個人事業主や副業をしている会社員の方は、所得税の納付時期について不安を感じていませんか。会社員と違い、自分で税金を納める必要があるため、「いつまでに」「どうやって」払えばいいのか迷うことがあります。
納付期限を過ぎると延滞税が課されるリスクもあるため、正確な知識が必要です。
この記事は、初めて確定申告を行う個人事業主・フリーランスの方、予定納税の通知書が届いて困惑している方に向けて、所得税の納付時期と方法を基礎から解説します。
この記事でわかること
- 所得税の具体的な納付時期と期限
- 予定納税制度の仕組みと対象者
- 納付書の入手方法と電子納付の手順
ATTENTION
【重要】本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税務署または税理士にご相談ください。
所得税を払うタイミングは年3回
所得税の納付タイミングは、確定申告時の3月と、予定納税の7月・11月の年3回です。
確定申告で計算した所得税額を3月中旬までに納付するのが基本です。ただし、前年の所得税額が15万円以上だった場合は、予定納税制度によって7月と11月にも税金を前払いする必要があります。
予定納税は税金の分割払い制度で、確定申告時に一度に多額の税金を支払う負担を緩和する目的があります。7月と11月に納付した金額は、翌年の確定申告で差し引かれるため、二重払いにはなりません。
それでは、所得税の納付時期と方法について詳しく見ていきましょう。
CHECK
所得税の納付は年3回(3月・7月・11月)
前年の所得税額が15万円以上なら予定納税が必要
予定納税額は確定申告で差し引かれる
所得税の基本的な納付時期
所得税の納付には、大きく分けて「確定申告時の納付」と「予定納税」の2つのパターンがあります。この2つの仕組みを正しく理解することで、納付漏れや延滞税のリスクを避けることができます。
それでは、まず確定申告時の納付から説明します。
確定申告時の納付
確定申告で計算した所得税額は、申告期限と同じ日までに納付する必要があります。
個人事業主やフリーランスの場合、前年1月1日から12月31日までの所得について、翌年2月16日から3月15日までに確定申告を行います。納付期限も同じく3月15日です。
たとえば、2024年分の所得については2025年3月17日(月曜日)までに申告・納付を完了させる必要があります。2025年は3月15日が土曜日のため、翌週の月曜日まで期限が延びます。期限を過ぎると延滞税が課されるため、注意が必要です。
確定申告時の納付は基本中の基本ですが、前年に一定以上の所得があった場合は、次に説明する予定納税制度も適用されます。
予定納税制度とは
予定納税とは、前年の所得税額をもとに税金を前払いする制度です。
確定申告のタイミングで一度に多額の税金を支払うのではなく、分割して納税することで納税者の資金繰りの負担を緩和し、国の税収を平準化する目的があります。
支払った予定納税額は、翌年の確定申告で計算した税額から差し引かれるため、前払いした分だけ確定申告時の納付額が少なくなります。
では、この予定納税制度は誰が対象になるのでしょうか。次の章で詳しく見ていきましょう。
CHECK
確定申告の納付期限は申告期限と同日
予定納税は税金の前払い制度
納付期限を過ぎると延滞税が発生
予定納税の対象者と基準額
予定納税は全ての個人事業主に適用されるわけではありません。前年の所得税額によって対象者が決まり、対象になると6月に税務署から通知書が届きます。
ここでは、予定納税の対象者となる基準と、通知書が届くタイミングについて説明します。
予定納税の対象者
予定納税の対象者は、前年の申告納税額が15万円以上になる納税者です。
具体的には、前年の所得税の申告納税額がそのまま「予定納税基準額」となり、この金額が15万円以上であれば予定納税の対象となります。
ただし、以下のいずれかに該当する場合は、予定納税基準額が前年の所得税の申告納税額とは異なります。
- 前年の所得に山林所得、上場株式等の配当所得、退職所得、譲渡所得、一時所得、雑所得、平均課税を受けた臨時的な所得(平均課税適用所得など)といった除外所得が含まれている場合
