関係を維持することで、新たな仕事のチャンスが広がります。関係を途絶えさせない努力が、長期的な人脈形成の鍵です。今ある人脈を大切にすることで、他のクライアントを紹介されるなど、新たな出会いが生まれる可能性があります。

CHECK

・受け身にならずに自ら動き続ける
・定期的に連絡を取り、「声をかけやすい人」でい続ける
・継続して関わり続け、長期的な人脈を形成する

人脈は築いたら終わりではなく、活かしてこそ意味がある

多くのフリーランスが人脈を活用して案件を獲得しており、フリーランスにとって人脈は仕事を得る大きな武器になります。

しかし、ただ知り合いを増やすだけでは十分ではありません。人脈ができても仕事につながらない場合は、「この人に頼みたい」と思われるような発信や行動が重要です。

また、一度つながった関係も、放置すれば自然と途切れてしまいます。人脈を意味あるものにするためにも、定期的な連絡や継続的な関わりを意識しながら、価値を提供し合える人脈を育てていきましょう。

【営業ロードマップDL】フリーランス初めての営業活動で案件を獲得|価格設定の考え方とチャネル別営業の実践法

フリーランスになったばかりの方が最も悩むのは、「どうやって案件を獲得すればよいのだろう」という点ではないでしょうか。特にスキルやコネクション、実績がないうちは、営業が上手くいかないことも多いものです。

今回は、フリーランスの案件獲得方法について解説します。具体的なプロセスやどういった手段があるのかなど紹介するので、これから仕事をどんどん取りたい方はぜひ参考にしてください。

フリーランスの営業活動。何から始めるべき?

フリーランスになるにあたって、営業は何から始めればよいのでしょうか。結論、フリーランスの営業活動は、案件獲得ルートを整理するところから始めましょう。

ただし、やみくもに努力しても、時間ばかりが過ぎてしまい実際に仕事を得ることはできません。また、ポートフォリオをまとめる作業も必要です。

例えば、デザイナーの方が「明るくポップなデザインが得意です」と伝えても「明るくポップ」の印象は人によって異なります。

しかし、ポートフォリオがあればクライアントは、依頼した場合にどのようなアウトプットを貰うことができるか具体的に想像でき、依頼に繋がります。

フリーランス営業ロードマップ

副業としてフリーランスの案件を獲得するのか、専業の個人事業主としてフリーランスになるのかで獲得できる案件は異なりますが、いずれにせよ実績を積んでいくことは非常に重要です。

多くの案件をこなし、新しいクライアントに提示できる作品を増やしましょう。

具体的には、まず上図の「実績の積み方」にあるように、知り合いや個人での営業活動を通じて案件を獲得しましょう。

また、まずは正社員やアルバイトとして業界に入り、スキルを高めると同時に実績を作る方法もあります。ある程度の実績が生まれたら、「独立・仕事の取り方」を参考にしてください。

フリーランスの案件獲得のプロセス

フリーランスの案件獲得が、どのようなプロセスで進むか解説します。

案件獲得は直営業・直案件が理想

直案件で仕事が得られると、中抜きをされないため高い報酬を得やすくなります。また、間に人が入らずクライアントと直接やり取りができるので、「クライアントはどのような課題を抱えているのか」「どんなニーズを持っているのか」などをくみ取りやすくなります。

「フリーランスが直案件を獲得する営業手法。案件獲得のチャネルの種類や直営業までのステップを解説」にある通り、直接案件を獲得する方法は複数種類あります。

まずは実績となる場数を踏みポートフォリオの材料に

いくつかの案件をこなしたら、作品をポートフォリオの材料にしましょう。

クライアントからしても、口頭でスキルを説明されるより実際に何を作ったかを確認した方があなたの実力を判断しやすいです。

ポートフォリオには、記載するべき項目や制作にあたってのポイントなどがいくつかあるため、「フリーランスの仕事がくるポートフォリオの要点。記載する項目と守るべき権利の範囲を解説」を参考にまとめてみてください。

経験・実績を積むためにも案件マッチングサイトを活用する

駆け出しのフリーランスが案件を獲得するには、マッチングサイトが有効的です。

クライアントと直接やり取りができ、複数の企業に効率的にアプローチできます。また、間に運営が入っているので金銭トラブルを防げる点もメリットです。

「フリーランスの案件マッチングサービスの活用法。案件応募から年収を上げるための案件獲得戦略を解説」にもある通り、クラウドソーシング型やエージェント型などいくつかの種類があるので、まずは2~3個ほど登録してみましょう。

CHECK

・なるべく直営業での案件を獲得すると金銭的なメリットがある
・実績を積んだらポートフォリオにまとめる
・複数のマッチングサイトを使って案件を探すと効率的

駆け出しフリーランスはクラウドソーシング。経験者はエージェントから。

フリーランスとしてまだ実績がない方は、クラウドソーシングを使いましょう。あまり報酬額が高くないものの、未経験でも応募できる案件が多数あります。

経験者の方は、ぜひエージェントを活用してください。高いスキルや豊富なポートフォリオを求められますが、高単価の案件を見つけやすいです。

まずは、1年ほどクラウドソーシングメインで獲得し、少しずつエージェントを活用するとよいでしょう。

フリーランスの仕事が取れるポートフォリオの作り方

フリーランスとしてポートフォリオを作る時には、いくつかのポイントがあります。これから作る方は、以下の3つを抑えましょう。

ポートフォリオは商談相手に即した営業資料としてカスタマイズ

ポートフォリオは一つだけ作って使いまわすのではなく、クライアントに合わせてカスタマイズしましょう。

例えば、フォトグラファーの方が企業のWebサイトに掲載するための写真撮影の案件を獲得するため、個人用に撮影した写真をたくさん見せてもあまり意味がありません。

相手の求めているものとなるべく近い資料を提示してください。

スキルセットベースに何ができる人か汎用的な資料を用意する

ポートフォリオは毎回すべてカスタマイズして作るのではなく、汎用的な部分もあります。

例えば、エンジニアの方であれば、エンジニア歴はどのくらいか、どんな言語が使えるかといった部分はどのクライアント相手にも伝えなくてはなりません。そういった基本情報も、しっかりまとめておきましょう。

実績は定量的な情報として成果と期間を必ず盛り込む

ポートフォリオには、必ず定量的な成果を盛り込みましょう。

例えば、マーケターであれば、「SNS運用を始めて20代からの購入が30%増えた」「コンバージョンが3か月で40%増えた」といった数値が役立ちます。

他にも多数のポイントがあるので、説得力のあるポートフォリオを作るために「フリーランスの仕事がくるポートフォリオの要点。記載する項目と守るべき権利の範囲を解説」を参照してください。

CHECK

・ポートフォリオには汎用的な内容をベースにまとめる
・クライアントによってポートフォリオの内容をカスタマイズする
・定量的な数字を盛り込み説得力のあるポートフォリオにする

クライアントワークの実績の記載には許諾を必ず取る

クライアントワークの実績をポートフォリオとして掲載する場合、必ず許諾を取りましょう。勝手に使ってしまうと、契約違反になり賠償金を請求される可能性もあります。

口頭だけではなく、メールやチャットなどのテキストで許諾の証拠を残しておくとベストです。

フリーランスの最大の悩み。正しい価格設定の手法

フリーランスにとって、正しい価格設定は大きな課題です。適切な金額を受け取り、仕事を良いサイクルでまわしていきましょう。

理由のない値下げ・安売りは誰も幸せにならない

理由もなく値下げしても、仕事量と報酬が見合わなくなるだけです。

ライバルより価格優位性が持てて案件が取りやすくなるので一時的にはよいかもしれませんが、安売りは長く続きません。

相場をチェックし、著しく低い価格にするのはやめましょう。

必要な時間数×付加価値込みの時給単価から価格を設定する

まずは作業内容を確認して、どのくらいの時間がかかるのか明らかにしましょう。

その後、自分ならどんなスキルを活かしてどのような付加価値がつけられるのかを考えて時給を設定すると、時間×時給で価格を設定しやすくなります。

市場価格や案件額の平均値は参考程度で盲信しない

相場を知ることは大切ですが、盲信してはいけません。

相場はあくまで相場なので、その中で自分はどのくらいのバリューを発揮できるか考えてください。

正しい価格をつける方法としては、「フリーランスの適正価格の設定方法。正しい価格設定と交渉のポイントを解説」に詳細があります。値付けに困ったらぜひ参考にしてください。

CHECK

・理由なく安売りしても長期的にメリットがない
・納品までにかかる時間と自分の持っている付加価値から単価を設定する
・相場の確認は必要だが、こだわりすぎずに値付けする

