法人化の分岐点!合同会社と株式会社、あなたの未来を左右する選択

フリーランスとして活動している方が法人化を検討する際、最初に悩むのが「合同会社」と「株式会社」のどちらを選ぶべきかという点です。法人化には節税や社会的信用の向上といったメリットがありますが、会社の形態によって設立費用や運営の仕組みが異なります。

本記事では、合同会社と株式会社の違いを比較し、それぞれに適したケースを解説します。自分の事業に最適な法人形態を選ぶための参考にしてください。

法人化を検討する際は、初期費用や運営の柔軟性を重視する場合は合同会社を、社会的信用や資金調達の可能性を優先する場合は株式会社を選ぶべきです。事業の規模や将来の展望を考え、最適な形態を選択しましょう。

フリーランスが法人化で得られるメリット

法人化することで、フリーランスには多くのメリットがあります。

節税効果が期待できる

フリーランスが法人化するメリットとして最も重要なのが「節税効果」です。個人事業主と比較して、法人化することでさまざまな税制上の優遇措置を活用できるようになります。法人化による節税効果は、主に以下の4つに分けることができます。それぞれの特徴を理解して、効率的な資金運用に役立てましょう。

【役員報酬を経費に計上できる】

フリーランスが法人化すると、自身を役員として給与(役員報酬)を支払うことができます。この役員報酬は法人の経費として計上でき、法人税の課税対象となる利益を減らせます。

【経費の幅が広がる】

個人事業主として認められにくい経費も、法人であれば計上しやすくなります。たとえば、接待交際費や福利厚生費などが該当します。

【長期間にわたって欠損金の繰越控除を受けられる】

法人は赤字(欠損金)を最大10年間繰り越すことができ、将来の黒字と相殺できます。個人事業主の場合は3年間のため、長期的な節税計画が立てやすくなります。

【消費税の納付を2年間免除される】

新設法人は設立から2期間、原則として消費税の納税義務が免除されます。これにより、事業開始時の資金繰りが楽になります。

社会的信用を獲得

法人化することで、取引先や金融機関からの信頼度が高まります。特に大企業との取引では、法人であることが取引条件になっているケースもあります。

有限責任にできる

株式会社も合同会社も有限責任制度を採用しているため、万が一事業が失敗しても、出資額以上の責任を負わなくて済みます。個人事業主の場合は無限責任であり、事業の債務に対して個人の財産まで責任を負うことになります。

決算期を選べる

法人は決算期を自由に設定できるため、繁忙期を避けて決算業務を行うことができます。

CHECK

・節税効果があり、役員報酬や経費計上の幅が広がる
・社会的信用が向上し、取引先や金融機関の信頼を得やすい
・責任が限定され、個人財産への影響を抑えられる

フリーランスが法人化するベストなタイミングは?

法人化のタイミングについては、以下のポイントを考慮すると良いでしょう

  • 年間の所得が300万円を超えてきた時
  • 将来的に事業拡大を考えている時
  • 大手企業との取引が増えてきた時
  • 複数人でのビジネス展開を視野に入れている時
  • 個人の資産を守る必要性を感じ始めた時

合同会社・株式会社どちらを選ぶべきか

株式会社がおすすめのケース

株式会社は、株式を発行して資本を集め、株主と経営者が分離可能な会社形態です。

おすすめのケース

  • 将来的に事業拡大や上場を目指している
  • 外部から資金調達をする予定がある
  • 社会的信用度を最大限に高めたい
  • 従業員を多く雇用する予定がある
  • 株式による事業承継を考えている

合同会社がおすすめのケース

合同会社は、2006年の会社法改正で導入された比較的新しい会社形態で、出資者(社員)が経営に参加する形態です。

おすすめのケース

  • 少人数での経営を予定している
  • 設立・運営コストを抑えたい
  • 経営の自由度を高く保ちたい
  • 当面は小規模での事業展開を考えている
  • 内部留保を増やしたい

株式会社と合同会社の特徴をまとめた表がこちらです。

株式会社合同会社
設立費用高コスト(登録免許税15万円など)比較的低コスト(登録免許税6万円など)
運営の柔軟性取締役会や株主総会など、法定の機関設置が必要で手続きが複雑出資者全員が業務執行権を持ち、意思決定が迅速
社会的信用度高い株式会社に比べるとやや低い
利益配分原則として出資比率に応じて配分出資比率に関係なく、自由に設定可能
資金調達株式発行により広く資金調達が可能出資者からの増資が主な手段
決算公告義務ありなし

設立ハードルの違い

株式会社と合同会社を設立する際には、手続きや費用面で大きな違いがあります。これらの違いは、特に創業初期の資金が限られているフリーランスや小規模事業者にとって重要な検討材料となります。

株式会社の設立には、公証人による定款認証が必須で約5万円の手数料がかかります。設立登記時には資本金の0.7%(最低15万円)の登録免許税が必要です。組織面では最低1名の取締役設置が義務付けられており、場合によっては取締役会や監査役の設置も検討する必要があります。

一方、合同会社は定款認証が不要で、その分約5万円のコスト削減になります。登録免許税も最低6万円と低額です。組織構造も「業務執行社員」の設置のみで十分なため、運営負担が軽減されます。

運用ハードルの違い

株式会社と合同会社は設立時のハードルだけでなく、設立後の運用面においても重要な違いがあります。長期的な事業運営を考える上で、これらの違いを理解しておくことは非常に重要です。

株式会社は年一度の株主総会開催が義務付けられ、議事録作成・保管も必要です。取締役会や監査役などの機関設置も可能ですが、運営コストが増加します。計算書類の公告義務があり、役員変更時には法務局での登記手続きが必要です。

合同会社は社員総会開催の法的義務がなく、出資者間の合意で意思決定できます。組織構造がシンプルで運営コストを抑えられます。多くの場合、計算書類の公告義務もありません。

業務執行社員変更時には登記手続きが必要ですが、通常は役員数が少ないため変更頻度も低くなります。

CHECK

・株式会社は株式発行で資金調達が可能で社会的信用度が高い
・合同会社は少人数経営に適し設立・運営コストが低く柔軟性が高い
・設立時の手続きと費用は株式会社が複雑高額、合同会社が簡素低額

会社形態を決めるときのポイント比較

会社形態を選ぶ際は、設立費用や運営のしやすさ、社会的信用度など、さまざまなポイントを考慮する必要があります。それぞれの違いを分かりやすく比較できるよう、ポイント別にまとめました。

ポイント株式会社合同会社
設立コスト高い低い
運営の柔軟性低い高い
社会的信用度高いやや低い
資金調達柔軟制限あり
利益配分出資比率に応じる自由
決算公告義務ありなし

編集部記者おすすめの選択

フリーランスからの法人化を考える場合、初期段階では合同会社がおすすめです。その理由は以下の通りです。

  1. コスト面のメリット:設立費用が安く、運営も比較的シンプルで、小規模事業者には負担が少ない
  2. 経営の自由度:意思決定が柔軟で、外部からの干渉が少ない
  3. 将来の選択肢:必要に応じて後から株式会社へ組織変更することも可能

ただし、以下のような場合は株式会社を検討されるべきでしょう。

  • 事業規模が大きく、対外的な信用が特に重要な場合
  • 将来的に上場や大規模な資金調達を視野に入れている場合
  • 複数の投資家から出資を募る予定がある場合

最終的には、ご自身のビジネスプランや将来展望に合わせて選択することが重要です。税理士や専門家に相談しながら、最適な選択をされることをお勧めします。

CHECK

・株式会社は資金調達しやすく社会的信用度が高い
・合同会社は設立・運営コストが低く柔軟性が高い
・事業規模や将来展望に応じた選択が重要

合同会社と株式会社はそれぞれ特徴が異なります。法人化により節税効果や社会的信用向上、有限責任化などのメリットが得られます。

株式会社は社会的信用が高く資金調達に有利ですが、合同会社は設立・運営コストが低く柔軟な経営が可能です。事業計画や将来ビジョンに合わせて、最適な会社形態を選ぶことが大切です。

フリーランスの資金繰り術|資金繰りの基本・調達手段・現金管理の実践法

フリーランスの収入は安定していないことが多いため、計画的な資金繰りが求められます。予測できない支出や収入の変動に柔軟に対応し、事業が滞ったり生活費が足りなくなったりしないように、お金をやりくりする必要があるのです。

フリーランスにとって必要な資金調達。お金に困らないようにするためには、もしお金に困ったときはどこから借りればよいのか、まとめました。

フリーランスの資金繰りの実態

資金繰りとは、事業を継続するために必要な資金の過不足を調整することです。フリーランスの場合ももちろん資金繰りが大切であり、お金の流れを管理し、日々の支払いに必要な現金や資金を確保して事業が滞りなく回るようにしなければなりません。

外部からの借り入れなどの資金調達をイメージすることが多いかもしれませんが、日々のキャッシュフローの管理、収入と支出(生活費も含む)のバランスを保つことも資金繰りに含まれます。

資金繰りが上手くいかないと事業が継続できなくなるだけでなく、生活そのものができなくなるリスクも発生しますので、特にフリーランスにとって重要であることを知っておきましょう。

資金繰りに困っているフリーランスの割合は約3割にも

フリーランスとしての働き方を始めてから資金調達が必要だと感じた経験があると回答した割合は約3割で、そのうち実際に資金調達した経験者は約8割であった。調達手段は、「補助金・助成金」が最多だった。引用:フリーランス白書2023年

フリーランスの悩みとして収入の不安定さは常に大きな悩みの種です。フリーランスは仕事の量やクライアントの状況に左右されるため、月ごとに大きく変動する収支のやりくりがとても重要になります。

資金調達の使用用途は生活費・事業運営のつなぎがメイン

フリーランスが資金調達を行う際の使用用途は「生活費を賄うため」と「事業運営資金」が最も多いものになっています。フリーランスが安定的に収益を上げて生活を続けていくためには、計画的な生活費の管理と安定的な事業収入のバランスが重要です。

資金繰りに陥る主な原因は収支管理の甘さ・無駄な経費・売上の急減

収入が不安定なフリーランスにとって、収支管理の徹底は必要不可欠。資金繰りをしっかりと計画し、適切に資金活用することが事業の安定につながります。

収支管理とは今月の売り上げがいくらでいつ振り込まれるのか、当月の支払いはいつまでにいくら準備しておかなければならないか、きちんと把握しておくことです。

これが上手くできないとキャッシュフローが悪化し、支払い遅延や生活費が足りなくなるなどの状況に陥ることになります。

融資は事業に関連する目的のみ。本来は生活費などの個人的支出には使用NG

融資による資金調達をフリーランスが行うことは可能ですが、フリーランスの場合、資金調達手段が限られることがあります。調達資金の利用目的も事業運営に限定されることが多いです。

事業運営費の主な用途

  • 事務所の賃料や光熱費
  • 機材やソフトウェア、ツールの購入費
  • 外注費や従業員への報酬
  • マーケティング・広告宣伝費
  • 税金(消費税や所得税など)

CHECK

・フリーランスの収入は不安定
・資金調達の使用用途は生活費と事業運営がメイン
・資金繰りに陥らないように収支管理の徹底が大切

資金繰りの種類ごとの優先度とメリット・デメリット

フリーランスが使える資金繰りにはさまざまな種類があります。資金を集める目的や、自身の事業の状況に合わせて適切な手段を選ぶことが重要です。急な支払いなどに対応する短期的な調達なのか、事業拡大などのための長期的な投資なのかによってお金の集め方は変わってきます。資金調達は計画的にかつ慎重に、メリットやデメリットを考えながら進めましょう。

国や自治体のフリーランス向け補助金・助成金の活用

フリーランスの資金調達手段として最も多いのが補助金や助成金の利用です。国や自治体などがフリーランス向けに行っている補助金や助成金の制度はこまめにチェックすると良いでしょう。

メリット

・融資とは異なり返済の必要がない

・補助金を受けることで社会的な信用が向上する

デメリット

・補助金の使用用途は限定されていることが多い

・申請から実際に資金が支給されるまでに時間がかかる

日本政策金融公庫による融資

日本政策金融公庫は政府が100%出資をする金融機関で、個人事業主や中小企業を対象に様々な融資制度を積極的に提供しています。開業時に使える融資や事業拡大のための融資など、業種や用途により使える制度がさまざまなので、ホームページで確認してみましょう。

メリット

  • 一般的な銀行や金融機関に比べて低金利
  • 担保や保証人が不要
  • 返済期間が長い

デメリット

  • 申請手続きが煩雑
  • 融資額や使用用途に制限がある

信用保証協会を活用した銀行借入

信用保証協会とはフリーランスや中小企業が融資を受ける際に、借入金の返済を保証する団体のことです。地方自治体や銀行が行う制度融資を受ける際に信用保証協会の保証を受けることで融資を受けやすくなります。

メリット

  • 低金利で融資を受けられる
  • 柔軟な返済条件
  • 創業支援としても使える

デメリット

  • 保証料がかかる
  • 返済義務がある

即日払いの案件獲得

経済状況が不安定な環境下では、即日払いは魅力的です。求人サイトで即日払いや単発払いの案件を探すか、SNSなどで直接仕事を受注し取引先と交渉することで案件を獲得できる可能性があります。

メリット

  • 即時に資金調達ができる

デメリット

  • 案件獲得に労力がかかる
  • 短時間で納品する必要がある
  • 報酬額は低い

ファクタリングの活用

ファクタリングとは、フリーランスがクライアントに対して発行した請求書(売掛金)を、ファクタリング会社に売却することで売掛金の支払期日前に現金化する金融サービスのことです。

取引先の企業はフリーランスに対してではなくファクタリング会社へ報酬支払を行い、ファクタリング会社は手数料を取るというシステムになっています。

メリット

  • 即時に資金調達ができる
  • 担保や保証人などが不要

デメリット

  • 手数料を取られる
  • 取引先からの信用低下のリスク

親族や知人からの利息が発生しない借り入れ

周囲の人から資金を集めるのも一つの手段です。借りる際には、資金が必要な理由と返済のスケジュールをきちんと伝え、信頼を損ねないように計画通りに返済を行いましょう。

メリット

  • 低金利、無利息で借りられる
  • 審査が不要

デメリット

  • 関係性が悪化するリスク
  • 精神的なプレッシャー

クレジットカードのリボ払いの活用

リボ払いとは「リボルビング払い」の略で、クレジットカードの利用金額に関わらず毎月の支払金額が一定になる仕組みのことです。

短期的には支払額を軽減できるシステムですが、長期的にみると全体の支払い額は増加します。利用する際には返済計画をしっかり立てておくことが大切です。

メリット

  • 月々の返済額が安定する
  • クレジットカードのポイントがたまる

デメリット

  • 金利が非常に高い
  • 返済が長期化する

ビジネスローンの活用

ビジネスローンとは、事業資金専用のローンのことで法人経営者や個人事業主が申し込むことができるものです。銀行のビジネスローンやノンバンクのローンなど様々な選択肢があります。