- 前年の所得について外国税額控除の適用を受けている場合
- 前年に災害減免法の規定の適用を受けている場合
除外所得は予定納税の計算に含まれません。また、災害減免法の適用を受けている場合は、適用されなかったものとして予定納税基準額が算出されます。
このように対象者が決まると、税務署から通知書が送られてきます。
予定納税額の通知
予定納税の対象になる人には、例年6月中旬頃に所轄税務署から「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」が送られてきます。
この通知書は確定申告書の内容をもとに送られるため、自分で予定納税の必要があるかどうかを判断する必要はありません。通知書が届いた場合は見落とさないようにして、必ず納付するようにしましょう。
あらかじめ確定申告の時に予定納税の対象になるかどうかを確認しておくことで、通知書の見落としを防ぎやすくなります。対象者であることが分かったら、次は具体的な納付時期と金額について確認しましょう。
なお、通知書は郵送で届くため、転居した場合は税務署に住所変更届を提出しておきましょう。
CHECK
前年の申告納税額が15万円以上なら対象
6月中旬頃に税務署から通知書が届く
通知書が届かなければ予定納税は不要
予定納税の納付時期と金額
予定納税の対象者になった場合、具体的にいつ、いくら納付するのかを理解しておく必要があります。納付額は前年の所得税額をもとに自動的に計算されるため、複雑な計算は不要です。
ここでは、予定納税額の計算方法と納付期限、そして確定申告での精算について説明します。
予定納税額の計算方法
予定納税額は、予定納税基準額の3分の1の金額を第1期分と第2期分としてそれぞれ納付します。
たとえば、予定納税基準額が30万円の場合、第1期分と第2期分でそれぞれ10万円ずつ納付することになります。残りの3分の1は、確定申告時に最終的な税額と合わせて精算します。
この計算は税務署が行うため、通知書に記載された金額を納付すればよいのです。
第1期分と第2期分の納付期限
予定納税の納付時期は以下の通りです。
| 期別 | 納付期間 |
| 第1期分 | 7月1日〜7月31日 |
| 第2期分 | 11月1日〜11月30日 |
※いずれも末日が土日祝のときは翌営業日
予定納税の対象者が期限内に納付しなかった場合、延滞税が課されることがあるため注意しましょう。第1期と第2期の納付が完了したら、翌年の確定申告で最終的な精算を行います。
確定申告での精算
第1期分と第2期分の納税を行った後、確定申告で第3期分として最終的な税額を計算します。
計算結果に応じて、納付済みの金額を差し引いた残額を支払います。また、払いすぎた場合は還付を受けることが可能です。これで所得税を納付するタイミングと金額が分かりました。
次は、実際にどのような方法で納付できるのかを見ていきましょう。
CHECK
予定納税額は基準額の3分の1ずつ
第1期は7月、第2期は11月に納付
確定申告で最終精算し還付も可能
所得税の納付方法
納付時期が分かったところで、次は具体的な納付方法について確認しましょう。現在は複数の納付方法が用意されており、自分のライフスタイルに合わせて選ぶことができます。
従来からある現金納付に加えて、口座振替やインターネットを使った電子納付、クレジットカード納付など、便利な納付方法が増えています。それぞれの特徴を理解して、最適な方法を選びましょう。
納付書による現金納付
税務署や金融機関の窓口で、納付書を使って現金で納付する方法です。
納付書は税務署で入手できます。確定申告を行うと、税務署から納付書が送付されることもあります。納付書に必要事項を記入し、金融機関または税務署の窓口で納付します。
最も伝統的な方法ですが、窓口の営業時間内に行く必要があるため、時間的な制約があります。
振替納税
振替納税は、指定した金融機関の口座から自動的に税額が引き落とされる方法です。
事前に「預貯金口座振替依頼書」を税務署に提出しておく必要があります。2024年分(令和6年分)の確定申告における振替日は、2025年4月23日(水曜日)です。
確定申告の納付期限よりも約1か月遅くなるため、資金繰りの面でメリットがあります。納付忘れの心配もなく、手間がかからない点も魅力です。