初心者の方は、とにかく仕事を得るために時給数百円程度で請けがちですが、絶対にやめましょう。

そういった案件を得ても、フリーランスとして独立できるほどの稼ぎは得られません。そんなことをする時間があれば、スキルを磨いて適切な価格の案件を受けられる実力をつけてください。

付加価値の作り方は自分のポジションを明確にすること

付加価値をつけていくことは、フリーランスとして活躍する上で重要です。

例えば、人事の方が採用業務だけでなく、研修も担当できるようになれば、単価が上がります。

その中で「自分は採用と研修のどちらもできる」というポジションが確立することも、メリットの一つです。クライアントにとってどのようなポジションでいられるか、改めて考えてみましょう。

フリーランス営業ロードマップ

フリーランスの案件獲得チャンネル

フリーランスとして案件を獲得するには、いくつかのチャネルが活用できます。それぞれ、しっかり使い分けられるようにしましょう。

ビジネスマッチングサイトの活用は基本

ビジネスマッチングサイトには、クラウドソーシング型とエージェント型があります。

駆け出しの方はクラウドソーシング型がおすすめで、LancersやCrowdWorksなどに登録しましょうエージェント型はクロスデザイナーやレバテックフリーランスがおすすめです。

具体的な特徴については「フリーランスの案件マッチングサービスの活用法。案件応募から年収を上げるための案件獲得戦略を解説」をご覧ください。

フリーランスの情報発信にSNSを活用しきる

フリーランスはSNSを活用することで、ブランディングやDM経由の案件獲得といった成果につながります。

また、ポートフォリオを投稿することで自分の実績を多くの方に知ってもらえる点もメリットです。

一方で、注意点もあるので、しっかり準備を整えてから運用を始めましょう。「フリーランスのSNS運用。運用の目的を明確にした正しいSNSの使い方を解説」の記事をぜひ参考にしてください。

オフラインの交流会で仕事仲間から案件を獲得する

オフラインの交流会では、様々な職種のフリーランスと出会えます。

孤独になりがちな働き方をする中で仲間に出会えますし、業界の最新情報を知ることも可能です。新しい案件につながることもあるので、「フリーランスの交流会。情報収集や案件獲得に繋がる交流会の探し方や参加方法を解説」を読んでぜひ一度参加してみてください。

CHECK

・まずはビジネスマッチングサイトを使って案件を探す
・SNS経由で案件を獲得できることもある
・交流会ではフリーランス仲間や新しい案件との出会いがある

継続的な案件受注のために、スキル研鑽のためにセミナーを活用

フリーランス向けのセミナーは、案件獲得方法はもちろん、ポートフォリオの作り方やスキルの伸ばし方など様々なことを学べます。

特に、駆け出しの方は役に立つ情報が多いので、ぜひ参加してみましょう。本当に有益なセミナーを見つけてスキルアップなどにつなげるためにも、「フリーランスはセミナーに行くべき?セミナーを受講するメリット・講座の見極め方やおすすめ検索サイトを紹介」をご確認ください。

独立の成功を実感するタイミングとは?

何をもって独立が成功したとするかは人によりますが、月収は一つの基準となります。

家賃や光熱費など一か月にかかるお金をフリーランスの稼ぎだけで得られれば、最初の成功を果たしたと言えるでしょう。

また、「20代 男性 平均年収」など検索すると目安が出てくるので、その数値を上回ったときに次の成功を納めたと言えるかもしれません。その次は、年収1,000万円を超えた段階でもう一段上の成功をしたと判断できるでしょう。

また、自由な働き方ができると成功を実感できるものです。例えば、フルリモート案件だけを獲得すれば、国内・海外問わずどこにいても仕事をすることができます。実際に、ノマドワーカーとして海外を旅しながら働く方もいます。

働く時間も自由で、「早起きが苦手だけど、無理して起きなきゃ……」「深夜まで働かないと……」と無理する必要はありません。納期さえ守れば、何時に働くかは個人の裁量で決められます。自分の生活しやすいリズムで働けるかどうかも、独立が成功したかどうかを判断できる基準の一つとなるでしょう。

フリーランス営業ロードマップ

フリーランスとして案件を獲得するのは、簡単なことではありません。
特に、駆け出しのころはスキルも実績もなく、クライアントに営業しても上手くいかないことばかりです。
しかし、そこで諦めずにマッチングサイトなどを通じて案件をとり、実績をもとにポートフォリオを作ることで次の案件を獲りやすくなります。
SNSを使ったり交流会に出たりといった方法も含めて、様々な手段で仕事を探していきましょう。

フリーランスの社会保険を賢く活用|国民健康保険・年金・iDeCoの加入方法と保険料軽減策を紹介

自分の身は自分で守らなければいけないフリーランスは社会保険も自分で加入し自分で全額負担します。万が一の事態に備えるために社会保険を含む保障を整えておくことは非常に大切です。しっかりと備えるための具体的な方法を知っておきましょう。

社会保険は怪我や病気など万が一への備えや老後の生活保障として加入する大切なもの。うまく活用すれば節税対策にもなります。。

フリーランスが加入義務がある社会保険は国民健康保険と国民年金

社会保険とは保険料を支払うことでリスクに備える制度のことで、フリーランスが加入義務のある社会保険は「国民健康保険」と「国民年金」です。その他の社会保険(雇用保険や労災保険など)は、基本的にフリーランスには適用されませんが、特定の状況に応じて加入できる場合もあります。他にも任意加入できる保険や制度もあるので、万が一の際に備えて検討してみると良いでしょう。

そもそも社会保険の種類

社会保険とは「健康保険」「年金保険」「雇用保険」「労災保険」の4つを指しますが、フリーランスが加入できるのはそのうちの2つ「健康保険」「年金保険」のみです。会社員の際と加入できる保険の種類が異なるので切り替えなどの手続きが必要になります。

会社員とフリーランスの保険の違いは加入条件と負担率 

次の表は、会社員とフリーランスで加入できる保険の違いです。

社会保険内容フリーランスの場合会社員の場合
健康保険病気やケガの際の補償国民健康保険に加入できる保険料は全額自己負担勤務先の健康保険に加入できる保険料は会社と折半で5割負担
年金保険老後の生活資金を支えるための制度国民健康保険に加入できる保険料は全額自己負担厚生年金に加入できる保険料は会社と折半で5割負担
雇用保険失業した際に生活支援をするための保険加入できない加入できる保険料は会社と折半で5割負担
労災保険仕事中の事故や病気に対する補償加入できない加入できる保険料は全額会社負担

フリーランスが加入できる社会保険の種類

フリーランスの社会保険には様々な選択肢があります。加入義務のあるものもあれば自分で選べる任意の制度も多く用意されているので、安定した生活を実現するために加入しておいたほうがいい制度があるかどうか知っておくことが必要です。

健康保険の場合

健康保険とは病気やケガの際に必要な医療費の一部をカバーする制度です。会社員として健康保険に入ると会社が保険料を5割負担してくれますが、フリーランスは全額自己負担になります。注意したいのは、病院でかかる費用の保障はありますが、フリーランスの場合、雇用保険や労災保険に入れないので、病気などでの休業中の休業補償や失業手当といった保障がないことです。

国民健康保険へ切り替えする

国民健康保険は市区町村が運営する制度で、フリーランスや自営業者、学生などが加入する保険です。市区町村の役所で申請すると保険証が交付されます。会社の健康保険から切り替える場合は退職日から14日以内に手続きが必要です。保険料は前年の所得をもとに計算され、全額自己負担となります。

社会保険を任意継続する

会社の健康保険に退職後も継続して加入する「任意継続被保険者」という選択肢もあります。会社の健康保険に最大2年間継続して加入することができる制度で、退職後20日以内に手続きをすればそれまでの健康保険をそのまま利用できます。希望する際は会社の人事部門、もしくは健康保険組合に任意継続の旨を連絡しましょう。こちらも保険料は全額負担になります。

年金保険の場合

フリーランスの年金の構造は会社員の場合と大きく異なり、会社を退職する際は切り替え手続きが必要になります。また、フリーランスとして加入義務のある年金保険の運用だけでは将来の不安があるため、老後の生活資金補完のため追加で私的年金も運用しておくと良いでしょう。

厚生年金から国民年金への切り替えが必須

厚生年金は会社員や公務員が加入できる公的年金のため、フリーランスになった際は国民年金へ切り替え手続きが必要になります。退社時に会社から交付される離職票(退職証明書)、年金手帳、本人確認書類を持ち最寄りの市区町村の役所で申請を行うと国民年金への切り替えができます。保険料は毎月一定額で、口座振替などの支払い設定ができます。

