【営業ロードマップDL】フリーランス初めての営業活動で案件を獲得|価格設定の考え方とチャネル別営業の実践法

フリーランスになったばかりの方が最も悩むのは、「どうやって案件を獲得すればよいのだろう」という点ではないでしょうか。特にスキルやコネクション、実績がないうちは、営業が上手くいかないことも多いものです。

今回は、フリーランスの案件獲得方法について解説します。具体的なプロセスやどういった手段があるのかなど紹介するので、これから仕事をどんどん取りたい方はぜひ参考にしてください。

フリーランスの営業活動。何から始めるべき?

フリーランスになるにあたって、営業は何から始めればよいのでしょうか。結論、フリーランスの営業活動は、案件獲得ルートを整理するところから始めましょう。

ただし、やみくもに努力しても、時間ばかりが過ぎてしまい実際に仕事を得ることはできません。また、ポートフォリオをまとめる作業も必要です。

例えば、デザイナーの方が「明るくポップなデザインが得意です」と伝えても「明るくポップ」の印象は人によって異なります。

しかし、ポートフォリオがあればクライアントは、依頼した場合にどのようなアウトプットを貰うことができるか具体的に想像でき、依頼に繋がります。

フリーランス営業ロードマップ

副業としてフリーランスの案件を獲得するのか、専業の個人事業主としてフリーランスになるのかで獲得できる案件は異なりますが、いずれにせよ実績を積んでいくことは非常に重要です。

多くの案件をこなし、新しいクライアントに提示できる作品を増やしましょう。

具体的には、まず上図の「実績の積み方」にあるように、知り合いや個人での営業活動を通じて案件を獲得しましょう。

また、まずは正社員やアルバイトとして業界に入り、スキルを高めると同時に実績を作る方法もあります。ある程度の実績が生まれたら、「独立・仕事の取り方」を参考にしてください。

フリーランスの案件獲得のプロセス

フリーランスの案件獲得が、どのようなプロセスで進むか解説します。

案件獲得は直営業・直案件が理想

直案件で仕事が得られると、中抜きをされないため高い報酬を得やすくなります。また、間に人が入らずクライアントと直接やり取りができるので、「クライアントはどのような課題を抱えているのか」「どんなニーズを持っているのか」などをくみ取りやすくなります。

「フリーランスが直案件を獲得する営業手法。案件獲得のチャネルの種類や直営業までのステップを解説」にある通り、直接案件を獲得する方法は複数種類あります。

まずは実績となる場数を踏みポートフォリオの材料に

いくつかの案件をこなしたら、作品をポートフォリオの材料にしましょう。

クライアントからしても、口頭でスキルを説明されるより実際に何を作ったかを確認した方があなたの実力を判断しやすいです。

ポートフォリオには、記載するべき項目や制作にあたってのポイントなどがいくつかあるため、「フリーランスの仕事がくるポートフォリオの要点。記載する項目と守るべき権利の範囲を解説」を参考にまとめてみてください。

経験・実績を積むためにも案件マッチングサイトを活用する

駆け出しのフリーランスが案件を獲得するには、マッチングサイトが有効的です。

クライアントと直接やり取りができ、複数の企業に効率的にアプローチできます。また、間に運営が入っているので金銭トラブルを防げる点もメリットです。

「フリーランスの案件マッチングサービスの活用法。案件応募から年収を上げるための案件獲得戦略を解説」にもある通り、クラウドソーシング型やエージェント型などいくつかの種類があるので、まずは2~3個ほど登録してみましょう。

CHECK

・なるべく直営業での案件を獲得すると金銭的なメリットがある
・実績を積んだらポートフォリオにまとめる
・複数のマッチングサイトを使って案件を探すと効率的

駆け出しフリーランスはクラウドソーシング。経験者はエージェントから。

フリーランスとしてまだ実績がない方は、クラウドソーシングを使いましょう。あまり報酬額が高くないものの、未経験でも応募できる案件が多数あります。

経験者の方は、ぜひエージェントを活用してください。高いスキルや豊富なポートフォリオを求められますが、高単価の案件を見つけやすいです。

まずは、1年ほどクラウドソーシングメインで獲得し、少しずつエージェントを活用するとよいでしょう。

フリーランスの仕事が取れるポートフォリオの作り方

フリーランスとしてポートフォリオを作る時には、いくつかのポイントがあります。これから作る方は、以下の3つを抑えましょう。

ポートフォリオは商談相手に即した営業資料としてカスタマイズ

ポートフォリオは一つだけ作って使いまわすのではなく、クライアントに合わせてカスタマイズしましょう。

例えば、フォトグラファーの方が企業のWebサイトに掲載するための写真撮影の案件を獲得するため、個人用に撮影した写真をたくさん見せてもあまり意味がありません。

相手の求めているものとなるべく近い資料を提示してください。

スキルセットベースに何ができる人か汎用的な資料を用意する

ポートフォリオは毎回すべてカスタマイズして作るのではなく、汎用的な部分もあります。

例えば、エンジニアの方であれば、エンジニア歴はどのくらいか、どんな言語が使えるかといった部分はどのクライアント相手にも伝えなくてはなりません。そういった基本情報も、しっかりまとめておきましょう。

実績は定量的な情報として成果と期間を必ず盛り込む

ポートフォリオには、必ず定量的な成果を盛り込みましょう。

例えば、マーケターであれば、「SNS運用を始めて20代からの購入が30%増えた」「コンバージョンが3か月で40%増えた」といった数値が役立ちます。

他にも多数のポイントがあるので、説得力のあるポートフォリオを作るために「フリーランスの仕事がくるポートフォリオの要点。記載する項目と守るべき権利の範囲を解説」を参照してください。

CHECK

・ポートフォリオには汎用的な内容をベースにまとめる
・クライアントによってポートフォリオの内容をカスタマイズする
・定量的な数字を盛り込み説得力のあるポートフォリオにする

クライアントワークの実績の記載には許諾を必ず取る

クライアントワークの実績をポートフォリオとして掲載する場合、必ず許諾を取りましょう。勝手に使ってしまうと、契約違反になり賠償金を請求される可能性もあります。

口頭だけではなく、メールやチャットなどのテキストで許諾の証拠を残しておくとベストです。

フリーランスの最大の悩み。正しい価格設定の手法

フリーランスにとって、正しい価格設定は大きな課題です。適切な金額を受け取り、仕事を良いサイクルでまわしていきましょう。

理由のない値下げ・安売りは誰も幸せにならない

理由もなく値下げしても、仕事量と報酬が見合わなくなるだけです。

ライバルより価格優位性が持てて案件が取りやすくなるので一時的にはよいかもしれませんが、安売りは長く続きません。

相場をチェックし、著しく低い価格にするのはやめましょう。

必要な時間数×付加価値込みの時給単価から価格を設定する

まずは作業内容を確認して、どのくらいの時間がかかるのか明らかにしましょう。

その後、自分ならどんなスキルを活かしてどのような付加価値がつけられるのかを考えて時給を設定すると、時間×時給で価格を設定しやすくなります。

市場価格や案件額の平均値は参考程度で盲信しない

相場を知ることは大切ですが、盲信してはいけません。

相場はあくまで相場なので、その中で自分はどのくらいのバリューを発揮できるか考えてください。

正しい価格をつける方法としては、「フリーランスの適正価格の設定方法。正しい価格設定と交渉のポイントを解説」に詳細があります。値付けに困ったらぜひ参考にしてください。

CHECK

・理由なく安売りしても長期的にメリットがない
・納品までにかかる時間と自分の持っている付加価値から単価を設定する
・相場の確認は必要だが、こだわりすぎずに値付けする

初心者の方は、とにかく仕事を得るために時給数百円程度で請けがちですが、絶対にやめましょう。

そういった案件を得ても、フリーランスとして独立できるほどの稼ぎは得られません。そんなことをする時間があれば、スキルを磨いて適切な価格の案件を受けられる実力をつけてください。