手軽に手続きができる反面、カードローンと同じように利率が高い傾向にあります。

メリット

  • 短期間で資金を調達できる
  • 担保や保証人が不要
  • 高額な融資を受けられる

デメリット

  • 金利が高い
  • 審査が厳しい場合がある

クライアントとの前払い交渉

ファクタリングは仲介会社を通して前払いを受け取るシステムでしたが、クライアントと直接交渉することで前払いにしてもらうことも可能です。

しかし、クライアントからの信頼を低下させないためにも、突然交渉をするのではなくて契約更新時など節目のタイミングで提案をし、前払いを希望する理由を明確に伝えましょう。

メリット

  • 資金繰りの安定化

デメリット

  • 取引先からの信頼低下のリスク

消費者金融での個人での借り入れ

消費者金融とは主に個人を対象として融資を行う貸金業者のことです。一般的に金利がとても高いため、長期間返済に追われたり滞納するリスクが高く、本当に必要な場合に限り、消費者金融を利用するのが良いでしょう。

メリット

  • 小額からの借入が可能
  • 手続きが簡単で即日融資が可能

デメリット

  • 金利が高い
  • 短期間で返済する必要がある
  • 返済能力を超えて借り入れてしまうリスクがある

ファクタリングは短期では頼りになるが対処療法に過ぎない

ファクタリングやリボ払いなど、さまざまなシステムのおかげで短期的に資金難から逃れる手段はたくさんありますが、最も重要なのは資金難に陥らないこと。資金が不足した場合は、その理由を洗い出し、資金繰りを立て直すことが最優先です。

支出を見直す、請求書を早めに送りきちんと売掛回収する、複数の収入源を確保するなど、リスクを最小限に抑えましょう。

CHECK

・資金繰りの手段は目的によってさまざま
・メリットやデメリットを考えて計画的に使う
・金利や支払い期限などで自分の首を絞めないように注意

返せる見込みがない・利率が高い資金繰りは身を滅ぼす

無計画な借り入れは資金繰りをさらに難しくするだけでなく、最悪の場合利息が膨れ上がって返済不可能な状況に陥るリスクがあります。

会社員のように給与をもらって生活するのではなく、自分の収入で生計を立てている場合は、キャッシュフローの悪化は命取りになります。

資金の返済が難しくなった場合は弁護士や税理士など専門知識のある人に相談して冷静に解決策を見つけましょう。

借入金の元本は資金を返済しているだけで経費化できない

借入金の元本とは、金融機関や貸金業者から借りたお金の「元々の金額」のことを指します。返済する際は、利息と元本の両方を支払うことになりますが、元本は実際に借りた金額そのもののことです。

フリーランスが借り入れを行う際、元本の返済自体は経費にはなりませんが、借入金に対する利息は経費として計上することができます。

フリーランスが資金調達の審査で本当に見られるポイント

資金を借入する際は、貸し手側が借り手に資金を返済する能力があるか信用審査を行います。審査でみられるポイントは以下の通りです。

自己資金

自己資金とは、資金調達で借入をする際に自己資産から出資する金額で、自己資金がきちんとある場合審査において信用が高まります。

自己資金は貯蓄や預金の金額だけでなく、不動産や株式などの資産も含まれ、銀行の残高証明書や不動産の登記簿謄本などの提出を求められることがあります。

自己資金を増やすために、経費節約だけでなく事業の収益性アップにも注力しましょう。

返済能力

返済能力とは、借り手がきちんと資金を返済できる能力があるか判断するものです。フリーランスや個人事業主の場合、返済能力が審査において重要視されます。

返済能力を判断するには、毎月の収入が過去にさかのぼって長期的に安定しているか、無理な負債はないかを見られます。また、事業計画書において収益見込みや事業の将来性があるかも確認されるため、事業計画書には将来におけるキャッシュフロー予測や利益予測を明確に盛り込んでおきましょう。

信用情報

過去のクレジットカード利用状況、ローン有無、これまでの借入履歴などをもとに信用スコアが算出されます、信用スコアとは、金融機関に対数信頼度を数値化したもので、日本ではCIC(シー・アイ・シー)のものがよく使われます。

信用スコアが高いほど、返済能力が高いと判断され、資金調達がしやすくなります。

担保の有無

担保とは、資金が返済不能などになった場合の保証とするものです。不動産や車、工場などの設備、株式や証券などが該当しますが、フリーランスで担保を提供することが難しい場合は保証人を立てるなどの手段を使うこともあります。

CHECK

・返せる見込みのない借入はやめよう
・借入金の元本は経費にできない
・フリーランスの資金調達の審査は厳しい

そもそも資金繰りを不要にすることが正義

フリーランスであっても借入は可能ですが、理想的には借入をせずに資金繰りをするのがベストです。きちんと計画を立て、お金の流れを予測を立てておくことが必要になります。

収支管理の徹底とCF表の作成で見通しを立てる

収入と支出のタイミングを明確にし、事業運営における資金の流れを把握するためにキャッシュフロー表(CF表)を作成しましょう。

本来のキャッシュフロー表は貸借対照表と損益計算書をもとに作成するものと言われていますが、月ごとの収入、支出、現金の残高を見える化できれば良く、会計ソフトで手軽に作成できます。キャッシュフローを把握して収支管理を徹底することで安定的に事業を運営することができます。

経費という魔法の言葉にとらわれて浪費をしない

「経費で落とすとお金が戻ってくる」とよく言われますが、なんでもかんでも経費で落とすことはできません。フリーランスの経費で認められるものはオフィス費用、光熱費、通信費、広告宣伝費など事業に必要な支出のみが対象となります。

事業に直接関係しないプライベートの支出が経費に含まれている場合、税務署から指摘されるリスクがあります。

売上が急減しないように取引先を複数社分散しておく

フリーランスになったら取引先は複数社に分けるというのは鉄則。1社のみに依存している場合、急に案件が減少したり、打ち切りになった場合に収入が急減します。

取引先を複数社持つことでリスクを分散させ、収入を安定させることができます。

無理のない正しい節税でとにかく手取りを残す

収入を増やして正しく管理するだけでなく、無駄な支出を抑えるのも大切な資金管理です。節税対策はその最たるもの。所得控除の申請、青色確定申告を利用する、経費を見直すなどできることは全て行いましょう。

CHECK

・資金繰りを不要とすることが理想の状態
・キャッシュフロー表で収支管理を行う
・収入源を複数持つ、節税をするなども大切

事業運営において最も重要なのは、資金繰りが必要な状況を避けることです。計画的な収支管理を行い、無駄な支出を避け、複数の収入源を確保することでリスクを最小限に抑えられます。計画的な収支管理で安定した事業運営を心がけましょう。

【テンプレDL】フリーランスのリスクを減らす契約書|受発注管理・納期確認・クライアント対応のポイント

フリーランスとして働くうえで、受発注に関する契約の知識は必須です。しかし、独立したばかりだと「どんな契約書が必要?」「この契約書で大丈夫?」と不安が多いですよね。

そこで今回は、受発注契約に関する情報を解説します。正しく契約してトラブルを回避できるよう、しっかり参考にしてください。

フリーランス法の施行開始。フリーランスに求められる契約管理

2024年11月から、フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス新法)が施行されています。これは、フリーランスと発注事業者の取引を適正化し、フリーランスの就業環境を整えるために作られました。

これまで発注事業者から理不尽な扱いを受けることが多かったフリーランスですが、より適切な状態で仕事ができるようになっています。

この法律でポイントとなっているのが、契約書です。どのような内容を、どのような報酬で行うのかなど事前に明らかにしなくてはなりません。

まだ自分で契約書を作ったことがない方は、フォーマットを活用すると必要な項目をしっかり包括できるのでご参照ください。

フリーランス新法とフリーランスの働き方

フリーランス新法では、フリーランスの働き方について定められています。特に契約書周りについての内容が定められているので、契約を結ぶ前に確認しておきましょう。

フリーランス新法で契約は書面で、報酬は60日以内に

フリーランス新法では、契約を書面で結ぶように定められています。これまで口頭で依頼したり、チャットで概要を送ったりするだけというケースも多かったのですが、後から「聞いていた話と違う」とトラブルにならないよう、契約書で業務内容や納品方法、報酬額、支払い条件などを明らかにします。

また、「依頼されたものを納品したのに、報酬が振り込まれない」と訴えるケースも多くありました。そのため、フリーランス新法では報酬は納品から60日以内に振り込むよう定められています。

業務委託契約の働き方の種類

業務委託契約には、委任契約、準委任契約、請負契約の3つの働き方があります。それぞれの特徴について解説します。

委任契約

委任契約とは、民法第643条で「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」と定義されています。法律行為とは、裁判を起こす手続きや納税などを指します。法律行為完了時に報酬が発生し、成果物の完成責任はありません。

準委任契約

準委任契約は、法律行為ではない事務の委託を指します。例えばデザインの制作やアプリ開発などが当てはまります。事務完了時に報酬が発生し、成果物の完成責任はありません。

請負契約

請負契約の定義は、民法第632条で「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」と定められています。

報酬の基準は成果物であり、引き渡しをした段階で報酬が発生します。成果物の完成責任がある点も、特徴の一つです。

偽装請負に注意。トラブルがあればフリーランス・トラブル110番に相談

フリーランスの業務依頼では、内容が偽装されるケースもあります。仕事をもらう立場として指摘するのは難しいかもしれませんが、少しでもおかしいと思ったら事前に相手と話し合いましょう。

もし話し合いが上手くいかなければ、フリーランス・トラブル110番に連絡してみてください。専門知識を持った弁護士に無料で相談ができ、和解に向けて相手方へのコミュニケーションなども任せられます。

CHECK

・フリーランス新法では、契約を書面で結ぶことや報酬を60日以内に支払うことなどが定められている
・業務委託契約には、委任契約、準委任契約、請負契約の3種類がある
・もしトラブルにあったら、フリーランス・トラブル110番への相談がおすすめ

契約書が発行されるまでは、仕事に着手しないでください。契約書を交わさないままでは、納品しても報酬が払われなかったとき、逃げ切られてしまう可能性があります。

「仕事を始めるのは、契約書を巻いてから」「何かあったらフリーランス・トラブル110番に連絡する」を鉄則にしましょう。

どんな関係性でも契約書を必ず締結してから仕事に取り掛かる

付き合いが長いクライアント相手だと「変なことはしないだろう」と思ってしまうかもしれませんが、過去100回問題なくやり取りできても、次もまた上手くいくとは限りません。何かあったときに損をするのはフリーランス側なので、必ず先に契約締結してください。

フリーランスが業務委託契約を行う手順と注意点

どのように業務委託契約を進めればいいか、手順と注意点を解説します。

守秘義務を管理する秘密保持契約書(NDA)を結ぶ

まずは、NDAを結びます。これは秘密保持に関する契約書で、仕事で知りえた情報を第三者に漏らさないことが求められます。詳細については、下記をご覧ください。

業務委託の役割・役務を定義する基本契約・個別契約書を結ぶ

次に、基本契約を結びます。基本契約では、どのような仕事を、いつまでにするか。報酬はどれくらいで、いつまでに支払うかなどが定められます。

業務委託基本契約書

業務委託基本契約書は取引全体のベースとなるもので、仕事概要などが掲載されています。契約を更新する場合も、この中身はほとんど変わりません。

業務委託個別契約書

業務委託個別契約書はその時の仕事内容について個別に指定するもので、業務の具体的な内容などが示されます。業務内容が変わると、契約書の文言も変更されます。

契約書は電子帳簿保存法の対象。契約書は電子締結・電子管理する

フリーランスが結ぶ契約書は、電子帳簿保存法の対象となっています。紙ではなく、デジタルで保存するようにしましょう。

電子保存はフリーランスにも義務がある

電子帳簿保存法では、契約書を含む税務関係書類を紙ではなくデータで保存することを定めた法律です。フリーランスも対象となっており、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」のいずれかで保管しておかなくてはなりません。

電子契約サービスで契約管理を行うとスムーズ

契約書を毎回データ化するのは面倒なため、電子契約サービスの利用をおすすめします。こういったサービスは、いつ、何に合意したかを証明するタイムスタンプを押せるため、電子保存法に対応しています。書面契約よりスピーディに対応でき、コンプライアンスの強化にもつながるのでおすすめです。

請求管理も電子管理が義務付けられる時代に

契約書だけでなく、請求書もデータ化しましょう。日付や仕事内容、報酬金額などがわかるようにしておいてください。請求書には、氏名と取引年月日、取引内容、税込みの金額、事業者氏名が必要となります。

見積もり・発注書・請求書とインボイス制度

インボイスに登録すると、見積書や発注書、請求書も保存しなくてはなりません。これらは7年間の保存義務があるので、途中で破棄しないよう注意してください。

あちこちに保管しているとわからなくなるため、DropboxやBoxなどの電子ストレージと契約しておきましょう。

一気通貫できる受注管理システムで会計を簡単に

契約書などの最も便利な管理方法は、受注管理システムの導入です。すべてのお金の動きを管理できるため、整理もしやすく税務関係の書類もスムーズに作れるようになります。初めのうちはエクセルなどで管理することも多いかもしれませんが、報酬金額や契約相手が増えてきたらぜひ導入を検討してください。システム導入のメリットなどは下記で解説しています。

CHECK

・電子帳簿保存法に基づき、フリーランスは請求書などを電子保存しなくてはならない
・電子契約サービスを使うと契約書の管理がしやすくなる
・契約が増えてきたら受注管理システムの利用がおすすめ

数あるサービスで自分に合った契約関連サービスを選ぶには?

電子契約サービスや受発注管理サービスは様々な商品があるため、どれを選べばよいか悩んでしまうかもしれません。そこで、それぞれのおすすめをご紹介します。

電子契約サービスはクラウドサインがおすすめ

電子契約サービスは、クラウドサインを使ってみましょう。国内シェアナンバーワンで、メール認証と2段階・2要素認証を採用しているためセキュリティレベルが非常に高いです。書類インポート機能があるため、紙で締結した契約もPDF化して保管できます。

受発注管理サービスはfreee会計 or マネーフォワードクラウドがおすすめ

受発注管理サービスはfreee会計かマネーフォワードクラウドがおすすめです。どちらも案件管理だけでなく、確定申告書類の作成にも対応しています。改行書類の作成から、月々の経費管理までできます。また、毎月の締め作業も簡略化されるでしょう。

フリーランスにとって、受発注契約をしっかり管理することは非常に重要です。法律に則って正しい方法で契約書を作ったり書類を管理したりしないと、思わぬところで違法行為をしてしまうかもしれません。

また、クライアントとのトラブルを避けるためにも口頭やチャットなどでの約束は避け、書面に落とすことは必要不可欠です。これからフリーランスになる方は、ぜひスキルアップだけでなく契約まわりについても準備をしてください。

フリーランスのクラウドソーシングとエージェントの使い分け|単価・難易度別に選び方と案件獲得のコツ

フリーランスとしてデビューした方の悩みと言えば、「どうやったら仕事を獲得できるんだろう?」「思うように案件が増えない……」といったことではないでしょうか。仕事が少ないと、今後の生活が不安になってしまいますよね。

そこで今回は、フリーランスのために案件獲得サービスをどう使うべきかについてご紹介します。クラウドソーシングとエージェントのどちらがおすすめか、どのように活用すべきか具体的に解説するのでぜひご覧ください。

クラウドソーシングとエージェントどちらを使うべき?