国民年金基金への加入

国民年金基金とは自営業・フリーランスを対象にした、国民年金に上乗せして加入できる公的な年金制度です。加入は任意ですが、将来の保障のために検討するとよいでしょう。申し込みをする場合は、基金のホームページより加入申出書を入手し、必要事項を記入後提出します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは国民年金にプラスして加入できる私的年金制度の一つです。確定拠出年金法にもとづいて運営され、自分で掛金を拠出、運用し、60歳以降にその元本と運用益を受け取ります。フリーランスの場合、掛金の全額が所得控除対象になるので節税にもつながり加入メリットが多いです。iDeCoは複数の金融機関で取り扱っているので、手数料や商品ラインナップなどを比較して取引する金融機関を選び、加入手続きを行います。

付加年金の導入

付加年金とはフリーランスや自営業者が加入できるもので、国民年金保険料を上乗せして支払うことで将来の年金額を増やすことができる制度です。希望する場合は国民年金への切り替えの際に市区町村の役所で付加年金も加入しましょう。国民年金への加入と同時申し込みでなくても、途中で追加することもできます。

フリーランスが加入できる労働・労災保険は基本的には適用外

業務に起因して傷病が発生した場合に出る労災保険はこれまでフリーランスは対象外とされていましたが、2024年11月のフリーランス保護を目的とした法改正により企業等から業務委託を受けているフリーランスも労災保険特別加入の対象になりました。また、労災保険の代わりとなる民間の傷害保険への加入も検討するとよいでしょう。

健康・年金保険も退職後14日以内に加入の手続きが必要

会社を辞めてフリーランスになる場合の社会保険切り替えの手続きはそれぞれ14日以内に行わなければなりません。企業を退職して健康保険から国民健康保険への切り替えを行わずに14日の期限を過ぎると、医療費をすべて自己負担でまかなわなければならなくなります。

CHECK

・会社員とフリーランスで加入できる社会保険が異なる
・フリーランスが加入義務があるのは国民健康保険と国民年金
・健康保険・年金保険それぞれ選択肢があるので自分に合うものを選ぼう

フリーランスの社会保険のメリット・デメリットや違い

フリーランスは社会保険料を全額自己負担しなければならないので、社会保険に入るメリットが小さいと感じるかもしれませんが、不安定なフリーランスだからこそ社会保険の加入は必須です。けがや病気などもしもの時のための経済保障として上手く使いましょう。

確定申告で社会保険料を控除ができるメリット

フリーランスが社会保険に入る大きなメリットは社会保険料を控除できることです。フリーランスとして確定申告をする際に、控除を最大限活用して税負担を軽減することで、手取り額を増やすことができます。

自己責任範囲が大きいデメリット

フリーランスは社会保険に自己責任で加入・管理しなければなりません。保険料の負担も大きくなります。加入できる保険も限られており、企業に勤めるより社会保障が薄いということも考慮しましょう。

傷病手当金と出産手当金がない

病気やケガで働けない場合の保障になる傷病手当金と、出産のために仕事を休む場合に出る出産手当金は国民健康保険では支給されません。それぞれの手当ての支給を受けるためには国民健康保険には加入せず任意継続被保険者になるもしくは配偶者の扶養に入るなどの手段が必要です。

家族が扶養に入れられない

国民健康保険には扶養がないため、フリーランスになって国民健康保険に加入した場合家族を扶養に入れることができません。いままで配偶者やお子さんが扶養に入っていたとしても、国民健康保険に移行した後は世帯全員が国民健康保険に加入し、保険料(国民健康保険税)を納付する必要があります。

保険料が全額自己負担

会社の社会保険に入っている時には会社が保険料を5割負担してくれますが、フリーランスは保険料をすべて自分で負担しなければなりません。そのため会社員の時と比べて保険料の支払い額が大きく感じられることがあります。

厚生年金の上乗せがない

厚生年金の上乗せとは、厚生年金の基本的な給付に追加して退職後に受け取る年金額を増やすことです。会社員の場合、企業年金と呼ばれる企業が自ら設ける年金制度があり、企業が掛け金を拠出し厚生年金の受給額を上乗せすることができますが、フリーランスは国民年金への加入になり厚生年金の上乗せができません。

保険料が経済的負担になる

フリーランスは社会保険料を全額自己負担で払わなければならないため、経済的負担が大きくなります。ただ、支払った国民年金や健康保険の保険料は確定申告で経費として計上できるので、結果として節税にもなります。

フリーランスが社会保険に入らないとどうなる?

フリーランスは国民年金、国民健康保険の社会保険に加入する義務があります。社会保険に加入しない場合、医療費が高額になる、年金が少なくなる、税金面で不利になるなどのリスクがあります。また、国民健康保険を含めた公的医療保険に入らなかった場合、過去2年分さかのぼって未納分の保険料を請求されるので注意が必要です。安定した生活を送るために、社会保険にはきちんと加入しましょう。

CHECK

・社会保険料は控除でき節税につなげることができる
・保険料全額自己負担など責任範囲が大きい
・安定した生活のためにも社会保険はしっかり検討する

フリーランスの社会保険の計算方法・シミュレーション例

保険料の金額を把握し計画的に支払いを行うことがフリーランスの資金繰りとしても重要になります。

健康保険料の計算方法は均等割と所得割で異なる

健康保険料は前年の所得を基に計算される「所得割」、世帯人数に基づく「均等割」、世帯に対して課せられる「平等割」の3つの要素を合算して算出されます。所得に応じて保険料が変動するため、収入が多いと保険料も高くなります。

均等割の計算方法

均等割とは「所得額に関係なく均等に課される保険料額」です。被保険者の人数に応じて保険料額が増える仕組みです。

所得割の計算方法

所得割とは「前年の所得額をもとに計算する保険料額」です。前年の課税所得(総収入額 – 経費 – 基礎控除など)× 所得割の保険料率で算出されます。所得割の保険料率は、自治体によって異なるので市区町村に問い合わせましょう。

年金保険料の計算方法は保険料額×保険料改定率

フリーランスが支払う年金保険料は、所得に関わらず年ごとの定額制です。物価や賃金の伸びにより保険料は毎年調整され(保険料改定率)、2025年度の国民年金保険料は、月額16,610円となっています。

CHECK

・保険料を把握することは資金繰りの一環としても大切
・健康保険料は所得や被保険者の人数により増える
・年金保険料は年ごとの定額制

フリーランスの保険料を抑える方法

国民健康保険の保険料は住民税や所得に基づいて算出され、所得が多くなると保険料が高くなります。健康保険料を安く抑えるための方法も知っておきましょう。

任意継続被保険者になる

会社員から独立してフリーランスになる場合は、「任意継続被保険者」という選択があります。任意継続被保険者とは、会社で加入している企業健康保険を退職後も最長2年間、任意で継続できる制度です。退職した日から20日以内に手続きを行う必要があり、20日を過ぎると継続資格は失いますので継続希望の場合は早めに人事部門に伝えて手続きをしましょう。

保険料負担が少ない自治体に引っ越しをする

国民健康保険は市町村ごとに保険料が異なります。ご自身が住んでいる自治体の保険料を確認し、ほかの自治体と比較することができます。自治体ごとに保険料が公開されているので、ホームページをチェックして比較してみましょう。

国民健康保険組合が母体の国民保険に入る

国民健康保険組合とは特定の業界や職種に属している人が加入できる健康保険団体です。デザイナーやライター向けの組合やIT業界やクリエイティブ業界に特化した組合などがあり、WEBデザイナーの場合ですと「文芸美術健康保険組合」が該当します。これらの健康保険に加入することで所得にかかわらず保険料が一定になり、保険料の負担軽減につながります。加入の際は、組合の加入条件がありますのでホームページで確認しましょう。

被保険者の場合には配偶者の扶養に入る

配偶者が会社員であり、自身のフリーランス収入が年間130万円以内であれば、配偶者の扶養に入ることができます。自分で健康保険に入って保険料を払う必要がなくなり、フリーランスにはない社会保険サービスを受けることができるという大きなメリットがあります。

フリーランスは社会保険以外に民間保険に入るべきか?