付加価値の作り方は自分のポジションを明確にすること

付加価値をつけていくことは、フリーランスとして活躍する上で重要です。

例えば、人事の方が採用業務だけでなく、研修も担当できるようになれば、単価が上がります。

その中で「自分は採用と研修のどちらもできる」というポジションが確立することも、メリットの一つです。クライアントにとってどのようなポジションでいられるか、改めて考えてみましょう。

フリーランス営業ロードマップ

フリーランスの案件獲得チャンネル

フリーランスとして案件を獲得するには、いくつかのチャネルが活用できます。それぞれ、しっかり使い分けられるようにしましょう。

ビジネスマッチングサイトの活用は基本

ビジネスマッチングサイトには、クラウドソーシング型とエージェント型があります。

駆け出しの方はクラウドソーシング型がおすすめで、LancersやCrowdWorksなどに登録しましょうエージェント型はクロスデザイナーやレバテックフリーランスがおすすめです。

具体的な特徴については「フリーランスの案件マッチングサービスの活用法。案件応募から年収を上げるための案件獲得戦略を解説」をご覧ください。

フリーランスの情報発信にSNSを活用しきる

フリーランスはSNSを活用することで、ブランディングやDM経由の案件獲得といった成果につながります。

また、ポートフォリオを投稿することで自分の実績を多くの方に知ってもらえる点もメリットです。

一方で、注意点もあるので、しっかり準備を整えてから運用を始めましょう。「フリーランスのSNS運用。運用の目的を明確にした正しいSNSの使い方を解説」の記事をぜひ参考にしてください。

オフラインの交流会で仕事仲間から案件を獲得する

オフラインの交流会では、様々な職種のフリーランスと出会えます。

孤独になりがちな働き方をする中で仲間に出会えますし、業界の最新情報を知ることも可能です。新しい案件につながることもあるので、「フリーランスの交流会。情報収集や案件獲得に繋がる交流会の探し方や参加方法を解説」を読んでぜひ一度参加してみてください。

CHECK

・まずはビジネスマッチングサイトを使って案件を探す
・SNS経由で案件を獲得できることもある
・交流会ではフリーランス仲間や新しい案件との出会いがある

継続的な案件受注のために、スキル研鑽のためにセミナーを活用

フリーランス向けのセミナーは、案件獲得方法はもちろん、ポートフォリオの作り方やスキルの伸ばし方など様々なことを学べます。

特に、駆け出しの方は役に立つ情報が多いので、ぜひ参加してみましょう。本当に有益なセミナーを見つけてスキルアップなどにつなげるためにも、「フリーランスはセミナーに行くべき?セミナーを受講するメリット・講座の見極め方やおすすめ検索サイトを紹介」をご確認ください。

独立の成功を実感するタイミングとは?

何をもって独立が成功したとするかは人によりますが、月収は一つの基準となります。

家賃や光熱費など一か月にかかるお金をフリーランスの稼ぎだけで得られれば、最初の成功を果たしたと言えるでしょう。

また、「20代 男性 平均年収」など検索すると目安が出てくるので、その数値を上回ったときに次の成功を納めたと言えるかもしれません。その次は、年収1,000万円を超えた段階でもう一段上の成功をしたと判断できるでしょう。

また、自由な働き方ができると成功を実感できるものです。例えば、フルリモート案件だけを獲得すれば、国内・海外問わずどこにいても仕事をすることができます。実際に、ノマドワーカーとして海外を旅しながら働く方もいます。

働く時間も自由で、「早起きが苦手だけど、無理して起きなきゃ……」「深夜まで働かないと……」と無理する必要はありません。納期さえ守れば、何時に働くかは個人の裁量で決められます。自分の生活しやすいリズムで働けるかどうかも、独立が成功したかどうかを判断できる基準の一つとなるでしょう。

フリーランス営業ロードマップ

フリーランスとして案件を獲得するのは、簡単なことではありません。
特に、駆け出しのころはスキルも実績もなく、クライアントに営業しても上手くいかないことばかりです。
しかし、そこで諦めずにマッチングサイトなどを通じて案件をとり、実績をもとにポートフォリオを作ることで次の案件を獲りやすくなります。
SNSを使ったり交流会に出たりといった方法も含めて、様々な手段で仕事を探していきましょう。

賢く節税!マイクロ法人のための共済ダブル活用術

マイクロ法人の経営者にとって、税負担の軽減と資金繰りの安定は重要な課題です。その解決策として注目されるのが「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」と「小規模企業共済」です。本記事では、これらの制度の概要とメリット、さらに両制度を活用することで得られる節税効果について詳しく解説します。

経営セーフティ共済と小規模企業共済の併用は、マイクロ法人にとって効果的な節税策です。しかし、経営セーフティ共済は解約時に課税されるため、単なる税の繰り延べに過ぎません。長期的な視点で計画的に活用し、将来の資金準備と税負担のバランスを最適化することが重要です。

経営セーフティ共済とはマイクロ法人の強い味方

経営セーフティ共済の概要とメリット

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先が倒産した際の資金繰りを支援する制度です。掛け金は月額5,000円から20万円まで設定可能で、最大800万円まで積み立てることができます。 主なメリットとして、掛け金の全額を損金算入できるため法人税の節税効果があること、万が一の際には低利で借入が可能であること、最大40カ月分の共済金貸付が受けられることが挙げられます。

加入条件と注意点

経営セーフティ共済に加入できるのは、1年以上の事業実績がある法人または個人事業主です。マイクロ法人も条件を満たせば加入できますが、解約時の課税や掛け捨てのリスクを考慮する必要があります。

内容
加入対象1年以上の事業実績がある法人または個人事業主
掛け金月額5,000円~20万円(最大800万円まで積立可能)
解約時のリスク12カ月未満で解約すると掛け捨てになる
税務上の注意点解約時の返戻金(解約手当金)は益金として課税対象
活用のポイント解約時の税負担を考慮し、計画的に活用する

解約時の返戻金(解約手当金)は益金として課税対象となるため、解約のタイミングによって税負担が発生する可能性があります。この制度は税負担を先送りする仕組みであるため、解約時の対応が重要です。

CHECK

・取引先倒産時の資金繰りを支援する制度
・掛け金は損金算入可能で、節税効果がある
・解約時の税負担を考慮した利用が重要

小規模企業共済とは? 長期的な節税効果を得る仕組み

小規模企業共済の概要とメリット

小規模企業共済は、個人事業主や法人の役員が退職金を準備できる制度です。月額1,000〜70,000円の掛け金を積み立て、将来的に退職金として受け取ることが可能です。掛け金が全額所得控除となるため、所得税・住民税の節税効果が得られます。 また、退職金として受け取る際には税制優遇があるため、事業廃止時や退職時の生活資金としても活用しやすいのが特徴です。

加入条件と注意点

小規模企業共済は、一定の従業員規模以下の個人事業主や法人役員が対象です。業種によって適用条件が異なるため、事前に確認が必要です。また、事業を廃止しない限り解約できない点にも注意が必要です。

業種・組織加入資格(条件)および対象者
建設業・製造業・運輸業・不動産業・農業常時使用する従業員が20人以下の個人事業主または会社役員(共同経営者も可、ただし個人事業主1人につき2人まで)
商業(卸売業・小売業)・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)常時使用する従業員が5人以下の個人事業主または会社役員(共同経営者も可)
企業組合・協業組合常時使用する組合員または従業員の数が20人以下の役員
農事組合法人(農業の経営を主としている)常時使用する従業員の数が20人以下の役員
弁護士法人・税理士法人常時使用する従業員が5人以下の社員

解約金の取り扱い

小規模企業共済は、一定の従業員規模以下の個人事業主や法人役員が対象です。業種によって適用条件が異なるため、事前に確認が必要です。また、事業を廃止しない限り解約できない点にも注意が必要です。