結論から言うと、クラウドソーシングとエージェントは両方の併用をおすすめします。というのも、この2つはそれぞれメリット・デメリットが異なり、自分のスキルやステイタス、求める案件によって使い分けができるからです。

「自分はクラウドソーシングしか使わない」「エージェントだけで仕事を得たい」と決めてしまうと、案件獲得の可能性を能性を狭めてしまいかねません。案件の見つけ方にはこだわりすぎず、獲得した案件の仕事内容にこだわるようにしましょう。

とはいえ、クラウドソーシングもエージェントもサービスの種類が多く、「どれを使えばいいんだろう」と悩んでしまうかもしれません。そんな時はまずは全体的なイメージをつかむことが大切なので、カオスマップを参考にしてみてください。

フリーランスのクラウドソーシング活用

フリーランスとしてクラウドソーシングをどう活用すべきか、向いている人やおすすめのサービスなどをご紹介します。

クラウドソーシングに向いている人

クラウドソーシングに向いているのは、フリーランスとしてデビューしたばかりの方や、これからデビューするために腕試しをしたい方です。エージェントの案件と比べると初心者向けのものが非常に多く、実績がなくてもチャレンジできます。

また、報酬はそれほど高くなくてもよいのでとにかく経験を積みたい方にもおすすめです。今後、高単価案件を獲っていくにはポートフォリオを作ることが必要なので、「実績作りのためなら、安価で簡単な案件をたくさんこなしていきたい」という方はぜひ登録しましょう。

登録しておくべきクラウドソーシングサービス

まずおすすめのクラウドソーシングが、Lancersです。2008年に日本で初めてクラウドソーシングサイトを立ち上げたいわば老舗で、業界のリーディングカンパニーとして活躍しています。

案件数は19,550件と多く(2025年2月時点)、手数料は契約金額の16.5%です。実績に応じてランク制度が設けられているので、仕事をすればするほど次の案件が舞い込みやすくなります。

次におすすめなのが、CrowdWorksです。案件数は13,017件あり、672万人のワーカーが登録しています(2025年2月時点)。

手数料は10万円以下の部分が20%、10万円~20万円の部分が10%、20万円超えの部分が5%と少し複雑ですが、高い案件を獲得すればより多くの取り分を確保できます。

スキルの安売りだけは絶対にしない

初心者OKで求められるハードルが低い案件は、報酬も内容に準じて安くなります。デビューしてすぐの間は、実績作りのためにそういったものを請け負うのは良いでしょう。

しかし、「これではほとんどタダ働きになってしまう」といった案件を受けて自分のスキルを安売りすることだけは避けましょう。クラウドソーシングでは多くの案件が一覧で表示されるため、他と比較して突出して安いものには手を出さないでください。

ほかにも、クラウドソーシングを上手く活用するポイントはいくつかあります。これから登録しようと思っている方や、まだ登録したばかりの方はぜひ情報を集めてみてください。

CHECK

・クラウドソーシングはデビュー間もないフリーランスにおすすめ
・初めはLancersとCrowdWorksに登録するとよい
・簡単で低単価の案件を受けるのはよいが、スキルの安売りはしない

初めのうちは「どのサービスに登録しよう」「どこを選べばいいんだろう」と悩むかもしれませんが、とにかくまずは登録してください。

登録にお金はかかりませんし、使ってみなくては自分にどのサービスが向いているかはわかりません。ただ悩んでいるだけでは絶対に案件を獲得できないので、「まず動いてみる」というフリーランスとして必要な心構えを実行しましょう。

駆け出しフリーランスの実績作りにクラウドソーシングを積極活用

フリーランスとしてデビューしたばかりだと、実績がなく案件が獲りにくいです。そのため、クラウドソーシングを活用してまずは一つ実績を作ってください。

どんどん増えていくうちに案件が獲りやすくなりますし、より高単価なものにも挑戦できるスキルが身につきます。

フリーランスのエージェント活用

フリーランスとしてエージェントをどう活用すべきか、向いている人やおすすめのサービスなどをご紹介します。

エージェントに向いている人

エージェントに向いているのは、フリーランスとして実績を積みスキルを身につけた方です。クラウドソーシングと比べて高単価な案件が多い一方、応募ハードルが高い傾向にあります。

フリーランスとしての実績がなくても、社員時代のポートフォリオが見せられればチャンスはあります。自分のスキルに自信がある方や、1年以上フリーランスとして活動して来た方はぜひ活用してください。

登録しておくべきエージェントサービス

エージェントとして有名なのが、Lancers Agentです。ITエンジニア向けの案件がメインとなり、週4日以上稼働できる案件を紹介してもらえます。

月の報酬が100万円を超える案件もあるため、収入を一気に伸ばしたい方にもおすすめです。

次におすすめなのが、レバテックフリーランスです。

過去2年で新着案件の増加率が160%となっており、クライアント企業数は1万社を超えているため、サイトを見る度に新しい案件を見つけられます。リモート案件も多く、登録者の平均年収が881万円と高額な点もポイントです。

エンドクライアントとエージェント双方に喜ばれる仕事をする

フリーランスの仕事において、クライアントの満足度を高めることは重要です。仕事に納得してもらえればリピートに繋がり、安定した収入を得やすくなります。

加えて、エージェントサービスを利用した場合はエージェントから高評価を得ることも意識しましょう。エージェントは一人でいくつもの案件を抱えているため、「このワーカーなら信頼できる」と思ってもらえれば、新しいクライアントも紹介してもらいやすくなります。

エージェントは上手く利用すれば一気に収入があがるサービスです。ぜひ、ポイントを押さえてしっかり活用してください。

CHECK

・エージェントはクライアントに提示できる実績がある人に向いている
・エージェントサービスの中では、Lancers Agentとレバテックフリーランスがおすすめ
・エージェントとエンドクライアントの両方に喜ばれるとリピートや新しい仕事につながる

エージェントで仕事を得るには、とにかく実績が重要です。これまで参画したプロジェクトを整理し、魅力的なポートフォリオを作りましょう。

案件獲得の際はエージェントに相談し、過去の実績の中でもどういった点を特にPRすべきか確認すると、クライアントに好印象を残しやすくなります。

案件獲得のコツは何でどういう貢献ができる人材か。明確に打ち出す

クライアントには、「こういう人に来てほしい」という要望があります。あなたがその人材として適切かどうか判断できなければ、仕事は依頼されません。

自分の積み重ねてきた実績と合わせて、どんなスキルがありどのような仕事ができるかをしっかりアピールしましょう。

また、エージェントはクラウドソーシングよりも職種に特化しているサービスが多いです。自分の職種にはどんなエージェントサービスがあるのか、事前に確認することで無駄を省けます。

数あるサービスで自分に合ったサービスを選ぶには?

クラウドソーシングもエージェントも、数多くの種類があります。その中で自分にあったものをどうすれば選べるのか、どうすれば上手く活用できるのか、ポイントを解説します。

実際に案件が多くライバルが少なく、受注確率が高いサービスを選ぶ

1つ目のポイントは、案件数の多さです。案件の数が少ないと選択肢が狭まり、自分にあった仕事を見つけにくくなってしまいます。全体の案件数ではなく自分の応募したい職種の案件がどのくらいあるかチェックしましょう。

2つ目のポイントは、ライバルの少なさです。クラウドソーシングは他にどのくらいのユーザーが応募しているか見ることが多いので、なるべく応募数が少ないものを選んでください。エージェントの場合は、他に何人くらい候補者がいるか聞いてみてください。

3つ目のポイントは、受注確率の高さです。クラウドソーシングでは、過去の受注履歴を見ることができます。発注だけ出して実際にワーカーが確定しないままになっている案件が多いクライアントは、おすすめできません。

サービスの併用もOK。ただし実稼働のチャネルは絞る

4つ目のポイントは、実稼働のチャネルを絞ることです。基本的にクラウドソーシングもエージェントも登録は無料なので、たくさん見てみてください。しかし、実際に使うのは2つか3つくらいに絞るとよいでしょう。あまりに多すぎるとどのサービスのどの案件が動いているか管理しにくくなり、抜け漏れが発生しやすくなります。

サービス選びに困ったら、ぜひ以下のカオスマップを参考にしてみてください。

今回は、フリーランスの仕事探し手段について解説しました。まずはクラウドソーシングから始めて、実力と実績がついてきたらエージェントを利用しましょう。どちらを使うときも、まずは色々なところに登録してみて、自分が使いやすいと思ったサービスを2~3種類に絞りしっかりと活用していきましょう。

フリーランスの節税につながる経費計上|具体例で経費にできる・できないの判断基準や注意点を解説

フリーランスは税金の手続き等も全て自分でしなくてはなりません。経費を上手に活用することで、節税に繋がるので経費はきちんと管理しましょう。

頑張って稼いだ収入から、できる限り税金で引かれる金額を減らすようにするのが節税対策で、フリーランスとして上手く対処したいところです。正しい知識と適切な対処法を知り、確定申告を節税のチャンスとして活用できると良いですね。

フリーランス活動にかかる税金の仕組み

フリーランスは個人事業主として、所得税、消費税、住民税、個人事業税などの税金を自分で管理・納税します。なかでも所得税は確定申告によって毎年申告が必要なものです。

所得税は、「年間の総収入から必要経費を差し引いた所得」に対して課税されるため、経費の管理が非常に重要になってきます。

収入から必要経費や各種控除を引いた課税所得に税金がかかる

所得税は稼いだ売上額ではなく、利益の額に対して課税されます。「総収入(売上)」「経費」「控除」「事業所得(利益)」それぞれの違いを理解することで上手く節税対策しましょう。

  • 総収入(売上)= 仕事の報酬で受け取る金額
  • 経費= 事業に関連する支出
  • 控除=基礎控除、扶養控除、医療費控除など
  • 事業所得(利益)= 収入-経費
  • 課税所得= 所得-所得控除

正しい経費計上で節税につながったり還付金が返ってくる

還付金とは、確定申告で必要よりも多くの税額を払っている場合に税務署から過剰分を払い戻しされることです。事業に関する経費を適切に計上することで課税所得が減り、過剰に支払った税金が還付されることがあります。

CHECK

・フリーランスは納税も自分で行わなければならない
・「総収入(売上)」「経費」「控除」「事業所得(利益)」の違いを理解しておこう
・正しい経費計上で節税につながったり還付金が返ってくる

フリーランスの経費の原則は業務上利用したものだけに適用される

なんでもかんでも経費に出来るわけではなく、業務に直接関連する支出のみ経費として扱えます。不適切な経費計上は税務署から指摘される可能性もあるため気を付けましょう。

売上や収入がなくても経費があるなら確定申告で計上可能

フリーランスの場合、売上や収入がなくても経費があれば確定申告で計上することができます。申告しておくことで、青色申告特別控除の適用など、将来的に利益が出たときにメリットを得られるためです。

フリーランスが計上できる勘定科目と経費になる例・ならない例一覧 

用途 科目 計上できる例計上できない例
事業関連外注費営業やマーケティング関連業務などの外注料金やライターやデザイナーへの報酬家事代行など業務とは無関係な代行
 広告宣伝費インターネット広告、チラシ広告、SNSやインフルエンサーとのコラボ費用や名刺作成費用など
 通信費事業用の電話代、インターネット代、モバイル通信費用家の固定回線など業務では使わないもの
 事務用品費事務所で使用する文房具や消耗品、コピー用紙などプライベートで利用するもの
 消耗品費電池、事務用品など業務で使うものプライベートで利用するもの
 接待交際費クライアントとの打ち合わせカフェ代や会食費、贈答品業務に関係ない飲食代
 交通費業務に関連する電車代やタクシー代、ガソリン代個人的な移動の交通費
 旅費交通費出張費用としての飛行機や新幹線、宿泊費用個人的な観光などの費用
オフィス関連家賃事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 光熱費事務所/自宅兼事務所(家事按分が必要)
 保険料事業用の損害保険や生命保険事業主自身の保険料
 設備投資パソコンやオフィス家具、カメラ機材など、事業に必要なものプライベートで利用するもの
 ソフトウェア費用業務で使用するソフトウェアの購入費用やサブスクリプション費用プライベートで利用するもの
人件費給与社員やアルバイトへの給与
 社会保険料雇用保険や健康保険、年金などの社会保険料
教育・研修関連研修費業務やスキルアップに関連する研修やセミナーの参加費用
 書籍費業務に役立つ書籍や資料購入代金個人の趣味で購入したもの

場合により経費にできる業種や職業によっても変わる費用の例一覧

  • ライター:取材での飲食代や、サービスの体験利用料など
  • フォトグラファー:カメラやレンズなどの購入費、撮影スタジオの利用料
  • デザイナー:デザインツールのソフトウェアライセンス料
  • Webデザイナー:サーバーレンタル費やクラウドサービス利用料

経費として計上できるかどうか迷いやすい費用の例

 項目計上できる場合計上できない場合
バッグ仕事で使うバッグプライベートで使うバッグ
手帳スケジュール管理など業務で使用しているもの日記など業務に関係なく使っているもの
スーツ取引先に訪問したり、業務内で着用する服仕事の際には着用しないプライベートのもの
タクシー代業務内での利用。行先やその目的など利用履歴を残しておくと良い休日の利用や旅行時などに利用したもの
車のガソリン代業務内での利用。行先やその目的など利用履歴を残しておくと良い休日の利用や旅行時などに利用したもの
カフェ取引先との打ち合わせや作業のための利用個人的な利用
保険料国民健康保険は計上できる自身の生命保険料は計上不可
病院の治療費なし治療費は一定額以上で「医療費控除」の対象

CHECK

・不適切な経費計上は税務署から指摘される可能性もある
・売上や収入がなくても経費があれば確定申告で計上できる
・業種や職種、状況によって経費として計上出来るものと出来ないものがある

個人事業主やフリーランスの経費は家事按分が可能

家事按分(かじあんぶん)とは、フリーランスが自宅で仕事をしている場合など、仕事とプライベートの両方で使っているものを仕事で使用している割合と家庭で使用している割合に分けて経費計上することです。

按分の計算方法としては、利用しているスペースの「面積」で計算する方法や、使っている「時間」の割合をもとに計算する方法があります。

自宅オフィスの場合は家賃や光熱費・通信費などの一部を経費に計上できる

フリーランスの家事按分経費の対象となるものの例は、家賃、水道光熱費、通信費、交際費、交通費などが挙げられます。それぞれ仕事で使用している割合と家庭で使用している割合に分けて経費として計上します。