フリーランスは病気や事故などで働けなくなった際の備えを作っておく必要があります。医療保険や生命保険、収入保障保険などの民間保険は収入減に備えるために有効です。特に収入保障保険や所得補償保険はフリーランスで収入が不安定になった際に助けとなるものですので、事業の状況や生活費の状況、将来の収入計画と照らし合わせて検討しましょう。

社会保険の切り替えは手残りを多くする選択肢を選ぶ

フリーランスとして入れる社会保険の種類や計算方法を理解し、手取りを多くするための適切な選択をすることで無駄な支出を抑えることができます。社会保険控除などを活用し、保険料や経費を上手く管理しましょう。

CHECK

・保険料の全額自己負担を避けて支出を抑える方法もある
・社会保険以外の民間保険も検討するメリットはある
・社会保険の検討の際は手取りを多くする選択肢を選ぶ

会社員の場合と加入できる条件や負担額が大きく異なるフリーランスの社会保険。社会保険についてしっかりと理解し、自分の状況に合わせた最適な選択をして節税や手取り額アップにつなげるのがポイントです。

フリーランスの資金繰り術|資金繰りの基本・調達手段・現金管理の実践法

フリーランスの収入は安定していないことが多いため、計画的な資金繰りが求められます。予測できない支出や収入の変動に柔軟に対応し、事業が滞ったり生活費が足りなくなったりしないように、お金をやりくりする必要があるのです。

フリーランスにとって必要な資金調達。お金に困らないようにするためには、もしお金に困ったときはどこから借りればよいのか、まとめました。

フリーランスの資金繰りの実態

資金繰りとは、事業を継続するために必要な資金の過不足を調整することです。フリーランスの場合ももちろん資金繰りが大切であり、お金の流れを管理し、日々の支払いに必要な現金や資金を確保して事業が滞りなく回るようにしなければなりません。

外部からの借り入れなどの資金調達をイメージすることが多いかもしれませんが、日々のキャッシュフローの管理、収入と支出(生活費も含む)のバランスを保つことも資金繰りに含まれます。

資金繰りが上手くいかないと事業が継続できなくなるだけでなく、生活そのものができなくなるリスクも発生しますので、特にフリーランスにとって重要であることを知っておきましょう。

資金繰りに困っているフリーランスの割合は約3割にも

フリーランスとしての働き方を始めてから資金調達が必要だと感じた経験があると回答した割合は約3割で、そのうち実際に資金調達した経験者は約8割であった。調達手段は、「補助金・助成金」が最多だった。引用:フリーランス白書2023年

フリーランスの悩みとして収入の不安定さは常に大きな悩みの種です。フリーランスは仕事の量やクライアントの状況に左右されるため、月ごとに大きく変動する収支のやりくりがとても重要になります。

資金調達の使用用途は生活費・事業運営のつなぎがメイン

フリーランスが資金調達を行う際の使用用途は「生活費を賄うため」と「事業運営資金」が最も多いものになっています。フリーランスが安定的に収益を上げて生活を続けていくためには、計画的な生活費の管理と安定的な事業収入のバランスが重要です。

資金繰りに陥る主な原因は収支管理の甘さ・無駄な経費・売上の急減

収入が不安定なフリーランスにとって、収支管理の徹底は必要不可欠。資金繰りをしっかりと計画し、適切に資金活用することが事業の安定につながります。

収支管理とは今月の売り上げがいくらでいつ振り込まれるのか、当月の支払いはいつまでにいくら準備しておかなければならないか、きちんと把握しておくことです。

これが上手くできないとキャッシュフローが悪化し、支払い遅延や生活費が足りなくなるなどの状況に陥ることになります。

融資は事業に関連する目的のみ。本来は生活費などの個人的支出には使用NG

融資による資金調達をフリーランスが行うことは可能ですが、フリーランスの場合、資金調達手段が限られることがあります。調達資金の利用目的も事業運営に限定されることが多いです。

事業運営費の主な用途

  • 事務所の賃料や光熱費
  • 機材やソフトウェア、ツールの購入費
  • 外注費や従業員への報酬
  • マーケティング・広告宣伝費
  • 税金(消費税や所得税など)

CHECK

・フリーランスの収入は不安定
・資金調達の使用用途は生活費と事業運営がメイン
・資金繰りに陥らないように収支管理の徹底が大切

資金繰りの種類ごとの優先度とメリット・デメリット

フリーランスが使える資金繰りにはさまざまな種類があります。資金を集める目的や、自身の事業の状況に合わせて適切な手段を選ぶことが重要です。急な支払いなどに対応する短期的な調達なのか、事業拡大などのための長期的な投資なのかによってお金の集め方は変わってきます。資金調達は計画的にかつ慎重に、メリットやデメリットを考えながら進めましょう。

国や自治体のフリーランス向け補助金・助成金の活用

フリーランスの資金調達手段として最も多いのが補助金や助成金の利用です。国や自治体などがフリーランス向けに行っている補助金や助成金の制度はこまめにチェックすると良いでしょう。

メリット

・融資とは異なり返済の必要がない

・補助金を受けることで社会的な信用が向上する

デメリット

・補助金の使用用途は限定されていることが多い

・申請から実際に資金が支給されるまでに時間がかかる

日本政策金融公庫による融資

日本政策金融公庫は政府が100%出資をする金融機関で、個人事業主や中小企業を対象に様々な融資制度を積極的に提供しています。開業時に使える融資や事業拡大のための融資など、業種や用途により使える制度がさまざまなので、ホームページで確認してみましょう。

メリット

  • 一般的な銀行や金融機関に比べて低金利
  • 担保や保証人が不要
  • 返済期間が長い

デメリット

  • 申請手続きが煩雑
  • 融資額や使用用途に制限がある

信用保証協会を活用した銀行借入

信用保証協会とはフリーランスや中小企業が融資を受ける際に、借入金の返済を保証する団体のことです。地方自治体や銀行が行う制度融資を受ける際に信用保証協会の保証を受けることで融資を受けやすくなります。

メリット

  • 低金利で融資を受けられる
  • 柔軟な返済条件
  • 創業支援としても使える

デメリット

  • 保証料がかかる
  • 返済義務がある

即日払いの案件獲得

経済状況が不安定な環境下では、即日払いは魅力的です。求人サイトで即日払いや単発払いの案件を探すか、SNSなどで直接仕事を受注し取引先と交渉することで案件を獲得できる可能性があります。

メリット

  • 即時に資金調達ができる

デメリット

  • 案件獲得に労力がかかる
  • 短時間で納品する必要がある
  • 報酬額は低い

ファクタリングの活用

ファクタリングとは、フリーランスがクライアントに対して発行した請求書(売掛金)を、ファクタリング会社に売却することで売掛金の支払期日前に現金化する金融サービスのことです。

取引先の企業はフリーランスに対してではなくファクタリング会社へ報酬支払を行い、ファクタリング会社は手数料を取るというシステムになっています。

メリット

  • 即時に資金調達ができる
  • 担保や保証人などが不要

デメリット

  • 手数料を取られる
  • 取引先からの信用低下のリスク

親族や知人からの利息が発生しない借り入れ

周囲の人から資金を集めるのも一つの手段です。借りる際には、資金が必要な理由と返済のスケジュールをきちんと伝え、信頼を損ねないように計画通りに返済を行いましょう。

メリット

  • 低金利、無利息で借りられる
  • 審査が不要

デメリット

  • 関係性が悪化するリスク
  • 精神的なプレッシャー

クレジットカードのリボ払いの活用

リボ払いとは「リボルビング払い」の略で、クレジットカードの利用金額に関わらず毎月の支払金額が一定になる仕組みのことです。

短期的には支払額を軽減できるシステムですが、長期的にみると全体の支払い額は増加します。利用する際には返済計画をしっかり立てておくことが大切です。

メリット

  • 月々の返済額が安定する
  • クレジットカードのポイントがたまる

デメリット

  • 金利が非常に高い
  • 返済が長期化する

ビジネスローンの活用

ビジネスローンとは、事業資金専用のローンのことで法人経営者や個人事業主が申し込むことができるものです。銀行のビジネスローンやノンバンクのローンなど様々な選択肢があります。

手軽に手続きができる反面、カードローンと同じように利率が高い傾向にあります。

メリット

  • 短期間で資金を調達できる
  • 担保や保証人が不要
  • 高額な融資を受けられる

デメリット

  • 金利が高い
  • 審査が厳しい場合がある

クライアントとの前払い交渉

ファクタリングは仲介会社を通して前払いを受け取るシステムでしたが、クライアントと直接交渉することで前払いにしてもらうことも可能です。

しかし、クライアントからの信頼を低下させないためにも、突然交渉をするのではなくて契約更新時など節目のタイミングで提案をし、前払いを希望する理由を明確に伝えましょう。

メリット

  • 資金繰りの安定化

デメリット

  • 取引先からの信頼低下のリスク

消費者金融での個人での借り入れ

消費者金融とは主に個人を対象として融資を行う貸金業者のことです。一般的に金利がとても高いため、長期間返済に追われたり滞納するリスクが高く、本当に必要な場合に限り、消費者金融を利用するのが良いでしょう。