退職や廃業に伴う解約で受け取る共済金は「退職所得」として扱われ、退職所得控除が適用されるため、税負担を軽減できます。一方、任意解約の場合は「一時所得」として計算されるため、課税対象額が大きくなり、税負担が重くなる可能性があります。また、加入期間が短い場合は返戻率が低く、元本割れするリスクもあります。特に、20年未満の解約では返戻率が大幅に下がるため、長期的な運用を前提に加入することが重要です。

また、この制度は退職金としての活用を前提とした長期的な資金計画が求められるため、途中解約を避けるための資金計画が必要です。

CHECK

・個人事業主や役員が退職金を準備できる制度
・掛け金が全額所得控除となり、高い節税効果がある
・事業廃止時まで解約できないため、注意が必要

両制度を活用することで得られる節税効果

両立のメリット

経営セーフティ共済と小規模企業共済を併用することで、短期と長期の両面から節税と資金準備が可能になります。経営セーフティ共済では法人税を節税でき、小規模企業共済では個人の所得税を抑えることができます。

節税例

例えば、年間の利益が500万円あるマイクロ法人が両制度を活用する場合、以下のような節税効果が期待できます。

掛け金節税効果
経営セーフティ共済年間240万円(20万円×12カ月)法人税の課税所得が減少
小規模企業共済年間84万円(7万円×12カ月)役員報酬から所得控除され、個人の税負担が軽減

このように、法人・個人の両方で税負担を抑えながら、将来の資金準備が可能になります。

両立の際の注意点

経営セーフティ共済は解約時に課税されるため、一時的な税負担が増える可能性があります。小規模企業共済は退職や事業廃止時の活用を前提とするため、長期的な視点での資金計画が必要です。

短期的な節税効果だけでなく、将来的な資金管理を考慮して両制度を活用することが重要です。

CHECK

・両制度併用で法人・個人の税負担を軽減できる
・具体的な掛け金で節税効果と資金準備が可能になる
・解約時の課税や長期計画を考慮した利用が重要

マイクロ法人にとって、経営セーフティ共済と小規模企業共済は強力な節税ツールです。短期的な法人税の削減には経営セーフティ共済、長期的な所得税対策には小規模企業共済が有効です。ただし、両制度とも解約時の税負担に注意が必要なため、計画的に活用することが大切です。戦略的な資金管理を行い、税負担を最適化しましょう。

税負担を先送り?マイクロ法人が知るべき倒産防止共済の活用術

マイクロ法人を運営する経営者にとって、資金繰りの安定や節税対策は重要な課題です。その一つの手段として注目されているのが「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」です。本記事では、マイクロ法人が活用できる節税のメカニズムや加入条件、リスクについて詳しく解説します。

中小企業倒産防止共済は、マイクロ法人にとって節税と資金繰りの安定に役立ちますが、あくまで「税負担の繰り延べ」に過ぎません。短期解約のリスクや解約時の税負担を考慮し、計画的に活用することが重要です。適切なタイミングで掛け金を設定し、解約時の利益調整を行うことで、賢く節税できるでしょう。

中小企業倒産防止共済とは?

制度の概要と加入条件

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐために、中小企業基盤整備機構が運営する共済制度です。万が一の際に、共済金を借り入れできる仕組みとなっています。

加入条件

  • 資本金1億円以下または従業員数が300人以下(業種による変動あり)
  • 1年以上の事業実績がある法人または個人事業主
  • マイクロ法人も条件を満たせば加入可能

掛金は月額5,000円から20万円まで設定でき、最大で800万円まで積み立てることができます。

CHECK

・中小企業倒産防止共済は取引先の倒産から連鎖倒産を防ぐ制度
・資本金や従業員数などの条件を満たす中小企業が加入できる
・掛金を積み立てることで、万が一の際に共済金を借り入れできる

節税対策としての活用方法

掛け金の全額を経費計上

中小企業倒産防止共済の最大のメリットは、支払った掛け金の全額を法人の経費として計上できる点です。これにより、法人税の課税所得を抑え、税負担を軽減できます。

解約時の注意点

共済を解約した場合、掛け金の一定割合が「解約手当金」として戻ってきます。ただし、この解約手当金は「益金」として計上されるため、法人税の対象となります。そのため、長期的な資金計画を立てた上で活用することが重要です。

節税は「税金の繰り延べ」

共済の活用は、税金そのものを減らすのではなく、支払う時期を後ろ倒しにする「税金の繰り延べ」効果を持ちます。解約時に多額の税負担が発生することを考慮し、計画的に運用することが求められます。

CHECK

・掛け金を全額経費計上することで、法人税の課税所得を抑えられる
・解約時には解約手当金が益金として計上されるため、長期的な計画が必要になる
・節税は税金の繰り延べであり、解約時の税負担を考慮した運用が重要である

加入前に知っておくべきリスク

12カ月未満の解約は掛け捨て

共済に加入してから12カ月未満で解約した場合、掛け金が一切戻ってこないため注意が必要です。短期間での利用はデメリットとなるため、長期的に活用できるか慎重に判断しましょう。

解約手当金の益金計上

前述の通り、解約時に受け取る解約手当金は益金となり、法人税の課税対象となります。そのため、年度ごとの利益を調整しながら解約のタイミングを見極めることが大切です。

他の資金繰り手段との比較

共済金の貸付制度は、通常の銀行融資と異なり、倒産のリスクが発生しないと利用できません。そのため、資金調達手段としては他の選択肢と併せて検討することが推奨されます。

CHECK

・加入後12カ月未満の解約では掛け金が戻らないため、長期的な利用を検討する必要がある
・解約手当金は益金として計上され、法人税の対象になるため、解約時期の調整が重要
・共済金の貸付制度は倒産リスク発生時のみ利用可能であり、他の資金繰り手段も検討すべき

マイクロ法人にとって、中小企業倒産防止共済は節税や資金繰りの安定化に役立つ制度です。しかし、税金の繰り延べという特性や、短期間の解約リスクを理解した上で活用することが求められます。長期的な視点で計画を立て、賢く活用していきましょう。

「マイクロ法人×小規模企業共済」最強タッグで賢く節税!

近年、副業やフリーランスの増加に伴い、個人事業主から法人化する「マイクロ法人」という選択肢が注目されています。その際、節税対策の一つとして「小規模企業共済」の活用が有効です。本記事では、マイクロ法人の概要や節税のメカニズム、小規模企業共済の仕組みとメリット・デメリットについて解説します。

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マイクロ法人とは?

マイクロ法人の概要

マイクロ法人とは、1人またはごく少数の従業員で運営する法人のことを指します。個人事業主として活動するよりも、法人化することで節税のメリットを得られるため、多くのフリーランスや副業を行う会社員が設立を検討しています。

マイクロ法人での節税のメカニズム

マイクロ法人を活用することで、以下のような節税効果が期待できます。

  1. 給与所得控除の活用:法人の役員報酬として給与を受け取ることで、給与所得控除を適用できます。
  2. 社会保険料の軽減:法人からの給与を低く設定し、社会保険の負担を最小限に抑えることが可能です。
  3. 経費計上の幅が広がる:法人化することで、事業関連の支出を経費として計上でき、所得税や法人税を抑えられます。
  4. 小規模企業共済の活用:役員報酬の一部を小規模企業共済に拠出することで、所得控除を受けながら退職金を準備できます。

CHECK

・マイクロ法人は少人数で運営する法人であり、個人事業主よりも節税効果が期待できる
・法人化により、給与所得控除や社会保険料の軽減といったメリットを享受できる
・経費計上の幅が広がり、小規模企業共済の活用も可能に。節税しながら退職金の準備も行える

小規模企業共済とは?