電子納付(e-Tax・ダイレクト納付)
インターネットを利用した電子納付も可能です。
e-Taxを利用してオンラインで納付する方法と、事前に税務署へ届出を行うことで、e-Taxから簡単な操作で口座引き落としができるダイレクト納付があります。
24時間いつでも納付でき、金融機関に行く必要がないため便利です。パソコンやスマートフォンから手続きできるため、忙しい個人事業主に適しています。
クレジットカード納付
国税クレジットカードお支払サイトから、クレジットカードで納付できます。
ただし、決済手数料が別途かかる点に注意が必要です。2025年1月から手数料率が約0.99%に引き上げられています。納付税額に応じて以下の決済手数料がかかります。
| 納付税額 | 決済手数料 |
| 〜10,000円 | 99円 |
| 10,001円〜20,000円 | 198円 |
| 20,001円〜30,000円 | 297円 |
| 30,001円〜40,000円 | 396円 |
| 40,001円〜50,000円 | 495円 |
以降も10,000円を超えるごとに99円が加算されます。詳しい手数料は国税クレジットカードお支払サイトでシミュレーションできます。
クレジットカードのポイントが貯まるメリットはありますが、手数料とポイント還元率を比較して判断しましょう。
クレジットカード納付の留意点
クレジットカード納付では領収証書が発行されません。領収証書が必要な場合は、金融機関または税務署の窓口で現金納付してください。また、納税証明書への反映には2〜3週間程度かかるため、急いで納税証明書が必要な場合は他の納付方法を選択しましょう。
納付方法が分かったところで、次は特殊なケースについて見ていきます。業績不振などで予定納税の支払いが困難な場合の対処法を確認しましょう。
CHECK
納付方法は現金・振替・電子・クレカの4種類
振替納税は納付期限が約1か月延長される
クレジットカード納付は手数料約0.99%が必要
予定納税の減額申請
予定納税は前年の所得税額をもとに計算されますが、当年の業績が悪化した場合、前払いが負担になることがあります。そのような場合に備えて、予定納税額を減額できる制度が用意されています。
ここでは、減額申請の対象者、手続き方法、提出期限について説明します。
減額申請の対象者
以下のいずれかに該当する場合、予定納税の減額申請を行えます。
- 廃業、休業、失業をした人
- 業績不振などによって所得が前年度よりも明らかに少なくなる見込みの人
- 災害、盗難、横領で事業用の資産などに損害を受けた人
- 所得控除額や税額控除額が前年よりも増加することで所得税額が下がる見込みの人
これらの条件に当てはまる場合は、減額申請を検討しましょう。ただし、申請には一定の手続きが必要です。
減額申請の手続き
減額申請は、「予定納税額の減額申請書」を所轄の税務署に提出して行います。
減額申請の理由だけでなく、「申告納税見積額等の計算書」も記入する必要があります。提出する際は、計算の根拠となる損益計算書等の添付が必要になる場合があります。申請書類の作成には時間がかかるため、早めに準備を始めることをおすすめします。
減額申請の提出期限
減額申請書の提出期限は以下の通りです。
| 申請内容 | 提出期限 |
| 第1期分と第2期分の両方を減額申請 | その年の7月15日 |
| 第2期分のみ減額申請 | その年の11月15日 |
※いずれも15日が土日祝のときは翌営業日
申請手続きが完了すると、税務署から承認、一部承認、却下といった書類が届きます。減額申請が認められなかった場合は予定納税額の減額ができないため、必ず結果を確認してから納付しましょう。
なお、予定納税額が本来支払うべき税額を上回っていた場合は、確定申告で還付を受けられます。減額申請には手間もかかるため、資金繰りが可能な場合は減額申請をしなくても問題ありません。
ここまで所得税の納付について説明してきましたが、個人事業主が納める税金は所得税だけではありません。次は住民税の納付時期について確認しましょう。
CHECK
業績不振や廃業の場合は減額申請が可能