家事按分の勘定科目と家事按分の仕訳の例 

①家賃を家事按分する場合の仕訳例

家賃10万円、床面積が100㎡の家のうち、25㎡の部屋をオフィスとして事業用で利用している場合

按分計算(面積):按分の割合は25÷100=25%

仕訳の入力方法

事業として使った分を「地代家賃」、プライベートとして使った分を「事業主貸」で記入

 日付借方貸方
地代家賃 25,000普通預金 100,000
 事業主貸 75,000

②インターネット代を家事按分する場合の仕訳例

1ヶ月のインターネット使用料が15,000円、毎月200時間仕事をしてネットを使っている場合

按分計算(時間):按分の割合は200÷720(1ケ月あたりの時間)=28%

仕訳の入力方法

勘定科目「通信費」と、プライベート分を「事業主貸」で記入

 日付借方貸方
通信費 4,200普通預金 15,000
 事業主貸 10,800

生活費を何でも経費にしてしまうと怪しまれて税務調査の対象に

経費として計上できるのはフリーランスとして売上をあげるために支出した費用のみです。私的な生活費や個人的な支出などなんでも経費で落とそうとすると税務署からの指摘を受けたり、ペナルティを課せられる可能性もありますので、十分に注意しましょう。

CHECK

・個人事業主の経費は家事按分が可能
・家賃、水道光熱費、通信費、交際費、交通費などを按分できる
・生活費のすべてを按分できるわけではないので注意

経費にできるかどうか迷ったときの判断基準

経費になるかならないかには、はっきりとした線引きがなくあいまいです。フリーランスが経費として計上できるかどうか迷った場合、以下の判断基準を参考にすると良いでしょう。

事業との関連性があるか

業務上必要なパソコンソフトやツール、電話や、デザイナーの場合はデザインツールなど、それがないと仕事ができないものかどうか、で判断します。

個人的な支出ではないか

フリーランスの場合、どこまでが経費でどこまでがプライベートか迷うことが多くあります。自宅オフィスなどプライベートと共通して使っている場合は按分して経費計算をします。

家族の旅行代や個人の趣味の買い物などはくれぐれも計上してはいけません。

経費として常識の範囲内の金額であるであるか

事業規模に対して適切な割合かどうか、という視点も重要です。大量の備品購入や高級車の利用など、過剰な支出は避けましょう。

税務署から指摘を受けた際に説明できるか

経費として計上するためには領収書、請求書、振込明細書など証拠として示せる書類が必要です。税務署から指摘を受けた際に、それらの経費が事業に関連していることを説明できるようにしておきます。

経費の割合が50%を超えないか

フリーランスの売上に対する経費の割合は50%前後が目安です。上限が定められているわけではありませんが、経費の割合が高過ぎると税務からの調査が入る恐れがあります。

CHECK

・経費にできるかどうかの明確な基準は定められていない
・事業を行うに必要な支出かどうかで判断する
・フリーランスの売上に対する経費の割合は50%前後が目安

経費の領収書の取り扱い方法

領収書は経費として支出をした証明をするために欠かせない書類であり、税務署から決められたルールに基づいて管理をしなければなりません。

領収書は7年間保存が義務に

個人事業主の場合、領収書の保管期限は原則7年間と定められています。紙と電子のそれぞれ、なくさない保管方法で保存しておき、税務署から求められた際にいつでも開示できるようにしておきます。

領収書を紛失した際は出金伝票を用意しておく

領収書が見当たらなくなった場合は、代替証拠となるものをそろえる必要があります。その際に使えるのが出金伝票です。

出金伝票とは取引に関連する支払内容を記録する書類で、領収書が発行されない取引の際に使われるものですが、領収書の代わりとして使うこともできます。

あくまで領収書やレシートがない場合の代替方法なので、多用は避けましょう。

経費計算アプリでこまめに電子データで管理をしておく

会計ソフトのアプリや経費管理アプリを使うと、電子取引データの自動取り込みやレシートのスキャン機能を使い経費データの管理を手軽に行うことができます。ツールを活用して効率的に経費処理が出来て便利です。

CHECK

・領収書は経費として支出をした証明をする大切な書類
・経費の領収書は7年間保存する義務がある
・経費計算アプリを活用してうまくデータ管理を行おう

フリーランスが経費を計上する際の注意点

フリーランスが経費を計上する際に注意することとしては、まずプライベートとの線引きが大きなポイントになります。

自宅オフィスやインターネット料金は按分して業務利用分のみを経費として計上しましょう。

電子取引の領収書やレシートは電子データのまま保存

紙での領収書だけでなく、近年では電子領収書としてPDFファイルや画像データで領収書を受け取ることも多くなっています。

電子領収書が改ざんされていないことを証明するために、受け取った電子領収書はそのままのかたちで保存が必要です。

経費計上に誤りがあり脱税とみなされると重いペナルティに

申告漏れや不正確な申告をしたとみなされた場合はペナルティが課されます。

過少申告加算税

税額を納めるべき金額よりも過少に申告したと判断された場合にその差額に対して課される追加の税金。

重加算税

”故意に”税額を少なく申告した場合に課される税金。過少申告加算税よりも高い税率が課されます。

経費・確定申告など税務に関する相談は迷わず税理士へ

フリーランスだからと言って経費処理や確定申告をすべて自分でしなければならない訳ではありません。大きなトラブルを防止するために、不安なことや分からないことがあれば税理士に相談すると良いでしょう。

CHECK

・フリーランスが経費を計上する際にはプライベートとの線引きがポイント
・電子取引の領収書やレシートは電子データのまま保存する
・わからないことは気軽に税理士に相談しよう

フリーランスが事業をうまく回すためには経費のポイントをしっかり押さておくことが非常に大切です。どこまでが経費の対象になるのか、家事按分の割合など、あとから指摘を受けることがないようにうまく管理して計上しましょう。

クリエイター 職種図鑑一覧

クリエイター(Creator)を一言で紹介するなら、技術やスキルを使って新しい作品やコンテンツを生み出す人々のことです。クリエイターが生み出すものには、アニメやマンガ、ゲーム、映像、Web、XRなどがあります。最近ではVTuberも活躍していますね。

多種多様な媒体で活躍しているクリエイターたちは何か特殊なスキルをもっているのだろう、と思うかもしれませんが、そうではありません。持ち前のアイデアやセンスはすぐに使い果たしてしまいます。ではクリエイターたちは何が特別なのでしょう?

実は、憧れのクリエイターも弛まないスキルの習得と良質な経験を積み続けています。毎日の隙間をつかってインプットを増やし、スキルをひとつひとつ身につけて、アウトプット。チームのメンバーとフィードバックを繰り返すことで成果を高められます。

クリエイターは作り手だけではない

クリエイティブな仕事とはアイデアを形にする仕事

アニメやマンガなど日本を代表するコンテンツは世界でも高く評価されています。制作に携わったクリエイターたちのなかには、海外のプロダクションに移籍して働く人も多くあります。スキルさえあれば、国境を飛び越えて、産業の垣根も越えて活躍できるのがクリエイターです。

クリエイターと大きな括りにしていますが、わかりやすいアウトプットを出す職種ばかりではありません。クリエイターたちをまとめる監督、Webディレクター、アートディレクターなどもクリエイターです。企業であれば企画を考える「企画職」もクリエイターといえますね。

営業や人事の仕事の中にも、発想やアイデアを活かせるクリエイティブな仕事があるのではないでしょうか。

意外かもしれませんが、企画中の製品やコンテンツが陳腐化しないように市場をチェックしつづけるアナリストもクリエイティブな仕事のひとつです。

では「クリエイティブな仕事」とは何をさすのでしょう? 言葉の定義に忠実に「新しい価値や意味を生み出す仕事」とまとめると、逆に分からなくなってしまいます。

もう少しわかりやすく、「あっこれ面白い!」「少しだけ要素を足したら分かりやすくなる」、こんなアイデアを出し合ってまとめていく行為。と言い換えれば腑に落ちるでしょうか。

デザイナーはアイデアを視覚的なデザインに落とし込みます。エンジニアはデザイナーが仕事をしやすいように新しい補助プログラムを開発するかもしれません。ラインプロデューサーはクリエイターたちの負荷を減らすべく環境を整えて完成まで導きます。

プロジェクトに関わる全員がアイデアを出し合ってアウトプットを重ねることで、より良い成果を出せます。

クリエイティブな仕事は一人ではできない

映画やビデオゲームのエンドロールに、キャスト・スタッフの名前が並んでいるのを見たことがあるでしょうか。小さなタイトルであっても役割ごとにスタッフ名が記載されています。映像はたくさんの人によって作られる一大プロジェクトです。

そんな映画を夢に描いて、一人で「あっ、これ面白い」を形にしようとすると、途中やめになってしまいませんか?仕事では途中やめはありませんが、個人制作となると完成への道のりは平坦ではありません。モチベーション的にもクオリティ的にも、チームを組むほうが良い成果を出しやすいのは誰しも同じでしょう。

メンバー同士でアイデアを出し合い、アウトプットに対してフィードバックを出し合い、ブラッシュアップしたものは、満足のいく作品として生み出されるはずです。

チームメンバーそれぞれが異なった強みを持っていれば、苦手な工程はメンバー同士で補い合うことができる、というのもチームを組むメリットのひとつです。

プロジェクトで必要となる新しいスキルや知識をあらかじめ習得しておけば、チームメンバーに情報をシェアすることも可能になります。チームで実績を積み続ければ、憧れは現実になるかもしれません。

CHECK

・制作に関わる全員が「クリエイター」
・クリエイティブな仕事とは発想やアイデアを活かすこと
・チームを組むと良い成果を出しやすくなります

クリエイティブな仕事に必要なマインドやスキル

知識や専門性を高めるための知的好奇心

無限にあったと思っていた頭の中のアイデアも、アウトプットを続けるとすぐに枯渇してしまいます。一度は評価されたものでも、繰り返しアウトプットしていてはやがて飽きられてしまいます。クリエイターは常に新しいアイデアを探し求め、貪欲に自分のものにしていく知的好奇心が重要になります。

そして、アイデアを形にするためのテクノロジーやツールを使いこなすスキルも必要とされます。テクノロジーやツールは常に進化していますから、クリエイターは好奇心のままに新しいスキルを習得する向上心も必要になります。スキルが高まれば専門性が生まれますから、チーム内で重宝されます。

好奇心と向上心はすべてのクリエイターに共通する基本的なスキルです。

常に新しい物事に興味を持つためには、心・時間・資産に余裕があることが大切です。せわしない毎日のなかで余裕を持つことは簡単ではありませんが、落ち着ける場所、落ち着ける時間を工夫してつくり、好奇心を育ててあげましょう。

1冊の本、オンラインのレッスン、SNS。知識を得る便利な方法はたくさんあります。自分に合った媒体を選び、向上心を持って、世の中のニーズやトレンドを押さえましょう。現在の自分のスキルに満足せず、常に新しい情報を取り入れて自己を高めていけるクリエイターは、長期的に活躍できます。

チームで円滑に仕事をするためのコミュニケーション

クリエイティブな活動をしていくなら、コミュニケーションはとても大切なスキルのひとつです。クリエイターが仕事をする上でコミュニケーションをとる相手は、大きく三つあります。

  • 見る人
  • クライアント
  • チームメンバー

クリエイターという仕事そのものが、見る人に言葉やデザインを届ける、というコミュニケーションです。

そして、どれほど高いスキルを持っていてもクライアント仕事である以上はクライアントの望むものを提供できなければ、次の仕事につながりません。チームで働いている場合は、チームメンバーと円滑なコミュニケーションを構築することが重要になります。

自分の発想の意図や要求を言語化して明確に伝える必要がありますし、クライアントやメンバーからフィードバックを受けることも成果物のクオリティを上げるときに役立ちます。どちらもコミュニケーションの形態の一つです。

「コミュニケーション」に対して苦手意識を持っている人もいるかもしれませんが、「仕事上でのコミュニケーション」は慣れと訓練で克服できるものです。

クライアントやチームメンバーと会話する際には、相手の要望を正確に汲み取ること、共感すること、自分のクリエイティブを丁寧に言語化して伝えることを意識しましょう。

コミュニケーションが活発化してくるとアイデアが湧き上がり、プロジェクトの成果が高まりやすくなります。やがては自身のキャリアにもつながるでしょう。

本質的な問題をとらえる観察力と解決のための論理思考

クリエイターはクライアントの課題を明確に把握した上で、クリエイティビティをもって解決策となる企画を提案し、成果物として提供することが求められます。

成否の決め手は、クライアントもユーザーも満足いくように本質的な問題を解決すること。

「クライアントの相手は大変そうだから、企画はプロデューサーやディレクター任せ、自分は自分のクリエイティブを爆発させて制作に取り組む」という姿勢のクリエイターがいるなら、クリエイターとして一人前とはいえません。

新しい仕事を前にしてテンションが上がる、そんな自分にブレーキをかけましょう。そしてクライアントが求めているもの、ディレクターが示した方向性、チーム内で自分に求められているものを正確に把握しなおしましょう。アイデア出しでは、自分がクールだと思うアイデアに対して根拠をとことん考え抜いてみる。求められているものとアイデアの間に違和感があれば言語化してみる。

メンバーに相談してフィードバックをもらう。こうした言語化や振り返りの一つ一つが自らの観察力を高め、論理的な思考に導いてくれます。

論理思考とクリエイティブの関係は車の両輪と同じです。どちらが欠けても走りませんが、うまくハマれば憧れの目的地まで運んでくれるでしょう。

CHECK

・知的好奇心はクリエイターの必須スキル
・チームメンバーとは円滑なコミュニケーションを構築しましょう
・本質的な問題を論理的に考えることが、成長につながります

クリエイティブな仕事に必要な専門的経験を積むには

センスよりも経験の量と質

たとえばロゴを30種考えて欲しいと依頼を受けたとします。AIを使えば一瞬ですが、自分のスキルは養われませんし、もっと上手にプロンプトを書けるクリエイターがいれば仕事を一瞬で持っていかれます。

スキルを養うために頭の中のアイデアを元にして考えていくと、アイデアはすぐに枯渇する、というのが現実です。

インプットを増やしましょう。好きなゲームやアニメや映画を見ることから始めましょう。「いいな」と思ったシーンがあれば、そこで止めて「なぜいいと思ったのか」を深掘りします。商業作品はよくできていて、随所に工夫が凝らされています。その工夫を自分の中に知識として蓄え、いざという時に出し入れできるようになっておきましょう。好きなタイトルの知識であれば、いくらでも蓄えられるのではないでしょうか。

見知らぬ土地で新しい遊びを体験するのもよいでしょう。美術館に行って古今東西の傑作に触れることももちろんおすすめです。インプットした情報は言語化して誰かとの会話のネタに出してみましょう。

スケッチのような形でアウトプットしておくことでも、記憶に定着します。遠回りに見えるかもしれませんが、クリエイティブな仕事は膨大で良質なインプットから生まれます。

経験を積むための会社員という選択

クリエイティブな活動を続けるなら働き方も重要です。キャリアの方向性が変わる可能性があるためです。

まずクリエイターとしてのキャリアをスタートさせたいなら、広告会社や制作プロダクションに就職するとよいでしょう。

学生や未経験者、クリエイターとしての実績が少ない人でも、企業に就職してプロジェクトに参加できればスキルアップできますし、最新のテクノロジーやスキルの知識を身に付けられます。数年も働けばクリエイターとしての実績も十分残せるでしょう。