小規模企業共済の制度説明

小規模企業共済は、中小企業基盤整備機構が運営する、経営者や個人事業主向けの退職金制度です。一定額を毎月積み立てることで、将来の退職時や廃業時に共済金を受け取ることができます。

小規模企業共済のメリット・デメリット

小規模企業共済のメリット・デメリットを比較検討しやすいように、表にまとめました。

メリットデメリット
税制優遇掛金が全額所得控除の対象となり、所得税・住民税を軽減できる加入期間が短い場合、節税効果が十分に得られないことがある
退職金退職金として受け取ることができ、退職所得控除の対象となる退職所得控除を受けるためには、一定の条件を満たす必要がある
掛金月額1,000円から70,000円まで、柔軟に掛金を変更できる掛金を減額すると、将来の受取額が減少する
貸付制度資金繰りが厳しい時に、掛金の範囲内で低金利の貸付を受けられる貸付を受けるためには、審査が必要
解約リスク加入後12カ月未満で解約した場合、掛金が全額返金されない
流動性原則として、加入期間中に掛金の払戻しはできない

上記のように、小規模企業共済は節税効果や退職金準備の面でメリットがありますが、加入期間や資金計画によってはデメリットも考慮する必要があります。加入を検討する際は、ご自身の状況に合わせて慎重に判断しましょう。

CHECK

・小規模企業共済は、経営者の退職金を準備する制度として機能する
・掛金の所得控除や貸付制度が利用でき、資金計画に役立つ
・中途解約で元本割れのリスクがあり、流動性には注意が必要

小規模企業共済を活用すべき人とは?

マイクロ法人の経営者に最適な制度

マイクロ法人の経営者にとって、小規模企業共済は非常に有効な制度です。役員報酬の一部を共済に拠出することで、所得税を抑えながら退職金を準備できます。法人化により給与所得控除を受けられるだけでなく、共済への拠出分も全額所得控除となるため、二重の節税メリットを享受できます。

フリーランスや副業経営者にもおすすめ

フリーランスや個人事業主にとっても、小規模企業共済は将来の備えとして優れた制度です。事業の浮き沈みに左右されずに資産を積み立てられるほか、所得控除による節税効果も期待できます。また、本業の給与とマイクロ法人の役員報酬を組み合わせる「ハイブリッド型経営者」にとっても、小規模企業共済の活用は効果的です。会社員としての給与所得を維持しながら、法人化による節税対策を講じることで、効率よく資産形成が可能となります。

CHECK

・マイクロ法人の経営者は節税しながら退職金を準備できる
・フリーランスや個人事業主は将来の備えとして資産を積み立てられる
・ハイブリッド型経営者は会社員と法人経営のメリットを両立できる

マイクロ法人と小規模企業共済を活用することで、賢く節税しながら将来の資金を確保することができます。特に、法人化を考えている個人事業主やフリーランスにとっては、大きなメリットがあります。小規模企業共済は節税効果が高いだけでなく、退職金の準備にも役立ちます。ただし、流動性の低さや元本割れのリスクもあるため、計画的な資金管理が重要です。自身の状況に合わせて適切に活用し、長期的な視点で資産を築いていきましょう。

マイクロ法人で社会保険料を劇的カット!賢い節税戦略

社会保険料の負担を重く感じていませんか?特に、個人事業主や小規模なビジネスオーナーにとって、この負担は大きなコストになります。そんな中、注目されているのが「マイクロ法人」を活用した節税戦略です。本記事では、マイクロ法人を活用して社会保険料を最適化する方法や、そのリスクについて詳しく解説します。賢く制度を利用して、手元に残るお金を最大化しましょう。

マイクロ法人を活用すれば、社会保険料を抑えながら節税が可能ですが、年金の減少や税務調査のリスクも伴います。役員報酬を適切に設定し、法的リスクを理解した上で慎重に運用することが重要です。

社会保険の基礎知識

社会保険の種類と概要

社会保険は、健康保険、厚生年金保険、介護保険、労災保険、雇用保険などの公的保険を総称するものです。企業は、設立後に健康保険法第3条や厚生年金保険法第9条などの法律に基づき、健康保険と厚生年金への加入が義務付けられています。労災保険や雇用保険については、従業員を1人でも雇用している場合に加入が必要となります。

社会保険料の料率

社会保険料の料率は、健康保険や厚生年金などの種類や事業所の所在地によって異なります。例えば、健康保険料率は都道府県ごとに異なり、厚生年金保険料率は全国一律です。これらの保険料は、事業主と被保険者(従業員)がそれぞれ負担することとなっています。

CHECK

・法人設立後は健康保険と厚生年金が義務となる
・労災・雇用保険は従業員雇用時に必要となる
・社会保険料の料率は地域や種類で異なる

マイクロ法人を活用した節税スキーム

マイクロ法人とは?

マイクロ法人とは、主に個人事業主が設立する小規模な法人を指し、社会保険料や所得税の負担を軽減するための手段として利用されることがあります。このスキームでは、個人事業主としての活動と法人としての活動を組み合わせることで、全体の社会保険料負担を最適化することが可能です。

個人事業主+マイクロ法人の二刀流パターン

個人事業主とマイクロ法人を併用することで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 社会保険料の最適化:個人事業主としての所得に対しては、国民健康保険や国民年金の保険料が適用されます。一方、法人からの役員報酬に対しては、健康保険や厚生年金の保険料が適用されます。これらを組み合わせることで、全体の社会保険料負担を調整することが可能です。
  • 所得税の節約:法人としての利益を適切に分配することで、個人の所得税負担を軽減することができます。

役員報酬の設定目安

マイクロ法人を活用する際、役員報酬の金額設定は社会保険料や所得税の負担に大きく影響します。一般的には、役員報酬を低めに設定することで、法人としての利益を内部留保し、個人の所得税や社会保険料の負担を抑えることが可能です。ただし、過度に低い報酬設定は、税務調査のリスクを高める可能性があるため、適切なバランスを考慮することが重要です。

CHECK

・マイクロ法人は節税目的で活用される
・二刀流で社会保険料や所得税を調整する
・役員報酬の設定は税務リスクに注意する

マイクロ法人設立のリスクと注意点

年金額の減少リスク

役員報酬を低く設定すると、将来的な厚生年金の受給額が減少する可能性があります。マイクロ法人の設立を検討する際には、将来の年金受給額も考慮した上で報酬を決定することが重要です。

税務調査のリスク

社会保険料や税負担の軽減を目的としたスキームは、税務当局からの注意を引きやすく、税務調査の対象となるリスクがあります。過度な節税対策は、結果的に税務調査のリスクを高めるため、慎重に運用する必要があります。

売上がないマイクロ法人の注意点

売上がない状態が続くマイクロ法人では、以下の点に注意が必要です。

  • 社会保険料の負担:売上がなくても、役員報酬を支払っている場合は、社会保険料の負担が発生します。
  • 法人維持コスト:法人を維持するための各種手続きや費用が継続的に発生します。

CHECK

・役員報酬が低いと年金額が減少する
・節税目的の法人は税務調査の対象になる
・売上がなくても保険料や維持費が発生する

マイクロ法人を活用することで、社会保険料の負担を軽減し、節税効果を得ることができます。しかし、役員報酬の設定次第では、将来の年金受給額が減少するリスクや、税務調査の対象となる可能性もあります。適切な役員報酬を設定し、制度の仕組みを理解した上で運用することで、最大限のメリットを享受できるでしょう。

節税の新常識!マイクロ法人×個人事業主の“二刀流”で手取りアップを実現

近年、ビジネスの多様化に伴い、マイクロ法人と個人事業主の「二刀流」活用が注目されています。この手法は、節税効果やリスク分散などのメリットが期待できますが、同時に設立・運用コストや法的リスクも存在します。本記事では、二刀流の基本からメリット・デメリット、そして判断基準や注意点について詳しく解説します。

マイクロ法人と個人事業主の二刀流は、節税効果が期待できる一方で、設立コストや運用負担も発生します。収益規模や事業の安定性を総合的に判断し、法的リスクを回避しながら適切に活用することが成功の鍵となります。