メリット

  • 小額からの借入が可能
  • 手続きが簡単で即日融資が可能

デメリット

  • 金利が高い
  • 短期間で返済する必要がある
  • 返済能力を超えて借り入れてしまうリスクがある

ファクタリングは短期では頼りになるが対処療法に過ぎない

ファクタリングやリボ払いなど、さまざまなシステムのおかげで短期的に資金難から逃れる手段はたくさんありますが、最も重要なのは資金難に陥らないこと。資金が不足した場合は、その理由を洗い出し、資金繰りを立て直すことが最優先です。

支出を見直す、請求書を早めに送りきちんと売掛回収する、複数の収入源を確保するなど、リスクを最小限に抑えましょう。

CHECK

・資金繰りの手段は目的によってさまざま
・メリットやデメリットを考えて計画的に使う
・金利や支払い期限などで自分の首を絞めないように注意

返せる見込みがない・利率が高い資金繰りは身を滅ぼす

無計画な借り入れは資金繰りをさらに難しくするだけでなく、最悪の場合利息が膨れ上がって返済不可能な状況に陥るリスクがあります。

会社員のように給与をもらって生活するのではなく、自分の収入で生計を立てている場合は、キャッシュフローの悪化は命取りになります。

資金の返済が難しくなった場合は弁護士や税理士など専門知識のある人に相談して冷静に解決策を見つけましょう。

借入金の元本は資金を返済しているだけで経費化できない

借入金の元本とは、金融機関や貸金業者から借りたお金の「元々の金額」のことを指します。返済する際は、利息と元本の両方を支払うことになりますが、元本は実際に借りた金額そのもののことです。

フリーランスが借り入れを行う際、元本の返済自体は経費にはなりませんが、借入金に対する利息は経費として計上することができます。

フリーランスが資金調達の審査で本当に見られるポイント

資金を借入する際は、貸し手側が借り手に資金を返済する能力があるか信用審査を行います。審査でみられるポイントは以下の通りです。

自己資金

自己資金とは、資金調達で借入をする際に自己資産から出資する金額で、自己資金がきちんとある場合審査において信用が高まります。

自己資金は貯蓄や預金の金額だけでなく、不動産や株式などの資産も含まれ、銀行の残高証明書や不動産の登記簿謄本などの提出を求められることがあります。

自己資金を増やすために、経費節約だけでなく事業の収益性アップにも注力しましょう。

返済能力

返済能力とは、借り手がきちんと資金を返済できる能力があるか判断するものです。フリーランスや個人事業主の場合、返済能力が審査において重要視されます。

返済能力を判断するには、毎月の収入が過去にさかのぼって長期的に安定しているか、無理な負債はないかを見られます。また、事業計画書において収益見込みや事業の将来性があるかも確認されるため、事業計画書には将来におけるキャッシュフロー予測や利益予測を明確に盛り込んでおきましょう。

信用情報

過去のクレジットカード利用状況、ローン有無、これまでの借入履歴などをもとに信用スコアが算出されます、信用スコアとは、金融機関に対数信頼度を数値化したもので、日本ではCIC(シー・アイ・シー)のものがよく使われます。

信用スコアが高いほど、返済能力が高いと判断され、資金調達がしやすくなります。

担保の有無

担保とは、資金が返済不能などになった場合の保証とするものです。不動産や車、工場などの設備、株式や証券などが該当しますが、フリーランスで担保を提供することが難しい場合は保証人を立てるなどの手段を使うこともあります。

CHECK

・返せる見込みのない借入はやめよう
・借入金の元本は経費にできない
・フリーランスの資金調達の審査は厳しい

そもそも資金繰りを不要にすることが正義

フリーランスであっても借入は可能ですが、理想的には借入をせずに資金繰りをするのがベストです。きちんと計画を立て、お金の流れを予測を立てておくことが必要になります。

収支管理の徹底とCF表の作成で見通しを立てる

収入と支出のタイミングを明確にし、事業運営における資金の流れを把握するためにキャッシュフロー表(CF表)を作成しましょう。

本来のキャッシュフロー表は貸借対照表と損益計算書をもとに作成するものと言われていますが、月ごとの収入、支出、現金の残高を見える化できれば良く、会計ソフトで手軽に作成できます。キャッシュフローを把握して収支管理を徹底することで安定的に事業を運営することができます。

経費という魔法の言葉にとらわれて浪費をしない

「経費で落とすとお金が戻ってくる」とよく言われますが、なんでもかんでも経費で落とすことはできません。フリーランスの経費で認められるものはオフィス費用、光熱費、通信費、広告宣伝費など事業に必要な支出のみが対象となります。

事業に直接関係しないプライベートの支出が経費に含まれている場合、税務署から指摘されるリスクがあります。

売上が急減しないように取引先を複数社分散しておく

フリーランスになったら取引先は複数社に分けるというのは鉄則。1社のみに依存している場合、急に案件が減少したり、打ち切りになった場合に収入が急減します。

取引先を複数社持つことでリスクを分散させ、収入を安定させることができます。

無理のない正しい節税でとにかく手取りを残す

収入を増やして正しく管理するだけでなく、無駄な支出を抑えるのも大切な資金管理です。節税対策はその最たるもの。所得控除の申請、青色確定申告を利用する、経費を見直すなどできることは全て行いましょう。

CHECK

・資金繰りを不要とすることが理想の状態
・キャッシュフロー表で収支管理を行う
・収入源を複数持つ、節税をするなども大切

事業運営において最も重要なのは、資金繰りが必要な状況を避けることです。計画的な収支管理を行い、無駄な支出を避け、複数の収入源を確保することでリスクを最小限に抑えられます。計画的な収支管理で安定した事業運営を心がけましょう。

【テンプレDL】フリーランスのリスクを減らす契約書|受発注管理・納期確認・クライアント対応のポイント

フリーランスとして働くうえで、受発注に関する契約の知識は必須です。しかし、独立したばかりだと「どんな契約書が必要?」「この契約書で大丈夫?」と不安が多いですよね。

そこで今回は、受発注契約に関する情報を解説します。正しく契約してトラブルを回避できるよう、しっかり参考にしてください。

フリーランス法の施行開始。フリーランスに求められる契約管理

2024年11月から、フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス新法)が施行されています。これは、フリーランスと発注事業者の取引を適正化し、フリーランスの就業環境を整えるために作られました。

これまで発注事業者から理不尽な扱いを受けることが多かったフリーランスですが、より適切な状態で仕事ができるようになっています。

この法律でポイントとなっているのが、契約書です。どのような内容を、どのような報酬で行うのかなど事前に明らかにしなくてはなりません。

まだ自分で契約書を作ったことがない方は、フォーマットを活用すると必要な項目をしっかり包括できるのでご参照ください。

フリーランス新法とフリーランスの働き方

フリーランス新法では、フリーランスの働き方について定められています。特に契約書周りについての内容が定められているので、契約を結ぶ前に確認しておきましょう。

フリーランス新法で契約は書面で、報酬は60日以内に

フリーランス新法では、契約を書面で結ぶように定められています。これまで口頭で依頼したり、チャットで概要を送ったりするだけというケースも多かったのですが、後から「聞いていた話と違う」とトラブルにならないよう、契約書で業務内容や納品方法、報酬額、支払い条件などを明らかにします。

また、「依頼されたものを納品したのに、報酬が振り込まれない」と訴えるケースも多くありました。そのため、フリーランス新法では報酬は納品から60日以内に振り込むよう定められています。

業務委託契約の働き方の種類

業務委託契約には、委任契約、準委任契約、請負契約の3つの働き方があります。それぞれの特徴について解説します。

委任契約

委任契約とは、民法第643条で「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」と定義されています。法律行為とは、裁判を起こす手続きや納税などを指します。法律行為完了時に報酬が発生し、成果物の完成責任はありません。

準委任契約

準委任契約は、法律行為ではない事務の委託を指します。例えばデザインの制作やアプリ開発などが当てはまります。事務完了時に報酬が発生し、成果物の完成責任はありません。

請負契約

請負契約の定義は、民法第632条で「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」と定められています。

報酬の基準は成果物であり、引き渡しをした段階で報酬が発生します。成果物の完成責任がある点も、特徴の一つです。

偽装請負に注意。トラブルがあればフリーランス・トラブル110番に相談

フリーランスの業務依頼では、内容が偽装されるケースもあります。仕事をもらう立場として指摘するのは難しいかもしれませんが、少しでもおかしいと思ったら事前に相手と話し合いましょう。

もし話し合いが上手くいかなければ、フリーランス・トラブル110番に連絡してみてください。専門知識を持った弁護士に無料で相談ができ、和解に向けて相手方へのコミュニケーションなども任せられます。

CHECK

・フリーランス新法では、契約を書面で結ぶことや報酬を60日以内に支払うことなどが定められている
・業務委託契約には、委任契約、準委任契約、請負契約の3種類がある
・もしトラブルにあったら、フリーランス・トラブル110番への相談がおすすめ