会社員の魅力はほかにもあります。プロジェクトを通して仲間との高揚感や一体感を味わったなら、「仲間」が働く意味になるかもしれません。それに先進的なプロジェクトに関われることも、会社員のメリットでしょう。

フリーランスの世界は意外と狭い範囲に限られており、よほどの実績がある人を除けば、大きなプロジェクトに中心的なクリエイターとして関わることは非常に難しいです。

会社であれば制作を全て引き受けますから、例えば、万博やオリンピックなど記憶に残る仕事に携われるかもしれません。大きな案件を通じた経験を重視するのであれば、会社員という選択はとても現実的です。

スキルを高めるための独立という選択

会社員として同じ会社、同じチームに居続けると、必要以上にはスキルを身につけなくなる、ということがありえます。

その点、会社から独立し、さまざまなクライアントの難しいプロジェクトにコミットするフリーランスは、新しい知識やスキルを求められますから、知らず知らずのうちに成長していくことになります。スキルを高めるために会社を独立する、というキャリアは十分にアリでしょう。

ただし、フリーランスのクリエイターにはいくつかのメリットとデメリットがあります。

メリットは、時間や場所を選ばず、自宅やコワーキングスペースなどで自分のペースで働けることでしょう。各地を旅しながら仕事をするワーケーションという働き方も選べます。仕事を選べるというメリットもあります。

ストレスを感じる仕事は避けられますし、出産や育児の間は仕事をセーブすることができます。会社員が育休を取る際に感じるやましさなどを、フリーランスは感じる必要がありません。また、スキル・実績次第では、会社員より高収入を得られる可能性もあります。

デメリットのほうは、仕事量を減らすと収入が減るということです。進化していくテクノロジーと価値観に合わせて、新しいスキルを身につけ、考え方を刷新していくことが常に必要になります。孤独に耐えられない、営業が向いていないと、会社員に戻っていく人もいます。

自分の適正がどちらにあるのか、ゆっくりと考えてみるとよいでしょう。

CHECK

・クリエイティブな仕事はインプットの量と質から生まれます
・会社員は挑戦的なプロジェクトに携われます
・常に最前線で戦うフリーランスという働き方

企画・マネジメントの代表的な職種と年収相場

クリエイティブ系プロジェクトの上流に位置する企画・マネジメント職の仕事内容と年収相場をまとめました。なかには新卒・未経験から応募・転職可能な職種もあります。

Webプロデューサー

WebプロデューサーはWebサイト制作全般を統括するのが仕事です。IT系のクリエイターの中では最も稼げる職業といわれており、平均年収は約557万円ですが、経験と能力次第では1000万円を超えることもあります。

Webプランナー

WebプランナーはWebサイト制作において、クライアントの希望を具体的な企画に落とし込みます。時には、取材やライティング、原稿チェックを担当することも。平均年収は450万円で、経験と実績に応じて収入が上がる傾向にあります。

Webディレクター

Webサイトに掲載する記事やページの企画・編集や制作のディレクションを行い、クライアントの期待に応えるのがWebディレクターです。平均年収は443万円。年収の差はスキルレベルに大きく依存しています。

デザインの代表的な職種と年収相場

デザイン系の代表的な職種の仕事内容と年収相場をまとめています。デザイナー職は一度手に職をつければ、テレワークやフリーランスなど働き方を選びやすい仕事といえます。

クリエイティブディレクター

クリエイティブディレクターは、広告制作やブランド制作などプロジェクト全体の進行と管理の責任を担っており、多彩なクリエイターをまとめることが主な仕事です。平均年収は500万円ほど。実績に応じて1,000万円を超えることもあります。

アートディレクター

アートディレクターは、広告やグラフィックデザイン、映像、空間デザインなどにおいて、美術分野の総合演出を指揮する役割にあります。年収の平均は約524万円で、認知度や評価が高まると収入も増える傾向にあります。

UIデザイナー

UI(User Interface)とはユーザーと製品やサービスをつなぐ接点のことで、UIデザイナーは見た目のデザインの魅力だけでなく、使いやすいデザインを実現することが仕事です。UIデザイナーの平均年収は約598万円と高い傾向にあります。

UXデザイナー

UX(User Experience)とはユーザーが製品やサービスに触れたときに得られる体験を指します。UXデザイナーはユーザーに「楽しい、心地良い」と感じさせる体験をデザインすることです。 年収は611万円ほどとなっています。

動画クリエイター

動画クリエイターは、テレビ、映画、Webなどのメディアに向けて動画コンテンツを制作しており、制作のプロセスごとにさまざまな役割があります。初心者でも年収300万円から400万円、スキルによって500万円以上の高収入を目指せます。

エフェクトデザイナー

エフェクトデザイナーは、主にゲーム開発において、光、炎、雷、煙、魔法陣、回復シーンなど、さまざまな視覚効果を制作します。年収は企業によって異なりますが約472万円程度で、スキルや経験によって大きく変動します。

モーションデザイナー

モーションデザイナーは、CG作品においてキャラクターに生き生きとした動きをつけていく専門職で、手付けで動きをつける場合と、モーションキャプチャーデータを使用する場合があります。年収は平均で約473万円と言われています。

3Dモデラー

3Dモデラーは、キャラクター、景色、乗り物など、あらゆるオブジェクトを3DCGで表現します。ゲームやアニメだけでなく建設業や製造業など多岐にわたる産業で活躍しています。年収は300万〜500万円ほど。個人制作でも活躍の場所を増やすことができます。

CGデザイナー

CGデザイナーには、モデラー、アニメーター、エフェクトアーティスト、コンポジターなどの仕事があります。CGデザイナーの平均年収は300万〜500万円ほどで、そのスキルは国際的にも通用するため、海外での就業機会も多く存在します。

Webデザイナー

Webデザイナーは、クライアントの要望に基づいてWebサイトをデザインするのが仕事です。レイアウトを組むだけでなく、HTML、CSS、JavaScriptなどを使用してコーディングも行います。平均年収はおよそ386万円で、実績や経験に応じて収入が増える傾向にあります。

アニメーター

アニメーターはアニメーション制作においてキャラクターに動きを与える専門職です。アニメーターの創造性はダイレクトに作品のクオリティに影響します。動画、原画、作画監督とスキルを高めることで収入を増やすことが可能で、作画監督の平均年収は538万円となっています。

イラストレーター

イラストレーターは雑誌や書籍、パンフレットやポスター、商品パッケージなどさまざまな媒体でイラストを制作しています。平均年収は約362万円。フリーランスの場合は仕事量によって収入が大きく変動し、スキルや実績が上がると高収入が期待できます。

グラフィックデザイナー

グラフィックデザイナーはクライアントのニーズを踏まえて、広告やブランディング、プロダクトのデザインを手がけています。広範囲にわたるデザインスキルが求められるだけに、平均年収は約478万円と、高い水準にあります。

エディトリアルデザイナー

エディトリアルデザイナーは、雑誌やカタログなど印刷物やデジタルメディアの編集とデザインを担当するデザイナーです。アシスタントからスタートすることが多いエディトリアルデザイナー、平均年収は300万〜400万円がボリュームゾーンになります。

フォトグラファー

フォトグラファーは写真撮影を専門としており、広告やメディア業界のほか、個人向けサービスやアート系など、多岐にわたるジャンルで活動しています。平均年収は一般的に300万〜400万円の範囲にあり、高い技術を持つフォトグラファーは高額な収入を得ることも可能です。

文章・コンテンツ制作の代表的な職種と年収相場

文章・コンテンツ制作系の代表的な職種の仕事内容と年収相場をまとめています。すぐれた言語感覚や、読者の心に届く言葉を選ぶ能力が必要とされますが、未経験者でも参入の可能性が高いのが執筆業です。キャリアプランを計画する際の情報収集にお役立てください。

コピーライター

コピーライターは、ブランドのイメージにフィットした広告文を創造しています。広告コピーは企業の広告戦略の核にもなることから、広告制作の重要な役割を担っているといえます。年収は350万円からスタートし、シニアレベルでは1000万円を超えることもあります。

シナリオライター

シナリオライターは映画やドラマ、アニメ、ゲーム、YouTubeなどさまざまなプラットフォームに向けてストーリーを構築しています。新人シナリオライターの平均年収は約300万円、キャリアを積めば年収800万円以上、という人も珍しくありません。

エディター

エディター(編集者)は、書籍や記事の制作に携わる仕事で、企画の立案だけでなく、取材や校正を行うこともあります。そして編集者やクライアントが執筆を依頼する相手がライターになります。ライター・エディターの平均年収は約382万円で、経験や能力によって変化します。

エンジニアリングの代表的な職種と年収相場

ITエンジニア系の代表的な職種の仕事内容と年収相場をまとめています。エンジニアの活躍の場は幅広く、それぞれ担う役割が異なります。

システムエンジニア

システムエンジニア(SE)の仕事は、クライアントのニーズに応じてITシステムやソフトウェアの設計や開発、運用、保守を行うことです。アプリケーション開発系のSEで平均年収は550万円ほど、要件定義や基本設計といった上流工程の経験を積むと年収が上がる傾向にあります。

プログラマー

プログラマーはプログラム言語をつかい、SEが作成した詳細設計に合わせてプログラミングを行うのが仕事です。プログラマーの年収は433万円ですが、使えるプログラミング言語や取得している資格によって年収は大きく変わっていきます。

フロントエンドエンジニア

フロントエンドエンジニアは、WebサイトやWebアプリケーション開発において、ユーザーが直接見る部分や操作できる部分の設計・開発を担うITエンジニアです。平均年収は550万。経験年数が長くなるほど平均年収が高くなっていきます。

HTMLコーダー

HTMLコーダーの仕事は、指定されたデザインの通りになるよう、HTMLやCSSなどを使ってWebページをコーディングすることです。HTMLやCSSは比較的簡単に学べるので、未経験からHTMLコーダーになる人も。平均年収は約410万円といわれています

マーケティングの代表的な職種と年収相場

マーケティング系の代表的な職種の仕事内容と年収相場をまとめています。それぞれの役割ごとに求められるスキルが異なるため、マーケターを目指す方は、それぞれの特徴を正しく理解しておくことが大切です。

上流・戦略設計マーケター

上流・戦略設計マーケターの仕事は、市場やクライアントの分析を行い、商品(サービス)を提供するために適切なマーケティング戦略を練ることといえます。平均年収は約484万円ですが、経験や求められるスキルによって大きく異なります。

広告マーケター

広告マーケターは、ターゲットユーザーのニーズをリサーチし、その結果をもとに自社商品(サービス)を売り出すのに適したメディアを選び、商品(サービス)の広告を出すことを仕事にしています。平均年収は400万円~500万円となっています。

PR・広報マーケター

PR・広報マーケターは、自社サービスの売上を上げることを目的に、自社サービスの情報発信やメディア対応などを行っています。広報戦略とデジタルマーケティングの融合が求められて生まれた新しい職種であり、平均年収は484.5万円ほどといわれています。

コンテンツマーケター

コンテンツマーケターはユーザーが必要としているコンテンツについてリサーチを行い、それに基づいてブログやオウンドメディアなどのコンテンツを企画します。企画によっては制作や運用を担当することもあり、平均年収は400~500万円ほどになります。

SNSマーケター

SNSマーケターはInstagramやTikTok、YouTube 、X(Twitter)といったSNSを活用したマーケティングを担当しています。注目を浴びているSNSマーケターですが、そもそもの顧客単価が低いため、年収相場は300~400万円が中心となっています。

SEOマーケター

SEOマーケターは、検索エンジンにおける検索者のニーズを理解したうえで、彼らが求める価値ある情報を提供し、検索者のアクセス数を増やすことを目的とする仕事です。平均年収は約438万円〜625万円で、フリーランスであれば1,000万円も目指せます。

ATTENTION

どの仕事も経験やスキル、資格の取得によって年収相場は高まっていきます。フリーランスであれば年収1000万円も夢ではありません。自身の適正にあった職種を見定め、経験を詰み、スキルを高め、キャリアを拓いていきましょう。

フリーランスのWebデザイナーの仕事内容や独立に必要なステップ。案件獲得・単価を上げる方法と将来性を解説

フリーランスのWebデザイナーに憧れているものの、「どんな仕事なのか?」「どうやって独立できるのか?」と悩みを抱えている方はたくさんいます。そこで今回は、具体的な仕事内容や案件獲得方法、将来性について解説します。

Webデザイナーは、Webサイトのデザイン制作を担当します。事業会社や制作会社で働くほか、フリーランスとして活躍している人も多いです。デザイン案件は外注されやすく、フリーランスのWebデザイナーは紹介をきっかけに仕事を獲得しています。とはいえ、ライバルが多く競争率が高いため、自分の強みを作ってアピールすることが重要です。

Webデザイナーの仕事

フリーランスのWebデザイナーについて、具体的な仕事内容や案件獲得方法について解説します。

Webサイトのデザインを担当し制作

Webデザイナーの仕事は、Webサイトのデザインを制作することです。最初にざっくりとしたレイアウトを決め、どこに何を置くか、どのくらいの文章をのせるかなど決めます。それからキービジュアルを設定し、Webサイト全体としてどのようなイメージにするかを決定します。

大まかな部分が決まったら、デザインを作っていきます。配色やアイコンなどの配置を決め、ロゴなどを制作します。クライアントと合意ができたら、コーディングを行い実際に要素を追加していきます。リリース後は、PVやクリック数などに応じてデザインを変えることもあります。

Webデザイナー主な業務範囲と案件の特徴

Webデザイナーは、どこに所属していても担当する業務内容はほとんど同じです。とはいえ若干の特徴の違いがあるため、自分がどんな働き方をしたいか考える際に役立ててください。

事業会社のケース

商品やサービスを扱う事業会社では、自社のWebサイトをデザインします。クライアント相手の仕事ではないため、常に納期に追われたりコミュニケーションが不足して振り回されたりといったことがありません。

自社の事業に付随したWebデザインだけを行うため、対応する業界の幅は狭いでしょう。また、Webデザイナーとして採用されても、Web以外のノベルティグッズやチラシなどのデザインを行うことがあります。

制作会社のケース

制作会社では、事業会社からの依頼を受けてWebサイトをデザインします。そのため、業界にとらわれず様々な商材を扱う企業のデザイン業務を経験できるでしょう。

また、Webディレクターは他の方が担当するので進行を任されるといったことがありません。

クライアント相手の仕事になるため、デザインについて知識のない担当者に振り回されることがあります。

フリーランスのケース

フリーランスは、自分で案件を獲得しなければなりません。デザインだけに集中できるわけではなく、営業活動や人脈作りなどをする必要があります。デザインにおける担当業務は、事業会社や制作会社と同様です。複数の仕事を受けられるため、効率よく働ければ収入を上げやすい点がメリットです。

  • 常駐型フリーランス

常駐型フリーランスとは、客先のオフィスに常駐するスタイルです。チームと意志疎通しやすく、ちょっとした相談も気楽にできます。しかし、働く場所の自由がなく、出社時間なども決められていることが難点です。