マイクロ法人×個人事業主の二刀流とは?基本と違いを解説

マイクロ法人と個人事業主の違い

マイクロ法人とは、少人数で運営する小規模法人のことで、法人格を持つため法人税が適用され、社会保険にも加入できます。一方、個人事業主は、法人を設立せずに個人として事業を行う形態であり、開業届を提出するだけで事業を開始できる手軽さがありますが、所得税は累進課税が適用されるため、収益が増えるほど税負担が重くなります。

二刀流が注目される理由

近年、マイクロ法人と個人事業主の二刀流が注目される理由として、税負担の軽減や社会保険の調整が挙げられます。収益を法人と個人に分散させることで、所得税の負担を抑えることが可能となり、法人化することで信用力が向上し、取引の幅が広がる点もメリットです。また、法人を活用することで厚生年金に加入でき、将来的な年金受給額を増やせる可能性もあります。

CHECK

・マイクロ法人と個人事業主で違いがある
・収益分散で税負担を軽減できる
・法人化で信用力と年金額が増加する

節税メリットとデメリットを理解し、最適な活用法を考える

収入分散による税負担の最適化

マイクロ法人と個人事業主を併用することで、収益の流れを分散させ、税負担の最適化を図ることができます。個人事業主の所得税は累進課税であるため、収入が増えるほど高い税率が適用されますが、法人の所得には一定の法人税率が適用されるため、高所得者ほど法人化による節税効果が期待できます。

法人税・所得税のバランス調整

個人事業主としての所得をそのまま受け取ると、累進課税により税率が上がってしまいます。しかし、法人で売上の一部を管理し、役員報酬として適切に分配することで、所得税と法人税のバランスを最適化することができます。

社会保険料の負担軽減の可能性

法人で役員報酬を調整することで、社会保険料の負担を適正にコントロールし、国民年金よりも厚生年金を活用する選択肢が生まれます。特に、一定の年収ラインを超えると、社会保険料の負担が大きくなるため、適切な分配が求められます。

設立・運用コストと維持費の課題

マイクロ法人を設立するためには、定款作成や登記手続きが必要となり、初期費用が発生します。また、法人を維持するためには法人税の申告や決算処理が必要となり、個人事業主と比較して税務や会計の管理が複雑になります。さらに、社会保険料の負担が増える場合もあるため、法人と個人のバランスを適切にとることが求められます。

このように、二刀流には節税のメリットがある一方で、設立や維持にかかるコストや管理の負担が増える点がデメリットとして考えられます。そのため、税負担の軽減だけでなく、事業の成長や経営の安定性を総合的に判断し、最適な活用方法を見極めることが重要です。

CHECK

・収益分散で累進課税を回避できる
・役員報酬で税金と保険を最適化する
・法人維持には追加コストがかかる

違法リスクと判断基準 二刀流を成功させるためのポイント

租税回避とみなされるリスク

マイクロ法人と個人事業主を併用する際には、税務リスクにも十分な注意が必要です。特に、法人の実態が伴わず、節税目的のみで法人を設立した場合、税務署から租税回避行為とみなされる可能性があります。例えば、法人と個人の業務内容が明確に区別されていない場合や、法人の売上のほとんどが個人事業主からの業務委託に依存している場合などは、税務上の問題が生じる恐れがあります。

二刀流導入を決める判断基準

二刀流を導入するかどうかの判断基準として、個人事業の所得が高額になり税負担が増加しているかどうかを考慮することが重要です。事業が安定しており、法人化による信用向上や資金調達のしやすさが期待できる場合は、法人を設立するメリットがあります。しかし、事業の将来性が不透明な場合や、税務管理の負担が大きいと感じる場合は、無理に法人化を進めるべきではありません。

専門家に相談する重要性

このように、マイクロ法人と個人事業主の二刀流を成功させるためには、法的リスクを理解した上で適切な事業運営を行うことが不可欠です。税制や社会保険の制度は複雑であり、誤った運用をすると後々問題が発生する可能性があるため、税理士や行政書士などの専門家に相談しながら進めることが望ましいでしょう。

CHECK

・節税だけの法人は租税回避と判断される
・高所得時に二刀流導入を検討する
・専門家に相談して適切に運営する

マイクロ法人と個人事業主の二刀流は、適切に活用すれば大きな節税効果を得られる手法ですが、設立・運用コストや税務リスクも伴います。特に、法人の実態が伴わない場合は租税回避とみなされる可能性があるため、慎重な運用が必要です。導入を検討する際は、税負担の最適化だけでなく、事業の成長や安定性を総合的に判断し、税理士などの専門家に相談しながら進めることが重要です。

フリーランスの社会保険を賢く活用|国民健康保険・年金・iDeCoの加入方法と保険料軽減策を紹介

自分の身は自分で守らなければいけないフリーランスは社会保険も自分で加入し自分で全額負担します。万が一の事態に備えるために社会保険を含む保障を整えておくことは非常に大切です。しっかりと備えるための具体的な方法を知っておきましょう。

社会保険は怪我や病気など万が一への備えや老後の生活保障として加入する大切なもの。うまく活用すれば節税対策にもなります。。

フリーランスが加入義務がある社会保険は国民健康保険と国民年金

社会保険とは保険料を支払うことでリスクに備える制度のことで、フリーランスが加入義務のある社会保険は「国民健康保険」と「国民年金」です。その他の社会保険(雇用保険や労災保険など)は、基本的にフリーランスには適用されませんが、特定の状況に応じて加入できる場合もあります。他にも任意加入できる保険や制度もあるので、万が一の際に備えて検討してみると良いでしょう。

そもそも社会保険の種類

社会保険とは「健康保険」「年金保険」「雇用保険」「労災保険」の4つを指しますが、フリーランスが加入できるのはそのうちの2つ「健康保険」「年金保険」のみです。会社員の際と加入できる保険の種類が異なるので切り替えなどの手続きが必要になります。

会社員とフリーランスの保険の違いは加入条件と負担率 

次の表は、会社員とフリーランスで加入できる保険の違いです。

社会保険内容フリーランスの場合会社員の場合
健康保険病気やケガの際の補償国民健康保険に加入できる保険料は全額自己負担勤務先の健康保険に加入できる保険料は会社と折半で5割負担
年金保険老後の生活資金を支えるための制度国民健康保険に加入できる保険料は全額自己負担厚生年金に加入できる保険料は会社と折半で5割負担
雇用保険失業した際に生活支援をするための保険加入できない加入できる保険料は会社と折半で5割負担
労災保険仕事中の事故や病気に対する補償加入できない加入できる保険料は全額会社負担

フリーランスが加入できる社会保険の種類

フリーランスの社会保険には様々な選択肢があります。加入義務のあるものもあれば自分で選べる任意の制度も多く用意されているので、安定した生活を実現するために加入しておいたほうがいい制度があるかどうか知っておくことが必要です。

健康保険の場合

健康保険とは病気やケガの際に必要な医療費の一部をカバーする制度です。会社員として健康保険に入ると会社が保険料を5割負担してくれますが、フリーランスは全額自己負担になります。注意したいのは、病院でかかる費用の保障はありますが、フリーランスの場合、雇用保険や労災保険に入れないので、病気などでの休業中の休業補償や失業手当といった保障がないことです。

国民健康保険へ切り替えする

国民健康保険は市区町村が運営する制度で、フリーランスや自営業者、学生などが加入する保険です。市区町村の役所で申請すると保険証が交付されます。会社の健康保険から切り替える場合は退職日から14日以内に手続きが必要です。保険料は前年の所得をもとに計算され、全額自己負担となります。