契約書が発行されるまでは、仕事に着手しないでください。契約書を交わさないままでは、納品しても報酬が払われなかったとき、逃げ切られてしまう可能性があります。

「仕事を始めるのは、契約書を巻いてから」「何かあったらフリーランス・トラブル110番に連絡する」を鉄則にしましょう。

どんな関係性でも契約書を必ず締結してから仕事に取り掛かる

付き合いが長いクライアント相手だと「変なことはしないだろう」と思ってしまうかもしれませんが、過去100回問題なくやり取りできても、次もまた上手くいくとは限りません。何かあったときに損をするのはフリーランス側なので、必ず先に契約締結してください。

フリーランスが業務委託契約を行う手順と注意点

どのように業務委託契約を進めればいいか、手順と注意点を解説します。

守秘義務を管理する秘密保持契約書(NDA)を結ぶ

まずは、NDAを結びます。これは秘密保持に関する契約書で、仕事で知りえた情報を第三者に漏らさないことが求められます。詳細については、下記をご覧ください。

業務委託の役割・役務を定義する基本契約・個別契約書を結ぶ

次に、基本契約を結びます。基本契約では、どのような仕事を、いつまでにするか。報酬はどれくらいで、いつまでに支払うかなどが定められます。

業務委託基本契約書

業務委託基本契約書は取引全体のベースとなるもので、仕事概要などが掲載されています。契約を更新する場合も、この中身はほとんど変わりません。

業務委託個別契約書

業務委託個別契約書はその時の仕事内容について個別に指定するもので、業務の具体的な内容などが示されます。業務内容が変わると、契約書の文言も変更されます。

契約書は電子帳簿保存法の対象。契約書は電子締結・電子管理する

フリーランスが結ぶ契約書は、電子帳簿保存法の対象となっています。紙ではなく、デジタルで保存するようにしましょう。

電子保存はフリーランスにも義務がある

電子帳簿保存法では、契約書を含む税務関係書類を紙ではなくデータで保存することを定めた法律です。フリーランスも対象となっており、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」のいずれかで保管しておかなくてはなりません。

電子契約サービスで契約管理を行うとスムーズ

契約書を毎回データ化するのは面倒なため、電子契約サービスの利用をおすすめします。こういったサービスは、いつ、何に合意したかを証明するタイムスタンプを押せるため、電子保存法に対応しています。書面契約よりスピーディに対応でき、コンプライアンスの強化にもつながるのでおすすめです。

請求管理も電子管理が義務付けられる時代に

契約書だけでなく、請求書もデータ化しましょう。日付や仕事内容、報酬金額などがわかるようにしておいてください。請求書には、氏名と取引年月日、取引内容、税込みの金額、事業者氏名が必要となります。

見積もり・発注書・請求書とインボイス制度

インボイスに登録すると、見積書や発注書、請求書も保存しなくてはなりません。これらは7年間の保存義務があるので、途中で破棄しないよう注意してください。

あちこちに保管しているとわからなくなるため、DropboxやBoxなどの電子ストレージと契約しておきましょう。

一気通貫できる受注管理システムで会計を簡単に

契約書などの最も便利な管理方法は、受注管理システムの導入です。すべてのお金の動きを管理できるため、整理もしやすく税務関係の書類もスムーズに作れるようになります。初めのうちはエクセルなどで管理することも多いかもしれませんが、報酬金額や契約相手が増えてきたらぜひ導入を検討してください。システム導入のメリットなどは下記で解説しています。

CHECK

・電子帳簿保存法に基づき、フリーランスは請求書などを電子保存しなくてはならない
・電子契約サービスを使うと契約書の管理がしやすくなる
・契約が増えてきたら受注管理システムの利用がおすすめ

数あるサービスで自分に合った契約関連サービスを選ぶには?

電子契約サービスや受発注管理サービスは様々な商品があるため、どれを選べばよいか悩んでしまうかもしれません。そこで、それぞれのおすすめをご紹介します。

電子契約サービスはクラウドサインがおすすめ

電子契約サービスは、クラウドサインを使ってみましょう。国内シェアナンバーワンで、メール認証と2段階・2要素認証を採用しているためセキュリティレベルが非常に高いです。書類インポート機能があるため、紙で締結した契約もPDF化して保管できます。

受発注管理サービスはfreee会計 or マネーフォワードクラウドがおすすめ

受発注管理サービスはfreee会計かマネーフォワードクラウドがおすすめです。どちらも案件管理だけでなく、確定申告書類の作成にも対応しています。改行書類の作成から、月々の経費管理までできます。また、毎月の締め作業も簡略化されるでしょう。

フリーランスにとって、受発注契約をしっかり管理することは非常に重要です。法律に則って正しい方法で契約書を作ったり書類を管理したりしないと、思わぬところで違法行為をしてしまうかもしれません。

また、クライアントとのトラブルを避けるためにも口頭やチャットなどでの約束は避け、書面に落とすことは必要不可欠です。これからフリーランスになる方は、ぜひスキルアップだけでなく契約まわりについても準備をしてください。

フリーランスのクラウドソーシングとエージェントの使い分け|単価・難易度別に選び方と案件獲得のコツ

フリーランスとしてデビューした方の悩みと言えば、「どうやったら仕事を獲得できるんだろう?」「思うように案件が増えない……」といったことではないでしょうか。仕事が少ないと、今後の生活が不安になってしまいますよね。

そこで今回は、フリーランスのために案件獲得サービスをどう使うべきかについてご紹介します。クラウドソーシングとエージェントのどちらがおすすめか、どのように活用すべきか具体的に解説するのでぜひご覧ください。

クラウドソーシングとエージェントどちらを使うべき?

結論から言うと、クラウドソーシングとエージェントは両方の併用をおすすめします。というのも、この2つはそれぞれメリット・デメリットが異なり、自分のスキルやステイタス、求める案件によって使い分けができるからです。

「自分はクラウドソーシングしか使わない」「エージェントだけで仕事を得たい」と決めてしまうと、案件獲得の可能性を能性を狭めてしまいかねません。案件の見つけ方にはこだわりすぎず、獲得した案件の仕事内容にこだわるようにしましょう。

とはいえ、クラウドソーシングもエージェントもサービスの種類が多く、「どれを使えばいいんだろう」と悩んでしまうかもしれません。そんな時はまずは全体的なイメージをつかむことが大切なので、カオスマップを参考にしてみてください。

フリーランスのクラウドソーシング活用

フリーランスとしてクラウドソーシングをどう活用すべきか、向いている人やおすすめのサービスなどをご紹介します。

クラウドソーシングに向いている人

クラウドソーシングに向いているのは、フリーランスとしてデビューしたばかりの方や、これからデビューするために腕試しをしたい方です。エージェントの案件と比べると初心者向けのものが非常に多く、実績がなくてもチャレンジできます。

また、報酬はそれほど高くなくてもよいのでとにかく経験を積みたい方にもおすすめです。今後、高単価案件を獲っていくにはポートフォリオを作ることが必要なので、「実績作りのためなら、安価で簡単な案件をたくさんこなしていきたい」という方はぜひ登録しましょう。

登録しておくべきクラウドソーシングサービス

まずおすすめのクラウドソーシングが、Lancersです。2008年に日本で初めてクラウドソーシングサイトを立ち上げたいわば老舗で、業界のリーディングカンパニーとして活躍しています。

案件数は19,550件と多く(2025年2月時点)、手数料は契約金額の16.5%です。実績に応じてランク制度が設けられているので、仕事をすればするほど次の案件が舞い込みやすくなります。

次におすすめなのが、CrowdWorksです。案件数は13,017件あり、672万人のワーカーが登録しています(2025年2月時点)。

手数料は10万円以下の部分が20%、10万円~20万円の部分が10%、20万円超えの部分が5%と少し複雑ですが、高い案件を獲得すればより多くの取り分を確保できます。

スキルの安売りだけは絶対にしない

初心者OKで求められるハードルが低い案件は、報酬も内容に準じて安くなります。デビューしてすぐの間は、実績作りのためにそういったものを請け負うのは良いでしょう。

しかし、「これではほとんどタダ働きになってしまう」といった案件を受けて自分のスキルを安売りすることだけは避けましょう。クラウドソーシングでは多くの案件が一覧で表示されるため、他と比較して突出して安いものには手を出さないでください。

ほかにも、クラウドソーシングを上手く活用するポイントはいくつかあります。これから登録しようと思っている方や、まだ登録したばかりの方はぜひ情報を集めてみてください。

CHECK

・クラウドソーシングはデビュー間もないフリーランスにおすすめ
・初めはLancersとCrowdWorksに登録するとよい
・簡単で低単価の案件を受けるのはよいが、スキルの安売りはしない