  • 在宅型フリーランス

在宅型フリーランスとは、オフィスに出社せず稼働するスタイルです。いつどこで働くかが自由なため、平日に休んで土日に働いたり、旅先で仕事をしたりといったことが可能です。しかし、メンバーとのコミュニケーション頻度は下がり、人脈も広がりにくいでしょう。

CHECK

・Webデザイナーは、Webサイトのデザインを制作する
・事業会社は自社のWebサイトを扱い、制作会社はクライアントのWebサイトを制作する
・フリーランスのWebデザイナーには常駐型と在宅型の2つの働き方がある

フリーランスのWebデザイナーの案件事情

フリーランスのWebデザイナーがどのような案件を担当しているか、どの程度の単価の案件が多いかを解説します。

Webデザイナーの案件数が多く外注されやすい

現在、Webデザイナーの案件は非常に多いです。インハウスでまかなう企業もありますが、外注するケースも多いため、フリーランスとして仕事が獲得しやすい職種だと言えるでしょう。

過去取引先や知人からの紹介が一般的な案件チャネル

新規案件の獲得方法は、過去の取引先や知人からの紹介が多いです。最初の仕事をしっかりこなしクライアントの期待に添えれば、「新しい商品を売り出すからLPのデザインを任せたい」「デザイナーを探している友人がいるから紹介したい」といった話が入ってきます。

これは、最初に与えられた仕事について、クライアントの満足度が高いことが条件です。「単価の安い案件だから」「時間が限られているから」といった事情があっても真摯に取り組むことで、次が広がります。

単価が高いWebデザイナー案件の特徴と単価相場

Webデザイナーの案件単価は、ページ数によって異なります。10ページ以下の小さいサイトであれば、40万円ほどのものもあります。ページ数が多ければ多いほど単価が高くなる傾向で、80ページを超えるような規模のものでは150万円以上もありえるでしょう。

また、ECサイトをゼロから構築していく案件であれば300万円以上となることもありますが、これは珍しいケースです。

Webデザインに付随した案件として、バナーの制作は1万円、LPのデザインは20万円ほどとなっています。ロゴのデザインは5万円前後が多いです。

案件をクラウドソーシングで獲得するケース

クラウドソーシングでの案件は、未経験でも挑戦できることが多いです。その分単価は安く、バナーの制作5000円、チラシのデザイン1万円といったものがあります。Webサイトの制作でも、小規模サイトで10万円程度の案件も見られます。

案件をエージェント経由で獲得するケース

エージェント経由で獲得する案件は、知識と経験、ポートフォリオが求められる分、単価は高い傾向です。Webサイトの制作でも、100万円を超える案件を見つけられます。

一方で、経験年数が長くても実績が少なければ高単価の案件は採用されにくいでしょう。

デザインコンテストやコンペに応募し獲得するケース

Webデザイナー向けのコンテストは、様々な企業や団体が主催しており通年で開催されています。それらにエントリーし賞を獲ることで、案件につながります。

また、コンペでデザイナーが決まるケースも多いです。これらも、エージェント経由同様に100万円以上の案件があります。その分、他のデザイナーに勝てるだけのスキルが求められるでしょう。

出来高制で働いた分だけ報酬が得られるフリーランスのリアル

フリーランスの最大の弱点は、収入が安定していないことです。たくさん働けば高い年収を得られますが、仕事がなかったり働く時間が短かったりすると、お金を稼ぐことができません。

自分独自の付加価値の難しさ

Webデザイナーとして収入を安定させるには、付加価値をつけることが大切です。

しかし、数多いるWebデザイナーの中で「自分の強みはこれだ」と言い切れるだけの付加価値を獲得するのは、簡単ではありません。デザイン能力を高めることはもちろん、Webマーケティングの知識を身につけたり、プログラミングスキルを獲得したりといった努力が求められます。

ライバルが多く競争性が高い

Webデザイナーはスタートのハードルが低いことから、ライバルの数が非常に多いです。クラウドソーシングでもエージェント経由でも常に人と比べられることになるため、競争に勝てる力がなければ案件は獲得できません。

自分のスキルを高めるだけでなく、これまでやってきた経験や自分の強みをクライアントにアピールする能力も伸ばしていきましょう。

案件単価が大きくブレるため収入が不安定

Webデザイナーの案件単価は、企業によって異なります。同じような業務を担当しても、予算がある企業からであれば高単価で、小さい予算で行っているプロジェクトであれば低単価ということもあります。

また、事前に見積もりを出しても制作が進んでいくうちに予定が変わってしまうケースもあり、それが収入の不安定化につながっています。

案件の取り組みではポートフォリオの掲載許可を事前に取っておく

安定的な収入を得るためにはポートフォリオが重要です。

しかし、案件によっては自分の名前を出せないケースもあるため、しっかりとクライアントに確認しておきましょう。特に駆け出しの間は、ポートフォリオとして掲載できる案件を優先的に獲得すると営業がしやすくなります。

CHECK

・フリーランスのWebデザイナーは収入が安定しておらず、付加価値が必須
・ライバルが多いため、案件獲得に向けて実績をアピールすることが大切
・営業ではポートフォリオが役立つため、案件が始まる際に掲載許可を確認する

稼げるWebデザイナーへのキャリアプラン

Webデザイナーとして稼ぐためには、しっかりしたキャリアプランを練っておくことが重要です。

未経験から独学でもWebデザイナーになることは可能

Webデザイナーは、未経験から目指せる職業です。フリーランスやノマドワーカーに憧れて始めるケースが多く、書籍やWebサイト、動画などで、Webデザイナーになるためにやるべきことが解説されています。

稼ぐWebデザイナーになるは制作の現場での実務経験が欲しい

Webデザイナーとしてデビューするのは簡単ですが、稼げるようになるには努力が必要です。効率的に稼げるフリーランスになるためには、まず社員やアルバイトとして制作現場での実務経験を積むとよいでしょう。

お金をもらいながらツールの使い方や仕事の流れといった基本を学べますし、プロとして活躍する先輩にデザインの相談ができたり、個人では縁のない大規模案件に携われたりといったメリットがあります。

独立の前に案件の確保や人脈の開拓をしておくと吉

フリーランスとして独立する前に自分の案件を確保しておくと、スムーズに立ち上げができるでしょう。また、会社での仕事を通じて人脈を開拓しておくことで、フリーランスになってからの有力な営業先が生まれます。

これらはもちろん、自分の仕事がクライアントに認められることが絶対条件なので、一つひとつの案件でしっかりと成果を残せるよう注力しましょう。

特定の取引先から継続的に仕事を得ることをまず最優先に

フリーランスとして安定した収入を得るには、リピート案件を獲得することが重要です。

一社から継続的に仕事を得られるよう、いくつか案件を得たら一度新規営業はストップし、手元の仕事のクオリティを高めるために時間を使いましょう。

CHECK

・自分で勉強し、経験ゼロからでもWebデザイナーになれる
・独立する前に社員やアルバイトとしてWebデザイナーの仕事を経験しておくとよい
・フリーランスになる前の案件確保が独立後の安定的な収入につながる

Webデザイナーの年収を上げるには

フリーランスWebデザイナーとしてどうすれば単価が上がるのか、具体的な方法を解説します。

制作スキルと同時に営業・交渉スキルを上げる

Webデザイナーとして生活していくためには、営業スキルが必要です。自分にできることやライバルより優れている点を、初めて会ったクライアントにも理解してもらえるようわかりやすく説明しなくてはなりません。

また、相手と交渉して納得できる報酬を手に入れる力も必要です。単に「報酬を上げてほしい」と言うのではなく、どういった点で高いパフォーマンスを出せるのか、どのような正当性があるのかなどを伝える必要があります。

サイトの要件を取り纏め提案するディレクションスキルを身につける

ディレクションスキルのあるWebデザイナーは現場で重宝され、年収アップにつながります。

Webサイトを作る時に、どのような目的で何が必要となるのか、要件をまとめて業務に落とし込めるようにしましょう。そのためにも、クライアントの求めている内容を正しく理解するヒアリングスキルを伸ばすことがおすすめです。

SEOを意識したコーディングスキルを身につける

Webサイトは、SEOをして上位表示されることが重要です。

そのために必要なコーディングスキルを身につけることで、多くの案件が集まるWebデザイナーになれます。HTMLの構文が正しいか、metaタグが適切に設定されているかなどをチェックすることで、より上位に表示されるWebサイトを制作できます。

JavaScript・PHPなどプログラミングスキルを身につける

Webデザイナーにはプログラミングスキルも必要です。特に、JavaScriptやPHPを理解していると仕事に役立つでしょう。どちらも初心者でも勉強しやすく、独学でも問題ありません。

JavaScriptはWebサイトにアニメーションを加えたり、ディスプレイ上にポップアップウィンドウを表示させたりする際に役立ちます。PHPはECサイトの構築やWordPressのプラグイン自作といった場面で活用できるでしょう。

特定ジャンルに対する専門性を高めポートフォリオを作る

「何でもできます」というWebデザイナーより、「美容系が得意です」「LPの経験が豊富です」など、強みがわかりやすいWebデザイナーの方が仕事が集まります。だからこそ、専門性を高めていきましょう。

ポートフォリオを作る際も、幅広くあれこれ載せるより何かに特化した形にするのがおすすめです。初めて見た人も「この人には○○を頼むと良さそうだ」と判断できるものに仕上げてください。

Webデザイナーの市場・業界の将来性と独立の道標

Webデザイナーの案件はどのような市場か、業界に将来性はあるか、独立までどのように歩めばよいかについて解説します。

Web制作の市場規模は年々拡大しているが案件単価は先細り

Web制作の市場規模は拡大傾向で、今後も多くの需要が見込めます。その一方で、案件単価は横ばいもしくは縮小すると予測されています。仕事はあるものの、稼げるWebデザイナーになれるのは一握りだということです。

生産性を高める制作スキルとしての「AI」を積極活用する

たくさんの案件を獲得して高収入なWebデザイナーになるためには、AIの活用がおすすめです。例えば、クライアントからヒアリングした要望やデータを入力し、ロゴのパターンやデザインイメージをAIで出力させられます。

最近では、ラフを作ったりワイヤーデザインを作ったりせずとも、直接Webサイトのデザインを作りコードの出力まで自動化できるようになりました。こういったツールを活用することでハイクオリティな仕事を短時間で完結できるようになり、たくさんの仕事を引き受けて収入を増やすことができます。

Webデザイン×専門スキルの得意領域を作る

Webデザインだけでなく、他の専門スキルを身につける方法もおすすめです。ただデザインができるだけのデザイナーはたくさんいますが、特定の専門スキルを持ったデザイナーの数は少なくなります。

コーディングやディレクションなど、Webサイト制作において役立つスキルを整理して、自分はどんな分野を伸ばせるか検討してみてください。

CHECK

・Webサイト制作の案件は増えるが、Webデザインの単価は右肩下がりだと予想される
・AIを活用することで仕事を効率化し、より多くの報酬を稼げる
・専門スキルを伸ばすことで、ライバルに負けないWebデザイナーになれる

Webデザイナーの仕事は、Webサイトのデザインを制作することです。フリーランスの場合、クライアント先に出社する常駐型と、自宅やカフェなどで稼働する在宅型があります。案件単価は制作するページ数によって異なりますが、ページ数が多いほど高単価です。Webデザイナーは未経験からでも目指せますが、まずは社員やアルバイトなどとして働いてから独立する方がおすすめです。

検索AIで情報収集「信頼性・拡張性があり業務効率化に“使える”ツール」正解はどれ?

昨今、さまざまな業務がAIによって効率化されていますが、「情報収集」もその1つです。

ネット空間に存在する膨大な量の情報やデータの海から、必要なものを探してピックアップし、まとめるのは大変な作業ですが、AIを活用すればその手間をかなり省くことができます。

ただし、AIによる情報収集ツールを使う際には、「集められた情報は本当に正確なのか」「欲しい内容がきちんと網羅されているか」「情報が使いやすい形にまとめられているか」といった部分が気になるところです。

今回は、主なAI情報収集ツールを取り上げ、上記のようなポイントも考慮しながら、そのメリット・デメリットや使い勝手について検証していきます。

検索AIは情報収集の業務を効率化するアシスタント

生成AIについて情報発信をしている「TomoAI」さんのnote記事『検索AIで情報収集をレベルアップ!Perplexity, Genspark, Feloを徹底比較』では、情報収集に使う「検索AI」について、「簡単に言うと、検索AIは、みんなが普段使っている検索エンジンの進化版みたいなもの」と説明しています。

従来の情報収集は、自分でインターネット検索をして、表示された検索結果を1つずつ確認し、情報をまとめる必要がありました。その点、検索AIは質問をするだけで適切な情報を探索してまとめてくれるので、情報収集が効率化されます。

キーワードを駆使して自分で情報を探す手間が省け、AIが最適な答えを見つけてくれるという、優秀なアシスタントのような存在といえます。

情報収集の専門ツール

ここからは、検索AIについて、まず「情報収集の専門ツール」として開発された代表的なサービスをピックアップします。

ビジネスや学術分野での情報収集やコンテンツ作成をサポートするPerplexity AI。情報ソースをAIが分析し、迅速なファクトチェックを可能にするGenspark。そしてプレゼン資料作成やマインドマップ生成を支援する機能を備えたFelo AIの3つです。

情報の信頼性が確認しやすいか、業務効率化や生産性向上に貢献してくれるか、といった実際の使い勝手を想定しながら、検証していきます。

複数の引用元から関連する情報をまとめて教えてくれる「Perplexity AI」

まず、情報収集の専門ツールとして取り上げるのはPerplexity AIです。従来の検索エンジンなどと異なり、ユーザーの質問に対してAIがWeb上の膨大なデータから最適な情報を抽出し、要約して提供してくれる点が特徴です。

ビジネスでのリサーチから、コンテンツ作成の準備、学術論文の調査など、さまざまなシーンで活用できるAIツールです。

AIの活用事例や最新情報の調査と検証を行っている「AI-Bridge Lab(エーアイブリッジラボ)」のnote記事『【Perplexity】生成AI検索で情報収集の質とスピードが大幅アップ!』では、主なメリットとして、迅速な回答の提供、引用元の表示、多言語対応、無料で利用できる点が挙げられています。

一方で、専門的な分野での精度や情報収集の範囲には課題もあるとのこと。

「ハヤシ シュンスケ」さんのnote記事『【初心者向け】Perplexity AIの使い方を完全解説!AI検索エンジンで情報収集を効率化』では、Perplexity AIについて「検索バーに質問を入力するだけで回答と情報源がまとめて表示され、従来の検索エンジンのように検索結果を一つ一つ開く手間が省ける」と評価しています。

検索結果をまとめて保存するコレクション機能や、有料のPro版で利用できる画像・ファイル分析など、高度な機能もメリットとして紹介されています。

「むろしょう@ひとり旅好きのKindle作家」さんのnote記事『Googleを超えた情報収集AI「Perplexity」の使い方とは?ChatGPTだけじゃない生成AI』では、ChatGPTとの違いについても語られています。ChatGPTが広範』なトピックに対応した対話型のツールで、創造的なアイデアや会話を提供するのに対し、Perplexity AIは情報収集に特化し、Web上の最新情報を自動で集約、リサーチの効率化に優れているとしています。