社会保険を任意継続する

会社の健康保険に退職後も継続して加入する「任意継続被保険者」という選択肢もあります。会社の健康保険に最大2年間継続して加入することができる制度で、退職後20日以内に手続きをすればそれまでの健康保険をそのまま利用できます。希望する際は会社の人事部門、もしくは健康保険組合に任意継続の旨を連絡しましょう。こちらも保険料は全額負担になります。

年金保険の場合

フリーランスの年金の構造は会社員の場合と大きく異なり、会社を退職する際は切り替え手続きが必要になります。また、フリーランスとして加入義務のある年金保険の運用だけでは将来の不安があるため、老後の生活資金補完のため追加で私的年金も運用しておくと良いでしょう。

厚生年金から国民年金への切り替えが必須

厚生年金は会社員や公務員が加入できる公的年金のため、フリーランスになった際は国民年金へ切り替え手続きが必要になります。退社時に会社から交付される離職票(退職証明書)、年金手帳、本人確認書類を持ち最寄りの市区町村の役所で申請を行うと国民年金への切り替えができます。保険料は毎月一定額で、口座振替などの支払い設定ができます。

国民年金基金への加入

国民年金基金とは自営業・フリーランスを対象にした、国民年金に上乗せして加入できる公的な年金制度です。加入は任意ですが、将来の保障のために検討するとよいでしょう。申し込みをする場合は、基金のホームページより加入申出書を入手し、必要事項を記入後提出します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは国民年金にプラスして加入できる私的年金制度の一つです。確定拠出年金法にもとづいて運営され、自分で掛金を拠出、運用し、60歳以降にその元本と運用益を受け取ります。フリーランスの場合、掛金の全額が所得控除対象になるので節税にもつながり加入メリットが多いです。iDeCoは複数の金融機関で取り扱っているので、手数料や商品ラインナップなどを比較して取引する金融機関を選び、加入手続きを行います。

付加年金の導入

付加年金とはフリーランスや自営業者が加入できるもので、国民年金保険料を上乗せして支払うことで将来の年金額を増やすことができる制度です。希望する場合は国民年金への切り替えの際に市区町村の役所で付加年金も加入しましょう。国民年金への加入と同時申し込みでなくても、途中で追加することもできます。

フリーランスが加入できる労働・労災保険は基本的には適用外

業務に起因して傷病が発生した場合に出る労災保険はこれまでフリーランスは対象外とされていましたが、2024年11月のフリーランス保護を目的とした法改正により企業等から業務委託を受けているフリーランスも労災保険特別加入の対象になりました。また、労災保険の代わりとなる民間の傷害保険への加入も検討するとよいでしょう。

健康・年金保険も退職後14日以内に加入の手続きが必要

会社を辞めてフリーランスになる場合の社会保険切り替えの手続きはそれぞれ14日以内に行わなければなりません。企業を退職して健康保険から国民健康保険への切り替えを行わずに14日の期限を過ぎると、医療費をすべて自己負担でまかなわなければならなくなります。

CHECK

・会社員とフリーランスで加入できる社会保険が異なる
・フリーランスが加入義務があるのは国民健康保険と国民年金
・健康保険・年金保険それぞれ選択肢があるので自分に合うものを選ぼう

フリーランスの社会保険のメリット・デメリットや違い

フリーランスは社会保険料を全額自己負担しなければならないので、社会保険に入るメリットが小さいと感じるかもしれませんが、不安定なフリーランスだからこそ社会保険の加入は必須です。けがや病気などもしもの時のための経済保障として上手く使いましょう。

確定申告で社会保険料を控除ができるメリット

フリーランスが社会保険に入る大きなメリットは社会保険料を控除できることです。フリーランスとして確定申告をする際に、控除を最大限活用して税負担を軽減することで、手取り額を増やすことができます。

自己責任範囲が大きいデメリット

フリーランスは社会保険に自己責任で加入・管理しなければなりません。保険料の負担も大きくなります。加入できる保険も限られており、企業に勤めるより社会保障が薄いということも考慮しましょう。

傷病手当金と出産手当金がない

病気やケガで働けない場合の保障になる傷病手当金と、出産のために仕事を休む場合に出る出産手当金は国民健康保険では支給されません。それぞれの手当ての支給を受けるためには国民健康保険には加入せず任意継続被保険者になるもしくは配偶者の扶養に入るなどの手段が必要です。

家族が扶養に入れられない

国民健康保険には扶養がないため、フリーランスになって国民健康保険に加入した場合家族を扶養に入れることができません。いままで配偶者やお子さんが扶養に入っていたとしても、国民健康保険に移行した後は世帯全員が国民健康保険に加入し、保険料(国民健康保険税)を納付する必要があります。

保険料が全額自己負担

会社の社会保険に入っている時には会社が保険料を5割負担してくれますが、フリーランスは保険料をすべて自分で負担しなければなりません。そのため会社員の時と比べて保険料の支払い額が大きく感じられることがあります。

厚生年金の上乗せがない

厚生年金の上乗せとは、厚生年金の基本的な給付に追加して退職後に受け取る年金額を増やすことです。会社員の場合、企業年金と呼ばれる企業が自ら設ける年金制度があり、企業が掛け金を拠出し厚生年金の受給額を上乗せすることができますが、フリーランスは国民年金への加入になり厚生年金の上乗せができません。

保険料が経済的負担になる

フリーランスは社会保険料を全額自己負担で払わなければならないため、経済的負担が大きくなります。ただ、支払った国民年金や健康保険の保険料は確定申告で経費として計上できるので、結果として節税にもなります。

フリーランスが社会保険に入らないとどうなる?

フリーランスは国民年金、国民健康保険の社会保険に加入する義務があります。社会保険に加入しない場合、医療費が高額になる、年金が少なくなる、税金面で不利になるなどのリスクがあります。また、国民健康保険を含めた公的医療保険に入らなかった場合、過去2年分さかのぼって未納分の保険料を請求されるので注意が必要です。安定した生活を送るために、社会保険にはきちんと加入しましょう。

CHECK

・社会保険料は控除でき節税につなげることができる
・保険料全額自己負担など責任範囲が大きい
・安定した生活のためにも社会保険はしっかり検討する

フリーランスの社会保険の計算方法・シミュレーション例

保険料の金額を把握し計画的に支払いを行うことがフリーランスの資金繰りとしても重要になります。

健康保険料の計算方法は均等割と所得割で異なる

健康保険料は前年の所得を基に計算される「所得割」、世帯人数に基づく「均等割」、世帯に対して課せられる「平等割」の3つの要素を合算して算出されます。所得に応じて保険料が変動するため、収入が多いと保険料も高くなります。

均等割の計算方法

均等割とは「所得額に関係なく均等に課される保険料額」です。被保険者の人数に応じて保険料額が増える仕組みです。

所得割の計算方法

所得割とは「前年の所得額をもとに計算する保険料額」です。前年の課税所得(総収入額 – 経費 – 基礎控除など)× 所得割の保険料率で算出されます。所得割の保険料率は、自治体によって異なるので市区町村に問い合わせましょう。

年金保険料の計算方法は保険料額×保険料改定率

フリーランスが支払う年金保険料は、所得に関わらず年ごとの定額制です。物価や賃金の伸びにより保険料は毎年調整され(保険料改定率)、2025年度の国民年金保険料は、月額16,610円となっています。

CHECK

・保険料を把握することは資金繰りの一環としても大切
・健康保険料は所得や被保険者の人数により増える
・年金保険料は年ごとの定額制

フリーランスの保険料を抑える方法

国民健康保険の保険料は住民税や所得に基づいて算出され、所得が多くなると保険料が高くなります。健康保険料を安く抑えるための方法も知っておきましょう。

任意継続被保険者になる

会社員から独立してフリーランスになる場合は、「任意継続被保険者」という選択があります。任意継続被保険者とは、会社で加入している企業健康保険を退職後も最長2年間、任意で継続できる制度です。退職した日から20日以内に手続きを行う必要があり、20日を過ぎると継続資格は失いますので継続希望の場合は早めに人事部門に伝えて手続きをしましょう。