初めのうちは「どのサービスに登録しよう」「どこを選べばいいんだろう」と悩むかもしれませんが、とにかくまずは登録してください。

登録にお金はかかりませんし、使ってみなくては自分にどのサービスが向いているかはわかりません。ただ悩んでいるだけでは絶対に案件を獲得できないので、「まず動いてみる」というフリーランスとして必要な心構えを実行しましょう。

駆け出しフリーランスの実績作りにクラウドソーシングを積極活用

フリーランスとしてデビューしたばかりだと、実績がなく案件が獲りにくいです。そのため、クラウドソーシングを活用してまずは一つ実績を作ってください。

どんどん増えていくうちに案件が獲りやすくなりますし、より高単価なものにも挑戦できるスキルが身につきます。

フリーランスのエージェント活用

フリーランスとしてエージェントをどう活用すべきか、向いている人やおすすめのサービスなどをご紹介します。

エージェントに向いている人

エージェントに向いているのは、フリーランスとして実績を積みスキルを身につけた方です。クラウドソーシングと比べて高単価な案件が多い一方、応募ハードルが高い傾向にあります。

フリーランスとしての実績がなくても、社員時代のポートフォリオが見せられればチャンスはあります。自分のスキルに自信がある方や、1年以上フリーランスとして活動して来た方はぜひ活用してください。

登録しておくべきエージェントサービス

エージェントとして有名なのが、Lancers Agentです。ITエンジニア向けの案件がメインとなり、週4日以上稼働できる案件を紹介してもらえます。

月の報酬が100万円を超える案件もあるため、収入を一気に伸ばしたい方にもおすすめです。

次におすすめなのが、レバテックフリーランスです。

過去2年で新着案件の増加率が160%となっており、クライアント企業数は1万社を超えているため、サイトを見る度に新しい案件を見つけられます。リモート案件も多く、登録者の平均年収が881万円と高額な点もポイントです。

エンドクライアントとエージェント双方に喜ばれる仕事をする

フリーランスの仕事において、クライアントの満足度を高めることは重要です。仕事に納得してもらえればリピートに繋がり、安定した収入を得やすくなります。

加えて、エージェントサービスを利用した場合はエージェントから高評価を得ることも意識しましょう。エージェントは一人でいくつもの案件を抱えているため、「このワーカーなら信頼できる」と思ってもらえれば、新しいクライアントも紹介してもらいやすくなります。

エージェントは上手く利用すれば一気に収入があがるサービスです。ぜひ、ポイントを押さえてしっかり活用してください。

CHECK

・エージェントはクライアントに提示できる実績がある人に向いている
・エージェントサービスの中では、Lancers Agentとレバテックフリーランスがおすすめ
・エージェントとエンドクライアントの両方に喜ばれるとリピートや新しい仕事につながる

エージェントで仕事を得るには、とにかく実績が重要です。これまで参画したプロジェクトを整理し、魅力的なポートフォリオを作りましょう。

案件獲得の際はエージェントに相談し、過去の実績の中でもどういった点を特にPRすべきか確認すると、クライアントに好印象を残しやすくなります。

案件獲得のコツは何でどういう貢献ができる人材か。明確に打ち出す

クライアントには、「こういう人に来てほしい」という要望があります。あなたがその人材として適切かどうか判断できなければ、仕事は依頼されません。

自分の積み重ねてきた実績と合わせて、どんなスキルがありどのような仕事ができるかをしっかりアピールしましょう。

また、エージェントはクラウドソーシングよりも職種に特化しているサービスが多いです。自分の職種にはどんなエージェントサービスがあるのか、事前に確認することで無駄を省けます。

数あるサービスで自分に合ったサービスを選ぶには?

クラウドソーシングもエージェントも、数多くの種類があります。その中で自分にあったものをどうすれば選べるのか、どうすれば上手く活用できるのか、ポイントを解説します。

実際に案件が多くライバルが少なく、受注確率が高いサービスを選ぶ

1つ目のポイントは、案件数の多さです。案件の数が少ないと選択肢が狭まり、自分にあった仕事を見つけにくくなってしまいます。全体の案件数ではなく自分の応募したい職種の案件がどのくらいあるかチェックしましょう。

2つ目のポイントは、ライバルの少なさです。クラウドソーシングは他にどのくらいのユーザーが応募しているか見ることが多いので、なるべく応募数が少ないものを選んでください。エージェントの場合は、他に何人くらい候補者がいるか聞いてみてください。

3つ目のポイントは、受注確率の高さです。クラウドソーシングでは、過去の受注履歴を見ることができます。発注だけ出して実際にワーカーが確定しないままになっている案件が多いクライアントは、おすすめできません。

サービスの併用もOK。ただし実稼働のチャネルは絞る

4つ目のポイントは、実稼働のチャネルを絞ることです。基本的にクラウドソーシングもエージェントも登録は無料なので、たくさん見てみてください。しかし、実際に使うのは2つか3つくらいに絞るとよいでしょう。あまりに多すぎるとどのサービスのどの案件が動いているか管理しにくくなり、抜け漏れが発生しやすくなります。

サービス選びに困ったら、ぜひ以下のカオスマップを参考にしてみてください。

今回は、フリーランスの仕事探し手段について解説しました。まずはクラウドソーシングから始めて、実力と実績がついてきたらエージェントを利用しましょう。どちらを使うときも、まずは色々なところに登録してみて、自分が使いやすいと思ったサービスを2~3種類に絞りしっかりと活用していきましょう。

フリーランスの節税につながる経費計上|具体例で経費にできる・できないの判断基準や注意点を解説

フリーランスは税金の手続き等も全て自分でしなくてはなりません。経費を上手に活用することで、節税に繋がるので経費はきちんと管理しましょう。

頑張って稼いだ収入から、できる限り税金で引かれる金額を減らすようにするのが節税対策で、フリーランスとして上手く対処したいところです。正しい知識と適切な対処法を知り、確定申告を節税のチャンスとして活用できると良いですね。

フリーランス活動にかかる税金の仕組み

フリーランスは個人事業主として、所得税、消費税、住民税、個人事業税などの税金を自分で管理・納税します。なかでも所得税は確定申告によって毎年申告が必要なものです。

所得税は、「年間の総収入から必要経費を差し引いた所得」に対して課税されるため、経費の管理が非常に重要になってきます。

収入から必要経費や各種控除を引いた課税所得に税金がかかる

所得税は稼いだ売上額ではなく、利益の額に対して課税されます。「総収入(売上)」「経費」「控除」「事業所得(利益)」それぞれの違いを理解することで上手く節税対策しましょう。

  • 総収入(売上)= 仕事の報酬で受け取る金額
  • 経費= 事業に関連する支出
  • 控除=基礎控除、扶養控除、医療費控除など
  • 事業所得(利益)= 収入-経費
  • 課税所得= 所得-所得控除

正しい経費計上で節税につながったり還付金が返ってくる

還付金とは、確定申告で必要よりも多くの税額を払っている場合に税務署から過剰分を払い戻しされることです。事業に関する経費を適切に計上することで課税所得が減り、過剰に支払った税金が還付されることがあります。

CHECK

・フリーランスは納税も自分で行わなければならない
・「総収入(売上)」「経費」「控除」「事業所得(利益)」の違いを理解しておこう
・正しい経費計上で節税につながったり還付金が返ってくる

フリーランスの経費の原則は業務上利用したものだけに適用される

なんでもかんでも経費に出来るわけではなく、業務に直接関連する支出のみ経費として扱えます。不適切な経費計上は税務署から指摘される可能性もあるため気を付けましょう。

売上や収入がなくても経費があるなら確定申告で計上可能

フリーランスの場合、売上や収入がなくても経費があれば確定申告で計上することができます。申告しておくことで、青色申告特別控除の適用など、将来的に利益が出たときにメリットを得られるためです。