ファクトチェックの手間が大きく省ける「Genspark」

続いて取り上げる情報収集専門ツールはGensparkです。2023年に登場した次世代のAI検索エンジンで、対話形式で質問を受け付け、検索結果に基づいて自動的にSparkpagesと呼ばれるカスタムページが生成されます。このページには、AIが収集・整理した関連情報が表示され、チャットウィンドウに追加の質問を入力して、情報を深掘りすることもできます。

ヒト起点のマーケティング×デザインでビジネスを前進させる企業「CUEBiC(キュービック)」のnote記事『検索AIの金字塔なるか!?Gensparkのファクトチェック機能が凄すぎた』では、Gensparkのファクトチェック機能が特に評価されています。

AIが情報の正確性を自動的にチェックし、情報源に記載された文章を分解して個別に検証することで、誤情報を特定しやすくしているとのこと。

これにより、従来の検索エンジンによるリサーチではユーザー自身が参照元へアクセスして行う必要があったファクトチェックが簡素化できます。Gensparkでは、引用した部分をスクリーンショットしてくれるため、ユーザーが引用元へアクセスする面倒がなく、大幅な時間短縮になります。

デメリットとしては、モバイルアプリが未提供である点と、現在(2025年1月)は全機能が無料であるものの今後は何らかの制限や有料メニューが設定される可能性がある点が指摘されています。

情報収集だけでなく資料作成までカバーする日本発のAIツール「Felo AI」

最後の専門ツールはFelo AI、日本発のAI検索エンジンです。単なる検索機能を超え、情報収集から資料作成までを効率化することができる点が大きな特徴で、膨大なデータベースから関連性の高い情報を瞬時に取得し、自動で要約やプレゼン資料を生成することができます。

イノベーティブジャパン代表取締役の「浅見純一郎」さんのnote記事『Felo AI検索エンジン完全ガイド:ビジネスに役立つ情報収集と資料作成の新常識』では、Felo AIの主な機能として情報収集に加えて、プレゼン資料作成とマインドマップ生成が紹介されています。

情報収集機能は、学術論文などから迅速にデータを収集し要約して提供するため、従来の検索エンジンよりも効率的だと評価しています。

このほか、プレゼン資料の作成機能では検索結果を基に自動でスライドが生成され、マインドマップ機能では情報同士の関連性を視覚的に整理してくれるので、業務の効率化が期待できると紹介。市場分析、リサーチ、コンテンツ制作などビジネスシーンでの活用にマッチしやすいといえるでしょう。

Felo AIは基本機能が無料で利用でき、有料プランではさらに多機能が提供されます。今後、ビジネス環境での重要なツールとして、さらに進化することが期待されます。

情報収集専門ツールは一長一短

ここまで3つの「情報収集専門ツール」を見てきました。それぞれに強みとなる特徴があり、どんな使い方や要件を求めているかによって、ベストといえるツールが変わってくるように思われます。

引用元も含めて収集した情報を表示する「一覧性」を重視するならPerplexity AI、情報の正確性とファクトチェックの効率化を求めるならGenspark、プレゼン資料やマインドマップの作成といった「情報収集後の工程」までを見据えるならFelo AIにそれぞれ強みがあり、ニーズによって使い分けても良さそうです。

汎用プラットフォーム系のツール

続いて、汎用プラットフォームが提供するサービスを情報収集ツールとして応用する場合を検証していきます。

ビジネスや学習、創作活動の効率化を進める強力なAIツールとしてGoogleが提供しているGemini 2.0と、Microsoft×Open AIの検索エンジン搭載チャットツールBing AIです。これらが情報収集のツールとしても使えるのか、収集の精度や拡張性も含めて見ていきます。

Google発のAI「Gemini 2.0」は情報収集機能も充実

汎用プラットフォーム系のツールとしてまず取り上げるのはGemini 2.0です。Googleが開発した次世代AIモデルで、サブスクリプションプランであるGemini Advancedで提供されています。

テキスト、画像、動画、音声、コードなど多彩な情報を統合して処理できる「マルチモーダル」対応が特徴で、長大なデータを一気に解析する圧倒的な処理能力を持っています。

IT企業のエンジニアをしている「###dalhi###」さんのnote記事『Google発の次世代マルチモーダルAI『Gemini2.0』徹底解説:Deep Research搭載で情報収集を劇的効率化!』では、このGemini 2.0を情報収集の観点からも検証しています。ChatGPTのように膨大な情報の要約や解析ができるだけでなく、「Deep Research」というAI検索機能により、莫大な時間を費やしていた情報収集作業がかなり効率化されるといいます。

これは大量のWebサイトから一括で情報を収集し、参照元もリスト化するもので、要約レポートも自動で生成してくれます。膨大な数のサイトを1つずつ巡回する手間が省け、リサーチや資料作成にかかる時間が大幅に短縮されます。ただし、Deep Researchは今のところ英語版で利用可能な機能のため、日本語による情報ソースの探索には課題がありそうです。

もう1つ、Gemini 2.0のメリットとしてはGmailやGoogleドライブなどGoogleエコシステムとの連携がしやすい点が挙げられています。収集した情報をGoogleドキュメントやスプレッドシートに直接出力でき、業務の効率化に大きく貢献してくれます。

Microsoft×Open AIの検索エンジン内蔵ツール「Bing AI」

汎用プラットフォーム系のツールとして、次にBing AIを紹介します。Microsoftの検索エンジンBingにAIチャット機能を搭載したサービスで、ChatGPTと同じくOpen AI社が開発した大規模言語モデル「GPTモデル」が採用されています。

株式会社バーグハンバーグバーグのライター「品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)」さんのnote記事『Bing AIのチャットができること』では、Bing AIのチャット機能でさまざまなコンテンツ生成を試したテストの様子が紹介されています。

ジョークや俳句を考えさせる、漫才や裁判などシチュエーションを設定してロールプレイをさせてみる、おじさん構文やラップバトル、なぞなぞなど、特定のフォーマットの中で文章を生成させる、といったテストを実施して、「かなり高度に文脈を読めている」と評価しています。

一方で、「情報収集よりも文章形成が中心では」とも指摘しています。

実際には、Bing AIは文章や画像などの生成ができるだけでなく、情報収集の機能も持ち合わせています。Bing AIに質問を入力すると、回答とともにその根拠となるサイトのURLが表示されます。時事ネタや天気についての質問に対してもリアルタイムの情報が表示される特徴があります。

Bing AIが参照したWebサイトが明記されることでデータのソース・出典を簡単に確認でき、情報の正確性が検証できるものの、ユーザーがソースのURLにアクセスするという手間はある程度考慮する必要がありそうです。

また、収集した情報の出力方法も箇条書きや表などが指定できますが、そのままプレゼン資料を生成するといったシームレスな連携はまだ弱いといえます。

プラットフォーマー対決はGoogleが一歩リードか

Google発のAIツールであるGemini 2.0とMicrosoft×Open AIによるBing AIを見てきましたが、情報収集という観点に絞った場合はGemini 2.0が優れているように思われます。

参照元も含めて要約レポートを自動生成してくれるDeep Researchの存在がやはり大きく、サイト巡回にかかる時間と労力の削減は大きな魅力です。

Googleドライブ、ドキュメント、スプレッドシートなどとの連携でデータの扱いがよりスムーズになる点も、作業の効率化に貢献するでしょう。

対して、Bing AIは基本的にはAIチャットツールと考えるべきで、情報収集ツールとしても使えるものの、情報ソースへのアクセスや資料生成などの拡張性においては情報収集の専用ツールに及ばないのが現状といえます。

情報収集ツールAIのまとめ

今回はAIによる情報収集ツールを5つ見てきました。実際にビジネスやアカデミックなシーンで正確かつ網羅的なリサーチを行うとなると、やはりプラットフォーム系のツールよりは専用ツールとして開発・提供されているサービスの方が優れているといえるでしょう。

もちろん、それほど求められるレベルがシビアではなく、日常的な検索行動の延長として何かについて少し詳しく調べたいというニーズであれば、プラットフォーム系のツールも十分に恩恵を与えてくれる存在です。慣れ親しんだプラットフォームの中でそのまま利用できる点もメリットとなります。

自分がどんなレベルの情報収集を求めているのか、そしてツールごとの得意不得意を吟味しながら、最適なツールを選んでみてください。

フリーランスのクリエイティブディレクターの仕事内容や独立に必要なステップ。案件獲得・単価を上げる方法と将来性を解説

フリーランスのクリエイティブディレクターに憧れているものの、「どんな仕事なのか?」「どうやって独立できるのか?」と悩みを抱えている方はたくさんいます。そこで今回は、具体的な仕事内容や案件獲得方法、将来性について解説します。

クリエイティブディレクターの仕事は、広告制作現場を統括することです。具体的な業務として、クライアントとコミュニケーションを取りながら企画を考え提案し、進捗を管理をします。しかし、現場によってはクリエイティブディレクターがディレクションだけでなく手を動かすケースもあります。とはいえ、これからの時代は、経営戦略視点から仕事ができるクリエイティブディレクターのもとに仕事が集まるでしょう。

クリエイティブディレクターの仕事

フリーランスのクリエイティブディレクターについて、具体的な仕事内容や案件獲得方法について解説します。

広告制作の全体的な監修を担うプロジェクト全体の責任者

クリエイティブディレクターは、広告制作においてプロジェクトの責任者を務めます。全体を統括し、クライアントの要望したものが適切に作られているか、各工程で確認します。

クリエイティブディレクター主な業務範囲

クリエイティブディレクターの仕事は、主に3つにわかれます。

1つ目が、クライアントとのコミュニケーションです。依頼があってから「どんな商品やサービスを、どのようなターゲットにアピールしたいのか」「どのようなイメージを持たせたいか」「どのような結果を求めるか」などを明確にしていきます。

2つ目が、企画・提案です。クライアントからの要望と予算をもとに、広告を企画します。内容を始め、どういった媒体でいつどのように公開するかも検討事項です。内容が固まったらクライアントに提案し、詳細をすり合わせていきます。

3つ目が、進捗管理です。クライアントと合意が取れたら制作に入り、スケジュール通りに進んでいるかをチェックします。デザイナーやライター、フォトグラファーなど、様々なクリエイターとコミュニケーションを取りながらそれぞれがスムーズに仕事を進められるよう管理していきます。

事業会社のケース

事業会社でクリエイティブディレクターを行う場合、プロジェクトメンバーの豊富さによって業務内容が変わります。クリエイターが社内にいれば管理業務がメインになりますが、人員が足りない場合はクリエイティブディレクターも作り手として手を動かすケースもあります。

制作会社のケース

制作会社には広告を作るプロが集結しているので、ディレクション業務に専念できることが多いです。クライアントは、事業会社の場合と広告代理店の場合があります。広告代理店が入る場合は、クライアントとのコミュニケーション業務は少なくなるでしょう。

広告代理店のケース

広告代理店では、自社で制作まで行う場合と、制作は下請けに依頼する場合があります。いずれにせよ、クライアントとコミュニケーションを取りながら企画を提案し、進捗を管理するといった大まかな業務の流れは変わりません。

フリーランスのケース

フリーランスの場合、誰と契約を結ぶかで業務内容が変わります。事業会社であればクライアントが直接の発注主となるため、密にコミュニケーションを取りながら業務を進めます。広告代理店や制作会社の場合、クライアントとどのくらい連携するかはプロジェクトによるでしょう。

アートディレクターとの業務範囲の違い

アートディレクターはビジュアルに関する責任者で、デザインなどを管理します。クリエイティブディレクターはビジュアルを始めとしたクリエイティブのすべてを管理するため、責任の範囲がより大きいと言えるでしょう。

広告制作全体の責任者とクリエイティブの責任者

前述の通り、クリエイティブディレクターはプロジェクト全体の責任者を務めます。クリエイティブの管理を行い、そのクリエイティブをどう活用するかまで介入することもあります。

会社規模によっては職種の線引きが曖昧なことも

人手が足りない場合、クリエイティブディレクターがコピーを考えたりデザインを作ったりすることもあります。プロジェクトの規模や内容によっては、線引きがあいまいになることも少なくありません。

CHECK

・クリエイティブディレクターは、広告制作においてプロジェクトの責任者となる
・主な仕事は、クライアントコミュニケーション・企画提案・進捗管理
・自分の所属する会社によって、業務内容は異なるケースがある

フリーランスのクリエイティブディレクターの案件事情

フリーランスのクリエイティブディレクターがどのような案件を担当しているか、リアルな事情を解説します。

クリエイティブディレクターの案件は高単価だが案件数が少ない

クリエイティブディレクターの案件は、他のIT職種に比べると高単価だと言えます。しかし、1つのプロジェクトに1人しか必要なく、クライアントから気に入られればリピートもされるため、公募されている案件数は少なめです。

広告代理店や事業会社への直接営業が一般的な案件チャネル

クリエイティブディレクターの案件を得るためには、広告代理店や事業会社に直接営業するとよいでしょう。

募集が出ていなくても人手不足なケースは珍しくないので、自分のスキルを上手くアピールできれば案件獲得につながります。

単価が高いクリエイティブディレクター案件の特徴

大手企業がクライアントとなる案件は、高単価になりやすいです。というのも、中小企業に比べて予算が高額になりやすく、その分人件費にかけられる金額も増えているためです。

また、大規模プロジェクトも単価が上がりやすい傾向にあります。

案件をクラウドソーシングで獲得するケース

クラウドソーシングでは、数は少ないですが小規模なプロジェクトが募集されていることがあります。相場は5万円程度など低めで、案件のジャンルに特に偏りはありません。

案件をエージェント経由で獲得するケース

クリエイティブディレクターの案件は、エージェント経由でよく見つかります。広告チラシなど小さい案件であれば数万〜10数万のこともありますが、大きなものだと100万円近くのものもあります。

CHECK

・案件獲得には、広告代理店や事業会社にへの直接営業がおすすめ
・大手企業の案件や大規模プロジェクトは高単価になりやすい
・クラウドソーシングよりエージェントの利用の方が高単価の案件を獲得しやすい

クリエイティブディレクターへのキャリアプラン

フリーランスのクリエイティブディレクターになるため、どのようなキャリアプランがあるか解説します。

クリエイティブディレクターは広告制作の現場での経験が不可欠

フリーランスのクリエイティブディレクターになるには、広告制作での現場経験が必要です。未経験から独立することはほとんど不可能なので、まずは修業をしましょう。

プランナーやアートディレクターを経てキャリアアップ

クリエイティブディレクターの修業として、プランナーやアートディレクターを務めるのもおすすめです。プランナーは企画立案を、アートディレクターはクリエイティブのビジュアル管理を行うため、どちらもクリエイティブディレクターとして役立つ業務です。

こうした職種から現場経験を積むことで、独立後も案件を得られるクリエイティブディレクターになれます。

未経験者はコピーライターやデザイナーとしてまずは広告制作の経験から

広告制作の経験が一切ない方は、コピーライターやデザイナーがおすすめです。これらは未経験者の募集もよく出ており、まったく違う業界から広告業界に参入することができます。