提出期限は第1期分が7月15日、第2期分が11月15日
払いすぎた場合は確定申告で還付
住民税の納付時期(所得割・均等割)
所得税の納付時期を理解したところで、もう一つ重要な税金である住民税についても確認しておきましょう。住民税は所得税とは納付時期や方法が異なるため、混同しないように注意が必要です。
ここでは、住民税の納付方法と納付時期、そして住民税の構成について説明します。
住民税の納付方法
住民税には「特別徴収」と「普通徴収」の2つの納付方法があります。
会社員の場合は給与から天引きされる特別徴収ですが、個人事業主やフリーランスの場合は普通徴収となり、自分で納付する必要があります。
所得税とは異なり、住民税は前年の所得に対して課税されるため、納付時期にも違いがあります。
普通徴収の納付時期
普通徴収の場合、住民税は年4回に分けて納付します。
納付時期は6月、8月、10月、翌年1月の年4回で、各市区町村から送付される納付書を使って納付します。納付期限は各市区町村によって若干異なるため、送付された納付書で確認しましょう。
所得税が年3回の納付であるのに対し、住民税は年4回の納付となる点に注意が必要です。
所得割と均等割
住民税は「所得割」と「均等割」の2つで構成されています。
所得割は前年の所得金額に応じて課税される部分で、税率は一般的に10%(市町村民税6%+道府県民税4%)です。均等割は所得に関係なく一律で課税される部分で、年額5,000円程度(市町村によって異なる)です。
所得税と住民税を合わせると、個人事業主は年間を通じて計7回の納付タイミングがあることになります。それぞれの納付期限をしっかり把握して、納付漏れがないように管理しましょう。
ここまで所得税と住民税の納付について説明してきました。
CHECK
個人事業主の住民税は普通徴収で年4回納付
納付時期は6月・8月・10月・翌年1月
所得割(10%)と均等割(約5,000円)で構成
よくある質問(FAQ)
所得税の納付時期や方法について、個人事業主の方からよく寄せられる質問をまとめました。納付手続きで迷ったときの参考にしてください。
Q1.予定納税の金額が高いと感じた場合、見直せますか?
可能です。今年の収入減や控除増が見込まれる場合は、税務署へ「減額申請」を提出すれば調整できます。
Q2.予定納税を払っても、確定申告で追加の支払いが発生することはありますか?
あります。今年の所得が前年より増えた場合、予定納税では不足し、確定申告で追加納付が必要になります。
Q3.振替納税の日に口座残高が足りなかったらどうなりますか?
自動再振替はありません。税務署から届く通知を確認し、指定期限までに窓口や電子納付で支払う必要があります。
まとめ:所得税の納付時期と方法を押さえて安心納税
所得税の納付は年3回、確定申告時の3月と予定納税の7月・11月に行います。
予定納税の対象になるのは前年の申告納税額が15万円以上の納税者です。対象者には6月中旬頃に税務署から通知書が届くため、見落とさないようにしましょう。
予定納税は税金の前払い制度であり、7月と11月に納付した金額は確定申告で差し引かれます。納付方法は現金納付、振替納税、電子納付、クレジットカード納付の4種類から選べます。
今日から実践できる3つのポイント
- 前年の申告納税額を確認し、予定納税の対象になるか把握する
- 自分に合った納付方法を選び、振替納税なら早めに手続きする
- 3月・7月・11月の納付期限をメモして、納付漏れを防ぐ
業績不振などで予定納税の支払いが困難な場合は、7月15日または11月15日までに減額申請を行うことも可能です。納付期限を守り、延滞税のリスクを避けるため、早めに準備を進めましょう。
出典・参照元
本記事は以下の情報源をもとに作成されています。
- 国税庁「所得税の予定納税」
- 国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」
- 国税庁「クレジットカード納付の手続」
- 国税庁「クレジットカード納付のQ&A」
※記事内容は2025年11月12日時点の税制・法令に基づいています。税制改正等により内容が変更される場合がありますので、最新情報は国税庁または税理士にご確認ください。