フリーランスが計上できる勘定科目と経費になる例・ならない例一覧 

用途 科目 計上できる例計上できない例
事業関連外注費営業やマーケティング関連業務などの外注料金やライターやデザイナーへの報酬家事代行など業務とは無関係な代行
 広告宣伝費インターネット広告、チラシ広告、SNSやインフルエンサーとのコラボ費用や名刺作成費用など
 通信費事業用の電話代、インターネット代、モバイル通信費用家の固定回線など業務では使わないもの
 事務用品費事務所で使用する文房具や消耗品、コピー用紙などプライベートで利用するもの
 消耗品費電池、事務用品など業務で使うものプライベートで利用するもの
 接待交際費クライアントとの打ち合わせカフェ代や会食費、贈答品業務に関係ない飲食代
 交通費業務に関連する電車代やタクシー代、ガソリン代個人的な移動の交通費
 旅費交通費出張費用としての飛行機や新幹線、宿泊費用個人的な観光などの費用
オフィス関連家賃事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 光熱費事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 保険料事業用の損害保険や生命保険事業主自身の保険料
 設備投資パソコンやオフィス家具、カメラ機材など、事業に必要なものプライベートで利用するもの
 ソフトウェア費用業務で使用するソフトウェアの購入費用やサブスクリプション費用プライベートで利用するもの
人件費給与社員やアルバイトへの給与
 社会保険料雇用保険や健康保険、年金などの社会保険料
教育・研修関連研修費業務やスキルアップに関連する研修やセミナーの参加費用
 書籍費業務に役立つ書籍や資料購入代金個人の趣味で購入したもの

場合により経費にできる業種や職業によっても変わる費用の例一覧

  • ライター:取材での飲食代や、サービスの体験利用料など
  • フォトグラファー:カメラやレンズなどの購入費、撮影スタジオの利用料
  • デザイナー:デザインツールのソフトウェアライセンス料
  • Webデザイナー:サーバーレンタル費やクラウドサービス利用料

経費として計上できるかどうか迷いやすい費用の例

 項目計上できる場合計上できない場合
バッグ仕事で使うバッグプライベートで使うバッグ
手帳スケジュール管理など業務で使用しているもの日記など業務に関係なく使っているもの
スーツ取引先に訪問したり、業務内で着用する服仕事の際には着用しないプライベートのもの
タクシー代業務内での利用。行先やその目的など利用履歴を残しておくと良い休日の利用や旅行時などに利用したもの
車のガソリン代業務内での利用。行先やその目的など利用履歴を残しておくと良い休日の利用や旅行時などに利用したもの
カフェ取引先との打ち合わせや作業のための利用個人的な利用
保険料国民健康保険は計上できる自身の生命保険料は計上不可
病院の治療費なし治療費は一定額以上で「医療費控除」の対象

CHECK

・不適切な経費計上は税務署から指摘される可能性もある
・売上や収入がなくても経費があれば確定申告で計上できる
・業種や職種、状況によって経費として計上出来るものと出来ないものがある

個人事業主やフリーランスの経費は家事按分が可能

家事按分(かじあんぶん)とは、フリーランスが自宅で仕事をしている場合など、仕事とプライベートの両方で使っているものを仕事で使用している割合と家庭で使用している割合に分けて経費計上することです。

按分の計算方法としては、利用しているスペースの「面積」で計算する方法や、使っている「時間」の割合をもとに計算する方法があります。

自宅オフィスの場合は家賃や光熱費・通信費などの一部を経費に計上できる

フリーランスの家事按分経費の対象となるものの例は、家賃、水道光熱費、通信費、交際費、交通費などが挙げられます。それぞれ仕事で使用している割合と家庭で使用している割合に分けて経費として計上します。

家事按分の勘定科目と家事按分の仕訳の例 

①家賃を家事按分する場合の仕訳例

家賃10万円、床面積が100㎡の家のうち、25㎡の部屋をオフィスとして事業用で利用している場合

按分計算(面積):按分の割合は25÷100=25%

仕訳の入力方法

事業として使った分を「地代家賃」、プライベートとして使った分を「事業主貸」で記入

 日付借方貸方
地代家賃 25,000普通預金 100,000
 事業主貸 75,000

②インターネット代を家事按分する場合の仕訳例

1ヶ月のインターネット使用料が15,000円、毎月200時間仕事をしてネットを使っている場合

按分計算(時間):按分の割合は200÷720(1ケ月あたりの時間)=28%

仕訳の入力方法

勘定科目「通信費」と、プライベート分を「事業主貸」で記入

 日付借方貸方
通信費 4,200普通預金 15,000
 事業主貸 10,800

生活費を何でも経費にしてしまうと怪しまれて税務調査の対象に

経費として計上できるのはフリーランスとして売上をあげるために支出した費用のみです。私的な生活費や個人的な支出などなんでも経費で落とそうとすると税務署からの指摘を受けたり、ペナルティを課せられる可能性もありますので、十分に注意しましょう。

CHECK

・個人事業主の経費は家事按分が可能
・家賃、水道光熱費、通信費、交際費、交通費などを按分できる
・生活費のすべてを按分できるわけではないので注意

経費にできるかどうか迷ったときの判断基準

経費になるかならないかには、はっきりとした線引きがなくあいまいです。フリーランスが経費として計上できるかどうか迷った場合、以下の判断基準を参考にすると良いでしょう。

事業との関連性があるか

業務上必要なパソコンソフトやツール、電話や、デザイナーの場合はデザインツールなど、それがないと仕事ができないものかどうか、で判断します。

個人的な支出ではないか

フリーランスの場合、どこまでが経費でどこまでがプライベートか迷うことが多くあります。自宅オフィスなどプライベートと共通して使っている場合は按分して経費計算をします。

家族の旅行代や個人の趣味の買い物などはくれぐれも計上してはいけません。

経費として常識の範囲内の金額であるであるか

事業規模に対して適切な割合かどうか、という視点も重要です。大量の備品購入や高級車の利用など、過剰な支出は避けましょう。

税務署から指摘を受けた際に説明できるか

経費として計上するためには領収書、請求書、振込明細書など証拠として示せる書類が必要です。税務署から指摘を受けた際に、それらの経費が事業に関連していることを説明できるようにしておきます。

経費の割合が50%を超えないか

フリーランスの売上に対する経費の割合は50%前後が目安です。上限が定められているわけではありませんが、経費の割合が高過ぎると税務からの調査が入る恐れがあります。

CHECK

・経費にできるかどうかの明確な基準は定められていない
・事業を行うに必要な支出かどうかで判断する
・フリーランスの売上に対する経費の割合は50%前後が目安

経費の領収書の取り扱い方法

領収書は経費として支出をした証明をするために欠かせない書類であり、税務署から決められたルールに基づいて管理をしなければなりません。

領収書は7年間保存が義務に

個人事業主の場合、領収書の保管期限は原則7年間と定められています。紙と電子のそれぞれ、なくさない保管方法で保存しておき、税務署から求められた際にいつでも開示できるようにしておきます。

領収書を紛失した際は出金伝票を用意しておく

領収書が見当たらなくなった場合は、代替証拠となるものをそろえる必要があります。その際に使えるのが出金伝票です。

出金伝票とは取引に関連する支払内容を記録する書類で、領収書が発行されない取引の際に使われるものですが、領収書の代わりとして使うこともできます。

あくまで領収書やレシートがない場合の代替方法なので、多用は避けましょう。

経費計算アプリでこまめに電子データで管理をしておく

会計ソフトのアプリや経費管理アプリを使うと、電子取引データの自動取り込みやレシートのスキャン機能を使い経費データの管理を手軽に行うことができます。ツールを活用して効率的に経費処理が出来て便利です。

CHECK

・領収書は経費として支出をした証明をする大切な書類
・経費の領収書は7年間保存する義務がある
・経費計算アプリを活用してうまくデータ管理を行おう

フリーランスが経費を計上する際の注意点

フリーランスが経費を計上する際に注意することとしては、まずプライベートとの線引きが大きなポイントになります。

自宅オフィスやインターネット料金は按分して業務利用分のみを経費として計上しましょう。

電子取引の領収書やレシートは電子データのまま保存

紙での領収書だけでなく、近年では電子領収書としてPDFファイルや画像データで領収書を受け取ることも多くなっています。

電子領収書が改ざんされていないことを証明するために、受け取った電子領収書はそのままのかたちで保存が必要です。

経費計上に誤りがあり脱税とみなされると重いペナルティに

申告漏れや不正確な申告をしたとみなされた場合はペナルティが課されます。

過少申告加算税

税額を納めるべき金額よりも過少に申告したと判断された場合にその差額に対して課される追加の税金。

重加算税

”故意に”税額を少なく申告した場合に課される税金。過少申告加算税よりも高い税率が課されます。

経費・確定申告など税務に関する相談は迷わず税理士へ

フリーランスだからと言って経費処理や確定申告をすべて自分でしなければならない訳ではありません。大きなトラブルを防止するために、不安なことや分からないことがあれば税理士に相談すると良いでしょう。

CHECK

・フリーランスが経費を計上する際にはプライベートとの線引きがポイント
・電子取引の領収書やレシートは電子データのまま保存する
・わからないことは気軽に税理士に相談しよう

フリーランスが事業をうまく回すためには経費のポイントをしっかり押さておくことが非常に大切です。どこまでが経費の対象になるのか、家事按分の割合など、あとから指摘を受けることがないようにうまく管理して計上しましょう。

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