独学でもある程度のスキルを得られますが、企業に入ることでより多くの案件に恵まれます。

CHECK

・フリーランスのクリエイティブディレクターになるためには、まず広告制作で現場経験を積む
・プランナーやアートディレクターからクリエイティブディレクターにキャリアアップできる
・広告制作の現場経験がない人はコピーライターやデザイナーがおすすめ

クリエイティブディレクターの年収を上げるには

フリーランスクリエイティブディレクターとしてどうすれば年収が上がるのか、具体的な方法を解説します。

実績を積みより大規模なプロジェクトを獲得する

年収を上げるためには、大規模プロジェクトに参加する必要があります。ここで必要になるのが、アピールできる実績です。大きなプロジェクトでクリエイティブディレクターという責任者を務めるには、クライアントが信用できる過去が必要となります。自分がこれまで携わった大きなプロジェクトについて、しっかりまとめましょう。

案件単価を上げるために知識・スキルを研鑽する

クリエイティブディレクターとして高収入を目指すには、知識やスキルが必要です。

成果が出る企画を出すため問題解決力・コンサルスキル

広告制作の現場はいつでもスムーズに進むとは限りません。何かトラブルが起きて、不測の事態に対応しなくてはならないこともあります。また、クライアントの要望と実際にできることとの乖離が生まれることも珍しくありません。

だからこそ、問題解決能力とコンサルティングスキルが必要です。正解の定まっていない問題を解決に導き、クライアントの思いを現実的に実現できるようになると、需要が高まり高収入につながります。

効果を出すためのマーケティングの知識

広告はただ制作すればよいというものではなく、商品やサービスの認知拡大や売上増加といった目的を達成しなくてはなりません。

だからこそ、マーケティングの知識は必須です。特にWeb広告やSNS広告などはトレンドの移り変わりが速く、常に勉強していなければ知識がどんどん古くなってしまいます。高い収入を得られるクリエイティブディレクターになるためには、常に最新情報を追いかけなくてはなりません。

制作進行管理を円滑にするため現場の制作スキル

複数のクリエイターが参加する広告制作の現場では、進行が遅延することもしばしばあります。そんな中で、質を担保しながらスピードを上げて遅れを取り戻すよう働きかけるのが、クリエイティブディレクターの仕事です。

クリエイターがスムーズに仕事ができるよう、前もってサポートをして何かあればすぐに対応するといった、現場でのスキルを高めましょう。

CHECK

・高単価案件を得るためには、実績を積んで大規模プロジェクトに参加する
・進行の基礎スキルと問題解決能力やコンサルスキルが、年収アップに役立つ
・マーケティングの知識を学び、売上に寄与するアイデアストックも重要

クリエイティブディレクターの市場・業界の将来性

フリーランスのクリエイティブディレクター市場がどうなっているか、業界の将来性とともに解説します。

インターネット広告の市場規模は年々拡大

インターネット広告市場は、どんどん拡大しています。2023年には検索連動型広告が1兆729億円を突破し、運用型広告は2兆3,490億円、動画広告は6,860億円を記録しました。

今後も拡大傾向は続くと考えられているため、クリエイティブディレクターの需要も右肩上がりとなるでしょう。

広告代理店だけでなくゲーム・アプリ開発会社などの企業でも需要が拡大

クリエイティブディレクターの活躍の場は、少しずつ広がっています。広告代理店だけではなく、ゲーム会社やアプリ開発会社でも多くの広告が作られているためです。

ゲームやアプリはこれからも拡大傾向であるため、それに付随してクリエイティブディレクターの需要も大きくなっていくと考えられます。

市場で求められるのは経営戦略視点から仕事ができる人材

これからの時代、経営戦略視点を持ちながら業務に従事できるクリエイティブディレクターが重用されます。

制作する広告だけに注目するのではなく、その広告が企業にどのような影響をもたらすか、商品やサービスのイメージが変わることで企業イメージも変わるのかなど、より上流のマインドを持つことでリピートされるクリエイティブディレクターになることができます。

CHECK

・インターネット広告市場の拡大と共に、クリエイティブディレクターの需要も高まる
・ゲーム会社やアプリ開発会社からもクリエイティブディレクターが求められている
・経営戦略視点を持つことで、よりビジネスとして一皮むけた上流の仕事ができるようになる

フリーランスのWebプロデューサーの仕事内容や独立に必要なステップ。案件獲得・単価を上げる方法と将来性を解説

フリーランスのWebプロデューサーに憧れているものの、「どんな仕事なのか?」「どうやって独立できるのか?」と悩みを抱えている方はたくさんいます。そこで今回は、具体的な仕事内容や案件獲得方法、将来性について解説します。

Webプロデューサーとは、Webサイトの制作プロジェクトにおいて、予算管理や計画立案を行う仕事です。プロジェクトメンバーの策定やクライアントへの対応など、幅広い業務を担っています。現在Web制作の市場は伸びているため、Webプロデューサーの需要も高まっています。しかしAIに代替されるリスクもあるため、PdMとしてより上流の工程も担えるようになるとよいでしょう。

Webプロデューサーの仕事

フリーランスのWebプロデューサーについて、具体的な仕事内容や案件獲得方法について解説します。

予算管理や計画立案を担うWebプロジェクト全体の責任者

Webプロデューサーの仕事は、Webサイトの制作プロジェクトにおいて、予算管理や計画立案を行うことです。Webディレクターの上のポジションとして、プロジェクト全体を幅広く統括します。具体的には、下記のような仕事を担当します。

  • 予算策定、管理
  • プロジェクトメンバーの策定
  • クライアント管理
  • 企画立案
  • 進行管理
  • 納品後のフォロー

Webプロデューサー主な業務範囲

Webプロデューサーの仕事は基本的にどこでも似ていますが、どんな企業に属しているかによって若干の違いがあります。それぞれについて確認し、自分がやりたい仕事によって所属先を選びましょう。

事業会社のケース

事業会社では、自社の商品やサービスを広めるためのWebサイトを制作します。リソースが足りず、広告代理店や制作会社に依頼するケースも多いです。自社のみで作る場合は、販促プロモーションなどWebサイト制作後の部分まで担うこともあります。

事業会社のWebプロデューサーは、予算策定・管理、企画立案、進行管理、運用などを担当します。

制作会社のケース

制作会社では、クライアントや広告代理店からの依頼を請け負います。様々なクライアントがいるため、業界やジャンルが絞られません。

制作会社のWebプロデューサーは、予算管理、プロジェクトメンバーの策定、クライアント管理、企画書作成、進行管理、納品後のフォローなどを担当します。

広告代理店のケース

広告代理店では、クライアントの商品やサービスをプロモーションするために制作します。自社だけで作ることもあれば、制作会社と協力することも少なくありません。出来上がったWebサイトをどう活用していくかまでコミットするケースも多々あります。

広告代理店のWebプロデューサーは、予算管理、プロジェクトメンバーの策定、クライアント管理、企画立案、進行管理、納品後のフォローなどを担当します。

フリーランスのケース

フリーランスのWebプロデューサーとして活躍している方も大勢います。予算や仕事内容は、契約先によって異なります。

制作会社と契約を結んだ場合は制作会社の業務を、広告代理店と契約を結んだ場合は広告代理店の業務を行うことが多いでしょう。事業会社と直接契約を結ぶケースは、それほど多くはありません。

Webディレクターとの業務範囲の違い

Webプロデューサーは、Webディレクターと混同されることがありますが、それぞれの仕事内容は異なります。

計画の責任者と実行部隊の現場監督

仕事内容の住み分けとして、Webプロデューサーが計画を立て、Webディレクターが実行していきます。

例えば、クライアントと相談しながら企画書を作り、全体のレイアウトを策定するのはWebプロデューサーの仕事です。ここでできた企画書をもとに、デザイナーやライターなどに仕事を発注してWebサイトを実際に作っていくところを管理することが、Webディレクターの役割となります。

現場では職種の線引きが曖昧なことも

人員が不足しているプロジェクトの場合、Webプロデューサーがデザインなど手を動かすこともあります。作業をしないとしても、進行管理を細かくするためには現場での知識が必要なため、UI/UXの知識やプログラミングの知識などがある程度は求められます。

CHECK

・Webプロデューサーは、Webサイトの制作プロジェクトにおいて全体を統括する
・Webプロデューサーの仕事内容は、予算策定、企画、進行管理、納品後のフォローなど多岐
・Webプロデューサーが立てた計画をもとに、Webディレクターが制作管理を実行していく

フリーランスのWebプロデューサーの案件事情

フリーランスのWebプロデューサーがどのような案件を担当しているか、リアルな事情を解説します。

Webプロデューサーの案件は高単価だが案件数が少ない

Webプロデューサーの案件は、比較的高単価であることが多いです。しかし、案件数は少なく、営業の際にアピールできる実績があまりない方が新しい案件を獲得するのは非常に大変です。

広告代理店やWeb制作会社への直接営業が一般的な案件チャネル

Webプロデューサーの仕事を得るには、広告代理店やWeb制作会社に営業をかける方法がおすすめです。仕事が多く人員が足りていないこともあるため、そのまま採用されることもあります。営業の際には、過去に自分がどのようなWeb制作に携わってきたかをわかりやすくアピールしましょう。

単価が高いWebプロデューサー案件の特徴

小規模なプロジェクトより大規模なプロジェクトの方が、単価が高い傾向です。制作期間や予算が大きく、Webプロデューサーの仕事量も多くなります。また、求められるスキルも高くなるため、経験の浅い方はなかなか獲得しにくいでしょう。

また、ニッチな業界の案件も単価が高くなります。業界知識を持ってプロデュースできる人員の希少価値が高くなるため、より高額な報酬を狙えます。

案件をクラウドソーシングで獲得するケース

クラウドソーシングでは、Webプロデューサーの仕事はほとんど見つかりません。クラウドソーシングは難易度が低く低単価の案件が集まりやすいため、高単価なWebプロデューサーの仕事が掲載されにくいためだと考えられます。見つかったとしても、実際にはWebディレクターの仕事を行う案件だったというケースもあります。

案件をエージェント経由で獲得するケース

Webプロデューサーの仕事は、エージェント経由であれば見つかりやすいです。単価は40~80万円/月ほどで、クライアントへのヒアリングや数値分析・改善といった業務も盛り込まれた案件は比較的高額です。また、大手の案件であれば1案件で100万円を超えることもあります。

Webプロデューサーへのキャリアプラン

フリーランスのWebプロデューサーになるため、どのようなキャリアプランがあるか解説します。

プロデューサーは資格こそ必要はないが実績がすべて

Webディレクターは資格職ではありません。だからこそ、実績がすべての世界です。案件を獲得する時には、「自分がどんなプロジェクトに携わってきたか」「どのような業務を経験しているか」をアピールする必要があります。

過去の実績をまとめたポートフォリオなどの資料があると、非常に役立つでしょう。

Webディレクターの経験からキャリアアップ

最もスムーズなキャリアプランは、まずWebディレクターとして実績を作り、そこからWebプロデューサーにキャリアアップする流れです。

Webプロデューサーは現場での知識が求められるため、Webディレクターとして制作現場の流れを理解し、各クリエイターの進捗管理をする経験が役立ちます。

未経験者はWeb職種でまずは現場経験から始める

Web関連の仕事が全くの未経験の場合、まずWebプロデューサーの仕事は見つかりません。Webディレクターの仕事も、見つけるまで苦労するでしょう。そこで、何らかのWeb職種で現場経験を積む方法もあります。

デザイナーやライター、フォトグラファー、プログラマーなど、自分にあった職種を選び、まずは「Web制作とはどんなものか」「どんなクリエイターがどんな仕事をしているか」など、全体感をつかみましょう。

CHECK

・Webプロデューサーの案件は広告代理店やWeb制作会社から得やすい
・Webプロデューサーの仕事はエージェント経由で見つけやすく、単価は40~80万円/月程度
・Webプロデューサーは資格こそ必要はないが実績がすべて

Webプロデューサーの年収を上げるには

フリーランスWebプロデューサーとしてどうすれば年収が上がるのか、具体的な方法を解説します。

予算管理・計画から実績に再現性を持たせる

Webプロデューサーとして年収を上げるには、実績に再現性を持たせることが重要です。「たまたま人材が潤沢だったからうまくいった」といった実績では、クライアントからしても「本当に信用してよいのか」と不安になります。

だからこそ、過去のプロジェクトでどのように予算管理を遂行したのか、どのように計画を立案したかを分析し、再現性を持たせなくてはなりません。その経験を次のプロジェクトでどのように活かすのか、論理的にアピールすることでより高単価な案件の獲得につながります。

Webディレクションのスキルを尖らせる

Webプロデューサーにとって、Webディレクションのスキルは必要です。Webプロデューサーになってからもディレクション能力を伸ばすことで、市場価値を高めて年収を上げることができます。

タスクやスケジュール、予算を管理するスキルはもちろん、どんなメンバーとも良好なコミュニケーションをとったり、プログラミングやデザインといったWeb制作の知識を高めたりするとよいでしょう。

Webマーケティングの知識を広げる

Webサイトは商品やサービスの販促に活用されるため、Webマーケティングの知識があると重宝されるWebプロデューサーになれます。

サイトに訪れるユーザーにあわせ、コンテンツを考案すること。ドメインやサーバーを最適化すること。運用後のWebサイトを分析して改善点を明らかにすることなどができると、年収アップにつながるでしょう。

CHECK

・自分の実績に再現性を持たせると年収が上がる
・Webディレクションの能力を高めると年収アップにつながる
・高単価な案件を得るため、Webマーケティングの知識を身につけるのがおすすめ

Webプロデューサーの市場・業界の将来性

フリーランスのWebプロデューサー市場がどうなっているか、業界の将来性とともに解説します。

Web制作の市場規模は緩やかに拡大

Web制作市場は、現在少しずつ拡大しています。今やどんな小さな企業でもHPを持つのが当たり前になっており、商品やサービスごとにLPを作ることも多いです。

また、集客のためにオウンドメディアを運営するケースも増えています。こういった中でWeb制作の需要は伸びており、付随してWebプロデューサーの案件も増えています。

Web制作の作業は生成AIに代替される可能性

Webプロデューサーの仕事は、生成AIに代替される可能性がゼロではありません。例えば予算管理では、AIが事前に最適な予算を配分し、常に適切に使われているかを管理できます。

また、クライアントからの要望をベースとした企画書の作成などもAIが実行できるでしょう。

市場で求められるのはPdMの役割を担える人材

AIの脅威がある中で重要となるのが、PdMの役割を担えるWebプロデューサーです。Webプロデューサーよりさらに上流工程に携わり、サービスや製品の企画、戦略やコンセプトの策定から担います。

まずはWebプロデューサーとして経験を積み、PdMの仕事もできるようスキルアップしていくと、長期的に活躍できるフリーランスになれるでしょう。

CHECK

・Web制作市場の拡大につれて、Webプロデューサーの仕事も増えていく
・Webプロデューサーの仕事は生成AIに代替されるリスクがある
・AI時代も活躍するには、PdMの仕事もできるようになることが大切

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