保険料負担が少ない自治体に引っ越しをする

国民健康保険は市町村ごとに保険料が異なります。ご自身が住んでいる自治体の保険料を確認し、ほかの自治体と比較することができます。自治体ごとに保険料が公開されているので、ホームページをチェックして比較してみましょう。

国民健康保険組合が母体の国民保険に入る

国民健康保険組合とは特定の業界や職種に属している人が加入できる健康保険団体です。デザイナーやライター向けの組合やIT業界やクリエイティブ業界に特化した組合などがあり、WEBデザイナーの場合ですと「文芸美術健康保険組合」が該当します。これらの健康保険に加入することで所得にかかわらず保険料が一定になり、保険料の負担軽減につながります。加入の際は、組合の加入条件がありますのでホームページで確認しましょう。

被保険者の場合には配偶者の扶養に入る

配偶者が会社員であり、自身のフリーランス収入が年間130万円以内であれば、配偶者の扶養に入ることができます。自分で健康保険に入って保険料を払う必要がなくなり、フリーランスにはない社会保険サービスを受けることができるという大きなメリットがあります。

フリーランスは社会保険以外に民間保険に入るべきか?

フリーランスは病気や事故などで働けなくなった際の備えを作っておく必要があります。医療保険や生命保険、収入保障保険などの民間保険は収入減に備えるために有効です。特に収入保障保険や所得補償保険はフリーランスで収入が不安定になった際に助けとなるものですので、事業の状況や生活費の状況、将来の収入計画と照らし合わせて検討しましょう。

社会保険の切り替えは手残りを多くする選択肢を選ぶ

フリーランスとして入れる社会保険の種類や計算方法を理解し、手取りを多くするための適切な選択をすることで無駄な支出を抑えることができます。社会保険控除などを活用し、保険料や経費を上手く管理しましょう。

CHECK

・保険料の全額自己負担を避けて支出を抑える方法もある
・社会保険以外の民間保険も検討するメリットはある
・社会保険の検討の際は手取りを多くする選択肢を選ぶ

会社員の場合と加入できる条件や負担額が大きく異なるフリーランスの社会保険。社会保険についてしっかりと理解し、自分の状況に合わせた最適な選択をして節税や手取り額アップにつなげるのがポイントです。

【イベントレポート】フリ転 Webクリエイター交流会 –2024年12月6日–

本記事では、Webフリーランスの方々にご参加いただいた、イベントの当日の様子をお届けします!

フリ転 Webクリエイター交流会とは?

”クリエイター同士が気兼ねなく繋がれる場”をコンセプトとしたクリエイターのための総合コミュニティイベントです。

フリ転 Webクリエイター交流会のコンセプト

少人数制のアットホームな交流会

名刺交換会よりも気軽に参加できる交流会として、息抜きを兼ねて人脈形成ができます。

他業種・他職種の方も含めた交流会

参加者同士でコアな実体験を話せるので、他のポジションが考えていることなど、プロジェクトメンバーには聞けない疑問も解消できます。

日時2024年12月6日(金)19:00~21:00
参加費無料
会場439_CLUB-X/BASE池袋 JR山手線 池袋駅 徒歩10分
お問合せhttps://www.furi-ten.com/contact/
主催株式会社日本デザイン

フリ転 Webクリエイター交流会の様子

2024年12月6日、フリーランスのWebクリエイターを対象とした「Webクリエイター交流会」が開催されました。会場は、リラックスした雰囲気で交流ができるよう、おしゃれなバーのような空間を貸し切り、照明や音楽にもこだわり、参加者がリラックスしながら話しやすい環境を整えました。

日本デザイン社長の大坪拓摩氏のあいさつとともに、イベントがスタート。フリーランスとして活動する上での課題や、キャリア形成について話し合う機会として、多くのクリエイターが集まりました。

仕事を選んだきっかけ最近の仕事での『あるある』エピソードのシェア!

イベントは、参加者同士が密なコミュニケーションをとれるよう、オンライン上で6〜7名の少人数グループに分かれて進行しました。

歓談の時間は30分間を2回に分け、それぞれ異なるトークテーマを設定。事前のアンケート結果をもとにテーマを決定し、参加者が話しやすい環境を作りました。

主なトークテーマ

  • 仕事を選んだきっかけ
    クリエイターとして独立した理由や、フリーランスのメリット・デメリットについて意見交換が行われました。参加者からは「自由度の高さが魅力だが、自己管理が求められる」との意見がありました。
  • 最近の仕事での「あるある」エピソードのシェア
    案件の取り方や、クライアントとのやりとりでの失敗談・成功談などが共有され、笑いあり学びありの充実した時間となりました。

経験やスキルが異なる参加者同士が交流することで、これまで気づかなかった視点を得ることができたという声も多くありました。

最近抱えている課題をみんなで解決。アクションプランにして即行動!

次に、参加者が直面している課題を共有し、解決策を模索するセッションが行われました。以下のような悩みが挙げられました。

  • 案件の獲得方法
    「営業が苦手」「どうやって自分を売り込めばよいかわからない」といった声が多く、参加者同士でSNS活用やポートフォリオの工夫など、具体的なアドバイスを共有しました。
  • タイムマネジメント
    「ついダラダラしてしまう」「仕事のメリハリをつける方法が知りたい」という意見があり、「ポモドーロ・テクニックを活用する」「朝の時間帯に集中して作業する」などの実践的なアイデアが提案されました。
  • クライアントとの円滑なコミュニケーション
    「相手の意図を正確に汲み取るのが難しい」といった悩みに対し、事前のヒアリングを徹底することや、フィードバックの取り方について意見交換が行われました。

それぞれの課題について、グループで具体的な解決策を提案。最後に当事者が自身のアクションプランを発表し、「明日から早速実行する」という前向きな声が多く聞かれました。

参加された方の感想

参加者から寄せられた感想の一部を紹介します。

  • 「ノウハウを共有しながら、同じ技術を使う仲間と交流できて楽しかった」
  • 「他業種の人とも話せて刺激になった。今後もこうしたイベントに参加したい」
  • 「次回のイベントも楽しみ!」
  • 「一緒に仕事をしたいと思える人と出会えたのが良かった」

また、今回の交流をきっかけに、参加者同士で今後も連絡を取り合い、定期的に情報交換をする動きも生まれました。

おわりに

フリ転では、フリーランス同士のつながりを深めるため、このような交流イベントを定期的に開催しています。

今後もこうしたイベントを通じて、Webクリエイターの皆さんが成長し続けられる場を作っていきます。次回の開催もぜひお楽しみに!

収入が増えたのに貧乏?個人事業主がハマる「税金のワナ」

「税金貧乏」という言葉をご存知でしょうか?特に個人事業主の方々にとって、この問題は他人事ではありません。今回は、税金貧乏の基本的な概念から、その原因、そして対策の方向性までを分かりやすく解説していきます。

税金貧乏を回避するには、早期から確実な記帳習慣をつけ、収入の3割程度を税金等の支払いに備えて積み立てることが重要です。また、年間売上が1,000万円を超える場合は、法人化の検討をお勧めします。

税金貧乏とは

税金貧乏とは、売上や収入が増えているにもかかわらず、税金や社会保険料の支払いによって手元に残るお金が少なくなってしまう状態を指します。

特に個人事業主の方々は、収入が増えると累進課税により税率が上がり、さらに社会保険料も増加するため、この問題に直面しやすい傾向にあります。

なぜ税金貧乏に陥るのか

累進課税制度の影響

所得税は、収入が増えるほど税率が高くなる仕組みになっています。以下が所得税の税率をまとめたものです。

  • 195万円以下:5%
  • 195万円超~330万円以下:10%
  • 330万円超~695万円以下:20%
  • 695万円超~900万円以下:23%
  • 900万円超~1,800万円以下:33%
  • 1,800万円超~4,000万円以下:40%
  • 4,000万円超:45%

例えば、年間所得が300万円から400万円に増えた場合、適用される税率が10%から20%に上がることになります。

社会保険料の負担増

個人事業主の場合、収入の増加に応じて以下の社会保険料も増加します:

  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料
  • 介護保険料(40歳以上)

これらの保険料は収入に応じて計算されるため、収入が増えると負担も比例して大きくなります。

予期せぬ支出への対応困難

税金や社会保険料の支払いは、通常、前年度の収入に基づいて計算されます。

そのため、当年の収入が減少した場合でも、前年度の高い収入に基づいた金額を支払わなければならず、資金繰りが苦しくなることがあります。

CHECK

・累進課税制度により、収入が増えると税率も上昇する
・収入が増加すると社会保険料の負担も増える
・予期せぬ支出への対応が困難になる

税金貧乏から抜け出すための方向性

適切な記帳と経費管理

確定申告時に適切な経費計上を行うことで、課税対象となる所得を適正化することができます。日々の記帳習慣と領収書の保管が重要です。

計画的な資金管理

税金や社会保険料の支払いに備えて、収入の一定割合を定期的に積み立てることをお勧めします。

専門家への相談

税理士や公認会計士などの専門家に相談することで、自身の事業に適した節税方法を見つけることができます。

法人化の検討

事業規模が大きくなってきた場合、法人化を検討することも一つの選択肢となります。法人化することで、以下のようなメリットが期待できます:

  • 税率の平準化
  • 社会保険料負担の最適化
  • 経費計上の柔軟性向上

ただし、法人化にはさまざまな要件や手続きが必要となりますので、慎重な検討が必要です。

CHECK

・適切な経費計上で所得を適正化する
・収入の一定割合を積み立てる資金管理
・専門家に相談して節税方法を探す

税金貧乏は、個人事業主の方々にとって深刻な問題となり得ますが、適切な対策を講じることで改善することができます。

特に重要なのは、早い段階から税金や社会保険料に関する知識を身につけ、計画的な資金管理を行うことです。

また、事業規模の拡大に伴い、法人化という選択肢も視野に入れることで、より効率的な事業運営が可能となる場合もあります。ご自身の状況に合わせて、適切な対策を検討されることをお勧めします。

節税目的の法人化は得か損か?マイクロ法人のリアルな維持コストと収益目安

サラリーマンの副業解禁や働き方改革の流れを受け、個人事業主として活動する方が増えています。そんな中、「節税のために法人化した方がいい」という話を耳にする機会も多いのではないでしょうか。今回は、マイクロ法人化による節税効果について、メリット・デメリットを含めて詳しく解説していきます。

マイクロ法人化は年間利益800万円超が目安です。その目安以下では維持コストと社会保険料の負担が重く、節税効果は相殺されます。事務負担も大きいため、安易な法人化は避け、個人事業主のままでの事業継続を基本とすべきです。

基礎知識。マイクロ法人とは

マイクロ法人の定義

マイクロ法人とは、個人事業主が法人化した小規模な会社を指します。具体的には、従業員がいない、または少数で運営される法人のことです。1人でも法人を設立・運営できる制度を活用した事業形態といえます。

メリットとデメリット

まず、法人化には大きな節税効果が期待できます。

法人税率が所得税率より低く設定されているため、節税が可能です。

また、経費計上の幅が広がるため、より多くの経費を経費として認められる点も魅力です。

次に、法人化することで社会的信用力が向上します。取引先からの信用度がアップし、融資を受けやすくなるなどのメリットがあります。

さらに、法人化によって経営者の個人財産が保護されます。法人の借金が個人に及びにくくなり、事業上のリスクを軽減できる点も重要なメリットです。

一方で、法人化にはいくつかのデメリットも存在します。

まず、事務負担が大幅に増加します。毎月の経理処理や各種届出書の提出、そして決算書の作成が必要となるため、事務作業が増えることは避けられません。

また、法人の維持にはコストが発生します。例えば、税理士費用は年間30万〜50万円程度かかるほか、登記費用や社会保険料の増加もあります。

さらに、法人化することで税務調査のリスクが増加します。個人事業主よりも税務調査を受けやすく、より厳密な経理処理が求められる点も考慮する必要があります。

節税のメカニズム

個人事業主の場合、所得税は累進課税で最高税率が45%に設定されており、住民税は約10%であるため、合計税率は最高で約55%となります。

一方、法人の場合は年間所得が800万円以下の法人税が15%に設定されており、住民税・事業税は約10%となるため、合計税率は約25%程度となります。

また、法人化すると、原則として社会保険への加入が必要となります。

これにより、健康保険料の増加、厚生年金保険料の負担、雇用保険料の発生が生じます。ただし、将来の年金受給額が増加するというメリットもあります。

維持コストの実態

法人設立時の費用としては、登記費用が15〜20万円かかり、定款認証料が約5万円程度、さらにその他の諸経費が5〜10万円ほど発生します。

そのほか、年間維持費用には、税理士顧問料が30〜50万円程度、社会保険料は年収に応じて変動し、また登記の更新費用は必要に応じて発生します。

さらに、経理ソフトの費用として数万円が必要となります。

CHECK

・少人数で運営される法人形態で、メリット・デメリットあり
・税率が最大55%から25%に下がり、大きな節税効果
・設立時と維持に多額の費用負担が必要

法人化の判断材料の収益性と注意点

法人成りが有利となる収入の目安

個人事業主として年間利益が500万円以下の場合、法人化の維持コストが負担となり、節税効果よりも経費の増加が上回るため、個人事業主の方が有利です。

一方、年間利益が500万円から1,000万円の範囲にある場合は判断が分かれるグレーゾーンとなり、諸条件によって決定が左右されるため、専門家への相談が推奨されます。

そして、年間利益が1,000万円以上の場合には、法人化が有利となります。法人化による節税効果が維持コストを上回り、さらに社会的信用度の向上という大きなメリットも得られるためです。

ペーパーカンパニーに関する注意点

法人化する際に違法となるケースには、実体のない会社を設立したり、架空の経費を計上したり、脱税を目的とした法人化が含まれます。

このような行為を避けるためには、事業実態を証明し、適切な帳簿管理を行い、定期的に収支が発生していることを証明する必要があります。

法人化の判断基準のまとめ

法人化の検討にあたっては、いくつかの重要な観点から慎重な判断が必要となります。まず注目すべきは収入規模です。

年間1,000万円以上の収入がある場合、もしくは近い将来にそのレベルまでの収入増加が見込める場合に、法人化は本格的な検討に値します。

また、事務処理体制の整備も重要な要素となります。経理業務への対応力や税理士との連携体制が整っているかを確認する必要があります。

さらに、法人維持に必要なコストや社会保険料などの固定費を継続的に負担できる資金的な余裕も不可欠です。

加えて、事業の将来性も重要な判断材料となります。持続的な収益が見込めるか、また事業拡大の可能性があるかを見極める必要があります。

法人化は単なる節税対策としてではなく、事業の成長戦略の一環として捉えることが重要で、特に年間利益が1,000万円を超えるケースでは、積極的な検討が推奨されます。

ただし、安易な判断での法人化は却って負担増につながる可能性があります。そのため、必ず税理士などの専門家に相談し、自身の事業状況に照らして慎重に判断することが賢明です。

CHECK

・年間利益に応じた法人化の判断基準と節税効果
・違法なペーパーカンパニー防止と適切な運営管理
・収入・体制・将来性を考慮した総合的な判断が必要

マイクロ法人化は、年間利益1,000万円以上で真剣な検討に値する選択肢です。税率が最大55%から25%に下がる節税効果が魅力ですが、維持費用や事務負担の増加も伴います。安易な判断は避け、収入規模、事務体制、将来性を総合的に判断し、専門家に相談した上で決定することが重要です。

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